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JP5578971B2 - インクジェット記録用油性インク組成物 - Google Patents

インクジェット記録用油性インク組成物 Download PDF

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JP5578971B2 JP2010159490A JP2010159490A JP5578971B2 JP 5578971 B2 JP5578971 B2 JP 5578971B2 JP 2010159490 A JP2010159490 A JP 2010159490A JP 2010159490 A JP2010159490 A JP 2010159490A JP 5578971 B2 JP5578971 B2 JP 5578971B2
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Description

本発明は、金属光沢性を維持しつつも耐擦過性の良好なインクジェット記録用油性インク組成物に関する。
従来、印刷物上で金属光沢を実現するために、(1)金属、合金、パール等の顔料を含有するインキを使用して印刷する方法、(2)転写箔を使用して転写形成する方法が知られている。近年、インクジェット記録によっても金属光沢を有する記録物を得るためのインク組成物が提供されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これらのインクジェット記録用油性インク組成物は、アルミニウム顔料濃度が5質量%程度のアルミニウム顔料分散液を原料とし、溶媒、樹脂等が添加されて、インクジェットでも吐出可能な粘度に調整されて作製されている。このようなアルミニウム顔料分散液の作製方法は、以下のとおりである。シート状基材上に剥離膜を介してアルミニウム等の金属薄膜を蒸着形成した積層体を原料として使用し、この積層体を剥離膜を溶解するがアルミニウムとは反応しない剥離膜溶解用溶媒中に浸漬し、超音波分散によりシート状基材からアルミニウム薄膜を粒子状に分離して実質的に剥離膜のないアルミニウム顔料を生成し、そのまま、または遠心分離等によりアルミニウム顔料を分離した後、非反応性溶媒中でアルミニウム顔料濃度が5質量%程度に調整される。ここで、剥離膜溶解用溶媒と最終的にアルミニウム顔料が分散される非反応性溶媒は、同一でも相違していてもよい。
このようにして得られたアルミニウム顔料分散液を使用して、20℃での粘度が2.6mPa・s〜4.5mPa・sのインクジェット記録に適したインク組成物を調整するためには、添加樹脂や溶媒の添加が行われる。ところが、樹脂成分を多く含有させるとインク組成物中の金属成分の割合が低下し、光沢度低下を引き起こすという問題が起きる。一方、微量の樹脂添加でインク組成物の粘度を調整しようとすると、印字物の耐擦過性の低下を引き起こすという問題がある。溶媒の添加による調整では、粘度の高い溶媒は一般的に揮発性が低く、印字物の乾燥性が低下するという問題がある。
特開2007−46034号公報 特開2007−169451号公報 特開2007−131741号公報 特開2008−174712号公報
本発明が解決しようとする課題は、光沢性を維持しつつも耐擦過性が良好なインクジェット記録用油性インク組成物の提供である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、(a)メタリック顔料分散液由来の金属箔片を0.1質量%〜4.8質量%、(b)樹脂を0.10質量%〜1.50質量%、(c)有機溶剤とを含有すると共に、前記樹脂は、樹脂全量に対し3質量%〜40質量%のマレイン酸変性樹脂を含有する。
好ましい金属箔片は、アルミニウム又はアルミニウム加工顔料からなる金属箔片であり、該金属箔片の好ましい平均厚みが10nm〜200nm、好ましい50%平均粒子径が0.7μm〜4.0μm、好ましい粒度分布における最大粒子径が12μm以下である。
好ましいマレイン酸変性樹脂は、マレイン酸変性された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体又はマレイン酸変性された(メタ)アクリル樹脂である。
樹脂は、マレイン酸変性樹脂の他にブチラール樹脂、アセタール樹脂、繊維素系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を好ましくは含有する。
好ましい繊維素系樹脂はセルロースアセテートブチレートである。
好ましい有機溶剤は下記式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルである。
1 −(OC24n −OX2 (1)
(上記式中、X1 およびX2 は、炭素数1〜4のアルキル基であり、同一でも異なってもよく、nは2〜4の整数である)
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましくは、有機溶剤として更に環状エステルを含有する。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物の好ましい20℃での粘度は2.6mPa・s〜4.5mPa・sである。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、光沢性を維持しつつも、その耐擦過性は良好である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物はメタリック顔料分散液に由来する金属箔片を含有する。金属箔片の好ましい平均厚みは10nm〜200nm、好ましい50%平均粒子径は0.7μm〜4.0μm、好ましい粒度分布における最大粒子径は12μm以下である。なお、本発明における金属箔片の50%平均粒子径は、金属箔片の長径(X方向)−短径(Y方向)平面の円相当径である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、金属光沢を有するインクジェット記録が可能であり、ノズル径が30μm以下のインクジェットノズルを用いたプリンタによる安定な記録を可能とする。特に、ノズル径が20μm以下のインクジェットノズルを用いて安定な印字を行う場合には、粒度分布における最大粒子径を10μm以下とすると共に50%平均粒子径を4.0μm以下とするとよい。
本発明におけるメタリック顔料は、メタリック顔料分散液に由来する。メタリック顔料分散液は、シート状基材上に剥離用樹脂層を介してアルミニウム等の金属薄膜を蒸着形成した積層体を原料として使用し、この積層体を剥離用樹脂層を溶解するが金属とは反応しない溶媒中に浸漬し、超音波分散によりシート状基材から金属薄膜を粒子状に分離して実質的に剥離用樹脂層のないメタリック顔料を生成した後、非反応性溶媒中でこのメタリック顔料の濃度を5質量%程度に調整して得られる。
メタリック顔料を形成するための金属または金属化合物は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の単体金属;金属化合物;合金およびそれら混合物の少なくとも1種である。金属薄膜は、シート状基材上に、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法により、10nm〜200nmの厚さに形成される。金属薄膜の厚みが薄過ぎると、メタリック顔料の反射性、光輝性が劣り、金属顔料としての性能が低くなる。一方、金属薄膜の厚みが厚過ぎると、メタリック顔料の見掛け比重が増加し、メタリック顔料分散液における分散安定性が低下する。
剥離用樹脂層に用いる樹脂の具体例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリビニルアセタール、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂である。剥離用樹脂層に用いる樹脂を樹脂層とするには、樹脂溶液をシート状基材上にグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート塗布等の塗布により、乾燥膜厚0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μmとなるように塗膜を形成する。乾燥膜厚が0.5μm未満であると、分散樹脂としての量が不足する。一方、乾燥膜厚が50μmを超えると、ロール化時にメタリック顔料層との界面剥離し易くなる。
シート状基材の具体例は、ポリテトラフルオロエチレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;トリアセテートフィルム;ポリイミドフィルムである。好ましいシート状基材は、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のフィルムである。シート状基材の好ましい厚さは、10μm〜150μmである。シート状基材の厚みが10μm以上であれば、シート状基材の取り扱い性に問題がなく、シート状基材の厚みが150μm以下であれば、シート状基材は柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
積層体からメタリック顔料分散液を調製するには、積層体を剥離用樹脂を溶解しうると共に金属と反応しない溶媒中に浸漬するか、または浸漬と同時に超音波処理を行うとよい。このような溶媒としては後述するインク組成物を構成する溶媒等が挙げられる。メタリック顔料の粒径及び膜厚は、金属蒸着条件及び超音波分散時間により調整される。剥離用樹脂溶解溶液から金属顔料を遠心分離により沈降分離した後、例えば後述するインク組成物を構成する溶媒等の金属と反応しない溶媒に分散させ、メタリック顔料分散液としてもよい。本発明におけるメタリック顔料分散液は、剥離用樹脂が分散剤としての機能を示し、安定な分散液である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、上記のごとくに得られたメタリック顔料分散液由来の金属箔片を当該インク組成物全量に対し0.1質量%〜4.8質量%の割合で含有する。
次に、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、当該インク組成物全量に対し0.10質量%〜1.50質量%の樹脂を含有する。更に、当該樹脂は、樹脂全量に対し3質量%〜40質量%のマレイン酸変性樹脂を含有する。
本発明の発明者らは、少量のマレイン酸変性樹脂が、インク組成物における樹脂成分として含有され、印字物に耐摩擦性を付与することを見いだした。好ましいマレイン酸変性樹脂はマレイン酸変性された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体である。マレイン酸変性樹脂の具体例は、ダウケミカル社製「VMCA、数平均分子量15,000、マレイン酸:塩化ビニル:酢酸ビニル=2:81:17(質量比)」、同「VMCC、数平均分子量19,000、マレイン酸:塩化ビニル:酢酸ビニル=1:83:16(質量比)」、同「VMCH、数平均分子量27,000、マレイン酸:塩化ビニル:酢酸ビニル=1:86:13(質量比)」である。マレイン酸変性された(メタ)アクリル樹脂の具体例は、後述する合成法で得た、数平均分子量18,000、マレイン酸:メタクリル酸メチル=1:99(質量比)の樹脂である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、好ましくは、マレイン酸変性樹脂の他に、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンから選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する。
耐擦過性を向上させるために上述した樹脂を1.50質量%を超えた量で添加すると、光沢評価の低い印字物しか得られない。樹脂成分の好ましい総量は0.10質量%〜1.50質量%の範囲内であり、インクジェット記録用油性インク組成物を使用して光沢評価の高い印字物を得られる。一方、樹脂成分の総量を0.10質量%〜1.50質量%とし、マレイン酸変性樹脂を樹脂総量の3質量%〜40質量%の割合で含有させると耐擦過性を向上させることができる。マレイン酸変性樹脂の含有量が少なすぎると、インクジェット記録用油性インク組成物を使用した印字物の耐擦過性が低下する。一方、マレイン酸変性樹脂の含有量が多すぎると、インクジェット記録用油性インク組成物を使用した印字物の光沢が低下する。樹脂総量を0.10質量%〜1.50質量%とし、マレイン酸変性樹脂を樹脂総量の3質量%〜40質量%の割合で含有させると、耐擦過性と光沢評価を両立させることができる。
次に、有機溶剤は、メタリック顔料と反応せず、好ましい有機溶剤は式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルである。
1 −(OC24n −OX2 式(1)
(上記式中、X1 およびX2 は、炭素数1〜4のアルキル基であり、同一でも異なってもよく、nは2〜4の整数である)
ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルの具体例は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテルである。
有機溶剤は、式(2)で表される環状エステル類溶剤をさらに含有し得る。
Figure 0005578971
(上記式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアルケニル基を示し、mは1〜3の整数を示す)
本発明で使用する環状エステル類溶剤の具体例は、五員環構造のγ‐ラクトン、六員環構造のδ‐ラクトン、七員環構造のε‐ラクトンである。好ましいラクトンは、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、γ‐カプロラクトン、γ‐カプリロラクトン、γ‐ラウロラクトン、δ‐バレロラクトン、δ‐ヘキサラクトン、δ‐ヘプタラクトン、ε‐カプロラクトンである。これらは単独で、または混合物として用いられる。特に好ましい環状エステル類溶剤は、5員環のγ‐ラクトン類であり、さらに好ましい環状エステル類溶剤は、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンである。環状エステル類溶剤の使用は、ポリ塩化ビニル基材に対する印刷品質をさらに改善する。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、少なくとも1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール又は糖類を含み得る。これら1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール又は糖類の合計量は、インク組成物中0.1質量%以上35質量%以下である。適切量のグリセリン、ポリアルキレングリコール又は糖類の使用は、インクの乾燥を抑え、目詰まりを防止しつつ、インクの吐出を安定化し、記録物の画像品質を良好にする。
ポリアルキレングリコールは、主鎖中にエーテル結合の繰り返し構造を有する線状高分子化合物であり、環状エーテルの開環重合等によって製造される。ポリアルキレングリコールの具体例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体およびその誘導体等である。ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれの共重合体も用いられる。
ポリアルキレングリコールの具体例は、式(3)で表されるポリアルキレングリコールある。
HO−(Cn2nO)m −H (3)
(上記式中、nは、1〜5の整数を表し、mは、1〜100の整数を表す)
糖類の具体例は、ペントース、ヘキトース、ヘプトース、オクトース等の単糖類;二糖類、三糖類、四糖類といった多糖類;またはこれらの誘導体である糖アルコール;デオキシ酸等の還元誘導体;アルドン酸、ウロン酸等の酸化誘導体;グリコセエン等の脱水誘導体;アミノ酸;チオ糖である。多糖類は広義の糖を指し、アルギン酸、デキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質を含む。
インク組成物は、下記のごとき界面活性剤を含み得る。界面活性剤の好ましい添加量は、インク組成物中の顔料の含有量に対して0.01質量%〜10質量%である。
界面活性剤の1つは、室温、大気圧下で液状の非イオン性ポリオキシエチレン誘導体である。非イオン性ポリオキシエチレン誘導体の具体例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類であるニッサンノニオンP−208(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンセチルエーテル類;ニッサンノニオンE−202S、E−205S(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンオレイルエーテル類;エマルゲン106、108(花王(株)製)等のポリオキシエチレンラウリルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類であるニッサンノニオンHS−204、HS−205、HS−206、HS−208(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル;ソルビタンモノエステル類であるニッサンノニオンCP−08R(日本油脂(株)製)等のソルビタンモノカプリレート;ニッサンノニオンLP−20R(日本油脂(株)製)等のソルビタンモノラウレート;ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル類であるニッサンノニオンOT−221(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンソルピタンモノステアレート類;フローレンG−70(共栄社化学(株)製)等のポリカルボン酸系高分子活性剤;エマルゲン707、709(花王(株)製)等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポエムJ−4581(理研ビタミン(株)製)等のテトラグリセリンオレート類;アデカトールNP−620、NP−650、NP−660、NP−675、NP−683、NP−686(旭電化工業(株)製)等のノニルフェノールエトキシレート;アデカコールCS−141E、TS−230E(旭電化工業(株)製)等の脂肪族リン酸エステル類;ソルゲン30(第一工業製薬(株)製等のソルビタンセスキオレート;ソルゲン40(第一工業製薬(株)製)等のソルビタンモノオレート;ソルゲンTW−20(第一工業製薬(株)製)等のポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート;ソルゲンTW−80(第一工業製薬(株)製)等のポリエチレングリコールソルビタンモノオレートである。
界面活性剤の別の具体例は、下記式(4)
Figure 0005578971
(式中、0≦p+q≦50、R41、R42、R43、R44はアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。)
で表されるアセチレングリコール系界面活性剤である。アセチレングリコール系界面活性剤の具体例は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールである。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品の具体例は、サーフイノール104、82、465、485、またはTG(いずれも Air Products and ChemicaIs.1nc.より入手可能)、オルフインSTG、オルフインE1010(日信化学社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(日本油脂(株)製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学(株)製)、エマルゲンA−90、A−60(花王(株)製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬(株)製)である。これらのポリオキシエチレン誘導体は単独または混合して添加される。
好ましいシリコーン系界面活性剤は、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンである。シリコーン系界面活性剤の具体例は、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、BYK−UV3570、BYK−UV3510、BYK−UV3530(ビックケミージャパン株式会社)である。
上記界面活性剤の使用は、インクジェット記録用油性インク組成物の記録媒体への濡れ性を改善し、速やかな定着性を実現する。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、有機溶剤、樹脂等の添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後、メタリック顔料分散液をインク溶媒中に添加して、更に室温・大気圧下、30分間、マグネティックスターラーにて混合・攪拌して得られる。金属蒸着膜積層体を一旦有機溶剤中で超音波処理して、メタリック顔料分散液とした後、必要なインク用有機溶剤と混合してもよい。金属蒸着膜積層体を直接インク用有機溶剤中で超音波処理してそのままインク組成物としてもよい。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物の好ましい20℃での粘度は2.6mPa・s〜4.5mPa・sである。当該粘度範囲のインクジェット記録用油性インク組成物は、金属光沢に優れる、インクジェット印刷に適したインク組成物となる。なお、インクの粘度は、落球式粘度計(アントンパール社製AMVn)にて測定される。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物の好ましい表面張力は20mN/m〜50mN/mである。表面張力が20mN/m未満になると、インク組成物がインクジェット記録用プリンタヘッドの表面に濡れ広がるか、又は滲み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがある。一方、表面張力が50mN/mを越えると、インクが記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができないことがある。
インク組成物を吐出する方法は、(1)静電吸引方式、(2)小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、(3)圧電素子(ピエゾ素子)を用いる方式、(4)熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であるが、高速印刷対応の観点からは、非加熱方式であるインク組成物を吐出する方式、即ち、上記(1)〜(3)の方法が好ましい。
記録媒体は特に制限されない。記録媒体の具体例は、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙、光沢紙)、ガラス、塩ビ等のプラスチックフィルム、基材にプラスチック又は受容層をコーティングしたフィルム、金属、プリント配線基板である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物が印刷された記録物は、60度鏡面光沢度が200以上の数値を示し、高い金属鏡面光沢を有する。光沢測定は、スガ試験機(株)製「デジタル変角光沢計 UVG−6P」で測定される。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、これらの実施例は本発明を明確にするためのものであり、本発明の範囲を限定しない。実施例及び比較例中の部、%は特に断らない限り、それぞれ、質量部、質量%とする。なお、アルミニウム顔料の平均厚み、50%平均粒子径及び粒度分布における最大粒子径は、シスメックス(株)製「FPIA−3000S」を使用して測定した。
アルミニウム顔料分散液1の調製
下記組成の塗工液1を厚み100μmのPETフイルム上にバーコート法で均一に塗布し、60℃で10分間乾燥し、剥離樹脂層を形成した。
剥離樹脂層塗工液1
セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学社製) 3%
ジエチレングリコールジエチルエーテル 97%
次に、(株)真空デバイス製「VE−1010方真空蒸着装置」を使用して、剥離樹脂層上に膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成して積層体を作製した。
得られた積層体をジエチレングリコールジエチルエーテル中に浸漬すると共に、(株)アズワン製「VS−150超音波分散機」を用いて剥離、粉砕、微分散処理を同時に12時間行い、アルミニウム顔料分散液を得た。得られたアルミニウム顔料分散液を開き目5μmのSUSメッシュフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した。次いで、ジエチレングリコールジエチルエーテルをエバポレーターにより濾液から留去した。その後、アルミニウム顔料分散液の濃度を調整し、アルミニウム顔料を5質量%含有するアルミニウム顔料分散液を調製した。当該アルミニウム顔料の平均厚みは20nm、50%平均粒子径は1.02μm、粒度分布における最大粒子径は5.7μmであった。
アルミニウム顔料分散液2の調製
下記組成の塗工液2を厚み100μmのPETフイルム上にスピンコート法(500rpm、5sec)で塗布した後、2000rpmで30秒回転させ、100℃で5分間乾燥し、剥離樹脂層を形成した。
剥離樹脂層塗工液2
PVA(ポリビニルアルコール、平均分子量10,000、ケン化度80%)3.3%
グリセリン 1.7%
イオン交換水 95.0%
次に、(株)真空デバイス製「VE−1010方真空蒸着装置」を使用して、剥離樹脂層上に膜厚70nmのアルミニウム蒸着層を形成して積層体を作製した。
得られた積層体をエタノール中に浸漬すると共に、(株)アズワン製「超音波分散機」を用いて剥離、粉砕、微分散処理を同時に12時間行い、アルミニウム顔料分散液を得た。アルミニウム顔料分散液を遠心分離機を用いて、遠心条件1000rpmで10分処理し、アルミニウム顔料を沈降分離した。さらに、ジエチレングリコールジエチルエーテルを用いて、アルミニウム顔料の洗浄操作と上記の遠心分離操作を2回繰り返すことでエタノールを除去し、アルミニウム顔料を5質量%含有するアルミニウム顔料分散液を調製した。当該アルミニウム顔料の平均厚みは70nm、50%平均粒子径は0.89μm、粒度分布における最大粒子径は3.2μmであった。
アルミニウム顔料分散液3の調製
下記組成の塗工液3を厚み100μmのPETフイルム上にスピンコート法(500rpm、5sec)で塗布した後、2000rpmで30秒回転させ、100℃で5分間乾燥し、剥離樹脂層を形成した。
剥離樹脂層塗工液3
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「エスレックBL−10」) 3%
グリセリン 2%
イソプロピルアルコール 95%
次に、(株)真空デバイス製「VE−1010方真空蒸着装置」を使用して、剥離樹脂層上に膜厚100nmのアルミニウム蒸着層を形成して積層体を作製した。
得られた積層体をイソプロピルアルコール中に浸漬すると共に、(株)アズワン製「超音波分散機」を用いて剥離、粉砕、微分散処理を同時に12時間行い、アルミニウム顔料分散液を得た。アルミニウム顔料分散液を遠心分離機を用いて、遠心条件1000rpmで10分処理し、アルミニウム顔料を沈降分離した。さらに、イソプロピルアルコールを用いて、アルミニウム顔料の洗浄操作と上記の遠心分離操作を2回繰り返すことでエタノールを除去し、アルミニウム顔料を5質量%含有するアルミニウム顔料分散液を調製した。当該アルミニウム顔料の平均厚みは100nm、50%平均粒子径は2.81μm、粒度分布における最大粒子径は8.39μmであった。
重合体1の作製
100℃に保たれたジエチレングリコールジエチルエーテル300部中に、メタクリル酸メチル198部とマレイン酸2部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8部との混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で2時間反応させた後、冷却して、無色透明のメタクリル酸メチルとマレイン酸との共重合体1の溶液を得た。共重合体1のガラス転移温度(Tg)は105℃であり、その重量平均分子量は18,000であった。
得られた共重合体1の分析には、樹脂溶液から樹脂のみをヘキサンにて精製したサンプルを使用した。東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」にて、ポリスチレンを標準としたゲル透過クロマトグラフ(GPC)により分子量測定を行った。ガラス転移温度(Tg)は、島津製作所(株)製「示差走査熱量計「DSC−50」にて測定された。
下記表1及び2の有機溶剤および樹脂を、同じく下記表1及び2に記載の添加量で混合・溶解し、インク溶媒とした後、アルミニウム顔料分散液1〜3をインク溶媒中に添加して、30分間、マグネティックスターラーにて混合・攪拌して本発明又は比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を得た。これらのインクジェット記録用油性インク組成物の粘度は、落球式粘度計(アントンパール社製AMVn)にて測定された。
各インク組成物をインクジェットプリンタ(MJ−8000C、セイコーエプソン社製)に充填し、ポリ塩化ビニルシート(LAGマウントP−223RW:リンテック社製)にて、印字モード:スーパーファイン専用紙にて印字物を作製した。得られた印字物の耐擦過性、光沢度の測定を下記の如くに行った。その結果も同様に表1及び2に示す。
耐擦過性
綿棒を水に浸し、3cm幅で20回擦った時に、綿棒に汚れが無ければA、あればBとした。
光沢度測定
スガ試験機(株)製「デジタル変角光沢計 UVG−6P」で60°の光沢値を測定し、光沢値が200以上であればA、200未満であればBとした。
なお、表1〜表4中、
1): 塩ビ・酢ビ・マレイン酸共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製)
2): 塩ビ・酢ビ・マレイン酸共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製)
3): 塩ビ・酢ビ・マレイン酸共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製)
4): セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製)
5): セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製)
6): ポリビニルアセタール(積水化学社製)
7): ポリビニルブチラール(積水化学社製)
8): アクリル系樹脂(ローム&ハース社製)
9): 塩ビ・酢ビ・ヒドロキシアルキルアクリレート(ダウ・ケミカル社製)
10): ポリエステル系樹脂(東洋紡社製)
11): ポリエステル系樹脂(東洋紡社製)
Figure 0005578971
Figure 0005578971
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、光沢性を維持しつつもその耐擦過性が良好なインク組成物である。

Claims (8)

  1. (a)メタリック顔料分散液由来の金属箔片を0.1質量%〜4.8質量%、(b)樹脂を0.10質量%〜1.50質量%、(c)有機溶剤を含有し、
    前記樹脂は、樹脂全量に対し3質量%〜40質量%のマレイン酸変性樹脂を含有する、インクジェット記録用油性インク組成物。
  2. 金属箔片が、アルミニウム又はアルミニウム加工顔料からなる金属箔片であり、該金属箔片の平均厚みが10nm〜200nm、50%平均粒子径が0.7μm〜4.0μm、粒度分布における最大粒子径が12μm以下である請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  3. マレイン酸変性樹脂が、マレイン酸変性された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、またはマレイン酸変性された(メタ)アクリル樹脂である請求項1又は2記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  4. 樹脂が、マレイン酸変性樹脂の他に、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、繊維素系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  5. 繊維素系樹脂がセルロースアセテートブチレートである請求項4記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  6. 有機溶剤が下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルである請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
    一般式(1) X1 −(OC24n −OX2
    (上記式中、X1 およびX2 は、炭素数1〜4のアルキル基であり、同一でも異なってもよく、nは2〜4の整数である)
  7. 有機溶剤として更に環状エステルを含有する請求項6記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
  8. 20℃での粘度が2.6mPa・s〜4.5mPa・sである請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
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