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JP5584108B2 - 耐食性に優れる塗料組成物 - Google Patents

耐食性に優れる塗料組成物 Download PDF

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JP5584108B2 JP2010285314A JP2010285314A JP5584108B2 JP 5584108 B2 JP5584108 B2 JP 5584108B2 JP 2010285314 A JP2010285314 A JP 2010285314A JP 2010285314 A JP2010285314 A JP 2010285314A JP 5584108 B2 JP5584108 B2 JP 5584108B2
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Description

本発明は、耐食性に優れた非クロム系塗料組成物及びそれを用いた塗装金属板に関し、さらに詳しくは、特にアルミニウムを主成分とするめっき鋼板の耐食性向上に効果的な塗料組成物及びそれを用いた塗装金属板に関する。
従来、コイルコーティングなどによって塗装されたプレコート鋼板などの塗膜形成亜鉛めっき鋼板は、建築物の屋根、壁、シャッター、ガレージなどの建築資材、各種家電製品、配電盤、冷凍ショーケース、鋼製家具及び厨房器具などの住宅関連商品として幅広く使用されている。
塗膜形成亜鉛めっき鋼板からこれらの住宅関連商品を製造するには、通常、プレコート鋼板などの塗膜形成亜鉛めっき鋼板を切断しプレス成型し接合される。したがって、これらの住宅関連商品には、切断面である金属露出部やプレス加工によるワレ発生部が存在することが多い。上記金属露出部やワレ発生部は、他の部分に比べて耐食性が低下しやすいので耐食性の向上のため、塗膜形成亜鉛めっき鋼板の下塗塗膜中にクロム系の防錆顔料を含ませることが一般的に行われてきたが、クロム系の防錆顔料は、防錆性に優れた6価クロムを含有していたり生成したりし、この6価クロムは人体への健康面、環境保護の観点から問題となっている。
これまで、非クロム系顔料を組合せた塗料組成物及び該塗料組成物が塗装された塗膜が形成された良好な耐食性を有する金属材として、種々のものが提案されている。
例えば、特許文献1には、水酸基含有塗膜形成性樹脂系に、防錆顔料として、特定のバナジウム化合物、特定の金属ケイ酸塩及び特定のリン酸水素金属塩を所定量配合した塗料組成物が記載されている。
また、特許文献2には、水酸基含有塗膜形成性樹脂系に、防錆顔料として、特定のバナジウム化合物、特定のケイ素含有物及びリン酸系カルシウム塩を所定量配合した防錆塗料組成物による防錆塗膜が金属材の表裏両面に形成された塗膜形成金属材が記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された塗料組成物による塗膜が形成された金属材は、概ね良好な耐食性を有しているが、特に金属材がアルミニウムを主成分とするめっき鋼板である場合、クロム系顔料を使用した塗料組成物による塗膜が形成された金属材に比べ、耐食性が不十分であり、特に加工部及び端面部における耐食性が不十分であるという問題があった。
特開2008−291160号公報 特開2000−266444号公報
本発明の目的は、塗装金属板などにおける一般部の耐食性のみならず、塗膜が屋外環境で光分解や加水分解による劣化が進行していく過程においても、加工部や端面部の耐食性に優れた塗膜を形成できる非クロム系塗料組成物、特にアルミニウムを主成分とするめっき鋼板の耐食性向上に効果的な非クロム系塗料組成物及びそれを用いた塗装金属板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、水酸基含有塗膜形成性樹脂系に、防錆顔料として、特定のバナジウム化合物、特定のリン酸系金属塩及びケイ酸金属塩を所定量配合した塗料組成物によって、平面部の耐食性のみならず、塗装金属板などにおける加工部や端面部の耐食性に優れた塗膜、特にアルミニウムを主成分とするめっき鋼板において耐食性に優れた塗膜を形成できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(A)水酸基含有塗膜形成性樹脂、(B)架橋剤及び(C)防錆顔料混合物を含有する塗料組成物であって、該防錆顔料混合物(C)が、
(1)五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム及びメタバナジン酸アンモニウムのうちの少なくとも1種のバナジウム化合物、
(2)コバルト及びニッケルのうちの少なくとも1種を含有する、リン酸、亜リン酸、トリポリリン酸のうちの少なくとも1種の塩であるリン酸系金属塩、
(3)コバルト塩、ニッケル塩及びカルシウム塩のうちの少なくとも1種であるケイ酸金属塩からなるものであり、
該樹脂(A)及び該架橋剤(B)の固形分総量に対して
該バナジウム化合物(1)の量が3〜50質量%、
該リン酸系金属塩(2)の量が1〜50質量%、及び
該ケイ酸金属塩(3)の量が1〜50質量%
であって、かつ該防錆顔料混合物(C)の量が10〜150質量%であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、上記塗料組成物に基づく硬化塗膜が形成されてなる塗装金属板を提供するものである。
さらに、本発明は、アルミニウムを主成分とするめっき鋼板上に、上記塗料組成物に基づく硬化塗膜が形成されてなる塗装金属板を提供するものである。
本発明の塗料組成物は、クロム系の防錆顔料を含まず、環境衛生面で有利な塗料組成物であり、本発明の塗料組成物によって、平面部の耐食性に優れるのみならず、これまで非クロム系防錆塗料では達成が困難であった塗装金属板などにおける加工部や端面部の耐食性に優れた塗膜、特にアルミニウムを主成分とするめっき鋼板において耐食性に優れた塗膜を形成できるという効果を発揮する。
本発明の塗料組成物に基く硬化塗膜が形成された塗装金属板は、平面部、加工部や端面部の耐食性に優れるものであり、ストロンチウムクロメートなど、従来のクロメート系防錆顔料を使用した塗料に基く硬化塗膜が形成された塗装金属板と同等以上の耐食性を有するものである。
本発明の塗料組成物に基く硬化塗膜が形成されてなる塗装金属板は、平面部、加工部や端面部の耐食性に優れるものである。被塗物となる金属板として、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板を使用した場合、特にアルミニウムを主成分とするめっき鋼板に使用した場合、本発明塗料組成物を塗装することによって、平面部のみならず、端面部、加工部においても優れた耐食性を得ることができる。
本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある)は、下記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)、架橋剤(B)及び防錆顔料混合物(C)を含有する塗料組成物である。
水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)
本発明塗料組成物における水酸基含有塗膜形成樹脂としては、塗料分野で通常使用できる塗膜形成能を有する水酸基含有樹脂である限り特に制限なく使用することができ、代表例として、水酸基を含有する、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂などの1種又は2種以上の混合樹脂を挙げることができる。塗膜形成性樹脂としては、なかでも、水酸基含有ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂を好適に使用することができる。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂としては、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などが包含される。上記水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量1500〜35000、好ましくは2000〜25000、ガラス転移温度(Tg点)10〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、水酸基価2〜100mgKOH/g、好ましくは5〜80mgKOH/gを有するものが好適である。
本明細において、樹脂の「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。カラムは、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。また、本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものである。
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物である。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸等から選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。
アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸をそれ自体既知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などを挙げることができる。アルキド樹脂の油長は30%以下、特に5〜20%程度のものが好ましい。
ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂の製造の際に用いられる酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが挙げられる。また、ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが包含される。ウレタン変性ポリエステル樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。上記のウレタン変性樹脂は、一般に、ウレタン変性樹脂を形成するポリイソシアネート化合物の量がウレタン変性樹脂に対して30質量%以下の量となる変性度合のものを好適に使用することができる。
エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との付加、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物を挙げることができる。かかるエポキシ変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、エポキシ樹脂の量がエポキシ変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜30質量%となる量であることが好適である。
アクリル変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基又は水酸基にこれらの基と反応性を有する基、例えばカルボキシル基、水酸基又はエポキシ基を含有するアクリル樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルなどをパーオキサイド系重合開始剤を使用してグラフト重合してなる反応生成物を挙げることができる。かかるアクリル変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、アクリル樹脂の量がアクリル変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜50質量%となる量であることが好適である。
以上に述べたポリエステル樹脂のうち、なかでもオイルフリーポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂が、加工性、耐食性などのバランスの点から好適である。
前記水酸基含有塗膜形成樹脂として好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂中のエポキシ基又は水酸基に各種変性剤が反応せしめられた変性エポキシ樹脂を挙げることができる。変性エポキシ樹脂の製造において、その変性剤による変性時期は、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂製造の途中段階に変性してもエポキシ樹脂製造の最終段階に変性してもよい。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に高分子量まで縮合させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られた樹脂のいずれであってもよい。
上記ビスフェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールFが好適に使用される。上記ビスフェノール類は、1種で又は2種以上の混合物として使用することができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン製の、エピコート828、同812、同815、同820、同834、同1001、同1004、同1007、同1009、同1010;旭チバ社製の、アラルダイトAER6099;及び三井化学(株)製の、エポミックR−309などを挙げることができる。
また、水酸基含有塗膜形成樹脂として好適なエポキシ樹脂である前記ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂など、各種のノボラック型エポキシ樹脂を挙げることができる。
前記変性エポキシ樹脂としては、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂又は上記ノボラック型エポキシ樹脂に、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸又はメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分を反応させたエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂;上記ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂又は上記各種変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入してなるアミン変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
架橋剤(B)
架橋剤(B)は、前記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)と反応し、硬化塗膜を形成するものであり、加熱などにより前記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)と反応して硬化させることができるものであれば特に制限なく使用することができるが、なかでもアミノ樹脂、フェノール樹脂及びブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物が好適である。これらの架橋剤は、1種で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記アミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグラナミン、ステログタナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。上記反応に用いられるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、上記メチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってエーテル化したものもアミノ樹脂として使用できる。エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
上記架橋剤として使用できるフェノール樹脂は、上記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)と架橋反応するものであり、フェノール成分とホルムアルデヒド類とを触媒の存在下で加熱して縮合反応させてメチロール基を導入して得られるメチロール化フェノール樹脂のメチロール基の一部または全てをアルコールでアルキルエーテル化してなるレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂の製造においては、出発原料である上記フェノール成分として、2官能性フェノール化合物、3官能性フェノール化合物、4官能性以上のフェノール化合物などを使用することができる。
上記フェノール化合物として、例えば、2官能性フェノール化合物としては、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノールなどを挙げることができ、3官能性フェノール化合物としては、石炭酸、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノールなどが挙げられ、4官能性フェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどを挙げることができる。中でも耐スクラッチ性の向上の観点から3官能性以上のフェノール化合物、特に石炭酸及び/又はm−クレゾールを用いることが好ましい。これらのフェノール化合物は1種で、又は2種以上組合せて使用することができる。
フェノール樹脂の製造に用いられるホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンなどが挙げられ、1種で又は2種以上組合せて使用することができる。
メチロール化フェノール樹脂のメチロール基の一部をアルキルエーテル化するのに用いられるアルコールとしては、炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜4個の1価アルコールを好適に使用することができる。 好適な1価アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどを挙げることができる。
フェノール樹脂は、水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)との反応性などの点からベンゼン核1核当りアルコキシメチル基を平均して0.5個以上、好ましくは0.6〜3.0個有するものが適している。
上記架橋剤として使用できるブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物におけるブロック化されていないポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートもしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDIの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化したものである。上記ブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好適に使用することができる。上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
前記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)と上記架橋剤(B)との配合割合は、(A)及び(B)成分の合計固形分100質量部に基づいて、水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)が55〜95質量部、さらには60〜95質量部であって、架橋剤(B)が5〜45質量部、さらには5〜40質量部の範囲内であることが耐食性、耐沸騰水性、加工性、硬化性等の点から好適である。
本塗料の硬化性向上のため必要に応じて硬化触媒を配合することができる。架橋剤(B)がアミノ樹脂、特に低分子量の、メチルエーテル化またはメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂を含有する場合には、硬化触媒としてスルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適に用いられる。スルホン酸化合物の代表例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などを挙げることができる。スルホン酸化合物のアミン中和物におけるアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであってもよい。これらのうち、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗膜の物性などの点から、p−トルエンスルホン酸のアミン中和物及び/又はドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和物が好適である。
架橋剤(B)がフェノール樹脂である場合、硬化触媒として、上記スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適に用いられる。
架橋剤(B)がブロック化ポリイソシアネート化合物である場合には、ブロック剤の解離を促進する硬化触媒が好適であり、好適な硬化触媒として、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒等を挙げることができる。
架橋剤(B)が2種以上の架橋剤の組合せである場合には、各架橋剤に有効な硬化触媒を組合せて使用することができる。
防錆顔料混合物(C)
本発明の塗料組成物において、防錆顔料混合物(C)は、下記バナジウム化合物(1)、リン酸系金属塩(2)及びケイ酸金属塩(3)からなるものである。
バナジウム化合物(1)
バナジウム化合物(1)は、五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム及びメタバナジン酸アンモニウムのうちの少なくとも1種のバナジウム化合物である。五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム及びメタバナジン酸アンモニウムは、5価バナジウムイオンの水への溶出性に優れており、バナジウム化合物(1)から放出される5価バナジウムイオンが、素材金属と反応したり、他の防錆顔料混合物からのイオンと反応することにより耐食性向上に効果的に働く。
リン酸系金属塩(2)
リン酸系金属塩(2)は、リン酸金属塩、リン酸水素金属塩、亜リン酸金属塩及びトリポリリン酸金属塩のうちの少なくとも1種の金属塩である。そして、リン酸系金属塩(2)は、該金属塩がコバルト及びニッケルのうちの少なくとも1種を含有するリン酸系金属塩であるか、又は該金属塩がコバルト及びニッケルのうちの少なくとも1種の金属の酸化物で表面処理されたリン酸系金属塩である。
リン酸系金属塩(2)としては、例えば、オルトリン酸コバルト、亜リン酸コバルト、ピロリン酸コバルト、リン酸コバルトアンモニウム、リン酸コバルト・カルシウム共析物、オルトリン酸ニッケル、メタリン酸ニッケル、亜リン酸ニッケル、リン酸水素コバルト、リン酸水素ニッケル、トリポリリン酸ニ水素アルミニウムの酸化コバルトによる処理物、リン酸カルシウムの酸化ニッケルによる処理物などを挙げることができる。
リン酸系金属塩(2)から放出されるコバルト、ニッケルの金属イオン、リン酸イオンが耐食性の向上に効果的に働く。
ケイ酸金属塩(3)
ケイ酸金属塩(3)は、二酸化ケイ素と金属酸化物とからなる塩であり、オルトケイ酸塩、ポリケイ酸塩等のいずれであってもよい。そして、ケイ酸金属塩(3)は、該金属塩がコバルト塩、ニッケル塩及びカルシウム塩のうちの少なくとも1種である。
ケイ酸金属塩(3)としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム・カルシウム共析物、オルトケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、ケイ酸カルシウム・ナトリウム共析物、ケイ酸マグネシウム・カルシウム共析物、オルトケイ酸コバルト、メタケイ酸コバルト、オルトケイ酸ニッケル、メタケイ酸ニッケル等を挙げることができる。
ケイ酸金属塩(3)としては、なかでもケイ酸カルシウム、オルトケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウムを好適に使用することができる。
本発明の塗料組成物において、前記樹脂(A)及び該架橋剤(B)の固形分総量に対して、防錆顔料混合物(C)は、上記バナジウム化合物(1)、リン酸系金属塩(2)及びケイ酸金属塩(3)が下記範囲内にあり、かつ、防錆顔料混合物(C)の量が10〜150質量%、好ましくは15〜90質量%であることが耐食性の観点から好適である。
バナジウム化合物(1):3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、
リン酸系金属塩(2):1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%、
ケイ酸金属塩(3):1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%。
本発明の塗料組成物においては、防錆顔料混合物(C)として、これら(1)、(2)及び(3)を所定量組合せることによって、相乗的に耐食性を向上させることができるものである。
また、前記樹脂(A)及び架橋剤(B)の合計固形分100質量部に対して配合される防錆顔料混合物(C)を構成するバナジウム化合物(1)、リン酸系金属塩(2)及びケイ酸金属塩(3)の各顔料の各質量部量の混合物を、25℃の5質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液10000質量部に添加して6時間攪拌し25℃で48時間静置した上澄み液を濾過した濾液のpHが3〜9、好ましくは5〜8であることが、バナジウム化合物(1)、リン酸系金属塩(2)及びケイ酸金属塩(3)の水分による溶解性及び防錆顔料の溶解液と金属板との反応性の観点から好適であり、この範囲にあることが耐食性の点からより好適である。
すなわち、上記pH測定をする濾液は、25℃の5質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液10000質量部に対して、バナジウム化合物(1)が3〜50質量部の範囲内のいずれかの量、リン酸系金属塩(2)が1〜50質量部の範囲内のいずれかの量、及びケイ酸金属塩(3)が1〜50質量部の範囲内のいずれかの量添加し溶解した溶解液の濾液である。
本発明塗料組成物には、前記水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)、架橋剤(B)、防錆顔料混合物(C)、及び必要に応じて配合される硬化触媒以外に、防錆顔料混合物(C)に使用される防錆顔料以外の防錆顔料、塗料分野で使用できる着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機溶剤;沈降防止剤、消泡剤、塗面調整剤などの添加剤等を必要に応じて配合することができる。
防錆顔料混合物(C)に使用される防錆顔料以外の防錆顔料としては、例えば、リン酸系金属塩(2)以外のリン酸系金属塩、ケイ酸金属塩(3)以外のケイ酸金属塩、シリカ微粒子、モリブデン酸亜鉛、酸化マンガンと酸化バナジウムとの焼成物、リン酸カルシウムと酸化バナジウムとの焼成物等を挙げることができる。これらの防錆顔料は1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
リン酸系金属塩(2)以外のリン酸系金属塩は、コバルト塩及びニッケル塩以外の金属塩であるリン酸系金属塩である。
具体的には、例えば、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム・アンモニウム共析物、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸塩化フッ化カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、リン酸水素亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム・アンモニウム共析物;トリポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸ニ水素アルミニウム等の金属元素がマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、又はカルシウムであるトリポリリン酸金属塩等を挙げることができる。
ケイ酸金属塩(3)以外のケイ酸金属塩は、コバルト塩、ニッケル塩及びカルシウム塩以外の金属塩であるケイ酸金属塩である。
具体的には、例えば、ケイ酸亜鉛、ケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸アルミニウム、水化ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム・ナトリウム共析物、ケイ酸アルミニウム・ベリリウム共析物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ジルコニウム、オルトケイ酸マグネシウム、メタケイ酸マグネシウム、ケイ酸マンガン、ケイ酸バリウム、カンラン石、ザクロ石、トルトバイタイト、イキョク鉱、ベニトアイト、ネプチュナイト、リョクチュウ石、トウキ石、ケイカイ石、バラキ石、トウセン石、ゾノトラ石、タルク、ギョガン石、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ベリロケイ酸塩、チョウ石、フッ石等を挙げることができる。
シリカ微粒子としては、シリカ微粒子である限り特に制限なく使用でき、例えば、表面が無処理のシリカ微粉末、表面が有機物で処理されたシリカ微粉末、有機溶剤分散性コロイダルシリカ等を挙げることができる。
表面が無処理又は有機物で処理されたシリカ微粒子としては、平均粒子径0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmを有するシリカ微粉末、有機溶剤分散性コロイダルシリカが挙げられる。シリカ微粉末としては、吸油量が30〜350ml/100g、好ましくは30〜150ml/100gの範囲内にあるものを好適に使用することができ、市販品として、サイリシア710、サイリシア740、サイリシア550、アエロジルR972(以上、いずれも富士シリシア化学(株)製)、ミズカシルP−73(水澤化学工業(株)製)、ガシル200DF(クロスフィールド社製)等を挙げることができる。
有機溶剤分散性コロイダルシリカは、オルガノシリカゾルとも呼称され、アルコール類、グリコール類、エーテル類などの有機溶剤中に、粒子径が約5〜120nm程度のシリカ微粒子が安定に分散されたものであって、市販品としては、オスカル(OSCAL)シリーズ(日揮触媒化成(株)製)、オルガノゾル(日産化学(株)製)等を挙げることができる。
さらに、上記シリカ微粒子としては、カルシウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル等の種々の金属イオンによる、金属イオン交換シリカも挙げることができる。
上記着色顔料としては、例えば、シアニンブルー、シアニングリーン、アゾ系やキナクリドン系などの有機赤顔料等の有機着色顔料;チタン白、チタンエロー、ベンガラ、カーボンブラック、各種焼成顔料等の無機着色顔料を挙げることができ、なかでもチタン白を好適に使用することができる。
上記体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、シリカ、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジン)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[ 2−ヒドロキシ−3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、メチル− 3 −[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート/ポリエチレングリコール300との縮合物などのベンゾトリアゾール系誘導体;2−[4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2 −ヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン系誘導体;エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)−(オキサリックアミド)、エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N'−(4−イソドデシルフェニル)−(オキサリックアミド)などの蓚酸アニリド系誘導体等を挙げることができる。
上記紫外線安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物;CHIMASORB944、TINUVIN144、TINUVIN292、TINUVIN770、IRGANOX1010、IRGANOX1098(以上、これらの商品名の製品は、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社の製品である。)等を挙げることができる。
紫外線吸収剤や紫外線安定剤を塗料中に配合することによって、この塗膜表面の光による劣化を抑制することができる。この塗料をプライマーとして使用した場合、上層塗膜を通過してプライマー塗膜表面に到達した光によるプライマー表面の劣化を抑制することができるので、プライマー塗膜表面の劣化によるプライマー塗膜と上層塗膜との層間剥離を防止でき、優れた耐食性を維持できる。
本発明塗料組成物に配合できる前記有機溶剤は、本発明組成物の塗装性改善などのために必要に応じて配合されるものであり、水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)及び架橋剤(B)を溶解ないし分散できるものが使用でき、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素などの炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶剤等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明塗料組成物は、本発明組成物から得られる硬化塗膜のガラス転移温度が40〜115℃、好ましくは50〜105℃であることが塗膜の耐食性、耐酸性及び加工性などの点から好適である。塗膜のガラス転移温度は、DINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン)DDV−IIEA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて周波数110Hzにおける温度分散測定によるtanδの変化から求めた極大値の温度である。
本発明の塗料組成物が金属板上に塗装され、形成された塗膜は優れた耐食性を示す。その理由として本発明者は、腐食環境下での塩化物イオンなどによる素材金属の溶解により生成される金属イオンと5価のバナジウムイオン(VO やVO 3−のバナジン酸イオン)との酸化還元反応を経ない直接的な沈殿性塩の生成、5価バナジウムイオンと素材金属との酸化還元反応により生成する3価バナジウムイオン及び素材金属イオンが効果的に沈殿物を形成し、素材金属イオンの溶出を抑制するのではないかと考えている。
一方でリン酸イオンは溶出し、腐食進行部位及びその周辺が、5価バナジウムイオンと素材金属との酸化還元反応が進行するのに好適なpH域に速やかに調整する作用があり、最終的にはリン酸イオンも皮膜形成に寄与する、と考えている。
特にアルミのような自己不動態化作用の強い金属の腐食の場合、不動態が塩化物イオンにより破壊されると一挙に溶解が進むため、防食のためにはアノード反応を効果的に抑制する必要がある。腐食雰囲気中に放出されるコバルトイオンやニッケルイオンはこのような場合においてケイ酸イオンと相乗的に作用し、素材金属面と種々の反応をすることにより形成した被覆成分の耐アノード溶解性が格段に向上したのではないかと考えている。
また、防錆顔料(C)として、前記(1)、(2)及び(3)を併用することで、前記(1)、(2)及び(3)のそれぞれが有する耐酸性や耐アルカリ性及び耐水性の弱さを効果的に打ち消すことができる。これら防錆顔料に基く作用の相乗効果が大きく働き、優れた耐食性を達成できたものと考えている。
さらに、上塗塗膜が劣化していく過程において、環境中の腐食促進因子は塗膜表面から浸透してやがて塗膜下に到達し、その部位にカソード極を形成して塗膜のフクレの起点となると考えられるが、本願発明におけるコバルトイオンやニッケルイオンは、塗膜下のカソード極に生成した金属水酸化物と一体となり、その生成物の構造を緻密化して更なる腐食進行を抑制するとともに、電気化学的な腐食反応に対する抵抗力を効果的に向上させる作用があるのではないかと考えている。
塗装金属板
本発明塗料組成物は、金属板上に塗装し硬化させることによって塗装金属板を得ることができる。塗装される金属板としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板(ガルバニル鋼板)、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板(合金中アルミニウムを約55%含有する「ガルバリウム鋼板」、合金中アルミニウムを約5%含有する「ガルファン」など)、アルミニウムめっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板等の金属板をあげることができる。
本発明塗料組成物は、これら金属板のうち、特に、アルミニウムを主成分とするめっき鋼板の耐食性向上効果に優れている。具体的には、上記合金中アルミニウムを約55%含有する「ガルバリウム鋼板」やアルミニウムめっき鋼板等のめっき成分中のアルミニウム含有量が50%以上であるめっき鋼板の耐食性向上効果に特に優れている。
これらの金属板表面は、化成処理がなされていてもよい。化成処理としては、例えば、リン酸亜鉛処理やリン酸鉄処理などのリン酸塩処理、複合酸化膜処理、リン酸クロム処理、クロメート処理などを挙げることができる。
本発明塗料組成物は、上記金属板上に、ロールコート法、カーテンフローコート法、スプレー法、刷毛塗り法、浸漬法などの公知の方法により塗装することができる。本発明塗料組成物から得られる塗膜の硬化膜厚は、特に限定されるものではないが、通常2〜10μm、好ましくは3〜6μmの範囲で使用される。塗膜の硬化は、使用する樹脂の種類などに応じて適宜設定すればよく、コイルコーティング法などによって塗装したものを連続的に焼付ける場合には、通常、素材到達最高温度が160〜250℃、好ましくは180〜230℃となる条件で15〜60秒間焼付けられる。バッチ式で焼付ける場合には、80〜200℃で10〜30分間焼付けることによっても行うことができる。また、架橋剤(B)として、ブロック化していないポリイソシアネートを用いる場合や、樹脂(A)としてビスフェノール型エポキシ樹脂を用い、架橋剤(B)としてアミン化合物を用いる場合のような、塗膜形成過程における架橋反応に特に加熱を必要としない組合せの場合には、常法に従い、常温で乾燥することにより硬化させることができる。
本発明の塗装金属板は、化成処理されていてもよい金属板上に、上記本発明塗料組成物による塗膜が設けられており、この本発明塗料組成物による塗膜を形成した塗装金属板そのものを使用に供することができるが、さらに、この塗膜の上に上塗塗膜を設けることもできる。上塗塗膜の膜厚は、通常、8〜30μm、好ましくは10〜25μmとすることができる。
上記上塗塗膜を形成する上塗塗料としては、例えばプレコート鋼板用として公知の、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、シリコン変性ポリエステル樹脂系、シリコン変性アクリル樹脂系、フッ素樹脂系な等の上塗塗料を挙げることができる。加工性が特に重視される場合には高度加工用のポリエステル系上塗塗料を使用することによって加工性の特に優れた塗装鋼板を得ることができる。本発明の塗装金属板は、耐食性に優れた塗膜性能を示すことができる。
被塗物となる金属板として、合金中アルミニウムを約55%含有する「ガルバリウム鋼板」、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板等のめっき成分中のアルミニウム含有量が高いめっき鋼板を使用した場合、平面部の耐食性はかなり向上してきている一方で、これまでは、切断した端面部、成型加工した加工部において、耐食性は不十分であったが、本発明塗料組成物を塗装することによって、端面部、加工部においても優れた耐食性を得ることができる。
また、被塗物の両面に本発明塗料組成物による塗膜が設けられていてもよく、さらに必要に応じて、本発明塗料組成物による塗膜の上に、上記上塗塗膜が形成されていてもよい。本発明塗料組成物を両面に形成する、すなわち裏面にも形成することによって、クロム系の防錆顔料を含まず、環境衛生面にも有利でかつ耐食性に優れた塗装金属板を得ることができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
レゾール型フェノール樹脂の製造
製造例1
反応容器に、ビスフェノールA100部、37%ホルムアルデヒド水溶液178部及び水酸化ナトリウム1部を配合し、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついでn−ブタノール100部とリン酸3部を加え、110〜120℃で2時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液を濾過して生成したリン酸ナトリウムを濾別し、固形分約50%のレゾール型フェノール樹脂(B1)の溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量880で、ベンゼン核1核当たり平均メチロール基数が0.4個及び平均アルコキシメチル基数が1.0個であった。
塗料組成物の製造
実施例1
エピコート#1009(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水酸基含有樹脂)85部を混合溶剤1[シクロヘキサノン/エチレングリコールモノブチルエーテル/ソルベッソ150(エッソ石油社製、高沸点芳香族炭化水素系溶剤)=3/1/1(質量比)]135部に溶解したエポキシ樹脂溶液220部に、五酸化バナジウム5部、オルトリン酸コバルト3部、オルトケイ酸カルシウム2部、チタン白20部、バリタ20部及び混合溶剤2[ソルベッソ150(エッソ石油社製、高沸点芳香族炭化水素系溶剤)/シクロヘキサノン=1/1(質量比)]の適当量を混合し、ツブ(顔料粗粒子の粒子径)が20μm以下となるまで顔料分散を行った。次いで、この分散物にデスモジュールBL−3175(住化バイエルウレタン社製、メチルエチルケトオキシムでブロック化したHDIイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物溶液、固形分約75%)20部(固形分量で15部)、タケネートTK−1(武田薬品社製、有機錫系ブロック剤解離触媒、固形分約10%)2部を加えて均一に混合し、さらに上記混合溶剤2を加えて粘度約80秒(フォードカップ#4/25℃)に調整して塗料組成物1を得た。
実施例2〜30、比較例1〜8ならびに参考例1及び2
実施例1において、使用する水酸基含有樹脂、架橋剤、防錆顔料、その他顔料を下記表1に示すとおりとする以外は、実施例1と同様に行い、各塗料組成物2〜40を得た。参考例1及び2は、従来のクロメート系防錆顔料を含有する防錆塗料組成物である。表1における水酸基含有樹脂、架橋剤及び顔料成分等の量は、いずれも固形分質量による表示である。
表1に樹脂成分(水酸基含有樹脂と架橋剤との合計固形分質量100質量部)に対する各防錆顔料の量の合計を、25℃の5質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液10000質量部に添加して6時間攪拌し25℃で48時間静置した上澄み液を濾過した濾液のpH(防錆顔料溶解液のpH)も併せて示す。例えば、実施例1の防錆顔料溶解液のpHは、25℃の5質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液10000質量部に、五酸化バナジウム5質量部、オルトリン酸コバルト3質量部及びケイ酸カルシウム2質量部を添加して上記条件にて溶解させた上澄み液を濾過した濾液のpHである。
上記表1において、表中の(注)は、それぞれ下記の意味を有する。
(注1)エポキー837:三井化学(株)社製、商品名、ウレタン変性エポキシ樹脂、水酸基含有樹脂、1級水酸基価約35、酸価約0。
(注2)バイロン296:東洋紡績(株)社製、商品名、エポキシ変性ポリエステル樹脂、水酸基含有樹脂、水酸基価7、酸価6。
(注3)スミジュールN3300:住化バイエルウレタン(株)社製、イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物、固形分100%。
(注4)サイメル303:日本サイテックインダストリイズ(株)社製、商品名、メチルエーテル化メラミン樹脂。
(注5)リン酸系金属塩A:トリポリリン酸二水素アルミの酸化コバルト処理物。
(注6)シールデックスC303:W.R.Grace & Co.社製、商品名、カルシクムイオン交換シリカ。
(注7)sandvor3058:クラリアント社製、商品名、ヒンダードアミン系紫外線安定剤。
(注8)Nacure5225:米国キングインダストリイズ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和溶液。
試験用塗装板の作成
上記実施例1〜30、比較例1〜8ならびに参考例1及び2で得た各塗料組成物1〜40及び上塗塗料を用い、下記の塗装仕様にて各素材に塗装し、各試験用塗装板を得た。
塗装仕様1(素材;ガルバリウム鋼板)
化成処理が施されたガルバリウム鋼板(板厚0.35mm、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板、合金中アルミニウムを約55%含有、合金メッキ目付量150g/m、表1中「GL鋼板」と表示する。)に、上記各塗料組成物1〜40を膜厚5μmとなるようにバーコーターにて塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして30秒間焼付けて裏面塗膜を形成した。この裏面塗膜を形成した塗装板の裏面塗膜と反対側の鋼板面に、同じ各塗料組成物1〜40を膜厚5μmとなるようにバーコーターにて塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして40秒間焼付けて各プライマー塗膜を形成した。
冷却後、これらのプライマー塗膜上に、KPカラー1580B40(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度約70℃)をバーコーターにて膜厚が15μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして40秒間焼付けることにより各試験用塗装板を得た。
塗装仕様2(素材:溶融アルミメッキ鋼板)
化成処理が施された溶融アルミメッキ鋼板(板厚0.35mm、目付量200g/m、表1中「AL鋼板」と表示する。)に、上記各塗料組成物1〜40を膜厚5μmとなるようにバーコーターにて塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして30秒間焼付けて裏面塗膜を形成した。この裏面塗膜を形成した塗装板の裏面塗膜と反対側の鋼板面に、同じ各塗料組成物1〜40を膜厚5μmとなるようにバーコーターにて塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして40秒間焼付けて各プライマー塗膜を形成した。
冷却後、これらのプライマー塗膜上に、KPカラー1580B40をバーコーターにて膜厚が15μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が220℃となるようにして40秒間焼付けることにより各試験用塗装板を得た。
塗膜性能試験
上記実施例1〜30、比較例1〜8ならびに参考例1及び2で得られた塗料組成物、及び上塗塗料を塗装して得られた各試験用塗装板について、下記試験方法に従って塗膜性能試験を行った。試験結果を併せて表1に示す。
試験方法
耐沸騰水性:5cm×10cmの大きさに切断した各試験用塗装板を約100℃の沸騰水中に5時間浸漬した後、引き上げて表面側の塗膜外観を評価するとともに、碁盤目テープ付着試験を行い評価した。碁盤目テープ付着試験は、JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて、切り傷の隙間間隔を1mmとし、碁盤目100個を作り、その表面にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした後の塗面に残存する碁盤目の数を調べた。
◎:塗膜にフクレの発生、白化などの異常がなく、残存碁盤目数100個、
○:塗膜にフクレの発生、白化などの異常がなく、残存碁盤目数91〜99個、
△:塗膜にフクレ又は白化などの異常がわずかに認められ、残存碁盤目数91個以上である、又は塗膜にフクレの発生、白化などの異常がないが、残存碁盤目数71〜90個、
×:塗膜にフクレの発生がかなりもしくは著しく認められる、又は残存碁盤目数70個以下。
耐アルカリ性:5cm×10cmの大きさに切断した各試験用塗装板裏面及び切断面を防錆塗料にてシールし、塗装板の表面側中央部に素地に達するクロスカットを入れた。この塗装板を40℃の5%水酸化ナトリウム水溶液に48時間浸漬した後、取出し洗浄し、室温にて乾燥した塗装板の表面側の塗膜外観を評価するとともに、クロスカット部にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした後の塗膜におけるカット部からの剥離幅(片側)を評価した。
◎:フクレの発生がなく、カット部からの剥離幅が1.5mm以下、
○:フクレの発生がなく、カット部からの剥離幅が1.5mmを超え、3mm以下、
△:フクレの発生が少し認められるが、カット部からのテープ剥離幅が3mm以下、又はフクレの発生が認められないが、カット部からのテープ剥離幅が3mmを超える、
×:フクレの発生が認められ、かつカット部からのテープ剥離幅が3mmを超える。
耐酸性:5cm×10cmの大きさに切断した各試験用塗装板裏面及び切断面を防錆塗料にてシールし、塗装板の表面側中央部に素地に達するクロスカットを入れた。この塗装板を40℃の5%硫酸水溶液に48時間浸漬した後、取出し水洗し、室温にて乾燥した塗装板の表面側の塗膜外観を評価するとともに、クロスカット部にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした後の塗膜におけるカット部からの剥離幅(片側)を評価した。
◎:フクレの発生がなく、カット部からのテープ剥離幅が1.5mm以下、
○:フクレの発生がなく、カット部からのテープ剥離幅が1.5mmを超え3mm以下、
△:フクレの発生が少し認められるが、カット部からのテープ剥離幅が3mm以下、又はフクレの発生が認められないが、カット部からのテープ剥離幅が3mmを超える、
×:フクレの発生が認められ、かつカット部からのテープ剥離幅が3mmを超える。
耐スクラッチ性:20℃の室温において、コインスクラッチテスター(自動化技研工業社製)を用いて、各試験用塗装板の表面側の塗面に10円銅貨の縁を45度の角度に保ち、3kgの荷重をかけて押し付けながら10円銅貨を10mm/秒の速度で約30mm引っ張って塗面に傷を付けた時の傷の程度を下記基準に従って評価した。
◎:傷の部分に金属の素地は見られない、
○:傷の部分に金属の素地がわずかに見られる、
△:傷の部分に金属の素地がかなり見られる、
×:傷の部分に塗膜がほとんど残らず金属の素地がきれいに見られる。
複合耐食性試験(CCT):複合耐食性試験に供する試験片は以下のように作成する。予め幅7cm×15cmに切断した各試験用塗装板を、キセノン促進耐候性試験機にて500時間促進耐候性試験を行った後、長辺両側それぞれ端から5mmの箇所でシャーリング切断機にて切断を行い、バリが表面側塗膜面に向かって右側において表面側に向き、左側において裏面側に向くように切断した。その試験片の表側中央部に素地に達する狭角30度、線幅0.5mmのクロスカットをカッターナイフの背中を用いて入れ、塗装板の上端エッジ部を防錆塗料にてシールし、上端部に3T折り曲げ加工部(塗装板の表面側を外側にして折り曲げ、その内側に塗装板と同じ厚さの板を3枚挟み、上記塗装板を万力にて180度折り曲げする加工)を設けて試験片を作成した。得られた各試験片について、JIS K−5621(1990)に準じた複合サイクル腐食試験を行った。複合サイクル腐食試験の条件は、(30℃で5%食塩水噴霧0.5時間)−(30℃でRH95%以上の耐湿試験器内で試験1.5時間)−(50℃で乾燥2時間)−(30℃で乾燥2時間)を1サイクルとしたものであり、200サイクル(合計1200時間)試験を行った。この試験後の試験片の3T折り曲げ加工部、エッジ部、クロスカット部、平面部の状態を評価した。
加工部:3T折り曲げ加工部における錆部の合計長さ及び赤錆の発生有無により、次の基準で評価した。
◎:白錆が認められない、又は白錆が認められるが5mm未満、
○:白錆が認められるが5mm以上でかつ20mm未満、
△:白錆が20mm以上でかつ40mm未満、
×:白錆が40mm以上、又は赤錆の発生が認められる。
エッジ部:試験片の左右の長辺のエッジクリープ幅の平均値及び赤錆の発生有無により、次の基準で評価した。
◎:赤錆の発生なく、エッジクリープ幅の平均値3mm未満、
○:赤錆の発生なく、エッジクリープ幅の平均値3mm以上でかつ7mm未満、
△:赤錆の発生なく、エッジクリープ幅の平均値7mm以上でかつ20mm未満、
×:エッジクリープ幅の平均値20mm以上、又は赤錆の発生が認められる。
クロスカット部:試験片のクロスカット部の腐食状態を、0.5mmのカット幅の地金露出部における白錆発生長さ割合、カット部の左右のフクレ幅(両側の和)の平均値及び赤錆の発生有無により、次の基準で評価した。
◎:地金露出部における白錆発生長さ割合30%未満でかつフクレ幅2mm未満、
○:地金露出部における白錆発生長さ割合30%以上でかつフクレ幅2mm未満、又は地金露出部における白錆発生長さ割合30%未満でかつフクレ幅2mm以上で5mm未満、
△:地金露出部における白錆発生長さ割合50%以上でかつフクレ幅5mm以上で10mm未満、
×:地金露出部における白錆発生長さ割合50%以上でかつフクレ幅10mm以上、又は赤錆の発生が認められる。
平面部:連続的なエッジからの腐食部位先端より離れた部位に発生する、平面部の非連続かつ散発的なフクレについて、以下の基準により評価した。
◎:フクレの発生が認められない、
○:フクレの直径がおよそ2mm未満であり、個数も10個未満、
△:フクレの直径がおよそ2mm以上かつ個数10個未満であるか、フクレ直径が2mm未満でかつ個数が10個以上、
×:フクレ直径がおよそ2mm以上かつ個数10個以上。
Figure 0005584108
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Claims (7)

  1. (A)水酸基含有塗膜形成性樹脂、(B)架橋剤及び(C)防錆顔料混合物を含有する塗料組成物であって、該防錆顔料混合物(C)が、
    (1)五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム及びメタバナジン酸アンモニウムのうちの少なくとも1種のバナジウム化合物、
    (2)コバルト及びニッケルのうちの少なくとも1種を含有する、リン酸、亜リン酸、トリポリリン酸のうちの少なくとも1種の塩であるリン酸系金属塩、
    (3)コバルト塩、ニッケル塩及びカルシウム塩のうちの少なくとも1種であるケイ酸金属塩からなるものであり、
    該樹脂(A)及び該架橋剤(B)の固形分総量に対して
    該バナジウム化合物(1)の量が3〜50質量%、
    該リン酸系金属塩(2)の量が1〜50質量%、及び
    該ケイ酸金属塩(3)の量が1〜50質量%
    であって、かつ該防錆顔料混合物(C)の量が10〜150質量%であり、めっき成分中のアルミニウム含有量が50%以上であるめっき鋼板の塗装に用いられることを特徴とする塗料組成物。
  2. 水酸基含有塗膜形成性樹脂(A)が、水酸基含有エポキシ樹脂及び水酸基含有ポリエステル樹脂のうちの少なくとも1種である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 架橋剤(B)が、アミノ樹脂、フェノール樹脂及びブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種の架橋剤である請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. さらに、防錆顔料混合物(C)以外の防錆性顔料、二酸化チタン顔料及び体質顔料のうちの少なくとも1種の顔料成分を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. さらに、紫外線吸収剤及び紫外線安定剤のうちの少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. 前記樹脂(A)及び架橋剤(B)の合計固形分100質量部に対して配合される防錆顔料混合物(C)を構成するバナジウム化合物(1)、リン酸系金属塩(2)及びケイ酸金属塩(3)の各顔料の各質量部量の混合物を、25℃の5質量%濃度の塩化ナトリウム水溶液10000質量部に添加して6時間攪拌し25℃で48時間静置した上澄み液を濾過した濾液のpHが3〜9であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. 表面に化成処理が施されていてもよいめっき成分中のアルミニウム含有量が50%以上であるめっき鋼板上に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗料組成物に基づく硬化塗膜が形成されてなる塗装金属板。
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