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JP5562095B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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JP5562095B2
JP5562095B2 JP2010079991A JP2010079991A JP5562095B2 JP 5562095 B2 JP5562095 B2 JP 5562095B2 JP 2010079991 A JP2010079991 A JP 2010079991A JP 2010079991 A JP2010079991 A JP 2010079991A JP 5562095 B2 JP5562095 B2 JP 5562095B2
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Description

本発明は、マルチエコー(multi-echo)のグラディエントエコー(gradient echo)系シーケンス(sequence)を実施する磁気共鳴イメージング(imaging)装置に関する。
マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスにより複数のエコー信号を収集し(例えば特許文献1,図6参照)、原子核スピン(spin)のT2*緩和の減衰係数であるT2*値や、その逆数であるR2*値を求める手法が知られている。
また、近年は、この手法により肝臓や心筋のT2*値やR2*値を求め、これを基に、例えば鉄の沈着を定量的に計測する等して、診断に用いる方法も普及してきている。
特開2002−052007号公報
ところで、磁気共鳴イメージング装置では、一般的に、静磁場空間内に勾配磁場を発生させる勾配コイル(coil)部のオフセット(offset)電流を調整することにより、静磁場空間内に重畳させる微弱な勾配磁場を調整して、静磁場の不均一性を補正する。これを、グラディエント・シム(gradient shim)調整という。
しかし、グラディエント・シム調整により静磁場の不均一性を完璧に補正することは難しく、グラディエント・シム調整には、通常、誤差を含むことになる。グラディエント・シム調整に誤差があると、勾配軸に常に微弱な勾配磁場(以下、誤差勾配磁場という)が出力されているのと略同じ状態になる。そして、グラディエント・シム調整の誤差による誤差勾配磁場は、スライス(slice)の位置によっても異なるし、同一スライス面上でもその場所によって異なる。
読出し方向すなわち周波数エンコード(encode)方向や、位相エンコード方向における誤差勾配磁場は、その量が微量であれば、k−空間上のそれぞれの方向でエコーセンタ(echo center)、すなわち時間軸原点がずれるだけであり、エコー信号強度の減衰は、無視できるレベル(level)で収まる。
しかしながら、原子核スピンを反転させる180°パルス(pulse)を用いないグラディエントエコー系シーケンスにおいて、スライス軸方向における誤差勾配磁場は、その量がたとえ微量であっても、マルチエコーでスライス厚内での磁場の不均一が蓄積されることになり、エコー信号が不必要に減衰する一方である。
この結果、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスでは、グラディエント・シム調整の誤差により、測定されるT2*値やR2*値は大きな誤差を持つことになる。
このような事情により、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを用いて被検体のT2*値またはR2*値を測定する場合における、グラディエント・シム調整の誤差に起因する測定誤差を低減することができる磁気共鳴イメージング装置が望まれている。
第1の観点の発明は、静磁場空間に重畳する勾配磁場を調整して、該静磁場空間における静磁場の不均一を補正するグラディエント・シム調整を実施する磁気共鳴イメージング装置であって、スライス選択勾配磁場および励起用RFパルスを印加し、該励起用RFパルスの印加後に、エコー時間が互いに異なる複数の読出し勾配磁場を印加するとともに、該読出し勾配磁場の各印加前または該各印加と同一期間に、所定の勾配磁場をスライス軸方向に印加する、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを、位相エンコード勾配磁場を順次変えながら、かつ、前記所定の勾配磁場を、勾配の大きさと印加時間との積がそれぞれ異なる複数の勾配磁場の各々に順次変えながら繰り返し実施するシーケンス実施手段と、前記エコー時間と前記所定の勾配磁場との組合せごとに、該組合せの条件に対応して読み出されたエコー信号に基づく画像を、フーリエ変換を用いて生成する画像生成手段と、前記エコー時間ごとに、同一のエコー時間について前記画像生成手段により生成された複数の画像を平準化して平準化画像を求める画像平準化手段と、前記エコー時間ごとに求められた平準化画像における互いに対応する画素の画素値に基づいて、該画素に対応する物質のT2*値またはその逆数であるR2*値を特定する特定手段とを備えている磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第2の観点の発明は、前記複数の勾配磁場が、前記グラディエント・シム調整によりスライス軸方向に重畳する勾配磁場の大きさと実質的に同じかそれより小さい所定の大きさをステップ幅とする複数ステップの勾配磁場である上記第1の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第3の観点の発明は、前記スライス軸方向に重畳する勾配磁場の大きさは、0(ゼロ)〔G/cm〕より大きく、0.1〔G/cm〕以下である上記第2の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第4の観点の発明は、前記複数ステップの勾配磁場が、正極性および負極性を含んでいる上記第2の観点または第3の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第5の観点の発明は、前記平準化が、前記複数の画像の加算平均である上記第1の観点から第4の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第6の観点の発明は、前記平準化が、前記複数の画像の加重加算である上記第1の観点から第4の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
第7の観点の発明は、前記特定手段が、前記互いに対応する画素の画素値に、エコー時間を変数とするT2*減衰の曲線をフィッティング(fitting)して、前記T2*値またはR2*値を特定する上記第1の観点から第6の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
上記観点の発明によれば、グラディエント・シム調整の誤差により生じる実効的な誤差勾配磁場による原子核スピンの位相の分散を抑え、減衰が抑制されたエコー信号による画像情報が反映された平準化画像を、エコー時間ごとに求め、これら平準化画像における画素値に基づいてT2*値もしくはR2*値を特定することができ、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスによるエコー信号に基づくT2*値またはR2*値の測定誤差を低減することができる。
第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を概略的に示す図である。 第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の処理フロー(flow)の一例を示す図である。 第1実施形態によるパルスシーケンス(pulse sequence)の一例を示す図である。 エコー信号を基に生成されたT2*強調画像からT2*を特定する処理の概念図である。 第2実施形態によるパルスシーケンスの一例を示す図である。
以下、発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、静磁場マグネット(magnet)部12、勾配コイル部13、RF(Radio Frequency)コイル部14、RF駆動部22、勾配駆動部23、データ(data)収集部24、被検体搬送部25、制御部30、記憶部31、操作部32、画像再構成部33、および表示部34を有している。
静磁場マグネット部12は、静磁場を発生させ、静磁場空間11を生成する。
勾配コイル部13は、電流の供給を受けて、スライス軸方向、位相エンコード方向、および周波数エンコード方向の3軸方向に勾配磁場を独立に発生させる。なお、ここでは、周波数エンコード方向、位相エンコード方向、およびスライス軸方向は、それぞれ、図1に示すx方向、y方向、およびz方向と対応している。
RFコイル部14は、電流の供給を受けて、静磁場空間11内の被検体40の原子核スピンを励起するための高周波磁場(RFパルス)を発生させる。
RF駆動部22は、制御部30からの制御信号を基にRFコイル部14を駆動して、静磁場空間11内に高周波磁場を発生させる。
勾配駆動部23は、制御部30からの制御信号を基に勾配コイル部13を駆動して、静磁場空間11内に勾配磁場を発生させる。
データ収集部24は、RFコイル部14が受信したエコー信号を位相検波し、AD(Analog-Digital)変換して、エコー信号のデータを生成する。生成されたエコー信号のデータは、記憶部31に出力される。
被検体搬送部25は、制御部30からの制御信号を基に、被検体40を静磁場空間11の内外に搬送する。
制御部30は、被検体や撮影部位ごとにグラディエント・シム調整を行うよう、勾配駆動部23に制御信号を送って制御する。また、制御部30は、操作部32からの操作信号を基に、決められたパルスシーケンスを実施するよう、RF駆動部22、勾配駆動部23、データ収集部24、被検体搬送部25の各部に制御信号を送って制御する。また、制御部30は、画像再構成部33により得られた画像データを解析して、T2*値やR2*値を算出する。
記憶部31は、データ収集部24により収集されたエコー信号のデータや、画像再構成部33により画像再構成処理して得られた画像データ等を記憶する。
画像再構成部33は、制御部30からの制御により、記憶部31からエコー信号のデータを読み出し、そのエコー信号のデータに対して画像再構成処理を行って画像データを生成する。画像データは、記憶部31に出力される。
表示部34は、操作部32の操作に必要な情報や、画像データが表す画像などを表示する。
制御部30、記憶部31、画像再構成部33は、例えばコンピュータ(computer)により構成される。
これより、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置の動作について説明する。
本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1は、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを実施して、互いに異なる複数のエコー時間でエコー信号を収集し、エコー時間ごとにT2*強調画像を生成する。そして、これら複数のT2*強調画像を基に、被検体40における所定の組織のT2*値を求める。
図2は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による処理の流れを示すフローチャートである。また、図3は、本実施形態により実施されるパルスシーケンスの一例を示す図である。
まず、被検体40を静磁場空間11内に搬送して、本スキャン(scan)に先立ってプレスキャン(pre scan)を行い、その結果を参照してグラディエント・シム調整を行う(ステップS1)。
グラディエント・シム調整は、勾配コイル部13のオフセット電流を調整して、静磁場空間11内に重畳する微弱な勾配磁場を調整し、静磁場の不均一性を補正する調整である。グラディエント・シム調整は、位相エンコード方向、周波数エンコード方向、およびスライス軸方向のそれぞれについて行う。なお、ここでは、グラディエント・シム調整により静磁場空間11内に重畳することになった微弱な勾配磁場の大きさを、「グラディエント・シム調整値」という。
グラディエント・シム調整後は、当該調整が実施された撮影系を用いて、すなわち静磁場空間11内に、シム調整により必要に応じて設定された微弱な勾配磁場を重畳している状態で、本スキャンとして、図3に示すようなパルスシーケンスを実施する。このパルスシーケンスは、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを基本としている。そして、その特徴は、スライス選択勾配磁場および励起用RFパルスを印加し、その印加後に、エコー時間が互いに異なる複数の読出し勾配磁場を印加し、これらの各印加と同一期間に、所定の勾配磁場をスライス軸方向に印加する、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを、位相エンコード勾配磁場を順次変えながら、かつ、所定の勾配磁場を、極性、大きさが異なる複数ステップの勾配磁場に順次変えながら繰り返し実施する点にある。
この所定の勾配磁場は、グラディエント・シム調整の誤差によりスライス軸方向に生じる誤差勾配磁場ERによる原子核スピンの位相の分散を補正するための補正用勾配磁場である。誤差勾配磁場ERの極性および大きさは、スライスの位置やスライス面上での場所に応じて変化し、正確に求めることは困難である。そこで、極性や大きさが異なる複数ステップの補正用勾配磁場を設定し、これらを順次印加することで、いずれかの補正用勾配磁場により原子核スピンの位相の分散が略補正された状態でエコー信号を収集できるようにすることを狙いとしている。
図3のパルスシーケンスについて、より詳しく説明する。
このパルスシーケンスでは、まず、スライスを選択するための正極性のスライス選択勾配磁場SS1を印加する。そして、このスライス選択勾配磁場SS1の印加とほぼ同時に、選択すべきスライス内の原子核スピンを励起するためのRFパルスRF1を印加する。なお、本例では、原子核としてプロトン(proton)、励起用RFパルスとして90°パルスを想定するが、これらに限定されるものではない。
スライス選択勾配磁場SS1およびRFパルスRF1の印加後は、次に示すようなシーケンスとなる。
スライス軸方向には、リフェーズのための負極性のスライス選択勾配磁場SS2を印加する。なお、このスライス選択勾配磁場SS2の印加後は、理想的には、原子核スピンの位相が再集束してその位相の分散が止まる。しかし、実際には、図3中の破線で示すように、スライス軸方向に、グラディエント・シム調整の誤差により生じる実効的な誤差勾配磁場ERが常に重畳された状態になっている。そのため、この誤差勾配磁場ERにより、原子核スピンの位相の分散は進み続けることになり、不本意なスピンの減衰が生じる。
一方、位相エンコード方向には、通常の位相エンコーディングのため、位相エンコード勾配磁場PE1を印加する。位相エンコード勾配磁場PE1としては、例えば、k−空間を埋めるために必要な、正極性から負極性に渡って段階的に設定された複数ステップの位相エンコード勾配磁場のうち1つを用いる。
また、周波数エンコード方向には、周波数エンコーディングすなわちエコー信号読出しのため、負極性と正極性とを所定数繰り返す読出し勾配磁場RO1,RO2,…,RO6を印加する。最後の読出し勾配磁場RO6は、いわゆるスポイラ(spoiler)である。このような読出し勾配磁場により、エコー時間を第1〜第4のエコー時間TE1〜TE4とする、第1〜第4の信号読出しr1〜r4が行われ、第1〜第4のエコー信号e1〜e4がそれぞれ読み出される。なお、本例では、読出し勾配磁場RO2,…,RO5は、磁場の極性が反転するバイポーラ(bi-polar)型であるが、磁場の極性が同じになるモノポーラ(mono-polar)型でもよい。
スライス軸には、読出し勾配磁場RO2,…,RO5のそれぞれの印加と同一期間、すなわちエコー信号の読出し期間に、補正用勾配磁場SS3,…,SS6を印加する。補正用勾配磁場SS3,…,SS6としては、正極性から負極性に渡って段階的に設定された、正極性および負極性を含んでいる複数ステップの補正用勾配磁場のうち1つを用いる。
この複数ステップの補正用勾配磁場は、スライス軸方向におけるグラディエント・シム調整値と実質的に同じかそれより小さい所定の大きさをステップ幅とし、例えば、次式のように設定する。
Figure 0005562095
ここで、Gvは、補正用勾配磁場の大きさ(±の極性を含む)であり、Zsは、スライス軸方向のグラディエント・シム調整値であり、nは、n=0,1,2,…,N−1という値を取る変数である。Nは、2以上の任意の偶数であり、実用的には、N=4,6程度である。グラディエント・シム調整値は、正と負の両極性側に、例えば0(ゼロ)以上、0.1〔G(ガウス;Gauss)/cm〕以下の範囲で、例えば1×10−3〔G/cm〕を最小単位として調整可能である。グラディエント・シム調整値が0である場合には、Zsを、所定の大きさ、例えばグラディエント・シム調整の最小単位の大きさとする。
図3の例では、簡略的に、正と負の両極性に2段階ずつ、センタ(center)を含めて合計5段階のステップの補正用勾配磁場が設定されている。このとき、補正用勾配磁場SS3,…,SS6として印加された勾配磁場が、「誤差勾配磁場ERと大きさが略同じで極性が逆となる勾配磁場」であれば、エコー信号の読出し期間中、位相の分散が抑えられ、減衰の少ない強いエコー信号を読み出すことができる。一方、補正用勾配磁場SS3,…,SS6として印加された勾配磁場が、「誤差勾配磁場ERと大きさが略同じで極性が逆となる勾配磁場」でない場合には、位相の分散が進み、減衰した弱いエコー信号が読み出されることになる。
誤差勾配磁場ERの大きさと極性は、選択されるスライスやそのスライス面上での位置に応じて変化する。また、誤差勾配磁場ERの大きさと極性を前もって正確に求めることは困難である。そこで、上記のように複数ステップの補正用勾配磁場を予め設定しておいて、これらを順次印加してゆき、少なくともいずれかの補正用勾配磁場により、原子核スピンの位相の分散が抑えられ、減衰の少ない強いエコー信号が読み出されるようにする。
エコー信号の読出しが終わったら、フェーズリワインダ(phase rewinder)としての位相エンコード勾配磁場PE2を印加する。位相エンコード勾配磁場PE2は、先に印加された位相エンコード勾配磁場PE1と大きさが略同じで極性が逆の勾配磁場となる。
このような読出し勾配磁場RO2,…RO5の印加と同一期間に、補正用勾配磁場SS3,…,SS6を印加するシーケンスを、k−空間を埋めるエコー信号がすべて得られるように、位相エンコード勾配磁場PE1,PE2を順次変えながら実施する(ステップS2〜S4)。そして、このような位相エンコード勾配磁場を変えながら実施するシーケンスを、補正用勾配磁場SS3,…,SS6の大きさと極性を、複数ステップの補正用磁場勾配の各々に順次変えながら繰り返し実施する(ステップS5,S6)。
その結果、エコー時間と補正用勾配磁場との組合せごとに、当該組合せの条件に対応して読み出されたエコー信号を得ることができる。つまり、マルチエコー数と補正用勾配磁場のステップ数とを乗算したセット数分のエコー信号のデータセット(data set)が得られる。図3の例では、マルチエコー数=4、ステップ数=5であり、20セット分のエコー信号のデータセットDTEi,Gvjが得られる。ここで、TEiは、読出し勾配磁場RO2〜RO5のそれぞれに対応するエコー時間であり、i=1,2,…,4である。また、Gvjは、複数ステップの補正用勾配磁場の極性および大きさであり、j=1,2,…,5である。
そして、データセットDTEi,Gvjごとに、エコー信号のデータをk−空間に入れて、位相エンコード方向(y方向)と周波数エンコード方向(x方向)の二方向に対する二次元フーリエ変換(Fourier transformation)を行い、上記20セット分の二次元複素数画像データJTEi,Gvj(i=1,2,…,4、j=1,2,…,5)を得る(ステップS7)。なお、ここで用いるフーリエ変換は、厳密には逆フーリエ変換であるが、ここでは特に区別することなく説明する。
次いで、これら二次元複素数画像JTEi,Gvjの各々について、スライス軸方向(z方向)に対する一次元フーリエ変換を行い、図4に示すように、上記20セット分の複数の画像PTEi,Gvj(i=1,2,…,4、j=1,2,…,5)を生成する(ステップS8)。なお、エコー時間TEが同一である複数の画像PTEa,Gvj(j=1,2,…,5)は、選択されたスライス厚内のいずれかの場所の画像に相当するT2*強調画像である。なお、これら複数の画像PTEa,Gvj(j=1,2,…,5)の中には、原子核スピンの位相の分散により減衰した弱いエコー信号に基づく画像と、その位相の分散の補正により減衰が少ない強いエコー信号に基づく画像とが含まれている。
そして、図4に示すように、エコー時間TEごとに、同一のエコー時間について生成された複数の画像PTEi,Gvjを、画素単位で加算平均して平準化し、平準化画像QTEi(i=1,2,…,4)を求める(ステップS9)。
Figure 0005562095
このようにして得られた平準化画像QTEiは、選択されたスライス厚全体のT2*を表すT2*強調画像に相当し、各平準化画像QTEiは、エコー時間がTE1,TE2,…,TE4となる4種類のT2*強調画像である。
その後は、図4に示すように、エコー時間が異なる4種類の平準化画像QTEi(i=1,2,…,4)における互いに対応する画素(x,y)の画素値ITEi(x,y)を、下式で示すようなエコー時間を変数とするT2*減衰の曲線でフィッティングして、T2*値またはその逆数であるR2*値を求める(ステップS10)。
Figure 0005562095
ちなみに、本実施形態では、x,yの二方向について、二次元フーリエ変換を行った後に、z方向について、一次元フーリエ変換を行っているが、x,y,zの各方向に対するフーリエ変換は互いに独立なので、これらの各方向に対するフーリエ変換の実施する順番は可変である。
なお、本実施形態による手法の本質は、3Dスキャンの考え方を用いると理解しやすい。本実施形態によるパルスシーケンスの複数ステップの補正用勾配磁場を、3Dスキャンのスライスエンコード勾配として捕らえると、グラディエント・シム調整の誤差による誤差勾配磁場ERは、k−空間におけるz方向のオフセット、すなわちkz方向の単なるエコーセンタずれとなる。つまり、3Dスキャンのようにフーリエ変換することにより、誤差勾配磁場ERによるエコー信号の減衰が復元されることになる。
通常の3Dスキャンでは3Dのスライス厚が計算により制御され、スラブ(slab)厚=3Dスライス厚×スライス数の関係が成り立っているが、本実施形態におけるフーリエ変換後の画像データは、補正用勾配磁場の大きさのステップ幅が、グラディエント・シム調整値と同オーダーで微弱なため、通常の3Dスキャンのような位置情報は持たない。
しかしながら、フーリエ変換後の画像データは、RF励起による2Dスライス面内のデータであることには間違いなく、すべてのフーリエ変換後の画像データをスライス軸方向に平準化すれば、普通に撮影した2D画像と同等の画像が得られる。
そして、この平準化画像は、従来方法におけるグラディエント・シム調整の誤差による不要な信号減衰が回復し、3Dスキャンのように撮影したことによるS/N低下も回復している。
以上、このような第1実施形態によれば、グラディエント・シム調整の誤差により生じる実効的な誤差勾配磁場による原子核スピンの位相の分散を抑え、減衰が抑制されたエコー信号による画像情報が反映された平準化画像を、エコー時間ごとに求め、これら平準化画像における画素値に基づいてT2*値またはR2*値を特定することができ、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを用いて被検体のT2*値またはR2*値を測定する場合における、グラディエント・シム調整の誤差に起因する測定誤差を低減することができる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態によるパルスシーケンスを示す図である。このシーケンスは、エコー時間の間隔がより広い場合の例であり、読出し勾配磁場RO2,RO5,RO8のすべての極性が同一で、補正用勾配磁場SS2,SS4,SS6を読出し勾配磁場の各印加前に印加する。
このような第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスによるエコー信号に基づくT2*値またはR2*値の測定誤差を低減することができる。
以上、発明の実施形態について説明したが、発明の実施形態は、上記したものに限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加・変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、マルチエコー数を3〜4、補正用勾配磁場のステップ数を5としているが、マルチエコー数および補正用勾配磁場のステップ数は、いずれも複数であればよい。
また例えば、上記の各実施形態では、補正用勾配磁場として、印加時間が一定で大きさが異なる複数ステップの勾配磁場を用いているが、大きさが一定で印加時間が異なる複数の勾配磁場を用いてもよい。
また例えば、上記の各実施形態では、エコー時間TEごとに、複数の画像PTEi,Gvjを加算平均して、平準化画像QTEiを得ているが、複数の画像PTEi,Gvjを加重加算して平準化画像QTEiを得てもよい。
また例えば、上記の各実施形態では、スライス選択勾配磁場および励起用RFパルスを印加し、この励起用RFパルスの印加後に、エコー時間が互いに異なる複数の読出し勾配磁場を印加するとともに、これら読出し勾配磁場の各印加前または各印加と同一期間に、補正用勾配磁場をスライス軸方向に印加する、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを、位相エンコード勾配磁場を順次変えながら繰り返し実施する処理を、補正用勾配磁場を、勾配の大きさと印加時間との積がそれぞれ異なる複数の勾配磁場の各々に順次変えながら繰り返し行うことを想定している。しかし、上記マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを、補正用勾配磁場を、勾配の大きさと印加時間との積がそれぞれ異なる複数の勾配磁場の各々に順次変えながら繰り返し実施する処理を、位相エンコード勾配磁場を順次変えながら繰り返し行うようにしてもよい。この場合、画像を生成するためのk−空間に埋まるエコー信号は、時系列的にはバラバラになるが、このような方法でもエコー時間および補正用勾配磁場の組合せごとに画像を生成することは可能である。
1 磁気共鳴イメージング装置
12 静磁場マグネット部
13 勾配コイル部
14 RFコイル部
22 RF駆動部
23 勾配駆動部
24 データ収集部
25 被検体搬送部
30 制御部
31 記憶部
32 操作部
33 画像再構成部
34 表示部
40 被検体

Claims (7)

  1. 静磁場空間に重畳する勾配磁場を調整して、該静磁場空間における静磁場の不均一を補正するグラディエント・シム調整を実施する磁気共鳴イメージング装置であって、
    スライス選択勾配磁場および励起用RFパルスを印加し、該励起用RFパルスの印加後に、エコー時間が互いに異なる複数の読出し勾配磁場を印加するとともに、該読出し勾配磁場の各印加前または該各印加と同一期間に、所定の勾配磁場をスライス軸方向に印加する、マルチエコーのグラディエントエコー系シーケンスを、
    位相エンコード勾配磁場を順次変えながら、かつ、前記所定の勾配磁場を、勾配の大きさと印加時間との積がそれぞれ異なる複数の勾配磁場の各々に順次変えながら繰り返し実施するシーケンス実施手段と、
    前記エコー時間と前記所定の勾配磁場との組合せごとに、該組合せの条件に対応して読み出されたエコー信号に基づく画像を、フーリエ変換を用いて生成する画像生成手段と、
    前記エコー時間ごとに、同一のエコー時間について前記画像生成手段により生成された複数の画像を平準化して平準化画像を求める画像平準化手段と、
    前記エコー時間ごとに求められた平準化画像における互いに対応する画素の画素値に基づいて、該画素に対応する物質のT2*値またはその逆数であるR2*値を特定する特定手段とを備えている磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記複数の勾配磁場は、前記グラディエント・シム調整によりスライス軸方向に重畳する勾配磁場の大きさと実質的に同じかそれより小さい所定の大きさをステップ幅とする複数ステップの勾配磁場である請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記スライス軸方向に重畳する勾配磁場の大きさは、0より大きく、0.1〔G/cm〕以下である請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 前記複数ステップの勾配磁場は、正極性および負極性を含んでいる請求項2または請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  5. 前記平準化は、前記複数の画像の加算平均である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記平準化は、前記複数の画像の加重加算である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記特定手段は、前記互いに対応する画素の画素値に、エコー時間を変数とするT2*減衰の曲線をフィッティングして、前記T2*値またはR2*値を特定する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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