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JP5648197B2 - 電流分流器 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定電流の電気計測を行う計測器に対して並列に接続されて、被測定電流を分流する電流分流器に関する。
従来、電力機器、情報通信機器、制御機器、計測機器等の状態監視や計測などに用いられる例えばアナログ電流計のような計測器のレンジを拡大するために、分流器が用いられている。この分流器は、計測器に並列接続して、被測定電流の一部を分流比(電流計の内部抵抗と並列抵抗との比)によって分流し、分流比を基に被測定電流を計測するものである。
従来の電流計測の基本原理を図10に示す。図において、rは電流計の内部抵抗であり、Rは分流器の抵抗である。
この図から分流器は電流計に並列に接続され、倍率N(被測定電流Iを、電流計を流れる電流Imで除した値、以下「分流比」とも言う)は、電流計の内部抵抗rを分流器の抵抗Rで除した値で決定される。
Figure 0005648197
上式から、電流計の内部抵抗より小さい抵抗(r≫R)を持つ分流器を接続することによって、倍率または分流比を極めて大きくすることができ、被測定電流が大電流である場合であっても、計測器を流れる電流を適切な範囲として、測定を行うことができるようになる。
しかしながら、従来の分流器において抵抗として使用される導電性金属抵抗体(例えば、抵抗温度係数の小さい、マンガニン、ニクロム等)では抵抗値の限界があるため、倍率を大きくするのには限界がある。
そのため、従来の分流器において、例えば、低抵抗の板状の導電材料を並列に接続して分流するものが広く使用されている(例えば、非特許文献1)。
また、分流器でないものの、分流器的な考えを利用した漏電検出器が特許文献1で提案されている。この特許文献1で示される漏電検出器では、電力線を平板状として、これの側縁に張出状の分流導線を付設するか或いは、これの平面部に空隙を設けて一部を分流導線となしている。さらには、特許文献1では、この分流導線に抵抗調整手段を設け、分流比と電力損失と放熱比の三つを等しくなるようにして、かつ分流導線の絶対値の正確性を必要とするものではないと記載している。このため、電力線および分流線の抵抗調整手段でそれらを削除する例を挙げている。
特開平9−171049 (第4頁、図1から図5)
横河メータ&インスツルメント株式会社 分流器 形式2217(5000A)Web.カタログ、インターネット<URL: http://www.yokogawa.com/jp-mcc/gmi/meter/gmi-acc-001-jp.htm>
しかしながら、非特許文献1のように汎用されている分流器は、電流計等の計測器に対して並列に接続されるための2端子を持つのみである。そして、低抵抗の板状の導電材料あるいは線状の低抵抗を並列に複数接続して並列抵抗値を計測器の内部抵抗より小さくしてあるため、接続するための接触抵抗を考慮して接触面積を大きく、さらに組み立てのときの押し付け圧力も考慮しなければならない。また、数kA(キロアンペアー)の分流で計測器と併用して用いられている。さらに、形状が大きく小型化が求められ、かつ分流比の拡大、小型化、低価格ならびに生産性の向上が要求されている。
また、特許文献1で示されるものは、分流器ではなく、対称3相交流電源における線電流の一部を分流するもので計測器を接続できないため、従来の分流器とは異なるものである。さらに、一例に挙げられているように削除することで抵抗の調整を行っているため、正確性ならびに生産性に乏しい。
近年において、パルス性大電流の計測が電力機器の劣化診断において重要な課題となっているため、パルス性大電流分流器の開発が不可欠となっている。しかし、既存の分流器を併用してのパルス性大電流の計測は周波数応答特性が低いためパルス性の測定は困難である。
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、簡単な構成で小型軽量化を図ることができる電流分流器を提供することをその目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、被測定電流の分流を行う電流分流器であって、
電気計測を行う計測器の入力に対して並列に接続されるものであり、平板状または立体状をなした1種の導電性部材からなり、その導電性部材によって、被測定電流を流入および流出するための2つの入力端子と、内部抵抗または検出プローブあるいはその両方を持つ計測器の入力端子に接続されるための2つの出力端子と、を有する4端子網から成る回路が構成されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電流分流器において、前記4端子網から成る回路は、節となる接続点が無いことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電流分流器において、前記回路は、2つの入力端子間を最短経路で延びる第1ブロック部と、第1ブロック部から各出力端子までそれぞれ延びる2つの第2ブロック部と、を少なくとも有していることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項3記載の電流分流器において、2つの第2ブロック部の間に渡って第3ブロック部が形成され、第3ブロック部によって、第1ブロック部と2つの第2ブロック部で囲まれる領域に少なくとも1つの空間が形成されることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の電流分流器において、前記第3ブロック部は複数形成され、第1ブロック部と2つの第2ブロック部で囲まれる領域に少なくとも2つの空間が形成されることを特徴とする。
この平板状または立体状をなした導電性部材の分流器は、従来のように計測器に並列に接続される2端子のみを持つ分流器と異なり、4端子網を構成しているため、計測器への取付が容易で、且つ軽量・小型化することができる。そして、分流比を極めて高くすることができ、応答性も高く、しかも製作が容易である。よって、大電流の被測定電流も測定することができるようになる。さらに、出力端子から内部回路をみたインピーダンスまたは抵抗が極めて低いため、被測定電流の電圧を計測器(例えば、オシロスコープ、電圧計など)で測定する場合、これらの計測器の入力インピーダンスまたは抵抗が内部回路のインピーダンスと比較して極めて高い値となるため、内部回路に影響を及ぼすことが少なく測定できる。
(a)、(b)は本発明による電流分流器を表す鳥瞰的概略図であり、(c)はその等価回路を示す。 実施測定回路図である。 本発明による電流分流器の特性図であり、その一部の長さと分流比の逆数(分流された電流を被測定電流で除した値)との関係を表す図である。 本発明の他の実施形態を表す平面図である。 本発明のさらに別の実施形態を表す平面図である。 本発明のさらに別の実施形態を表す図である。 本発明の電流分流器を用いた応用例を表す説明図である。 本発明の電流分流器を用いた別の応用例を表す説明図である。 本発明の電流分流器を用いたさらに別の応用例を表す説明図である。 分流器を用いた電流測定の基本原理を表す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明による電流分流器の一例の概観図と基本等価回路である。本発明の電流分流器10は、平板状または立体状をなした導電性部材から構成され、被測定電流を流入および流出するための2つの入力端子10A、10Aと、分流されて内部抵抗を持つ計測器の両端に接続される2つの出力端子10B、10Bと、を有する4端子網から成る回路が構成される。
これらの導電性部材は、金属板または金属ブロックを所定の形に切断または切削することで製造することができ、または、後述のようにエッチングによって製造することもできる。
図1において、電流分流器10は、2つの入力端子10A、10Aの間を最短経路で延設された第1ブロックB1と、第1ブロックB1に対して直交して、それぞれ出力端子10B、10Bへと延設された第2ブロックB2と、第1ブロックB1の延設方向に平行且つ第2ブロックB2の延設方向に直交する第3ブロックB3と、を備えており、この例では、第3ブロックB3は2つ形成されている。但し、後述のように、第3ブロックB3の数は任意であり、また省略することも可能である。
第1ブロックB1、第2ブロックB2、第3ブロックB3は、平板状であり互いにそれぞれ節となるような接続点が無く、連続して繋がっている。そして、これらのブロックの間には空間S1、S2が形成されている。
図1(b)に示すように、被測定電流が流入及び流出する部分となる第1ブロックB1は長さa、幅b、厚みd1となっている。また、被測定電流が分流されて流れる部分となる第2ブロックB2は、幅c、厚みd2となっており、第3ブロックB3は幅c、厚みd2となっている。厚みd1と厚みd2は同じであってもよいが、異なっていてもよく、好ましくは、d1>d2である。
また、図において、L1、L2、L3、L4は、被測定電流が分流されて流れる第2ブロックB2、第3ブロックB3をそれぞれ抵抗として考えたときの各要素の長さであり、L4は第2ブロックB2の全長となる。
図1(c)は、電流分流器の等価回路を上記抵抗で表したものであり、空間S1は、R3,R4,R6,R5で囲まれた部分となり、空間S2はR6,R7,R9,R8で包まれた部分となる。被測定電流は、例えば抵抗R1側の入力端子10Aから流入すれば抵抗R2側の入力端子10Aから流出し、主として抵抗R1,R3,R2で表される第1ブロックB1の部分を流れる。抵抗R4,R5,R6,R7,R8,R9は、被測定電流の分流分が流れる第2ブロックB2、第3ブロックB3の各要素の抵抗である。また、抵抗R10およびR11は、計測器に接続する端子部分の抵抗となる。また、抵抗R0は、電圧計、電流計といった計測器を接続した場合の計測器の内部抵抗などを表す負荷である。
入力端子10A、10Aと被測定電流が流れる導線、出力端子10B、10Bと計測器の端子とのそれぞれの接続に関しては、公知の任意の方法により行うことができる。
このように平板状または立体状をなした導電性部材から構成される電流分流器においては、平板状または立体状をなした導電性部材の抵抗を、抵抗R0に比較して充分に小さくすることができるため、分流比を1/10-6程度のオーダの非常に大きい値にすることができるようになる。この分流比は、計測器の抵抗R0が変化しても、同程度の分流比を確保することが可能である。
そして、4端子網を構成しているため、計測器への取付が容易で、且つ軽量・小型化することができる。
計測器が電流計である場合には、計測された電流に分流比を掛けることで、被測定電流を計測することができる。また、計測された電流に内部抵抗を掛けることで、抵抗R3の両端部分間の電圧を計測することができる。
この電流分流器は、直流、交流、急峻波のようなインパルスなどの被測定電流に対して適用可能であり、その周波数応答特性も高いものとすることができる。
図4は、他の実施形態を表している。図4(a)の例では、第3ブロックB3が1つとなっており、よって、空間S1のみとなっている。また、図4(b)の例では、第3ブロックB3に対応する部分を省略している。図4の例において、第2ブロックB2の延設方向長さL2は、性能に影響しないが、L1の大きさを大きくすると、分流比がより大きくなる傾向となる。このような構成であっても、同様に作用させることができ、4端子網を構成しているため、計測器への取付が容易で、且つ軽量・小型化することができる。
図5の例は、第1ブロックB1の部分と、第2ブロックB2及び必要に応じて設ける第3ブロックB3との素材を異なる材料から構成した例である。材料の組み合わせとしては、例えば、銅とアルミニウム、といった組み合わせとし、これらを圧接接合することにより、2つのブロックの界面を連続的に繋ぐことができる。2つの材料を使用する場合、その界面を材質の変化なく、連続的に繋ぐことが重要である。例えば、溶融接合を行うと、接合面に脆い金属化合物の金属膜が生成され、機械的強度の劣化、抵抗の変動等の影響を起こす可能性がある。よって、固相接合法が適している。
好ましくは、第1ブロックB1の材料の導電率が第2ブロックB2(及び第3ブロックB3)の材料の導電率よりも高くなるようにすると、分流比を一層大きくすることができる。または、第1ブロックB1の材料の導電率が第2ブロックB2(及び第3ブロックB3)の材料の導電率よりも低くなるようにして、分流比を調整するようにしてもよい。
また、本発明の電流分流器の平板状または立体状をなした導電性部材は、エッチングを用いて基板上に形成された金属膜で構成することも可能である。具体的には、金属膜が形成された基板に対してフォトレジストを塗装し、所望のパターンの焼き付け・現像を行って、パターン以外の部分のフォトレジストを洗い流し、次いで、エッチングを行ってから、残ったフォトレジスト膜を除去して、所望の平板形状を基板上に形成する。これによって、基板上に電流分流器を形成することができるため、応用範囲が広がることとなる。
エッチングの他、蒸着などによって第1ブロック、第2ブロック、第3ブロックを形成することも可能であり、蒸着時間を調整することで、第1ブロックと、第2ブロック及び必要に応じて設ける第3ブロックB3の厚みを変えることも可能である。
また、本発明の電流分流器は、平板状をなした導電性部材から構成して、図6に示すように、これを丸めることにより、小型化することも可能である。出力端子10B、10B間の距離を大きくとることができれば、その間の電圧降下を大きくとることができて、その間の電圧測定が容易となる。
また、以上の例では、基本的に平板状をなした導電性部材から回路を構成した平板型電流分流器としていたが、平板状の第1ブロックB1の平板面に対して平板状の第2ブロックB2が直交する方向に延設されていてもよく、第2ブロックB2の平板面に対して任意の形状の第3ブロックB3が直交する方向に延設されていてもよく、このように立体状となった導電性部材から4端子網回路を構成してもよい。
さらに、本発明の電流分流器は、様々な応用が可能である。
図7は、その一つの応用例を示す。図7(a)に示した例は、計測器が、発光素子22と受光素子24とを有するフォトカプラ20を含むようにした例である。発光ダイオード等の発光素子22を前記電流分流器10の出力端子10B,10Bに接続する。発光素子22からの光をフォトトランジスタ等の受光素子24で受光し、その電圧を電圧計26で測定することで、またはA/D変換してコンピュータで取り込むことで、被測定電流の強度を測定することができる。図7(b)に示すように、発光素子22と受光素子24とを分離し、それらの間を光ファイバ28で結ぶことにより、遠隔での被測定電流の測定も可能となる。
分流比が大きいため、被測定電流が大電流であっても、発光素子を破壊しない程度の分流電流で発光素子を動作させることが可能になる。尚、分流比が大きすぎる場合には、図7(c)に示すように発光素子22と電流分流器10との間に増幅器30を配設することも可能である。
または、図8に示すように、計測器として、送信機40と、送信アンテナ42と、受信アンテナ44と、受信機46とを含み、送信機40で、分流電流の電圧を電圧/周波数変換をし、または、送信機40で、分流電流の電圧によって変調を行って、それを送信アンテナ42から電波で送信し、これを受信アンテナ44で受信して、受信機46で処理することにより、遠隔での被測定電流の測定を行うことも可能である。
または、図9に示すように、三相交流電流に対して、それぞれの電力線に本発明の分流電流器を接続することができ、各電力線からの分流電流をデジタル計測器50で計測した後、論理回路52に入力して、それぞれの電流の加算及び/又は比較をすることで、三相交流電流のA、B、C相のうちのいずれかの電力線に漏電が発生していることを検出することができる。これによって、漏電検出機能を持たせることができ、小型で簡単に構成可能な漏電検出器を実現することができる。
図1で示した電流分流器に対して図2に示した実験回路を用いて、以下の実験を行った。
各寸法はa=50mm, b=20mm, c=5mm, L3=20mm, L4=80mmとし, L1を5mm〜20mm、 L2を5mm〜50mmの範囲内で5mmごとに変化させた26種類の電流分流器を作成した。
電源Eは市販のアルカリ乾電池(LR20/1.5V)を用いて電源電圧を1.5, 3.0, 4.5Vとし測定を行った。電流測定にはガルバノメータ(横河電機 TYPE 2708 0.9μA/div.)を、実験回路内の電圧測定には標準抵抗1Ω(横河電気 TYPE 2792)とディジタルオシロスコープ(Tektronix 5052)、低圧プローブ(Tektronix P5052)をそれぞれ使用した。
測定にあたっては、ジュール熱の発生を考慮して短時間(約5秒以内)で電流計測を行った。実験環境は、常温(20〜23℃)で行った。電源と分流器との接続はワニ口クリップを用いて、開閉操作を行い電流計測を行った。
電流分流器の材質は薄銅で、厚さd1,d2=約6μmである。
図3は、電源電圧を1.5Vとした場合の、分流器の特性結果を示す。ここでの比率は分流された電流を被測定電流で除した値である。比率は0.064〜0.697×10-6であり、被測定電流を約1/100万倍に分流していることになる。電源電圧を3.0V、4.5Vとしても同程度の約1/100万倍の分流が得られることを確認した。
本発明による電流分流器は電気工学の各分野(高電圧、低電圧、通信、制御、医療など)における電流等の電気計測に適用できる。具体的には、鉄道、変電所、圧延機のモータなどの電流監視などにも使用可能である。
10 電流分流器
10A、10A 入力端子
10B、10B 出力端子
B1 第1ブロック
B2 第2ブロック
B3 第3ブロック
S1、S2 空間

Claims (5)

  1. 測定電流の分流を行う電流分流器であって、
    電気計測を行う計測器の入力に対して並列に接続されるものであり、
    平板状または立体状をなした1種の導電性部材からなり、その導電性部材によって、被測定電流を流入および流出するための2つの入力端子と、内部抵抗または検出プローブあるいはその両方を持つ計測器の入力端子に接続されるための2つの出力端子と、を有する4端子網から成る回路が構成されることを特徴とする電流分流器。
  2. 前記4端子網から成る回路は、節となる接続点が無いことを特徴とする請求項1記載の電流分流器。
  3. 前記回路は、2つの入力端子間を最短経路で延びる第1ブロック部と、第1ブロック部から各出力端子までそれぞれ延びる2つの第2ブロック部と、を少なくとも有していることを特徴とする請求項1または2記載の電流分流器。
  4. 2つの第2ブロック部の間に渡って第3ブロック部が形成され、第3ブロック部によって、第1ブロック部と2つの第2ブロック部で囲まれる領域に少なくとも1つの空間が形成されることを特徴とする請求項3記載の電流分流器。
  5. 前記第3ブロック部は複数形成され、第1ブロック部と2つの第2ブロック部で囲まれる領域に少なくとも2つの空間が形成されることを特徴とする請求項記載の電流分流器。
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