JP5500476B2 - 照明用ledランプの電源装置および照明システム - Google Patents
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Description
近年、長寿命などの特徴を持つLEDランプの高出力化が進み、従来型ランプに代えて街路灯、車のヘッドライトなどにLEDランプを用いる試みがある。このような現状に対し、発明者は、従来型ランプに用いられてきた既存の調光器をそのまま、LED照明の調光器として用いる研究を鋭意行ってきた。白熱ランプの調光器を用いてLEDランプを調光することができれば、LED照明の利便性を高める上で、非常に好都合である。
交流電力が位相制御されない通常の電圧波形のものであれば、交流の半周期においてゼロから連続的に上昇する電圧が、ノイズ除去回路53を構成するコンデンサC1に印加される。
しかしながら、図4(A)のように位相制御された交流電力を供給する場合、トライアック56がオンとなる瞬間に、ゼロ電圧からではなく、いきなり大きな電圧がコンデンサC1に印加され、コンデンサC1に過大な瞬時電流が流れる。このため、トライアック56の誤動作が発生してしまう。誤動作とは、トライアック56がオンした直後、過大な瞬時電流によって電圧が降下し、トライアック56がすぐにオフして非導通状態になってしまう現象を指す。以降、このような過大な瞬時電流のことを突入電流と呼ぶ。
特許文献2の技術において、並列抵抗RHに流れる電流が必要最小限となるように抵抗値を選択することで、並列抵抗RHによる電力ロスを最小化できるが、照明負荷の接続台数に応じて可変抵抗を適切に調節するのは容易ではなく、非常に手間がかかる。また、常時接続されている並列抵抗RHには、交流電圧の振幅が大きい期間には大きな入力電流が流れるため、抵抗値が必要以上に大きいと、その分の電力ロスも無視できなくなる。従って、並列抵抗RHの抵抗値は低めに設定する必要がある。一方、位相制御回路の誤動作を確実に防止するためには、並列抵抗RHの抵抗値を高めに設定してある程度の余裕を持たせることが好ましい。このように、並列抵抗RHを用いて、誤動作防止と電力ロスの低減との効果を両立させるのは非常に困難であった。
前記交流電力が供給される一対の入力端子と、
前記入力端子の一方に直列に接続される突入電流制限回路と、
前記入力端子の他方および前記突入電流制限回路の出力端に対して並列に接続される、コンデンサ及び変換回路と、を備え、
前記変換回路は、前記突入電流制限回路および前記コンデンサを介して入力される交流電力を前記LEDランプの電源電力に変換し、
前記突入電流制限回路は、コイルおよび抵抗を並列接続した回路を有し、前記コイルは、100μH以上、10mH以下のインダクタンスを有するチョーク・コイルであり、前記抵抗は、1Ω〜100Ωの抵抗値を有し、
各半周期の途中で交流電流を導通させることにより位相制御された交流電力が前記入力端子に供給される場合、前記突入電流制限回路は、前記交流電流の導通直後に前記入力端子から前記コンデンサに短絡的に流入する電流を前記抵抗の作用で制限するとともに、その半周期が終わるまでの安定状態においては前記突入電流制限回路での電力ロスを前記コイルの作用で回避することを特徴とする。
また、本発明では、交流電流の導通直後に入力端子からコンデンサに短絡的に流入する電流のことを瞬時電流と呼び、特に、位相制御の誤動作の原因となるような過大な瞬時電流を突入電流と呼ぶものとする。以降、本発明のコンデンサをC1、突入電流制限回路の抵抗をR1、コイルをL1として説明する。
また、コイルL1を抵抗R1に対して並列接続したことにより、導通から次の半周期までの定常状態においては、突入電流制限回路の抵抗値がゼロに近くなり、抵抗R1を設けたことによる電力ロスを避けることができる。
以上の回路構成を備えた本発明の電源装置によれば、従来の白熱ランプ用の位相制御装置を用いる場合であっても、点弧ミスおよび電力ロスの増大が生じることなく、所定の電源電力をLEDランプに供給することができ、LEDランプの照度を調整することができる。
各半周期の途中で交流電流を導通させることにより位相制御された交流電力を出力する位相制御装置と、
前記位相制御装置からの交流電力を分岐する分岐装置と、
前記分岐装置にそれぞれ接続される複数の照明器具と、を備え、
前記複数の照明器具は、白熱ランプとLEDランプとを少なくとも1つずつ有し、
前記LEDランプは、請求項1または2記載の電源装置を介して前記分岐装置に接続されていることを特徴とする。
図1に示すように、電源装置1は、位相制御された交流電力を所定の電源電力に変換してLEDランプ2に供給するためのものであって、一対の入力端子3,4と、突入電流制限回路5と、ノイズ除去回路6と、変換回路7とを備えている。
また、LEDランプ2は、変換回路7に接続されている。
なお、一方の入力端子3には、図1のように第1接続点31、第2接続点32、第3接続点33がこの順番に直列接続されている。また、他方の入力端子4には、第4接続点34が接続されている。前述の突入電流制限回路5を構成するコイルL1および抵抗R1は、第1接続点31および第2接続点32の間に並列接続されている。
第1のノイズ防止用コンデンサC1は、突入電流制御回路5および他方の入力端子4に対して並列接続されている。チョークコイルT1は、ノイズ防止用コンデンサC1のLEDランプ側に接続され、第2のノイズ防止用コンデンサC2は、さらにLEDランプ側に並列接続されている。
なお、ノイズ防止用コンデンサC1と後述する変換回路7とは、第3接続点33および第4接続点34に対して並列接続されている。
整流回路11は、ノイズ除去回路6を通過した交流電力から直流電力を発生させる。直流電力は、平滑回路12でわずかに平滑化されて、DC-DC変換回路13に送られる。
制御回路15は、絶縁型オペアンプ14からの信号に基づき、LEDランプ2の電流値が設定された電流値となるように、スイッチング素子Q1をオンさせるパルス幅を制御する。これと同時に制御回路15は、抵抗R2,R3で分圧された全波整流波形の電圧値に比例するようにスイッチング素子Q1のオン・オフ周期を制御し、力率改善をおこなわせるようになっている。
スイッチング素子Q1の切り替えによって、高周波トランスT2に高周波電圧が印加され、LEDランプ側の回路に所定の高周波電力が発生する。発生した高周波電力は、ダイオードD2で整流され、平滑コンデンサC5により平滑化された後、LEDランプ2に供給されるようになっている。
照明用のLEDランプ2は、熱に弱いにも関わらず、低い温度で大量の熱が発生する。従って、放熱板を設けて放熱面積を多く取る必要があり、さらに放熱性能を良くするためにはLEDランプ2と放熱板との絶縁層を薄くする必要がある。そのため、交流電源9と放熱板との絶縁性に関して、LEDランプ2によって絶縁性を確保することが困難となり、本実施形態の電源装置1において絶縁性を確保する必要がある。電源装置1には、絶縁型の高周波トランスT2および絶縁型オペアンプ14を使用して、照明用LEDと交流電源との絶縁をおこなうことができる。
突入電流防止装置5のコイルL1は、インダクタンスが大きいほど突入電流の制限機能が良くなるという特性を有する。しかし、コイルL1のインダクタンスが大き過ぎると、コイルL1によって交流電流の流れが制限されたり、交流電流の波形が歪んだりする可能性がある。一方、コイルL1のインダクタンスが小さ過ぎると、突入電流の制限機能が低下する。以上のことから、本実施形態では、100μH以上、10mH以下のインダクタンスを有するチョーク・コイルを用いている。
図2は、本実施形態の電源装置1を用いた調光システムの一例を示す図である。
調光システムは、交流電力を同時に複数の照明器具に供給し、共通の調光器21を用いて各照明器具を一括して調光するシステムである。調光システムは、交流電源22に接続された調光器21と、分岐装置としてのライティングレール23と、ライティングレール23にそれぞれ接続される複数の照明器具24,25,26とを備えて構成される。
照明器具24〜26は、LEDランプと従来の照明ランプを少なくとも1つずつ有する。本実施形態では、図2のように、ライティングレール23から、LEDランプ24と、ハロゲンランプ25と、白熱ランプ26とがそれぞれ垂下されている。なお、LEDランプ24は、電源装置1を介してライティングレール23に接続されている。
図3(A)は、縦軸を電圧V、横軸を時間tとして、調光器21によって位相制御された交流電力の電圧波形を示す図である。図3(B)、(C)では縦軸を電流Iとしている。
比較例として、本実施形態の突入電流制限回路5を有していない電源装置を用いた場合の電流波形を図3(B)に示す。比較例では、調光器21の導通によって電源装置に電圧V1が印加された直後に過大な瞬時電流、すなわち突入電流ITが発生する。この突入電流ITにより電圧降下が生じて、導通し始めた調光器21のトライアックがすぐにオフとなって非導通に切り替わって点弧ミスが起こる。このように突入電流ITは、LEDランプ24のチラツキの原因となる。
一方、本実施形態の突入電流制限回路5を有する電源装置1を用いた場合の電流波形を図3(C)に示す。突入電流制限回路5を設けたことで、突入電流ITが制限され、導通直後の瞬時電流ISが小さくなる。従って、突入電流ITによる電圧降下が起きず、調光器21が正常に位相制御を実行できるので、LEDランプ24にチラツキが生じない。
図1において、交流電流が導通する直前における、ノイズ防止用コンデンサC1,C2のインピーダンスはゼロであり、コイルL1のインピーダンスは無限大である。調光器2のトライアックが導通した瞬間に入力端子に印加される交流電圧をV1とすると、突入電流制限回路5への瞬時電流の最大値は、V1/R1で示される。従って、瞬時電流の最大値は、抵抗R1により決定されると言える。
導通後は、ノイズ防止用コンデンサC1,C2に印加される電圧が徐々に増加し、また、コイルL1に流れる電流も増加する。従って、定常状態に達するとコイルL1および抵抗R1の並列回路のインピーダンスは、コイルL1の抵抗成分のみとなり、ゼロに近い抵抗値となる。つまり、突入電流制限回路5の抵抗R1が接続されていない状態と等しくなる。
突入電流制限回路5を設けたことにより、位相制御によって半周期の途中で交流電流が導通しても、ノイズ防止用コンデンサC1,C2への瞬時電流が抵抗R1により制限されるので、突入電流の発生を防止することができる。これにより、位相制御におけるトライアックなどのオン・オフの切り替え(スイッチング)の誤動作を防止でき、点弧ミスを無くすことができる。
従って、図2に示す照明システムのように、白熱ランプ用の調光器21から位相制御された交流電力が分岐してLEDランプ24に供給される場合であっても、電源装置1にて点弧ミスおよび電力ロスの増大が生じることなく、電源装置1からLEDランプ24へ所定の電源電力を供給することができ、LEDランプ1の照度を調整することができる。よって、既設の白熱ランプ用の調光器21をそのまま使って簡単に低コストでLEDランプの調光を実施できる。
また、本発明の電源装置1は、図2にて調光器21を介さず直接、交流電源22に接続されてもよい。この場合、電源装置1の突入電流制限回路5に対して、位相制御されない交流電力が印加されることになるが、何ら問題は生じない。
2、24 LEDランプ
3、4 入力端子
5 突入電流制限回路
7 変換回路
8 位相制御装置としての調光器
9 交流電源
21 分岐装置としてのライティングレール
26 白熱ランプ
C1,C2本発明のコンデンサであるノイズ防止用コンデンサ
L1 突入電流制限回路を構成するコイル
R1 突入電流制限回路を構成する抵抗
Claims (3)
- 交流電力を所定の電源電力に変換してLEDランプに供給する電源装置であって、
前記交流電力が供給される一対の入力端子と、
前記入力端子の一方に直列に接続される突入電流制限回路と、
前記入力端子の他方および前記突入電流制限回路の出力端に対して並列に接続される、コンデンサ及び変換回路と、を備え、
前記変換回路は、前記突入電流制限回路および前記コンデンサを介して入力される交流電力を前記LEDランプの電源電力に変換し、
前記突入電流制限回路は、コイルおよび抵抗を並列接続した回路を有し、前記コイルは、100μH以上、10mH以下のインダクタンスを有するチョーク・コイルであり、前記抵抗は、1Ω〜100Ωの抵抗値を有し、
各半周期の途中で交流電流を導通させることにより位相制御された交流電力が前記入力端子に供給される場合、前記突入電流制限回路は、前記交流電流の導通直後に前記入力端子から前記コンデンサに短絡的に流入する電流を前記抵抗の作用で制限するとともに、その半周期が終わるまでの安定状態においては前記突入電流制限回路での電力ロスを前記コイルの作用で回避することを特徴とする照明用LEDランプの電源装置。 - 請求項1記載の照明用LEDランプの電源装置において、
前記交流電力が100V以上、120V以下であり、前記LEDランプの負荷が1W以上、100W以下である場合、
前記コイルは、100μH以上、10mH以下のインダクタンスを有するチョーク・コイルであり、
前記抵抗は、1Ω〜100Ωの抵抗値を有することを特徴とする照明用LEDランプの電源装置。 - 各半周期の途中で交流電流を導通させることにより位相制御された交流電力を出力する位相制御装置と、
前記位相制御装置からの交流電力を分岐する分岐装置と、
前記分岐装置にそれぞれ接続される複数の照明器具と、を備え、
前記複数の照明器具は、白熱ランプとLEDランプとを少なくとも1つずつ有し、
前記LEDランプは、請求項1または2記載の電源装置を介して前記分岐装置に接続されていることを特徴とする照明用LEDランプの照明システム。
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