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JP5515956B2 - 車両の上部車体構造 - Google Patents

車両の上部車体構造 Download PDF

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JP5515956B2 JP2010076953A JP2010076953A JP5515956B2 JP 5515956 B2 JP5515956 B2 JP 5515956B2 JP 2010076953 A JP2010076953 A JP 2010076953A JP 2010076953 A JP2010076953 A JP 2010076953A JP 5515956 B2 JP5515956 B2 JP 5515956B2
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Description

本発明は、車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、その間に跨って配設されたルーフパネルと、各ルーフサイドレールの前方に設けられて車両前後方向に延びる一対のフロントピラーとを備えた車両の上部車体構造に関する。
従来、車両の上部には、一対のルーフサイドレールと、その間に跨って配設されたルーフパネルと、ルーフサイドレールの前方において車両前後方向に延びる一対のフロントピラーとが設けられている。
例えば、特許文献1には、前記フロントピラーが車体のサイドボディアウタパネルにフロントピラーインナパネルが接合されることで構成されるとともに、前記ルーフサイドレールが前記サイドボディアウタパネルにルーフサイドインナパネルが接合されることで構成される車両の上部車体構造が開示されている。この特許文献1に開示されている構造では、前記フロントピラーインナパネルとルーフサイドインナパネルとの境界部分にこれらパネルに跨って補強部材が設けられて、フロントピラーインナパネルとルーフサイドインナパネルとこの補強部材とが重ねあわされた状態でスポット溶接により互いに一体に接合されており、これにより各パネルの剛性の向上が図られている。
特開2001−63624号公報
車両においては、衝突時の安全性を確保するために車体の剛性を高くすることが求められている。しかしながら、車体の剛性を高くするべく車体の構造物の容積を単に大きくした場合には、ウインド周りでは、構造物によりウインドガラスが遮蔽される部分が増加することで視界が悪化するという問題がある。また、前記従来の構造のように補強部材を設ける場合には、この補強部材を別途パネル部材に接合せねばならずコスト面等で不利になる。
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構成で、車両の安全性を確保しつつ視界を広く確保することのできる車両の上部車体構造の提供を目的とする。
前記課題を解決するために、本発明等は、車両の上部に設けられるルーフサイドレールとこのルーフサイドレールの前方に設けられるフロントピラーのうち、車両の側突時は、主にルーフサイドレールが車両側方から加えられた衝撃を支持することに着目し、ルーフサードレールの車幅方向の幅を十分な寸法としてルーフサイドレールの車幅方向の剛性を確保する一方、フロントピラーの内縁をより外側に位置させることでフロントウインドにおける視界を広く確保するようにした。すなわち、本発明は、車体上部の車幅方向両端に設けられて車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、当該ルーフサイドレール間に跨って配設されたルーフパネルと、前記各ルーフサイドレールの前方に設けられてフロントウインドに沿って前方に向かうに従って下方に傾斜する一対のフロントピラーとを備えた車両の上部車体構造であって、前記各ルーフサイドレールは、その軸方向と垂直な方向の断面が閉断面を形成する形状を有するとともに、前記ルーフパネルの車幅方向両縁とそれぞれ接合されるルーフ接合部を有し、前記各フロントピラーは、車幅方向内縁に設けられて前記フロントウインドの車幅方向両縁をそれぞれ支持するフロントウインド支持部を有し、前記各フロントピラーのフロントウインド支持部は、その車幅方向内縁が前記各ルーフサイドレールのルーフ接合部の車幅方向外縁よりも車幅方向外側に位置する状態で、当該フロントピラーの後端から前方に延びる形状を有し、前記各フロントピラーのフロンウインド支持部の車幅方向の幅は、前方ほど小さく設定されていることを特徴とする車両の上部車体構造を提供する。
この構造によれば、フロントウインド支持部がルーフサイドレールのルーフ接合部よりも車幅方向外側に位置してフロントウインドをより車幅方向外側で支持しており、ルーフサイドレールの車幅方向の幅を確保してルーフサイドレールの剛性を高く確保しつつ、フロントウインドにおける視界を広くすることができる。
特に、各フロントピラーのフロントウインド支持部が、その車幅方向の幅が前方ほど小さく設定されているため、フロントピラーの後部の車幅方向の剛性を確保しつつ、車両走行時等において運転者が主に視認するフロントウインドの前側部分すなわち下側部分の視界を広く確保することができる。
本発明において、前記各フロントピラーは、その軸方向と垂直な方向の断面が閉断面を形成する形状を有し、前記各フロントピラーのうち当該フロントピラーの閉断面を囲む部分と前記各ルーフサイドレールのうち当該ルーフサイドレールの閉断面を囲む部分とが車両前後方向に連続しているのが好ましい(請求項2)。
このようにフロントピラーの閉断面とルーフサイドレールの閉断面とが連続していれば、フロントピラーあるいはルーフサイドレールに加えられた衝撃を、フロントピラーあるいはルーフサイドレールに効率よく伝達することができ、前記衝撃をルーフサイドレールとフロントピラーとによって効果的に支持することができる。
ここで、前記各フロントピラーの閉断面の上下方向の長さは、前記各ルーフサイドレールの閉断面の上下方向の長さよりも長いのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、フロントピラーの車幅方向の幅を小さく抑えて視界を広くしつつフロントピラーの剛性を確保することができる。特に、前記フロントピラーは車両前方に向かうに従って下方に延びており、この軸方向と垂直な面における閉断面の上下方向の長さを長くすると、前後方向の長さが長くなり前後方向の剛性が高められる。前述のように、車両の側突時は主にルーフサイドレールが車両側方から加えられた衝撃を支持する一方、車両の正突時は、ルーフサイドレールとフロントピラーのうち主にフロントピラーが車両正面から加えられた衝撃を支持する。そのため、このようにフロントピラーの前後方向の剛性が高く確保されることで、正突時の安全性が確保される。
また、本発明において、前記ルーフパネルは、前記フロントピラーの後端よりも前方に延びる形状を有し、前記ルーフ接合部は、前記フロントピラーの後端よりも前方に突出して当該フロントピラーの後端よりも前方において前記ルーフパネルに接合される突出部を有し、前記ルーフ接合部と前記フロントウインド支持部とは、前記突出部を介して互いに連続しているのが好ましい(請求項)。
この構成によれば、前記フロントウインド支持部と前記ルーフサイドレールのルーフ接合部とが互いに連続しており、フロントピラーあるいはルーフサイドレールに加えられた衝撃をこのフロントウインド支持部とルーフ接合部とを介してルーフサイドレールあるいはフロントピラーに効率よく伝達することができ、前記衝撃をルーフサイドレールとフロントピラーとによってより一層効果的に支持することができる。
前記構成において、前記ルーフ接合部の突出部と当該突出部に連続する前記フロントウインド支持部の後端部とからなるフランジ連続部は、その車幅方向の幅が前後方向に略一定となる形状を有しているのが好ましい(請求項)。
このようにすれば、フロントピラーあるいはルーフサイドレールに衝撃が加えられた際等において、フロントウインド支持部とルーフ接合部との境界部分である前記フランジ連続部において応力が集中するのが抑えられて、フロントピラーとルーフサイドレールとの間で衝撃荷重等の荷重がより効率よく伝達される。
以上のように、本車両の上部車体構造によれば、簡単な構成で、車両の安全性を確保しつつ視界を広く確保することができる。
本発明の実施形態に係る車両の上部車体構造を備えた車体の概略側面図である。 図1に示す車体の上面図である。 図2の部分拡大図であり、本発明の実施形態に係る車両の上部車体構造の概略上面図である。 図1および図3のIV−IV線断面図である。 図1および図3のV−V線断面図である。 図1および図3のVI−VI線断面図である。 本発明の実施形態に係る車両の上部車体構造の一部を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両の上部車体構造の一部を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両の上部車体構造の概略分解図である。 本発明の他の実施形態に係る車両の上部車体構造の概略上面図である。 図10に示す車両の上部車体構造の一部を示す概略斜視図である。
本発明の第1の実施形態に係る車両の上部車体構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、前記車両の上部車体構造を備えた自動車の基本骨格の側面図である。図2は、図1の上面図であり、車両のルーフ部を示す図である。図3は、図2の部分拡大図である。なお、図3では、後述するフロントウインドガラス40の下方の構成について、後述するルーフパネル20のパネル側フランジ部24は実線で示す一方、フロントピラーアウタフランジ部33は破線で示している。
図1および図2に示すように、車両上部の車幅方向両端には、車両前後方向(以下単に前後方向という)に延びる一対のルーフサイドレール10,10が設けられている。鋼板製パネル等からなり車室のルーフを形成するルーフパネル20は、これらルーフサイドレール10,10間に跨って配設されている。各ルーフサイドレール10,10の前方には、それぞれ前後方向に延びるフロントピラー30,30が設けられている。これらフロントピラー30,30は、前記ルーフサイドレール10,10の前端付近からエンジンルームの車幅方向両側辺部を形成するフロントフェンダ70,70まで延びている。これらフロントピラー30,30は、前方に向かうに従って下方に傾斜している。前記一対のフロントピラー30,30間にはフロントウインドガラス(フロントウインド)40が設けられている。このフロントウインドガラス40は、その後縁40aが前記フロントピラー30,30の後縁30dに沿って延びる位置に配置されている。
前記ルーフパネル20は、図9等に示すように、略水平方向に延びる上面部22と、この上面部22の外周縁から下方に折れ曲がる部分と、この折れ曲がり部分の下端から略水平方向に延びるパネル側フランジ部24を有している。このパネル側フランジ部24は、ルーフパネル20車幅方向両縁と前後方向両縁とに設けられている。前記ルーフパネル20の上面部22の前縁は前記フロントウインドガラス40の後縁40aに沿って延びており、前記パネル側フランジ部24の一部は、このフロントウインドガラス40の後縁40aすなわち前記フロントピラー30,30の後縁30dよりも前方に突出している。
図1と図3のIV−IV線断面図である図4、および、IV−IV線よりも後方の部分の斜視図である図7に示すように、前記ルーフパネル20の下方には、車幅方向に延びるフロントヘッダー28が設けられている。このフロントヘッダー28の車幅方向両端は、前記ルーフサイドレール10,10の後述するルーフサイドレールインナ14に接合されている。前記フロントヘッダー28の下方には、車室の天井部全体にわたって車室の内装を構成するルーフトリム29が設けられている。
前記ルーフサイドレール10の構造について説明する。
前記ルーフサイドレール10は、ルーフサイドレールアウタ12と、ルーフサイドレールインナ14と、ルーフサイドレールレインフォースメント18とを有している。ルーフサイドレールアウタ12は、前後方向に延びてルーフサイドレール10の車幅方向外側(以下、単に外側という)の部分を構成する。ルーフサイドレールインナ14は、前記ルーフサイドレールアウタ12の下方において、このルーフサイドレールアウタ12に沿って配置されている。ルーフサイドレールインナ14は、ルーフサイドレール10の車幅方向内側(以下、単に内側という)の部分を構成する。ルーフサイドレールレインフォースメント18は、前記ルーフサイドレールアウタ12とルーフサイドレールインナ14との間にこれらに沿って設けられている。
前記ルーフサイドレールアウタ12は、その下端から外向きに膨張しつつ上方に延びて、その上端で内側に向かって前記ルーフパネル20の上面22と略平行に延びた後、その内側端で下方に折れ曲がり、さらにその下端から内側に折れ曲がって前記ルーフパネル20の上面22と略平行に延びる形状を有しており、このルーフサイドレールアウタ12の内縁には、ルーフパネル20の上面22と略平行に延びるルーフサイドレールアウタフランジ部(ルーフ接合部)13が形成されている。
前記ルーフサイドレールインナ14は、その下端から内側に向かいつつ上方に延びた後、その上端で内側に折れ曲がって前記ルーフパネル20の上面22と略平行に延びる形状を有しており、ルーフサイドレールインナ14の内側縁にはルーフサイドレールインナフランジ部15が形成されている。
前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13とルーフサイドレールインナフランジ部15とは、前記ルーフレールレインフォースメント18の内縁をその間に挟みこんだ状態で、スポット溶接等により互いに接合されている。また、前記ルーフサイドレールアウタ12とルーフサイドレールインナ14とルーフサイドレールレインフォースメント18の各外縁は、互いに接合されており、これら外縁にはウェザーストリップ90が取り付けられている。これにより、ルーフサイドレールアウタ12とルーフサイドレールインナ14との間には、ルーフサイドレール10の軸方向すなわち前後方向と直交する面において閉断面が形成されている。
前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の詳細について説明する。
前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13は、前記ルーフパネル20の車幅方向両縁に設けられたパネル側フランジ部24の下方に、このパネル側フランジ部24に沿って延びるように配置されている。このルーフサイドレールアウタフランジ部13は、前記フロントウインドガラス40の後縁40aすなわち前記フロントピラー30,30の後縁30dよりも後方に位置する本体フランジ部13cと、前記フロントピラー30,30の後縁30dよりも前方に突出する突出部13dとを有している。このルーフサイドレールアウタフランジ部13とパネル側フランジ部24とは互いに接合されている。具体的には、前記本体フランジ部13cは、前記パネル側フランジ部24のうちフロントピラー30,30の後縁30dよりも後方に延びる部分に接合されている。前記突出部13dは、前記パネル側フランジ部24のうちフロントピラー30,30の後縁30dよりも前方に突出する部分に接合されている。
本実施形態では、前記本体フランジ部13cは、前後方向に沿って、その車幅方向の幅が略一定となる形状を有しており、前記突出部13dは、この本体フランジ部13cの前端から前方に向かうほど車幅方向の幅が小さくなる形状を有している。より詳細には、この突出部13dは、その内縁13a_2が本体フランジ部13cの内縁13a_1の前端から前記パネル側フランジ部13の頂部に向かって傾斜する形状を有している。
前記フロントピラー30の構造について説明する。
図1と図3のV−V線断面図である図5、図1と図3のVI−VI線断面図である図6、および、VI−VI線よりも後方の部分の斜視図である図8に示すように、前記フロントピラー30は、フロントピラーアウタ32と、フロントピラーインナ34と、ピラーレインフォースメント38とを有している。これらフロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34とピラーレインフォースメント38とは、それぞれフロントウインドガラス40と略平行に前方に向かうに従って下方に傾斜している。このフロントピラー30の下方には、フロントピラー30を覆い車室の内装の一部を構成するピラートリム39が設けられている。
前記フロントピラーアウタ32は、フロントピラー30の外側の部分を構成する。前記フロントピラーインナ34は、前記フロントピラーアウタ32の下方にこのフロントピラーアウタ32に沿って配置されており、フロントピラー30の内側の部分を構成する。前記ピラーレインフォースメント38は、前記フロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34との間にこれらに沿って設けられている。
前記フロントピラーアウタ32は、鋼製等の一枚の板からなり、この板が折り曲げられることで、その前方に向かうほど下方に傾斜する軸と垂直な方向の断面において、その下端から外向きに膨張しつつ上方に延び、その上端から前記フロントウインドガラス40と略平行に内側に延びた後、その内側端から下方に折れ曲がり、さらにその下端から内側に折れ曲がって前記フロントウインドガラス40と略平行に延びる形状を有しており、このフロントピラーアウタ32の内縁には、フロントウインドガラス40に沿って延びるフロントピラーアウタフランジ部(フロントウインド支持部)33が形成されている。このフロントピラーアウタフランジ部33は、フロントピラーアウタ32の後端から前端まで延びている。このフロントピラーアウタフランジ部33は、後述するように、前記フロントウインドガラス40を支持するためのものであり、前記鋼製の板の縁を折り曲げられるという簡単な手順で前記フロントピラーアウタフランジ部33が形成されている。
前記フロントピラーインナ34は、その下端から内側に向かいつつ上方に延びた後、その上端から内側に折れ曲がって前記フロントウインドガラス40と略平行に延びる形状を有しており、このフロントピラーインナ34の内縁には、フロントウインドガラス40と略平行に延びるフロントピラーインナフランジ部35が形成されている。前記フロントピラーインナフランジ部35は、フロントピラーアウタフランジ部33とほぼ同じ形状を有しており、このフロントピラーアウタフランジ部33に沿って配置されている。
前記フロントピラーアウタフランジ部33とフロントピラーインナフランジ部35は、前記ピラーレインフォースメント38の内側端部をその間に挟みこんだ状態で、スポット溶接等により接合されている。また、前記フロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34とピラーレインフォースメント38の各下縁は、互いに接合されており、これら下縁にはウェザーストリップ90が取り付けられている。これにより、フロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34との間には、フロントピラー30の軸と垂直な方向の断面において、閉断面が形成されている。
前記ルーフサイドレール10の閉断面の車幅方向の幅Wr(図4参照)は、フロントピラー30の閉断面の車幅方向の幅Wf(図5および図6参照)よりも大きく、ルーフサイドレール10はフロントピラー30よりも車幅方向において高い剛性を有している。
前記フロントピラー30の閉断面の高さHf(図5および図6参照)は、ルーフサイドレール10の閉断面の高さHr(図4参照)よりも長く設定されており、フロントピラー30の前後方向の剛性が高められている。ここで、前記高さHfは、前方に向かうにしたがって下方に傾斜するフロントピラー30の軸と直交する面におけるフロントピラー30の閉断面の高さである。従って、前記高さHfが長くされることでフロントピラー30の前後方向の幅は大きくなり、フロントピラー30の前後方向の剛性は高くなる。
前記ルーフサイドレール10とフロントピラー30のうち、車両の側突時は、主にルーフサイドレール10が車両側方から加えられた衝撃を支持する。従って、前記のようにルーフサイドレール10の車幅方向の剛性が高いことで、側突時の衝撃がルーフサイドレール10によって効率よく支持される。
一方、車両の正突時は、主にフロントピラー30が車両正面から加えられた衝撃を支持する。従って、前記のようにフロントピラー30の前後方向の剛性が高いことで、正突時の衝撃がフロントピラー30によって効率よく支持される。
前記フロントピラー30と前記ルーフサイドレール10とは、互いに一体に成形されており、連続して前後方向に延びている。具体的には、前記フロントピラーアウタ32と前記ルーフサイドレールアウタ22とは連続する一枚の板から互いに一体に成形されている。前記フロントピラーインナ34と前記ルーフサイドレールインナ24とは一体的に成形されており連続して延びている。前記ピラーレインフォースメント38と前記ルーフレインフォースメント28とは一体的に成形されており連続して延びている。そして、前記フロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34とで形成される前記フロントピラー30の閉断面と、前記ルーフサイドレールアウタ22と前記ルーフサイドレールインナ24とで形成される前記ルーフサイドレール10の閉断面とは連続して前後方向に延びている。ここで、前記フロントピラーアウタ32とフロントピラーインナ34とが請求項におけるフロントピラーの閉断面を囲む部分を構成し、前記ルーフサイドレールアウタ22と前記ルーフサイドレールインナ24とが請求項におけるルーフサイドレールの閉断面を囲む部分を構成している。
前記フロントピラーアウタフランジ部33の詳細について説明する。
前記フロントピラーアウタフランジ部33には、フロントウインドガラス40の外周縁を支持するためのフロントウインドモール41が設けられている。フロントウインドモール41は、フロントウインドガラス40の左右両縁の下面を支持するための支持部材33cと、フロントウインドガラス40の両縁を把持するための把持部42とによって形成されている。フロントウインドガラス40は、その外周縁に、前記フロントウインドモール41が取り付けられた状態で、このフロントピラーアウタフランジ部33に固定されている。
前記フロントピラーアウタフランジ部33は、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の本体フランジ部13cの外縁13bよりも外側の領域に設けられている。すなわち、このフロントピラーアウタフランジ部33の内縁33aは、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の内縁13bよりも外側において前後方向に延びている。
前記フロントピラーアウタフランジ部33は、フロントピラーアウタ32の後縁であってフロントピラー30の後縁30dから前方に延びており、このフロントピラーアウタフランジ部33の後端部は、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の突出部13dと平面視で前後方向に重複している。このフロントピラーアウタフランジ部33の後端部は、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の突出部13dとつながっており、フロントピラーアウタフランジ部33の後端部の内縁33aは前記突出部13dの外縁13bと同一線上にある。すなわち、前記突出部13dは、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の本体フランジ部13dの前端を一辺とし、前記フロントピラーアウタフランジ部33の後端部の内縁33aを一辺とする略三角形状を有している。このようにして、前記フロントピラーアウタフランジ部33は、この突出部13dを介して前記前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13と連続している。
前記フロントピラーアウタフランジ部33は、その後端から車幅方向の幅が一定で前方に延びる部分と、この部分よりも前方に延びて前方に向かうに従って車幅方向の幅が漸減する部分と、この車幅方向の幅が漸減する部分よりも前方に延びて車幅方向の幅が一定の部分とからなる。ここで、前記フロントピラーアウタフランジ部33の外縁33bは、フロントウインドガラス30の車幅方向の各縁に沿って直線状に延びており、前記フロントピラーアウタフランジ部33は、前方に向かうほど外側に位置している。
このようにフロントピラーアウタフランジ部33が前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の外縁13bよりも外側に位置していることで、このフロントピラーアウタフランジ部33により、前記フロントウインドガラス40はルーフサイドレールアウタフランジ部13よりも外側の位置で支持されている。特に、フロントウインドガラス40は、前方すなわち下方ほど外側の位置で支持されている。なお、このフロントピラーアウタフランジ部33の形状に合わせて、フロントウインドガラス40の車幅方向の幅は、その車幅方向両縁が、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13の外縁13bよりも外側に位置するように設定されている。
以上のように、本実施形態にかかる車両の上部車体構造では、フロントピラーアウタフランジ部33がより外側でフロントウインドガラス40を支持していることで、フロントウインドガラス40のうち前方の視界を形成する領域が車幅方向に広く確保されている。特に、車両走行時等において運転者が主に視認するフロントウインドガラス40の下方部分の視界が広く確保されており、運転操作性および快適性が高められている。しかも、ルーフサイドレール10の車幅方向の幅は十分に確保されており、側突時の衝撃はルーフサイドレール10でより確実に支持される。
また、前記フロントピラー30の閉断面とルーフサイドレール20の閉断面とが連続しており、衝突時の衝撃がフロントピラーアウタフランジ部33とルーフサイドレールアウタフランジ部13を介してフロントピラー30およびルーフサイドレール10に効率よく伝達され、前記衝撃がフロントピラー30およびルーフサイドレール10により効果的に支持される。
さらに、前記フロントピラーアウタフランジ部33とルーフサイドレールアウタフランジ部13が連続しており、フロントピラーアウタフランジ部33とルーフサイドレールアウタフランジ部13の剛性が互いに補強されてこれらの剛性が高められているとともに、衝突時の衝撃がフロントピラーアウタフランジ部33とルーフサイドレールアウタフランジ部13を介してフロントピラー30およびルーフサイドレール10に効率よく伝達される。
ここで、前記フロントピラー30の閉断面の上下方向の長さHfは、前記に限らず、ルーフサイドレール10の前記閉断面の上下方向の長さHrと同等あるいはそれ以上としてもよい。ただし、前記のように、フロントピラー30の閉断面の上下方向の長さHfをルーフサイドレール10の前記閉断面の上下方向の長さHrよりも長くすれば、フロントピラー30の前後方向の剛性が高まり、車両の正突時においてフロントピラー30が正面から加えられた衝撃を安定して支持する。
また、前記フロントピラーアウタフランジ部33は、前記ルーフサイドレールアウタフランジ部13よりも外側であればよく、例えば、前記フロントピラーアウタフランジ部33の本体部33dは、前後方向に一定の幅を有していてもよい。ただし、前記のように、フロントピラーアウタフランジ部33の後方の幅が大きく設定されて、フロントピラーアウタフランジ部33の前方すなわち下方の幅が小さく設定されていれば、車両走行時等において運転者が主に視認するこのフロントウインド40の下側部分の視界を広く確保しつつ、フロントピラー30の後端部の剛性を高めることができる。
また、前記フロントピラー20は、図10および図11に示すように、フロントピラーアウタフランジ部133の外縁133bが、ルーフサイドレールアウタフランジ部113の突出部113dの内縁113aと略平行に延びて、前記突出部113dとフロントピラーアウタフランジ部133の後端部とで構成されるフランジ連続部230が、ルーフサイドレールアウタフランジ部113のフランジ本体部113cの前端から前方に車幅方向の幅が一定で延びていてもよい。
この図10および図11に示す第2の実施形態に係る車両の上部車体構造では、前記フロントピラーアウタフランジ部133の内縁133aは、前記突出部113dの外縁113bから外側に向かって湾曲した後、ルーフサイドレールアウタフランジ部13の外縁113bよりも外側において、フロントウインドガラス40の車幅方向の各縁と略平行に前方に延びている。そして、前記フロントピラーアウタフランジ部133の外縁133bは、前述のように、ルーフサイドレールアウタフランジ部113の突出部113dの内縁113aと略平行に延びた後、フロントピラーアウタフランジ部133の内縁133aと略平行に外側に向かって湾曲した後、フロントウインドガラス40の車幅方向の各縁に沿って前方に延びている。
なお、前記のようなルーフサイドレールアウタフランジ部130の形状に合わせて、前記フロントウインドガラス140は、その上端の車幅方向両端部が外側に湾曲する形状を有している。
このように構成された第2の実施形態に係る車両の上部車体構造では、フロントピラーアウタフランジ部133とルーフサイドレールアウタフランジ部113との境界部分であるフランジ連続部230の車幅方向が一定であり、この境界部分において応力が集中するのが抑制される。すなわち、フロントピラー130あるいはルーフサイドレール10に衝撃が加えられた際等において、この境界部分で折れ曲がるのが抑制されて、フロントピラー130とルーフサイドレール10との間で衝撃荷重等の荷重が効率よく伝達される。
10 ルーフサイドレール
13 ルーフサイドレールアウタフランジ部(ルーフ接合部)
13a ルーフサイドレールアウタフランジ部の内縁
13b ルーフサイドレールアウタフランジ部の外縁
13d 突出部
15 ルーフサイドレールインナフランジ部
20 ルーフパネル
24 パネル側フランジ部
30 フロントピラー
33 フロントピラーアウタフランジ部(フロントウインド支持部)
33a フロントピラーアウタフランジ部の内縁
33b フロントピラーアウタフランジ部の外縁
35 フロントピラーインナフランジ部
113 ルーフサイドレールアウタフランジ部(第2の実施形態に係るルーフ接合部)
113d 突出部(第2の実施形態)
133 フロントピラーアウタフランジ部(第2の実施形態に係るフロントウインド支持部)
230 フランジ連続部

Claims (5)

  1. 車体上部の車幅方向両端に設けられて車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、当該ルーフサイドレール間に跨って配設されたルーフパネルと、前記各ルーフサイドレールの前方に設けられてフロントウインドに沿って前方に向かうに従って下方に傾斜する一対のフロントピラーとを備えた車両の上部車体構造であって、
    前記各ルーフサイドレールは、その軸方向と垂直な方向の断面が閉断面を形成する形状を有するとともに、前記ルーフパネルの車幅方向両縁とそれぞれ接合されるルーフ接合部を有し、
    前記各フロントピラーは、車幅方向内縁に設けられて前記フロントウインドの車幅方向両縁をそれぞれ支持するフロントウインド支持部を有し、
    前記各フロントピラーのフロントウインド支持部は、その車幅方向内縁が前記各ルーフサイドレールのルーフ接合部の車幅方向外縁よりも車幅方向外側に位置する状態で、当該フロントピラーの後端から前方に延びる形状を有し、
    前記各フロントピラーのフロンウインド支持部の車幅方向の幅は、前方ほど小さく設定されていることを特徴とする車両の上部車体構造。
  2. 請求項1に記載の車両の上部車体構造であって、
    前記各フロントピラーは、その軸方向と垂直な方向の断面が閉断面を形成する形状を有し、
    前記各フロントピラーのうち当該フロントピラーの閉断面を囲む部分と前記各ルーフサイドレールのうち当該ルーフサイドレールの閉断面を囲む部分とが車両前後方向に連続していることを特徴とする車両の上部車体構造。
  3. 請求項2に記載の車両の上部車体構造であって、
    前記各フロントピラーの閉断面の上下方向の長さは、前記各ルーフサイドレールの閉断面の上下方向の長さよりも長いことを特徴とする車両の上部車体構造。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両の上部車体構造であって、
    前記ルーフパネルは、前記フロントピラーの後端よりも前方に延びる形状を有し、
    前記ルーフ接合部は、前記フロントピラーの後端よりも前方に突出して当該フロントピラーの後端よりも前方において前記ルーフパネルに接合される突出部を有し、
    前記ルーフ接合部と前記フロントウインド支持部とは、前記突出部を介して互いに連続していることを特徴とする車両の上部車体構造。
  5. 請求項4に記載の車両の上部車体構造であって、
    前記ルーフ接合部の突出部と当該突出部に連続する前記フロントウインド支持部の後端部とからなるフランジ連続部は、その車幅方向の幅が前後方向に略一定となる形状を有していることを特徴とする車両の上部車体構造。
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