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JP5666214B2 - 眼内レンズ挿入器具 - Google Patents

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Description

本発明は、眼内レンズを眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具に関する。
従来、白内障の手術方法の一つとして水晶体を摘出した後、水晶体の代わりとして折り曲げ可能な軟性の光学部と,眼内にて光学部を固定保持させるためのループと呼ばれる支持部とから構成される眼内レンズを挿入する手法が一般的に用いられている。
折り曲げ可能な眼内レンズの挿入には、インジェクターと呼ばれる眼内レンズ挿入器具が用いられる。インジェクターは先端が先細となっており、プランジャーと呼ばれる棒状の押出部材にて内部に設置された眼内レンズがインジェクターの先端に向けて押し出されると、その内壁形状に合わせて眼内レンズが小さく折り曲げられる。そして、眼内レンズが折り畳まれて径が小さくされた状態で眼内に送出されることで、患者に設ける切開創をできるだけ小径にでき、患者の負担を低減すると共に術後乱視等の後遺症の発生を抑えることができるようになる。
また、以上のような眼内レンズ挿入器具の挿入部は、切開創から挿入部を容易に眼内に挿入するために、ベベルと呼ばれる切欠が挿入部の先端に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−24282号公報参照
先端に切欠が形成された眼内レンズ挿入器具を用いる場合、切欠の面(斜面)が下を向くようにして、患者眼に形成された切開創から先端を眼内に挿し入れた状態で折り畳まれた眼内レンズを眼内に送出する。しかし、眼内レンズ挿入器具を用いて眼内レンズを折り畳む場合、その折り畳み方向はある程度定まるが常に同じ折り畳まれ方になるとは限らない。このため、折り畳まれた眼内レンズを先端から送出した後の開放方向が定まり難く、術者は開放されつつある眼内レンズの挙動を見ながら器具本体を軸周りに回転させる等で眼内レンズの開放状態を調節することが必要となる場合があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、眼内レンズの嚢内での開放挙動を安定させることができ、開放状態の調節を行うことなく簡単に眼内レンズを送出させることのできる眼内レンズ挿入器具を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 光学部と前記光学部の外縁部から外側に伸びるループ状の支持部とが一体形成された眼内レンズを折り畳んだ状態で眼内に送出するための眼内レンズ挿入器具において、先端に向かうに従いその内径が徐々に小さくなる領域を有したテーパ形状を有する通路を持ち,該通路を通過させることによって前記眼内レンズを小さく折り曲げて眼内へと挿入するための挿入部を先端に備える筒部本体と、前記挿入部から前記眼内レンズを押し出すために前記筒部本体内部で押出軸方向に進退移動可能に設けられた棒状の押出部材と、を備え、
前記押出部材の先端部には前記眼内レンズを前記挿入部内から押し出す際に前記支持部の一部を保持することにより前記挿入部先端から送出される前記眼内レンズの開放方向を定めるための保持部が形成されており、前記保持部は、前記押出部材と前記挿入部の内壁との間に潜り込まれた前記支持部を前記押出部材と前記内壁とにより挟持するために,前記押出部材の先端から基端に向かって前記押出部材の側方の一部を切り欠くように形成された凹部を含み、前記凹部は、前記挿入部の前記内壁に沿って前記光学部が折り曲げられた後に、折り曲げられた前記光学部から後側に伸びる前記支持部を,切り欠かれた前記押出部材の側方と前記内壁との間で挟み込むことで、該挟み込まれた支持部を軸とした前記光学部の開放方向を一方向に規定し、前記凹部によって規定される前記開放方向は、前記挟み込まれた支持部を軸とすることによって一律に定められ、前記挿入部の先端には、前記凹部と前記内壁とによって挟みこまれた支持部を軸として一律に定められる前記開放方向によって前記挿入部の外で開く前記光学部の一方の面に対して,該面と向き合う斜面を持つ切欠が形成されており、該切欠を下向きの状態で前記眼内レンズを送出したときに前記光学部の一方の面が,前記切欠が持つ斜面と向き合うようにして開放される、 ことを特徴とする。
本発明によれば、眼内レンズの嚢内での開放挙動を安定させることができ、開放状態の調節を行うことなく簡単に眼内レンズを送出させることができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は1ピース型の眼内レンズ1の構成の説明図である。
眼内レンズ1は所定の屈折力を有する光学部2と、光学部2を眼内で支持するための一対の支持部3とから構成されており、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)等の単体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの複合材料等、従来、折り曲げ可能な軟性の眼内レンズに用いられている材料を使用して、光学部2と支持部3とが、切削加工、モールディング加工等で一体的に形成される。
図2は本実施形態で使用する眼内レンズ挿入器具10の外観を示した概略外観図である。図2(a)は眼内レンズ挿入器具10を上方から、図2(b)は側方から見た状態を示している。また、図3は後述する押出部材40の構成の説明図、図4は眼内レンズ挿入器具10の内部構成を示した断面模式図である。
眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1を内部に載置する挿入部20と、挿入部20を先端に備える筒部本体30と、筒部本体(以下、筒部)30に対して前後方向に移動可能に取り付けられ、眼内レンズ1を押し出すための押出部材40から構成されている。
挿入部20は、先端に向かうに従いその内径が徐々に小さく(細く)なる領域を有したテーパ形状を有する挿入筒21と、蓋部材20aとが設けられている。蓋部材20aの開口から設置された眼内レンズ1は、挿入筒21の内部を通ることにより小さく折り曲げられ、その先端21aから送出される。また、挿入筒21の先端21aは押出軸に対して所定の傾斜角度を有する切欠(以下、ベベルと記す)が形成されており、これにより、先端21aが患者眼に形成された切開創を介して眼内へと容易に挿入されるようになっている。
なお、本実施形態では先端21aのベベルの傾斜方向(形成方向)は、眼内レンズ1の開放方向に合わせて決定されている。眼内レンズ1の開放方向とベベルの傾斜方向との関係の詳細な説明は後述する。
中空状の筒部30の内部には、プランジャーと呼ばれる棒状の押出部材40が筒部30から挿入部20の先端まで繋がる通路で軸方向に進退可能に挿通されている。押出部材40は眼内レンズ1を押し出す際に、光学部2に当接される先端44と、術者により押圧される押圧部41と、押圧部41が接続された軸基部42と、先端44と軸基部42とを繋ぐ押出棒43とから構成される。
なお、押出部材40の先端44側には、先端44が光学部41に当接した状態で、後ろ側に位置する支持部3の一部が挿入部20内で保持されるための保持部が形成されている。保持部は押出部材40の先端44から基端に向かって押出棒43の一部を切り欠くように形成される凹部45と、凹部45によって残る先端部分に形成される溝46とを有する。
凹部45は、挿入部20内に載置された眼内レンズ1の後側の支持部3の基端が位置する側に形成される。また、溝46は眼内レンズ1の押し出し時に後方の支持部3が凹部45に挟まる、言い換えると挿入筒21内壁と押出棒43の先端部側壁との間に挟まる際に、支持部3の一部を保持するために用いられる。
凹部45は、押出部材40の先端側が挿入筒21に位置された状態で、挿入筒21の内壁と押出棒43の先端部分との間に後ろ側の支持部3が潜り込むことができる開口が形成されるような形状に形成される。また、凹部45の底45aは、先端44が光学部2に当接された状態で、少なくとも後側の支持部3の根元部分の撓みが生じにくい(硬い)範囲を避けた位置に形成される。このようにすると、凹部45に支持部3の一部が挟みこまれた状態であっても支持部3を破損させることなく、先端21aから眼内レンズ1を押し出すことができるようになる。また、本実施形態の溝46は、凹部45の底45a(後側の支持部3の先端位置)よりも先端44側に形成されればよい。これにより、押出手段40の押出動作によって、支持部3の一部が溝46に挟まれるようになる。
このような構成により、挿入筒21先端から眼内レンズ1が送出され始め、折り畳まれた光学部2が開き始めたときに、後方の支持部3は挿入部21内にて保持された状態であるため、光学部の開放挙動は保持されている支持部3を軸として行われることとなる。このため、挿入筒21内における光学部2の折り畳みがどのような状態であっても、開放時における光学部2の開放方向は一律に定まることとなる。また、支持部3の一部が凹部45に挟まれていることで、光学部2の開放速度が速い場合であっても、光学部2が勢い良く押出部材40から離れて開放されることが抑制されるようになる。
また、このとき、先端21aのベベルの傾斜方向は眼内レンズ1の開放方向に合わせて形成される。具体的には、後方の支持部3が挿入筒21内で保持されることにより、折り畳まれた光学部2の開放方向が一律に定められるため、眼内レンズ(光学部2)が挿入筒21の外で完全に開いた状態における光学部2の一方の面とベベル(切欠が持つ斜面)とが向き合うようにベベルを先端21aに形成するものとしている。言い換えれば、ベベルが下向きの状態で光学部2を送出したときに、開放された光学部2が押出軸に対して水平な状態となるように、保持部に対するベベルの形成が行われる。これにより、術者は押出部材40を押すだけで、(挿入部20を回転させることなく)簡単に眼内レンズを嚢内で好適に開放させることができるようになる。
なお、上述の筒部30の内側には、押出部材40の軸出しを行うための軸出部33が形成されており、押出手段40の前後方向の移動に伴う軸ぶれが防止されると共に、光学部2と先端44とが一定の状態で当接されるようになる。
次に、以上のような構成を備える眼内レンズ挿入器具10を用いた眼内レンズ1の押出動作を説明する。ここで、図5に眼内レンズ1の開放動作の説明図を示す。
はじめに、術者(使用者)は、鑷子等を用いて眼内レンズ1を蓋部材20aの位置の開口から挿入部20内の所定位置に置く。そして、ベベルの向きを切開創に合わせた状態で(下向きとなるように)先端21aを眼内へと挿入させる。この状態から、押圧部41を押し込んでいくと、図5(a)に示すように、後側の支持部3の折り曲げ位置が凹部45に潜り込むと共に支持部3の一部(折り曲げ位置よりも先端側)が溝46に挟みこまれる。そして、先端44が光学部2に当接されるようになる。この状態で、眼内レンズ1が挿入部20内で押し込まれていくと、光学部2は挿入部20の開口径が狭くなっていることで次第に挿入部20の内壁wに沿って折り曲げられていく(丸め込まれていく)。また、凹部45に潜り込んだ支持部3の一部も次第に押出棒43と内壁wとの間で挟みこまれるようになる。
以上のような状態で更に光学部2が押されていくと、先端21aから光学部2が送出されて次第に開放されるようになる。このとき、図5(b)に示すように、挿入部20内には凹部45及び溝46に挟まれた後側の支持部3が残された状態となっている。これにより、凹部45及び溝46に挟まれた支持部3の位置を軸として光学部2の開放方向が一方向に決定されるようになる。また、支持部3の一部が凹部45に挟まれていることで、眼内レンズ1が先端21aから勢い良く離れてしまうことが抑制される。更には、先端11aのベベルの傾斜方向が光学部41の開放方向に合わせて形成されているので、光学部2はベベルの開口部の位置で安定して(傾き等が生じる事無く)開放されるようになる。
更に押出手段40が押し進められ、溝46及び凹部45が嚢内に位置されると、図5(c)に示すように、支持部3はその復元力によって溝46及び凹部45から離れる。そして、眼内から加えられる応力によって嚢に沿って配置されるようになり、支持部3によって光学部2が眼内で好適に保持されるようになる。
以上のように、眼内レンズの押出時に、挿入部内に残された支持部を軸として眼内レンズが開放されることで、眼内レンズの開放方向が一方向に決定される。また、挿入部先端のベベルの傾斜方向が眼内レンズの開放方向に合わせて形成されているので、術者は一度の押出し動作で、簡単に眼内レンズを嚢内で好適に位置させることができるようになる。
なお、以上では保持部として押出手段40に凹部と溝の両方が形成される例が示されているが、これに限られるものではない。例えば、図6の眼内レンズ挿入器具の第2実施形態に示すように、眼内レンズの開放速度が比較的緩やか(ゆっくり)である場合には、押出手段40に形成される保持部として溝46のみが形成されるようにしても良い。なお、この場合の溝46の形成位置は、先端44と光学部2とが当接された状態での支持部3の先端(光学部2から最も離れた位置)よりも先端44側であれば良い。このようにすると、より簡単な構成の押出手段40を用いて眼内レンズの開放方向を一方向に安定させることができるようになる。
更に、図7の眼内レンズ挿入器具の第3実施形態に示すように、押出手段40に形成される保持部は凹部45のみであっても良い。この場合にも、光学部2が嚢内で開放されるときに、凹部45に挟みこまれた支持部3の一部が挿入部21内に残されることで、眼内レンズ1の開放方向が一方向に安定されるようになる。
これ以外にも、光学部2が嚢内で開放されるときに後側の支持部3の一部が軸となることで、光学部2の開放方向が一方向に決定される構成を眼内レンズ挿入器具が備えていればよい。
1ピース型の眼内レンズの構成の説明図である。 眼内レンズ挿入器具の外観を示した概略外観図である。 眼内レンズ挿入器具の押出部材の構成の説明図である。 眼内レンズ挿入器具の内部構成を示した断面模式図である。 眼内レンズの開放動作の説明図である。 眼内レンズ挿入器具の第2実施形態の押出部材の説明図である。 眼内レンズ挿入器具の第3実施形態の押出部材の説明図である。
1 眼内レンズ
2 光学部
3 支持部
10 眼内レンズ挿入器具
20 挿入部
21a 先端
30 筒部本体
40 押出部材
45 凹部
46 溝

Claims (2)

  1. 光学部と前記光学部の外縁部から外側に伸びるループ状の支持部とが一体形成された眼内レンズを折り畳んだ状態で眼内に送出するための眼内レンズ挿入器具において、
    先端に向かうに従いその内径が徐々に小さくなる領域を有したテーパ形状を有する通路を持ち,該通路を通過させることによって前記眼内レンズを小さく折り曲げて眼内へと挿入するための挿入部を先端に備える筒部本体と、
    前記挿入部から前記眼内レンズを押し出すために前記筒部本体内部で押出軸方向に進退移動可能に設けられた棒状の押出部材と、
    を備え、
    前記押出部材の先端部には前記眼内レンズを前記挿入部内から押し出す際に前記支持部の一部を保持することにより前記挿入部先端から送出される前記眼内レンズの開放方向を定めるための保持部が形成されており、
    前記保持部は、前記押出部材と前記挿入部の内壁との間に潜り込まれた前記支持部を前記押出部材と前記内壁とにより挟持するために,前記押出部材の先端から基端に向かって前記押出部材の側方の一部を切り欠くように形成された凹部を含み、
    前記凹部は、前記挿入部の前記内壁に沿って前記光学部が折り曲げられた後に、折り曲げられた前記光学部から後側に伸びる前記支持部を,切り欠かれた前記押出部材の側方と前記内壁との間で挟み込むことで、該挟み込まれた支持部を軸とした前記光学部の開放方向を一方向に規定し、
    前記凹部によって規定される前記開放方向は、前記挟み込まれた支持部を軸とすることによって一律に定められ、
    前記挿入部の先端には、前記凹部と前記内壁とによって挟みこまれた支持部を軸として一律に定められる前記開放方向によって前記挿入部の外で開く前記光学部の一方の面に対して,該面と向き合う斜面を持つ切欠が形成されており、該切欠を下向きの状態で前記眼内レンズを送出したときに前記光学部の一方の面が,前記切欠が持つ斜面と向き合うようにして開放される、
    ことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  2. 請求項1の眼内レンズ挿入器具において、前記保持部は前記支持部の一部を挟みこむための溝が形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
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