以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置たる複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。図1に示すように、この複写機は、原稿MSの画像を読み取るための画像読取装置たる原稿搬送読取ユニット1と、原稿搬送読取ユニット1で取得された画像データを基に画像形成を行う画像形成手段たる画像形成ユニット2と、画像形成ユニット2に記録材たる転写紙を給紙する給紙ユニット30とを備えている。
はじめに、上記画像形成ユニット2の構成について説明する。図2は、画像形成ユニットの内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。図1及び図2に示すように、上記画像形成ユニット2は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K、Y、M、Cを備えている。以下添字K、Y、M、Cはブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色をそれぞれ示す。このプロセスユニット3K、Y、M、Cは、それぞれ各色のトナー像を担持する像担持体である感光体4K、Y、M、Cを備えている。これら各感光体4K、Y、M、Cの周囲には、各感光体4表面を一様に帯電する帯電装置5K、Y、M、Cや、各感光体4表面に形成される静電潜像を現像する現像装置6K、Y、M、Cや、トナー像転写後の各感光体4表面をクリーニングする感光体クリーニング装置7K、Y、M、C等を備えている。プロセスユニット3K、Y、M、Cは、それぞれ、感光体4K、Y、M、Cとその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成ユニット2本体に対して着脱可能になっている。
また、画像形成ユニット2は、各感光体4K、Y、M、Cの一様に帯電された表面に画像情報に応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する光書込装置8を備えている。光書込装置8は、レーザ光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、所定の露光位置において画像データに基づき回転駆動されている各感光体4K、Y、M、Cの表面にレーザ光を主走査方向に走査しながら照射する。
また、画像形成ユニット2は、感光体4K、Y、M、Cに形成されたトナー画像を中間転写ベルト9を介して転写紙に転写する転写ユニット10、転写紙上のトナー像を定着せしめる定着装置20等備えている。
上記転写ユニット10は、複数のローラにより張架されて図中矢印方向に回転駆動する中間転写ベルト9を備え、感光体4K、Y、M、Cと所定の電圧が印加される一次転写ローラ11K、Y、M、Cとの間に中間転写ベルト9を挟み込んで一次転写ニップを形成する。また、中間転写ユニット10は二次転写バックアップローラ12と所定の電圧が印加される二次転写ローラ13の間に中間転写ベルト9を挟み込んで二次転写ニップを形成している。さらに、中間転写ユニット10は、中間転写ベルト9上に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置14等も備えている。上記プロセスユニット3K、Y、M、Cで形成された感光体4K、Y、M、C上のトナー像は、一次転写ニップで中間転写ベルト9に順次重ね合わされて転写される。中間転写ベルト9上に転写された4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップで転写紙に一括転写されることになる。二次転写ニップを通過後に中間転写ベルト9上に残留する転写残トナーは、クリーニング装置14により除去される。
上記転写ユニット10の図中下方には、二次転写ローラ31と駆動ローラ15との間に、無端状の紙搬送ベルト16を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット17、レジストローラ対18、定着装置20等を備えている。レジストローラ対18は、後述する給紙ユニットにより給紙路19を経て供給された転写紙をローラ間に挟み込み、中間転写ベルト9上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップを通過してフルカラー画像が転写された転写紙は、中間転写ベルト9から離間して、紙搬送ベルト16に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置20へと搬送される。定着装置20に搬送された転写紙は、定着装置20内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置20から排紙ローラ対21に送られた後、機外へと排出される。
上記紙搬送ユニット17の図中下方には、スイッチバック装置22を備えている。スイッチバック装置22は、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙を、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えて反転させ、再び二次転写ニップに進入させる。
また、上記複写機の上記給紙ユニット30は、転写紙を複数枚重ねた紙束の状態で収容する給紙カセット31を多段備え、各給紙カセット31内の一番上の転写紙に給紙ローラ32を押し当てている。選択された給紙ローラ32が回転駆動せしめられると、一番上の転写紙が分離ローラ33で分離されて1枚ずつ給紙路34に向けて送り出される。この給紙路34に送り出された転写紙は、複数の搬送ローラ対35を経て画像形成ユニット2内の給紙路19に導かれ、レジストローラ対18のローラ間に挟み込まれる。
以上のように構成される画像形成ユニット2において、次のように画像形成が行われる。例えばブラック用のプロセスユニット3Kでは、帯電装置5Kにより一様に帯電された感光体4Kの表面に、光書込装置8で変調及び偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体4K上の静電潜像は、現像装置6Kで現像されてブラック色のトナー画像となる。中間転写ベルト9を挟んで一次転写ローラ11Kに対向する一次転写ニップでは、感光体4K上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された後の感光体4Kの表面は、感光体クリーニング装置7Kでクリーニングされ、次の静電潜像の形成に備えられる。
他のプロセスユニット3Y、M、Cについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト9の移動に同期して実行される。一方、給紙カセット31から給送された転写紙は、レジストローラ対19により所定のタイミングで送出されて二次転写ニップに搬送される。または、画像形成ユニット2の側面に設置された手差しトレイ23から給紙された転写紙は、給紙ローラ24によって手差し給紙路内に繰り出され、レジストローラ28により所定のタイミングで送出されて二次転写ニップに搬送される。そして、二次転写ニップでフルカラー画像が一括転写された転写紙は、紙搬送ユニット17によって搬送されて定着装置20でトナー像が定着される。転写紙の第一面だけに画像を形成する片面プリントモードの場合には、排紙ローラ対21のローラ間の排紙ニップに挟み込まれた転写紙がそのまま機外に排出されて排紙トレイ25上にスタックされる。転写紙の両面に画像を形成する両面プリントモードの場合には、排紙ローラ対21に挟み込まれた転写紙が逆方向に戻されて、スイッチバック装置22に進入する。そして、スイッチバック装置22内で上下反転せしめられた後、再び二次転写ニップに送られて、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排出ローラ21により排紙トレイ25上に排出される。トナー像転写後の中間転写ベルト9は、ベルトクリーニング装置14により残留トナーが除去され、プロセスユニット3による再度の画像形成に備える。
以上の作像動作は、4色重ね合わせのフルカラーモードが図示しない操作部で選択された時の動作である。例えば、白黒画像形成モードが操作部で選択された場合には、駆動ローラ以外の支持ローラ等を移動させて、感光体4Y、M、Cを中間転写ベルト9から離間させ、中間転写ベルト9にKトナー像の形成のみを行ってもよい。
次に、画像読取装置たる原稿搬送読取ユニット1について詳細に説明する。図1に示すように、上記原稿搬送読取ユニット1は、上記画像形成ユニット2上に固定された画像読取手段たるスキャナ40と、これに支持される原稿搬送装置たるADF41とを備えている。スキャナ40は、図示しない原稿の画像を読み取るための読取手段として、移動読取部42と、第一固定読取部43とを有している。上記移動読取部42は、原稿MSに接触するようにスキャナ40のケーシング上壁に固定されたコンタクトガラス45の直下に配設され、光源や、反射ミラー等を備え、図中左右方向に移動なキャリッジ、スキャナ40本体に固定された光学レンズ46a、画像読取センサ46bなどを有している。そして、キャリッジを図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光をコンタクトガラス45上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ40本体に固定された画像読取センサ46で受光する。
上記スキャナ40内に配設される第一固定読取部43は、スキャナ40のケーシング上壁の一端側に固定された透光部材たるプラテンガラス47の直下に配設され、光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサ等を有している。第一固定読取部43は、後述するADF41によって搬送される原稿MSがプラテンガラス47の上方を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。
図3は、スキャナ40とADF41の構成を示す斜視図である。図3に示すように、ADF41は、筐体たる本体カバー48に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台49、原稿MSを搬送するための搬送ユニット50、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台57等を有している。
図4は、ADF41の要部構成をスキャナの上部とともに示す拡大構成図である。上記ADF41の搬送ユニット50は、図4に示すように、分離給送部51、レジスト部52、ターン部53、第一読取搬送部54、第二読取搬送部55、排紙部56とから構成されている。分離給送部51は、原稿載置台49にセットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部52は、給送された原稿MSを一次突当整合するともに、整合後の原稿MSを引き出し搬送するものである。ターン部53は、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながら原稿面を読取部側(下方)に向けて搬送するものである。第一読取搬送部54は、プラテンガラス47の上方で原稿MSを搬送しながら、プラテンガラス47の下方でスキャナ41の内部に配設されている第一固定読取部43に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部55は、第二固定読取部44の下で原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部44に読み取らせるものである。排紙部56は、両面の画像が読み取られた原稿MSを原稿スタック台57に向けて排出するものである。
上記ADF41の本体カバー48は、図3に示すように、スキャナ40に固定された蝶番58によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ40の上面のプラテンガラス47やコンタクトガラス45を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本等の片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、搬送ユニット50による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、本体カバー48を図3に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにしてコンタクトガラス45上に載せた後、本体カバー48を閉じる。そして、スキャナ40の図1に示した移動読取部42によってそのページの画像を読み取らせる。
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、原稿載置台49にセットされた原稿MSを1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ40内の第一固定読取部43やADF41内の第二固定読取部44に順次読み取らせていくことができる。この場合、ADF41は、原稿載置台49上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット50内に送り、それを反転させながら原稿スタック台51に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後に第一固定読取部43の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ40の第一固定読取部43によって読み取られる。また、原稿MSの第二面が第二固定読取部44によって読み取られる。
図5は、ADF及びスキャナの電気回路の一部を示すブロック図である。図5に示すように、ADF41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等からなるコントローラ60を有しており、これによって各種の機器やセンサを制御することができる。このコントローラ60には、レジストセンサ61、原稿セットセンサ62、排紙センサ63、突き当てセンサ64、原稿幅センサ65、読取入口センサ66、給紙適正位置センサ67、底板ホームポジション(HP)センサ68等が接続されている。また、第二固定読取部44、ピックアップモータ71、給紙モータ72、読取モータ73、排紙モータ74、底板上昇モータ75等も接続されている。また、スキャナ40の各機器の制御を司る本体制御部100等も接続されている。スキャナ40は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等からなる本体制御部100を有しており、これにより、図示しない各種機器やセンサを制御することができる。また、本体制御部100は、I/F77によってADF41のコントローラ60と接続されており、コントローラ60を介して、ADF41内の各種機器やセンサを間接的に制御することもできる。
上記構成のADF41において、図4に示すように、原稿MSは、原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル59の上に原稿先端部が載せられるとともに、原稿載置台49の上に原稿後端側が載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台49上において、その幅方向(原稿搬送方向と直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置が調整される。このようにしてセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル59の上方で揺動可能に配設されたレバー部材78を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ62が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ60に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ60からI/F77を介して本体制御部100に送られる。
原稿載置台49には、原稿MSの搬送方向の長さを検知する第一原稿長さ検知センサ79、第二原稿長さ検知センサ80が設置され、原稿MSの搬送方向の長さの概略が検知される。本実施形態では、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサを配置することが必要である。これら第一原稿長さ検知センサ79、第二原稿長さ検知センサ80には、反射型フォトセンサ又は原稿1枚にても検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサ等を用いるとよい。
本体制御部100は、可動原稿テーブル59に原稿MSがセットされたことを原稿セットセンサ62により検知すると、底板上昇モータ75を正転させて原稿束の最上面がピックアップローラ81と接触するように可動原稿テーブル59を上昇させる。そして、本体制御部100は、給紙適正位置センサ67がオンしたら底板上昇を停止し、給紙を繰り返すことで原稿束上面が下がり給紙適正位置センサ67がオフしたら、底板を上昇させて給紙適正位置センサ67が再びオンするように制御を繰り返す。これにより、可動原稿テーブル59の高さが調整され、常に原稿束上面位置が給紙に適した高さに維持される。セットされた原稿MSが全て給紙されると、底板上昇モータ75を正転させて次の原稿束をセットできるようにホームポジション位置へと可動原稿テーブル59を下降させる。
可動原稿テーブル59の上に載置された原稿束の上方には、カム機構によって上下方向(図中矢印c、d方向)に移動可能に支持されるピックアップローラ81が配設されている。このカム機構は、ピックアップモータ71によって駆動することで、ピックアップローラ81を上下移動させることが可能である。ピックアップローラ81が上昇移動すると、それに伴って可動原稿テーブル59が図中矢印a方向に揺動して、ピックアップローラ81が原稿MSの束における一番上の原稿MSに当接する。更に可動原稿テーブル59が上昇し、ピックアップローラ81が可動原稿テーブル59上の原稿上面により押されてc方向に上がると、やがて給紙適正位置センサ67によって可動原稿テーブル59の上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップモータ71が停止するとともに、可動原稿テーブル59の上昇が停止する。
複写機の本体に設けられたテンキーやディスプレイ等からなる操作部101に対しては、操作者によって両面読取モードか、あるいは片面読取モードかを示す読取モード設定のためのキー操作や、コピースタートキー102の押下操作等が行われる。ここで両面読取モードか片面読取モードかを設定する際、原稿載置台49上にセットされた全ての原稿に対して同じように設定しても良いし、(1枚目、2枚目、・・・n枚目の)それぞれの原稿に対して異なる設定をしても良い(例えば、全10枚の原稿中、1枚目と10枚目は両面読取モード、その他は片面読取モード等)。
コピースタートキー102が押下されると、本体制御部100からI/F77を介してADF41のコントローラ60に原稿給紙信号が送信される。すると、ピックアップローラ81が給紙モータ72の正転によって回転駆動して、可動原稿テーブル59上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSをピックアップする。ピックアップローラ81の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口に搬送する方向である。
両面読取モードか、片面読取モードかの設定に際しては、可動原稿テーブル59上に載置された全ての原稿MSについて一括して両面、片面の設定を行うことが可能である。また、1枚目及び10枚目の原稿MSについては両面読取モードに設定する一方で、その他の原稿MSについては片面読取モードに設定する等といった具合に、個々の原稿MSについてそれぞれ個別に読取モードを設定することも可能である。
ピックアップローラ81によって送り出された原稿MSは、分離搬送部51に進入して、給紙ベルト82との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト82は、駆動ローラ83と従動ローラ84とによって張架されており、給紙モータ72の正転に伴う駆動ローラ83の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。この給紙ベルト82の下部張架面には、給紙モータ72の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。当接部においては、給紙ベルト82の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85は、給紙ベルト82に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト82に直接当接している際、あるいは当接部に原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト82又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなることから、連れ回り方向とは逆の本来の駆動方向である図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿MSから最上位の原稿MSだけが分離され重送が防止される。
給紙ベルト82やリバースローラ85の働きによって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部52に進入する。そして、突き当てセンサ64の直下を通過する際にその先端が検知される。このとき、ピックアップモータ71の駆動力を受けているピックアップローラ81がまだ回転駆動しているが、可動原稿テーブル59の下降によって原稿MSから離間するため、原稿MSは給紙ベルト82の無端移動力のみによって搬送される。そして、突き当てセンサ64によって原稿MSの先端が検知されたタイミングから所定時間だけ給紙ベルト82の無端移動が継続して、原稿MSの先端がプルアウトローラ対86のニップ部に突き当たる。原稿MSの先端が両ローラの当接部に突き当たった状態で、原稿MSの後端側が給紙方向に向けて送られることで、原稿MSは所定量だけ撓んだ状態になりながら、先端が当接部に位置決めされる。これにより、原稿MSのスキュー(傾き)が補正されて、原稿MSは給紙方向に沿った姿勢になる。
プルアウトローラ対86は、原稿MSのスキューを補正する役割の他に、スキューが補正された原稿MSを原稿搬送方向下流側の中間ローラ対87まで搬送する役割を担っており、給紙モータ72の逆転によって回転駆動される。給紙モータ72が逆転すると、プルアウトローラ対86の一方のローラと、中間ローラ対87の一方のローラとが回転を開始するとともに、給紙ベルト82の無端移動が停止する。また、このとき、ピックアップローラ81の回転も停止される。
プルアウトローラ対86から送り出された原稿MSは、原稿幅センサ65の直下を通過する。原稿幅センサ65は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知部を複数有しており、これら紙検知部は原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に並んでいる。どの紙検知部が原稿MSを検知するのかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズが検知される。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ64によって検知されてから、原稿MSの後端が突き当てセンサ64によって検知されなくなるまでのタイミングに基づいて検知される。
原稿幅センサ65によって幅方向のサイズが検知された原稿MSの先端は、ターン部53に進入して、中間ローラ対87のローラ間の当接部に挟み込まれる。この中間ローラ対87による原稿MSの搬送速度は、後述する第一読取搬送部54での原稿MSの搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、原稿MSを第一読取搬送部54に送り込むまでの時間の短縮化が図られている。
ターン部53内を搬送される原稿MSの先端は、読取入口センサ66との対向位置を通過する。これによって原稿MSの先端が読取入口センサ66によって検知されると、その先端が搬送方向下流側の読取入口ローラ対89の位置まで搬送される間に、中間ローラ対87による原稿搬送速度が減速される。また、読取モータ73の回転駆動の開始に伴って、読取入口ローラ対89における一方のローラ、読取出口ローラ対90における一方のローラ、第二読取出口ローラ対91における一方のローラがそれぞれ回転駆動を開始する。
ターン部53内においては、原稿MSが中間ローラ対87と読取入口ローラ対89との間の湾曲搬送路で搬送される間に上下面が逆転されるとともに、搬送方向が折り返される。そして、読取入口ローラ対89のローラ間のニップを通過した原稿MSの先端は、レジストセンサ61の直下を通過する。このとき原稿MSの先端がレジストセンサ61によって検知されると、所定の搬送距離をかけながら原稿搬送速度が減速されていき、第一読取搬送部54の手前で原稿MSの搬送が一時停止される。また、本体制御部100にI/F77を介してレジスト停止信号が送信される。
レジスト停止信号を受けた本体制御部100が読取開始信号を送信すると、コントローラ60の制御により、原稿MSの先端が第一読取搬送部54内に到達するまで、読取モータ73の回転が再開されて所定の搬送速度まで原稿MSの搬送速度が増速される。そして、読取モータ73のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一固定読取部43による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ60から本体制御部100に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一固定読取部43による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部43によって読み取られる。
第一読取搬送部54を通過した原稿MSは、読取出口ローラ対90を経由した後、その先端が排紙センサ63によって検知される。片面読取モードが設定されている場合には、後述する第二固定読取部44による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ63によって原稿MSの先端が検知されると、排紙モータ74の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対92における図中下側の排紙ローラが図中時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ63によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ74のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対92のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対92のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ74の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台57から飛び出さないような速度で排紙される。
一方、両面読取モードが設定されている場合には、排紙センサ63によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部44に到達するまでのタイミングが読取モータ73のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ60から本体制御部100に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部44による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部44によって読み取られる。その後に、上述したように原稿MSが原稿スタック台57に排紙される。
読取手段としての第二固定読取部44は、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。第二固定読取部44との対向位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ93が配設されている。この第二読取ローラ93は、第二固定読取部44による読取位置での原稿MSの浮きを防止するとともに、第二固定読取部44におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。本複写機では、第二固定読取部44との対向位置で原稿を支持する原稿支持手段として、第二読取ローラ93を用いたが、ガイド板状のものを用いてもよい。
図6は、第二固定読取部44の電気回路の要部を示すブロック図である。図6に示すように、第二固定読取部44は、LEDアレイ、蛍光灯、あるいは冷陰極管等からなる光源部44aを有している。また、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサチップ44b、それぞれのセンサチップ44bに個別に接続された複数のOPアンプ回路44c、それぞれのOPアンプ回路44cに個別に接続された複数のA/Dコンバータ44dも有している。更には、画像処理部44e、フレームメモリ44f、出力制御回路44g、I/F回路44h等も有している。
センサチップ44bは、等倍密着イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)と称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。第二固定読取部44による読取位置に図示しない原稿が進入するのに先立って、コントローラ60から光源部44aに点灯ON信号が送られる。これにより、光源部44aが点灯し、その光を図示しない原稿MSの第二面に向けて照射する。原稿MSの第二面で反射した反射光は、複数のセンサチップ44bにおいて、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。それぞれのセンサチップ44bで読み取られた画像情報は、OPアンプ回路44cによって増幅された後、A/Dコンバータ44eによってデジタル画像情報に変換される。これらデジタル画像情報は、画像処理部44eに入力されてシェーディング補正等を施された後、フレームメモリ44fに一時記憶される。その後、出力制御回路44gによって本体制御部100に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路44hを経由して本体制御部100に出力される。なお、コントローラ60からは原稿の先端が第二固定読取部44による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
次に、本複写機における特徴的な第一固定読取部周辺の構成について説明する。図7は、原稿読取時の第一固定読取部の周辺を示す構成図である。
図に示すように、3つの張架ローラ95a,95b,95cに張架された搬送ベルト94が、透光部材たるプラテンガラス47と所定の間隔を開けて対向している。搬送ベルト94の外周面に接触して帯電させ、搬送ベルト94表面に原稿を静電吸着させる吸着手段たる帯電ローラ98が設けられている。なお、吸着手段には、静電気を用いるものに限らない。
読取入口ローラ対89により搬送ベルト94へ搬送された原稿MSは、帯電した搬送ベルト94と加圧ローラ99により挟持され、原稿が搬送ベルト94に静電吸着する。具体的には、帯電ローラ98により表面が帯電した搬送ベルト94の電界によって原稿が誘電分極する。そして、誘電分極によって、搬送ベルト94上の帯電極性と逆極性の電荷が原稿MSのガイドベルト側に発生し、原稿MSが搬送ベルト94上に静電吸着する。搬送ベルト94に静電吸着した原稿MSは、搬送ベルト94によって搬送され第一固定読取部43の読取位置を通過していく。その結果、原稿MSとプラテンガラス47との間に所定距離を有して原稿MSが搬送される。そして、読取位置を通過して、原稿搬送方向最下流の張架ローラ95aの張架部分へ搬送された原稿MSは、曲率分離により搬送ベルト94から離間し、読取出口ローラ対90へ移動する。このように、読取位置において、原稿MSとプラテンガラス47との間に所定距離を有して原稿を搬送することができる。よって、原稿MSがプラテンガラス47と摺擦しないため、原稿MSに付着しているゴミ等の異物がプラテンガラス47との摺擦によってプラテンガラス47の読取位置に付着することがない。これにより、プラテンガラス47の読取位置に異物が付着するのを抑制することができる。
また、第一原稿搬送手段たる読取入口ローラ対89には、搬送力を変更する第一搬送力変更手段たる上流搬送力変更機構110が設けられている。また、第二原稿搬送手段たる読取出口ローラ対90には、搬送力を変更する第二搬送力変更手段たる下流搬送力変更機構120が設けられている。
図8は、上流搬送力変更機構110の概略構成図である。
図に示すように、上流搬送力変更機構110は、読取入口従動ローラ89bの一端側を原稿面に対して垂直方向に移動可能に支持する支持機構と、読取入口従動ローラの他端側を原稿面に対して垂直方向に移動可能に支持する支持機構と、読取入口従動ローラ89bの一端側を原稿面に対して垂直方向に移動させる上流アクチュエータと、読取入口従動ローラの他端側を原稿面に対して垂直方向に移動させる上流アクチュエータとを有している。各支持機構は、原稿面に対して垂直方向に延びる長穴を有する軸受113と、一端が読取入口従動ローラの軸に固定されたスプリング114と、スプリング114の他端と、上流ソレノイド111の鉄心111aとに固定された板状部材112とで構成されている。
読取入口従動ローラ89bの軸の一端側と他端側は、軸受113の長穴に挿入されており、軸の両端にスプリング114の一端が固定されている。板状部材112は、読取入口ローラ対89よりも軸方向外側に設けられており、原稿搬送面に対して垂直方向に延びている。板状部材112の読取入口従動ローラ側端部は、軸方向に折り曲げられたスプリング固定部を有しており、このスプリング固定部にスプリング114の他端が固定されている。また、板状部材112の読取入口駆動ローラ側端部は、読取入口駆動ローラ側に設けられた上流ソレノイド111の鉄心111aが固定されている。
読取入口駆動ローラ89aは、図示しないタイミングベルトを介して読取りモータ73の駆動力が伝達されている。
上流ソレノイド111が通電しているときは、図8(b)に示すように、スプリング114が圧縮しており、読取入口従動ローラ89bは、所定の加圧力で読取入口駆動ローラ89aに当接している。このときは、読取入口ローラ対89に挟まれた原稿は、所定の搬送力により、搬送される。上流ソレノイド111への通電が解除されると、鉄心111aが自重やスプリングの付勢力などにより下がっていき、図8(a)に示すように、スプリング114の圧縮が解除される。これにより、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力が弱まる。このように、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力が弱まることによって、読取入口ローラ対89の原稿に付与する搬送力が弱まる。
下流搬送力変更機構120は、上流搬送力変更機構110と同様な構成を有している。
図9は、読取入口ローラ対89の搬送力と、読取出口ローラ対90の搬送力とを変更する変更処理の制御フロー図であり、図10は、各フローにおける上流搬送力変更機構110と下流搬送力変更機構120との動作説明図である。
まず、上述したように、コピースタートキー102の押下操作等が行われ、原稿載置台49の原稿の搬送が開始される(S1)と、上流ソレノイド111をONにして、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力を所定値にする(S2)。なお、本実施形態では、原稿搬送開始直後に、上流ソレノイド111をONにしているが、上流ソレノイド111のONのタイミングは、原稿MSの先端が読取入口ローラ対89に到達したときに読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力を所定値にできるタイミングであればよい。また、このとき、下流ソレノイド121は、OFFにし(S3)、読取出口従動ローラ90bの読取出口駆動ローラ90aに対する加圧力を弱めている。
次に、本体制御部100は、図10(a)に示すように、搬送ベルト94の表面に吸着して搬送されている原稿MSの先端が、読取位置から距離D1だけ上流の位置に到達したか否かをチェックする(S4)。具体的には、本体制御部100は、レジストセンサ61が原稿MSの先端を検知した時点から、ステッピングモータからなる読取りモータ73の駆動パルスのカウントを開始し、駆動パルス数が、所定値に達したら、原稿MSの先端が、読取位置から距離D1だけ上流の位置に到達したと判定する。すなわち、本実施形態においては、本体制御部100とレジストセンサ61とで、第一原稿位置判定手段を構成している。また、上記距離D1は、上流ソレノイド111の必要動作時間やメカ機構の状態が安定するのに必要な時間に対して十分な余裕があるよう、考慮した値に設定されている。これにより、原稿MSの先端が読取位置に達したときに、読取入口従動ローラ89bの加圧力が弱まり、読取入口ローラ対89の原稿に対する搬送力が弱まる。
原稿MSの先端が、読取位置から距離D1上流の位置に到達していない場合(S4のNO)は、原稿MSは、読取入口ローラ対89から十分な搬送力を受け、所定の搬送速度で、読取位置へ搬送される。そして、図10(a)に示すように、原稿MSの先端が、読取位置から距離D1上流の位置に到達(S4のYES)したら、上流ソレノイド111の駆動をOFFにする(S5)。すると、上流ソレノイド111の鉄心111aが、スプリング114の付勢力により、図中矢印方向へ移動し、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力が弱まる。これにより、原稿画像読取中の原稿MSは、搬送ベルト94の搬送力が支配的になる。従って、読取入口ローラ対89と搬送ベルト94との間で速度差が生じた場合、読取入口ローラ対89と原稿MSとの間ですべりが発生し、原稿MSの搬送ベルト94に吸着した部分に、引っ張り力や押し込み力が発生するのを抑制することができる。これにより、原稿画像読取中の原稿の読取位置にある部分が、搬送ベルト94の表面から離間するのを抑制することができ、良好な原稿画像を得ることができる。
また、本実施形態においては、図10(b)に示すように、読取入口従動ローラ89bが、読取入口駆動ローラ89aから離間し、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力を0にしている。これにより、読取入口ローラ対89の原稿に対する搬送力が0になり、原稿画像読取中の原稿MSに読取入口ローラ対89からの搬送力が働かない。その結果、原稿の搬送ベルトに吸着している部分に引っ張り力や押し込み力が発生することがなく、原稿画像読取中の原稿が、搬送ベルト94の表面から離間するのを防止している。
次に、本体制御部100は、1枚目の原稿搬送であるか否かをチェックする(S6)。1枚目の原稿搬送の場合(S6のYES)、既に下流ソレノイド121がOFFになっているので、S8のステップへ移動する。一方、2枚目以降の原稿搬送の場合(S6のNO)、下流ソレノイド121がONになっているので、本体制御部100は、図10(b)に示すように、原稿の先端が読取出口ローラ対90から距離D2だけ上流の位置に到達したか否かをチェックする。原稿MSの先端が、読取出口ローラ対90から距離D2だけ上流の位置に到達したか否かの判定は、上述同様、レジストセンサ61が原稿MSの先端を検知した時点から、読取りモータ73の駆動パルスのカウントを開始し、駆動パルス数が、所定値に達したか否かで判定する。すなわち、本実施形態においては、本体制御部100とレジストセンサとで第三原稿位置判定手段を構成している。また、距離D2は、下流ソレノイド121の必要動作時間やメカ機構の状態が安定するのに必要な時間に対して十分な余裕があるよう、考慮した値に設定されている。これにより、原稿の先端が読取出口ローラ対90に達したとき、読取出口従動ローラ90bの加圧力が弱まり、読取出口ローラ対90の原稿に対する搬送力が弱まる。
図10(b)に示すように、原稿MSの先端が、読取出口ローラ対90から距離D2上流の位置に到達(S7のYES)したら、下流ソレノイド121の駆動をOFFにする(S8)。すると、下流ソレノイド121の鉄心121aが、スプリング124の付勢力により、図中矢印方向へ移動し、読取出口従動ローラ90bの読取入口駆動ローラ90aに対する加圧力が弱まる。これにより、原稿画像読取中の原稿は、搬送ベルト94の搬送力が支配的になる。従って、読取出口ローラ対90と搬送ベルト94との間で速度差が生じた場合、読取出口ローラ対90と原稿MSとの間ですべりが発生し、原稿MSの搬送ベルト94に吸着した部分に、引っ張り力や押し込み力が発生するのを抑制することができる。これにより、原稿画像読取中の原稿の読取位置にある部分が、搬送ベルト94の表面から離間するのを抑制することができ、良好な原稿画像を得ることができる。
本実施形態においては、図10(c)に示すように、読取出口従動ローラ90bが、読取出口駆動ローラ90aから離間し、読取出口従動ローラ90bの読取出口駆動ローラ90aに対する加圧力を0にしている。これにより、読取出口ローラ対90の原稿に対する搬送力が0になり、原稿の搬送ベルトに吸着している部分に引っ張り力や押し込み力が発生することがなく、原稿画像読取中の原稿の読取位置にある部分が、搬送ベルト94の表面から離間するのを防止している。
次に、本体制御部100は、原稿MSの後端が、読取入口ローラ対89を通過したか否をチェックする(S9)。具体的には、読取り入口センサ66が原稿の後端を検知したら、読取りモータ73の駆動パルスのカウントを開始、駆動パルス数が、所定値に達したら、原稿の後端が、読取入口ローラ対89を通過したと判定する。すなわち、本実施形態においては、本体制御部100と読取り入口センサ66とで第二原稿位置判定手段を構成している。
本体制御部100が、原稿MSの後端が読取入口ローラ対89を通過したと判定したら(S9のYES)、上流ソレノイド111をONにして、上流ソレノイド111の鉄心111aを引き上げる。すると、図10(c)に示すように、読取入口従動ローラ89bが読取入口駆動ローラ89a側へ移動して、読取入口駆動ローラ89aと当接する。読取入口従動ローラ89bが読取入口駆動ローラ89aと当接した状態から鉄心111aがさらに引き上げられると、スプリング114が圧縮し、読取入口従動ローラ89bが読取入口駆動ローラ89aに対して所定の加圧力で当接する。これにより、読取入口ローラ対89の搬送力が元の状態に戻り、次原稿が所定の搬送力で搬送される。また、このとき、原稿MSは、読取入口ローラ対89をすでに抜けているため、搬送力を増加させても、原稿MSの搬送状態に悪影響を及ぼすことは無い。なお、本実施形態では、読取入口ローラ対89を通過したタイミングで、上流ソレノイド111をONにしているが、次の原稿MSの搬送が開始された時点など、次の原稿の先端が、読取入口ローラ対89に到達するまでの所定のタイミングでよい。
次に、本体制御部100は、原稿MSの後端が読取位置を通過したか否かをチェックする(S11)。具体的には、本体制御部100は、レジストセンサ61が原稿MSの後端を検知した時点から、読取りモータ73の駆動パルスのカウントを開始し、駆動パルス数が、所定値に達したら、原稿MSの後端が、読取位置を通過したと判定する。すなわち、本実施形態においては、本体制御部100とレジストセンサ61とで第四原稿位置判定手段を構成している。
本体制御部100が、原稿MSの後端が読取位置を通過したと判定したら(S11のYES)、下流ソレノイド121をONにして、下流ソレノイド121の鉄心121aを引き上げる。すると、図10(d)に示すように、読取出口従動ローラ90bが読取出口駆動ローラ90a側へ移動し、読取出口駆動ローラ90aと当接する。読取出口従動ローラ90bが読取出口駆動ローラ90aと当接した状態から鉄心121aがさらに引き上げられると、スプリング124が圧縮し、読取出口従動ローラ90bが読取出口駆動ローラ90aに対して所定の加圧力で当接する(図10(e)参照)。これにより、読取出口ローラ対90の搬送力が元の状態に戻り、後端が読取位置を通過した原稿MSが、読取出口ローラ対90の搬送力により、搬送される。また、この時、原稿は読取位置を既に抜けており画像の読取は終了しているため、読取出口ローラ対90の搬送力を増加させても画像に対する悪影響は生じない。なお、本実施形態では、原稿の後端が読取位置を通過したタイミングで、下流ソレノイド121をONにしているが、原稿MSの後端が搬送ベルト94から分離するまでに、読取出口ローラ対90の搬送力が元に戻るようなタイミングであれば、いつでもよい。
次に、本体制御部100は、次原稿が存在するか否かをチェック(S13)し、次原稿有り(S13のYES)なら、S4に処理を戻して次原稿に対する処理を続けて行う。また、次原稿無し(S13のNo)なら、上流ソレノイド111、下流ソレノイド121を共にOFFにして(S14,S15)搬送制御を終了する。
このように、本実施形態においては、原稿搬送制御全体を通じて、少なくなくとも、原稿の画像情報を読取っている間は、帯電した搬送ベルト94の搬送力が読取中の原稿に対して支配的になるように読取入口ローラ対89、読取出口ローラ対90の搬送力を意図的に下げ、原稿の搬送ベルト94に対する吸着状態が読取画像へ影響の出ないときには、読取入口ローラ対89、読取出口ローラ対90の搬送力を元に戻し、原稿に対して必要な搬送力を与えられるように制御が行われる。これにより、良好な読取画像を得ることができるとともに、安定した原稿搬送を実現することができる。
また、本実施形態においては、少なくとも原稿の画像情報を読取っている間は、読取入口従動ローラ89bを読取入口駆動ローラ89aから離間させて、読取入口ローラ対89の原稿に対する搬送力を0にするとともに、読取出口従動ローラ90bを読取出口駆動ローラ90aから離間させて、読取出口ローラ対90の原稿に対する搬送力を0にしている。これは、以下の理由による。搬送ベルト表面に付着したゴミや原稿のシワなどによって、原稿が搬送ベルト表面に対して僅かに浮いた部分があると、わずかな引っ張り力や押し込み力が原稿の搬送ベルト94に吸着した部分に働くだけで、搬送ベルト94から原稿が剥がれてしまう場合がある。よって、少なくとも原稿の画像情報を読取っている間は、読取入口ローラ対89の原稿に対する搬送力および読取出口ローラ対90の原稿に対する搬送力を0にして、原稿の搬送ベルト94に吸着している部分に押し込み力や引張り力が働かないようにしている。これにより、原稿が搬送ベルト表面に対して僅かに浮いた部分が存在していても、原稿の画像情報を読取っている間、原稿の読取位置にある部分が搬送ベルト表面から離れることはない。
また、原稿搬送制御中に、紙詰まり等の以上を検出した場合には、上流ソレノイド111と下流ソレノイド121を共にOFFにして、読取入口ローラ対89及び読取出口ローラ対90での加圧力を共に減少させるようにしてもよい。
図11は、原稿搬送異常処理の制御フロー図である。
まず、本体制御部100は、原稿搬送制御が開始されたら、搬送異常が発生したか否かをチェックする。具体的には、搬送経路上に配置された各センサ(原稿幅センサ65、読取入口センサ66、レジストセンサ61、排紙センサ63)で、原稿の先端が所定のタイミングで通過したか否かをチェックし、所定のタイミングで原稿の先端が通過しなかった場合は、搬送異常が発生したと判定する。搬送異常が発生した場合は、各モータの駆動を停止し、原稿搬送を停止する。次に、上流ソレノイド111、下流ソレノイド121がONか否かチェックし、ONの場合は、OFFに切り替える。上流ソレノイド111、下流ソレノイド121がOFFになったら、操作部101のディスプレイ101に、搬送異常が生じた旨を表示したり、スピーカで所定の音を発生させたりして、ユーザーに搬送異常が生じた旨を報知する。
このように、紙詰まりなどの搬送異常を検出したら、上流ソレノイド111と下流ソレノイド121を共にOFFにして、読取入口ローラ対89及び読取出口ローラ対90の原稿に対する加圧力を共に減少する。これにより、ユーザーによる紙詰まりの除去操作容易に行うことができる。
以上、本実施形態の原稿搬送装置たるADF41は、画像読取装置たるスキャナ40の透光部材たるプラテンガラス47に対して所定距離を有して対向配置された搬送ベルト94と、搬送ベルト94に原稿MSを吸着させる吸着手段たる帯電ローラ98とを備え、搬送ベルト94に原稿MSを吸着させて、スキャナ40の読取位置へ原稿を搬送するものである。また、本実施形態のADF41は、搬送ベルト94に隣接し、搬送ベルト94に対して原稿搬送方向上流側に配置された第一原稿搬送手段たる読取入口ローラ対89と、搬送ベルト94に隣接し、搬送ベルト94に対して原稿搬送方向下流側に配置された第二原稿搬送手段たる読取出口ローラ対90と、読取入口ローラ対89の原稿搬送力を変更する第一搬送力変更手段たる上流搬送力変更機構110と、読取出口ローラ対90の原稿搬送力を変更する第二搬送力変更手段たる下流搬送力変更機構120とを備えている。そして、制御手段たる本体制御部100は、原稿の先端が搬送ベルト94に到達してから、原稿の先端が読取位置に到達するまでの間に、読取入口ローラ対89の原稿搬送力を所定の原稿搬送力よりも弱めるよう上流搬送力変更機構110を制御するとともに、上記原稿の先端が読取出口ローラ対90に到達するまでに、読取出口ローラ対90の原稿搬送力を所定の原稿搬送力よりも弱め、原稿の後端が読取位置を通過してから原稿の後端が搬送ベルト94から離間するまでの間に読取出口ローラ対90の原稿搬送力を所定の原稿搬送力に戻すよう下流搬送力変更機構120を制御する。
このように制御することによって、原稿画像の読取中は、搬送ベルトの搬送力が支配的になり、原稿画像の読取中に搬送ベルト94と読取入口ローラ対89との間で速度差が生じたり、搬送ベルト94と読取出口ローラ対90との間で速度差が生じたりしても、搬送ベルト94に吸着している原稿が、搬送ベルトから剥がれるのを抑制することができる。その結果、原稿画像を良好に読み込むことができる。
また、本実施形態のADF41によれば、第一原稿位置判定手段(本体制御部100とレジストセンサ61とで構成)が、搬送ベルト94の表面に吸着した原稿の先端が、読取位置から所定量上流に達したと判定したら、上記読取入口ローラ対の89の原稿搬送力を減少させるよう上流搬送力変更機構110を制御する。このように、構成することによって、原稿の先端が読取位置に到達する前に、読取入口ローラ対89の搬送力を所定の搬送力よりも弱めることができる。
また、第二原稿位置判定手段(本体制御部100と読取り入口センサ66とで構成)が、原稿の後端が、読取入口ローラ対89を通過したと判定したら、読取入口ローラ対89の原稿搬送力を元に戻すよう上流搬送力変更機構110を制御する。このように構成することによって、次の原稿の先端が上記第一原稿位置判定手段により検知されるまでの間、原稿を所定の搬送力で、搬送することができる。また、読取入口ローラ対の搬送力を所定の搬送力に戻したとしても、画像情報が読取っている原稿に読取入口ローラ対の搬送力が及ぶことがないので、原稿画像の読取に影響を及ぼすことがない。
また、第三原稿位置判定手段(本体制御部100とレジストセンサ61とで構成)が、原稿の先端が、読取出口ローラ対90から所定量上流に達した判定したら、読取出口ローラ対90の搬送力を所定の搬送力よりも弱めるよう下流搬送力変更機構120を制御する。このように構成することによって、原稿の先端が読取出口ローラ対に到達する前に、読取出口ローラ対の搬送力を所定の搬送力よりも弱めることができる。
また、第四原稿位置判定手段(本体制御部100とレジストセンサとで構成)が、原稿の後端が読取位置を通過したと判定したら、読取出口ローラ対90の搬送力を所定の搬送力に戻すよう下流搬送力変更機構120を制御する。これにように構成することによって、原稿の後端が読取位置を通過した後は、読取出口ローラ対の搬送力により、原稿を搬送することができる。また、原稿の後端が読取位置を通過した後に、読取出口ローラ対の搬送力を所定の搬送力に戻すので、原稿画像の読取に影響を及ぼすことがない。
また、上流搬送力変更機構110は、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力を変更するよう構成した。加圧力を変更させることで、読取入口ローラ対の搬送力を変更することができる。また、下流搬送力変更機構120は、読取出口従動ローラ90bの読取出口駆動ローラ90aに対する加圧力を変更するよう構成した。加圧力を変更させることで、読取出口ローラ対の搬送力を変更することができる。
また、原稿の搬送異常を検知する異常検知手段(搬送経路上に配設された原稿検知センサ(レジストセンサ61、排紙センサ、読取り入口センサなど)と、本体制御部100とで構成)を備え、本体制御部100は、上記異常検知手段が原稿搬送の異常を検知したら、読取入口従動ローラ89bの読取入口駆動ローラ89aに対する加圧力が所定の加圧力よりも弱まるよう上流搬送力変更機構110を制御し、かつ、読取出口従動ローラ90bの読取出口駆動ローラ90aに対する加圧力が所定の加圧力よりも弱まるよう下流搬送力変更機構120を制御する。これにより、ユーザーがジャム処理を行う場合、読取入口ローラ対89や、読取出口ローラ対に挟まれた原稿を容易に除去することができる。
また、上流搬送力変更機構110および下流搬送力変更機構120は、ソレノイドを用いて従動ローラの駆動ローラに対する加圧力を変更するよう構成した。ソレノイドを用いることにより、ソレノイドのON/OFF制御により、従動ローラの駆動ローラに対する加圧力を変更することが可能となる。
また、本実施形態に係る画像読取装置たる原稿搬送読取ユニット1は、上述したADFを備えることで、良好に原稿画像を読取ることができる。
また、本実施形態に係る複写機によれば、上述した画像読取装置を用いることにより、良好な画像を複写することができる。