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JP5594514B2 - レーザ式ガス分析計 - Google Patents

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JP5594514B2 JP2010059179A JP2010059179A JP5594514B2 JP 5594514 B2 JP5594514 B2 JP 5594514B2 JP 2010059179 A JP2010059179 A JP 2010059179A JP 2010059179 A JP2010059179 A JP 2010059179A JP 5594514 B2 JP5594514 B2 JP 5594514B2
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Description

本発明は、煙道内の各種の測定対象ガスの有無や濃度を分析するレーザ式ガス分析計に関する。
従来技術のレーザ式ガス分析計について説明する。まずレーザ式ガス分析計のガス濃度測定原理について説明する。図10はNH(アンモニア)ガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。気体状のガス分子には、それぞれ固有の光吸収スペクトルがあることが知られており、例えば、この図10のNHガスの吸収スペクトラムの特性図に示すように、縦軸が吸収量であり、波長別に吸収量が相違する。
レーザ式ガス分析計は、このようなガスにレーザ光を照射し、特定波長のレーザ光をガスの濃度に比例して吸収させ、この吸収量に基づいてガス濃度を測定する。このようなレーザ式ガス分析計の測定方式は、さらに、2波長差分方式と周波数変調方式とに大別される。
このうち周波数変調方式に関するレーザ式ガス分析計の従来技術として、例えば、特許文献1(国際公開第WO2008/096524号公報、発明の名称「レーザ式ガス分析計」)に記載の発明が知られている。
図11に周波数変調方式のレーザ式ガス分析計によるSOガスの濃度測定時の検出信号を示す。SOガスの吸収がある場合は、レーザ式ガス分析計は図11に示すようなガスの吸収波形を検出する。このピーク値がガス濃度となるため、この出力のピーク振幅を計測することにより、SOガスの濃度測定が可能となる。また、信号変化を積分してもよい。
国際公開第WO2008/096524号公報(段落番号0082〜0087、図15A,図15B)
近年、半導体レーザの一種である、室温で連続発振可能な量子カスケードレーザ(以下、Quantum cascade laserの略称であるQCLと称する)が実用化された。QCLは従来の半導体レーザでは実現不可能であった中赤外領域(4〜10μm)という広範囲な領域の波長を発光することができる。このQCLを用いることにより、NH(アンモニア)ガス以外でも、SO,NO,NO等のように中赤外領域レーザ光に吸収波長が含まれるガス成分を測定するというような、従来技術では不可能であったレーザ式ガス分析計を実現することができる。
また、受光素子として、同じく中赤外領域に感度を有する赤外線検出素子、例えばMCT(Mercury_Cadmium_Tellurium)光導電素子(以下、MCTと表記する)を用いることが好ましい。
しかしながら、QCLやMCTを搭載したレーザ式ガス分析計を高精度で分析可能とするためには各種問題があり、その一つとして、中赤外領域では測定対象ガス以外にも他の干渉ガスにより吸収がなされるという問題があった。この点について説明する。
まず、図12に、SOガスの吸収スペクトラム例を示す。前記の周波数変調方式と同様の装置構成によって、SO濃度測定を行う場合、QCLの波長は7.2〜7.4μmとすることが好ましい。なお、このSOガスは濃度測定に適した波長範囲において、所定の波長で観察される吸収ピーク以外に、波長に明確に依存しないオフセット的な吸収(以下、オフセット吸収と表記)を有することが特徴である。
さて、このSOガスに対する干渉ガスとして、例えば、CHガスや水(蒸気)が挙げられる。
図13にCHガスの吸収スペクトラム例を示す。CHは、SOの測定波長領域(7.2〜7.4μm)に多数の大きな吸収ピークを有しており、SO濃度測定において測定誤差を生じさせる干渉ガスの一つである。
図14にHO(水蒸気)の吸収スペクトラム例を示す。CHと同様に、HOは、SOの測定波長領域(7.2〜7.4μm)に多数の大きな吸収ピークを有しており、SO濃度測定において測定誤差を生じさせる干渉ガスの一つである。
続いて干渉ガスの存在による測定誤差について説明する。
例えば、干渉ガスであるCHが測定環境内に500ppm・mの濃度で存在する場合、レーザ式ガス分析計による検出信号には、図15に示すように、同一検出波長でSOとCHの吸収が現れる。そのため、図16に示すように、50ppm・mフルスケールのSO分析計において、目標仕様の3倍超過である6%の測定誤差が生じることとなる。
このような干渉現象が生じない検出波長や波長変調条件を選定することが望ましいが、図12,図13,図14に示すように、SOの吸収が存在する波長領域と、CHおよびHOの吸収が存在する波長領域と、が大部分で重なっており、重なりがない波長領域の選定に多大の労力を要するという問題があった。また、QCLの設計仕様において、基準波長や波長公差に対する尤度が小さくなることから、QCL製造時の歩留まり低下によるコストが高いという問題があった。
なお、特許文献1に記載の従来技術のレーザ式ガス分析計は、QCLを採用していないため、波長の違いからSOについて計測するものではなく、このような干渉の問題は生じておらず、上記のような問題について考慮したものではなかった。
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な分析ロジックを追加することで、干渉の影響を排除し、濃度を正確に算出できるようにしたレーザ式ガス分析計を提供することにある。
本発明の請求項1に係るレーザ式ガス分析計は、
周波数変調された中赤外領域レーザ光を出射する光源部と、この光源部からの出射光をコリメートする光源側光学系と、この光源側光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された透過光を集光する受光側光学系と、この受光側光学系により集光された光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路と、処理された信号に基づいて測定対象ガスの濃度を測定する中央処理部と、を有するレーザ式ガス分析計において、
前記光源部は、
中赤外領域レーザ光を発光するレーザ素子と、
前記レーザ素子の温度を安定化させる発光側温度安定化手段と、
測定対象ガスの吸収波長を走査するように前記レーザ素子の発光波長を可変とする可変駆動信号と、前記レーザ素子の発熱量を減少させるように前記レーザ素子の発光を停止するオフセット信号と、を含む波長走査駆動信号に対し、前記発光波長を変調するための高周波変調信号を合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、
このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換して前記レーザ素子へこの電流を供給する電流制御部と、
を備え、
前記受光部は、
中赤外領域に感度を有する受光素子と、
この受光素子の温度を安定化させる受光側温度安定化手段と、
を備え、
前記信号処理回路は、
前記受光部の出力信号から光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号の振幅を検出して検出信号を出力する同期検波回路と、
を備え、
前記中央処理部は、
異なる波長Xと波長Yとの間の干渉ガスの測定誤差の比率aが予め登録されており、
干渉ガスを含む測定対象ガスにおける測定対象ガスのガス濃度を測定する場合、
発光部側の前記電流制御部および前記発光側温度安定化手段に対し、複数の異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光を発光するようなレーザ駆動電流およびレーザ動作温度とする制御を行う制御手段と、
一定時間に異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光によってそれぞれ得られる、複数のガス吸収波形をもとに、波長Xのときの測定対象ガスの濃度S 〔%〕、および、波長Yのとき測定対象ガスの濃度S 〔%〕を生成する生成手段と、
測定対象ガスの濃度をS =S /(1−a)−aS /(1−a)により算出して測定対象ガスによる吸収成分と干渉ガスによる吸収成分とを分別しつつ測定対象ガスの濃度を算出する測定対象ガス濃度算出手段として機能することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係るレーザ式ガス分析計は、
請求項1に記載のレーザ式ガス分析計において、
前記中央処理部は、
濃度Bの干渉ガスの波長Xにおける吸収の測定誤差x、および、濃度Bの干渉ガスの波長Yにおける吸収の測定誤差yが予め登録されており、
干渉ガスの濃度をB =B(S −S )/(x−y)により算出する干渉ガス濃度算出手段として機能することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係るレーザ式ガス分析計は、
周波数変調された中赤外領域レーザ光を出射する光源部と、この光源部からの出射光をコリメートする光源側光学系と、この光源側光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された透過光を集光する受光側光学系と、この受光側光学系により集光された光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路と、処理された信号に基づいて測定対象ガスの濃度を測定する中央処理部と、を有するレーザ式ガス分析計において、
前記光源部は、
中赤外領域レーザ光を発光するレーザ素子と、
前記レーザ素子の温度を安定化させる発光側温度安定化手段と、
測定対象ガスの吸収波長を走査するように前記レーザ素子の発光波長を可変とする可変駆動信号と、前記レーザ素子の発熱量を減少させるように前記レーザ素子の発光を停止するオフセット信号と、を含む波長走査駆動信号に対し、前記発光波長を変調するための高周波変調信号を合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、
このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換して前記レーザ素子へこの電流を供給する電流制御部と、
を備え、
前記受光部は、
中赤外領域に感度を有する受光素子と、
この受光素子の温度を安定化させる受光側温度安定化手段と、
を備え、
前記信号処理回路は、
前記受光部の出力信号から光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号の振幅を検出して検出信号を出力する同期検波回路と、
を備え、
前記中央処理部は、
濃度Bの干渉ガスの波長Xにおける吸収の測定誤差x、および、濃度Bの干渉ガスの波長Yにおける吸収の測定誤差yが予め登録されており、
干渉ガスを含む測定対象ガスにおける干渉ガスのガス濃度を測定する場合、
発光部側の前記電流制御部および前記発光側温度安定化手段に対し、複数の異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光を発光するようなレーザ駆動電流およびレーザ動作温度とする制御を行う制御手段と、
一定時間に異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光によってそれぞれ得られる、複数のガス吸収波形をもとに、波長Xのときの測定対象ガスの濃度S 〔%〕、および、波長Yのとき測定対象ガスの濃度S 〔%〕を生成する生成手段と、
干渉ガスの濃度をB=B(S−S)/(x−y)により算出して測定対象ガスによる吸収成分と干渉ガスによる吸収成分とを分別しつつ干渉ガスの濃度を算出する干渉ガス濃度算出手段として機能することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な分析ロジックを追加することで、干渉の影響を排除し、濃度を正確に算出できるようにしたレーザ式ガス分析計を提供することができる。
本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計を示す全体構成図である。 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計の光源部の構成図である。 波長走査駆動信号発生部からの出力信号図である。 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計のレーザ素子の波長走査駆動信号波形、SOガスの吸収波形、同期検波回路のガス吸収波形を示す図である。 本発明の実施の形態のレーザ式ガス分析計の受光部、信号処理回路および中央処理部の構成図である。 周波数変調方式の原理図である。 本発明の実施形態における測定値補正を説明するための、検出波長と干渉ガス(HO)による測定誤差との関係を示す図である。 本発明の実施形態における測定値補正を説明するための、検出波長と干渉ガス(HO)による測定誤差との関係を示す図である。 本発明の実施形態における測定補正を説明するための、測定対象ガスおよび干渉ガスによる吸収波形を示す図である。 NHガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。 周波数変調方式のレーザ式ガス分析計によるSOガスの濃度測定時の検出信号を示す図である。 SOガスの吸収スペクトラム例を示す特性図である。 CHガスの吸収スペクトラム例を示す図である。 Oの吸収スペクトラム例を示す図である。 CHが干渉するSOの濃度測定時のガス吸収波形信号を示す図である。 CHが干渉するSOの濃度測定例を示す図である。
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。図1は、本形態のレーザ式ガス分析計を示す構造図であって、全体的な構成を示している。このレーザ式ガス分析計は、周波数変調方式のレーザ式ガス分析計である。レーザ式ガス分析計は、図1に示すように、フランジ101a,101bにより、例えば、煙道のように測定対象ガスが内部を通流する配管などの壁201,202に溶接等によって固定されている。一方のフランジ101aには、透明な出射窓101cが設けられている。また、フランジ101aには、取付座102aを介して有底円筒状のカバー103aが取り付けられている。
カバー103aの内部には光源部104が配置されており、この光源部104から出射したレーザ光はコリメートレンズ105を含む光源側光学系によって平行光にコリメートされ、フランジ101aの中心を通り、出射窓101cを介して壁201,202の内部(煙道内部)へ入射される。この平行光は、壁201,202の内部にある測定対象ガスを透過する際に吸収を受ける。
他方のフランジ101bには、取付座102bを介して有底円筒状のカバー103bが取り付けられている。また、フランジ101bには透明な入射窓101dが設けられている。煙道内部を通過した平行光は、入射窓101dを経て、カバー103b内部の受光側光学系である集光レンズ106により集光されて受光部107により受光され、電気信号に変換されて後段の信号処理回路108に入力される。また、光源部104および信号処理回路108は、中央処理部109に接続されている。
次に、光源部について説明する。図2は光源部104の構成を示している。この光源部104は、測定対象ガスの吸収波長を走査するようにレーザ素子の発光波長を可変とする波長走査駆動信号発生部104aと、測定対象ガスの吸収波長を検出するために、例えば6.5kHz程度の正弦波で波長を周波数変調するための高調波変調信号発生部104bと、からなるレーザ駆動信号発生部104sを備えており、これらの信号発生部104a,104bの出力信号が合成されてレーザ駆動信号が生成されるようになっている。上記レーザ駆動信号は電流制御部104cにより電流に変換され、QCLによるレーザ素子104eに供給される。このQCLによるレーザ素子104eは中赤外領域レーザ光を発光する。なお、波長走査駆動信号発生部104aは中央処理部109と接続されており、特に振幅や出射タイミングが入力されてレーザ駆動電流が制御される。
また、レーザ素子104eには発光側温度安定化手段が設けられている。この発光側温度安定化手段は、温度制御部104d、サーミスタ104f、ペルチェ素子104gを備える。レーザ素子104eに近接して温度検出素子としてのサーミスタ104fが配置され、このサーミスタ104fにはペルチェ素子104gが近接して配置されている。このペルチェ素子104gは、サーミスタ104fの抵抗値が一定値になるようにするため、温度制御部104dによって制御が行われ、結果としてレーザ素子104eの温度を安定化するように動作するものである。なお、温度制御部104dは中央処理部109と接続されており、レーザ動作温度が制御される。
ここで、波長走査駆動信号発生部104aから出力される波長走査駆動信号は、図3に示すように、可変駆動信号S1およびオフセット信号S2により一の単位波形となり、このような単位波形が一定周期で繰り返されるほぼ台形波状の信号である。
波長走査駆動信号の可変駆動信号S1は、吸収波長を走査する信号であり、電流制御部104cを介してレーザ素子104eに供給される電流の大きさを直線的に変えることにより、レーザ素子104eの発光波長を徐々にずらしていき、吸収波長を走査する信号である。信号S1の傾き、すなわち、供給電流の変化量によって、発光波長をサブnm〜数nmの範囲で走査可能である。例えばSOガスであれば、0.2nm程度の線幅を走査可能とする部分である。
また、波長走査駆動信号のオフセット信号S2は、レーザ素子104eが発光するスレッショルド電流値未満の電流を前記レーザ素子に供給するような値とした信号であり、レーザ素子104eを発光させないオフセット部分である。波長走査駆動信号発生部104aがこのオフセット信号S2を出力しているタイミングではQCLは未発光である。信号S1と信号S2とは交互に切り替わるように挿入されている。
このようにオフセット信号S2がレーザ素子104eの発光が安定するスレッショルド電流値未満であり、さらに可変駆動信号S1の時間に対してオフセット信号S2の時間が大幅に長い。
このような間欠発光条件、すなわち、信号S1と信号S2の時間の比は、QCLであるレーザ素子104eの発熱量とペルチェ素子等の温度安定化手段の性能とを勘案して決定すれば良く、例えばS1:S2=1:4とすることにより、連続発光する場合と比較して、発熱量を1/5にまで低減することができる。
仮にQCLを用いる光源部を連続発光させたり、または、少し停止するが殆ど連続して発光させると発熱が過大となり、ペルチェ素子による温度制御が困難になることが予想されるが、本形態では上記のようにQCLを発光時間よりも消光時間が長いように間欠発光させることにより、QCLの発熱量を低減し、従来のレーザ式ガス分析計と同等の構成およびコストでQCLの使用が可能となるようにした。発光時間と消光時間との割合は、発光側温度安定化手段(図2の温度制御部104d、サーミスタ104f、ペルチェ素子104g)により温度安定化が可能な限界温度を想定したとき、この限界温度よりも低い温度となるように発光時間と消光時間との割合が決定される。この場合、少なくとも発光時間よりも消光時間を長くして、温度を低下させる。このような駆動方式は、QCLやMCTの不安定性の解消に寄与するものである。
さて、このような波長走査駆動信号発生部104aから出力される波長走査駆動信号に対し、高周波変調信号発生部104bからの高周波変調信号を合成して周波数変調を行い、図4で示すようなレーザ駆動信号を生成する。このレーザ駆動信号は、SOガスの場合では、高周波変調信号の周波数を6.5kHz、波長走査駆動信号の周波数を20Hzとなり、λ、λはSOガスの吸収波長に相当する走査範囲の上下限値を示している。
なお、波長走査駆動信号のλ、λはSOガスの吸収波長に相当する走査範囲として説明しているが、SO以外にも、NOのガス成分を測定したり、または、NOのガス成分を測定することができる。しかしながら、QCLの特性(電流や温度による波長走査可能範囲)とSO,NO,NOの吸収スペクトルを勘案すると、SO,NO,NOの何れか一つについての単成分計として個別に測定するレーザ式ガス分析計となる。この場合レーザ式ガス分析計では、SO,NO,NO等の中から一つ選定された測定対象の吸収波長に対応した発光波長を持つQCLが選定され、この測定対象のガス成分に応じて中赤外領域のλ、λが設定される。このようなレーザ駆動信号が出力される。
次に、図5は、受光部107および信号処理回路108の構成を示している。中赤外領域に感度を有するMCT光導電素子は低温でないと十分な感度が得られないため、MCT光導電素子である受光素子107aに対して、受光側温度安定化手段を受光部107に設けている。
受光側温度安定化手段は、さらにサーミスタ107b、ペルチェ素子107c、温度制御部107dを備え、受光素子107aを冷却する。具体的には、MCT光導電素子内にサーミスタ107bやペルチェ素子107cが内蔵される。このようにレーザ素子107aに近接して温度検出素子としてのサーミスタ107bが配置され、このサーミスタ107bにはペルチェ素子107cが近接して配置されている。
このペルチェ素子107cは、サーミスタ107bの抵抗値が一定値になるように温度制御部107dによって制御され、結果として受光素子107aの温度を安定化するように動作するものである。このような受光側温度安定化手段により、例えばMCT光導電素子の動作温度を−3℃で一定にする。
MCT光導電素子である受光素子107aは、QCLであるレーザ素子104eの中赤外領域レーザ光の発光波長に感度を持つ受光素子である。この受光部107の出力電流はI/V変換器108aへ入力される。I/V変換器108aは、発振器108cから2f信号(2倍波信号)が入力されており、出力電流に対して2f信号(2倍波信号)により変調してから電圧に変換して電圧信号を出力する。この電圧信号が同期検波回路108bに入力される。同期検波回路108bはこの電圧信号に対して検波を行い、変調信号の2倍周波数成分の振幅のみを取り出す。
ここで周波数変調方式のレーザ式ガス分析計の計測原理について説明する。図6は、周波数変調方式の原理図を示している。この周波数変調方式のレーザ式ガス分析計では、中心周波数f、変調周波数fで半導体レーザの出射光を周波数変調し、測定対象ガスに照射する。ここで、周波数変調とは、レーザ素子104eに供給するドライブ電流の波形を正弦波状にすることである。
周波数変調方式で距離の影響をキャンセルするためには、半導体レーザ素子の出力を周波数変調すると同時に周波数fで振幅変調を行えばよいのであるが、半導体レーザ素子の出力に周波数変調を掛けると振幅変調も掛かるので、これが利用できる。
図6に示したように、ガスの吸収線は変調周波数に対してほぼ2次関数となっているので、この吸収線が弁別器の役割を果たし、受光部では変調周波数fの2倍の周波数の信号(2倍周波数信号)が得られる。ここで、変調周波数fは任意の周波数で良いため、例えば、変調周波数fを数kHz程度に選ぶと、ディジタル信号処理装置(DSP)または汎用のプロセッサを用いて、2倍周波数信号の抽出等の高度な信号処理を行うことが可能になる。
また、受光部によりエンベロープ検波を行えば振幅変調による基本波を推定でき、この基本波の振幅と前記2倍周波数信号の振幅との比を位相同期させて検出することで、距離に関係なく測定対象ガス濃度に比例した信号を得ることができる。
このような原理のもと、同期検波回路108bにおいて、測定対象ガスによるレーザ光の吸収が無い場合は、同期検波回路108bによって2倍波信号が検出されないので、同期検波回路108bの出力はほぼ直線となる。
一方、測定対象ガスによるレーザ光の吸収がある場合は、同期検波回路108bによって出射光の変調信号の2倍周波数成分の振幅のみが抽出された信号である2倍波信号が検出される。その出力波形は図4の長方形の枠内に図示された同期検波回路108bの出力波形に示すようになる。この波形はフィルタ108dによりノイズが除去され、適宜増幅して後段のCPUやDSP等である中央処理部109へ出力される。
なお、I/V変換器108aからの出力信号は抽出手段(フィルタ)108eにも入力され、抽出された波長走査駆動信号成分が中央処理部109に送られるが、この波長走査駆動信号成分は異常判定などに用いられることとなる。
この図4に示される同期検波回路108bの出力波形のピーク値が測定対象ガスの濃度に相当するため、ピーク値を測定するか、あるいは波形の一部または全部を積分してその積分値から測定対象ガスの濃度を検出すればよい。
次いで、測定対象ガスの濃度測定方法について述べる。まず、本発明のレーザ式ガス分析計における分析原理について説明する。ここに干渉ガスおよび測定対象ガスを含むガスを想定する。
まず、事前に、波長X〔nm〕において濃度B〔ppm・m〕の干渉ガスに対して吸収があったときにその吸収に伴う測定誤差がx〔%〕であること、および、波長Y〔nm〕において濃度B〔ppm・m〕の干渉ガスに対して吸収があったときにその吸収に伴う測定誤差がy〔%〕であることが予め判明しているものとする。
続いてレーザ式ガス分析を行うものとする。まず、ガスに波長X〔nm〕のレーザを用いてレーザ分析を行う。レーザ分析の結果、波長X〔nm〕においてガス濃度S〔%〕が計測されたとする。
続いて、ガスに波長Y〔nm〕のレーザを用いてレーザ分析を行う。レーザ分析の結果、波長Y〔nm〕においてガス濃度S〔%〕が計測されたとする。これらS〔%〕,S〔%〕は干渉ガスによる測定誤差が含まれている測定対象ガスの濃度である。
続いて、測定対象ガスおよび干渉ガスの濃度の真値を算出する。
測定対象ガス(SO)の実際の濃度がS〔%〕、干渉ガス(HO)の実際の濃度がB〔ppm・m〕であるとした場合、ガス濃度SおよびSは下式のように表される。
[数1]
=S+(B/B)・x
[数2]
=S+(B/B)・y
ここに測定誤差比率aは次の数式3のようになる。
[数3]
a=y/x
この測定誤差比率aは干渉ガスの濃度が変動しても一定である。
続いて測定対象ガスの実際の濃度Sを、計測されるガス濃度S,Sを用いて表す。数式1を変形すると、B/Bは下式のように表される。
[数4]
/B=(S−S)/x
数式2に数式3,4を代入し、Sを求める式に変形すると、下式のように表される。
[数5]
=S/(1−a)−aS/(1−a)
ここで計測濃度SやSは実際に計測されるため取得可能である。また、aについては、予め波長X〔nm〕においてB〔ppm・m〕の濃度の干渉ガスに対して吸収があったとき、その吸収に伴う測定誤差xを算出しておき、同様に、予め波長Y〔nm〕においてB〔ppm・m〕の濃度の干渉ガスに対して吸収があったとき、その吸収に伴う測定誤差yを算出しておき、上記[数3]により測定誤差比率aを算出しておく。そして、測定誤差比率a、および、波長Xと波長Yとの場合の測定誤差であるx、yとを登録しておき、測定誤差比率aを算出することができる。この測定誤差比率aは波長を変えて多数の組み合わせが登録されている。
このようにして、波長XにおけるSOの濃度の測定値Sと、波長YにおけるSOの濃度の測定値Sと、予め求めておいた干渉ガスによる測定誤差の複数波長間の比率aと、を基に、干渉ガスとともにガスに含まれる測定対象ガスであるSOの濃度を求めることができることが分かる。
また、数式3,4,5により、ある測定環境における干渉ガスの濃度Bは下式のように表される。
[数6]
=B(S−S)/(x−y)
ここに干渉ガスの濃度B〔ppm・m〕は予め判明しており、波長XにおけるSOの濃度の測定値Sと、波長YにおけるSOの濃度の測定値Sと、波長X〔nm〕において濃度B〔ppm・m〕の干渉ガスに対する吸収に伴う測定誤差x〔%〕と、波長Y〔nm〕において濃度B〔ppm・m〕の干渉ガスに対する吸収に伴う測定誤差y〔%〕と、を基に、測定対象ガスとともにガスに含まれる干渉ガスであるHOの濃度Bのみを求めることができることが分かる。測定原理はこのようなものである。
続いてレーザ式ガス分析計による分析処理について説明する。ここに干渉ガスおよび測定対象ガスを含むガスが煙道内を流れているものとする。説明の具体化のため、干渉ガスとしてHO(水分)、測定対象ガスとしてSOと、が混合されたガスが流れており、このガスをレーザ分析するものとする。SO濃度測定を行う場合、QCLの波長は7.2〜7.4μmであるが、本形態では検出波長を7358nm(7.358μm)を基準に若干ずれる波長X,波長Yである。以後、検出波長は波長X7358〔nm〕、波長Y7358〔nm〕と表記する。
そして、事前に測定干渉試験を行なってデータを取得しておく。
図7に検出波長がX7358〔nm〕の水分の測定干渉試験結果を示す。この試験は予め行わているものである。この場合の水分による測定誤差はx=+5%である。
また、図8に検出波長がY7358〔nm〕の水分の測定干渉試験結果を示す。この試験は予め行わているものである。この場合の水分による測定誤差はy=+2.5%であることが分かる。
これら試験の結果を予め登録しておく。中央処理部109は、波長X7358〔nm〕における測定誤差x=+5%、波長Y7358〔nm〕における測定誤差y=+2.5%、y/xで表される測定誤差比率a=0.5を記憶している。
つまり、中央処理部109の図示しないメモリには、波長Xと波長Y、波長Xと波長Yとの場合の測定誤差であるx、y、および、測定誤差であるxとyとの測定誤差比率aが予め登録されているものとする。メモリには、波長X,Yの場合のみならず、波長を変えて多数の組み合わせが登録されている。このような登録は、例えば、工場出荷時に予め行われている。
続いて分析を開始する。
まず、中央処理部109は、光源部104が波長X7358〔nm〕を中心に吸収波長に相当する操作範囲となるように波長に幅があるレーザ光を発光するように制御する。詳しくは中央処理部109は、波長操作駆動信号発生部104aに指令してレーザ駆動電流を調整し、また、温度制御部104dに指令してレーザ動作温度を調整し、レーザ素子104eから波長X7358〔nm〕を中心に波長に幅がある中赤外域レーザ光を発光する。
この際、温度制御部104dは、まず、事前に、図2のレーザ素子104eの温度をサーミスタ104fにより検出し、図3に示した波長走査駆動信号のS1の中心部分で測定対象ガス(SOガス)が測定できる(所定の吸収特性が得られる)ように、図2の温度制御部104dによりペルチェ素子104gの通電を制御してレーザ素子104eの温度を調整する。ペルチェ素子104gはサーミスタ104fの抵抗値が一定値になるようにPID制御等で制御される。そのような設定条件で、レーザ素子104eを駆動し、壁201,202の内部の測定対象ガスが存在する空間にレーザ光を出射し、集光した光を受光部107へ入射させる。受光部107は信号を検出して電流信号に変換の上で信号処理部108へ出力する。
続いて、中央処理部109は、光源部104が波長Y7358〔nm〕を中心に吸収波長に相当する操作範囲となるように波長に幅があるレーザ光を発光するように制御する。波長Y7358〔nm〕は波長X7358〔nm〕に対して若干ずれた値である。詳しくは中央処理部109は、波長操作駆動信号発生部104aに指令してレーザ駆動電流を調整し、また、温度制御部104dに指令してレーザ動作温度を調整し、レーザ素子104eから波長Y7358〔nm〕を中心に波長に幅がある中赤外域レーザ光を発光する。X7358〔nm〕と比較してレーザ駆動電流やレーザ動作温度温度をずらして調整している。受光部107は信号を検出して電流信号に変換の上で信号処理部108へ出力する。
図9は、X7358〔nm〕,Y7358〔nm〕と連続したときのSO濃度測定時の同期検波回路108bの出力を示す。検出波長をX7358〔nm〕からY7358〔nm〕へ連続させた時の、測定対象ガスであるSOと、測定干渉ガスである水分のガス吸収波形を示す。同一の波長領域に両者が吸収ピークを有することが分かる。SOの吸収波形において、図中のA−A’およびB−B’のように吸収ピーク振幅は2通り求められる。このピーク値がガス濃度となるため、この出力のA−A’のピーク振幅をガス濃度Sと、また、B−B’のピーク振幅をガス濃度Sとして計測する。
中央処理部109は、波長Xのときの測定対象ガスの濃度S〔%〕、および、波長Yのとき測定対象ガスの濃度S〔%〕を生成するものであり、詳しくは、同期検波回路108bの出力最小値と最大値とから濃度Sと濃度S とを生成する手段として機能する。A−A’は波長Xのときの濃度Sとして登録される。また、B−B’は波長Yのときの濃度Sとして登録される。
なお、A−A’およびB−B’のピーク振幅がそれぞれ最大となるように、QCLの発光波長を走査するが、本形態では波長走査を主に、QCLの動作温度によって行っており、両検出波長の動作温度差ΔT=1.5℃であった。波長走査の時間間隔は、QCLの動作温度変更による発光安定化時間を考慮して、例えば1分とすることができる。
中央処理部109は、測定対象ガスの濃度を算出するものであり、詳しくは測定対象ガスの濃度S=S/(1−a)−aS/(1−a)により算出する算出手段として機能する。
ここで、実際の測定値が波長X7358〔nm〕においてS=60〔%〕、波長Y7358〔nm〕においてS=55〔%〕であった場合、前記の測定誤差の比率aと、2種の検出波長による測定誤差SおよびSを数式5に代入することにより、実際のSOの濃度は50〔%〕と求めることができる。
また、中央処理部109は、干渉ガスの濃度をB=B(S−S)/(x−y)により算出する算出手段として機能する。
波長X7358〔nm〕においてS=60〔%〕、波長Y7358〔nm〕においてS=55〔%〕、波長X7358〔nm〕においてx=+5%、波長Y7358〔nm〕においてy=+2.5%であり、B=50[ppm・m]であるからB =100[ppm・m]であると求めることができる。
中央処理部109は、光源部104および信号処理回路108をOFFにしてレーザ分析を終了する。レーザ式ガス分析計はこのようなものである。
以上のように本実施形態によれば、光源部104によりレーザ素子104eの発光波長を所定範囲にわたって走査して測定対象ガスによりガス濃度を測定することが可能となる。
以上、本発明のレーザ式ガス分析計について説明した。
なお、本形態では測定対象ガスとしてSO の濃度を求めるものとして説明した。しかしながら、SOに限定する趣旨でないのはいうまでもなく、例えば、NO、NO の濃度を求めて良い。
本発明によれば、QCL(量子カスケードレーザ)を用いたレーザ式ガス分析計の光源部において、レーザ駆動電流およびレーザ動作温度を調整して、レーザ素子から一定時間ごとに異なる波長の中赤外域レーザ光を発光することにより、複数のガス吸収波形を得られる。中央処理部では、ガス吸収波形に含まれる、測定対象ガスによる吸収成分と測定干渉ガスによる吸収成分とを分別することにより、測定対象ガスの濃度を算出することが可能となる。
本発明のレーザ式ガス分析計は、中赤外領域の固有の光吸収スペクトルがあるSO,NO,NO等のガス成分の測定に適用することができる。
201,202:壁
101a,101b:フランジ
101c:出射窓
101d:入射窓
102a,102b:取付座
103a,103b:カバー
104:光源部
104a:波長走査駆動信号発生部
104b:高周波変調信号発生部
104c:電流制御部
104d:温度制御部
104e:レーザ素子
104f:サーミスタ
104g:ペルチェ素子
104s:レーザ駆動信号発生部
105:コリメートレンズ
106:集光レンズ
107:受光部
107a:受光素子
107b:サーミスタ
107c:ペルチェ素子
107d:温度制御部
108:信号処理回路
108a:I/V変換回路
108b:同期検波回路
108c:発振器
108d:フィルタ
108e:抽出手段(フィルタ)
109:中央処理部

Claims (3)

  1. 周波数変調された中赤外領域レーザ光を出射する光源部と、この光源部からの出射光をコリメートする光源側光学系と、この光源側光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された透過光を集光する受光側光学系と、この受光側光学系により集光された光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路と、処理された信号に基づいて測定対象ガスの濃度を測定する中央処理部と、を有するレーザ式ガス分析計において、
    前記光源部は、
    中赤外領域レーザ光を発光するレーザ素子と、
    前記レーザ素子の温度を安定化させる発光側温度安定化手段と、
    測定対象ガスの吸収波長を走査するように前記レーザ素子の発光波長を可変とする可変駆動信号と、前記レーザ素子の発熱量を減少させるように前記レーザ素子の発光を停止するオフセット信号と、を含む波長走査駆動信号に対し、前記発光波長を変調するための高周波変調信号を合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、
    このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換して前記レーザ素子へこの電流を供給する電流制御部と、
    を備え、
    前記受光部は、
    中赤外領域に感度を有する受光素子と、
    この受光素子の温度を安定化させる受光側温度安定化手段と、
    を備え、
    前記信号処理回路は、
    前記受光部の出力信号から光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号の振幅を検出して検出信号を出力する同期検波回路と、
    を備え、
    前記中央処理部は、
    異なる波長Xと波長Yとの間の干渉ガスの測定誤差の比率aが予め登録されており、
    干渉ガスを含む測定対象ガスにおける測定対象ガスのガス濃度を測定する場合、
    発光部側の前記電流制御部および前記発光側温度安定化手段に対し、複数の異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光を発光するようなレーザ駆動電流およびレーザ動作温度とする制御を行う制御手段と、
    一定時間に異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光によってそれぞれ得られる、複数のガス吸収波形をもとに、波長Xのときの測定対象ガスの濃度S 〔%〕、および、波長Yのとき測定対象ガスの濃度S 〔%〕を生成する生成手段と、
    測定対象ガスの濃度をS =S /(1−a)−aS /(1−a)により算出して測定対象ガスによる吸収成分と干渉ガスによる吸収成分とを分別しつつ測定対象ガスの濃度を算出する測定対象ガス濃度算出手段として機能することを特徴とするレーザ式ガス分析計。
  2. 請求項1に記載のレーザ式ガス分析計において、
    前記中央処理部は、
    濃度Bの干渉ガスの波長Xにおける吸収の測定誤差x、および、濃度Bの干渉ガスの波長Yにおける吸収の測定誤差yが予め登録されており、
    干渉ガスの濃度をB =B(S −S )/(x−y)により算出する干渉ガス濃度算出手段として機能することを特徴とするレーザ式ガス分析計。
  3. 周波数変調された中赤外領域レーザ光を出射する光源部と、この光源部からの出射光をコリメートする光源側光学系と、この光源側光学系から測定対象ガスが存在する空間を介して伝播された透過光を集光する受光側光学系と、この受光側光学系により集光された光を受光する受光部と、この受光部の出力信号を処理する信号処理回路と、処理された信号に基づいて測定対象ガスの濃度を測定する中央処理部と、を有するレーザ式ガス分析計において、
    前記光源部は、
    中赤外領域レーザ光を発光するレーザ素子と、
    前記レーザ素子の温度を安定化させる発光側温度安定化手段と、
    測定対象ガスの吸収波長を走査するように前記レーザ素子の発光波長を可変とする可変駆動信号と、前記レーザ素子の発熱量を減少させるように前記レーザ素子の発光を停止するオフセット信号と、を含む波長走査駆動信号に対し、前記発光波長を変調するための高周波変調信号を合成してレーザ駆動信号として出力するレーザ駆動信号発生部と、
    このレーザ駆動信号発生部から出力された前記レーザ駆動信号を電流に変換して前記レーザ素子へこの電流を供給する電流制御部と、
    を備え、
    前記受光部は、
    中赤外領域に感度を有する受光素子と、
    この受光素子の温度を安定化させる受光側温度安定化手段と、
    を備え、
    前記信号処理回路は、
    前記受光部の出力信号から光源部における変調信号の2倍周波数成分の信号の振幅を検出して検出信号を出力する同期検波回路と、
    を備え、
    前記中央処理部は、
    濃度Bの干渉ガスの波長Xにおける吸収の測定誤差x、および、濃度Bの干渉ガスの波長Yにおける吸収の測定誤差yが予め登録されており、
    干渉ガスを含む測定対象ガスにおける干渉ガスのガス濃度を測定する場合、
    発光部側の前記電流制御部および前記発光側温度安定化手段に対し、複数の異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光を発光するようなレーザ駆動電流およびレーザ動作温度とする制御を行う制御手段と、
    一定時間に異なる波長Xと波長Yとの中赤外領域レーザ光によってそれぞれ得られる、複数のガス吸収波形をもとに、波長Xのときの測定対象ガスの濃度S 〔%〕、および、波長Yのとき測定対象ガスの濃度S 〔%〕を生成する生成手段と、
    干渉ガスの濃度をB=B(S−S)/(x−y)により算出して測定対象ガスによる吸収成分と干渉ガスによる吸収成分とを分別しつつ干渉ガスの濃度を算出する干渉ガス濃度算出手段として機能することを特徴とするレーザ式ガス分析計。
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