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JP5598372B2 - リアクトルおよびリアクトルの製造方法 - Google Patents

リアクトルおよびリアクトルの製造方法 Download PDF

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JP5598372B2 JP2011035597A JP2011035597A JP5598372B2 JP 5598372 B2 JP5598372 B2 JP 5598372B2 JP 2011035597 A JP2011035597 A JP 2011035597A JP 2011035597 A JP2011035597 A JP 2011035597A JP 5598372 B2 JP5598372 B2 JP 5598372B2
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Description

本発明は、車載用DC−DCコンバータのような電力変換装置の構成部品に用いられるリアクトルに関する。
ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、電気自動車などでは、走行用モータの駆動やバッテリの充電に、昇圧動作や降圧動作を行うコンバータが必要になる。燃料電池車でも、燃料電池の出力を昇圧することになる。そのコンバータの部品の一つにリアクトルがある。リアクトルとしては、例えば環状の磁性コアの外周に巻線を巻回してなる一対のコイルが並列に配置された形態が挙げられる。
特許文献1は、一つのコイルの内側に挿通された円柱状の内側コア部と、そのコイルの外周を覆うように配置される円筒状の外側コア部と、そのコイルの両端面に配置される一対の円板状の連結コア部とを有する断面E字状の磁性コア、所謂ポット型コアを備えるリアクトルを開示している。ポット型コアでは、連結コア部により、同心状に配置された内側コア部及び外側コア部が連結されて閉磁路を形成する。特許文献1には、内側コア部の飽和磁束密度を外側コア部及び連結コア部よりも高くすることで内側コア部の断面積を小さくして、小型なリアクトルが得られることも開示されている。
特開2009−033051号公報
車載部品などの設置スペースが狭い部品には、小型であることが望まれる。特許文献1には、複数の分割片を接着剤により接合して一体化された磁性コアが開示されているが、更なる小型化を考慮すると、接着剤をも除去することが望まれる。特許文献1には、磁性コア全体を圧粉成形体とし、圧粉材料と共にコイルを金型に配置して磁性コアを成形することで、接着剤を不要にした構成が開示されている。しかし、飽和磁束密度が部分的に異なる磁性コアを圧粉成形体で形成する場合、磁性コアの形状によっては加圧工程を多段階に亘って行う必要があり、生産性の低下を招く。
本出願人らは、小型で生産性に優れるリアクトルを提供するために、磁性材料と樹脂との混合物により形成された露出コア部でコイルの外側を覆うことを提案している。このように磁性材料と樹脂との混合物により磁性コアを構成する場合、その硬化時に磁性材料の密集度に差が生じ、設計値通りのインダクタンスを実現するのが難しくなる場合がある。
本発明は、このような問題を解決するために、磁性材料と樹脂との混合物によりコイルの外側を覆う外側コア部を形成する場合でも、所望のインダクタンス値を容易に実現することのでき、また放熱性に優れるリアクトルを提供する。
本発明の提供するリアクトルは、コイルと、コアと、前記コイル及び前記コアを収容するケースとを備え、前記コアが、前記コイルの内側に配置される内側コア部、及び前記コイルの外側の一部又は全部を覆う外側コア部を有し、前記外側コア部が、磁性材料と樹脂との混合物により形成されたリアクトルであって、前記ケースを構成する壁面のうち、前記コイルの軸方向と略平行な面の少なくとも1つの面が外部から冷却される冷却面として構成されており、前記外側コア部における磁性材料の密集度の分布が、前記コイルの軸から前記冷却面の方向に向かって大きくなる分布であることを特徴とするリアクトルである。冷却面はケースの底面でも良いが、底面でない面を冷却する場合は、例えばケースの側面であってコイルの軸方向と略平行になる面であれば良い。略平行とは厳密な意味で平行でなくてもコイルの収納方向を表現する上で一般的な意味で平行な側の面を意味するものである。
このリアクトルでは、コイルの軸方向をケースの冷却面と略平行にしてコイルが配置され、外側コア部における磁性材料の密集度がケースの冷却面側で大きい。またコイルの端面をケースの側壁に向けてコイルが配置されることで、コイルの外周面がケースの冷却面に向けられる。このため、コイルの端面をケースの冷却面に向けてコイルが配置される場合よりも、ケースの冷却面からの放熱がし易くなる。コイルが冷却面と接するように配置されると、さらに一層冷却の効果が発揮できる。
また、このリアクトルでは、コイルの軸方向における磁性材料の密集度の差が、軸方向に垂直な方向よりも小さくすることができる。たとえばコイルの軸方向をケースの底面と略平行にしてコイルが配置され、外側コア部における磁性材料の密集度の差がケースの側壁に沿った方向よりもコイルの軸方向で小さくできる。それによって、磁束方向の磁性材料の密集度の差が小さくなる。密集度の大きな部分に集中して磁路が形成されることになるが、全体として設計値通りのインダクタンスを実現し易くなる。
なおここで、磁性材料の密集度とは、磁性材料と樹脂との混合物中に分散している磁性材料の分散の密度(磁性材料自体の密度ではなく全体中に占める割合という意味)を表す量であり、代表的には混合物自体の密度で表される。その他、樹脂中に占める磁性材料の体積比率、断面における面積比率等で表すこともできる。また、ケースの底面とは、磁性材料と樹脂との混合物を充填固化させる場合の下方、底部にあたる方向の面を指し、側壁とは当該底面から略垂直方向に立設する面を指す。
外側コア部における磁性材料の密集度の差は、冷却面側と、該冷却面側とは異なる面で最も密集度の低い面である比較面となる側とを比較した場合に、冷却面側を基準として0%超45%以下であると良い。冷却面側の密集度が高く、比較面側の密集度が低いことにより、内部で発生した熱が冷却面側に集中し、放熱効率が向上するからである。比較面は、例えば矩形箱体のケースを想定して、ある1面のみを密集度の高い冷却面(例えば底面)とする場合には、それと向かい合う面(上面)である。向かいあう2面の両方を冷却面とし、それぞれの面側の密集度を高くする場合には、当該面とは垂直な面である密集度の最も低い面を比較面とし、当該面の平均密集度とする。その他円筒ケースを想定する場合、円筒面全周を冷却する場合で円筒面側全周に密集度を大きくする場合にはそれと垂直な底面と上面となる平面が比較面とできる。
放熱性向上の点では放熱の実効的な効果を得る観点から好ましくは密集度の差は3%以上ある方が良く、さらには5%以上が好ましい。一方、鉄粉等の磁性材料と樹脂材料との重量差を考慮すると、密集度差は最大で約75%程度までつけることが可能となるが、密集度差が45%以上あると、密集度の低い比較面側の外側コアの実質的な磁性体としての寄与が低くなり過ぎ、全体として所望のインダクタンスを得るために外側コアの大きさが大きくなり過ぎるなどの不都合を伴うので好ましくない。これらの点から、密集度差は3%以上45%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以上20%以下、最も好ましくは10%以上20%以下である。
外側コア部における磁性材料の密集度の差が、一方向における密集度の最大値を基準として定めたとき3%以上である場合に、コイルの軸方向を密集度差の大きな方向に平行にしてコイルを配置したとすると、磁束方向の密集度の差が3%以上となり、所望のインダクタンス値を実現するのが難しくなる。すなわち、コイルの軸方向をケースの冷却面と略平行にしてコイルを配置し、磁性材料の密集度の分布が、前記コアの軸中心から前記冷却面の方向に向かって大きくなる分布として、コイルの軸方向には密集度の分布が小さいようにすることで、磁束方向の密集度の差を容易に抑え、所望のインダクタンス値を得ることができるという効果が発揮できる。
ケースの冷却面が強制冷却されるように構成されていると放熱効率の向上が効果的に発揮できる。強制冷却とは水冷機構や放熱フィン等により、ケース自体での自然空冷よりも放熱を効果的に行う手段全般を指す。ケース冷却面にそのような強制冷却可能な構造を備える、あるいは別途設けられた強制冷却機構と熱的に接続するための構造(取付構造や取付面など)を備えることで磁性材料の密集度差による効果を発揮できる。
内側コア部は外側コア部よりも飽和磁束密度を高くすることによって、所望のインダクタンスを得るためのリアクトル全体のサイズを小さくすることが可能である。このため、内側コア部は圧粉成形体とすることが好ましい。この場合、圧粉コアの発熱密度が高いため、外側コアを構成する磁性材料と樹脂との混合物に密集度差を付けて、冷却面側への冷却効率を上げることが、より効果的である。
このリアクトルにおいて、ケースが、コイル及び内側コア部の少なくとも一方の外形に合わせて形成された内壁面を有するようにしてもよい。この場合、コイルの外表面に面する内壁面の面積を大きくすることができ、その結果、放熱性がより高められる。
このリアクトルの一実施態様では、コイルの外周面の一部が外側コア部から露出する。コイルの端面がケースの側壁に向けてコイルが配置されているので、コイルの外周面の一部が露出している場合でも、その他の部分で外側コア部がコイルの軸方向に連続し磁路が確保される。ケースの底面側に磁路が集中して形成されるので、例えばケースの上側でコイルの外周面を露出させれば、インダクタンス値への影響は特に少ない。したがって、所望のインダクタンス値を実現しつつ、コイルの外周面の一部を露出させることで放熱性を高めることが可能となる。なお、ケースの上側でコイルの外周面を露出させる場合、空気層へ磁束漏れが起こる場合があるため、金属などの導電性材料の蓋をすることが望ましい。
リアクトルは、内側コア部のコイルから突出した両端部分でコイル及び内側コア部を支持する支持部をケースに設けるようにしてもよい。この支持部により、ケース内でのコイルの位置決めが容易になり、所望のインダクタンス値を実現したリアクトルの製造がより簡単になる。更に、その支持部により、ケースとコイルとの絶縁を確保することができる。しかも、その支持部により内側コア部とケースの底面(冷却面)とを構造的に連続させることができ、内側コア部からケースの底面(冷却面)への放熱がし易くなる。
また、本発明はリアクトルの製造方法として、コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、前記冷却面が底面となる状態で磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、前記充填工程と前記硬化工程の間に、前記混合物の粘度が略最小になる温度で保持する工程を有するリアクトルの製造方法を提示する。
また別な製造方法として、コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、前記充填工程において、または前記充填工程の後に、前記冷却面側に前記磁性材料が移動するように外部磁場を印加するリアクトルの製造方法を提示する。
さらには、コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、前記充填工程において、または前記充填工程の後に、前記冷却面側に前記磁性材料が移動する方向の遠心力が生じるように前記ケースを回転させるリアクトルの製造方法を提示する。このような製造方法とすることによって、所望の密集度差を備えたリアクトルを得ることができる。
本発明によれば、上述のように、磁性材料と樹脂との混合物によりコイルの外側を覆う外側コア部を形成する場合でも、所望のインダクタンス値が容易に実現され、また放熱性に優れたリアクトルを得ることが出来る。
本発明の前述やその他の目的、特徴および利点は、以下で添付図面を参照して説明する実施の形態でより明らかにする。図面において、同一の符号は異なる図面においても同一部分を示す。
本発明の実施の形態に係るリアクトルの設置状態を示す図である。 本実施の形態に係るリアクトルの概略構成を示す斜視図である。 ケースの内壁面が外壁面と非相似形に形成されたリアクトルの構成例を説明するための図である。 コイルの外周面の一部が外側コア部から露出したリアクトルの構成例を示す図である。 ケース内にコイルの支持部を設けたリアクトルの構成例を説明するための図である。 シミュレーションしたリアクトルの断面構造を説明する模式図である。 シミュレーション1の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差有り、底面側冷却)である。 シミュレーション1の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差有り、上面側冷却)である。 シミュレーション1の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差無し、底面側冷却)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差0%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差2%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差3%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差5%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差10%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差15%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差20%)である。 シミュレーション2の結果としての断面温度分布を色分布で現した図(密度差45%)である。 外部磁場による密集度差の形成方法を説明する模式図である。 遠心力による密集度差の形成方法を説明する模式図である。 コイルがケースの内壁面に接するように形成されたリアクトルの構成例を説明するための図である。
図1は本発明の実施の形態に係るリアクトルの設置状態を示す図である。本実施の形態に係るリアクトル101は、車載用DC−DCコンバータの部品として用いることができる。リアクトル101は、他の部品とともにアルミニウム製のコンバータケース102に収容されている。この実施の形態において、リアクトル101は、アルミニウム製で例えば箱蓋状のケース103を備え、そのケース103をコンバータケース102の内底面104にボルトで固定することにより、コンバータケース102内に配置されている。ケース103の底面はコンバータケース102の内底面104に面接触している。
車載用コンバータでは、通常、最大100アンペア以上の電流が通電されるので、リアクトル101は高熱を発する。リアクトル101やその他の部品を冷却するために、コンバータケース102外底面には冷却水105が導入されている。リアクトル101の発する熱は、ケース103の冷却面としての底面を介してコンバータケース102へ伝えられ冷却水105により放散される。
図2は本実施の形態に係るリアクトルの概略構成を示す図である。リアクトル101は、コイル201と、コイル201の内側に配置される内側コア部202、及びコイル201の外側を覆う外側コア部203を有するコア204とを備える。リアクトル101の備えるケース103はコイル201及びコア204を収容する。
このリアクトル101において、コイル201は、1本の連続する巻線201wを螺旋状に巻回してなり、その軸方向205はケース103の底面と略平行に配置されている。巻線201wの両端はコンバータの半導体素子及びバッテリに接続される。巻線201wには、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を用いるのがよい。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメルからなる被覆平角線を巻線201wに利用している。巻線201wには、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。
なお、上記構成を具えるリアクトルは、通電条件が、例えば、最大電流(直流)100A〜1000A程度、平均電圧100V〜1000V程度、使用周波数5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。かかる用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。リアクトルを車載部品とする場合、リアクトルは、ケースを含めた容量が0.2リットル(200cm)〜0.8リットル(800cm)程度であることが好ましい。本例では、約0.4リットルである。
コイル201は、一つのコイル素子を形成するが、1本の巻線で複数のコイル素子を形成し、それらコイル素子をケースに収容するようにしてもよい。複数のコイル素子は、1本の巻線ではなく、別々の巻線により形成することも可能である。巻線の端部を溶接などにより接合することで、一体のコイルとすることができる。別々の巻線の溶接には、例えばTIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接が挙げられる。その他、圧着、冷間圧接、振動溶着などにより、巻線の端部同士を接合してもよい。
コイル201を形成する巻線201wの両端部は、ターンから適宜引き延ばされて外側コア部203の外側に引き出され、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、銅やアルミニウムなどの導電性材料からなる端子部材が接続される。この端子部材を介して、コイル201はバッテリなどに接続される。巻線201wの両端部と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接の他、圧着などが利用できる。
コア204は、内側コア部202及び外側コア部203が一体化されていることにより閉磁路を形成する。本実施の形態では、内側コア部202と外側コア部203とで構成材料が異なっており、磁気特性が異なっている。具体的には、内側コア部202は、外側コア部203よりも飽和磁束密度が高く、外側コア部203は、内側コア部202よりも透磁率が低い。
内側コア部202は、コイル201(複数のコイル素子を形成する場合には各コイル素子)の内周面の形状に沿った外形を有する。ここでは、円柱状の外形を有する。端面形状が角を丸めた矩形(トラック形状)の直方体のような外形やその他の外形を有していてもよい。内側コア部202は、その全体が圧粉成形体から構成されており、ギャップ材やエアギャップ、接着材が介在していない。ただし、内側コア部はこれに限定されるものではなく、圧粉成形体が複数のコアに分割され、接着剤で結合されていてもよい。この場合は、接着剤が介在していても、接着剤は実質的にはギャップとして機能していない。また設計上の必要に応じては所望の性能を得るためにギャップ材を含むことも可能である。
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を備える軟磁性粉末を成形後、絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。軟磁性粉末に加えて適宜結合剤を混合した混合粉末を利用したり、絶縁被膜としてシリコーン樹脂などからなる被膜を有する粉末を利用したりすることができる。圧粉成形体の飽和磁束密度は、軟磁性粉末の材質や、軟磁性粉末と結合剤との混合比、種々の被膜の量などを調整することで変化させることができる。例えば、飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を用いたり、結合剤の配合量を低減して軟磁性材料の割合を高めたりすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。その他、成形圧力を変える、具体的には成形圧力を高くすることでも飽和磁束密度を高められる傾向にある。所望の飽和磁束密度となるように軟磁性粉末の選択や成形圧力の調整などを行うとよい。
軟磁性粉末は、Fe,Co,Niといった鉄族金属粉末の他、Fe−Si,Fe−Ni,Fe−Al,Fe−Co,Fe−Cr,Fe−Si−AlなどのFe基合金粉末、或は希土類金属粉末、フェライト粉末などが利用できる。特に、Fe基合金粉末は、飽和磁束密度が高い圧粉成形体を得易い。このような粉末は、アトマイズ法(ガス又は水)や、機械的粉砕法などにより製造することができる。結晶がナノサイズであるナノ結晶材料からなる粉末、好ましくは異方性ナノ結晶材料からなる粉末を用いると、高異方性で低保磁力の圧粉成形体が得られる。軟磁性粉末に形成される絶縁被覆には、例えば燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物又は硼素化合物などが用いられる。結合剤には、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂又は高級脂肪酸などを用いることができる。この結合剤は、焼成により消失したり、シリカなどの絶縁物に変化したりする。圧粉成形体は、絶縁被膜などの絶縁物が存在することで、軟磁性粉末同士が絶縁されて、渦電流損失を低減することができ、コイルに高周波の電力が通電される場合であっても、損失を少なくすることができる。
内側コア部202は、その全体がコイル(素子)内に配置されるものだけでなく、その一部がコイル(素子)から突出するものも含む。図2に示す例では、内側コア部202におけるコイル201の軸方向の長さがコイル201よりも大きく、各内側コア部202の両端部がコイル201の端面から突出している。内側コア部202の長さは、コイル201と等しくしてもよいし、若干短くしてもよい。内側コア部202の長さが各コイル201と同等以上であることにより、コイル201が作る磁束を内側コア部202に十分に通過させることができる。
外側コア部203は、本実施の形態において、コイル201及び内側コア部202を実質的に全て覆うように形成されている。即ち、外側コア部203は、コイル201の外周全体、コイル201の両端面及び内側コア部202の両端面をほぼ覆う。内側コア部202と外側コア部203とは接着材を介在することなく、外側コア部203の構成樹脂により接合される。その接合により、コア204は、その全体に亘ってギャップを介することなく一体化されることができる。
外側コア部203は、基本的な外形として、ケースの内壁面にあわせた直方体の外形を有しているが、閉磁路を形成することができれば、外側コア部203の形状は特に問わない。コイル201の外側の一部が外側コア部203により覆われず露出された形態であってもよい。
外側コア部203は、その全体が磁性材料と樹脂との混合物(成形硬化体)により形成することができる。成形硬化体は、代表的には、射出成形、注型成形により形成することができる。射出成形は、通常、軟磁性粉末(必要に応じて更に非磁性粉末を加えた混合粉末)と流動性のあるバインダ樹脂とを混合し、この混合流体を、所定の圧力をかけて成形型(ここではケース103)に流し込んで成形した後、バインダ樹脂を硬化させる。注型成形は、射出成形と同様の混合流体を得た後、この混合流体を、圧力をかけることなく成形型(ケース103)に注入して成形・硬化させる。いずれの成形手法も、バインダ樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が好適に利用できる。バインダ樹脂に熱硬化性樹脂を用いた場合、成形体を加熱して樹脂を熱硬化させる。バインダ樹脂に常温硬化性樹脂或は低温硬化性樹脂を用いてもよく、この場合、成形体を常温〜比較的低温に放置して樹脂を硬化させる。成形硬化体は、非磁性材料であるバインダ樹脂が多く残存するため、圧粉成形体と同じ軟磁性粉末を用いたとしても、圧粉成形体よりも飽和磁束密度が低く、かつ透磁率も低くなる。
外側コア部203に利用する軟磁性粉末は、上述した内側コア部202に利用する軟磁性粉末と同様のものを利用することができる。
コア204がコイル201と接触する箇所には、両者間の絶縁性をより高めるために絶縁物を介在させることが好ましい。例えばコイル201の内・外周面に絶縁性テープを貼り付けたり、絶縁紙や絶縁シートを配置したりする。内側コア部202の外周に絶縁性材料からなるボビンを配置してもよい。ボビンの構成材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が好適に利用できる。
本発明で使用される磁性材料と樹脂の混合物の典型的な密度は3.0〜5.5g/cm程度である。特に、樹脂材料をエポキシ樹脂として、磁性材料がFeの場合は3.5〜4.7g/cm程度、磁性材料がFe―6.5Si(Siを6.5重量%含むFe基合金)の場合は3.6〜5.0g/cm程度、センダスト(Fe−Al−Si合金)の場合は3.6〜5.0g/cm程度である。また、代表的な寸法等として、内側コアをFe粉末の圧粉成形体とする場合、密度は6.5g/cm〜7.8g/cmとすることができる。寸法は、コア断面を円としたときの直径が10mm〜70mm、高さ20mm〜120mmである。コイルについては、コイル断面を円としたとき内径を20mm〜80mm、巻き数は30〜70とできる。外側コアは、外形を直方体とする場合は、1辺を60mm〜100mm程度とすることができ、ケースを直方体とする場合には1辺を60〜100mm程度とするのがすることができる。
上述のリアクトルは、例えば、以下に示す収納工程→充填工程→硬化工程の順に各工程を施して製造することができる。以下、各工程について説明する。
収納工程では、コイル201をケース103内に収納する。本例のように内側コア部202が圧粉成形体からなる場合、その他電磁鋼板からなる場合など、外側コア部203とは異なる材料で形成される場合には、コイル201および内側コア部202を用意し、コイル201内に内側コア部202を挿通して、コイル201と内側コア部202との組物を作製する。この組物は、次工程の充填工程前であればいつ作製してもよい。また、上述のようにコイル201と内側コア部202との間に適宜絶縁物を配置させてもよい。そして、上記組物をケース103内に収納する。この組物をケース103内に収納する際、ケース103内にガイド突起部などを設けると、当該組物をケース103内の所定の位置に精度良く配置することができる。
充填工程では、外側コア部203を構成する磁性粉末と樹脂とを含む混合物をケース103内に充填する。上記磁性粉末と樹脂との混合物(樹脂硬化前のもの)において、磁性粉末の含有量が混合物全体に対して20〜60体積%、樹脂が40〜80体積%程度とすることで、比透磁率が5〜50の外側コア部203を形成できる。例えば、上記磁性粉末にリン酸塩被膜を有する純鉄粉を40体積%、樹脂にはビスフェノールA型のエポキシ樹脂を60体積%、この樹脂の硬化剤として酸無水物をそれぞれ用意して混合物を形成し、ケース103内に充填すると良い。さらに充填後、混合物内のボイドを除去するための脱気処理として、真空引きを行うと良い。混合物内のボイドを除去できて外側コア部203の所望の磁気特性が得易く好ましい。
硬化工程では、充填した樹脂を硬化させる。この硬化工程では、硬化させる樹脂の種類に応じて適宜温度と時間を選択するとよい。本例では、硬化の前に第1温度として80℃に保持した状態で2時間保持した後、硬化温度として第2温度120℃に保持した状態を2時間、そして第3温度150℃に保持した状態で5時間静置して、樹脂を硬化した。
第1温度は、樹脂の粘度が最も低くなる温度として選択した温度である。硬化材を混合した後、硬化が進む前の樹脂の粘度を温度を変えて同条件で測定することで確認できる。かかる温度とすることによって樹脂中の磁性粉末が沈殿しやすくなり、その密集度差をつけることができる。すなわち底面側と上面側での混合物の密度差をつけることができる。このため第1温度は樹脂の粘度が略最小になる温度として、粘度が最も低くなる温度の±5℃が好ましく、より好ましくは±3℃以内である。
さらに粘度が低いと樹脂中の気泡を脱泡しやすいという効果もあわせて得られるため、粘度が略最小になる温度で所定時間保持することにより、樹脂硬化後の磁性粉末と樹脂との混合物の特徴として、直径300μm以上の気泡が実質上存在しない、という特徴を得ることもできる。樹脂硬化後の磁性粉末と樹脂との混合物の5mm×5mmの任意の断面10面について光学顕微鏡で観察すると、従来方法のものでは直径200μm以上の気泡の数は1断面当たり平均5個程度以上見られ、また直径300μm以上の気泡も見つけることができるが、本発明のものでは直径200μm以上の気泡の数は1断面当たり平均1個以下であり、直径300μm以上の気泡は見つけられなかった。ここで気泡の直径とは、断面で確認できる気泡の形状を、同じ面積の円に変換したときの直径とする。
硬化後の磁性粉末と樹脂との混合物内に気泡が少ないことで、さらに熱伝導性に優れた外側コアとすることができる。気泡すなわち空気よりも樹脂および磁性粉末の方が熱伝導度が高いためである。さらに、気泡が少ないことで、設計した磁気特性分布からのずれは小さくなり、所望の特性を実現しやすくなる。特に、大きな気泡の存在は、磁束が気泡を避けて通ることとなり、予想外の磁束線の粗密が生じてしまうため好ましくない。
第2温度は樹脂を硬化させるための温度である。第3温度は樹脂の架橋密度を高めるための温度である。特に第1温度を予め試行した知見に基づいて選択することにより、底面側と上面側の密度差を任意に形成することが可能となる。第2温度および第3温度は樹脂の硬化および架橋のために必要な時間を選択して保持すればよい。
なお上記では、第1温度、第2温度、第3温度の3段階の加熱温度にて所定時間の保持を行う工程としたが、耐熱性があまり要求されず樹脂の架橋密度を高める必要性が低い場合は、第1温度、第2温度のみの2段階の加熱温度にて所定時間の保持を行う工程としてもよい。また、第2温度を省略して、第1温度、第3温度のみの2段階の加熱温度にて所定時間の保持を行う工程とすることも可能である。硬化前の保持温度である第1温度での保持時間は、樹脂中の磁性粉末の種類により磁性粉末の沈降が概ね飽和する時間を予め把握してから、所望の密集度差が付くように選択すればよい。本例では概ね2時間にて所望の密集度差が得られることから一例として2時間としたが、樹脂の粘度や磁性粉末の種類・粒径などを考慮して、保持時間は15分〜3時間から選択するとよい。
射出成形や注型成形を利用する場合、焼結させない場合は、軟磁性粉末(あるいは非磁性粉末)とバインダ樹脂との配合を変えることで、焼結させる場合は、軟磁性粉末と非磁性粉末との配合を変えることで、外側コア部の透磁率を調整することができる。例えば、軟磁性粉末の配合量を減らすと、透磁率は小さくなる傾向にある。リアクトル101が所望のインダクタンスを有するように、外側コア部203の透磁率を調整するとよい。
このようなリアクトル101は、内側コア部202の飽和磁束密度が外側コア部203よりも高いことで、内側コア部202を通過する総磁束を、同様の形状のコアで全体の飽和磁束密度が均一的な磁性コア(均一コア)の内側コアを通過する総磁束と同じにする場合、内側コア部202の断面積(磁束が通過する面)を均一コアの内側コアの断面積より小さくすることができる。内側コア部202の小型化によりコア204を小型にすることができ、ひいてはリアクトル101の小型化を図ることが可能となる。また、リアクトル101は、内側コア部202の飽和磁束密度が高いと共に、外側コア部203の透磁率が低いことで、所望のインダクタンスを有することができる。
更に、リアクトル101は、コア204の全体に亘って、ギャップが一切存在しないことで、ギャップ箇所での漏れ磁束がコイル201に影響を及ぼすことがないため、内側コア部202とコイル201の内周面とを近付けて配置することができる。従って、内側コア部202の外周面とコイル201の内周面との隙間を小さくでき、このことからも、リアクトル101の小型化が可能となる。
また、リアクトル101は、接着剤を一切用いない構成とする場合には、内側コア部202の形成にあたり、ギャップ材の接合工程などが不要であることから、生産性に優れる。特に、リアクトル101では、外側コア部203の形成と同時に、外側コア部203の構成樹脂により内側コア部202と外側コア部203とを接合してコア204を形成し、その結果リアクトル101を製造することができるため、製造工程が簡素化され、この点からも生産性が向上する。
また、リアクトル101では、内側コア部202を圧粉形成体とすることで、飽和磁束密度の調整を簡単に行える上に、複雑な三次元形状であっても容易に形成することができる。加えて、外側コア部203が樹脂成分を備えることで、粉塵や腐食といった外部環境からの保護や機械的保護を図ることができる。特に、リアクトル101では、コイル201の全体を外側コア部203に覆われる形態とすることで、外側コア部203の形成が容易である上に、コイル201の保護を十分に図ることができる。このようにリアクトル101は様々な利点を有する。
更に、リアクトル101は、上述のように外側コア部203が磁性材料と樹脂との混合物により形成されている場合でも、所望のインダクタンス値を実現し易くなっている。外側コア部203をケース103内で硬化させるとき、上述のような製造方法によると、磁性材料が重力によってケース103の底側により多く分布し、ケース103の上側により少なく分布する。このため、ケース103の側壁に沿った方向206では磁性材料の密集度差が大きくなってしまう。例えば故意に密度差を付けずに硬化させた場合であっても、重力によるわずかな沈殿および密集度のばらつきのために±1%以下、大きくても±2%未満の密度差は生じ得る。円筒状のコイル201の端面をケース103の底面へ向けている(コイル201をケース103内に縦置きしている)と、磁性材料の密集度の差が大きい方向206に磁路が形成されることになり、設計値通りのインダクタンスを実現するのが難しくなる。一方、水平方向における磁性材料の密集度の差は、方向206と比べてかなり小さくできる。
一方向における磁性材料の密集度は、例えばその方向を法線とする面で外側コア部203を所定間隔ごとにスライスした場合の、各スライス片(コイル201及び内側コア部202の体積を除く)の密度測定により評価することができる。この場合、一方向における磁性材料の密集度の差は、各スライス片の密度のうち、最小の密度と最大の密度を用いて、最大の密度を基準として、(最大の密度−最小の密度)/最大の密度、により計算することができる。
密度ρの測定方法は、空気中での重さと水中での重さから次の通り求めることができる。アルキメデスの原理から、
ρ=(ρw×Wair−ρair×Ww)/(Wair−Ww)
となる。ここで、ρw:水の密度、ρair:空気の密度、Ww:水中での重さ、Wair:空気中での重さである。
近似的には、ρw>>ρairなので
ρ≒ρw×Wair/(Wair−Ww)
とできる。
リアクトル101では、その密度の差が少ない方向に合わせて、コイル201の軸方向205がケース103の底面と略平行になっており、コイル201の端面がケース103の側壁に向いている(コイル201をケース103内に横置きしている)。ケース103の底面側に磁性材料がより多く分布し、その部分に集中して磁路が形成されることになるが、全体としては製造プロセスで磁性材料の密集度分布を考慮せずとも、設計値通りのインダクタンスが実現し易くなる。その結果、リアクトル101の製造コストが低減される。
なお、コイル201の軸方向205は充填工程から硬化工程において水平方向(又はケース103の底面と略平行)になっていることが好ましいが、円筒状のコイル201の端面がケース103の側壁を向いている範囲であれば、コイル201の端面をケース103の底面に向ける場合と比べて磁束の方向における磁性材料の密集度の差を抑えることができる。
更に、コイル201の軸方向をケース103の底面と略平行にして、コイル201の端面をケース103の側壁に向けてコイル201を配置することで、リアクトル101の放熱性が向上する。磁性材料と樹脂との混合物から形成される外側コア部203は圧粉成形体からなる内側コア部202と比較して熱伝導率が低く、外側コア部203に覆われたコイル201からの熱によってリアクトルの温度が上昇し易い。コイル201の端面をケース103の側壁ではなく底面に向けてコイル201を配置すると、コイル201の外表面の多くを占める外周面がケース103の側壁を向くことになる。この場合、コイル201から発生する熱の放散は主に、内側コア部202からケース103の底面への経路や、外側コア部203及びケース103の側壁を介して底面に至る経路で行われる。その経路で放熱を行う場合、リアクトル101全体の温度が上昇し易くなる。
これに対し、コイル201の端面をケース103の側壁に向けてコイル201を配置すると、コイル201の外周面がケース103の底面を向くことになる。冷却面であるケース103の底面を向くコイル201の表面積が大きくなるので、コイル201が外側コア部203により覆われている場合でも、コイル201からの熱がケース103の底面から放散され易い。したがって、このリアクトル101は、所望のインダクタンス値を実現し易く、しかも良好な放熱性を確保できる。
かかる観点から、コイル201の外周面がケース103の冷却面に接触あるいは絶縁物を介して接触するように配置すると放熱性がさらに向上し、好ましい。接触部分には外側コアが実質的に存在しないことになるが、外側コアの機能として問題は無い。
図3はケースの内壁面が外壁面と非相似形に形成されたリアクトルの構成例を説明するための図である。この例では、ケース103の内壁面301が、コイル201及び内側コア部202の外形に合わせて、その断面形状が略半楕円形状となっている。ケース103の外形は直方体状であるので、ケース103の内壁面と外壁面は非相似形となる。仮想線302はケース103の外壁面と相似形の直方体状に形成した場合の内壁面を仮想的に示す。
内壁面301と仮想線302との図上の比較から明らかな通り、コイル201及び内側コア部202の外形に合わせてケース103の内壁面301を形成することで、ケース103の内壁面が各所で偏り少なくコイル201及び内側コア部202と近接する。ケース103の内壁面を外壁面と相似形に形成する場合と比べて、コイル201及び内側コア部202と一定距離内で対する内壁面301の表面積を増加させることができる。このため、コイル201等からの熱を内壁面301から放散し易くなり、リアクトルの放熱性が高められる。
なお、内壁面301の断面形状は、略半楕円形状に限られず、コイル201及び内側コア部202の外形に合わせて、略半円状やその他の形状であってもよい。また、ケースの内壁面はコイル201の外形または内側コア部の外形に合わせて形成してもよい。
図4はコイルの外周面の一部が外側コア部から露出したリアクトルの構成例を示す図である。この例では、ケース103の内壁面401が、コイル201及び内側コア部202の外形に合わせて、その断面形状が略半円状となっている。このため、図3の例と同様にその内壁面401の形状によってリアクトルの放熱性が向上する。しかしながら、ケース103の内壁面はその他の形状であってもよい。
図4の例では、更に、コイル201の外周面402の一部がケース103の上側で外側コア部203から露出している。コイル201をケース103内に縦置きする場合、外側コア部203からコイル201を露出させようとすると、コイル201外周面の全周にわたって外側コア部203が存在しない部分が生じる。一方、コイル201をケース103内に横置きする場合は、コイル201の外周面402の一部を露出させても、その他の部分で外側コア部203がコイル201の軸方向205に連続する。従って、外周面402の外側コア部203内にある部分で必要な磁路を確保できる。ケース103の底面側に磁路が集中して形成されるので、このようにケース103の上側でコイル201の外周面402を露出させれば、インダクタンス値への影響は特に少なく、全体として設計値通りのインダクタンスを実現し易くなる。
コイル201の外周面402の一部がケース103の上側で外側コア部203から露出していれば、外側コア部203を介さずにコイル201の熱を放散することができる。ケース103の上側は冷却面であるケース103の底面から最も離れているので、その部分の温度が上昇し易い。コイル201の外周面402の一部をケース103の上側で露出させることで、その部分の放熱性が高められる。したがって、所望のインダクタンス値を確保しつつ、リアクトル全体の放熱性をさらに高めることができる。
図3や図4の例において、ケース103が、その上部を閉じる蓋を有するようにしてもよい。ケース103の上方を例えばアルミニウム製の蓋で閉じれば、外側コア部203やそこから露出したコイル201の上面をその蓋と面接触させることができる。その場合、リアクトル上側の熱は、蓋、ケース103の側壁を経て、冷却面である底面に至る経路でも放散することが可能となる。このため、リアクトルの放熱性がより向上する。蓋の素材には、アルミニウム以外にも、アルミニウム合金などのその他の金属材料や、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素などのセラミックスを用いることができる。なお、図4の例に対しケースを導電性材料の蓋で閉じるように構成する場合には、コイル201と蓋との間で絶縁が必要となる。
図5はケース内にコイルの支持部を設けたリアクトルの構成例を説明するための図である。この例では、リアクトルが、内側コア部202のコイル201から突出した両端部分501でコイル201及び内側コア部202を支持する支持部502をケース103の内底面503に備える。支持部502はケース103本体と一体的に形成したものであってもよいし、ケース103本体とは別途に形成し、ケース103本体に連結固定したものであってもよい。支持部502の素材は、ケース103と同じ素材であっても異なる素材であってもよく、上述したケースの蓋と同様の素材を支持部502に用いることができる。
ケース103内、この例ではケース103の内底面503に支持部502を設けることで、ケース103内でのコイル201の位置決めが容易になる。支持部502上にコイル201を載置した状態で外側コア部203の構成材をケース103内に充填し成形・硬化すれば、この例に係るリアクトルを製造することができる。このため、所望のインダクタンス値を実現したリアクトルの製造がより簡単になる。
支持部502は、内側コア部202のコイル201から突出した両端部分501で内側コア部202と接触する。コイル201は支持部502と接触しない。また、支持部502はケース103の内底面503上に立設されているので、コイル201はケース103の内底面503とも接触しない。したがって、コイル201を支持部502上に置くだけで、ケース103とコイル201との絶縁が確保される。
支持部502は、内側コア部202とケース103の内底面503とを構造的に連結する。内側コア部202の両端部分501からケース103の底面へ支持部502を介して熱を放散することができる。したがって、支持部502を設けることで、リアクトル全体の放熱性をより高めることもできる。なお、ケース103とコイル201との絶縁を確保するならば、ケース103の内底面503とコイル201とを近接させれば、それだけ放熱性が向上する。
図20は、コイルがケースの内壁面に接するように形成されたリアクトルの構成例を説明するための図である。円筒状の内側コア901に巻かれたコイル901がケース904内に収納されている様子を、コイルの軸方向に垂直な断面で表した模式図である。ここでは磁性材料と樹脂の混合物からなる外側コア903内の磁性材料の密集度を黒点で表現している。本例はケース904のコイルの軸方向と平行な両側壁と底面を冷却面とする場合を例示しており、ケース904の側壁面および底面側で外側コアの磁性材料の密集度が高くなっている。コイルを冷却面となる側のケース内壁面に接するように、あるいは樹脂シートや塗料などの絶縁体(図示せず)を介して接するようにすることで、冷却の効果を一層高めることができる。本例では冷却面が3面あり、少なくともその1面に接していると効果が得られる。図20では一方側面と底面の2面に接するように配置した例を示しているが、3面全て、底面のみ、あるいは両側面のみなどの構成が可能である。
次に、外側コア部に密度差を形成する他の製造方法を示す。図18は外部磁場による密集度差の形成方法を説明する図である。図18はコイル702と内側コア701からなるコイル組物を直方体状のケース704に収納したリアクトルを、コイルの軸方向に直角な面の断面として模式的に示している。ケース704内に磁性材料と樹脂との混合物703を充填したのち、硬化前の段階で、ケースの側面に永久磁石710を配置している。これにより、樹脂内に分散した磁性粉末が磁石に引き寄せられて両側面側での磁性粉末の密集度を高くすることができる。この状態で樹脂を加熱硬化させることにより、密集度差の形成が可能となる。本例では密集度を高めた側の両側面が冷却面として用いられる。
さらに別な製造方法として、図19は遠心力による密集度差の形成方法を説明する図である。図19はコイル802と内側コア801からなるコイル組物を円筒状のケース804に収納したリアクトルを、コイルの軸方向の断面として模式的に示している。ケース804内に磁性材料と樹脂との混合物803を充填したのち、硬化前の段階で、ケースを回転台810に載置し、回転させることで遠心力を発生させる。これにより、樹脂内に分散した磁性粉末が円筒状ケース804の円筒面側に集まり、円筒面側での磁性粉末の密集度を高くすることができる。この状態で樹脂を加熱硬化させることにより、密集度差の形成が可能となる。本例では密集度を高めた円筒面を冷却面として外側から冷却を行う構成で用いられる。
上述した実施の形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、本発明のリアクトルは、車載向けコンバータに限らず、空調機のコンバータのように比較的出力の高いその他の電力変換装置にも適用することができる。更に、内側コア部の端面はケースの側壁に接触してもよい。内側コア部の端面がケースの側壁に接触することで、更にリアクトルの放熱性を高めることができる。
上述した実施の形態では、主に内側コア部が圧粉成形体により構成されるリアクトルについて本発明を説明した。その他、内側コア部として、珪素鋼板に代表される電磁鋼板を積層させた積層体からなるものを利用することもできる。電磁鋼板は、圧粉成形体と比較して、飽和磁束密度が高い磁性コアを得易い。更に、既述のリアクトルは、内側コア部が外側コア部よりも飽和磁束密度が高く、外側コア部が内側コア部よりも透磁率が低く構成されていたが、本発明の適用されるリアクトルはその例に限られるものではない。例えば外側コア部だけでなく内側コア部も磁性材料と樹脂との混合物から構成するようにしてもよい。なお、内側コア部と外側コア部がともに磁性粉末と樹脂とを含む混合物の場合は、コイルのみをケース内に収納したのち、充填工程をおこなえばよい。コイルのみをケース内に収納する場合でも、コイルと内側コア部との組物ケース内に収納する場合と同様にして、次に続く充填工程および硬化工程をおこなうことができる。
[密度差の形成]
以下、冷却面を底面とすることを想定し、硬化前の磁性材料の底面側への沈降による密集度差の形成を前提として形成例を説明する。よって、冷却面が底面、冷却面側とは異なる面で最も密集度の低い面である比較面が上面となる。磁性材料の密集度差は、硬化条件、磁性材料の充填量、粒径、硬化剤の種類などの諸条件により所望の値とすることができる。表1に形成例を示す。磁性材料として市販の純鉄粉を用い、フィラー等他の充填材を用いずにエポキシ樹脂(三菱化学(旧ジャパンエポキシレジン)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂 JER828)と表に示す硬化剤を混合した。硬化条件は全て同一であり、80℃2時間、120℃2時間、150℃5時間の順で加熱した。80℃での保持時間2時間は磁性材料の沈殿がほぼ飽和する時間であり、底面側と上面側の密集度が十分についている状態である。より短時間にすれば差を小さくすることができる。120℃での硬化中にも若干の沈殿は進行するが、本例の場合は80℃での充分な時間を採っていることから密集度差への影響はほとんど無いと考えられる。
表1において、高さは外側コア部となる充填部の高さ、すなわちケース底部から上面までの距離である。鉄粉粒径範囲は日機装株式会社製の装置(マイクロトラックMT3300)を用いてレーザ回折・散乱法で測定した。鉄粉充填量は混合物全体に占める鉄粉の体積割合である。底面側密度および密度差は、硬化後の測定結果であり、硬化後にサンプルを底面側から上面側に5等分して、上述の方法で各部の密度を算出して求めた。密度は底面側から上面側に向かって減少することが確認でき、底面側密度は、分割した中で最も底面側の密度であって最大密度となる。密度差は、(底面側密度−上面側密度)/底面側密度で求めた。
実施例1、実施例2、実施例7の比較から、充填高さが高いほど密度差が大きくなることが判る。また、実施例2、実施例3、実施例4の比較から、鉄粉充填量が多いほど密度差が大きくなることが判る。また、実施例1は粒径75μm以下の鉄粉を使用したのに対して、実施例5は38μm以下のみを選別して、実施例6は38から75μmのみを選別しており、粒径の小さいものが密度差に寄与していることが判る。さらに、実施例7と実施例8は硬化剤の違いを比較しており、硬化剤の選択によっても密度差を変えることができることが示されている。
[放熱効果のシミュレーション1]
次に、密度差による内部温度の違い、放熱効果をシミュレーションにより確認した結果を示す。図6にシミュレーションしたリアクトルの構造を示す。円筒状の内側コア部602、その外周に巻かれたコイル601、それら全体を覆う外側コア部603、全体を収納するケース604から構成される。内側コア部602は密度7.27g/cmで均一な圧粉成形体コアであり、寸法は直径29.8×高さ61mmとした。また、コイル601の寸法は内径33.8mmで厚さ0.8mm×幅9.0mmの線材を51ターン巻線している。ケース604外形は91.2×74.2×60mmである。
外側コア部603は磁性材料と樹脂との混合物であり、外形寸法を87.2×70.2×56mmとした。外側コア部は底面から上面に向かって均等10分割に密度差を設けている。表2は密度差を付けた各部の条件であり、vol%は外側コア部の各部分の磁性体の体積%、Dは各部分の密度(g/cm)、μは各部分の比透磁率、Wは各部分の10kHzの鉄損(磁束密度振幅Bm=0.1T)(kW/m)、λは各部分の熱伝導率(W/mK)、をそれぞれあらわす。また各部分の飽和磁束密度は0.8〜1.1Tの間にある。
第1のシミュレーション結果を図7から図9に示す。コイル、内側コア、外側コア、ケースのそれぞれについて損失を磁場解析で計算した結果を元に、熱解析で発熱源として扱った。なお、駆動周波数10kHz、通電条件は45Aとし、強制冷却となる冷却側の温度を50℃の条件とした。各図は断面温度分布を相対的に色分布で表している。色は赤色が最も温度が高く、黄、緑、青と順に低温となって、紫が最も低い温度を示している。図の下方が底面側、上方が上面側である。図7、図8は上記表2の外側コアによるもの、図9は比較のために外側コアに密度差を付けず均一としたものである。図7は、図の下方が底面側(高密度側)であり、底面側を強制冷却したものである。図8は、同じく図の下方が底面側(高密度側)であり、上面側を強制冷却したものである。図9は、均一密度の場合であって底面側を強制冷却したものである。
図7と図8の結果を比較してみた場合、冷却面を密度の高い側(底面側)にする方が、密度の低い側(上面側)にするよりも最高温度が6℃低くなっており、効率的に放熱できることが確認できた。すなわち、密度差を付けて密度の高い側を冷却することは有効である。
図7と図9の結果を比較してみた場合、密度差がある場合と無い場合では、同じように冷却をしても最高温度の差が3℃あり、密度差がある方が効率的に放熱できることが確認できた。
[放熱効果のシミュレーション2]
次に、外側コア部の密度差の違いによる冷却効果の違いをより詳しく見るために、密度差を変えて詳しくシミュレーションした結果を示す。シミュレーション対象として設定したリアクトルの外形寸法条件は上記シミュレーション1と同じである。外側コア部として、底面側と上面側の間を10段階の密度に設定し、密度差を0%、2%、3%、5%、10%、15%、20%と変化させて解析例1から解析例7とし、それぞれの場合の断面温度分布を求め、各部の最高温度を求めることで冷却の効果を確認した。表3にシミュレーション条件として各解析例で設定した密度(g/cm)を、表4に熱伝導率(W/mK)を、表5に比透磁率を、表6に鉄損(磁束密度振幅Bm=0.1T)(kW/m)をそれぞれ示す。
図10から図17に、解析例1から解析例8について求めた断面温度分布の違いを色分布で表す。図の比較から明らかなように、密度差が大きいほど冷却効果が大きく現れ、全体に温度が低く保たれていることがわかる。表7は、図10から図17の各解析例について、内側コア部、コイル、外側コア部、ケースのそれぞれにおける最高温度と、全体での最高温度、リアクトル全体の損失、コイル直流電流0A(ゼロ磁場)でのリアクトル全体のインダクタンス、をまとめたものである。表7から、全体での最高温度は内側コア部になっていることがわかる。密度差を2%付けると最高温度を0.5℃下げることができ、密度差が大きくなるに従って順に冷却効果が大きくなり、20%付けると5.1℃下げることができる。
このように、外側コア部に密度差を付け、密度の大きい側である底面側を冷却面として冷却することによって、リアクトル全体を効果的に冷却することができることが確認できた。底面側への磁性粉末の沈降による製造方法を例として示したが、他の製造方法により密度差を付けた場合でも冷却面と密度差との関係において同じである。エポキシ樹脂の耐熱温度やリアクトル周辺の電子部品等の耐熱温度は140〜150℃程度以下であり、リアクトル各部位の最高温度がこれらの耐熱温度以上となることは許されず、耐熱温度に比べて少しでも低くすることが望ましい。また、温度を下げることにより、コイルの損失を下げる効果もある。さらに、冷却温度はここでは50℃としたが、50℃より高い温度に設定される場合もありうるので、リアクトルの各部位の温度は、耐熱温度に比べて少しでも低くすることが望まれている。冷却の効果は密度差を大きくする程大きいが、密度差の無い場合と比較した有意な差として0.5℃超の効果を出すには3%以上の密度差があることが好ましく、1℃以上のためには5%以上、2℃以上のためには10%以上がさらに好ましいことがわかる。温度差のみに着目した場合、さらに密度差を大きくすることが好ましい。
一方、密度差を大きくすると、リアクトル全体としてのインダクタンスが小さくなる。インダクタンスはコイル巻数の2乗および断面積に比例し、同じインダクタンスを得るためには、コイルの巻き数を多くするか断面積を大きくする必要があり、リアクトル全体の大きさを大きくする必要が生じる。上記シミュレーションの場合、20%の密度差の解析例7の場合で、解析例1に比較してインダクタンスが0.2%低下する。この観点から計算した結果、インダクタンスの低下を1.5%以下に抑えるためには、密度差を45%以下とすることが好ましく、0.2%以下にするために密度差は20%以下とすることがさらに好ましいことがわかった。また、密度差を大きくすると、リアクトル全体の損失も大きくなる。車載用途での損失増加の許容範囲は10%程度までと考えられ、損失増加を10%以下に抑えるためには密度差を45%以下とすることが好ましい。さらに、損失増加を1.5%以下に抑えるためには密度差を20%以下とすることが好ましい。
以上の説明は、以下の特徴を含む。
(付記1)コイルと、コアと、前記コイル及び前記コアを収容するケースとを備え、前記コアが、前記コイルの内側に配置される内側コア部、及び前記コイルの外側の一部又は全部を覆う外側コア部を有し、前記外側コア部が、磁性材料と樹脂との混合物により形成されたリアクトルであって、樹脂硬化後の磁性粉末と樹脂との混合物中に直径300μm以上の気泡が存在しない、ことを特徴とするリアクトル。硬化後の磁性粉末と樹脂との混合物内に気泡が少ないことで、熱伝導性に優れた外側コアとすることができる。さらに、気泡が少ないことで、設計した磁気特性分布からのずれは小さくなり、所望の特性を実現しやすくなる。
(付記2)前記ケースを構成する壁面のうち、前記コイルの軸方向と略平行な面の少なくとも1つの面が外部から冷却される冷却面として構成されており、前記外側コア部における磁性材料の密集度の分布が、前記コイルの軸から前記冷却面の方向に向かって大きくなる分布であることを特徴とする、付記1に記載のリアクトル。
(付記3)コイルと、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイルを前記ケース内に収納する収納工程と、前記冷却面が底面となる状態で磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、前記充填工程と前記硬化工程の間に、前記混合物の粘度が略最小になる温度で保持する工程を有する、リアクトルの製造方法。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車といった車両や空調機に搭載されるコンバータのような電力変換装置の構成部品に利用することができる。
101 リアクトル
102 コンバータケース
103 リアクトルのケース
201 コイル
201w 巻線
202 内側コア部
203 外側コア部
204 コア
205 コイルの軸方向
206 ケースの側壁に沿った方向
301、401 ケースの内壁面
402 コイルの外周面
501 コイルの両端部分
502 支持部
503 ケースの内底面
601 コイル
602 内側コア部
603 外側コア部
604 ケース
701、801、901 内側コア
702、802、902 コイル
703、803、903 混合物
704、804、904 ケース
710 永久磁石
810 回転台

Claims (9)

  1. コイルと、コアと、前記コイル及び前記コアを収容するケースとを備え、前記コアが、前記コイルの内側に配置される内側コア部、及び前記コイルの外側の一部又は全部を覆う外側コア部を有し、前記外側コア部が、磁性材料と樹脂との混合物により形成されたリアクトルであって、
    前記ケースを構成する壁面のうち、前記コイルの軸方向と略平行な面の少なくとも1つの面が外部から冷却される冷却面として構成されており、
    前記外側コア部における磁性材料の密集度の分布が、前記コイルの軸から前記冷却面の方向に向かって大きくなる分布であることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記冷却面は前記ケースの底面以外の面である請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記密集度の差は、冷却面側を基準として0%超45%以下である、請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記密集度の差が3%以上である、請求項3に記載のリアクトル。
  5. 前記コイルが前記冷却面と接するように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記コイルの外周面の一部が前記外側コア部から露出する請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、
    前記冷却面が底面となる状態で磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、
    前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、
    前記充填工程と前記硬化工程の間に、前記混合物の粘度が略最小になる温度で保持する工程を有する、リアクトルの製造方法。
  8. コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、
    磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、
    前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、
    前記充填工程において、または前記充填工程の後に、前記冷却面側に前記磁性材料が移動するように外部磁場を印加する、リアクトルの製造方法。
  9. コイルと、該コイル内に挿通された内側コアとを備えたコイル組物と、外部から冷却される冷却面を備えたケースとを準備し、前記ケースの前記冷却面と前記コイルの軸線方向が略平行になるように、前記コイル組物を前記ケース内に収納する収納工程と、
    磁性材料と樹脂とを含む混合物を前記ケース内に充填する充填工程と、
    前記充填工程の後に、充填した前記混合物を硬化させる硬化工程を有し、
    前記充填工程において、または前記充填工程の後に、前記冷却面側に前記磁性材料が移動する方向の遠心力が生じるように前記ケースを回転させる、リアクトルの製造方法。
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