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JP5572981B2 - フッ素ガス生成装置 - Google Patents

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JP5572981B2 JP2009089444A JP2009089444A JP5572981B2 JP 5572981 B2 JP5572981 B2 JP 5572981B2 JP 2009089444 A JP2009089444 A JP 2009089444A JP 2009089444 A JP2009089444 A JP 2009089444A JP 5572981 B2 JP5572981 B2 JP 5572981B2
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Description

本発明は、フッ素ガス生成装置に関するものである。
従来のフッ素ガス生成装置として、電解槽を使用し、電気分解によってフッ素ガスを生成する装置が知られている。
特許文献1には、フッ化水素を含む溶融塩からなる電解浴中でフッ化水素を電解する電解槽を備え、陽極側の第1気相部分にフッ素ガスを主成分とするプロダクトガスを発生させると共に、陰極側の第2気相部分に水素ガスを主成分とする副生成ガスを発生させるフッ素ガス生成装置が開示されている。
この種のフッ素ガス生成装置では、電解槽の陽極から発生するフッ素ガスに溶融塩から気化したフッ化水素ガスが混入する。そのため、陽極から発生するガスからフッ化水素を分離してフッ素ガスを精製する必要がある。
特許文献2には、フッ素ガス成分とフッ素ガス成分以外の成分とを液体窒素等を用いて冷却し、双方の沸点の違いを利用してフッ素ガスを分離することが開示されている。
特開2004−43885号公報 特開2004−39740号公報
特許文献2に記載のように、沸点の違いを利用してフッ素ガス成分とフッ素ガス成分以外の成分とに分離する場合、冷却によって凝固したフッ素ガス成分以外の成分の凝固量が所定量以上となった場合には、その凝固した成分を取り除くために、フッ素ガス生成装置自体を停止させる必要があった。
フッ素ガス生成装置を停止してから再起動するまでには、凝固した成分を取り除くための時間、及びフッ素ガス生成装置を再起動させるための時間が必要であるため、相当の時間フッ素ガス生成装置を停止させなければならない。フッ素ガス生成装置の停止中は、フッ素ガスを消費する外部装置に対してフッ素ガスの供給ができない。
このように、沸点の違いを利用してフッ素ガス成分とフッ素ガス成分以外の成分とに分離する装置を用いる場合、外部装置に対してフッ素ガスを安定して供給できない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、外部装置へと安定してフッ素ガスを供給可能なフッ素ガス生成装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載した発明は、溶融塩中のフッ化水素を電気分解することによって、フッ素ガスを生成するフッ素ガス生成装置であって、溶融塩が貯留され、溶融塩に浸漬された陽極にて生成されたフッ素ガスが導かれる第1気室と、溶融塩に浸漬された陰極にて生成された水素ガスが導かれる第2気室とが溶融塩液面上に分離して区画された電解槽と、前記電解槽の溶融塩から気化して前記陽極から生成されたフッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを除去してフッ素ガスを精製する精製装置と、前記精製装置の動作を制御する制御手段と、を備え、前記精製装置は、少なくとも2つの系統を有し、フッ化水素ガスを含むフッ素ガスが流入するガス流入部と、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスが凝固する一方、フッ素ガスは前記ガス流入部を通過するように、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度で前記ガス流入部を冷却する冷却装置と、前記ガス流入部でのフッ化水素の蓄積状態を検出する蓄積状態検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記蓄積状態検出手段の検出結果に基づいて、待機状態の精製装置へとフッ素ガスが導かれるように前記精製装置の運転切り換えを行い、前記運転切り換えによって停止した精製装置の前記冷却装置による前記ガス流入部の冷却を停止し、当該ガス流入部の温度が上昇する過程において溶解したフッ化水素を当該ガス流入部から排出し、当該フッ化水素の排出後に当該冷却装置を動作させて当該ガス流入部の冷却を開始し、当該ガス流入部の冷却の過程において当該ガス流入部にフッ素ガスを供給することによって停止中の精製装置を待機状態とすることを特徴とする。
また、請求項2に記載した発明は、前記第1気室に接続され、前記電解槽の前記陽極にて生成されたフッ素ガスを外部装置へと供給するための第1メイン通路と、前記第1メイン通路に設けられ、フッ素ガスを貯留するための第1バッファタンクと、前記第1バッファタンクに接続された分岐通路と、前記分岐通路に設けられ、前記第1バッファタンクの内部圧力を制御する圧力調整弁と、前記圧力調整弁を通じて前記第1バッファタンクから排出されたフッ素ガスを貯留するための第2バッファタンクと、を備え、停止中の精製装置を待機状態とする場合には、前記ガス流入部に前記第2バッファタンクに貯留されたフッ素ガスを供給することを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも2つの系統を有する精製装置を備え、運転切り換えによって停止した精製装置は、ガス流入部からフッ化水素が排出された後、ガス流入部にフッ素ガスが供給されて待機状態となるため、いつでも運転できる状態となる。このため、運転中の精製装置において凝固したフッ化水素の蓄積量が多くなり、精製装置を停止させる場合でも、待機状態の精製装置を起動させることができる。したがって、フッ素ガス生成装置自体を停止させる必要がなく、外部装置へと安定してフッ素ガスを供給することができる。
本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置の系統図である。 精製装置の系統図である。 精製装置のインナーチューブ内の圧力と温度の時間変化を示すグラフ図であり、実線が圧力を示し、一点鎖線が温度を示す。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置100について説明する。
フッ素ガス生成装置100は、電気分解によってフッ素ガスを生成し、生成されたフッ素ガスを外部装置4へと供給するものである。外部装置4としては、例えば、半導体製造装置であり、その場合、フッ素ガスは、例えば、半導体の製造工程においてクリーニングガスとして使用される。
フッ素ガス生成装置100は、電気分解によってフッ素ガスを生成する電解槽1と、電解槽1から生成したフッ素ガスを外部装置4へと供給するフッ素ガス供給系統2と、フッ素ガスの生成に伴って生成された副生成ガスを処理する副生成ガス処理系統3とを備える。
まず、電解槽1について説明する。
電解槽1には、フッ化水素(HF)を含む溶融塩が貯留される。本実施の形態では、溶融塩として、フッ化水素とフッ化カリウム(KF)の混合物(KF・2HF)が用いられる。
電解槽1内は、溶融塩中に浸漬された区画壁6によって陽極室11と陰極室12とに区画される。陽極室11及び陰極室12のそれぞれには、陽極7及び陰極8が浸漬され、陽極7と陰極8の間に電源9から電流が供給されることによって、陽極7ではフッ素ガス(F2)が生成され、陰極8では副生成ガスとして水素ガス(H2)が生成される。本実施の形態では、陽極7には炭素電極が用いられ、陰極8には軟鉄、モネル、又はニッケルが用いられる。
電解槽1内の溶融塩液面上には、陽極7にて生成されたフッ素ガスが導かれる第1気室11aと、陰極8にて生成された水素ガスが導かれる第2気室12aとが互いのガスが行き来不能に区画壁6によって区画される。生成したフッ素ガスと水素ガスとが混触して反応するのを防ぐため、陽極室11と陰極室12の気室は区画壁6によって完全に分離される。これに対して、陽極室11と陰極室12の溶融塩は、区画壁6によって分離されずに連通している。
KF・2HFの融点は71.7℃であるため、溶融塩の温度は90〜100℃に調節される。電解槽1の陽極7及び陰極8から生成したフッ素ガス及び水素ガスのそれぞれには、溶融塩からフッ化水素が蒸気圧分だけ気化して混入する。このように、陽極7にて生成され第1気室11aに導かれるフッ素ガス及び陰極8にて生成され第2気室12aに導かれる水素ガスのそれぞれには、フッ化水素ガスが含まれている。
電解槽1には、第1気室11aの圧力を検出する第1圧力計13と、第2気室12aの圧力を検出する第2圧力計14とが設けられる。第1圧力計13及び第2圧力計14の検出結果はコントローラ10a,10bに出力される。
次に、フッ素ガス供給系統2について説明する。
第1気室11aには、フッ素ガスを外部装置4へと供給するための第1メイン通路15が接続される。
第1メイン通路15には、第1気室11aからフッ素ガスを導出して搬送する第1ポンプ17が設けられる。第1ポンプ17には、ベローズポンプやダイアフラムポンプ等の容積型ポンプが用いられる。第1メイン通路15には、第1ポンプ17の吐出側と吸込側を接続する第1還流通路18が接続される。第1還流通路18には、第1ポンプ17から吐出されたフッ素ガスを第1ポンプ17の吸込側へと戻すための第1圧力調整弁19が設けられる。
第1圧力調整弁19は、コントローラ10aから出力される信号によって開度が制御される。具体的には、コントローラ10aは、第1圧力計13の検出結果に基づいて、第1気室11aの圧力が予め定められた設定値となるように、第1圧力調整弁19の開度を制御する。
なお、図1では、第1還流通路18の下流端は、第1メイン通路15における第1ポンプ17近傍に接続されているが、第1還流通路18の下流端を第1気室11aに接続するようにしてもよい。つまり、第1ポンプ17から吐出されたフッ素ガスを第1気室11a内へと戻すようにしてもよい。
第1メイン通路15における第1ポンプ17の上流には、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを除去してフッ素ガスを精製する精製装置16が設けられる。精製装置16は、フッ素とフッ化水素との沸点の違いを利用して、フッ素ガスからフッ化水素ガスを分離して取り除く装置である。精製装置16は、並列に設けられた第1精製装置16aと第2精製装置16bの2つの系統からなり、いずれか一方の系統のみをフッ素ガスが通過するように切り換えられる。つまり、第1精製装置16a及び第2精製装置16bのうち一方が運転状態である場合には、他方は停止又は待機状態となる。
第1メイン通路15における第1ポンプ17の下流には、第1ポンプ17によって搬送されたフッ素ガスを貯留するための第1バッファタンク21が設けられる。第1バッファタンク21に貯留されたフッ素ガスは外部装置4へと供給される。第1バッファタンク21の下流には、外部装置4へと供給されるフッ素ガスの流量を検出する流量計26が設けられる。流量計26の検出結果はコントローラ10cに出力される。コントローラ10cは、流量計26の検出結果に基づいて、電源9から陽極7と陰極8の間に供給される電流値を制御する。具体的には、外部装置4へと供給されたフッ素ガスを補充するように、陽極7におけるフッ素ガスの生成量を制御する。
このように、外部装置4へと供給されたフッ素ガスは補充されるように制御されるため、第1バッファタンク21の内部圧力は大気圧よりも高い圧力に維持される。これに対して、フッ素ガスが使用される外部装置4側は大気圧であるため、外部装置4に設けられるバルブを開弁すれば、第1バッファタンク21と外部装置4との間の圧力差によって、第1バッファタンク21から外部装置4へとフッ素ガスが供給されることになる。
第1バッファタンク21には分岐通路22が接続され、分岐通路22には第1バッファタンク21の内部圧力を制御する圧力調整弁23が設けられる。また、第1バッファタンク21には、内部圧力を検出する圧力計24が設けられる。圧力計24の検出結果はコントローラ10dに出力される。コントローラ10dは、第1バッファタンク21の内部圧力が予め定められた設定値、具体的には1.0MPaを超えた場合には圧力調整弁23を開弁し、第1バッファタンク21内のフッ素ガスを排出する。このように、圧力調整弁23は、第1バッファタンク21の内部圧力が所定圧力を超えないように制御する。
分岐通路22における圧力調整弁23の下流には、第1バッファタンク21から排出されたフッ素ガスを貯留するための第2バッファタンク50が設けられる。つまり、第1バッファタンク21の内部圧力が所定圧力を超えた場合には、圧力調整弁23を通じて第1バッファタンク21内のフッ素ガスが排出され、その排出されたフッ素ガスが第2バッファタンク50に導かれる。第2バッファタンク50は、第1バッファタンク21と比較して容積が小さい。分岐通路22における第2バッファタンク50の下流には、第2バッファタンク50の内部圧力を制御する圧力調整弁51が設けられる。また、第2バッファタンク50には、内部圧力を検出する圧力計52が設けられる。圧力計52の検出結果はコントローラ10fに出力される。コントローラ10fは、第2バッファタンク50の内部圧力が予め定められた設定値となるように圧力調整弁51の開度を制御する。第2バッファタンク50から圧力調整弁51を通じて排出されたフッ素ガスは、除害部53にて無害化されて放出される。このように、圧力調整弁51は、第2バッファタンク50の内部圧力が設定値となるように制御する。第2バッファタンク50には、フッ素ガスを精製装置16へと供給するフッ素ガス供給通路54が接続される。
次に、副生成ガス処理系統3について説明する。
第2気室12aには、水素ガスを外部へと排出するための第2メイン通路30が接続される。
第2メイン通路30には、第2気室12aから水素ガスを導出して搬送する第2ポンプ31が設けられる。また、第2メイン通路30には、第2ポンプ31の吐出側と吸込側を接続する第2還流通路32が接続される。第2還流通路32には、第2ポンプ31から吐出された水素ガスを第2ポンプ31の吸込側へと戻すための第2圧力調整弁33が設けられる。
第2圧力調整弁33は、コントローラ10bから出力される信号によって開度が制御される。具体的には、コントローラ10bは、第2圧力計14の検出結果に基づいて、第2気室12aの圧力が予め定められた設定値となるように、第2圧力調整弁33の開度を制御する。
このように、第1気室11a及び第2気室12aの圧力は、それぞれ第1圧力調整弁19及び第2圧力調整弁33によって予め定められた設定値となるように制御される。第1気室11a及び第2気室12aの設定圧力は、第1気室11aの溶融塩の液面と第2気室12aの溶融塩の液面との液面差が生じないように、同等の圧力に制御するのが望ましい。
第2メイン通路30における第2ポンプ31の下流には除害部34が設けられ、第2ポンプ31にて搬送された水素ガスは除害部34にて無害化されて放出される。
フッ素ガス生成装置100は、電解槽1の溶融塩中にフッ素ガスの原料であるフッ化水素を供給する原料供給系統5も備える。原料供給系統5について説明する。
電解槽1には、フッ化水素供給源40から供給されるフッ化水素を電解槽1の溶融塩中に導く原料供給通路41が接続される。原料供給通路41には、フッ化水素の供給流量を制御するための流量制御弁42が設けられる。
電源9には、陽極7と陰極8の間に供給された電流を積算する電流積算計43が取り付けられる。電流積算計43にて積算された電流は、コントローラ10eに出力される。コントローラ10eは、電流積算計43から入力された信号に基づいて、流量制御弁42を開閉させて溶融塩中に導くフッ化水素の供給流量を制御する。具体的には、溶融塩中で電気分解されたフッ化水素を補給するように、フッ化水素の供給流量を制御する。さらに具体的には、溶融塩中のフッ化水素の濃度が所定の範囲内となるようにフッ化水素の供給流量を制御する。
また、原料供給通路41には、キャリアガス供給源45から供給されるキャリアガスを原料供給通路41内に導くキャリアガス供給通路46が接続される。キャリアガス供給通路46には、キャリアガスの供給と遮断を切り換える遮断弁47が設けられる。キャリアガスは、フッ化水素を溶融塩中に導くためのガスであり、本実施の形態では、不活性ガスである窒素ガスが用いられる。フッ素ガス生成装置100の運転時には、遮断弁47は原則開状態であり、窒素ガスは電解槽1の陰極室12の溶融塩中に供給される。窒素ガスは、溶融塩中にはほとんど溶けず、第2気室12aから副生成ガス処理系統3を通じて排出される。
このように、電解槽1の溶融塩中には窒素ガスが供給されるため、その窒素ガスによって電解槽1の溶融塩液面レベルが押し上げられるおそれがある。そこで、電解槽1に液面レベルを検出する液面計を設けた上で、電解槽1の溶融塩液面レベルに変動可能幅を設定し、溶融塩液面レベルが変動可能幅内に収まるように、遮断弁47を開閉制御するようにしてもよい。つまり、電解槽1の溶融塩液面レベルが変動可能幅の上限に達した場合には、遮断弁47を閉弁するようにしてもよい。
なお、遮断弁47に代わり、窒素ガスの流量を制御可能流量制御弁を設けるようにしてもよい。
次に、以上のように構成されるフッ素ガス生成装置100の全体制御について説明する。
外部装置4にて使用されるフッ素ガスの流量は、第1バッファタンク21と外部装置4との間に設けられる流量計26によって検出される。その流量計26の検出結果に基づいて、陽極7と陰極8の間に印加される電圧が制御され、陽極7におけるフッ素ガスの生成量が制御される。電気分解されることによって減少した溶融塩中のフッ化水素は、フッ化水素供給源40から補給される。
このように、溶融塩中のフッ化水素は、外部装置4にて使用されるフッ素ガス量に応じて補給されるように制御されるため、通常、溶融塩の液面レベルが大きく変化することはない。しかし、外部装置4におけるフッ素ガスの使用量が急激に変化した場合や、副生成ガス処理系統3にて水素ガスの圧力が急激に変化した場合には、第1気室11a及び第2気室12aの圧力が大きく変化し、陽極室11及び陰極室12の液面レベルが大きく変動してしまう。陽極室11及び陰極室12の液面レベルが大きく変動し、液面レベルが区画壁6よりも下方に下がった場合には、第1気室11aと第2気室12aとが連通してしまう。その場合には、フッ素ガスと水素ガスが混触し反応を起こす。
そこで、陽極室11及び陰極室12の液面レベルの変動を抑制するため、第1気室11a及び第2気室12aの圧力は、それぞれ第1圧力計13及び第2圧力計14の検出結果に基づいて、予め定められた設定値となるように制御される。このように、陽極室11及び陰極室12の液面レベルは、第1気室11a及び第2気室12aの圧力を一定に保つことによって制御される。
次に、図2を参照して、精製装置16について説明する。
第1精製装置16aと第2精製装置16bとは同じ構成であるため、以下では、第1精製装置16aを中心に説明し、第2精製装置16bについては第1精製装置16aと同一の構成には同じ符号を付して説明を省略する。なお、第1精製装置16aの構成には符号に「a」を付し、第2精製装置16bの構成には符号に「b」を付して区別する。
第1精製装置16aは、フッ化水素ガスを含むフッ素ガスが流入するガス流入部としてのインナーチューブ61aと、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスが凝固する一方、フッ素ガスはインナーチューブ61aを通過するように、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度でインナーチューブ61aを冷却する冷却装置70aとを備える。
インナーチューブ61aは、有底筒状部材であり、上部開口は蓋部材62aにて封止される。インナーチューブ61aの蓋部材62aには、インナーチューブ61a内に陽極7にて生成されたフッ素ガスを導く入口通路63aが接続される。入口通路63aは、第1メイン通路15が2つに枝分かれしたうちの一方であり、他方の入口通路63bは、第2精製装置16bのインナーチューブ61bに接続される。入口通路63aには、インナーチューブ61aへのフッ素ガスの流入を許容又は遮断する入口弁64aが設けられる。
インナーチューブ61aの蓋部材62aの内面には、インナーチューブ61a内に下垂して設けられた導管67aが連結される。導管67aは、下端開口部がインナーチューブ61aの底部近傍に位置する長さに形成される。導管67aの上端部は、蓋部材62aに接続されインナーチューブ61aからフッ素ガスを排出するための出口通路65aに接続される。したがって、インナーチューブ61a内のフッ素ガスは、導管67a及び出口通路65aを通じて外部へと流出する。出口通路65aには、インナーチューブ61aからのフッ素ガスの流出を許容又は遮断する出口弁66aが設けられる。出口通路65aは、第2精製装置16bの出口通路65bと合流して第1ポンプ17につながっている。
このように、陽極7にて生成されたフッ素ガスは、入口通路63aを通じてインナーチューブ61aに流入し、導管67a及び出口通路65aを通じてインナーチューブ61aから流出する。
第1精製装置16aが運転状態である場合には、入口弁64a及び出口弁66aは開状態であり、第1精製装置16aが停止又は待機状態である場合には、入口弁64a及び出口弁66aは閉状態となる。
インナーチューブ61aには、内部温度を検出する温度計68aが蓋部材62aを挿通して設けられる。また、入口通路63aには、インナーチューブ61aの内部圧力を検出する圧力計69aが設けられる。
冷却装置70aは、インナーチューブ61aを部分的に収容可能であり、内部に冷却媒体としての液体窒素を貯留可能なジャケットチューブ71aと、ジャケットチューブ71aに対して液体窒素を給排する液体窒素給排系統72aとを備える。
ジャケットチューブ71aは、有底筒状部材であり、上部開口は蓋部材73aにて封止される。インナーチューブ61aは、上部側が蓋部材73aから突出した状態で、ジャケットチューブ71a内に同軸的に収容される。具体的には、インナーチューブ61aの8〜9割程度がジャケットチューブ71a内に収容される。
次に、液体窒素給排系統72aについて説明する。
ジャケットチューブ71aの蓋部材73aには、液体窒素供給源76から供給される液体窒素をジャケットチューブ71a内に導く液体窒素供給通路77aが接続される。ジャケットチューブ71aの蓋部材73aの内面には、ジャケットチューブ71a内に下垂して設けられた導管82aが連結され、導管82aの上端部は液体窒素供給通路77aに接続される。したがって、液体窒素供給源76から供給される液体窒素は、液体窒素供給通路77a及び導管82aを通じてジャケットチューブ71a内に導かれる。導管82aは、下端開口部がジャケットチューブ71aの底部近傍に位置する長さに形成される。
液体窒素供給通路77aには、液体窒素の供給流量を制御するための流量制御弁78aが設けられる。液体窒素供給通路77aにおける流量制御弁78aの下流には、ジャケットチューブ71aの内部圧力を検出する圧力計80aが設けられる。
ジャケットチューブ71a内は、液体窒素と気化した窒素ガスとの2層からなり、液体窒素の液面レベルは、蓋部材73aを挿通して設けられた液面計74aによって検出される。
ジャケットチューブ71aの蓋部材73aには、ジャケットチューブ71a内の窒素ガスを排出するための窒素ガス排出通路79aが接続される。窒素ガス排出通路79aには、ジャケットチューブ71aの内部圧力を制御するための圧力調整弁81aが設けられる。圧力調整弁81aは、圧力計80aの検出結果に基づいて、ジャケットチューブ71aの内部圧力が予め定められた所定圧力となるように制御する。この所定圧力は、ジャケットチューブ71a内の液体窒素の温度がフッ素の沸点(−188℃)以上かつフッ化水素の融点(−84℃)以下の温度となるように決定される。具体的には、ジャケットチューブ71a内の液体窒素の温度が−180℃程度となるように、0.4MPaに設定される。このように、圧力調整弁81aは、ジャケットチューブ71a内の液体窒素の温度が−180℃程度に維持されるように、ジャケットチューブ71aの内部圧力を0.4MPaに制御する。圧力調整弁81aを通じて排出された窒素ガスは、外部へと放出される。
ジャケットチューブ71a内の液体窒素が気化して外部へ放出されることによって、ジャケットチューブ71a内の液体窒素は減少する。そこで、流量制御弁78aは、液面計74aの検出結果に基づいて、ジャケットチューブ71a内の液体窒素の液面レベルが一定に維持されるように、液体窒素供給源76からジャケットチューブ71aへの液体窒素の供給流量を制御する。
なお、ジャケットチューブ71aと外部との熱伝達を抑制するために、ジャケットチューブ71aの外側に、保温用の断熱材や真空断熱層を設けるようにしてもよい。
インナーチューブ61aは、ジャケットチューブ71aによって、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度に冷却されるため、インナーチューブ61a内ではフッ素ガスに混入したフッ化水素のみが凝固し、フッ素ガスはインナーチューブ61aを通過する。インナーチューブ61a内には電解槽1からフッ素ガスが連続的に導かれるため、インナーチューブ61a内では、時間の経過と共に凝固したフッ化水素が蓄積されていく。凝固したフッ化水素の蓄積量が所定量に達した場合には、第1精製装置16aの運転を停止すると共に、待機状態の第2精製装置16bを起動し、精製装置16の運転切り換えを行う。運転切り換えについては、後に詳述する。
凝固したフッ化水素の蓄積量が所定量に達したか否かは、インナーチューブ61aの入口通路63aと出口通路65aとに渡って設けられた差圧計86aの検出結果、つまり、インナーチューブ61aの入口と出口の差圧に基づいて判定される。インナーチューブ61aの入口と出口の差圧が所定値に達した場合には、インナーチューブ61a内での凝固したフッ化水素の蓄積量が所定量に達したと判断して、第1精製装置16aを停止させる。差圧計86aは、インナーチューブ61aでのフッ化水素の蓄積状態を検出する蓄積状態検出手段に該当する。なお、差圧計に代わり、圧力計69aにてインナーチューブ61aでのフッ化水素の蓄積状態を検出するようにしてもよい。
第1精製装置16aの停止は、インナーチューブ61aの入口弁64aと出口弁66aとを閉弁することによって行う。第1精製装置16aの停止後は、インナーチューブ61a内に蓄積された凝固したフッ化水素を排出して、第1精製装置16aを待機状態にする必要がある。つまり、第1精製装置16aの再生工程を行う必要がある。
次に、第1精製装置16aの再生工程を行う系統について説明する。
ジャケットチューブ71aの底部には、ジャケットチューブ71aの液体窒素を外部のタンク90aへと排出可能な排出弁91aが設けられる。また、液体窒素供給通路77aにおける流量制御弁78aの下流には、窒素ガス供給源92から供給される窒素ガスをジャケットチューブ71a内に導く窒素ガス供給通路93aが接続される。窒素ガス供給通路93aには、ジャケットチューブ71aへの窒素ガスの供給と遮断を切り換える遮断弁94aが設けられる。窒素ガス供給源92からジャケットチューブ71aへの窒素ガスの供給は、排出弁91aが全開かつ流量制御弁78aが全閉の状態で行われる。窒素ガスは常温のガスが用いられる。
このように、ジャケットチューブ71aでは、液体窒素を排出しつつ、内部に常温の窒素ガスが供給される。これにより、インナーチューブ61aの温度が上昇し、これに伴い凝固していたフッ化水素は溶解する。
入口通路63aにおける入口弁64aの下流には、溶解したフッ化水素を外部へと排出するための排出通路95aが接続される。排出通路95aには、ジャケットチューブ71a内の溶解したフッ化水素を吸い込み搬送するための排出ポンプ96が設けられ、排出ポンプ96の上流には、フッ化水素の排出時に開弁する排出弁97aが設けられる。また、排出通路95aにおける排出ポンプ96の下流には除害部98が設けられ、排出ポンプ96にて搬送されたフッ化水素は除害部98にて無害化されて放出される。
出口通路65aにおける出口弁66aの上流には、窒素ガス供給源92から供給される窒素ガスをインナーチューブ61a内に導く窒素ガス供給通路99aが接続される。窒素ガス供給通路99aには、インナーチューブ61aへの窒素ガスの供給と遮断を切り換える遮断弁87aが設けられる。窒素ガス供給源92からインナーチューブ61aへの窒素ガスの供給は、排出弁97aが全開かつ排出ポンプ96が起動状態で行われる。
このように、インナーチューブ61aでは、内部に常温の窒素ガスを供給しつつ、溶解したフッ化水素が排出ポンプ96によって吸い込まれる。これにより、インナーチューブ61a内のフッ化水素が排出される。排出ポンプ96によるインナーチューブ61a内の排気は、圧力計69aによって検出されるインナーチューブ61aの内部圧力が大気圧以下となるまで行われる。
なお、排出ポンプ96によって排出されたインナーチューブ61a内のフッ化水素は、フッ化水素供給源40に戻して利用するようにしてもよい。
インナーチューブ61a内のフッ化水素を排出した後、インナーチューブ61a内へのフッ素ガスの充填が行われる。これは、第2精製装置16bが運転中である場合において、インナーチューブ61b内での凝固したフッ化水素の蓄積量が所定量に達した場合には、速やかに第1精製装置16aへと切り換えられるようにするためである。
インナーチューブ61a内へのフッ素ガスの充填は、第2バッファタンク50に接続され下流端部が入口通路63aにおける入口弁64aの下流に接続されたフッ素ガス供給通路54を通じて行われる。フッ素ガス供給通路54には、インナーチューブ61a内へのフッ素ガスの充填時に開弁する遮断弁88aが設けられる。
第2バッファタンク50の内部圧力は、圧力調整弁51によって大気圧よりも高い圧力に制御されるため、第2バッファタンク50とインナーチューブ61aとの差圧によって、第2バッファタンク50に貯留されたフッ素ガスはインナーチューブ61aへと供給されることになる。このように、インナーチューブ61a内へのフッ素ガスの充填は、第2バッファタンク50に貯留されたフッ素ガスが用いられる。
次に、以上のように構成される精製装置16の動作について説明する。以下の精製装置16の動作はフッ素ガス生成装置100に搭載される制御手段としてのコントローラ(図示せず)によって制御される。コントローラは、温度計68a,圧力計69a,液面計74a,圧力計80a,及び差圧計86aの検出結果に基づいて、各弁及び各ポンプの動作を制御する。
第1精製装置16aが運転状態、第2精製装置16bが待機状態である場合について説明する。第1精製装置16aでは、インナーチューブ61aの入口弁64a及び出口弁66aが開状態であり、インナーチューブ61a内には電解槽1からフッ素ガスが連続的に導かれた状態である。これに対して、第2精製装置16bでは、インナーチューブ61bの入口弁64b及び出口弁66bが閉状態であり、インナーチューブ61b内にはフッ素ガスが充填された状態である。このように、電解槽1にて生成されたフッ素ガスは第1精製装置16aのみに供給される。
以下では、運転状態である第1精製装置16aについて説明する。
第1精製装置16aのジャケットチューブ71aには液体窒素供給通路77aを通じて導かれた液体窒素が貯留され、その液体窒素によってインナーチューブ61aが冷却される。ジャケットチューブ71aの内部圧力は圧力調整弁81aによって0.4MPaに制御される。これにより、ジャケットチューブ71a内の液体窒素の温度は、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度である−180℃程度に維持されるため、インナーチューブ61aではフッ化水素のみが凝固し、フッ素ガスはインナーチューブ61aを通過して第1ポンプ17にて第1バッファタンク21へと搬送される。
ここで、電解槽1にて生成されたフッ素ガスは、入口通路63aを通じてインナーチューブ61aに流入し、導管67a及び出口通路65aを通じてインナーチューブ61aから流出する。導管67aの下端開口部はインナーチューブ61aの底部近傍に位置するため、フッ素ガスは、インナーチューブ61aの上部から流入し、インナーチューブ61aの下部から流出することになる。したがって、フッ素ガスは、インナーチューブ61a内を通過する間に十分に冷却されるため、フッ素ガス中のフッ化水素を確実に凝固させ、フッ化水素を完全に取り除くことができる。
インナーチューブ61a内には電解槽1からフッ素ガスが連続的に導かれるため、そのフッ素ガスを冷却するジャケットチューブ71a内の液体窒素も連続的に気化する。気化した窒素ガスは、圧力調整弁81aを通じて外部へと放出される。
インナーチューブ61a内にて凝固したフッ化水素の蓄積量が増加し、差圧計86aによって検出されたインナーチューブ61aの入口と出口の差圧が所定値に達した場合には、第1精製装置16aの運転を停止すると共に、待機状態の第2精製装置16bを起動し、精製装置16の運転切り換えが行われる。第1精製装置16aでは、運転停止後、再生工程が行われる。
以下では、図3も参照して、第1精製装置16aから第2精製装置16bへの運転切り換えと、第1精製装置16aでの再生工程について説明する。図3は、第1精製装置16aのインナーチューブ61a内の圧力と温度の時間変化を示すグラフ図であり、実線が圧力を示し、一点鎖線が温度を示す。図3に示す圧力は圧力計69aによって検出されたものであり、温度は温度計68aによって検出されたものである。
図3に示すように、インナーチューブ61a内にて凝固したフッ化水素の蓄積量が増加すると、インナーチューブ61aの内部圧力が上昇する。そして、インナーチューブ61aの内部圧力が所定圧力(Ph)に達し、差圧計86aによって検出されたインナーチューブ61aの入口と出口の差圧が所定値に達すると、第1精製装置16aから第2精製装置16bへの運転切り換えが行われる(時間t1)。具体的には、第2精製装置16bのインナーチューブ61bの入口弁64b及び出口弁66bが開弁された後、第1精製装置16aのインナーチューブ61aの入口弁64a及び出口弁66aが閉弁される。これにより、第2精製装置16bが起動すると共に、第1精製装置16aは停止し、電解槽1からのフッ素ガスは第2精製装置16bへと導かれる。
停止した第1精製装置16aでは、ジャケットチューブ71aからの液体窒素の排出が行われる。具体的には、液体窒素供給通路77aの流量制御弁78aが全閉されてジャケットチューブ71aへの液体窒素の供給が停止された後に、排出弁91aが全開されて液体窒素が排出される。その後、窒素ガス供給通路93aの遮断弁94aが開弁されてジャケットチューブ71aへ常温の窒素ガスが供給される。これにより、図3に示すように、インナーチューブ61内の温度は、常温程度まで上昇し、インナーチューブ61内のフッ化水素が溶解する。
インナーチューブ61内の温度が上昇する過程で、排出通路95aの排出弁97aが開弁されて排出ポンプ96が起動する。これにより、インナーチューブ61内の溶解したフッ化水素は排出ポンプ96によって吸い込まれて除害部98へと搬送される。また、これと同時に、窒素ガス供給通路99aの遮断弁87aが開弁されてインナーチューブ61内に常温の窒素ガスが供給される。このように、インナーチューブ61aでは、内部に常温の窒素ガスを供給しつつ、溶解したフッ化水素の排出が行われる。インナーチューブ61aの内部圧力が大気圧以下の所定圧力(Pl)まで低下した場合には(時間t2)、インナーチューブ61a内のフッ化水素の排出が完了したと判断され、排出通路95aの排出弁97a及び窒素ガス供給通路99aの遮断弁87aが全閉となる。以上にて、インナーチューブ61a内のフッ化水素の排出が完了する。
インナーチューブ61a内のフッ化水素の排出が完了した後は、第1精製装置16aを待機状態とすべく、ジャケットチューブ71a内に液体窒素が供給されると共に、インナーチューブ61内にフッ素ガスが供給される。具体的には、排出弁91a及び窒素ガス供給通路93aの遮断弁94aが全閉の状態で、液体窒素供給通路77aの流量制御弁78aが再び開弁されてジャケットチューブ71a内に液体窒素が供給される(時間t3)。これにより、インナーチューブ61aの内部温度は低下する。ジャケットチューブ71aの内部圧力は圧力調整弁81aによって0.4MPaに制御されるため、インナーチューブ61aの内部温度は−180℃程度まで低下して維持される。また、インナーチューブ61aの内部温度の低下の過程で、フッ素ガス供給通路54の遮断弁88が開弁されてインナーチューブ61a内に第2バッファタンク50のフッ素ガスが供給される(時間t4)。インナーチューブ61a内へのフッ素ガスの供給によってインナーチューブ61aの内部圧力は上昇し、大気圧まで上昇した時点で遮断弁88が閉弁されてフッ素ガスの供給が停止する。このようにしてインナーチューブ61a内へのフッ素ガスの充填が行われる。以上にて、第1精製装置16aの再生工程が終了し、第1精製装置は待機状態となる(時間t5)。
このように、再生工程においてインナーチューブ61a内に供給されるフッ素ガスは、第2バッファタンク50のフッ素ガスが用いられる。第2バッファタンク50は、第1バッファタンク21の内部圧力を制御するのに伴って排出されたフッ素ガスを貯留するタンクである。つまり、再生工程では、従来は第1バッファタンク21から外部へと放出されていたフッ素ガスを第2バッファタンク50にて貯留し、その貯留したフッ素ガスが用いられる。このように、再生工程においてインナーチューブ61a内に供給されるフッ素ガスは、従来は外部へと放出されていたガスが用いられる。
以上のように、停止中の第1精製装置16aは、インナーチューブ61aが−180℃に冷却されると共に、インナーチューブ61a内にフッ素ガスが充填された待機状態である。したがって、運転中の第2精製装置16bにおけるインナーチューブ61bの入口と出口の差圧が所定値に達した場合には、第2精製装置16bの運転を停止すると共に、第1精製装置16aを速やかに起動し、精製装置16の運転切り換えを行うことができる。
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
精製装置16は、少なくとも2つの系統から構成され、運転切り換えによって停止した系統の精製装置16は、インナーチューブからフッ化水素が排出された後、フッ素ガスが供給されて待機状態となるため、いつでも運転できる状態となる。このため、運転中の系統の精製装置16において凝固したフッ化水素の蓄積量が多くなったことにより精製装置16を停止させる必要が生じた場合でも、待機状態の系統の精製装置16を速やかに起動させることができる。したがって、フッ素ガス生成装置100自体を停止させる必要がなく、外部装置4へと安定してフッ素ガスを供給することができる。
また、精製装置16の再生工程においてインナーチューブ61a,61b内に供給されるフッ素ガスは、従来は外部へと放出されていたフッ素ガスであるため、フッ素ガスを有効に利用することができる。また、再生工程にて、従来は外部へと放出されていたフッ素ガスを用いることによって、外部へのフッ素ガスの放出量が減り、除害部53にて処理するフッ素ガス量が減るため、除害部53の負荷を低減することができる。
以下に、上記実施の形態の他の形態について説明する。
以上の実施の形態は、再生工程で使用するフッ素ガスとして第2バッファタンク50に貯留されたガスを用いるものである。これに代わり、再生工程で使用するフッ素ガスとして、第1バッファタンク21に貯留されたフッ素ガスを用いるようにしてもよい。その場合には、フッ素ガス供給通路54は、第1バッファタンク21に接続される。ただ、この場合、第1バッファタンク21の圧力が変動し易くなり、外部装置4へと供給されるフッ素ガスの圧力が変動するおそれがある。したがって、上記実施の形態のように、再生工程で使用するフッ素ガスとして第2バッファタンク50に貯留されたフッ素ガスを用いる方が望ましい。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、精製装置16を3つ以上の系統から構成するようにしてもよい。
本発明は、フッ素ガスを生成する装置に適用することができる。
100 フッ素ガス生成装置
1 電解槽
2 フッ素ガス供給系統
3 副生成ガス処理系統
4 外部装置
5 原料供給系統
7 陽極
8 陰極
11a 第1気室
12a 第2気室
15 第1メイン通路
17 第1ポンプ
21 第1バッファタンク
22 分岐通路
50 第2バッファタンク
61a,61b インナーチューブ
64a,64b 入口弁
66a,66b 出口弁
68a,68b 温度計
69a,69b 圧力計
70a,70b 冷却装置
71a,71b ジャケットチューブ
72a,72b 液体窒素給排系統
74a,74b 液面計
76 液体窒素供給源
86a,86b 差圧計
92 窒素ガス供給源
96 排出ポンプ

Claims (2)

  1. 溶融塩中のフッ化水素を電気分解することによって、フッ素ガスを生成するフッ素ガス生成装置であって、
    溶融塩が貯留され、溶融塩に浸漬された陽極にて生成されたフッ素ガスが導かれる第1気室と、溶融塩に浸漬された陰極にて生成された水素ガスが導かれる第2気室とが溶融塩液面上に分離して区画された電解槽と、
    前記電解槽の溶融塩から気化して前記陽極から生成されたフッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを除去してフッ素ガスを精製する精製装置と、
    前記精製装置の動作を制御する制御手段と、を備え、
    前記精製装置は、少なくとも2つの系統を有し、
    フッ化水素ガスを含むフッ素ガスが流入するガス流入部と、
    フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスが凝固する一方、フッ素ガスは前記ガス流入部を通過するように、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度で前記ガス流入部を冷却する冷却装置と、
    前記ガス流入部でのフッ化水素の蓄積状態を検出する蓄積状態検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記蓄積状態検出手段の検出結果に基づいて、待機状態の精製装置へとフッ素ガスが導かれるように前記精製装置の運転切り換えを行い、
    前記運転切り換えによって停止した精製装置の前記冷却装置による前記ガス流入部の冷却を停止し、当該ガス流入部の温度が上昇する過程において溶解したフッ化水素を当該ガス流入部から排出し、当該フッ化水素の排出後に当該冷却装置を動作させて当該ガス流入部の冷却を開始し、当該ガス流入部の冷却の過程において当該ガス流入部にフッ素ガスを供給することによって停止中の精製装置を待機状態とすることを特徴とするフッ素ガス生成装置。
  2. 前記第1気室に接続され、前記電解槽の前記陽極にて生成されたフッ素ガスを外部装置へと供給するための第1メイン通路と、
    前記第1メイン通路に設けられ、フッ素ガスを貯留するための第1バッファタンクと、
    前記第1バッファタンクに接続された分岐通路と、
    前記分岐通路に設けられ、前記第1バッファタンクの内部圧力を制御する圧力調整弁と、
    前記圧力調整弁を通じて前記第1バッファタンクから排出されたフッ素ガスを貯留するための第2バッファタンクと、を備え、
    停止中の精製装置を待機状態とする場合には、前記ガス流入部に前記第2バッファタンクに貯留されたフッ素ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載のフッ素ガス生成装置。
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