JP5525863B2 - Scroll type fluid machine - Google Patents
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Description
本発明は、例えば空気圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。 The present invention relates to a scroll fluid machine suitable for use in, for example, an air compressor or a vacuum pump.
特許文献1のスクロール式流体機械は、シール部材の底面とのラップ部の歯先に形成した凹溝間を通るもれを防止するため,直線形状の切込みを入れてリップ部を形成したシール部材を備えている。さらに、特許文献1のスクロール式流体機械のシール部材は、凹溝内に装着されるシール本体部分を軟質の弾性材料によって形成し、相手方の歯底面と摺接する該シール部材の摺接面側部分を前記弾性材料よりも高い硬度をもった硬質層として形成している。 The scroll type fluid machine disclosed in Patent Document 1 is a seal member in which a lip portion is formed by inserting a linear cut in order to prevent leakage through a groove formed in a tooth tip of a lap portion with a bottom surface of the seal member. It has. Further, the seal member of the scroll type fluid machine disclosed in Patent Document 1 is such that the seal main body portion to be mounted in the groove is formed of a soft elastic material, and the slidable contact surface side portion of the seal member that is in sliding contact with the other tooth bottom surface. Is formed as a hard layer having a higher hardness than the elastic material.
また、特許文献2のスクロール式流体機械は、スクロールラップの摺動面にアルマイトが形成されたものを用い、チップシールは珪藻土が含有された単層のものを用いている。
Moreover, the scroll type fluid machine of
特許文献1のスクロール式流体機械のチップシールの硬質層は、アルマイトよりも軟質の材料を用いていた。そのため、アルマイト面を平滑にするためには、多大な時間を要しており、チップシールの摩耗量を増大させ、スクロール式流体機械の寿命を延ばすことができなかった。 The hard layer of the chip seal of the scroll type fluid machine of Patent Document 1 uses a softer material than alumite. Therefore, much time is required to smooth the anodized surface, and the wear amount of the tip seal is increased, and the life of the scroll fluid machine cannot be extended.
また、特許文献2のスクロール式流体機械のチップシールには、アルマイトよりも硬度の高い珪藻土が含まれており、アルマイト層の摩耗速度を増加させている。さらに、チップシールが単層であるため、アルマイト層を平滑にした後もアルマイト層の摩耗が続き、スクロール式流体機械の寿命を延ばすことは困難であった。
Further, the tip seal of the scroll type fluid machine of
以上より、スクロール式流体機械の寿命を延ばすためには、チップシールとアルマイト層の双方の摩耗を減らすことが必須であり、特許文献1、2のいずれによってもチップシールとアルマイト層の双方の摩耗を減らすことの実現は困難であった。そのため、特許文献1、2のいずれの場合においてもスクロール式流体機械の寿命を延ばすためにチップシールまたはアルマイト層の少なくともいずれかを厚く形成する必要があり、コストアップを招いていた。
From the above, in order to extend the life of the scroll type fluid machine, it is essential to reduce the wear of both the tip seal and the anodized layer. It was difficult to realize the reduction. Therefore, in either case of
そこで、本発明は、充填材を配合したチップシールの充填材層を運転初期段階で摺接させることにより、コストアップを招かずに高寿命化を実現できるスクロール式流体機械を提供することを目的とする。 Accordingly, an object of the present invention is to provide a scroll type fluid machine that can achieve a long life without causing an increase in cost by bringing a filler layer of a chip seal containing a filler into sliding contact at an initial stage of operation. And
上述した課題を解決するために本発明は、鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が設けられた固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板の歯底面に前記固定スクロールのラップ部との間で複数の圧縮室を形成するように渦巻き状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、前記旋回スクロールと前記固定スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、前記ラップ部の歯先に沿って延びる凹溝を形成し、前記凹溝内には相手方のスクロールの歯底面に摺接するシール部材を装着してなるスクロール式流体機械において、前記シール部材が摺接する相手方のスクロールの歯底面には、耐腐食性を高める表面処理加工がなされ、前記シール部材は、相手方の歯底面よりも軟質な層である軟質層と、前記歯底面と摺接する該シール部材の摺接面側部分を含む層であって、前記歯底面以上の硬度をもった硬質充填材を配合し、前記歯底面以上の硬度を有する層である充填材層とにより形成したことを特徴とする。 In order to solve the above-described problems, the present invention provides a fixed scroll in which a spiral wrap portion is provided on the bottom surface of the end plate, and a wrap of the fixed scroll provided on the bottom surface of the end plate. A rotating scroll provided with a spiral wrap portion so as to form a plurality of compression chambers with the portion, and at least one of the wrap portions of the orbiting scroll and the fixed scroll, In a scroll type fluid machine in which a concave groove extending along the tooth tip of the wrap portion is formed, and a seal member slidingly contacting the bottom surface of the other scroll is mounted in the concave groove, the seal member is in sliding contact. the bottom land of the mating scroll, surface treatment to increase the corrosion resistance made, the seal member includes a soft layer is softer layer than the bottom land of the other party, the teeth A layer containing a sliding surface portion of the surface in sliding contact said seal member, wherein the blended root surface more hard fillers having hardness, the filler layer is a layer having a hardness equal to or larger than the bottom land It was formed by these.
コストアップを招かずに高寿命化を実現できるスクロール式流体機械を提供することができる。 It is possible to provide a scroll type fluid machine capable of realizing a long life without incurring an increase in cost.
以下、本発明の第1の実施例によるスクロール式流体機械を、図1乃至図6に基づき空気圧縮機として用いた場合を例に挙げて説明する。 Hereinafter, the case where the scroll type fluid machine according to the first embodiment of the present invention is used as an air compressor based on FIGS. 1 to 6 will be described as an example.
ここで、図3は本発明の第1の実施例におけるスクロール式空気圧縮機の縦断面図を示している。図において、1はスクロール式空気圧縮機のケーシングの一部を構成する固定スクロールを示し、該固定スクロール1は大略有蓋筒状に形成されたケーシング本体(図示せず)の開口端側を施蓋するように、この開口端側に固着されている。そして、該固定スクロール1は、例えばアルミニウム合金等から形成され、その中心が後述の駆動軸17の軸線O1-O1 と一致するように配設された円板状の鏡板2と、該鏡板2の歯底面2Aに立設された渦巻状のラップ部3と、前記鏡板2の外周側に位置し、該ラップ部3を囲むように筒状に形成された支持部4とから大略構成されている。
Here, FIG. 3 shows a longitudinal sectional view of the scroll type air compressor in the first embodiment of the present invention. In the figure, reference numeral 1 denotes a fixed scroll that constitutes a part of a casing of a scroll type air compressor, and the fixed scroll 1 covers the open end side of a casing body (not shown) that is generally formed in a covered cylinder. As shown in the figure, it is fixed to the opening end side. The fixed scroll 1 is made of, for example, an aluminum alloy or the like, and has a disc-
また、該固定スクロール1のラップ部3は図4に示す如く、内周側が巻始め端となり外周側(図示せず)が巻終り端となって、例えば3巻半前後の渦巻状に形成されている。そして、該ラップ部3の歯先3Aは、図5に示すように、後述の旋回スクロール9の歯底面10Aから微小なクリアランスCをもって離間されている。
Further, as shown in FIG. 4, the
5はラップ部3の歯先3A側に形成された凹溝を示し、該凹溝は図5に示す如く、ラップ部3の歯先3A側においてその幅方向中間部に、断面コ字状をなすように形成され、該凹溝5の底面5Aおよび左,右の側面5B,5Cはラップ部3の渦巻き形状に沿ってその巻始め端から巻終わり端まで延びている。そして、該凹溝5内には後述のチップシール6が装着され、相手方となる旋回スクロール9の歯底面10Aとの間をシールするようになっている。
5 shows a concave groove formed on the
6はラップ部3の凹溝5内に装着されたシール部材としてのチップシールを示し、該チップシール6は、例えば弾性樹脂材料により横断面が四角形状をなす長尺のチップシールとして形成され、該凹溝5の長さ方向に沿って渦巻状に伸長する。
6 shows a chip seal as a seal member mounted in the
ここで、該チップシール6は図5に示す如く、凹溝5の底面5Aに当接する受圧面としての下側面6Aと、該下側面6Aと上下方向で対向し相手方の歯底面10Aに摺接する上側面6Bと、渦巻状をなすチップシール6の径方向内側および外側に位置する内側面6Cおよび外側面6Dとから構成され、下側面6A,内側面6Cには後述の各下側リップ部7、内側リップ部8がそれぞれ一体的に形成されている。そして、該チップシール6は、下側面6Aを凹溝5の底面5Aに当接するように内,外側面6C,6Dが凹溝5内に僅かな隙間をもって挿入され、凹溝5の底面5Aから相手方となる旋回スクロール9の歯底面10Aに向けて浮上可能となっている。
Here, as shown in FIG. 5, the
7,7,…はチップシール6の下側面6Aにおいて長さ方向にそれぞれ所定間隔をもって形成された底面リップ部としての下側リップ部を示し、該各下側リップ部7は図6に示すように、チップシール6の下側面6Aに所定間隔をもって斜めに切込みを入れることにより一体的に形成され、その先端側は自由端となって下側面6Aから拡開するようになっている。
7, 7,... Indicate lower lip portions as bottom lip portions formed at predetermined intervals in the length direction on the
8,8,…はチップシール6の側面リップ部としての内側リップ部を示し、該各内側リップ部8は前記下側リップ部7とほぼ同様に形成され、チップシール6の内側面6Cに所定間隔をもって斜めに切込みを入れることにより一体的に形成され、その先端側は自由端となって内側面6Cから拡開するようになっている。
8, 8,... Indicate inner lip portions as side lip portions of the
9は固定スクロール1に対向して前記ケーシング本体内に旋回可能に設けられた旋回スクロールを示し、該旋回スクロール9は例えばアルミニウム合金等から形成され、表面側が歯底面10Aとなって円板状に形成された鏡板10と、該鏡板10の歯底面10Aから固定スクロール1の鏡板2に向けて立設され、固定スクロール1のラップ部3と同様に渦巻状に形成されたラップ部11と、鏡板10の背面中央に設けられたボス部12とから構成され、該ボス部12は後述する駆動軸17のクランク17Aに回転可能に取付けられている。
ここで、該旋回スクロール9のラップ部11についても図4に示す如く、固定スクロール1のラップ部3と同様に例えば3巻半前後の渦巻状に形成され、その歯先11A側には、底面13Aおよび左,右の側面13B,13Cから横断面コ字状をなす凹溝13が形成されている。
Here, as shown in FIG. 4, the
14は固定スクロール1側のチップシール6と同様に形成されたシール部材としての他のチップシールを示し、該チップシール14は前記凹溝13内に装着され、その底面13Aに当接する下側面14Aと、相手方の歯底面2Aに摺接する上側面14Bと、内側面14Cおよび外側面14Dとによって構成されている。また、該チップシール14の下側面14Aおよび内側面14Cには、チップシール6と同様に、それぞれ各下側リップ部15、各内側リップ部16が一体的に形成されている。
なお、本実施例では、凹溝5、13及び、チップシール6、14は固定スクロール1、旋回スクロール9の双方に設けられているが、いずれか一方にのみ設けてもよい。
In this embodiment, the recessed
17は前記ケーシング本体に回転自在に設けられる駆動軸を示し、該駆動軸17は先端側がケーシング本体内に延びるクランク17Aとなり、該クランク17Aはその軸線O2-O2 が駆動軸17の軸線O1-O1 に対して所定寸法δだけ偏心している。そして、該駆動軸17のクランク17A内には、旋回スクロール9のボス部12が旋回軸受18を介して旋回可能に取付けられ、旋回スクロール9には自転防止機構(図示せず)等を介して旋回運動が与えられる。
Reference numeral 17 denotes a drive shaft that is rotatably provided on the casing body. The drive shaft 17 is a crank 17A having a distal end extending into the casing body. The crank 17A has an axis O2-O2 that is an axis O1-O1 of the drive shaft 17. Is eccentric by a predetermined dimension δ. The
ここで、旋回スクロール9のラップ部11は固定スクロール1のラップ部3に対して周方向に所定角度だけずらして重ね合わせるように配設され、図4に示すように、ラップ部3,11間には三日月状をなす複数の圧縮室R,R,…が画成される。そして、旋回スクロール9を固定スクロール1に対して旋回させた時に、該各圧縮室Rはその容積が連続的に縮小され、後述の吸込ポート19から吸込んだ空気を順次圧縮するようになっている。
Here, the
19,20は固定スクロール1に形成された吸込ポート、吐出ポートを示し、該吸込ポート19は最外周側の圧縮室Rと連通するように鏡板2の外周側に穿設され、吐出ポート20は、最内周側の圧縮室Rと連通するように鏡板2の中心部に穿設されている。
従来技術によるスクロール式空気圧縮機は上記の如き構成を有するもので、次にその作動について述べる。
The scroll type air compressor according to the prior art has the above-described configuration, and the operation thereof will be described next.
まず、ケーシングの外部からモータ等の駆動源(図示せず)によって駆動軸17を回転駆動すると、この回転は該駆動軸17のクランク17Aから旋回軸受18を介して旋回スクロール9に伝えられ、該旋回スクロール9は駆動軸17の軸線O1-O1 を中心にして寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行う。
First, when the drive shaft 17 is rotationally driven from the outside of the casing by a drive source (not shown) such as a motor, this rotation is transmitted from the crank 17A of the drive shaft 17 to the
そして、この旋回運動によって各ラップ部3,11の間に画成される各圧縮室Rは中央に向けて連続的に縮小し、吸込ポート19から吸込んだ空気を順次圧縮しつつ、この圧縮空気を吐出ポート20から外部のエアタンク(図示せず)等に向けて吐出する。ここで、圧縮運転が開始されると、ラップ部3(11)の凹溝5(13)内には図5に示す矢示A方向に高圧側の圧縮室Rから圧縮空気の一部が侵入し、チップシール6(14)は受圧面となる下側面6A(14A)でこの圧縮空気の圧力を受圧することにより、凹溝5(13)から浮上し、対向する鏡板10(2)の歯底面10A(2A)に向けて押圧される。これにより、該チップシール6(14)は上側面6B(14B)が相手方の歯底面10A(2A)に摺接し、ラップ部3,11間に画成される各圧縮室Rを気密にシールする。
And each compression chamber R defined between each lap | wrap
また、各下側リップ部7(15)は、各圧縮室Rのうち、内周側の圧縮室Rから外周側の圧縮室Rに向けて、図4中の矢示B方向に凹溝5(13)内に侵入した圧縮空気により、各下側リップ部7(15)の先端側が凹溝5(13)の底面5A(13A)に押付けられるようになり、該凹溝5(13)の底面5A(13A)とチップシール6(14)との間を気密にシールする。
Also, each lower lip 7 (15) has a
さらに、各内側リップ部8(16)も、前記と同様に、凹溝5(13)内に侵入した圧縮空気により、各内側リップ部8(16)の先端側が凹溝5(13)の一方の側面5B(13B)に押付けられるようになり、該凹溝5(13)の側面5B(13B)とチップシール6(14)との間を気密にシールすると共に、チップシール6(14)の外側面6D(14D)を他方の側面5C(13C)に押付けて、両者の間を気密にシールさせる。
Further, each inner lip portion 8 (16) also has the tip side of each inner lip portion 8 (16) of one of the concave grooves 5 (13) due to the compressed air that has entered the concave groove 5 (13). The
ところで、上述したスクロール式空気圧縮機においては、固定スクロール1に対して旋回スクロール9を旋回動作させるときに、各圧縮室Rが高温状態となり、特に、内周側(吐出ポート20側)の圧縮室Rは高温高圧となるため、これらの圧縮室Rを画成する固定スクロール1および旋回スクロール9には歯底面2A,10Aの表面等に、例えば深さが60μm程度の酸化アルミニウムの薄膜を形成(所謂、陽極酸化処理)することにより耐腐食性を高めるようにしている。
By the way, in the scroll type air compressor described above, when the
また、陽極酸化処理は耐腐食性を高めると同時に表面硬度を上げ、耐摩耗性を向上したり、傷等が付きにくくしている。耐摩耗性については特に重要であり、特に無給油式(圧縮室に給油しないもの)のアルミ材の摺同部分については特に有効的に用いられる技術である。 In addition, the anodizing treatment enhances the corrosion resistance and at the same time increases the surface hardness, thereby improving the wear resistance and making it difficult to be damaged. The wear resistance is particularly important, and it is a technique that is particularly effective for a sliding portion of an aluminum material that is oil-free (no oil is supplied to the compression chamber).
前記陽極酸化処理は、研磨加工等の後加工をしない場合、処理時間や処理電流値(消費電力)の関係等から、その膜厚は10〜30μm程度が適当であり、ビッカース硬度はHv200〜450程度が適している。これらの条件から生成する陽極酸化処理皮膜の表面粗さはRmax=5〜30μmとなるのが一般的である。 In the case where the post-processing such as polishing is not performed, the anodizing treatment has an appropriate film thickness of about 10 to 30 μm in terms of processing time and processing current value (power consumption), and Vickers hardness is Hv 200 to 450. The degree is suitable. The surface roughness of the anodized film produced under these conditions is generally Rmax = 5 to 30 μm.
一般的に、陽極酸化処理を施すとその表面は、元のアルミニウム素材に比較して数倍程度粗く、また、硬くなることが知られており、前記歯底面10A(2A)等の表面が陽極酸化処理により粗く、また、硬くなると、該歯底面10A(2A)に摺接する相手方の固定スクロール1(旋回スクロール9)のチップシール6(14)が摩耗し易くなる(ただし、陽極酸化処理した薄膜を形成しないとチップシール材よりもアルミニウム材が極度に摩耗する)上、該チップシール6(14)と歯底面10A(2A)との間のシール性が悪化し、特に運転初期段階において、スクロール式空気圧縮機の圧縮性能が低下するという問題が発生する。
In general, it is known that when anodizing is performed, the surface is rough and hard by several times compared to the original aluminum material, and the surface such as the
一方、表面粗さを抑えるために陽極酸化被膜を薄くすると、歯底面2A,10Aの耐腐食性を低下させることになる。そこで、歯底面2A,10Aに対して例えば研磨等の仕上げ加工を行い、その表面を滑らかにすることにより歯底面2A(10A)とチップシール6(14)との間のシール性を向上させる等の対策が考えられる。
On the other hand, if the anodic oxide coating is made thin in order to suppress the surface roughness, the corrosion resistance of the tooth bottom surfaces 2A and 10A is lowered. Therefore, for example, finish processing such as polishing is performed on the tooth bottom surfaces 2A and 10A, and the surface is smoothed to improve the sealing performance between the
また、特許文献1によれば、硬質層を『35は硬質層としての硬質被膜を示し、該硬質被膜35はシール本体32よりも硬質な材料により薄い帯状に形成されており、この硬質な材料としては、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスルフォン(PSF)等が用いられる他に、例えばPTFEをベースに充填材としてカーボンファイバー(CF)、液晶ポリマー(LCP)、カーボン(C)、ケブラー、芳香族ポリアミド、または銅粉、青銅粉等を加えたものが挙げられる。』とする対策も考えられる。
Further, according to Patent Document 1, the hard layer “35 indicates a hard coating as a hard layer, and the
しかし、これらの材料の旧モース硬度いずれも4以下であり、は旧モース硬度が5である陽極酸化処理を施したアルミニウム素材(アルマイト材)よりも軟質であるため、運転によってチップシールが歯底面に摺接したとしても、相手方の歯底面を早期に滑らかにすることは困難である。この場合には研磨等の仕上げ加工を行うことによって作業工程が増大し、多大な労力と時間を費やす上に、コストアップを招くという問題、あるいは、相手方の歯底面を滑らかにして該歯底面とシール部材との間のなじみを良くし、密着性を高めるまでの時間が比較的長く掛かり、本来の性能を発揮するまでに時間を費やしてしまうという問題が発生する。 However, since these materials have an old Mohs hardness of 4 or less and are softer than an anodized aluminum material (anodized material) having an old Mohs hardness of 5, the tip seals will become the bottom surface of the tooth during operation. Even if it comes into sliding contact, it is difficult to smooth the other tooth bottom surface at an early stage. In this case, the work process is increased by performing a finishing process such as polishing, which consumes a great amount of labor and time and causes a cost increase, or smoothes the other tooth bottom surface and the tooth bottom surface. There is a problem that it takes a relatively long time to improve the familiarity with the seal member and to improve the adhesion, and it takes time to exhibit the original performance.
ここで、図1を用いて、本実施例におけるシール部材としてのチップシールについて説明する。図1は本実施例におけるスクロール式空気圧縮機のシール部材等を拡大して示す要部の縦断面図である。図1において、31は本実施例によるシール部材としてのチップシールを示し、該チップシール31は図3乃至6におけるチップシール6(14)に対応するものであり、凹溝5(13)に装着されるものである。チップシール31は後述のシール本体(軟質層)32と、相手方の歯底面10A(2A)と摺接する摺接面側部分を(チップシール31の上側面32D)を含む層であって、該シール本体32に対して例えば接着やスプレー塗装、加圧成形等の手段により一体的に固着され、高い硬度をもった粒子状の充填材を配合した充填材層(硬質被膜)35とから大略構成されている。
Here, a chip seal as a seal member in the present embodiment will be described with reference to FIG. FIG. 1 is an enlarged longitudinal sectional view of a main part showing a seal member and the like of a scroll type air compressor in this embodiment. In FIG. 1,
32はシール本体部分となるシール本体を示し、該シール本体32はチップシール6(14)とほぼ同様に横断面が四角形状をなして形成さる。鏡板2(10)を下側にラップ部3(10)を上側にして置き、チップシール31を凹溝5(13)内に装着した場合に、シール本体32は受圧面となる下側面32A、左,右両側に位置する内側面32B、外側面32C、さらには摺動面となる上側面32Dを有している。そして、該シール本体32の下側面32Aには底面リップ部となる各下側リップ部33が一体的に形成され、該各下側リップ部33は凹溝5(13)の底面5A(13A)に弾性的に接触している。また、内側面32Bには側面リップ部となる各内側リップ部34が一体形成され、該各内側リップ部34は凹溝5(13)の一方の側面5B(13B)に弾性的に接触している。
ここで、シール本体32は耐摩耗性や摺動性に優れた軟質材料により形成されており、この軟質材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素ゴム、シリコンゴム等が用いられる他に、例えばPTFEをベース(基材)に充填材として二硫化モリブデン(MoS2)、グラファイト、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスルフォン(PSF)、カーボンファイバー(CF)、液晶ポリマー(LCP)、カーボン(C)、芳香族ポリアミド、または銅粉、青銅粉等を少量加えたものが挙げられる。
そして、シール本体32の厚さ(上下方向の寸法)は、特許文献1におけるで述べたチップシールに比べて硬質被膜の厚さ分だけ薄く形成され、上側面32Dに充填材層35を固着した状態で、チップシール31の厚さを特許文献1におけるチップシールの厚さとほぼ等しくするようしている。
Here, the
The thickness (vertical dimension) of the
35は高い硬度をもった充填材を配合した充填材層としての硬質被膜を示し、該充填材層35はシール本体32よりも硬質な材料を充填材として配合し、薄い帯状に形成されている。この硬質な材料としては、例えばPTFEをベース(基材)に充填材として珪藻土、炭化珪素、アルミナ、チタン酸カリウム、ナノダイヤモンド等の相手方の歯底面10A(2A)以上の硬度を持つ材料を単独または複合して3〜10%加えたものが挙げられる。
充填材は、平均粒径は100μm以下であり、かつ旧モース硬度は5〜10の粒子状の材料で基材に均一に分散しているのが特徴である。一方、相手方の歯底面10A(2A)はアルマイト材料で形成されているため、旧モース硬度は5である。
The filler is characterized in that the average particle diameter is 100 μm or less and the former Mohs hardness is 5 to 10 and is uniformly dispersed in the base material. On the other hand, since the mating
該充填材層35は特許文献1において加えた充填材に対し、硬く、相手面への攻撃性が高い材料を配合しているため特許文献1の充填材層よりも短時間で相手面を平滑にすることができる。また、高い硬度をもった充填材が粒子状であるために、相手面が平滑になった後、硬度の高い充填材を配合した充填材層35が摩滅してなくなり、PTFEをベースとした軟質層が露出するようになる。従って、シール本体32を形成するPTFEをベースとした軟質層の相手面に対する摩耗速度は充填材層35と比較して極めて低く、かつ相手面への攻撃性が低いため、シール部材31、凹溝5(13)の底面5A(13A)、相手方の歯底面10A(2A)の摩耗が進行しなくなり、スクロール式圧縮機の寿命を著しく延ばすことができる。
Since the
そして、該充填材層35の下側面35Aは、前記シール本体32の上側面32Dに衝合された状態で例えば接着やスプレー塗装、加圧成形等の手段を用いて一体的に固着され、該充填材層35の上側面35Bは、相手方の歯底面10A(2A)に対するチップシール31の摺接面を構成している。また、該充填材層35の厚さは0.1〜0.3mmが適当であるが、運転条件、あるいは圧縮機の出力に依っても多少の変化をつけたり、巻き方向すなわち長手方向位置によって変化をつけてもよい。特に長手方向二分割チップシールの場合は、高温高圧の圧縮空気にさらされる中心側のチップシールの摺接面に構成するのがよい。
Then, the
然るに、本実施例によれば、ラップ部3(11)の凹溝5(13)内に装着し相手方の歯底面10A(2A)に摺接するチップシール31を、軟質の弾性樹脂材料によって形成され、各下側リップ部33および各内側リップ部34を備えたシール本体32と、該シール本体32の上側面32Dに一体的に固着された充填材層35とから構成しているので、下記のような作用効果を得ることができる。
However, according to the present embodiment, the
即ち、高温高圧の圧縮空気にさらされる固定スクロール1および旋回スクロール9に陽極酸化処理を施し、歯底面10A(2A)等の耐腐食性を高めるようにすると、この陽極酸化処理によって歯底面10A(2A)等は表面が粗くなり、この粗い歯底面10A(2A)に対してチップシール31が摺接することになる。しかし、該チップシール31の摺接面側には、シール本体32より高い硬度を有する充填材層35を一体的に設け、当該スクロール式空気圧縮機の運転初期段階には該充填材層35を表面の粗い歯底面10A(2A)に摺接させるようにしているから、軟質の弾性樹脂からなるシール本体32が表面の粗い歯底面10A(2A)に対して直接的に摺動するのを防止でき、充填材層35でシール本体32を保護できると共に、チップシール31全体の耐久性や寿命を確実に延ばすことができる。
That is, when the fixed scroll 1 and the
そして、運転初期状態では、陽極酸化処理により表面が粗くなった歯底面10A(2A)に対して、高い硬度を有する充填材層35を摺接させることにより、該充填材層35の上側面35Bを歯底面10A(2A)になじませ、該歯底面10A(2A)の表面を、例えば研磨等を施した状態とほぼ同様に短時間で滑らかにすることができ、両者の密着性を高めて歯底面10A(2A)とチップシール31との間のシール性を確実に向上できる。この結果、各圧縮室R(図4参照)間の密閉性を効果的に高めることができ、運転初期段階におけるスクロール式空気圧縮機の圧縮性能を低下させることなく、安定した圧縮性能を確保できる。
In the initial operation state, the
また、運転初期段階から一定の時間が経過し、仮に、充填材層35が摩耗することによって、シール本体32の上側面32Dが歯底面10A(2A)に摺接するようになった場合でも、この段階においては、高い硬度をもった充填材が微細な粒子状であり、相手方の歯底面10A(2A)は充填材層35によって表面が平滑に研磨された状態となるから、シール本体32の上側面32Dを相手方の歯底面10A(2A)に滑らかに摺接させることができ、両者の摺動面における高いシール性を確保できる。
Further, even when a certain time has elapsed from the initial stage of operation and the
従って、本実施例によれば、固定スクロール1(旋回スクロール9)の歯底面2A(10A)等に陽極酸化処理を施した場合でも、研磨等の仕上げ加工を特別に行う必要がなくなり、製造時の作業性や生産性を大幅に向上できる上に、当該スクロール式空気圧縮機を効率よく運転でき、圧縮性能を確実に高めることができる。
Therefore, according to the present embodiment, even when the anodization treatment is performed on the
さらに、シール本体32の上側面32Dには、高い硬度を有する帯状の充填材層35を、例えば接着等の手段で一体的に固着することによりチップシール31を形成しているので、該チップシール31の製作が容易となり、チップシール31としての品質を安定させることができる上に、下側の軟質なシール本体32と上側の充填材層35とによって耐摩耗性と高圧縮性能を両立でき、信頼性および寿命を向上することができる。
Furthermore, since the
本実施例では、チップシールの相手面が陽極酸化処理による皮膜を例に述べたが、塗装や蒸着等の表面処理加工面に対しても有効である。 In this embodiment, the chip seal mating surface is described as an example of a film formed by anodization, but it is also effective for a surface treated surface such as painting or vapor deposition.
図14に本発明の本実施例と特許文献1、特許文献2におけるチップシール31とチップシール31の摺接する相手面である相手方の歯底面10A(2A)との摩耗量を比較して示したグラフである。図14では、縦軸に摩耗量を示し、横軸に運転時間を示した。また、縦軸の上側はチップシール31の摩耗量、下側は相手方の歯底面10A(2A)の摩耗量を示した。また、本実施例における摩耗量を太線で、特許文献1における摩耗量を破線で、特許文献2における摩耗量を点線で示し、チップシール31の摩耗限界量及び相手方の歯底面10A(2A)の摩耗量の限界値を実線で示した。
FIG. 14 shows a comparison of the amount of wear between the present embodiment of the present invention and the
本実施例を特許文献1と比較すると、本実施例では充填材層35を設けたため、充填材層35が相手方の歯底面10A(2A)を平滑化させるため、チップシール31の運転初期における摩耗が特に少なくなっている。このため、本実施例によれば特許文献1と比較してチップシール31の摩耗量を減らすことができ、チップシール31の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
Compared with Patent Document 1, this example provided the
また、本実施例を特許文献2と比較すると、充填材摩滅後の相手方の歯底面10A(2A)の摩耗量が特に少なくなっている。このため、本実施例によれば、充填材摩滅後の相手方の歯底面10A(2A)の摩耗量を減らすことができ、相手方の歯底面10A(2A)の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
Further, when this example is compared with
以上より、特許文献1、2のいずれの場合でも、チップシール31とチップシール31の摺接する相手面である相手方の歯底面10A(2A)との少なくともいずれか一方の摩耗量が増加してしまう。スクロール式流体機械の寿命を延ばすためには、チップシール31とチップシール31の摺接する相手面である相手方の歯底面10A(2A)との双方の摩耗量を減らすことが必須であり、特許文献1、2のいずれの場合でもスクロール式流体機械の寿命を延ばすことは困難であった。一方、本実施例によれば、チップシール31とチップシール31の摺接する相手面である相手方の歯底面10A(2A)との双方の摩耗量を減らすことができる。従って、本実施例によれば、チップシール31や相手方の歯底面10A(2A)を厚く形成しなくても低コストで特許文献1、特許文献2と比較してスクロール式流体機械の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
As described above, in either case of
次に、図2は本発明の第2の実施例を示す。本実施例の特徴は、凹溝5(13)内に装着されるシール部材としてのチップシール41を成形するときに、充填材層43において、該チップシール41の基材と充填材との配合割合を変化させることである。即ち、本実施例の特徴は、シール本体部分となる軟質層42と、鏡板2(10)を下側にラップ部3(10)を上側にして置き、チップシール41を凹溝5(13)内に装着した場合に、該チップシール41を軟質層42と、軟質層42の上側に位置し相手方の歯底面10A(2A)に摺接する充填材層43とから一体に形成し、充填材層43に配合する充填材の割合を上側ほど大きくすることである。例えば、充填材層43を第1の充填材層と第2の充填材層とから形成され、第1の充填材層は第2の充填材層よりも上側に配置され、第1の充填材層における充填材の配合割合を第2の充填材層の充填材の配合割合より多くする。ここでは、充填材層を第1の充填材層と、第2の充填材層の2層構造としたが、上側にある充填材層が下側にある充填材層よりも充填材の配合割合が多ければ、3層以上であってもよい。また、充填材の配合割合を徐々に変化させることにより、上側の充填材層43から下側に向けて徐々に硬度を下げるようにしたシール部材を形成してもよい。
Next, FIG. 2 shows a second embodiment of the present invention. The feature of this embodiment is that when the
また、充填材層43だけでなく、軟質層32もポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に充填材層35に加えた充填材を配合して形成し、基材(PTFE)と充填材との配合割合を変化させて形成してもよい。即ち、軟質層42は、充填材層43よりも充填材の配合割合を少なくし、充填材層43に配合された充填材及びチップシールの相手面よりも軟質な材料で形成される。さらに軟質層42についても第1の軟質層と第2の軟質層とから形成され、第1の軟質層は第2の軟質層よりも上側に配置は、第1の軟質層における充填材の配合割合を第2の軟質層の充填材の配合割合よりも多くする。充填材層と同様に軟質層についても上側にある軟質層が下側にある軟質層よりも充填材の配合割合が多ければ、3層以上であってもよい。また、充填材の配合割合を徐々に変化させることにより、上側の軟質層42から下側に向けて徐々に硬度を下げるようにしたシール部材を形成してもよい。
Further, not only the
ここで、該チップシール41は軟質層42及び充填材層43を除いて前記第1の実施例で述べたチップシール31とほぼ同様に構成される。鏡板2(10)を下側にラップ部3(10)を上側にして置き、チップシール41を凹溝5(13)内に装着した場合に、受圧面となる下側面41A、左,右両側に位置する内側面41B、外側面41C、および摺接面となる上側面41Dとから横断面が四角形状をなすように形成されている。また、チップシール41の下側面41Aには軟質層42側に位置して底面リップ部としての各下側リップ部44が一体形成され、内側面41Bには軟質層42側に位置して側面リップ部としての各内側リップ部45が一体形成されている。
Here, the
そして、チップシール41の上側層となる充填材層43は、その上面が相手方の歯底面10A(2A)に摺接するチップシール41の上側面41Dを構成し、下面側は軟質層42との境界面46となっている。また、充填材層43に配合される充填材は軟質層42に比較して硬度が高い上に、より大きい耐摩耗性や耐熱性を有し、さらに線膨張率が小さくなるように形成されている。
The
かくして、このように構成される本実施例でも、前記第1の実施例とほぼ同等の作用効果を得ることができる。特に本実施例では、チップシール41を下側の軟質層42または上側の充填材層43について、充填材の配合割合を変えた複数の層により形成したため、軟質層42と充填材層43との境界面46において、軟質層42と充填材層43の材料としての性質がより近いものとなり、剥離等の問題を生じるのを効果的に防止できると共に、チップシール41を制作するときの工数やコストを確実に低減することができる。また、本実施例では、充填材層43を充填材の配合割合を変えた複数の層により形成したため、運転初期状態では、相手方の歯底面10A(2A)に対して、より高い硬度を有する第1の充填材層を摺接させることができ、第1の充填材層により相手方の歯底面10A(2A)が滑らかになった後に第1の充填材層よりも硬度の低い第2の充填材層を摺接させることができる。これにより、第1の実施例と比較して、相手方の歯底面10A(2A)を必要以上に磨耗させることなく表面を平滑にすることができる。
Thus, in this embodiment configured as described above, it is possible to obtain substantially the same operational effects as those of the first embodiment. In particular, in this embodiment, the
次に、図7〜12は本発明の第3の実施例を示し、本発明の特徴は、凹溝5(13)内に装着されるシール部材としてのチップシール31を成形するときに、該チップシール31のシール本体部分となる軟質層32と、該軟質層32の上側に位置し、相手方の歯底面10A(2A)に摺接する充填材層35との接合面の形状を一直線ではなく、くさび形、波形、矩形等に形成したことにある。
Next, FIGS. 7 to 12 show a third embodiment of the present invention. The feature of the present invention is that when a
図7〜9では、チップシール31の側面部から中心部にいくに従い充填材層35が厚くなるように軟質層32と充填材層35との接合面をくさび形に形成した。また、図10では、充填材層35が厚くなる部分が複数箇所できるように波形に形成し、図11では、充填材層32が厚くなる箇所を矩形(型)に形成した。図10、11のように軟質層32と充填材層35との接合面を形成することで、図7〜9のように軟質層32と充填材層35との接合面を形成した場合に比べて軟質層32と充填材層35との密着強度をより上げることができる。また、図12では、チップシール31の中心部から側面部に行くに従い充填材層35が厚くなるように軟質層32と充填材層35との接合面をくさび形に形成した。ここで、チップシール31は、中心部にいくほど多くの面積の部分が重複して相手方の歯底面10A(2A)に対して、摺接する。一方、側面部に行くほど、相手方の歯底面10A(2A)に対して重複して摺接する部分の面積が少なくなる。そこで、図12のように、チップシール31の側面部の充填材層35を中心部の充填材層35よりも厚くなるように軟質層32と充填材層35との接合面を形成することで、相手方の歯底面10A(2A)のチップシール31の側面部と摺接する部分をより平滑化することができ、相手方の歯底面10A(2A)のチップシール31の中心部と摺接する部分を必要以上に磨耗させることを防止できる。
7 to 9, the joint surface between the
ここで、本実施例の作用効果は第1および第2の実施例の効果に加え、接合面の表面積を増加させたことにより、密着強度を効果的に上げることができ、信頼性を向上できる。 Here, in addition to the effects of the first and second embodiments, the operational effects of the present embodiment can increase the adhesion strength effectively by increasing the surface area of the joint surface, thereby improving the reliability. .
また、運転によるチップシール摺接面の摩耗が進行したとき、充填材層35が摩耗して無くなり、急激に軟質層32が露見することがなく、軟質層32のみが摺接するまでの間は、充填材層35と軟質層32とが、それぞれの摺接面積を徐々に変化させられるから、相手歯底面10A(2A)の表面が粗く残っていた場合でも徐々に該表面を平滑にすることができる。
Further, when the wear of the chip seal sliding contact surface due to operation has progressed, the
さらに、本実施例においては、前記それぞれの摺接面積の比を自由に設定可能であるから、使用条件や運転条件、流体機械の容量等によって適切な摩耗条件に設計対応できる。 Furthermore, in this embodiment, since the ratio of the respective sliding contact areas can be set freely, it is possible to design and cope with appropriate wear conditions depending on the use conditions, operating conditions, fluid machine capacity, and the like.
次に、図13は本発明の第4の実施例を示す。本実施例では、第2の実施例と同様に、充填材層35だけでなく、軟質層32も基材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に充填材層35に加えた充填材を配合して形成した。本実施例の特徴は、鏡板2(10)を下側にラップ部3(10)を上側にして置き、凹溝5(13)内に装着されるシール部材としてのチップシール31を形成するときに、該チップシール31のシール本体部分となる軟質層32と、該軟質層32の下側に位置し、凹溝5、13の底面5A、13Aとの機密にシールする側に、軟質層32よりも硬度の低い極軟質層32Cを形成したことにある。軟質層32をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に充填材を配合して形成した場合において、該極軟質層32Cはたとえば軟質層32に配合された充填材を配合せずにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のみで形成したものや、軟質層32よりも充填材の配合割合が少なく、わずか(5%以下)に充填材を配合した極軟質材料で形成されている。極軟質層32Cは、充填材を配合しないあるいは極微量であるから曲げ弾性率を低く抑えることができ、引張強度は高く保つことができる。
Next, FIG. 13 shows a fourth embodiment of the present invention. In this embodiment, as in the second embodiment, not only the
すなわち、下側リップ33は僅かな空気圧で起き易くできるから、チップシール31を歯底面10A(2A)に効果的に押付け、偏当たりがなく気密にシールすることが可能となり、チップシールの巻き方向(長手方向)における局部摩耗等を防止できる。
That is, since the
また、前記各実施例では、チップシール31の摺動面側に充填材層35を形成するものとして述べたが、例えば充填材層35に耐熱性を有する材料(添加剤)を加えたり、温度の影響を受けにくい材料、たとえばチタネート、水ガラス等を基材とすることにより、摩擦熱等に対する耐久性を向上させるようにしてもよい。
In each of the above embodiments, the
さらに、前記各実施例では、固定スクロール1側の凹溝5および旋回スクロール9側の凹溝13に、それぞれチップシール31を装着するものとして述べたが、本発明はこれに限らず、固定スクロール1または旋回スクロール9のいずれか一方のラップ部3(11)のみに凹溝5(13)を形成し、該凹溝5(13)内にチップシール31を装着する構成としてもよい。
Further, in each of the embodiments described above, the
さらにまた、前記各実施例では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。 Furthermore, in each of the above embodiments, the scroll type air compressor has been described as an example of the scroll type fluid machine. However, the present invention can be widely applied to, for example, a vacuum pump, a refrigerant compressor, and the like.
本発明によれば、運転初期段階において充填材層を相手方の歯底面に摺接させることにより、この歯底面を滑らかにすることができ、例えば陽極酸化処理される歯底面に対して製造時に特別な仕上げ加工等を行う必要がなくなり、製造時の作業性や生産性を確実に向上できる。また、運転初期段階においてシール部材の充填材層側を相手方の歯底面に摺接させることにより、両者の摺動面をなじませ密着性を高めることができ、シール性を向上させることができると共に、シール部材全体の摩耗を低減でき、耐久性や寿命を延ばすことができる。 According to the present invention, in the initial stage of operation, the bottom surface can be made smooth by bringing the filler layer into sliding contact with the other bottom surface. It is no longer necessary to carry out any finishing work, and the workability and productivity during production can be improved reliably. In addition, by sliding the filler layer side of the seal member to the other tooth bottom surface in the initial stage of operation, both sliding surfaces can be blended and adhesion can be improved, and sealability can be improved. The wear of the entire seal member can be reduced, and the durability and life can be extended.
さらに、シール部材に複数の底面リップ部とに設けるから、凹溝とシール部材との間に生じる隙間をこれらの各リップ部によって効果的にシールでき、運転初期段階においても各圧縮室間の密閉性を確実に高めることができ、安定した圧縮性能を確保することができる。 Furthermore, since the sealing member is provided with a plurality of bottom surface lip portions, the gaps formed between the groove and the sealing member can be effectively sealed by these lip portions, and the compression chambers are sealed even in the initial stage of operation. Therefore, it is possible to reliably improve the compression performance and to ensure stable compression performance.
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。また、実施例1乃至4を組み合わせることにより本発明を実施してもよい。 The embodiments described so far are merely examples of implementation in carrying out the present invention, and the technical scope of the present invention is not limitedly interpreted by these. That is, the present invention can be implemented in various forms without departing from the technical idea or the main features thereof. Further, the present invention may be implemented by combining the first to fourth embodiments.
1・・・固定スクロール
2、10・・・鏡板
3、11・・・ラップ部
4、12・・・支持部
5、13・・・凹溝
6、14、31.41・・・チップシール
7、15、33、44・・・下側リップ部
8、16、34、45・・・内側リップ部
9・・・旋回スクロール
17・・・駆動軸
18・・・旋回軸受
19・・・吸込ポート
20・・・吐出ポート
32、42・・・シール本体(軟質層)
35、43・・・充填材層
46・・・境界面
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ...
35, 43 ...
Claims (10)
前記シール部材が摺接する相手方のスクロールの歯底面には、耐腐食性を高める表面処理加工がなされ、
前記シール部材は、相手方の歯底面よりも軟質な層である軟質層と、前記歯底面と摺接する該シール部材の摺接面側部分を含む層であって、前記歯底面以上の硬度をもった硬質充填材を配合し、前記歯底面以上の硬度を有する層である充填材層とにより形成したことを特徴とするスクロール式流体機械。 A fixed scroll in which a spiral wrap portion is provided on the tooth bottom surface of the end plate, and a plurality of compression chambers provided between the fixed scroll and the fixed scroll provided on the end surface of the end plate. A swivel scroll provided with a spiral wrap portion, and at least one of the wrap portions of the orbiting scroll and the fixed scroll has a groove extending along a tooth tip of the wrap portion. In the scroll type fluid machine formed by mounting a seal member in sliding contact with the tooth bottom surface of the opposing scroll in the concave groove,
The bottom surface of the other scroll where the seal member is in sliding contact is subjected to a surface treatment process that enhances corrosion resistance.
The seal member has a soft layer is softer layer than the bottom land of the other party, a layer containing a sliding surface portion of the root surface in sliding contact said seal member, the hardness of more than the bottom land A scroll type fluid machine characterized by comprising a hard filler and a filler layer that is a layer having a hardness equal to or higher than the tooth bottom surface .
して形成されることを特徴とする請求項4に記載のスクロール式流体機械。 5. The scroll fluid machine according to claim 4, wherein the soft layer is formed by blending a filler blended in the filler layer in a proportion smaller than that of the filler layer.
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