以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のハイブリッド給湯システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態1のハイブリッド給湯システム10は、ヒートポンプ給湯システム1と、太陽エネルギー利用システム2(太陽熱温水生成手段)とを備える。
ヒートポンプ給湯システム1は、外部より気象予測情報を収集する気象予測情報収集手段20と、制御手段30と、温水を貯留する貯湯タンク40(貯湯手段)と、圧縮機41と、膨張弁42と、冷媒により水を加熱する凝縮熱交換器43(加熱手段)と、外部から取り入れた空気を熱源として冷媒を蒸発させる蒸発熱交換器44と、貯湯タンク40と凝縮熱交換器43との間で水を循環させる循環ポンプ45と、蒸発熱交換器44に送風する送風機70と、貯湯タンク40から凝縮熱交換器43へ送られる水が通る加熱前行き配管50と、凝縮熱交換器43で加熱された水(以下、「高温水」と称する)が貯湯タンク40へ送られるときに通る加熱後帰り配管51と、貯湯タンク40の全高に対し中間部分の中温層から取り出される温水(以下、「中温水」と称する)が通る温水出湯配管52と、貯湯タンク40の頂部から取り出される高温水が通る高温水出湯配管53と、温水出湯配管52と高温水出湯配管53との合流部の下流側に設けられた出湯配管54とを備える。
太陽エネルギー利用システム2は、太陽光熱ハイブリッドPV(photovoltaic)パネル46を備える。太陽光熱ハイブリッドPVパネル46は、太陽光を電気エネルギーに変換する太陽光発電パネル46aと、太陽光発電パネル46aの背面側に配置され、太陽熱により加熱される熱媒体(本実施の形態1では水)の流路を有する集熱器46bとを有する。太陽エネルギー利用システム2は、更に、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bに水を循環させる循環ポンプ47と、貯湯タンク40から太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bへ送られる水が通る集熱用行き配管55と、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bで加熱された水(以下、「太陽熱温水」と称する)が貯湯タンク40へ送られるときに通る集熱用帰り配管56とを備える。
貯湯タンク40は、貯湯タンク40内の上側が高温、下側が低温となるように、温度成層を形成しながら貯湯を行う。貯湯タンク40の底部には、外部の水道等の水源からの水(低温水)を貯湯タンク40内に供給する給水配管71が接続されている。集熱用帰り配管56は、貯湯タンク40の全高に対し中間部分に接続されている。太陽エネルギー利用システム2により太陽熱温水が生成された場合には、貯湯タンク40内の高温水が貯留される上層の高温層の下層側の中温層に、集熱用帰り配管56から流入する太陽熱温水が貯留される。貯湯タンク40内に太陽熱温水が貯留された場合には、貯湯タンク40内の太陽熱温水を、温水出湯配管52から中温水として取り出すことができる。
なお、貯湯タンク40および各配管は、断熱材により覆われており、大気に対して断熱されている。また、出湯配管54から出湯する湯は、例えば浴槽の湯張り、シャワー、流し台の蛇口等において直接利用してもよいし、あるいは、図示しないガス給湯機、電気温水器等の給湯機器を補助熱源として組み合わせて使用してもよい。
ハイブリッド給湯システム10は、更に、凝縮熱交換器43に流入する水の温度(すなわち加熱前の水の温度)を検知する加熱前温度検知手段60と、凝縮熱交換器43から流出する高温水の温度を検知する加熱後温度検知手段61と、貯湯タンク40の頂部から高温水出湯配管53により取り出される高温水の温度を検知する高温水出湯温度検知手段62と、貯湯タンク40の中間部分から温水出湯配管52により取り出される中温水の温度を検知する温水出湯温度検知手段63と、出湯配管54を流れる湯の温度を検知する出湯温度検知手段64と、外気の温度を検知する外気温度検知手段65と、太陽エネルギー利用システム2により生成された太陽熱温水の温度を検知する太陽熱温水温度検知手段66とを備える。
気象予測情報収集手段20は、インターネット等のネットワーク網100を介して、気象予測情報を配信する外部のサーバ200より、気象予測情報(例えば、日射量、外気温度等)を収集する。制御手段30は、気象予測情報収集手段20が収集した気象予測情報を受信可能になっている。また、図示を省略するが、制御手段30は、ユーザーインターフェース装置(例えば、浴室、台所等に設置されるリモコン装置)と相互に通信可能に接続されている。制御手段30は、使用者が指示した給湯温度などの情報を、ユーザーインターフェース装置より受信可能になっている。また、制御手段30は、時刻や時間を測定するタイマー機能を備えている。
制御手段30は、上述した各温度検知手段60,61,62,63,64,65,66により得られる情報、気象予測情報収集手段20より得られる気象予測情報、ユーザーインターフェース装置から得られる使用者からの指示情報、各配管の湯水の流量を検知する流量検知手段(図示省略)により得られる情報等に基づいて、ハイブリッド給湯システム10の運転制御(例えば、圧縮機41の運転状態、膨張弁42の開度、送風機70の送風量、循環ポンプ45の運転状態、循環ポンプ47の運転状態などのアクチュエータ制御)を行う。圧縮機41、循環ポンプ45、循環ポンプ47は、それぞれ、インバータにより回転速度が制御され、容量制御されるタイプにしてもよい。膨張弁42は、開度が可変である電子膨張弁にしてもよい。凝縮熱交換器43は、プレート式あるいは二重管式などの熱交換器にしてもよい。
温水出湯配管52と高温水出湯配管53との合流部には、温水出湯配管52から供給される中温水と、高温水出湯配管53から供給される高温水との混合比を制御可能な第1混合手段(図示省略)が設けられている。第1混合手段は、温水出湯配管52から供給される中温水と、高温水出湯配管53から供給される高温水との何れか一方のみを出湯配管54に流入させることも可能である。給水配管71の途中からは、給水配管72が分岐している。出湯温度検知手段64より上流側の出湯配管54の途中には、給水配管72から供給される低温水を出湯配管54内の湯に混合させるとともにその混合比を制御可能な第2混合手段(図示省略)が設置されている。第2混合手段は、給水配管72から供給される低温水を出湯配管54内の湯に混合しないようにすることも可能である。制御手段30は、出湯温度検知手段64より検知される出湯温度が、使用者が指示した給湯温度になるように、第1混合手段および第2混合手段の混合比を制御する。上記混合手段は、例えば、三方弁、流量調整弁等を用いて構成することができる。給水配管71からは、温水出湯配管52および高温水出湯配管53からの流出量と同量の低温水が貯湯タンク40の下部に流入し、貯湯タンク40内は常に満水状態に維持される。
なお、凝縮熱交換器43に流入する水の温度は、外気温度検知手段65により検知される外気温度、あるいは気象予測情報収集手段20から得られる気象予測情報に基づいて推定するようにしてもよい。この場合、加熱前温度検知手段60を設置しなくてもよい。また、高温水出湯温度検知手段62および温水出湯温度検知手段63は、出湯温度検知手段64にて負荷側の要求に対応できるため、設置しなくてもよい。また、貯湯タンク40内の温度を計測するための貯湯温度検知手段を設置してもよい。その場合、異なる高さ位置に複数の貯湯温度検知手段を設置してもよい。貯湯温度検知手段を設けることにより、ハイブリッド給湯システム10の運転制御をより高精度に実施することができる。
次に、本実施の形態1のハイブリッド給湯システム10における貯湯運転および太陽熱温水生成運転について説明する。貯湯運転は、ヒートポンプ給湯システム1のヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)および循環ポンプ45を稼動して凝縮熱交換器43により高温水を生成し、生成された高温水を貯湯タンク40内に貯える運転である。貯湯運転は、主に夜間、特に、電気料金単価が割安となる深夜料金時間帯に行われる。太陽熱温水生成運転は、昼間、すなわち日照時間帯に、太陽エネルギー利用システム2の循環ポンプ47を稼動して太陽熱温水を生成し、生成された太陽熱温水を貯湯タンク40内に貯える運転である。
一般的な家庭の給湯負荷としては、湯張り、シャワー等に用いられる夕刻から夜間にかけての給湯負荷が一日の中で最も多くなる。このため、深夜料金時間帯である夜間は、貯湯タンク40内に保持される高温水は少なく、貯湯タンク40内の多くは給水配管71から供給された低温水によって占められている。制御手段30は、毎日の給湯負荷を学習したデータ等に基づいて、翌日の給湯負荷を予測する機能を有しており、その予測した給湯負荷を賄うことができるように、貯湯運転および太陽熱温水生成運転を制御し、貯湯タンク40内に熱量を蓄熱する。
制御手段30は、夜間に、気象予測情報収集手段20から翌日の気象予測情報(日射量、外気温度等)を取得し、その取得した気象予測情報に基づいて、翌日の日照時間帯に生成可能な太陽熱温水の温度および量を予測する機能を有している。また、制御手段30は、過去の太陽熱温水生成運転で生成された太陽熱温水の温度および量の実績値を学習した情報を加味して、この予測を行ってもよい。
制御手段30は、夜間の貯湯運転においては、必要となる高温水の温度および量を目標値として、加熱前温度検知手段60、加熱後温度検知手段61、外気温度検知手段65の計測値に基づき、圧縮機41、膨張弁42、循環ポンプ45、送風機70を運転制御する。
制御手段30は、昼間の太陽熱温水生成運転においては、生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測値を目標値とし、太陽熱温水温度検知手段66の計測値に基づき、循環ポンプ47を運転制御する。
太陽熱温水生成運転の終了後の夕刻には、貯湯タンク40内は、給湯負荷を賄うのに十分な量の高温水と太陽熱温水で満たされており、夕刻から夜間に掛けての給湯負荷に対応可能となる。出湯配管54から出湯する際には、制御手段30は、次のようにして、太陽熱温水を優先的に利用し、太陽熱温水をなるべく残さず使い切るように出湯を行う。温水出湯温度検知手段63により検出される温度が、給湯に直接利用可能な温度(例えば40℃、あるいは使用者が指示した給湯温度)以上の場合には、貯湯タンク40内の高温水を高温水出湯配管53に流出させることなく、温水出湯配管52のみから温水を流出させる。これにより、太陽熱温水を給湯に直接利用することができる。一方、温水出湯温度検知手段63により検出される温度が、給湯に直接利用可能な温度より低い場合には、高温水出湯配管53から流出する高温水と、温水出湯配管52から流出する温水とを、給湯に直接利用可能な温度になるように混合して、出湯配管54から出湯する。
本実施の形態1のハイブリッド給湯システム10では、夜間の貯湯運転により生成する高温水の温度および量と、昼間の太陽熱温水生成運転により生成される太陽熱温水の温度および量とを、天候や季節に応じて、適切に制御することができる。
晴天、夏期(例えば4月〜9月)など、日射量が多く、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の温度が高温となる場合には、昼間の太陽熱温水生成運転により、多量の太陽熱温水を生成するか、あるいは比較的高温の太陽熱温水を生成する。このような場合には、夜間の貯湯運転により生成する高温水の温度および量の一方または両方を低く設定する。これにより、給湯負荷終了後には、日中に得られた多量あるいは高温の太陽熱温水を使い切れるだけでなく、過剰な貯湯運転を回避できるので、ハイブリッド給湯システム10の消費電力を低減することができる。
曇り時々晴れ、外気温の低い冬期(例えば10月〜3月)など、日射量が晴天の場合と比べ少ない、あるいは晴天ではあるが外気温が低いために太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の温度が低温となる場合には、給湯に直接利用な温度より低い温度の太陽熱温水が多量に生成する。このような場合には、夜間の貯湯運転により生成する高温水の温度を高くするとともにその量を低く設定する。これにより、加熱時の水の昇温幅が大きくなるため、単位時間当たりの消費電力は増加するが、加熱する水の量が少なくなるため積算の消費電力を低減することができる。
曇天、雨天のように、日射量がほとんどなく、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の温度が低温となる場合には、昼間に太陽熱温水生成運転を行っても、太陽熱温水を生成できない。このような場合には、夜間の貯湯運転により生成する高温水の量を多くすることで、給湯負荷時の湯切れを防止することができる。
また、使用者の都合により、給湯負荷が発生しなかった場合(給湯負荷が想定より少なかった場合を含む。以下同じ。)には、貯湯タンク40内に蓄熱した熱量が余る。そのような場合には、制御手段30は、翌日の気象予測情報に基づき、翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量を予測することにより、翌日に得られる太陽熱温水の熱量の予測値を算出し、その予測値と貯湯タンク40内に残っている蓄熱量との合計が、翌日の給湯負荷の予測値の熱量よりも大きい場合には、夜間の貯湯運転を実施しないようにしてもよい。これにより、ハイブリッド給湯システム10の消費電力を低減することができる。また、翌日に得られる太陽熱温水の熱量の予測値と、貯湯タンク40内に残っている蓄熱量との合計が、翌日の給湯負荷の予測値の熱量よりも小さい場合には、その足りない分の熱量を貯湯タンク40内に追加するように、夜間の貯湯運転を実施すればよい。
以下では、例として、一日に必要な湯の温度および量を40℃、420Lとし、給水配管71からの給水温度を10℃とし、外気温度を10℃とし、給湯に直接利用可能な温度を40℃とし、貯湯運転により貯える高温水の温度を60℃と仮定して説明する。(1)晴天、または夏期の場合、(2)曇り時々晴れ、または外気温の低い冬期の場合、(3)曇天、または雨天の場合、(4)給湯負荷が発生しなかった場合、のそれぞれについて順次説明する。なお、ここでの記載を含め、本明細書中に記載の温度、容量等の数値については、一例であり、任意に数値を変更可能であることは言うまでもない。
(1)晴天、または夏期の場合
翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測値を40℃、210Lとする。一日の給湯負荷[J]は、必要な湯量[420L]と、水の比熱[4180J/kg・K]と、給水温度との温度差[40℃−10℃]との積で求められる。翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]は、太陽熱温水の量[210L]と、水の比熱[4180J/kg・K]と、給水温度との温度差[40℃−10℃]との積で求められる。夜間の貯湯運転により貯える高温水の量をX[L]とすると、夜間の貯湯運転により貯える高温水の熱量[J]は、高温水の量X[L]と、水の比熱[4180J/kg・K]と、給水温度との温度差[60℃−10℃]との積で求められる。翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]と、夜間の貯湯運転により貯える高温水の熱量[J]との和が、一日の給湯負荷[J]に等しくなるように方程式を解くことにより、夜間の貯湯運転により貯える高温水の量Xは、X=126Lとなる。
(2)曇り時々晴れ、または外気温の低い冬期の場合
翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測値を20℃、250Lとする。この場合、上記と同様にして方程式を解くことにより、夜間の貯湯運転により貯える高温水の量Xは、X=202Lとなる。
(3)曇天、または雨天の場合
この場合には、太陽熱温水を生成できないので、翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]は、ゼロとなる。したがって、この場合には、夜間の貯湯運転により貯える高温水の熱量[J]が、一日の給湯負荷[J]に等しくなるように方程式を解くことにより、夜間の貯湯運転により貯える高温水の量Xは、X=252Lとなる。
(4)給湯負荷が発生しなかった場合
貯湯タンク40内に残った未使用の高温水の温度および量を60℃、130Lとし、翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測値を30℃、200Lとする。貯湯タンク40内に残っている蓄熱量[J]は、貯湯タンク40内に残った高温水の量[130L]と、水の比熱[4180J/kg・K]と、給水温度との温度差[60℃−10℃]との積で求められる。この場合、貯湯タンク40内に残っている蓄熱量[J]と、翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]との和は、一日の給湯負荷[J]未満となるので、夜間に貯湯運転を実施する必要がある。この場合、貯湯タンク40内に残っている蓄熱量[J]と、翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]と、夜間の貯湯運転により貯える高温水の熱量[J]との和が、一日の給湯負荷[J]に等しくなるように方程式を解くことにより、夜間の貯湯運転により貯える高温水の量Xは、X=42Lとなる。
一方、貯湯タンク40内に残った未使用の高温水の温度および量が60℃、200Lであり、翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測値が30℃、200Lであったと仮定した場合には、貯湯タンク40内に残っている蓄熱量[J]と、翌日に生成可能な太陽熱温水の熱量の予測値[J]との和は、一日の給湯負荷[J]以上となるので、夜間に貯湯運転を実施する必要はない。
次に、本実施の形態1のハイブリッド給湯システム10における、気象予測が外れた場合のバックアップ運転方法について説明する。気象予測が外れた場合、例えば、気象予測情報収集手段20により得られた翌日の天候の予測情報が晴天であったにもかかわらず、実際の日照時間帯において、曇り時々晴れ、曇天、または雨天などとなり、日射量あるいは気温等が予測値に達しなかった場合には、夜間の貯湯運転で貯えた高温水を使い果たし、湯切れを起こしてしまう可能性がある。このような湯切れを防ぐため、本実施の形態1では、ある設定された時間帯の昼間において、生成可能な太陽熱温水の温度および量を再度予測し、不足分を補うための昼間の貯湯運転を行う。
また、気象予測情報収集手段20により得られた翌日の天候の予測情報が曇り時々晴れであったにもかかわらず、実際の日照時間帯において、晴天などとなり、日射量あるいは気温等が予測値を超えた場合には、昼間の太陽熱温水生成運転において、予測値よりも高温の太陽熱温水を得ることが可能となる。このような場合に、本実施の形態1では、ある設定された時間帯の昼間において、生成可能な太陽熱温水の温度および量を再度予測し、当初の予測値よりも高温の太陽熱温水を得るように、昼間の太陽熱温水生成運転を行っても良い。なお、想定よりも高温の太陽熱温水を得ることで、一日の給湯負荷に対して、昼間の太陽熱温水生成運転により生成した太陽熱温水の使用割合が増加するため、夜間の貯湯運転で生成した高温水が使い切らずに余るが、この余った高温水については、翌日の給湯に利用する。
図2は、生成可能な太陽熱温水の温度と量との関係、および、利用可能な太陽熱温水の温度と量との関係を示す図である。図2では、太陽熱温水の温度[℃]を横軸に、太陽熱温水の量[L]を縦軸に示している。
本実施の形態1では、気象予測が外れた場合のバックアップ運転としての太陽熱温水生成運転時に、図2に示すような関係を指標として、生成される太陽熱温水の温度を制御する。特に、本実施の形態1では、制御手段30は、生成可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]と、利用可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]とが等しくなるように、生成される太陽熱温水の温度を制御する。生成される太陽熱温水の温度を制御するには、例えば、循環ポンプ47の流量制御を行えばよい。すなわち、循環ポンプ47の流量を大きくすることにより、生成される太陽熱温水の温度を低くすることができ、循環ポンプ47の流量を小さくすることにより、生成される太陽熱温水の温度を高くすることができる。
ここでは、例として、夜間の時点の気象予測情報に基づいて、昼間の太陽熱温水生成運転により生成可能な太陽熱温水の温度および量を40℃、190Lと予測し、夜間の貯湯運転において60℃、140Lの高温水を貯湯タンク40内に貯えた後、昼間の太陽熱温水生成運転実施時において、実際の日射量あるいは気温等が予測値に達しなかった場合について説明する。この場合、制御手段30は、昼間に、最新の気象予測情報に基づいて、生成可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]と、太陽熱温水の温度との関係(以下、「第1の関係」と称する)を再度予測する。図2中の破線の曲線は、制御手段30により予測された、第1の関係の例(ここでは、生成可能な太陽熱温水の量[L]と、太陽熱温水の温度との関係)を示している。第1の関係は、太陽熱温水の温度が高くなるにつれて、生成可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]が少なくなるような関係となる。例えば、図2に示す例の場合には、太陽熱温水の温度が20℃の場合には生成可能な太陽熱温水の量は600Lとなり、太陽熱温水の温度が30℃の場合には生成可能な太陽熱温水の量は280Lとなり、太陽熱温水の温度が40℃の場合には生成可能な太陽熱温水の量は150Lとなる。
また、制御手段30は、必要な湯の温度および量に基づいて、利用可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]と、太陽熱温水の温度との関係(以下、「第2の関係」と称する)を求める。図2中の実線の曲線は、制御手段30により求められた、第2の関係の例(ここでは、利用可能な太陽熱温水の量[L]と、太陽熱温水の温度との関係)を示している。第2の関係は、太陽熱温水の温度が高くなるにつれて、利用可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]が多くなるような関係となる。制御手段30は、例えば次のようにして、第2の関係を求める。この例では、必要な湯の温度および量を40℃、420Lとし、貯湯タンク40内の高温水の温度を60℃とする。太陽熱温水の温度が、必要な湯の温度に等しい場合には、太陽熱温水を給湯に直接利用することができるので、利用可能な太陽熱温水の量は、必要な湯の量に等しくなる。したがって、この例の場合には、太陽熱温水の温度が40℃の場合には、利用可能な太陽熱温水の量は420Lとなる。一方、太陽熱温水の温度が、必要な湯の温度より低い場合には、太陽熱温水を給湯に直接利用することができず、必要な湯の温度になるように高温水と混合した上で給湯に利用しなければならない。太陽熱温水の温度をα[℃]とし、利用可能な太陽熱温水の量をY[L]とすると、この例においては、α[℃]、Y[L]の太陽熱温水と、60℃、(420−Y)Lの高温水とを混合して、必要な40℃、420Lの湯を給湯することになる。したがって、次式が成り立つ。
α×Y+60×(420−Y)=40×420 ・・・(1)
この例においては、上記(1)式により、第2の関係が求められる。例えば、太陽熱温水の温度がα=30℃の場合には、利用可能な太陽熱温水の量はY=280Lとなり、太陽熱温水の温度がα=20℃の場合には、利用可能な太陽熱温水の量はY=210Lとなる。
本実施の形態1では、制御手段30は、第1の関係における生成可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]と、第2の関係における利用可能な太陽熱温水の量[L]または熱量[J]とが等しくなるような太陽熱温水の温度に基づいて、生成される太陽熱温水の温度を制御する。上記の例の場合には、太陽熱温水の温度が30℃の場合に、第1の関係における生成可能な太陽熱温水の量と、第2の関係における利用可能な太陽熱温水の量とが共に280Lで等しくなり、生成可能な太陽熱温水の熱量[J]と利用可能な太陽熱温水の熱量[J]も等しくなる。したがって、制御手段30は、生成される太陽熱温水の温度の目標値を30℃とし、太陽熱温水温度検知手段66により検出される太陽熱温水の温度が30℃になるように、循環ポンプ47の流量制御を行う。なお、本実施の形態1では、制御手段30は、第1の関係を予測する予測手段としての機能と、第2の関係を求める算出手段としての機能とを兼ね備える。
上述したように、第1の関係によれば、生成される太陽熱温水の温度が高くなるにつれて、生成可能な太陽熱温水の熱量が少なくなる。逆に言えば、生成される太陽熱温水の温度が低くなるにつれて、生成される太陽熱温水の熱量は多くなる。このため、貯湯タンク40内に蓄熱する太陽熱温水の熱量を大きくするには、生成される太陽熱温水の温度を低くすることが有利になる。しかしながら、生成した太陽熱温水の量または熱量が、第2の関係における利用可能な太陽熱温水の量または熱量を超えると、その超えた分は、結局利用されずに貯湯タンク40内に残り、無駄になる。これに対し、本実施の形態1では、第1の関係における生成可能な太陽熱温水の量または熱量と、第2の関係における利用可能な太陽熱温水の量または熱量とが等しくなるように、太陽熱温水の温度を制御するので、生成した太陽熱温水をなるべく残さずに使い切ることができる。また、太陽熱温水を残さずに使い切ることができる範囲において、生成される太陽熱温水の温度をなるべく低く制御するので、生成される太陽熱温水の熱量をなるべく多くすることができる。このようなことから、本実施の形態1では、太陽熱温水のエネルギーを最大限に利用することができるので、ハイブリッド給湯システム10の消費電力を確実に低減することができる。
なお、制御手段30は、第1の関係および第2の関係に加えて、貯湯タンク40に貯留可能な太陽熱温水の容量に基づいて、生成される太陽熱温水の温度を制御してもよい。例えば、上記の例では、貯湯タンク40内に140Lの高温水があるため、貯湯タンク40の総容量が400Lであったとすると、貯湯タンク40に貯留可能な太陽熱温水の容量は、400L−140L=260Lとなる。生成される太陽熱温水の温度を30℃とした場合、生成される太陽熱温水の量は280Lとなるため、貯湯タンク40に入り切らないことになる。そこで、このような場合には、第1の関係に基づいて、生成可能な太陽熱温水の量が、貯湯タンク40に貯留可能な太陽熱温水の容量以下になるように、生成される太陽熱温水の温度を制御してもよい。すなわち、上記の例では、生成可能な太陽熱温水の量が260L以下になるように、生成される太陽熱温水の温度を制御してもよい。上記の例では、図2に示す第1の関係から、生成可能な太陽熱温水の量が260Lになるときの太陽熱温水の温度は、約32℃となる。したがって、制御手段30は、生成される太陽熱温水の温度が32℃以上になるように制御することにより、生成される太陽熱温水の量を、貯湯タンク40に貯留可能な太陽熱温水の容量以下にすることができる。
なお、上述した例では、気象予測が外れた場合のバックアップ運転としての太陽熱温水生成運転の場合について説明したが、本発明では、気象予測が外れていない場合の通常の太陽熱温水生成運転において、上記と同様に、第1の関係および第2の関係に基づいて、あるいは第1の関係、第2の関係および貯湯タンク40に貯留可能な太陽熱温水の容量に基づいて、生成される太陽熱温水の温度を制御してもよい。
上述したように、ハイブリッド給湯システム10の動作は、一日の給湯負荷に対して、夜間の貯湯運転および昼間の太陽熱温水生成運転にて蓄熱された熱量を、すべて使い切る想定の運転としてもよい。しかしながら、実際には、想定と異なる時間帯で出湯されることで、湯切れが発生する場合が考えられる。例えば、主たる給湯負荷が発生する時間帯が想定より遅い時間帯になり、夜間の貯湯運転で貯えた高温水が長時間貯湯タンク40内に滞在することで、貯湯タンク40内と外気との高い温度差が長時間続き、放熱量が増加する結果、湯切れが発生する場合が考えられる。そのような事態を防止するために、制御手段30は、予め設定された熱量または使用者の指示に基づく熱量を上乗せして、夜間の貯湯運転の蓄熱量を制御してもよい。あるいは、制御手段30は、昼間の太陽熱温水生成運転により生成される太陽熱温水の熱量の予測値を、予め設定された熱量または使用者の指示に基づく熱量だけ差し引いて、低めに見積もるようにしてもよい。これらのことにより、湯切れの発生をより確実に抑制することができる。夜間の貯湯運転の蓄熱量に上乗せする蓄熱量、または太陽熱温水の熱量の予測値から差し引く熱量が変更された場合には、夜間の貯湯運転を開始する前に、その設定値を考慮した演算を行うのが好ましい。
次に、本実施の形態1のハイブリッド給湯システム10の制御方法について、図3および図4に基づいて説明する。図3は、夜間の貯湯運転の制御方法を示すフローチャートである。図4は、昼間の太陽熱温水生成運転および貯湯運転の制御方法を示すフローチャートである。図3および図4に示す制御は、制御手段30にて実施される。
図3に示す夜間の貯湯運転に関する制御は、所定の深夜時間帯(一般的には、深夜電力料金が設定され、電気料金が割安となる時間帯であり、例えば23時から翌朝の7時の間)に応じて、実施される。まず、ステップS1で、気象予測情報収集手段20が収集した翌日の気象予測情報(日射量・外気温度等)を気象予測情報収集手段20から受信する。
次に、ステップS2で、湯切れを抑制するための、夜間の貯湯運転の蓄熱量に上乗せする蓄熱量、または太陽熱温水の熱量の予測値から差し引く熱量の設定の有無を判別する。その設定がある場合にはステップS3へ移行する。ステップS3では、夜間の貯湯運転の蓄熱量に上乗せする蓄熱量、または太陽熱温水の熱量の予測値から差し引く熱量を設定しステップS4へ移行する。また、湯切れ抑制のための設定が無い場合には、ステップS3を経由せずにステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS1にて得られた気象予測情報と、ステップS3で設定された熱量値とに基づいて、翌日の昼間の太陽熱温水生成運転で生成可能な太陽熱温水の温度および量を予測し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、前日に給湯せずに余った未使用の高温水の有無を判別する。未使用高温水がある場合にはステップS6へ移行する。
ステップS6では、翌日の給湯負荷を、未使用高温水と翌日の太陽熱温水生成運転で得られる太陽熱温水とで賄えるかどうかを判別する。翌日の給湯負荷の方が、未使用高温水と翌日の太陽熱温水生成運転で得られる太陽熱温水との合計熱量より大きい場合には、ステップS7へ移行する。また、未使用高温水がない場合にはステップS6を経由せずにステップS7へ移行する。
ステップS7では、ステップS4にて予測された太陽熱温水の温度および量に基づいて、夜間の貯湯運転により貯える高温水の温度および量の目標値を演算し、ステップS8へ移行する。ステップS8では、夜間の貯湯運転を開始し、ステップS9へ移行する。ステップS9では、圧縮機41、膨張弁42、循環ポンプ45等のアクチュエータを駆動させてステップS10へ移行する。
ステップS10では、アクチュエータの駆動により凝縮熱交換器43で冷媒と貯湯タンク40内から導かれた水とで熱交換し、蒸発熱交換器44で外気と冷媒とで熱交換させ、水を加熱(ステップS7で設定された目標温度、例えば60℃まで加熱)し、ステップS11へ移行する。なお、本実施の形態1では、加熱前温度検知手段60、加熱後温度検知手段61の計測結果に基づいて、各アクチュエータの運転制御を実施する。
ステップS11では、生成された高温水の量がステップS7で演算された目標値に到達したかどうかを判別する。生成された高温水の量が目標値に到達した場合にはステップS12へ移行する。ステップS12では、夜間の貯湯運転を終了する。ステップS11で、生成された高温水の量が目標値に到達していない場合にはステップS9へ移行し、生成された高温水の量が目標値に到達するまで夜間の貯湯運転を続行する。また、ステップS6にて翌日の給湯負荷の方が小さい場合には貯湯運転を開始せずにステップS12へ移行し、図3に示す制御を終了する。
図4に示す昼間の太陽熱温水生成運転および貯湯運転に関する制御は、所定の昼間時間帯(一般的には、昼間電力料金が設定され、電気料金が割高となる時間帯、例えば午前7時から午後23時の間)に応じて、実施される。まず、ステップS13で、現時点、すなわち夜間の貯湯運転が終了した時点での貯湯タンク40内の蓄熱量が、一日の給湯負荷よりも大きいかどうかを判別する。現時点の貯湯タンク40内の蓄熱量が一日の給湯負荷よりも小さい場合には、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、ステップS4で予測された生成可能な太陽熱温水の温度および量に基づいて、昼間の太陽熱温水生成運転で生成する太陽熱温水の温度および量の目標値を演算し、ステップS15に移行する。ステップS15では、ステップS14で演算した目標値に基づいて昼間の太陽熱温水生成運転を開始し、ステップS16へ移行する。ステップS16では、循環ポンプ47等のアクチュエータを駆動させてステップS17へ移行する。
ステップS17では、アクチュエータの駆動により貯湯タンク40内から導かれた水を太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bに循環させて集熱することにより、太陽熱温水生成運転を行い、ステップS18へ移行する。本実施の形態1では、太陽熱温水温度検知手段66の計測結果に基づいて、各アクチュエータの運転制御を実施する。
ステップS18では、生成された太陽熱温水の量がステップS14で演算した目標値に到達したかどうか、あるいは予め設定された日照時間帯が終了したかどうかを判別する。生成された太陽熱温水の量が目標値に到達した場合、あるいは日照時間帯が終了した場合には、ステップS19へ移行する。ステップS19では、太陽熱温水生成運転を終了し、ステップS20へ移行する。ステップS18にて、生成された太陽熱温水の量が目標値に到達しておらず、且つ、日照時間帯が終了していない場合には、ステップS16へ移行し、生成された太陽熱温水の量が目標値に到達するまで太陽熱温水生成運転を続行する。
ステップS20では、夜間の貯湯運転および昼間の太陽熱温水生成運転で得られた熱量が一日の給湯負荷よりも大きいかどうか、すなわち一日の給湯負荷を賄える熱量が得られたかどうかを判別する。夜間の貯湯運転および昼間の太陽熱温水生成運転で得られた熱量が、一日の給湯負荷よりも小さい場合、すなわち一日の給湯負荷を賄えない場合には、ステップS21へ移行する。ステップS21では、一日の給湯負荷に対する不足分を補うため昼間の貯湯運転により貯える高温水の温度および量の目標値を演算し、ステップS22へ移行する。ステップS22では、昼間の貯湯運転を開始し、ステップS23へ移行する。ステップS23では、圧縮機41、膨張弁42、循環ポンプ45等のアクチュエータを駆動させてステップS24へ移行する。
ステップS24では、アクチュエータの駆動により凝縮熱交換器43で冷媒と貯湯タンク40内から導かれた水とで熱交換し、蒸発熱交換器44で外気と冷媒とで熱交換させ、水を加熱(ステップS21で設定された目標温度、例えば60℃まで加熱)し、ステップS25へ移行する。なお、本実施の形態1では、加熱前温度検知手段60、加熱後温度検知手段61の計測結果に基づいて、各アクチュエータの運転制御を実施する。
ステップS25では、生成された高温水の量がステップS21で演算した目標値に到達したか判別する。生成された高温水の量が目標値に到達した場合には、ステップS26へ移行する。ステップS26では、昼間の貯湯運転を終了する。ステップS25で、生成された高温水の量が目標値に到達していない場合にはステップS23へ移行し、生成された高温水の量が目標値に到達するまで昼間の貯湯運転を続行する。また、ステップS13にて給湯負荷の方が貯湯タンク40内の蓄熱量に比べて小さい場合には、昼間の太陽熱温水生成運転および貯湯運転を開始せずにステップS26へ移行し、図4に示す制御を終了する。また、ステップS20にて給湯負荷の方が夜間の貯湯運転および昼間の太陽熱温水生成運転で得られた熱量に比べて場合には、昼間の貯湯運転を開始せずにステップS26へ移行し、図4に示す制御を終了する。
本実施の形態1では、以上のように夜間の貯湯運転および昼間の太陽熱温水生成運転を制御することで、貯湯タンク40内に貯湯する温水の太陽エネルギー利用の比率を向上できる。また、出湯時には、前述したように、貯湯タンク40内の中温層の温水を優先的に出湯利用することで、夜間の貯湯運転時において、貯湯タンク40内の下部は、給水配管71から流入した低温水が大半を占める。このため、凝縮熱交換器43にて冷媒と水とで熱交換を行う際、温度差が大きくなるため、熱交換量を増加させることができる。
また、本実施の形態1では、気象予測情報収集手段20により収集した気象予測情報に基づいて、昼間の太陽熱温水生成運転により生成可能な太陽熱温水の温度および量を精度良く予測できる。また、本実施の形態1では、高温水を貯える貯湯タンクと、太陽熱温水を貯える貯湯タンクとを別々に分けておらず、1つの貯湯タンク40に共通化している。このため、低コストであり、且つ、設置スペースを縮減することができる。
また、本発明では、以下に説明するように、夜間の貯湯運転における高温水温度と運転効率との関係、および、高温水温度と翌日に利用可能な太陽熱温水の量との関係に基づいて、システム全体としての消費電力が小さくなるように、夜間の貯湯運転により生成する高温水の温度および量を制御してもよい。夜間の貯湯運転の高温水温度を高く設定する(例えば60℃から70℃に設定値を変更する)と、夜間の外気を熱源とした運転では冷媒を用いた冷凍サイクルの高圧側、低圧側の温度差が拡大するため、運転効率が低下する。例えば、高温水温度が60℃の時の運転効率を基準とした場合、高温水温度が70℃では運転効率が約10%低下し、高温水温度が80℃では運転効率が約20%低下する。
ここでは、例として、給湯負荷が40℃、420L、翌日に生成可能な太陽熱温水の温度および量の予測結果が20℃、300Lであったと仮定すると、夜間の貯湯運転の高温水温度を60℃とする場合には、高温水を210L生成し、太陽熱温水を210L生成して利用することになる。一方、夜間の貯湯運転の高温水温度を70℃とする場合には、高温水を168L生成し、太陽熱温水を252L生成して利用することになるので、運転効率が約10%減となるが、高温水生成量が約20%減となる。また、夜間の貯湯運転の高温水温度を80℃とする場合には、高温水を140L生成し、太陽熱温水を280L生成して利用することになるので、運転効率が約20%減となるが、高温水生成量が約33%減となる。このように、高温水温度を高く設定するに従い、運転効率が低下するが、利用可能な太陽熱温水の量が多くなるので、生成する高温水の量を低減できる結果、消費電力を低減することができる。したがって、この場合には、夜間の貯湯運転の高温水温度を高く設定し、高温水生成量を少なく設定してもよい。これにより、貯湯運転の運転効率が低下するものの、システム全体として、消費電力を低減することができる。なお、高温水温度を高温にすることで外気放熱量が増加するため、その点を考慮して運転制御を実施することが望ましい。
また、従来のハイブリッド給湯システムにおいて、貯湯運転による高温水を貯留する第1の貯湯タンクと、太陽熱温水を貯留する第2の貯湯タンクとを備えるものがある。この場合、第1の貯湯タンク内の高温水の温度は、レジオネラ菌を殺菌できる略60℃以上となるよう任意に運転できる。あるいは、第1の貯湯タンク内に高温水を貯留する期間を短期間とすることができる。しかしながら、第2の貯湯タンクについては、天候、季節や負荷側の要求により、レジオネラ菌を殺菌できる略60℃以上とできない場合がある。あるいは、第2の貯湯タンク内の太陽熱温水が長期間貯留される場合がある。これに対し、本実施の形態1では、上述したように、天候、季節や負荷側の要求に対応して、生成される太陽熱温水を短期間ですべて使い切るよう運転制御を実施し、貯湯タンク40内に略60℃未満の温水が長期間貯留されないようにして、レジオネラ菌の繁殖を確実に抑制することができる。
また、本実施の形態1では、日照時間帯において日射がある場合、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46は日射量とパネルの温度に依存して発電する。すなわち、日射量が多いほど発電量が増加し、パネル温度が低いほど発電量が増加する。従って、昼間の太陽熱温水生成運転の実施により、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の熱を太陽熱温水へ放熱することで、パネルの温度が低下するため、同一日射量においてより多くの発電量を得ることができる。
実施の形態2.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図5は、本発明の実施の形態2のハイブリッド給湯システムを示す構成図である。図5に示す本実施の形態2のハイブリッド給湯システム10は、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46に代えて太陽熱温水器75を備えること以外は、実施の形態1と同様である。太陽熱温水器75によれば、より高温の太陽熱温水を生成することができる。このため、本実施の形態2によれば、太陽熱温水によって給湯負荷を賄う比率を向上できるため、夜間の貯湯運転の比率を下げることができ、夜間の貯湯運転による消費電力を更に低減できる。また、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46と比べて、太陽熱温水器75は安価に利用可能であるため、実施の形態1よりも低コストでハイブリッド給湯システム10を構成することができる。
実施の形態3.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図6は、本発明の実施の形態3のハイブリッド給湯システムを示す構成図である。図6に示すように、本実施の形態3のハイブリッド給湯システム10における太陽エネルギー利用システム2(太陽熱温水生成手段)は、実施の形態1と同様の構成に加えて、熱交換器48と、循環ポンプ49と、配管57と、熱媒体温度検知手段67とを備えている。本実施の形態3では、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bに、給湯用水以外の熱媒体を循環させる。熱媒体としては、例えば、プロピレングリコール等の不凍液が好ましい。熱交換器48は、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46で加熱された熱媒体と、貯湯タンク40から導かれた水とを熱交換する。熱媒体は、循環ポンプ47により、熱交換器48から集熱用行き配管55を通って、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bへ送られる。太陽光熱ハイブリッドPVパネル46の集熱器46bで加熱された熱媒体は、集熱用帰り配管56を通って、熱交換器48へ送られる。熱媒体温度検知手段67は、集熱用帰り配管56を通る熱媒体の温度を検知する。貯湯タンク40内の水は、循環ポンプ49により、配管57を通って、熱交換器48を経由し、太陽熱温水となって貯湯タンク40内に戻る。
本実施の形態3では、太陽熱温水生成運転を実施する際に、太陽熱温水温度検知手段66および熱媒体温度検知手段67の計測値を基に、循環ポンプ47,49を運転制御することにより、貯湯タンク40内に貯える太陽熱温水の温度を制御する。
本実施の形態3によれば、太陽光熱ハイブリッドPVパネル46に、給湯用水以外の熱媒体を循環させることにより、冬期において、静止状態であっても配管内の熱媒体が凍結することを防止することができる。なお、前述した実施の形態1,2に関しては、循環ポンプ47を間欠運転させることで、配管の凍結を防止することができる。