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JP5500360B2 - 回転電機の回転子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車両に搭載される回転電機の回転子に関する。
例えば、車両に搭載される回転電機の回転子として、シャフトと、該シャフトの外周面に圧入により嵌合された円筒状のコアとを備えたものが、特許文献1に開示されている。このような回転子においては、シャフトとコアの軸方向への相対移動を阻止するために、通常、コアの軸方向両端面にエンドプレートが設けられている。
特許第3423485号公報
ところが、上記のように、コアの軸方向両端面に設けられるエンドプレートは、アルミ材を切削加工して形成された2つの部材が用いられるため、部品コストの高騰化を招いていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減して、部品コストを低減し得るようにした回転電機の回転子を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、シャフトと、該シャフトの外周面に嵌合固定されたコアと、を備えた回転電機の回転子において、前記シャフトは、前記コアが嵌合固定される嵌合部の軸方向両側に、前記シャフトの外周面から径方向外方に突出し前記コアの軸方向への抜け出しを阻止する第1ストッパ及び第2ストッパを有し、前記第1ストッパ及び前記第2ストッパの何れか一方は、前記シャフトの前記嵌合部に前記コアが嵌入された後、前記シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成された隆起ストッパであり、前記シャフトは、前記隆起ストッパの軸方向一方側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第1ストッパ及び第2ストッパは、シャフトの嵌合部の軸方向両側にシャフトと一体に形成されているので、コアの軸方向両側への抜け出しを阻止するために単独に形成されたストッパ部材を設ける必要がない。そのため、部品点数を削減して、部品コストを大幅に低減することができる。
本発明において、第1ストッパ及び第2ストッパの何れか一方は、シャフトに切削加工を施したり、或いはシャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させる加工を施すことによって形成される。また、第1ストッパ及び第2ストッパの何れか他方は、シャフトの嵌合部にコアが嵌入された後、シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させる加工を施すことによって形成される。なお、第1ストッパ及び第2ストッパの何れか一方は、シャフトの嵌合部にコアを嵌入する前に予めシャフトに形成しておくのが好ましい。このようにすれば、シャフトとコアを嵌合したときに、そのストッパをコアの位置決めとして利用することができる。
また、隆起ストッパは、シャフトの嵌合部にコアが嵌入された後、シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成されているので、コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止するストッパをシャフトと一体に形成することができる。そのため、従来では、コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止するストッパがシャフトと別体に形成されたものであることを考慮すれば、部品点数の削減を有利に実現することができる。さらに、前記シャフトは、前記隆起ストッパの軸方向一方側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有するので、シャフトの外周面の所定位置に設けられた凹部を利用して、シャフトに隆起ストッパを形成することができるので、隆起ストッパの形成を容易に行うことができる。
請求項に記載の発明は、シャフトと、該シャフトの外周面に嵌合固定されたコアと、を備えた回転電機の回転子において、前記シャフトは、前記コアが嵌合固定される嵌合部に前記コアが嵌入された後、前記シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成され、前記コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止する隆起ストッパを有すると共に、前記隆起ストッパの軸方向反陥入側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止する隆起ストッパは、シャフトの嵌合部にコアが嵌入された後、シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることによりシャフトに形成されているので、コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止するストッパをシャフトと一体に形成することができる。そのため、部品点数を削減して、部品コストを大幅に低減することができる。さらに、前記シャフトは、前記隆起ストッパの軸方向反陥入側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有しており、シャフトの外周面の所定位置に設けられた凹部を利用して、シャフトに隆起ストッパを形成することができるので、隆起ストッパの形成を容易に行うことができる。なお、本発明においては、コアの嵌入方向への抜け出しを阻止するために設けられるストッパは、シャフトと一体形成されたものの方が部品点数の削減の点で好ましいが、シャフトと別体に形成されたものであってもよい。
請求項に記載の発明は、前記隆起ストッパは、前記コアの内周面よりも径方向外方に突出していることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、隆起ストッパは、コアの内周面よりも径方向外方に突出しているので、コアの反嵌入方向への抜け出しを確実に阻止することができる。
請求項に記載の発明は、前記隆起ストッパは、前記シャフトの外周面の周方向の一部に設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、コアの反嵌入方向への抜け出しを有効に阻止する隆起ストッパを、必要最小限の範囲に設ければよいため、容易に形成することができる。
請求項に記載の発明は、前記シャフトは、前記凹部から前記嵌合部に向かって軸方向に延びる凹溝を有し、前記隆起ストッパは、前記凹溝の周方向両側にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、隆起ストッパを形成する際に、シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させるために加えられる荷重を、凹溝の周方向両側の部位(肉)に分散させることができるため、加える荷重を小さくすることができる。そのため、隆起ストッパの形成を容易に行うことが可能となる。
実施形態に係る回転電機の回転子の軸方向に沿う断面図である。 実施形態に係る回転電機の回転子の組み付け状態を示す説明図であって、(a)はシャフトとコアの組み付け直前の状態を示し、(b)はシャフトとコアの嵌合完了の状態を示す。 実施形態において隆起ストッパを形成する際の状態を示す説明図であって、(a)は隆起ストッパを形成する直前の状態を示し、(b)は隆起ストッパが形成された直後の状態を示す。
以下、本発明の回転電機の回転子を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、実施形態1に係る回転電機の回転子の軸方向に沿う断面図である。本実施形態の回転電機の回転子1は、例えば車両の電動機及び発電機を兼ねる回転電機に使用されるものであって、回転電機のハウジング内において、固定子(図示せず)の内周側に回転自在に収容配置される。この回転子1は、図1に示すように、第1ストッパ15及び第2ストッパ16を有するシャフト10と、シャフト10の外周面に嵌合固定された円筒状のコア20と、により構成されている。
シャフト10は、鉄系金属により所定の大きさの中空円筒状に形成されており、軸方向中央部にコア20が嵌合固定される嵌合部11を有する。この嵌合部11の外周面には、嵌合部11に嵌合されるコア20との周方向(回転方向)の相対変位を規制する軸方向に延びる係合溝12が設けられている。嵌合部11の軸方向両側には、シャフト10の外周面から径方向外方に突出し、コア20の軸方向への抜け出しを阻止する第1ストッパ15及び第2ストッパ16が設けられている。これら第1ストッパ15及び第2ストッパ16は、コア20の内周面よりも径方向外方に突出している。
第1ストッパ15は、シャフト10の嵌合部11にコア20を嵌入する前に、予めシャフト10に切削加工を施すことによりリング状に形成されている。この第1ストッパ15は、シャフト10に対してコア20が嵌入方向へ抜け出すのを阻止するものである。そして、第2ストッパ16は、シャフト10の嵌合部11にコア20が嵌入された後、シャフト10の表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成された隆起ストッパである。以後、第2ストッパ16を隆起ストッパ16ともいう。この隆起ストッパ16は、シャフト10の外周面の周方向の一部の範囲に、周方向に並んで2個設けられている。この隆起ストッパ16は、シャフト10に対してコア20が反嵌入方向へ抜け出すのを阻止するものである。なお、隆起ストッパ16の形成については、後で詳述する。
シャフト10の隆起ストッパ16の軸方向一方側(図1の右側)の外周面には、隆起ストッパ16を形成する際に治具18(図3(a)参照)の挿入スペースとなる凹部13が設けられている。この凹部13は、嵌合部11と所定距離隔てた位置に設けたれており、凹部13と嵌合部11の間にあるシャフト10の表面部の肉を隆起させることによって隆起ストッパ16が形成されている。また、凹部13と嵌合部11の間には、軸方向に延びる凹溝14が設けられており、隆起ストッパ16は、凹溝14の周方向両側にそれぞれ形成されている。
コア20は、中央に貫通孔を有する円環状の電磁鋼板を複数積層して円筒状に形成されている。このコア20には、極性が周方向に交互に異なる複数の磁極が永久磁石によって形成されている。このコア20は、軸方向に貫通しシャフト10の嵌合部11と嵌合する嵌合孔21を有する。この嵌合孔21には、シャフト10の嵌合部11に設けられた係合溝12と係合する軸方向に延びる係合突条22が設けられている。
このコア20とシャフト10との組み付けは、次のようにして行う。先ず、図2(a)に示すように、隆起ストッパ16が形成されていないシャフト10に対して、第1ストッパ15と反対側の端部をコア20の嵌合孔21内に嵌挿して、コア20と第1ストッパ15が当接する位置までコア20を押し込む(図2(b))。
そして、図3(a)に示すように、シャフト10の凹部13に治具18を挿入し、凹溝14の周方向両側にあるシャフト10の表面部の肉16aに治具18の先端を当接させる。その状態で、シャフト10の表面部の肉16aに治具18で軸方向に荷重を加え、シャフト10の表面部の肉16aを径方向外方へ隆起させる。これにより、図3(b)に示すように、凹溝14の周方向両側にそれぞれ隆起ストッパ16が形成される。なお、治具18で軸方向に加える荷重は、凹溝14が設けられていることにより、周方向両側の2つの部位(肉16a)に分散させることができるため小さくて済む。
以上のように構成された本実施形態の回転子1によれば、シャフト10の嵌合部11の軸方向両側に設けられた第1ストッパ15及び隆起ストッパ16は、シャフト10と一体に形成されているので、コア20の軸方向両側への抜け出しを阻止するために単独に形成されたストッパ部材を設ける必要がない。そのため、部品点数を削減して、部品コストを大幅に低減することができる。
特に、隆起ストッパ16は、シャフト10の嵌合部11にコア20が嵌入された後、シャフト10の表面部の肉16aを径方向外方へ隆起させることにより形成されているので、コア20の反嵌入方向への抜け出しを阻止するストッパをシャフト10と一体に形成することができる。そのため、従来では、コア20の反嵌入方向への抜け出しを阻止するストッパがシャフト10と別体に形成されたものであることを考慮すれば、部品点数の削減を有利に実現することができる。
この隆起ストッパ16は、コア20の内周面よりも径方向外方に突出するように形成されているので、コア20の反嵌入方向への抜け出しを確実に阻止することができる。また、隆起ストッパ16は、シャフト10の外周面の周方向の一部に設けられているので、必要最小限の範囲に設ければよいため、容易に形成することができる。
また、本実施形態では、シャフト10の隆起ストッパ16の軸方向一方側の外周面に、隆起ストッパ16を形成する際に治具18の挿入スペースとなる凹部13が設けられているので、その凹部13を利用して、隆起ストッパ16の形成を容易に行うことができる。
さらに、シャフト10は、その凹部13から嵌合部11に向かって軸方向に延びる凹溝14を有し、隆起ストッパ16は、凹溝14の周方向両側にそれぞれ形成されているので、隆起ストッパ16を形成する際に、シャフト10の表面部の肉16aを径方向外方へ隆起させるために加えられる荷重を小さくすることができる。これにより、隆起ストッパ16の形成を容易に行うことが可能となる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1ストッパ15は、シャフト10に切削加工を施すことにより形成されたものであるが、隆起ストッパ16のように、シャフト10の表面部の肉を径方向外方へ隆起させることによって、第1ストッパ15をシャフト10と一体に形成するようにしてもよい。また、上記実施形態では、第2ストッパ16を隆起ストッパにしていることにより、部品点数の削減を達成することができる(請求項3の発明)ので、第1ストッパ15をシャフト10と別体に形成されたストッパ部材に変更することも可能である。
また、上記実施形態では、隆起ストッパ16は、周方向に並んだ状態で2個設けられているが、隆起ストッパ16の個数は、1個であっても、3個以上であってもよい。
1…回転子、 10…シャフト、 11…嵌合部、 12…係合溝、 13…凹部、 14…凹溝、 15…第1ストッパ、 16…第2ストッパ(隆起ストッパ)、 18…治具、 20…コア、 21…嵌合孔、 22…係合突条。

Claims (5)

  1. シャフトと、該シャフトの外周面に嵌合固定されたコアと、を備えた回転電機の回転子において、
    前記シャフトは、前記コアが嵌合固定される嵌合部の軸方向両側に、前記シャフトの外周面から径方向外方に突出し前記コアの軸方向への抜け出しを阻止する第1ストッパ及び第2ストッパを有し、
    前記第1ストッパ及び前記第2ストッパの何れか一方は、前記シャフトの前記嵌合部に前記コアが嵌入された後、前記シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成された隆起ストッパであり、
    前記シャフトは、前記隆起ストッパの軸方向一方側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有することを特徴とする回転電機の回転子。
  2. シャフトと、該シャフトの外周面に嵌合固定されたコアと、を備えた回転電機の回転子において、
    前記シャフトは、前記コアが嵌合固定される嵌合部に前記コアが嵌入された後、前記シャフトの表面部の肉を径方向外方へ隆起させることにより形成され、前記コアの反嵌入方向への抜け出しを阻止する隆起ストッパを有すると共に、前記隆起ストッパの軸方向反陥入側の外周面に、前記隆起ストッパを形成する際に治具の挿入スペースとなる凹部を有することを特徴とする回転電機の回転子。
  3. 前記隆起ストッパは、前記コアの内周面よりも径方向外方に突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機の回転子。
  4. 前記隆起ストッパは、前記シャフトの外周面の周方向の一部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の回転電機の回転子。
  5. 前記シャフトは、前記凹部から軸方向に延びる凹溝を有し、前記隆起ストッパは、前記凹溝の周方向両側にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の回転電機の回転子。
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