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JP6417834B2 - 冷却器付パワーモジュール用基板及び冷却器付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

冷却器付パワーモジュール用基板及び冷却器付パワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられる冷却器付パワーモジュール用基板及び冷却器付パワーモジュール用基板の製造方法に関する。
パワーモジュールは、セラミックス基板の一方の面に回路層が、他方の面に金属層が接合されており、回路層の上にはんだ材を介してパワー素子等の半導体素子が搭載され、金属層が冷却器に接合される。このようなパワーモジュール用基板において、反りが生じると半導体素子の実装工程において実装不良が発生し、パワーモジュールの歩留りが低下し、また、冷却器との接合温度で反りが生じると熱抵抗となり実使用時には放熱性能が阻害されるために、反りの少ない基板とする必要がある。
一方、半導体素子の高出力密度化に伴う小型化が進んでおり、モジュールの集積化の要望が高まっている。一般的なパワーモジュールの集積化として、絶縁基板に複数の回路層を並べて接合する方法が知られているが、絶縁基板に複数の回路層を設けると、製造工程中又は使用時の温度変化により反りが生じ易いという課題がある。
この点、特許文献1には、絶縁基板(セラミックス基板に配線層が形成されてなる配線セラミックス基板)を複数設け、これら複数の絶縁基板をリードフレームで接合した状態とし、絶縁基板及びパワー半導体素子を封止樹脂でモールドしたパワーモジュールが開示されており、セラミックス基板のクラックや封止樹脂の剥離を防止できると記載されている。
特開2007‐27261号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、リードフレームに強度を負担させることとなるため、反りの解消には不十分であり、半導体実装時の反りを解消できたとしても、他の製造工程や使用環境における温度変化により反りが生じるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、製造工程や使用環境も含めて温度変化による形状変化が少なく放熱性に優れる、冷却器付パワーモジュール用基板を提供することを目的とする。
本発明は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されたパワーモジュール用基板の前記金属層が冷却器に接合された冷却器付パワーモジュール用基板であって、前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第一アルミニウム層と、該第一アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第一銅層とを有する積層構造とされ、前記金属層が純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第二アルミニウム層と、該第二アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第二銅層と、該第二銅層に固相拡散接合された第三アルミニウム層との積層構造とされており、前記第一銅層の厚さをt1、耐力をσ1とし、前記第二銅層の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とされ、t1+t2が4mm以上とされ、前記第三アルミニウム層の厚さが0.1mm以上1mm未満であり、前記冷却器は、アルミニウム合金からなる天板を有し、前記天板と前記パワーモジュール用基板の前記第三アルミニウム層とがろう付け又は、はんだ付けにて接合されている
そして、本発明の冷却器付パワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されており前記金属層が冷却器に接合されるパワーモジュール用基板において、前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第一アルミニウム層と、該第一アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第一銅層とを有する積層構造とされ、前記金属層が純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第二アルミニウム層と、該第二アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第二銅層と、該第二銅層に固相拡散接合された第三アルミニウム層との積層構造とされており、前記第一銅層の厚さをt1、耐力をσ1とし、前記第二銅層の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とされ、t1+t2が4mm以上とされ、前記第三アルミニウム層の厚さが0.1mm以上1mm未満であるパワーモジュール用基板の前記第三アルミニウム層に、アルミニウム合金からなる天板を有する冷却器の前記天板をろう付け又は、はんだ付けにて接合する。
セラミックス基板の両面にアルミニウム層を介して銅層が対称的に積層されるが、他方の面側にはアルミニウム合金からなる第三アルミニウム層がさらに積層されるために、セラミックス基板の両面の積層構造がセラミックス基板を中心とした対称構造ではない。しかし、その第三アルミニウム層は薄いので、加熱時に発生する応力は小さく、実質的に無視することができる。そして、本発明は、回路層の第一銅層及び金属層の第二銅層の厚さ及び耐力を上記の範囲に設定することで、セラミックス基板を中心としてほぼ応力の対称構造を構成することができる。これにより、パワーモジュール用基板と冷却器との接合工程時にセラミックス基板の両面に作用する応力に偏りが生じ難く、反りを発生しにくくすることができる。冷却器接合工程時に反りが発生すると、パワーモジュール用基板と冷却器との間に隙間が生じボイドが発生するおそれがあるが、本発明では反りの発生を防止できるのでボイド率を低減することができる。これにより、パワーモジュール用基板の製造時における初期反りのみならず、半導体素子の実装工程時や、その後の使用環境においても反りの発生を抑制することができ、絶縁基板としても信頼性を向上でき、良好な放熱性を発揮させることができる。
本発明によれば、製造工程や使用環境も含めて温度変化による形状変化を抑制することができ、絶縁基板としての信頼性や半導体素子の接続信頼性を向上でき、良好な放熱性を発揮させることができる。
本発明の第1実施形態の冷却器付パワーモジュール用基板を示す断面図である。 図1の冷却器付パワーモジュール用基板の製造工程を示す断面図である。 本発明のパワーモジュール用基板の製造に用いる加圧装置の例を示す正面図である。 本発明の第2実施形態である冷却器付パワーモジュール用基板を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す第1実施形態の冷却器付パワーモジュール用基板50は、複数のパワーモジュール用基板20が一つの冷却器80に接合されており、各パワーモジュール用基板20に半導体素子60がそれぞれ接合されることにより、パワーモジュール100が構成される。
各パワーモジュール用基板20は、セラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面にろう付けにより接合された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面にろう付けにより接合された金属層30とを備える。
セラミックス基板11は、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Si34(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl23(アルミナ)等の酸化物系セラミックスを用いることができる。このセラミックス基板11の厚さは0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定することができる。
回路層12は、セラミックス基板11の表面に接合される第一アルミニウム層15と、その第一アルミニウム層15に接合された第一銅層16とを有する積層構造とされる。
この第一アルミニウム層15は、純度99質量%以上のアルミニウム(2N−Al)、純度99.9質量%以上のアルミニウム(3N−Al)、純度99.99質量%以上のアルミニウム(4N−Al)又はアルミニウム合金からなる板材を、セラミックス基板11に接合することにより形成される。本実施形態においては、第一アルミニウム層15は、純度99質量%以上のアルミニウム板がセラミックス基板11にろう付けされている。また、第一銅層16は、純銅又は銅合金からなる板材を、第一アルミニウム層15に接合することにより形成される。本実施形態においては、第一銅層16は、例えば、純度99.96質量%以上の無酸素銅の銅板が第一アルミニウム層15に固相拡散接合されている。これら第一アルミニウム層15及び第一銅層16の厚みは、第一アルミニウム層15が0.1mm以上3.0mm以下、第一銅層16が2.0mm以上5.0mm以下とされる。
金属層30は、セラミックス基板11の表面に接合される第二アルミニウム層13と、その第二アルミニウム層13に接合された第二銅層31と、その第二銅層31に接合された第三アルミニウム層32とを有する積層構造とされる。第二アルミニウム層13は回路層12の第一アルミニウム層15と同一材料により形成される。本実施形態においては、第二アルミニウム層13は、第一アルミニウム層15と同一のアルミニウム純度99質量%以上の厚み0.1mm以上3.0mm以下に形成されたアルミニウム板が、セラミックス基板11にろう付けされている。
なお、第一アルミニウム層15と第二アルミニウム層13とは、ほぼ同じ大きさの平面形状に形成される。
また、第二銅層31は、純銅又は銅合金からなる板材を、第二アルミニウム層13に接合することにより形成される。本実施形態においては、第二銅層31は、例えば、純度99.96質量%以上の無酸素銅の銅板が第二アルミニウム層13に固相拡散接合されている。この、第二銅層31の厚みは2.0mm以上5.0mm以下とされる。
第三アルミニウム層32は、純度99質量%以上のアルミニウム(2N−Al)、純度99.9質量%以上のアルミニウム(3N−Al)、純度99.99質量%以上のアルミニウム(4N−Al)又はA3003やA6063等のアルミニウム合金からなる板材を、第二銅層31に接合することにより形成される。本実施形態においては、第三アルミニウム層32は、アルミニウム合金A6063のアルミニウム板が第二銅層31に固相拡散接合されている。この、第三アルミニウム層32は、厚みが0.1mm以上1.0mm未満とされ、アルミニウム箔を用いることができる。
そして、回路層12の第一銅層16、金属層30の第二銅層31は、第一銅層16の厚さをt1、耐力をσ1とし、金属層30の第二銅層31の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下となる関係に設定される。例えば、第一銅層16が厚さt1=3.0mmの純度99.96質量%以上の無酸素銅OFC(耐力σ1=190MPa)、第二銅層31が厚さt2=2.5mmの無酸素銅OFC(耐力σ2=190MPa)、の組み合わせの場合、(t1×σ1)/(t2×σ2)=1.2となる。なお、本発明における耐力の値は室温(25℃)時の値である。
また、これら回路層12の第一銅層16、金属層30の第二銅層31の厚さの和(t1+t2)は4mm以上とするのが好ましい。
冷却器80は、パワーモジュール100の熱を放散するためのものであり、アルミニウム合金からなり、本実施形態では、水等の冷却媒体が流通するボックス状に形成されているが、形状は特に限定するものではない。そして、パワーモジュール用基板20は、アルミニウム合金からなる冷却器80の本体上面に位置する天板に第三アルミニウム層32をろう付け又ははんだ付けにて接合して固定される。
そして、この冷却器付パワーモジュール用基板50を構成する各パワーモジュール用基板20の回路層12の表面に、半導体素子60がはんだ付けされる。
なお、半導体素子60は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の種々の半導体素子が選択される。そして、半導体素子60を接合するはんだ材は、例えばSn‐Sb系、Sn‐Ag系、Sn‐Cu系、Sn‐In系、もしくはSn‐Ag‐Cu系のはんだ材(いわゆる鉛フリーはんだ材)とされる。
次に、このように構成されるパワーモジュール用基板20及び冷却器付パワーモジュール用基板50を製造する方法について一例を説明する。
まず、図2(a)に示すように、セラミックス基板11の一方の面に回路層12のうち第一アルミニウム層15を積層し、他方の面に金属層30のうち第二アルミニウム層13を積層して、これらを一体に接合する。これらの接合には、Al‐Si系等の合金のろう材が用いられ、例えば、その合金のろう材箔18を介してセラミックス基板11と第一アルミニウム層15及び第二アルミニウム層13とをそれぞれ積層し、この積層体Sを図3に示す加圧装置110を用いて積層方向に加圧した状態とする。
この図3に示す加圧装置110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に垂直に取り付けられたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に固定された固定板113と、これらベース板111と固定板113との間で上下移動自在にガイドポスト112に支持された押圧板114と、固定板113と押圧板114との間に設けられて押圧板114を下方に付勢するばね等の付勢手段115とを備えている。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に前述の積層体Sが配置される。積層体Sの両面には加圧を均一にするためにカーボンシート116が配設される。
この加圧装置110により加圧した状態で、加圧装置110ごと図示略の加熱炉内に設置し、真空雰囲気下でろう付け温度に加熱して接合する。この場合の加圧力としては例えば0.68MPa(7kgf/cm2)、加熱温度としては例えば640℃とされる。
そして、図2(b)に示すように、セラミックス基板11と第一アルミニウム層15及び第二アルミニウム層13とが接合された接合体19に、回路層12の第一銅層16、金属層30の第二銅層31及び第三アルミニウム層32を接合する。まず、接合体19の第一アルミニウム層15に拡散防止材としてのチタン箔41(厚さ:10μm以上20μm以下)を介して第一銅層16を積層し、第二アルミニウム層13にチタン箔41を介して第二銅層31を積層し、第二銅層31にチタン箔41を介して第三アルミニウム層32を積層する。そして、これらの積層体を、図3と同様の加圧装置110を用いて積層方向に加圧した状態で、加圧装置110ごと真空雰囲気下で加熱して、第一アルミニウム層15と第一銅層16、第二アルミニウム層13と第二銅層31、第二銅層31と第三アルミニウム層32をそれぞれ固相拡散接合する。この場合の加圧力としては、例えば、0.29MPa以上3.43MPa以下とされ、加熱温度としては500℃以上548℃未満とされる。そして、この加圧及び加熱状態を5分以上240分以下の間で保持することによりそれぞれ固相拡散接合される。
次に、上述の接合体であるパワーモジュール用基板20の第三アルミニウム層32と冷却器80とを両面ろうクラッド材42を介して積層し、図3と同様の加圧装置110を用いて積層方向に加圧した状態で、加圧装置110ごと窒素雰囲気下で加熱して、ろう付け接合する。両面ろうクラッド材はアルミニウム合金(A3003)からなる芯材の両面にAl−Si−Mg系のろう材層が形成された両面ろうクラッド材42が用いられ、この場合の加圧力としては、例えば、0.001MPa以上0.5MPa以下とされ、加熱温度としては580℃以上630℃以下とされる。また、第三アルミニウム層32と冷却器80の接合方法として、ろう付け以外に、Zn−Al系のはんだ材によりはんだ付けする方法としてもよい。はんだ付けは接合温度が450℃以下(例えば、Zn−Al系はんだの場合385℃)とされ、この温度では銅とアルミニウムとの拡散は生じないので、第一銅層16、第二銅層31、第三アルミニウム層32の接合時に用いた拡散防止材としてのチタン箔41は不要となる。
なお、本実施形態においては、第一アルミニウム層15と第一銅層16、第二アルミニウム層13と第二銅層31、及びこの第二銅層31と第三アルミニウム層32のそれぞれの接合面は、予め傷が除去されて平滑にされた後に固相拡散接合される。
このようにして製造される冷却器付パワーモジュール用基板50では、第一銅層16の厚さをt1、耐力をσ1とし、金属層30の第二銅層31の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とされているので、加熱時にセラミックス基板11の両面に生じる応力が、セラミックス基板11を中心としたほぼ対称構造となる。これにより、加熱時等にセラミックス基板11の両面に作用する応力に偏りが生じ難く、反りを発生しにくくすることができる。したがって、各層の積層時における初期反りのみならず、半導体素子60の実装工程時や使用環境においても反りの発生を抑制することができ、絶縁基板としても信頼性を向上でき、良好な放熱性を発揮させることができる。
図4には本発明の第2実施形態を示している。
第1実施形態では二つのパワーモジュール用基板20を別々に冷却器80へ接合したが、第2実施形態では、パワーモジュール用基板20の金属層30の第二銅層31の平面サイズが2個分の回路層12より大きく形成され、この第二銅層31を共用した構成とされている。それぞれのパワーモジュール用基板20は、セラミックス基板11の一方の面に第一アルミニウム層15、第一銅層16からなる回路層12が接合され、他方の面に第二アルミニウム層13、第二銅層31、第三アルミニウム層32からなる金属層30が接合された構成とされる。
この冷却器付パワーモジュール用基板50を製造するには、セラミックス基板11の両面に回路層12の第一アルミニウム層15と金属層30の第二アルミニウム層13とをろう付けにより接合し、これらの接合体を一枚の第二銅層31の上に載置するとともに、各第一アルミニウム層15に第一銅層16をそれぞれ積層し、第二銅層31に第三アルミニウム層32を積層して、これらを固層拡散接合することで2枚の回路層12を有するパワーモジュール用基板20を形成する。そして、そのパワーモジュール用基板20を冷却器80にろう付け又ははんだ付けにより接合することで冷却器付パワーモジュール用基板50を形成する。この冷却器付パワーモジュール用基板50は、一枚の第二銅層31により一体化されているので、位置ずれや変形が生じ難く、位置精度を出しやすいことから、高集積化を図ることができる。
それぞれの第二アルミニウム層13と第二銅層31との接合部に対応する部分の第一銅層16の厚さt1及び耐力σ1、金属層30の第二銅層31の厚さt2及び耐力σ2の関係を、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とし、第三アルミニウム層32の厚みを0.1mm以上1.0mm未満とすることで、セラミックス基板11を中心としたほぼ応力の対象構造を構成することができる。したがって、加熱時等にセラミックス基板11の両面に作用する応力に偏りが生じ難く、反りを発生しにくくすることができ、良好な放熱性を発揮させることができる。また、これら回路層12の第一銅層16、金属層30の第二銅層31の厚さの和(t1+t2)は4mm以上とするのが好ましい。
なお、上記実施形態では、2個の回路層12を有する冷却器付パワーモジュール用基板50の例を示したが、3個以上の回路層12を搭載した構造としてもよい。
厚み0.635mmのAlNからなるセラミックス基板と、厚み0.6mmの純度99質量%以上のアルミニウム(2N−Al)からなる第一アルミニウム層及び第二アルミニウム層とを用意するとともに、第一銅層、第二銅層、第三アルミニウム層について表1に示す厚さ、耐力のものを用意した(第三アルミニウム層はA6063を用い、厚さのみ表示)。また、試料番号6の第一銅層は三菱伸銅株式会社製のZC合金(Cu99.98質量%−Zr0.02質量%)を用い、他の第一銅層及び第二銅層は純度99.96質量%以上の無酸素銅(OFC)を用いた。
そして、これらを上記実施形態で述べた接合方法により接合して、パワーモジュール用基板の試料を作製した。
なお、各部材の平面サイズは、セラミックス基板が40mm×40mm、回路層及び金属層が37mm×37mmとした。
得られた試料につき、615℃で冷却器にろう付けにより接合し、超音波画像測定機にてパワーモジュール用基板と冷却器との接合界面を観察して、接合界面におけるボイド(空孔)の面積を測定し、接合すべき面積に対するボイドの合計面積をボイド率として算出し、ボイド率が2%未満であったものを○、2%を超えるものを×とした。
表1中、比率Aは(t1×σ1)/(t2×σ2)を示し、厚さBはt1+t2を示す。
Figure 0006417834
表1からわかるように、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下で、t3が0.1mm以上1.0mm未満であり、t1+t2が4.0mm以上とされた試料では、ボイド率評価が良好であることから温度変化による形状変化が少なく放熱性に優れる、冷却器付パワーモジュール用基板が得られることが確認された。
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
11 セラミックス基板
12 回路層
13 第二アルミニウム層
15 第一アルミニウム層
16 第一銅層
18 ろう材箔
20 パワーモジュール用基板
30 金属層
31 第二銅層
32 第三アルミニウム層
50 冷却器付パワーモジュール用基板
60 半導体素子
80 冷却器
100 パワーモジュール

Claims (2)

  1. セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されたパワーモジュール用基板の前記金属層が冷却器に接合された冷却器付パワーモジュール用基板であって、前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第一アルミニウム層と、該第一アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第一銅層とを有する積層構造とされ、前記金属層が純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第二アルミニウム層と、該第二アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第二銅層と、該第二銅層に固相拡散接合された第三アルミニウム層との積層構造とされており、前記第一銅層の厚さをt1、耐力をσ1とし、前記第二銅層の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とされ、t1+t2が4mm以上とされ、前記第三アルミニウム層の厚さが0.1mm以上1mm未満であり、前記冷却器は、アルミニウム合金からなる天板を有し、前記天板と前記パワーモジュール用基板の前記第三アルミニウム層とがろう付け又は、はんだ付けにて接合されていることを特徴とする冷却器付パワーモジュール用基板。
  2. セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されており前記金属層が冷却器に接合されるパワーモジュール用基板において、前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第一アルミニウム層と、該第一アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第一銅層とを有する積層構造とされ、前記金属層が純度99質量%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる第二アルミニウム層と、該第二アルミニウム層に固相拡散接合された銅又は銅合金からなる第二銅層と、該第二銅層に固相拡散接合された第三アルミニウム層との積層構造とされており、前記第一銅層の厚さをt1、耐力をσ1とし、前記第二銅層の厚さをt2、耐力をσ2としたときに、(t1×σ1)/(t2×σ2)が0.7以上1.5以下とされ、t1+t2が4mm以上とされ、前記第三アルミニウム層の厚さが0.1mm以上1mm未満であるパワーモジュール用基板の前記第三アルミニウム層に、アルミニウム合金からなる天板を有する冷却器の前記天板をろう付け又は、はんだ付けにて接合することを特徴とする冷却器付パワーモジュール用基板の製造方法。
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