JP2010175878A - 着色感光性組成物、カラーフィルタ、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、(B)黄色顔料、(C)重合性化合物、(D)バインダー樹脂、および(E)光重合開始剤を含み、該(C)重合性化合物がヒドロキシ基を有し、その二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物である着色感光性組成物。
【選択図】なし
Description
TV用途では、従来のモニター用途に比べて、より高度な画質、すなわち、コントラスト、及び色純度の向上が求められている。コントラスト向上のために、カラーフィルタの形成に用いる着色感光性組成物に使用する着色剤(有機顔料等)の粒子サイズが、より微小なものが求められている。また、色純度向上のため、該着色感光性組成物の固形分中に占める着色剤(有機顔料)の含有率としては、より高いものが求められている。
しかしながら、これらの技術では露光工程、現像工程での生産性が劣り、十分な生産性を確保できず、従ってカラーフィルタの価格を低減できないものであった。
上記した現像ラチチュードを改良するため、ヒドロキシ基を導入した重合性化合物も提案(特許文献6参照)されているが、未だ不十分であった。
なお、銅以外の中心金属を有するフタロシアニンの一種であるハロゲン化亜鉛フタロシアニンについては、非特許文献1に詳しい。
即ち、本発明の目的は、着色パターンを形成するに際して、高顔料濃度であっても、現像速度が速く、現像ラチチュードが大きく、さらに形成された着色パターンの硬化性に優れ、現像時のパターン欠けが抑制された、カラーフィルタの着色パターン形成に有用な着色感光性組成物を得ることである。
また、本発明のさらなる目的は、前記着色感光性組成物を用いることで、色純度が高く、コントラストが高く、色特性が良好で、しかも生産性の高いカラーフィルタを得ること、さらには、このカラーフィルタを用いて、輝度の高い鮮明な画像の液晶表示装置を得ることを目的とする。
<1> (A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、(B)黄色顔料、(C)重合性化合物、(D)バインダー樹脂、および(E)光重合開始剤を含み、該(C)重合性化合物が、(C−1)ヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物を含む着色感光性組成物。
<8> カラーフィルタ用である<1>から<7>のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
<10> <9>に記載のカラーフィルタを具備してなる液晶表示装置。
さらに、前記着色感光性組成物を用いることで、色純度が高く、コントラストが高く、色特性が良好で、しかも生産性の高いカラーフィルタを得ることができ、このカラーフィルタを用いて、輝度の高い鮮明な画像の液晶表示装置を得ることができる。
本発明の着色感光性組成物は、(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン、(B)黄色顔料、(C−1)分子内にヒドロキシ基と特定量の二重結合とを有する重合性化合物、(D)バインダー樹脂、および(E)光重合開始剤を含むものである。
以下、本発明の着色感光性組成物を構成する各成分について詳述する。
一般にハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、フタロシアニン環中に16個の水素原子を有しているため、これらの水素原子を、最大16個まで臭素原子及び/又は塩素原子で置換することができる。これらハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。置換基数を一定とした場合には、臭素原子>塩素原子の順に緑色が濃くなる。これら水素原子を、臭素原子と、例えば塩素原子とで置換すると、臭素原子数が0〜16個、塩素原子数が0〜16個、水素原子数が0〜16個の範囲で、理論上では合計136種類の置換体を製造できる。ただし、このとき、16個のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。ハロゲン原子の置換数としては、輝度が高いグリーンの色を得る観点から8以上16以下であることが好ましく、より好ましくは、12以上16以下の範囲である。
本発明では、一般式(a)のX21〜X36のうち少なくとも8個以上が、塩素原子、または臭素原子であるハロゲン化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
これらの中で、プロセスが簡単な特開2004−70342開示のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が、コストの観点で好ましい。また、安定性の点では、他の添加剤や、後工程の組み方にもよるが、特開2008−19383に開示の結晶変換したハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が好ましい。また特に、分散性を向上には、特開2007−320986に開示の樹脂被覆したハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が好ましい態様である。
黄色顔料の例としては、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、ベンズイミダゾロン系黄色顔料、ニッケルアゾ系黄色顔料などの黄色顔料の他に、ジケトピロロピロール系橙色顔料、ぺリノン系橙色顔料などの橙色顔料も必要によって使用可能である。
C.I.Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、などである。
特にC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139を用いると、透過率が高く、コントラストが高いので好ましい。
平均一次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
上記質量比がこの範囲であれば、光透過率が大きく、また色純度を高くすることができる。
本発明の着色感光性組成物の調整に当たっては、予め(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、(B)黄色顔料、を一緒にあるいは別個に分散して、顔料分散組成物としておくことが好ましい態様である。
顔料分散組成物は、前記顔料と溶剤とを分散するが、この際必要によって分散剤、樹脂等を添加して用いる。さらに顔料誘導体など、必要に応じて更に他の成分を用いて構成することができる。
本発明の顔料分散組成物の調製態様は、特に制限されないが、例えば、顔料と顔料分散剤と溶剤とを、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
顔料の顔料分散組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
顔料分散組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有する。この分散剤の含有により、顔料の分散性を向上させることができる。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
顔料分散組成物は、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。分散剤と親和性のある部分、あるいは極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として着色感光性組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
顔料分散組成物における溶剤としては、例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどの溶剤を挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物は、(A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、(B)黄色顔料とを含む顔料分散組成物に、(C)重合性化合物、(D)バインダー樹脂、および(E)光重合開始剤を含み、該(C)重合性化合物が、(C−1)ヒドロキシ基を有し、その二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物を含むことが好ましい態様である。
本発明の着色感光性組成物は、(C−1)分子内にヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下である重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」ともいう。)を含有する。
本発明に用いることができる(C−1)特定重合性化合物は、分子内に1個のヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下である。
特定重合性化合物を有する着色感光性組成物を用いることにより、形成された着色感光性組成物層を露光、現像する場合、従来観察される線幅の太りやパターン形状の悪化が観測されることなく、線幅とパターン形状の両立が可能となる。更に、未露光部が現像にて抜ける早さ(ブレーク時間)も早くなる効果も有する。
本発明における多官能モノマーが有する前記ヒドロキシ基の分子内の結合位置は特に限定されない。
ここで、本発明における「二重結合密度(meq/g)」とは、多官能モノマー(1g)当たりの二重結合のミリ当量数(meq)をいう。例えば、例示化合物A−1については、分子量が298.29で二重結合が3000meqであることから、二重結合密度は10.1(3000(meq)/298.29(g))となる。
本発明における特定重合性化合物を3官能以上とすることにより、パターン形成性が優れ、パターンの欠け、剥れが起こりにくい傾向となり好ましい。
特に、本発明の着色感光性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に使用する場合には前記含有量の範囲において5質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、7質量%以上40質量%以下の範囲であることがより好ましく、10質量%以上35質量%以下の範囲であることが更に好ましい。
前記異なる官能数・異なる重合性基を有する重合性化合物としては、本発明における特定重合性化合物以外の重合性化合物が挙げられる。
異なる官能数・異なる重合性基を有するその他の重合性化合物の好適な例として、同一分子内に5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーが好適に使用される。同一分子内に5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートや 共栄社化学(株)製のUA−306H、UA−306T、UA−306I等のウレタンアクリレートが挙げられ、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。これらのなかで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、溶剤耐性や、ITOスパッタ適性の観点で好ましい。
本発明の着色感光性組成物は、(D)バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては
溶剤に可溶な高分子化合物なら、いずれでも使用できるが、好ましいバインダー樹脂としては、フォトリソ法によるアルカリ現像性を考えるとアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
本発明の着色感光性組成物は、(E)光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許第4318791号、欧州特許公開EP88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許第4199420号明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、仏国特許第2456741明細書に記載の(チオ)キサントン類又はアクリジン類化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン類又はロフィンダイマー類等の化合物、特開平8−015521号公報等に記載のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
前記ケタール系の光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
前記アクリジン類系の光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
前記ビイミダゾール系の光重合開始剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2’−ベンゾチアゾリルジサルファイド等を好適に挙げることができる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
特に一般式(I)で表される化合物を用いると表面の荒れを抑制して好適な画素を形成する観点で最も好ましい。
これらの芳香族基、又は脂肪族基は置換基を有していてもよいし、基の途中に炭化水素以外の構造を有していてもよい。
脂肪族基としては、炭素数1〜10の脂肪族基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなアルキル基、アルケニル基のような不飽和炭化水素基等の脂肪族炭化水素基の他、炭化水素以外の異種原子を含む基も挙げられる。
さらに、一般式(I)において、R2〜R11が水素原子であり、R1がメチル基、R12がエチル基、R13がメチル基、及びR14がメチル基である下記構造で表される化合物は、露光によって効率よくラジカルを発生させることができる。
着色感光性組成物中における光重合開始剤の含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜15.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10.0質量%である。光重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
本発明の着色感光性組成物は、一般に上記成分と共に溶剤を用いて好適に調製することができる。
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等が挙げられる。
溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の着色感光性組成物には、必要に応じて、フッ素系有機化合物、熱重合防止剤、着色剤、光重合開始剤、その他充填剤、及びアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に流動性)を改善でき、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。すなわち、基板と塗布液との界面張力を低下させて基板への濡れ性が改善され、基板への塗布性が向上するので、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
フッ素系有機化合物の添加量は、顔料分散組成物または着色感光性組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
本発明の着色感光性組成物は、形成された塗布膜の強度を上げるために、熱重合成分として、エポキシ環を有する化合物を用いることが好ましい。エポキシ環を有する化合物を使用することによって、溶剤耐性が向上したり、ITOスパッタ適性が向上したりして好ましい。
例えば、ビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上東都化成製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上ナガセ化成製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上ダイセル化学製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。また、Ebecryl 3700、3701、600(以上ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
また、1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
具体的な好ましい化合物としては、エポトートYD−115、118T、127、YDF−170、YDPN−638、YDPN−701、プラクセルGL−61、GL−62、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニル、セロキサイド2021、2081、エポリードGT−302、GT−403、EHPE−3150などが挙げられる。
本発明の着色感光性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられ、前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物には、塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を用いて構成することが好ましく、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。中でも、ノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファック(登録商標)シリーズ、3M社製のフロラード(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
本発明の着色感光性組成物には、さらに熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
本発明のカラーフィルタは、既述の本発明の着色感光性組成物を用いてガラスなどの基板上に着色された膜(着色パターン)を形成することにより作製されるものであり、例えば、本発明の着色感光性組成物を、基板に直接又は他の層を介して付与(好ましくは、回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布)して感光性膜を形成し、形成された感光性膜に、所定のマスクパターンを介して露光し、露光後に未硬化部を現像液で現像除去することにより各色(例えば3色あるいは4色)の着色パターン(例えば着色画素)を形成することによって、最も好適にカラーフィルタを作製することができる。
これにより、液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質でかつ低コストに作製することができる。
この際、露光に用いる放射線としては、特にg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
現像液としては、未硬化部における着色感光性組成物の膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
なお、アルカリ性水溶液を現像液として使用した場合には、一般に現像後に水で洗浄(リンス)が行なわれる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱であり、通常約200℃〜250℃の加熱(ハードベーク)を行なう。このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行なうことができる。
基板上に他の層を介して着色感光性組成物を付与する場合の、他の層としては、ガスバリヤー層、耐溶剤性層、などが挙げられる。
フタロジニトリル、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。
ハロゲン化は、塩化スルフリル 3.1部、無水塩化アルミニウム 3.7部、塩化ナトリウム 0.46部、亜鉛フタロシアニン 1部を40℃で混合し、臭素 2.2部を滴下して行った。80℃で15時間反応し、その後、反応混合物を水に投入し、部分臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーを濾過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、2.6部の精製された部分臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。
得られた部分臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、質量分析によるハロゲン含有量分析から、平均組成はZnPcBr10Cl4H2で(Pc;フタロシアニン)、1分子中に平均10個の臭素を含有するものであった。
なお、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM−2010)で測定した一次粒径の平均値は0.065μmであった。
n−オクタン酸6.4g、ε−カプロラクトン200g、チタン(IV)テトラブトキシド5gを混合し、160℃で8時間加熱した後、室温まで冷却しポリエステル樹脂(i−1)を得た。
スキームを以下に示す。
ポリエチレンイミン(SP−018、数平均分子量1,800、日本触媒製) 10g及びポリエステル樹脂(i−1) 100gを混合し、120℃で3時間加熱して、中間体(J−1B)を得た。その後、65℃まで放冷し、無水コハク酸 3.8gを含有するプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下、PGMEAとよぶ)200gをゆっくり添加し2時間攪拌した。その後、PGMEAを添加し、樹脂(J−1)のPGMEA10質量%溶液を得た。樹脂(J−1)は、ポリエステル(i−1)由来の側鎖と無水コハク酸由来のカルボキシ基を有するものである。
合成スキームを以下に示す。
直径0.5mmのジルコニアビーズを仕込んだ五十嵐機械製造社製高速分散機「TSC−6H」に、前記で得た部分臭素化亜鉛フタロシアニン顔料(PG58と称する) 14.9部、ビックケミー社製アクリル系分散剤「BYK−2001」 7.2部、PGMEA 78部を仕込み、毎分2000回転で8時間攪拌して、部分臭素化したハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(PG58)の分散液を調製した。
顔料としてC.I.ピグメントイエロー150(PY150)を40部(平均粒子径60nm)、前記樹脂(J−1)のPGMEA10質量%溶液 223部(固形分換算で22.3部)混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。
顔料としてC.I.ピグメントイエロー138(PY138)を40部(平均粒子径60nm)、前記樹脂(J−1)のPGMEA10質量%溶液 223部(固形分換算22.3部)混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。
顔料としてC.I.ピグメントグリーン36(PG36)を40部(平均粒子径60nm)、樹脂(i−1) 200部(固形分換算20部)からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。顔料分散液について、顔料の平均1次粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製)を用いて、測定したところ、25nmであった。
下記組成1で着色感光性組成物を調製した。
(組成1)
・緑色顔料PG58の分散液 26.1部
・黄色顔料PY150の分散物 14.3部
・バインダー樹脂(ベンジルメタクリレート−アクリル酸(=共重合モル比 6:4)共重合体、重量平均分子量 9000) 2.8部
・重合性化合物(日本化薬社製 商品名:KAYARAD DPHA、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの7:3(質量比)混合物 3.58部
・光重合開始剤(下記化合物) 1.02部
・エポキシ環を有する化合物(2,2−ビス(ヒドロキシメチル1−ブタノールの
1,2−エポキシ−4−(2−オキソラニル)シクロヘキサン付加物、ダイセル
化学社製 EHPE−3150) 0.480部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0018部
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤、DIC社製商品名メガファックF781−F)
0.0334部
・シランカップリング剤(3−メタクリロイロキシ−トリメトキシシリルプロパン)
0.320部
・溶剤(PGMEA) 51.34部
なお、表1で顔料分散液の欄の○印は、用いた顔料分散液を示す。また、重合性化合物については、その添加量は「質量部」で表1に示し、用いた特定重合性化合物の二重結合密度は「meq/g」の単位で表1中に併記した。重合性化合物のDPHAは比較例1の組成1で示した日本化薬社製 商品名:KAYARAD DPHAであり、本発明の特定重合性化合物に包含されない他の重合性化合物である。
得られた着色感光性組成物を、ガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)に塗布した。具体的には、ポストベーク後の着色組成物層の膜厚が約2.4μmとなるようにスリットノズルと基板との間隔、吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
次いで、真空乾燥装置にて真空度が66Paに到達するまで乾燥の後、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、プロキシミティ露光機(日立ハイテク社製、LE5565A)を用いて、60mJ/cm2で露光した。
その後、現像装置(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー圧を0.2MPaに設定して、現像時間を10〜110秒の間で10秒刻みに現像し、純水で洗浄した。
現像時間10秒毎の基板を光学顕微鏡で観察し、現像の状況を評価し、表2にまとめて示した。表2で、現像時間下限とは、使用可能な現像時間の下限秒数のことであり、この時間より短い時間では非画素部分が除去できていない。現像時間上限とは、使用可能な現像時間の上限秒数のことであり、この時間より長い時間では、画素に欠けや脱落が起きる。また、プロセス(タクトタイム)の制約から80秒以下が好ましい。また現像ラチチュードは、現像時間上限と現像時間下限との秒数の差を示している。
光学顕微鏡を用いて反射200倍で画素パターンのエッジ部分を写真にとり評価した。5cm×5cmの写真内で画素エッジ部分を観察し、画素エッジ部分が直線的に見えるものを「良」、画素エッジ部分の一部(全体の長さの1/3以内)が直線的ではないがギザギザになっていないものを「やや良」、画素エッジ部分が全体の長さの1/3を超えて直線的でないもの、または、一部(全体の長さの1/4以下)がギザギザになっているものを「やや悪い」、画素エッジ部分が全体の長さの1/4を超えてギザギザになっているものを「悪い」とした。
画素パターンのエッジ部分は、直線的が好ましいとされる。該画素パターンのエッジ部分が、残膜、アンダーカット、およびその他に起因してギザギザになると、ブラックマトリクスとの重なりを大きくする必要があり、重なりを大きくするとブラックマトリクスの幅を広げるので開口率を下げてしまう。またブラックマトリクスとの重なりを大きくしない場合には、ブラックマトリクスのエッジ付近で、着色層が無く白く抜ける部分ができる恐れがある。さらに、画素パターンのエッジ部分がギザギザの場合には、その上に形成された透明電極が断線して抵抗値が高くなるなどの問題がある。
ポストベーク後の基板を、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100)により測定し、C光源視野2度の結果として計算した。
PG58とPY150とを用いた実施例1〜5のY値(輝度)は、いずれも60.5であり、PG36とPY150とを用いた比較例5、および6のY値(輝度)は、58.5と低いものであった。
○:現像ラチチュードが広く(50秒以上)、かつ、パターンの直線性が「やや良」以上で、かつ、Y値(輝度)が高いものを「○」とした。
×:上記項目の何れか一つ以上が該当しないものを「×」とした。
本発明の範囲外である緑色顔料としてPG36を用いた比較例5、6はY値(輝度)が低く、実施例1と緑色顔料種だけが異なる比較例5は現像でのカケが早めに生じ、現像ラチチュードは狭くなった。本発明の着色感光性組成物はPG58と組み合わせると効果を発揮し、現像ラチチュードが広くなるが、PG36との相互作用が不良で着色層での相分離などにより十分な機能を示すことが、できないため現像ラチチュードが狭くなったものと推定される。
Claims (10)
- (A)ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、(B)黄色顔料、(C)重合性化合物、(D)バインダー樹脂、および(E)光重合開始剤を含み、該(C)重合性化合物が、(C−1)ヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物を含む着色感光性組成物。
- 前記(C−1)ヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物が、分子内に3個から8個の重合性基を有する重合性化合物である請求項1に記載の着色感光性組成物。
- 前記(C−1)ヒドロキシ基を有し、且つ二重結合密度が9.6meq/g以上11.5meq/g以下の範囲である重合性化合物の含有量が、着色感光性組成物に含まれる全重合性化合物の含有量の40質量%以上である請求項1または請求項2に記載の着色感光性組成物。
- 前記(B)黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、及び、C.I.ピグメントイエロー139から選択される少なくとも1種を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
- 前記(E)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
一般式(I)中、R1〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、芳香族基、及び脂肪族基のいずれかである。但し前記芳香族基、及び脂肪族基は、分岐構造、及び脂環式構造から選ばれる構造を含んでいても良く、エーテル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、チオエーテル結合、不飽和結合から選ばれる1種以上を介していても良く、基の末端にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、芳香族基から選ばれる1種以上を含んでいても良い。 - さらに、(F)エポキシ環を有する化合物を含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
- カラーフィルタ用である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
- 基材上に、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の着色感光性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
- 請求項9に記載のカラーフィルタを具備してなる液晶表示装置。
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