以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の光電変換装置の構成及びその動作について説明する。なお、本実施の形態で説明する光電変換装置は、光電変換素子により得られる照度に関するアナログの信号(以下、アナログ信号という)をデジタルの信号(以下、デジタル信号という)に変換して出力する回路(以下、アナログデジタル変換回路:AD変換回路という)である。
まず本発明の光電変換装置における回路図について説明する。図1に示す光電変換装置100は、第1の光電変換素子101、第1の増幅回路102、第1のAD変換回路103、第2の光電変換素子104、第2の増幅回路105、第2のAD変換回路106、及び減算回路107を有する。第1の光電変換素子101は、一方の端子(陰極側)に高電源電位(Vdd)が供給され、他方の端子(陽極側)が第1の増幅回路102に電気的に接続されている。第1の増幅回路102は、第1の光電変換素子101より出力される光電流ILを増幅した第1の電流Iaを低電源電位(Vss)に向けて流すための回路である。また、第1の増幅回路102は低電源電位Vssが供給されている。また、第1のAD変換回路103は、第1の増幅回路102に向けて流れる第1の電流Iaに応じて、第1のデジタル信号Sout1を出力する回路である。第2の光電変換素子104は、一方の端子に高電源電位Vddが供給され、他方の端子が第2の増幅回路105に電気的に接続されている。第2の増幅回路105は、第2の光電変換素子104より出力される光電流IPを増幅した第2の電流Ibを低電源電位Vssに向けて流すための回路である。また、第2の増幅回路105は低電源電位Vssが供給されている。また、第2のAD変換回路106は、第2の増幅回路105に向けて流れる第2の電流Ibに応じて、第2のデジタル信号Sout2を出力する回路である。減算回路107は、第1のAD変換回路103より出力される第1のデジタル信号Sout1と、第2のAD変換回路106より出力される第2のデジタル信号Sout2との差分を演算して、デジタル信号Soutとして出力するための回路である。また図1中矢印108は、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104に入射される外光を表すものである。
なお本明細書にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
なお本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間に何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、対象物を介してAとBとが概略同一ノードとなる場合を表すものとする。
具体的には、トランジスタをはじめとするスイッチング素子を介してAとBとが接続され、該スイッチング素子の導通によって、AとBとが概略同電位となる場合や、抵抗素子を介してAとBとが接続され、該抵抗素子の両端に発生する電位差が、AとBとを含む回路の動作に影響しない程度となっている場合など、回路動作を考えた場合、AとBとが同一ノードとして捉えて差し支えない状態である場合を表す。
第1の光電変換素子101の分光感度特性は、第2の光電変換素子104の分光感度特性の波長領域より広いものであるとする。一例として第1の光電変換素子101は、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン等を用いて作製された光電変換素子のような、可視光の波長領域からずれた分光感度を有する素子とする。本明細書では、単結晶シリコン基板で第1の光電変換素子を形成するものとして説明していく。単結晶シリコン基板で形成された光電変換素子は、可視光の波長領域である360以上830nmの波長領域とは異なり、赤外領域である900nm付近で高い量子効率を有する。そのため、第1の光電変換素子101の外光の分光感度は、可視光領域から赤外領域にかけて広範囲で得られることとなる。そして単結晶シリコンの分光感度に応じた光電流ILが流れることとなる。
また第2の光電変換素子104は、第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を有するものである。一例として、第2の光電変換素子104は、第1の光電変換素子101とモノリシックに作られており、ここでは単結晶シリコン基板を用いて作られているものとする。そして第2の光電変換素子の入射される外光を、可視光を除いた赤外領域の光とする構成とすることにより、第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を得るものとする。そのため、第2の光電変換素子104の分光感度は、赤外領域の光の強度に応じたものとなり、第2の光電変換素子104では、赤外光の分光感度に応じた光電流IPが流れることとなる。
なお本実施の形態では一例として、第2の光電変換素子104で第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を得るために、図17に示すように、光が入射される側に赤外領域の光を透過するフィルタ(以下、赤外光透過フィルタ109)を設ける構成とする。これは、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104より得られるデジタル信号より差分を演算することで、特許文献2にあるように、可視光の強度となるように赤外光を透過するフィルタを選択したことによるものである。本実施の形態では、第1の光電変換素子101より得られる分光感度特性に応じた物理量と、第2の光電変換素子104より得られる分光感度特性より得られる物理量の差分を演算することにより所望の分光感度に応じた物理量が得られるものとして説明を行う。なお、差分を演算することによりデジタル信号Soutが可視光の強度である照度を得られる構成であれば、光フィルタの有無は問わない。
なお、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104には、PINフォトダイオードを適用すればよい。また第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104として、PINフォトダイオードの代わりに、PNフォトダイオードを用いても良い。また第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104は、同じ大きさの開口部により外部からの同じ強度の光が照射される構成とすることがよい。同じ強度の光を第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104で共に受光し、そして電気的な信号の差分を演算することで、正確な照度の算出を行うことができるからである。なお、第1の光電変換素子101と第2の光電変換素子104とを異なる大きさにして形成した際には、遮光部を設けることにより、受光状態を同じ程度にすることができ、好適である。
第1の増幅回路102は、第1の光電変換素子101から出力される光電流ILを増幅した第1の電流Iaを生成するための回路である。また第2の増幅回路105は、第2の光電変換素子104から出力される光電流IPを増幅した第2の電流Ibを生成するための回路である。図2(A)に第1の増幅回路102及び第2の増幅回路105に適用される増幅回路200の一例を示す。図2(A)は示すように増幅回路200はカレントミラー回路で構成されており、第1のnチャネル型トランジスタ201及び第2のnチャネル型トランジスタ202を有する。第1のnチャネル型トランジスタ201の第1端子は第1の光電変換素子101の陽極に電気的に接続されている。第1のnチャネル型トランジスタ201及び第2のnチャネル型トランジスタ202のゲート端子は互いに電気的に接続されており、第1のnチャネル型トランジスタ201の第1端子は第1のnチャネル型トランジスタ201及び第2のnチャネル型トランジスタ202のゲート端子に電気的に接続されている。第1のnチャネル型トランジスタ201及び第2のnチャネル型トランジスタ202の第2端子には低電源電位Vssが供給されている。
また、第1の増幅回路102及び第2の増幅回路105に適用されるカレントミラー回路は、図2(A)で示した第2のnチャネル型トランジスタ202を、図2(B)に示すように電気的に並列に複数配設する構成としてもよい。図2(B)に示すように増幅回路250として、第2のnチャネル型トランジスタ202−1乃至202−N(Nは2以上の自然数)と複数設けることにより、第1の電流Ia及び第2の電流IbをN倍にして第2のnチャネル型トランジスタ202―1乃至202−Nの側で流すことができる。そのため、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104への入射光量が小さい場合であっても十分な電流を流すことができる。また第2のnチャネル型トランジスタ201のチャネル幅を長くする、またはチャネル長を短くすることでも、十分な電流を流すことができる。
また図1で示した第1の増幅回路102及び第2の増幅回路105は、入力電流(光電流IL及び光電流IP)に対する増幅率を照度に応じて切り替える構成としてもよい。図3に、照度に応じて光電流IL及び光電流IPの増幅率を切り替える構成について示す。図3では、一例としては、第1の光電変換素子101からの光電流IL及び第2の光電変換素子104からの光電流IPを増幅する回路を、図2(A)、(B)で示す増幅回路200と増幅回路250とし、選択信号Selectによって光電流IL及び光電流IPを増幅する回路を切り替える切り替え回路300A及び300Bを有する。切り替え回路300Aは第1のスイッチ301A及び301Bを有し、切り替え回路300Bは第2のスイッチ302A及び302Bを有し、選択信号Selectによって第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106に電気的に接続される増幅回路を切り替える。なお、複数の異なる増幅率が得られる増幅回路を配し、切り替え回路300A及び300Bにより入力電流に対する増幅率を照度に応じて切り替える構成とすることで照度に応じた光電流IL及び光電流IPの増幅率を最適化することができる。
なお、nチャネル型トランジスタまたはpチャネル型トランジスタのようなトランジスタは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有しており、ドレイン領域とチャネル領域とソース領域とを介して電流を流すことができる。ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難な場合もある。そこで、本実施の形態においては、ソース及びドレインとして機能する領域のそれぞれを、第1端子、第2端子と表記するものとする。またゲートとして機能する端子については、ゲート端子と表記するものとする。
なお、nチャネル型トランジスタまたはpチャネル型トランジスタのようなトランジスタとして、様々な形態のトランジスタを用いることができる。例えば、光電変換素子と同じ基板上に形成する単結晶シリコンを用いて作製されたトランジスタを用いることができる。また別途形成した、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどに代表される非単結晶半導体膜を有するトランジスタなどを用いることもできる。また、チャネル形成領域に用いる半導体として、化合物半導体、より好ましくは酸化物半導体を用いてもよい。酸化物半導体として、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム亜鉛(Mg(x)Zn(1−x)O)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn(1−x)O)、酸化カドミウム(CdO)、またはIn−Ga−Zn−O系のアモルファス酸化物半導体(a−IGZO)等を用いればよい。酸化物半導体は、透明であるため、光電変換素子と重畳して設けることができ、光電変換装置の小型化を図ることができる。
次に図4を用いて、図1で示した光電変換装置100を具体化した装置を説明する。図4に示す光電変換装置100は、図1で示した第1の増幅回路102、第2の増幅回路105、第1のAD変換回路103、第2のAD変換回路106について具体的な回路構成について示している。第1の増幅回路102及び第2の増幅回路105は、図2(A)に示すようにカレントミラー回路で構成されている。第1のAD変換回路103は、第1のスイッチ401A、第2のスイッチ402A、容量素子403A、コンパレータ404A、ラッチ回路405A、カウンター回路406A、クロック生成回路407Aを有する。第2のAD変換回路106は、第1のスイッチ401B、第2のスイッチ402B、容量素子403B、コンパレータ404B(比較回路ともいう)、ラッチ回路405B、カウンター回路406B、クロック生成回路407Bを有する。
第1のAD変換回路103において、第1のスイッチ401Aの一方の端子は第1の電位(充電電位、またはVsetともいう)が供給され、第2の端子は容量素子403Aの一方の電極、第2のスイッチ402Aの一方の端子、及びコンパレータ404Aの非反転入力端子に電気的に接続されている。容量素子403Aの他方の電極には、低電源電位Vssが供給されている。第2のスイッチ402Aの第2の端子は第1の増幅回路102の第2のnチャネル型トランジスタ202の第1端子に電気的に接続されている。コンパレータ404Aの反転入力端子には第2の電位(参照電位、またはVrefともいう)が供給されている。クロック生成回路407Aは、カウンター回路406Aにクロック信号を供給している。カウンター回路406Aはクロック信号の波数をカウントし、得られるカウント値をラッチ回路405Aに供給する。ラッチ回路405Aは、カウンター回路406Aより取得するカウント値を、コンパレータ404Aからの信号に応じてラッチ(保持)し、第1のAD変換回路103からのデジタル信号Sout1として出力する。
また第2のAD変換回路106において、第1のスイッチ401Bの一方の端子は第1の電位が供給され、第2の端子は容量素子403Bの一方の電極、第2のスイッチ402Bの一方の端子、及びコンパレータ404Bの非反転入力端子に電気的に接続されている。容量素子403Bの他方の電極には、低電源電位Vssが供給されている。第2のスイッチ402Bの第2の端子は第1の増幅回路102の第2のnチャネル型トランジスタ202の第1端子に電気的に接続されている。コンパレータ404Bの反転入力端子には第2の電位が供給されている。クロック生成回路407Bは、カウンター回路406Bにクロック信号を供給している。カウンター回路406Bはクロック信号の波数をカウントし、得られるカウント値をラッチ回路405Bに供給する。ラッチ回路405Bは、カウンター回路406Bより取得するカウント値を、コンパレータ404Bからの信号に応じてラッチし、第2のAD変換回路106からのデジタル信号Sout2として出力する。
なお本明細書において、スイッチは、一方の端子と他方の端子との導通または非導通を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。スイッチとしては、電気的スイッチや機械的なスイッチなどがあり、一例として電界効果トランジスタを用いて構成すればよい。
なお図4では、第1のスイッチ401Aとしてpチャネル型トランジスタ、第2のスイッチ402Aとして、アナログスイッチを用いることが好ましい。第1のスイッチ401Aは一方が固定電位である第1の電位Vsetに電気的に接続されるためpチャネル型トランジスタを用いることが好ましい。また第2のスイッチ402Aは両端の端子の電位が共に変動するため、オンまたはオフを確実に制御するためにアナログスイッチを用いることが好ましい。また、第1のスイッチ401Aと第2のスイッチ402Aとは、交互にオンまたはオフの動作をさせることが好ましい。その結果、第1のスイッチ401A及び第2のスイッチ402Aを光電変換装置100の外部にある制御回路からの信号が一つで動作させることができるため、製造コストを低減することができる。
なお容量素子403Aは、第1のスイッチ401Aがオンになることで第1の電位Vsetにより充電がなされ、その後第2のスイッチ402Aがオンになり、第1の増幅回路102に流れる電流に応じて放電するものである。そのため、第1の増幅回路102の第2のnチャネル型トランジスタ202に電荷が放電される際の時間を考慮して、容量素子403Aの静電容量は電荷を充電できる容量を備えておくことが望ましい。また、第1の電位Vsetは、高電源電位Vdd以下で、低電源電位Vssよりも大きい値に設定することが好ましい。なお、第1の電位Vsetを高電源電位Vddと同じ値にする場合には、高電源電位Vddが固定電位であることが望ましい。
またコンパレータ404Aの反転入力端子に供給される第2の電位Vrefは、第1のスイッチ401Aがオンになることで第1の電位Vsetによる充電がなされ、その後第1の増幅回路102による放電がなされた際の容量素子403Aの一方の電極の電位と、比較することで出力端子よりコンパレータの出力信号を得るための電位である。第2の電位Vrefとしては、第1の電位Vsetよりも小さく、低電位電源Vssより大きい値に設定することが好ましい。コンパレータの出力信号としては、Hレベルの信号またはLレベルの信号が出力されることとなる。
なおラッチ回路405Aは、コンパレータ404Aの出力信号に応じて、カウンター回路406Aより取得したカウント値をラッチしてするための回路である。ラッチ回路405Aで保持されたカウント値は、第1のAD変換回路103からのデジタル信号Sout1として減算回路107に出力する。なお出力されるデジタル信号Soutは、ビット数に応じたバス線にて、ラッチ回路405Aから減算回路107に出力される。
またカウンター回路406Aは、クロック生成回路407Aより出力されるクロック信号の波数をカウントするための回路である。カウンター回路406Aで得られるカウント値はラッチ回路405Aに供給される。
またクロック生成回路407Aは、カウンター回路406Aでカウントをするためのクロック信号をカウンター回路406Aに出力するための回路である。クロック生成回路としては、一例としては、固体振動子発振回路、またはCR発振回路、リングオシレータ等を用いて構成すればよい。
なお第2のAD変換回路106における第1のスイッチ401B、第2のスイッチ402B、容量素子403B、コンパレータ404B、クロック生成回路407B、カウンター回路406B、及びラッチ回路405Bについては、第1のAD変換回路103で説明した各構成と同様であり、説明を省略する。
なお第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106は、上記説明した構成とは別に、高電源電位Vdd、低電源電位Vss、第1の電位Vset及び第2の電位Vref等の複数の電位を生成するための定電圧回路を有する。また第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106は、上記説明した構成とは別に、第1のスイッチ401A及び401B並びに第2のスイッチ402A及び402Bのオンまたはオフを切り替え、ラッチ回路405A及び405B並びにカウンター回路406A及び406Bをリセットするための制御回路を有する。
減算回路107は、デジタル信号Sout1とデジタル信号Sout2との差分を演算するための回路である。具体的には、各ビットに応じたバス線毎に論理回路を設けることにより、差分を演算する構成とすればよい。デジタル信号Sout1からデジタル信号Sout2の差分をとったデジタル値の信号は、単結晶シリコンの分光感度特性より赤外光の分光感度特性が減算された値であり、そしてこのデジタル値の信号は視感度に近い可視光領域の分光感度に応じたデジタル信号Soutとして出力され、照度の出力を得ることができる。
次に図4で示した光電変換装置100での第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106の具体的な動作について、図5、図6(A)、及び図6(B)を用いて説明する。なお図5、図6(A)、及び図6(B)では、第1のAD変換回路103の動作を一例として説明する。図5には、第1のスイッチ401A及び第2のスイッチ402Aのオンまたはオフを切り替えた際の容量素子403Aの一方の電極の電位Vcap、及びコンパレータ404Aの出力信号の電位Vcomp、クロック信号、及びカウント値についてのタイミングチャートについて示したものである。なお、Vcap及びVcompについては、第1の光電変換素子101に光が照射された際の照度の大きさをLIllu(大)、MIllu(中)、SIllu(小)の3段階に分けて説明する。また、図5に示すように、第1のAD変換回路103の動作は、期間A、B、Cの3つの期間で異なる。
まず図5に示した、第1のスイッチ401Aがオフの状態、第2のスイッチ402Aがオンの状態である期間Aでの第1のAD変換回路103の動作を説明する。期間Aにおいて容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは、光電流ILを増幅した第1の電流Iaの大きさに応じて変動し続け、電位の定まらない状態となる。また期間Aにおいて、コンパレータ404Aの出力信号の電位VcompはVcapの電位に応じて変動し続け、電位の定まらない状態となる。なおクロック信号は、期間Aでクロック生成回路407Aよりカウンター回路406Aへ出力される。そのためカウンター回路406Aでは、カウント値がカウントアップされるものの、カウント値は期間Aでラッチ回路405Aに保持されない。
次に第1のスイッチ401Aがオンの状態、第2のスイッチ402Aがオフの状態にある期間Bについて説明する。期間Bにおいて、容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは、光電流ILを増幅した第1の電流Iaの大きさに関わらず第1の電位Vsetとなるものである。また期間Bにおいて、コンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompは照度の大きさに関わらず、第1の電位Vsetが第2の電位Vrefを上回るため、Hレベルの信号が出力されるものである。
期間Bにおける各スイッチのオンまたはオフ、電荷の流れについて、図6(A)に模式的に示す。容量素子403Aは、第1のスイッチ401Aがオンになることによって、第1の電位Vsetが供給される。また、第2のスイッチ402Aがオフになっているため、容量素子403Aから第1の増幅回路102への電荷の移動はない。
次に第1のスイッチ401Aがオフの状態、第2のスイッチ402Aがオンの状態にある期間Cについて説明する。まず期間Cにおいて、第1の光電変換素子101への照度が大きい場合(図5中 LIllu)、第1の増幅回路102に向けて流れる第1の電流Iaが大きくなり、容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは下降する。そのため、時間t0(時間t0<時間t1<時間t2<時間t3)で容量素子403Aの電位VcapがVsetであったのが時間t1で電位Vrefとなり、その後容量素子403Aからの放電が完了することで電位Vssとなる。このとき、コンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompは、容量素子403Aの電位Vcapが第1の電位Vsetから第2の電位Vrefをとなった際に、Lレベルの信号を出力する。そして、当該信号でラッチ回路405Aは、入力されるカウント値を保持する。なお期間Cになる時間t0と同時に、カウンター回路406Aおよびラッチ回路405Aがリセットされ、カウンター回路406Aでクロック信号に基づくカウントアップがなされる。そして、時間t1にコンパレータ404Aの出力信号の電位Voutがラッチ回路405Aに入力されることで時間t0から時間t1の間の期間のクロック信号に基づいたカウント値t1countが得られることとなる。
また第1のスイッチ401Aがオフの状態、第2のスイッチ402Aがオンの状態にある期間Cであって、第1の光電変換素子101への照度が中程度の場合(図5中 MIllu)、第1の増幅回路102に向けて流れる第1の電流Iaが大きい場合に比べて小さいため、容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは減少の割合は小さいものの下降していく。そのため、時間t0で容量素子403Aの電位VcapがVsetであったのが時間t2で電位Vrefとなり、その後容量素子403Aからの放電が完了することで電位Vssとなる。このとき、コンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompは、容量素子403Aの電位Vcapが第1の電位Vsetから第2の電位Vrefとなった際に、Lレベルの信号を出力する。そして、当該信号でラッチ回路405Aは、入力されるカウント値を保持する。なお期間Cになる時間t0と同時に、カウンター回路406Aおよびラッチ回路405Aがリセットされ、カウンター回路406Aでクロック信号に基づくカウントアップがなされる。そして、時間t2にコンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompがラッチ回路405Aに入力されることで時間t0から時間t2の間の期間のクロック信号に基づいたカウント値t2countが得られることとなる。
また第1のスイッチ401Aがオフの状態、第2のスイッチ402Aがオンの状態にある期間Cであって、第1の光電変換素子101への照度が小さい場合(図5中 SIllu)、第1の増幅回路102に向けて流れる第1の電流Iaも小さく減少の割合も小さいものの、容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは下降していく。そのため、時間t0で容量素子403Aの電位VcapがVsetであったのが時間t3で電位Vrefとなり、その後容量素子403Aからの放電が完了することで電位Vssとなる。このとき、コンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompは、容量素子403Aの電位Vcapが第1の電位Vsetから第2の電位Vrefとなった際に、Lレベルの信号を出力する。そして、当該信号でラッチ回路405Aは、入力されるカウント値を保持する。なお期間Cになる時間t0と同時に、カウンター回路406Aおよびラッチ回路405Aがリセットされ、カウンター回路406Aでクロック信号に基づくカウントアップがなされる。そして、時間t3にコンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompがラッチ回路405Aに入力されることで時間t0から時間t3の間の期間のクロック信号に基づいたカウント値t3countが得られることとなる。
期間Cにおける各スイッチのオンまたはオフ、電荷の流れについて、図6(B)に模式的に示す。容量素子403Aは、第1のスイッチ401Aがオフになることによって、新たに第1の電位Vsetが供給されることはない。一方、第2のスイッチ402Aがオンになっているため、容量素子403Aから第1の増幅回路102へ第1の電流Iaが流れ、容量素子403Aの放電が行われる。なお、第1の増幅回路102に流れる第1の電流Iaは、第1の増幅回路102が図2(A)で説明したようにカレントミラー回路を形成していることにより、光電流ILに比例した大きさとなる。
なお、第1のスイッチ401Aがオフの状態、第2のスイッチ402Aがオンの状態にある期間Cであって、第1の光電変換素子101に光が照射されず光電流ILが流れない場合、容量素子403Aの一方の電極の電位Vcapは、第1の増幅回路102に流れる第1の電流Iaが生じないため、ほとんど減少しない。そのため、時間t0で容量素子403Aの電位VcapがVsetであるものの、時間の経過に伴う電位Vrefへの変化がない。このとき、コンパレータ404Aの出力信号の電位Vcompは、容量素子403Aの電位Vcapが第1の電位Vsetから第2の電位Vrefに変化しないため、Hレベルの信号が出力し続けるものである。またクロック信号は、期間Cになった時間t0より、カウンター回路406Aへの出力がなされる。そのため上述のように照度に応じたカウント値を得ることが出来ず、カウント値はカウンター回路406Aの最大値に達してしまう。この場合、カウント値の最大値をラッチ回路に出力することが好ましい。
図5、図6(A)、図6(B)で説明した光電変換装置100での第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106の具体的な動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
まず光電変換装置100は容量素子403Aへの電荷の充電(リセット)を開始する(ステップ701)。容量素子403Aへの電荷の充電は、上述したように第1のスイッチ401Aをオン、第2のスイッチ402Aをオフにすることにより、第1の電位Vsetが供給された配線と容量素子403Aとを電気的に接続させることによって行われる。またステップ701では容量素子403Aの充電と共に、クロック生成回路407Aからのクロック信号の出力が行われている。
次に光電変換装置100は、容量素子403Aへの電荷の充電の後、カウンター回路406Aのカウント値のリセットを行う(ステップ702)。また、ステップ702ではカウンター回路406Aのカウント値のリセットと共に、ラッチ回路405Aに保持されたカウント値の初期化を行う。
次に光電変換装置100は、第1の増幅回路102により、容量素子403Aに充電された電荷の放電をおこなう(ステップ703)。容量素子403Aからの電荷の放電は、上述したように第1のスイッチ401Aをオフ、第2のスイッチ402Aをオンにすることにより、容量素子403Aと第1の増幅回路102との電気的な接続をさせることによって行われる。なお容量素子403Aに充電された電荷の放電は、ステップ702で行われるカウンター回路406Aのリセットと共に開始されてもよい。
次にステップ703では、クロック生成回路407Aからのクロック信号の出力に応じて、カウンター回路406Aではカウント値のカウントアップが行われる(ステップ704)。
次にステップ704で、カウントアップするカウント値が最大値に達した否かが判断される(ステップ705)。ステップ705のとき、カウント値が最大値に達していなければ、ラッチ回路405Aに出力されるコンパレータ404Aからの出力信号VcompがLレベルであるか否かの判断がされる(ステップ706)。ステップ706のとき、カウント値が最大値に達しておらず、且つコンパレータ404Aの出力がLレベルではない場合、再度ステップ704でのカウント値のカウントアップが行われる。ステップ705で、カウントアップするカウント値が最大値に達した場合、及びカウント値が最大値に達しておらず、且つコンパレータ404Aの出力がLレベルのとき、ラッチ回路405Aがカウント値をラッチする(ステップ707)。以上の動作により、光電変換装置100はラッチ回路405Aでラッチしたカウント値に基づいて光電流ILの大きさに応じたデジタル信号Sout1を出力させることができる。なお、上記説明した第1のAD変換回路103は、カウント値が小さい程、光電流ILが大きく、カウント値が大きいほど光電流ILが小さいということになる。カウント値が最大の場合には、光の検出がされなかったこととなるため、光の強度も「0」ということになる。
また図5乃至図7での説明では、第1のAD変換回路103を一例として、説明したが、第2のAD変換回路106についても同様にして、光電流IPの大きさに応じたデジタル信号Sout2を出力させることができる。
第2のAD変換回路より得られるデジタル信号Sout2は、第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を得るため、図17で示したように赤外光透過フィルタ109を透過して第2の光電変換素子104に照射されて得られる光電流IPに応じた信号である。一方、第1のAD変換回路103より得られるデジタル信号Sout1は、本実施の形態では、単結晶シリコン基板を用いて作られた第1の光電変換素子101に照射されて得られる光電流ILに応じた信号である。そのため、可視光の波長領域とは異なり、赤外領域である900nm付近で高い量子効率を有する。そのため、減算回路107で、デジタル信号Sout1からデジタル信号Sout2を減算することにより、可視光領域の分光感度に応じたデジタル信号Soutを得ることができる。
上述のように本実施の形態の構成では、光電流IL、光電流IPの差分をとることにより、照度の出力をデジタル値で得ることができる。
また、光電流IL、光電流IPに応じて変化するデジタル信号Soutは、光の強度と光電流ILとの関係が比較的線形性を有するため、光電流ILが小さければ、出力されるデジタル信号Soutの変化が緩やかとなる。そのため、デジタル信号Soutについて、光電流ILが小さい場合、光電変換素子に照射される光の照度に対応する値の間隔を大きくすることができる。そして特に、低照度領域(例えば、1ルクス(lx)以上1000ルクス以下)の光の大きさを検出する上で分解能を向上させることができる。なお照度を横軸、デジタル信号Soutのデジタル値を縦軸とした際の関係について図8に示す。図8に示すように、照度の増加に伴い、デジタル値が減少する右下がりのグラフとなる。
なお、図8において、デジタル信号Soutのデジタル値は16ビット(0乃至65535)のデジタル値を生成するものとし、また、デジタル値に対応する照度としては、一例として、1ルクス乃至10000ルクスとして示している。
上記照度とデジタル信号Soutのデジタル値の関係が右下がりのグラフに対して、照度の増加によってデジタル値も増加する、いわゆる右上がりのグラフだと、照度が大きすぎるとデジタル値が飽和してしまう。また、右上がりのグラフで低照度領域の分解能を高くしようとすると、低照度領域で対応するデジタル値の間隔をあけてとる必要があるため、照度のダイナミックレンジは広く取れないといったことになる。これに対し、右下がりのグラフの関係を有する本実施の形態で示す構成では、低照度であるとデジタル値が飽和するため、低照度領域の分解能を高めたとしてもダイナミックレンジを広くできる。そのため、本実施の形態で示す構成においては、特に低照度領域で分解能も高く、確度の高い照度に応じたデジタル値のデジタル信号を出力することができるとともに、広いダイナミックレンジを実現できる。
以上説明したように本実施の形態の光電変換装置の構成では、視感度に近い分光感度特性を得ることができると共に、低照度領域での照度の分解能を向上させた光電変換装置を提供することができる。
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは別の構成について説明する。
まず本発明の光電変換装置における回路図について説明する。図9に示す光電変換装置900は、第1の光電変換素子101、第1の増幅回路102、第2の光電変換素子104、第2の増幅回路105、減算回路901、電圧電流変換回路902、及びAD変換回路903を有する。第1の光電変換素子101は、一方の端子(陰極側)に高電源電位(Vdd)が供給され、他方の端子(陽極側)が第1の増幅回路102に電気的に接続されている。第1の増幅回路102は、第1の光電変換素子101より出力される光電流ILを増幅した第1の電流Iaを低電源電位(Vss)に向けて流すための回路である。また、第1の増幅回路102は低電源電位Vssが供給されている。第2の光電変換素子104は、一方の端子に高電源電位Vddが供給され、他方の端子が第2の増幅回路105に電気的に接続されている。第2の増幅回路105は、第2の光電変換素子104より出力される光電流IPを増幅した第2の電流Ibを低電源電位Vssに向けて流すための回路である。また、第2の増幅回路105は低電源電位Vssが供給されている。減算回路901は、第1の電流Ia及び第2の電流Ibの差分を演算し、電圧Vsubとして出力するための回路である。また電圧電流変換回路902は、電圧Vsubに応じた第3の電流Isubを電圧電流変換回路902に向けて流すための回路である。また、AD変換回路903は、電圧電流変換回路902に流れる第3の電流Isubに応じて、デジタル信号Soutを出力する回路である。また図9中矢印108は、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104に入射される外光を表すものである。
なお本実施の形態では一例として、図9で示す構成の第2の光電変換素子104で第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を得るために、図18に示すように、光が入射される側に赤外光透過フィルタ109を設ける構成とする。これは、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104より得られるデジタル信号より差分を演算することで、特許文献2にあるように、可視光の強度となるように赤外光を透過するフィルタを選択したことによるものである。本実施の形態では、第1の光電変換素子101より得られる分光感度特性に応じた物理量と、第2の光電変換素子104より得られる分光感度特性より得られる物理量の差分を演算することにより所望の分光感度に応じた物理量が得られるものとして説明を行う。なお、差分を演算することによりデジタル信号Soutが可視光の強度である照度を得られる構成であれば、光フィルタの有無は問わない。
なお、減算回路901は、第1の増幅回路102及び第2の増幅回路105で得られる第1の電流Ia及び第2の電流Ibの差分をとり、電圧値として出力する回路である。図9では、電圧Vsubが出力される構成としているが、第1の電流Iaと第2の電流Ibとの差分を出力する回路であればよく、出力は電圧値によるものであっても、電流値によるものであってもよい。なお減算回路で差分を取る際にオペアンプによる差分を演算するには、第1の電流Ia及び第2の電流Ibを一旦電圧値に変換した上でオペアンプに入力して、電圧Vsubを出力する構成とすればよい。減算回路901で第1の電流Iaと第2の電流Ibとの差分が演算されることで、単結晶シリコンの分光感度特性より赤外光の分光感度特性が減算された値である、視感度に近い可視光領域の分光感度に応じた電圧Vsubが出力されることとなる。そのため、電圧Vsubは光電変換装置900に照射される光の照度に応じた信号となる。
なお、電圧電流変換回路902は電圧Vsubを第3の電流Isubに変換し、第3の電流IsubをAD変換回路903から電圧電流変換回路902に向けて流すための回路である。一例としては、トランジスタ等を用いて構成し、電圧Vsubがトランジスタのゲートに印加されるように構成すればよい。なお第3の電流Isubも、電圧Vsubと同様に、光電変換装置900の照度に応じた信号となる。
なお、AD変換回路903は、上記実施の形態1で説明した第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106の構成と同様である。また動作についても、上記実施の形態1で説明した第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106について説明した箇所と同様である。そのため、光電変換装置900は、照度に応じたデジタル信号Soutを出力することができる。
以上説明したように本実施の形態の光電変換装置の構成では、視感度に近い分光感度特性を得ることができると共に、低照度領域での照度の分解能を向上させた光電変換装置を提供することができる。
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは別の構成について説明する。
まず本発明の光電変換装置における回路図について説明する。図10に示す光電変換装置1000は、第1の光電変換素子101、第1の増幅回路102、第2の光電変換素子104、第2の増幅回路105、カレントミラー回路1001、及びAD変換回路903を有する。第1の光電変換素子101は、一方の端子(陰極側)に高電源電位(Vdd)が供給され、他方の端子(陽極側)が第1の増幅回路102に電気的に接続されている。第1の増幅回路102は、第1の光電変換素子101より出力される光電流ILを増幅して第1の電流Iaを低電源電位(Vss)に向けて流すための回路である。また、第1の増幅回路102は低電源電位Vssが供給されている。第2の光電変換素子104は、一方の端子に高電源電位Vddが供給され、他方の端子が第2の増幅回路105に電気的に接続されている。第2の増幅回路105は、第2の光電変換素子104より出力される光電流IPを増幅して第2の電流Ibを低電源電位Vssに向けて流すための回路である。また、第2の増幅回路105は低電源電位Vssが供給されている。カレントミラー回路1001は、第2の電流Ibを、第1の電流Iaが第1の増幅回路102に向けて流れる配線に、流すための回路である。AD変換回路903と、第1の増幅回路102及びカレントミラー回路1001とが電気的に接続される配線に、第1の電流Ia及び第2の電流Ibが流れることにより、第1の電流Iaと第2の電流Ibとが相殺されて、第3の電流Isubが生成されることとなる。また、AD変換回路903は、AD変換回路903より流れる第3の電流Isubに応じて、デジタル信号Soutを出力する回路である。また図9中矢印108は、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104に入射される外光を表すものである。
なお本実施の形態では一例として、図10で示す構成の第2の光電変換素子104で第1の光電変換素子101とは異なる分光感度特性を得るために、図19に示すように、光が入射される側に赤外光透過フィルタ109を設ける構成とする。これは、第1の光電変換素子101及び第2の光電変換素子104より得られるデジタル信号より差分を演算することで、特許文献2にあるように、可視光の強度となるように赤外光を透過するフィルタを選択したことによるものである。本実施の形態では、第1の光電変換素子101より得られる分光感度特性に応じた物理量と、第2の光電変換素子104より得られる分光感度特性より得られる物理量の差分を演算することにより所望の分光感度に応じた物理量が得られるものとして説明を行う。なお、差分を演算することによりデジタル信号Soutが可視光の強度である照度を得られる構成であれば、光フィルタの有無は問わない。
なお、カレントミラー回路1001は、第2の増幅回路105で得られる第2の電流Ibと同じ大きさの電流を流すための回路である。図11にカレントミラー回路の具体的な回路構成について示す。図11でカレントミラー回路1001は、第1のpチャネル型トランジスタ1101、第2のpチャネル型トランジスタ1102を有する。第1のpチャネル型トランジスタ1101の第1端子及び第2のpチャネル型トランジスタ1102の第1端子は、高電源電位Vddに電気的に接続されている。第1のpチャネル型トランジスタ1101及び第2のpチャネル型トランジスタ1101のゲート端子は互いに電気的に接続されており、第1のpチャネル型トランジスタ1101の第2端子に電気的に接続されている。第1のpチャネル型トランジスタ1101の第2端子は第2の増幅回路105に電気的に接続されており、第2の増幅回路105に向けて第2の電流Ibが流れている。第2のpチャネル型トランジスタ1102の第2端子は第1の増幅回路102及びAD変換回路903に電気的に接続されている。
第1の増幅回路に向けて流れる第1の電流Iaとカレントミラー回路より流れる第2の電流Ibの大きさは、光電流IL及び光電流IPの大きさに依る。光電流ILは、単結晶シリコンが有する分光感度特性に基づいた光の強度に応じて出力されるものである。一方、光電流IPは、単結晶シリコンが有する分光感度特性より、可視光以下の光以外の分光感度特性が分離された赤外光の強度に応じて出力されるものである。そのため、第1の電流Iaは、第2の電流Ibより大きくなり、(Ia−Ib)の大きさを有するIsubがAD変換回路903より流れることとなる。AD変換回路903よりIaとIbの差分であるIsubが流れることで、単結晶シリコンの分光感度特性より赤外光の分光感度特性が減算された値であり、そして視感度に近い可視光領域の分光感度に応じたデジタル信号Soutとして照度を得ることができる。
なお、AD変換回路903は、図12に示すように、上記実施の形態1で説明した第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106の構成と同様である。また動作についても、上記実施の形態1で説明した第1のAD変換回路103及び第2のAD変換回路106について説明した箇所と同様である。そのため、光電変換装置900は、照度に応じたデジタル信号Soutを出力することができる。
以上説明したように本実施の形態の光電変換装置の構成では、視感度に近い分光感度特性を得ることができると共に、低照度領域での照度の分解能を向上させた光電変換装置を提供することができる。
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した光電変換装置に加え、デジタル信号が出力される外部の回路を加えたブロック図の構成について図13、図14を用いて説明する。
図13に示すデジタル出力型のフォトIC1300は、図1で示した光電変換装置100、アドレスメモリ1301、I2C(Inter Integrated circuit)インターフェース回路1302を有する。また、I2Cインターフェース回路1302は、他の装置とのデータ通信のためのシリアルデータライン(SDA)と、他の装置との間のデータ通信を制御及び同期化するためのシリアルクロックライン(SCL)と、からなるI2Cバスによって外部装置と電気的に接続されている。SDAとSCLからなるI2Cバスは、各装置に設けられるアドレスメモリに割り振られた固有のアドレスによって、マイクロコンピュータ1311からの制御を行うためのバス規格である。なお他の装置が液晶表示装置である場合には、一例として、アドレスメモリ1321、I2Cインターフェース回路1322、ロジック部1323を有するディスプレイドライバー1312、アドレスメモリ1331、I2Cインターフェース回路1332、ロジック部1333を有するLEDドライバー1313がI2Cバスに電気的に接続される構成となる。他の装置がEL素子を具備する表示装置の場合には、バックライトであるLEDの制御を行うLEDドライバーは必ずしも必要ない。
なお、上記実施の形態での光電変換装置より得られるデジタル信号は、I2Cインターフェース回路1302を介して、LEDドライバー1313等の他の外部装置に送られる。LEDドライバー1313は、フォトIC1300で得られた照度に関するデジタル信号に応じて、表示装置のバックライトであるLEDを制御するための信号を生成し、出力するものである。
また図13に示したデジタル出力型のフォトIC1300について、別の構成を図14に示す。図14で示すフォトIC1300は、光電変換装置100に加え、アドレスメモリ1301、I2Cインターフェース回路1302、LEDドライバー1401を有する。また、I2Cインターフェース回路1302は、SDAと、SCLと、からなるI2Cバスによってディスプレイドライバー1312と電気的に接続されている。図14に示す構成が、図13と異なる点はフォトIC1300の内部にロジック部1333を有するLEDドライバー1401とする点にある。LEDドライバー1401をフォトIC1300の内部に設ける構成とすることにより、光電変換装置100で生成されたデジタル信号を直接LEDドライバー1401で受け取り、I2Cインターフェース回路1302より出力することができるため、回路の共通化を図ることができるため、小型化及び高付加価値化を図ることができる。
なお図13、図14において、各回路のインターフェースは、一例として、デジタルシリアルインターフェースの一つであるI2Cインターフェースを用いる構成について示した。なおI2Cバス以外に、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus)、シリアル周辺インターフェース(Serial Peripheral Interface)等のバス規格を用いることが可能である。
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
(実施の形態5)
本発明の光電変換装置は、視感度に近い分光感度特性を得ることができると共に、低照度領域での照度の分解能を向上させることができるといった特徴を有している。よって、本発明の光電変換装置を具備する電子機器は、光電変換装置をその構成要素に追加することに伴って、視感度に近い分光感度特性で照度を得ることができ、暗所での光の検出を行うことができる。本発明の光電変換装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の光電変換装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図15、図16に示す。
図15(A)は表示装置であり、筐体1501、表示部1502、センサ部1503等を有する。本発明の光電変換装置は、センサ部1503に用いることができる。センサ部1503は外光の強度を検知する。表示装置は、検知した外光の強度に合わせて、表示部1502の輝度のコントロールを行うことができる。外光の強度に合わせて表示部1502の輝度のコントロールすることで、表示装置の消費電力を抑えることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図15(B)は、デジタルフォトフレームであり、筐体1511、表示部1512、センサ部1513等を有する。表示部1512は、デジタルカメラ等などで撮影した画像を表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。本発明の光電変換装置は、センサ部1513に用いることができる。センサ部1513は外光の強度を検知する。表示装置は、検知した外光の強度に合わせて、表示部1512の輝度のコントロールを行うことができる。外光の強度に合わせて表示部1512の輝度のコントロールすることで、表示部での視認性の向上を図ることができる。
図16(A)乃至(C)は撮像機能付き(以下、デジタルカメラ機能ともいう)の携帯電話の例を示す図である。図16(A)はデジタルカメラ機能をさせる場合の前面方向から見た斜視図である。また図16(B)は、デジタルカメラ機能をさせる際の背面方向から見た斜視図である。また図16(C)は携帯電話機能をさせる場合の斜視図である。図16(A)においてデジタルカメラ機能付き携帯電話には、筐体1601、シャッターボタン1602、フラッシュ1603、レンズ1604、センサ1605が備えられている。また図16(B)には、筐体1601、シャッターボタン1602、表示部1611、音声出力部1612、センサ1613、操作ボタン部1614が備えられている。また図16(C)には、筐体1601、シャッターボタン1602、表示部1611、音声出力部1612、センサ1613、操作ボタン部1614、操作ボタン1621、音声入力部1622が備えられている。
図16(A)乃至(C)で示すシャッターボタン1602は、押下されるとシャッターが開き、レンズ1604が有する撮像素子により画像を撮ることができる。なおレンズ1604の撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)、CMOSセンサ等を用いればよい。
図16(A)で示すフラッシュ1603は、センサ1605で検知する照度の値に応じて、シャッターボタンが押下されてシャッターが開くと同時に補助光を照射する。フラッシュ1603の補助光により、被写体周辺が低照度下にあっても画像を撮ることができる。本発明の光電変換装置は、センサ1605に用いることができる。センサ1605としてデジタル信号を出力する光電変換装置を用いることにより、レンズ1604及びフラッシュ1603とデジタル信号での信号の入出力を行うことができる。なお、フラッシュ1603としては、LEDフラッシュ、またはキセノンフラッシュを用いることができる。キセノンフラッシュを用いることで、補助光の発光スペクトルを太陽光に近づけることができるため、より自然な画像を撮ることができる。
図16(B)、(C)で示す表示部1611は、レンズ1604の撮像素子に映る画像を見るためのものである。センサ1605及び/またはセンサ1613は検知した照度に合わせて、輝度のコントロールを行うことができる。照度に応じて表示部1611の輝度のコントロールすることで、携帯電話の消費電力を抑え、視認性の向上を図ることができる。また操作ボタン部1614は、デジタルカメラ機能を操作することが可能なボタンであり、各ボタンにより複数の機能を操作することができる。表示部1611はタッチセンサパネルとすることで、複数の機能の操作と画像を見ることとを一体に行うことができ、表示部の大型化を図ることができる。なお図16(B)では、携帯電話機能で用いる音声出力部1612を示している。
図16(C)に、携帯電話で通話するときの形態を示す。図16(C)に示すように、図16(A)、(B)で示した形態での筐体1601を伸長させることで、携帯電話機能を使用する。音声出力部1612及び音声入力部1622は、通話機能をさせるためのものである。また操作ボタン部1614及び操作ボタン1621は、電話番号等を入力するためボタンである。
なお本実施の形態で示すデジタルカメラ機能付き携帯電話では、携帯電話機能を使用する際、筐体を伸長させる構成としたが、折りたたんで使用するクラムシェル型の携帯電話であっても本発明の適用を行うことができる。
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。