JP5664127B2 - 緑色顔料着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 - Google Patents
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Description
こうした環境下、近年、緑色画素の高輝度化に関して、例えば、特許文献1及び2には、特定の色相を有する亜鉛フタロシアニン緑色顔料が開示されている。
特許文献3〜5には、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を使用した着色感放射線組成物は、塗膜化するときに画素のカケが発生しやすく、直線性が得られにくいこと、また保管による経時で、カケがさらに増大していく問題点について記載されている。
更に、本発明は、パターンの直線性に優れ、光漏れがなく色純度が高く、高輝度、高コントラストであるカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
更に検討を重ねた結果、上記画素の欠けの、第一の原因としては、以下の理由によって生じる、硬化性成分の量が不十分であることに起因することを見出した。
(1)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料は、他の色の顔料に比べ着色力が弱い。その為、緑色顔料着色樹脂組成物中に含まれる顔料の含有量が、他の色の顔料着色樹脂組成物などに比べて多くなる。
(2)また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料は、分散安定性が低いため、緑色顔料着色樹脂組成物中に含まれる分散剤や分散樹脂が多くなる。
更に、第二の原因としては、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料は、400nm付近以下の波長を遮断することである。この遮断により、緑色顔料着色樹脂組成物に含まれる光重合開始剤が、十分に機能していないことも要因の一つであることを見出した。
本発明者らは、これらの知見を基に、更なる検討を重ねた結果、緑色顔料着色樹脂組成物に橙色色素及び/又は赤色色素を含有することで、上記課題を解決することを見出して、本発明に到達した。
更に、本発明は、パターンの直線性に優れ、光漏れがなく色純度が高く、高輝度、高コントラストであるカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
又、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料、(B)光重合開始系、(C)バインダー樹脂及び(H)溶剤を含有し、更に、(D)橙色色素及び/又は赤色色素を含有する緑色顔料着色樹脂組成物である。
[(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料]
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物では、(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を含有する。
通常の亜鉛フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子又は塩素原子で置換したのがハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料であり、本発明で好ましく使用されるのは臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料である。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニンは、単独で使用してもよいが、臭素化率又は塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニンや、本発明の効果を損なわない範囲で、中心金属が他の金属に置換された臭素化フタロシアニンなどと混合して用いることができる。塩素化率及び臭素化率を変えることや、中心金属を変えることにより顔料としての色調が変わり、再現できる色相のバリエーションが増える。
又、同じ緑色顔料でも、後述するC.I.ピグメントグリーン(P.G.)36や7等のハロゲン化銅フタロシアニンと混合してもよい。
平均一次粒径を上記上限値以下とすることにより、組成物中に異物が発生し難く、消偏性が低く、十分なコントラストと光透過率を有する画素を形成することができ、また下限値以上とすることにより、分散安定性が良好で、十分な耐熱性・耐光性を担保した緑色顔料着色樹脂組成物を得ることができる。
有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個、通常200〜300個程度の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求めた後、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物に含まれる、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料の含有量は、全顔料中で、通常30〜99.95重量%、好ましくは35〜99.92重量%、更に好ましくは38〜99.9重量%である。
また、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、顔料及び染料を含む色素として、前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料の他に、後述の橙色色素及び/又は赤色色素、並びに、必要に応じて黄色色素、その他の色素を適宜含有していてもよい。
上記範囲内であると、色濃度に対して膜厚が適度であり、液晶セル化の際のギャップ制御が容易である。更に、分散安定性が高く、再凝集や増粘などが起き難いため好ましい。
[(B)光重合開始系]
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、光重合開始系を含有する。光重合開始系は、通常、(B1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(B2)重合加速剤、(B3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
チルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサ
ノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アン
スロン誘導体類等も挙げられる。
必要に応じて用いられる(B2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(B3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物において、これらの(B)光重合開始系の含有割合は、全固形分中、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、更に好ましくは0.5〜20重量%の範囲である。上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像液に対する溶解性が良好であるため好ましい。
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。
)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
R96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリ
ル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性が良好で、また膜荒れなどが生じ難いため好ましい。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
[(H)溶剤]
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、(H)溶剤を含有する。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、前述の本発明におけるハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料などの溶剤に対する分散性が良好である点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類(グリコールアルキルエーテルアセテート系溶剤)が好ましい。更に、緑色顔料着色樹脂組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
(H)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は、保存安定性が良好である点で、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
1〜50重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%が特に好ましい。
上記範囲内であると、乾燥速度が適当であるため、スリットノズル先端で色材成分等が析出・固化しにくく、またカラーフィルタ製造工程での減圧乾燥のプロセスのタクト不良・プリベークのピン跡などが生じ難いため好ましい。
また、インクジェット法に用いる場合、高沸点溶剤を用いることが好ましい。これは、ノズルから発せられるインクは、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微小であり、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固するのを防ぐためである。
前記180℃以上の溶剤の含有量は、(H)溶剤全体に対して、好ましくは50重量%以上である。上記範囲内であると、インク液滴から、溶剤が蒸発することを防止する効果が十分であるため好ましい。
上記範囲内であると、緑色顔料着色樹脂組成物が、塗布に適した粘性を有し、良好に塗膜を形成することが可能である点で好ましい。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、(D)橙色色素及び/又は赤色色素を含有する。先ず、(D)橙色色素について説明する。
本発明における(D)橙色色素としては、橙色顔料であってもよく、また橙色染料であってもよいが、着色力が良好な点で橙色顔料であることが好ましい。また橙色顔料としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、公知の材料を用いることが可能であるが、着色力が大きい点からナフトール橙色顔料及びベンズイミダゾロン橙色顔料が好ましく、特に好ましくはナフトール橙色顔料である。
(式(1−I)について)
もよいアルキル基、パーフルオロアルキル基、エーテル基又はアミド基である)を表す。)
上記式(1−I)で表される化合物中、好ましい具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ22、24、38が挙げられる。
(式(1−II)について)
上記式(1−II)で表される化合物中、好ましい具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ36、60、62、72が挙げられる。
これら、橙色顔料の中でも、着色力が強い点で、特に好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38である。
本発明における(D)赤色色素としては、赤色顔料であってもよく、また赤色染料であってもよいが、着色力が良好な点で赤色顔料であることが好ましい。また赤色顔料としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、公知の材料を用いることが可能であるが、コントラストと輝度の点からアントラキノン赤色顔料、ジケトピロロピロール赤色顔料、アゾ赤色顔料、ベンズイミダゾロン赤色顔料が好ましく、特に好ましくはアントラキノン赤色顔料である。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物に含まれる(D)橙色色素の含有量は、全色素中で、通常0.01〜0.39重量%、好ましくは0.03〜0.35重量%、更に好ましくは0.04〜0.30重量%、特に好ましくは0.05〜0.30重量%である。
一方、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物に含まれる(D)赤色色素の含有量は、全色素中で、通常0.01〜1.5重量%、好ましくは0.03〜1.30重量%、更に好ましくは0.04〜1.20重量%、特に好ましくは0.05〜1.0重量%である。
[(E)黄色色素]
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、より良好な緑色の色調を呈するために、(E)黄色色素を含むことが好ましい。
黄色顔料としては、モノアゾ系、ジアゾ系、縮合ジアゾ系、ベンズイミダゾロン系、アゾ系金属錯体、アゾメチン系、ピラゾロン系、キノフタロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、フラバトロン系が挙げられ、中でも透過性及びコントラストに優れる点で、アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系が好ましい。
(黄色顔料の具体例)
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、86、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、125、126、127、127:1、128、129、133、134、136、137、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、及び下記構造式(II)で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体に、他の化合物が挿入されてなる化合物(以下、「式(II)で表されるニッケルアゾ錯体」と称する)が挙げられる。
尚、黄色顔料の平均一次粒径は、前記<ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料>の項に記載の態様と同様である。好ましい態様も同様である。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物に含まれる、黄色色素の全色素中の含有量は、通常0.05〜70重量%、好ましくは0.08〜65重量%、更に好ましくは0.1〜62重量%である。
上記範囲内であると、色調整が良好に行える点で好ましい。
前記した通り、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を用いて画素を形成した場合、画素の欠けの原因は、硬化性成分が少ない上に、開始剤が十分に機能していないことによると考えられる。開始剤が十分機能しない理由は以下の通り推測する。
光重合開始剤は、可視光波長領域の透過性を良好に保つためには、最大吸収波長が380nm以下であることが好ましい。しかしながら、汎用の露光光源である高圧水銀灯はh線、g線をも放射するため、高感度化のために敢て400nmを超える波長領域にも、吸収を有する開始剤が用いられることが多い。
一方、橙色色素及び/又は赤色色素は、400nm付近では透過率が高く、これらを含む組成物中では、光重合開始剤ラジカルが発生しやすくなる。つまり、橙色色素及び/又は赤色色素を組成物中に含むことで光重合開始剤が十分に機能し、硬化性成分が少なかったとしても、形成する画素を十分に硬化でき、得られる画素の欠けが少なくなる。
[(F)分散剤]
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特に変性アクリル系共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体からなり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)であるものが特に好ましい。 より好ましくは100〜140mgKOH/gである。
中でも、特開2009−025813号公報に記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。 アクリル系ブロック共重合体は、(A)顔料を極めて効率よく分散
できる。これは、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
前記アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、アミノ基を有し、アミノ基は、好ましくは−NR41R42(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表わされ、これを含む部分構造として好ましいものは、例えば下記式で表される。
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、またはエチレン基が好ましく、R44はメチル基であるのが好ましい。このような化合物として下記式で表される部分構造が挙げられる。
Aブロックとしては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸塩系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、グリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、低い方が好ましく、通常50mgKOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
本発明における分散剤は、緑色顔料着色樹脂組成物中の顔料全量に対し、好ましくは5〜200重量%、更に好ましくは10〜100重量%程度使用する。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
[分散樹脂]
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物には、後述する(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
とがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、後述する各種(C)バインダー樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0.5mgKOH/g以上が好ましく、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上が最も好ましく、また300mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、(G)重合性モノマーを含有することが好ましい。(G)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
(G)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応によ
り得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、必要に応じて(G)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
また、(G)重合性モノマーの全色材、つまり(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料、(D)青色色素、(E)黄色色素、及びその他の色素の総量に対する比率は、通
常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、更に好ましくは110重量%以下である。
[緑色顔料着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、緑色顔料着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料、(B1)光重合開始剤、(C)バインダー樹脂、(H)溶剤、(D)橙色色素及び/又は赤色色素、並びに必要に応じて、その他の色素及びその他の添加剤と共に混合することで調製できる。
本発明の緑色顔料着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この緑色顔料着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物から形成された画素を備えるものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の緑色顔料着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などに
よる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
尚、下記実施例において「部」は「重量部」を表わす。
[1]樹脂の合成
<合成例1:バインダー樹脂Aの合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
AのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは8000、酸価は101mgKOH/gであった。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0gを500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート114.4g(0.65mol)、メタクリル酸25.9g(0.35mol)、2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル) 4.926g(0.03mol)をプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート96.45gに溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。これにテトラエチルアンモニウムクロライドを0.663g(4×10―3mol)を加え、80℃で攪拌、溶解させ、さらに3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メチルアクリレート15.93g(0.088mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.90gを混合した溶液を1時間かけて滴下した。反応溶液を80℃に保ったまま30時間攪拌し、重量平均分子量20000、酸価90mgKOH/gの樹脂を得た。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂CのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価は80mgKOH/gであった。
[2−1]緑色顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメントグリーン58(DIC社製;以下、「G58」と略す)を37.76重量部、分散剤としてビックケミー社製「BYK−LPN6919」(メタクリル酸系ABブッロク共重合体、アミン価121mgKOH/g、酸価1mgKOH/g以下)を固形分換算で9.48重量部、バインダー樹脂として合成例1のバインダー樹脂Aを固形分換算で12.64重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート240.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
顔料としてE4GN−GT(ランクセス社製;以下、「NiAzo−Y」と略す)を18.94重量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー社製)を固形分換算で4.74重量部、樹脂として合成例1のバインダー樹脂Aを固形分換算で6.32重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液を調製した。
橙色色素としてC.I.ピグメンオレンジ38(以下、「O38」と略す)を9.00重量部、分散剤としてDisperbyk2000(ビックケミー社製)を分散剤固形分換算で3.00重量部、更に合成2で作製したバインダー樹脂Bを固形分換算で3.00重
量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを60.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイント
シェーカーにて6時間分散させて橙色色素分散液を調製した。
赤色色素としてC.I.ピグメンレッド177(以下、「R177」と略す)を9.00重量部、分散剤としてDisperbyk2000を分散剤固形分換算で3.00重量部、更に合成2で作製したバインダー樹脂Bを固形分換算で3.00重量部、溶媒としてプ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを60.00重量部、径0.5mmの
ジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて赤色色素分散液を調製した。
[2−1]〜[2−4]で調製した分散液、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと3−エトキシプロピオン酸エチル、バインダー樹脂として樹脂C、光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、光重合開始系成分としてチバ・ジャパン社製「IRGACURE 907」(2−メチル−1−[4−(
メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)とチバ・ジャパン社製「IRGACURE OXE02」(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)及び界面活性剤としてDIC社製F−475(フッ素系界面活性剤)を、表1に示す割合で混合し、実施例、比較例の着色組成物を調製した。なお、表1中の数値は含有量(重量部)である。
クロムが蒸着されたガラス基板に、着色組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布回転数はポストベーク後、色座標y=0.599となるように調整した。
次に、高圧水銀灯により幅50μm、長さ3mmの直線状マスクパターンを通してサンプルを30mj/cm2で露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を使用し、
現像液温度23℃で0.25MPa圧でスプレー現像した。現像した時間は、あらかじ
め測定した着色組成物の溶解時間の2倍とした。尚、溶解時間の測定については後述する。基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、230℃
のオーブンにて30分間ポストベークを行った。乾燥膜厚は、橙色色素を含有する着色組成物を用いた場合は表2に、赤色色素を含有する着色組成物を用いた場合は表3に示す。
[3]と同様に、ガラス基板AN100(旭硝子社製)上に着色組成物を塗布、乾燥、露光、現像、ポストベーク後、分光光度計U−3310(日立製作所製)によりC光源での色度、輝度を測定した。
[5]着色組成物の溶解時間の測定
[3]と同様に、ガラス基板上に着色組成物を塗布・乾燥し、露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、現像液温度23℃、圧力0.25MPaでスプレー現像したときに、未露光部の着色組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間を、その着色組成物の溶解時間とした。
[3]記載の方法で40秒間現像し、得られた50μm線幅の直線パターン10本を、光学顕微鏡を用い10倍で観察し、線の縁の窪みをかけの数として数えた。再現性を確認するため、これを2回繰り返し、その平均数を、橙色色素を含有する着色組成物を用いた場合は表2に、赤色色素を含有する着色組成物を用いた場合は表3に示す。
これより、本発明の緑色顔料着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタは、光漏れがなく色純度が高く、高輝度、高コントラストである。
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層
Claims (13)
- (A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料、(B)光重合開始系、(C)バインダー樹脂及び(H)溶剤を含有し、
更に、(D)橙色色素及び/又は赤色色素を含有し、
更に、(F)分散剤及び(G)重合性モノマーを含有し、
前記(F)分散剤が、親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体からなり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)のものであることを特徴とする、緑色顔料着色樹脂組成物。 - 更に、(E)黄色色素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記(D)橙色色素が、ナフトール橙色顔料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記ナフトール橙色顔料が、C.I.ピグメントオレンジ38であることを特徴とする、請求項3に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記(D)赤色色素が、アントラキノン赤色顔料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記アントラキノン赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177であることを特徴とする、請求項5に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料が、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 前記(D)橙色色素を全色素中で、0.01重量%以上、0.39重量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 前記(D)赤色色素を全色素中で、0.01重量%以上、1.5重量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 前記(H)溶剤として、アルキルエーテルエステル系溶剤を含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の緑色顔料着色樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の緑色顔料着色樹脂組成物を用いて形成された画素を具備することを特徴とする、カラーフィルタ。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする、液晶表示装置。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする、有機EL表示装置。
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