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JP5553859B2 - 多極モータ - Google Patents

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JP5553859B2 JP2012125099A JP2012125099A JP5553859B2 JP 5553859 B2 JP5553859 B2 JP 5553859B2 JP 2012125099 A JP2012125099 A JP 2012125099A JP 2012125099 A JP2012125099 A JP 2012125099A JP 5553859 B2 JP5553859 B2 JP 5553859B2
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Description

本発明は、2速度以上の動作切り換えが可能な4極以上の多極モータに関し、特に、車両用ワイパ装置の駆動源等に使用されるモータに関する。
従来より、自動車等の車両用ワイパ装置の駆動源としては、起動トルクが大きく、高負荷時に大きなトルクが得られるブラシ付きDCモータが広く使用されている。このようなワイパモータでは、ワイパ装置の低速・高速作動(HI/LOW)モードに対応して、モータ側にて2速度切り換えが可能な3ブラシ構造が採用されることが多い。図11は、2速度切り換えが可能なワイパモータのブラシ配置構成を示す説明図である。
図11に示すように、従来のワイパモータでは、コモンブラシ51a(−)と、低速(LOW)用ブラシ51b(+)、高速(HI)用ブラシ51c(+)の3個のブラシが設けられ、高速用ブラシ51cは、低速用ブラシ51bよりも進角した位置に配置される。例えば、特開2003−315274号公報にも、同様の3ブラシ構造を有するワイパモータが開示されており、ドライバのスイッチ切り換えに応じて、使用するブラシを切り換え、ワイパ装置の2速度作動を実現している。また、実開平7−28756号公報では、3ブラシ構造のワイパモータを使用したワイパ装置において、制御上の工夫により、低速と高速の間に中間速のモードを実現したものが示されている。
特開2002−315274号公報 実開平7−28756号公報 特開2000−166185号公報 特開平3−11963号公報 特開2001−95219号公報 特開2001−112217号公報 特開2002−17061号公報 特開2002−58227号公報 特開2002−218692号公報 特開2002−233123号公報 特開2002−305861号公報 特開2004−56851号公報 特開2004−274816号公報 特開2004−274821号公報 特開2004−289992号公報
一方、従来のワイパモータは、構造的に簡単な2極モータが主流であり、現状では4極以上の多極モータは市場には殆ど存在していない。これに対し、近年、ワイパモータの小型・軽量化の要請から、コアやマグネット、ヨーク等の小型・薄型化が図れる4極モータの採用が検討されている。しかしながら、4極重巻仕様のモータにて2速度切り換えを実現しようとすると、図12に示すように、コモン/低速用/高速用のブラシが2組必要となり、合計6個のブラシ(51a,51a’,51b,51b’,51c,51c’)を配置しなければならない。このようにブラシ個数が増加すると、製品コストが増大すると共に、ブラシ同士が近接し、部品レイアウト上も好ましくない。このため、小型・軽量化の要請に対しては、4極モータを如何に小型化するかが製品開発の中心とならざるを得ないという問題があった。
本発明の目的は、4極重巻仕様のワイパモータにおいて、ブラシ個数の増大を抑えつつ、2速度以上の動作切り換えを実現し、モータの小型軽量化を図ると共に、コストアップを抑え、レイアウト性の向上を図ることにある。
本発明の多極モータは、モータハウジングの内周面に固定された4極以上の界磁磁極と、電機子巻線が重巻にて巻装されたアーマチュアと、前記電機子巻線が電気的に接続された整流子片が周方向に沿って複数個配設され、前記アーマチュアに配置された整流子と、隣接する前記整流子片間に接続され、前記電機子巻線を形成する複数のコイルと、前記整流子の表面に摺接し、前記コイルに対し給電を行う2以上のブラシと、等電位となる前記コイルの等電位点の間を接続する均圧部材と、を備えてなる多極モータであって、該多極モータに、前記2以上のブラシとして、低速作動時に通電される第1及び第2ブラシと、前記第1及び第2ブラシの何れか一方と共に高速作動時に通電される速度変更用の第3ブラシの3個のブラシのみを設け、前記第1〜第3の3個のブラシによって前記整流子を三方から押圧するように、前記第1ブラシと前記第2ブラシを略90°間隔にて配置すると共に、高速作動時に通電される前記第3ブラシを、前記第1ブラシと前記第2ブラシとの間に形成される空間のうち広角側の空間に配置したことを特徴とする。
本発明にあっては、均圧部材を用いることにより、第1〜第3ブラシの対向位置に本来存在すべき同電位のブラシを削減することができ、多極モータにおいて2速度を実現しつつ、ブラシ個数の削減が可能となる。このため、モータを多極化したにもかかわらず、ブラシ個数増大に伴うコストアップがなく、また、ブラシ周りでの損失増大もない。さらに、ブラシの近接配置問題も生じない。従って、多極機による小型・軽量化のメリットを享受しつつ、ブラシ数を大幅に増大させることなくHI,LO等の2速度作動が実現できる。
本発明の多極モータによれば、4極以上の界磁磁極を備え、電機子巻線が重巻にて巻装された多極モータにて、給電用のブラシとして、第1〜第3ブラシの3個のブラシのみを整流子を三方から押圧する位置に設けると共に、低速作動時は第1及び第2ブラシに通電し、高速作動時は第1及び第2ブラシの何れか一方と第3ブラシに通電するようにしたので、同電位にて対向するブラシを削減することができ、多極モータにおいて2速度を実現しつつ、ブラシ個数の削減が可能となる。このため、ブラシ個数増大に伴うコストアップや、ブラシ周りでの損失増大を抑えることが可能となり、ブラシ近接問題も解決される。従って、多極機による小型・軽量化のメリットを享受しつつ、ブラシ数を大幅に増大させることなく、HI,LO等の2速度作動を実現することが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1であるワイパモータの構成を示す断面図である。ワイパモータ1は、自動車用ワイパ装置の駆動源として使用され、モータ部Mと、モータ部Mの回転出力を減速する減速部Rとから構成されている。モータ部Mは、図1に示すように、有底円筒形状のモータハウジング2内にアーマチュア3を回動自在に配置した構成となっている。モータハウジング2の内周面には、周方向に2対4個の永久磁石(界磁磁極)4が固定されており、この永久磁石4によってワイパモータ1は4極に構成される。
アーマチュア3は、回転軸5に固定されたアーマチュアコア6と、アーマチュアコア6に巻装されたアーマチュアコイル(電機子巻線)7とから構成されている。回転軸5の図中左端部は、モータハウジング2に取り付けられた軸受8によって回動自在に支持されており、アーマチュア3はモータハウジング2内に回動自在に内装される。アーマチュアコア6は、リング状の金属板9を複数枚積層して構成されており、回転軸5に固定されている。アーマチュアコア6の外周には、軸方向に沿ってスロット11が凹設されている。スロット11間には巻線12が重巻にて巻装される。この巻線12によって、アーマチュアコア6の外周にアーマチュアコイル7が形成される。
アーマチュアコア6の一端側には、コンミテータ13が隣接して配置されている。コンミテータ13は、回転軸5に外嵌固定されている。コンミテータ13の外周面には、導電材にて形成されたコンミテータ片(整流子片)14が複数枚取り付けられている。コンミテータ片14は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って並列状に固定される。各コンミテータ片14のアーマチュアコア6側の端部には、ライザ15が形成されている。ライザ15には、アーマチュアコイル7の巻き始め端部と巻き終り端部となる巻線12が巻回され、フュージングにより固定されている。これにより、コンミテータ片14とこれに対応するアーマチュアコイル7とが電気的に接続される。
モータハウジング2の開口端には、減速部Rを構成するアルミダイキャスト製のギヤハウジング16が取り付けられている。ギヤハウジング16の図中左端部内側には、ホルダステー17が取り付けられている。図2に示すように、ホルダステー17には周方向4箇所に2対のブラシホルダ18が対向配置されており、モータ部Mは4並列回路4ブラシ構成となっている。ブラシホルダ18には、それぞれブラシ19(19a〜19d)が出没自在に内装されている。各ブラシ19は、ブラシ19aと19c、ブラシ19bと19dがそれぞれ同極性(19a,19c:+、19b,19d:−)となっている。
各ブラシ19の突出先端部(内径側先端部)はコンミテータ13に摺接しており、ブラシ19はスプリング21によってコンミテータ13に押接されている。各ブラシ19にはピグテール22が取り付けられており、ピグテール22を介して図示しない電源と電気的に接続されている。コンミテータ13には、ピグテール22,ブラシ19を介して外部電源から電力が供給される
減速部Rのギヤハウジング16内には、回転軸5の右端部とウォームホイール23等が収容されている。ギヤハウジング16内には、回転軸5の中央部を回転自在に支持する軸受24が固定されている。回転軸5の先端部にはウォーム25が形成されており、ウォーム25はウォームホイール23と噛合している。ウォームホイール23は出力軸26に固定されている。モータ部Mが作動し回転軸5が回転すると、その回転はウォーム25からウォームホイール23に伝達され、出力軸26が回転する。出力軸26は、図示しないリンク機構を介してワイパアームと接続されており、出力軸26の回転に伴いワイパアームが所定の払拭動作を行う。
このような構成からなるワイパモータ1では、各ブラシ19を次のように切り換えることにより、HI,LOWの2速度に加え、その中間の速度を持つMIDモードを形成する。すなわち、当該ワイパモータ1は、4個のブラシ19a〜19dにて「通常作動(低速)−中速−高速」の3モードを実現している。図3(a)はワイパモータ1のブラシ構成を示す説明図、図3(b)は各モードにおける通電ブラシを示す一覧表、図4は各モードにおけるブラシ通電状態を示す説明図である。
図2,図3(a)に示すように、ワイパモータ1のブラシ19は、4個のブラシ19a〜19dが90°間隔で等分に対向配置されており、ここでは、ブラシ19a(正極第1ブラシ)を+(1)、19b(負極第1ブラシ)を−(1)、19c(正極第2ブラシ)を+(2)、19d(負極第2ブラシ)を−(2)とする。この場合、LOWモードでは、図4(a)におけるスイッチSW1,SW2が何れもOFFされ、図3(b)-(a)に示すように+(1)と−(1)が通電される。すなわち、+(1)と−(1)が電源側と接続され、一対のブラシのみが使用される。従って、二対のブラシを共に使用した場合(後述するHIモード)に比して供給電流量が制限され、モータ回転数が低くなる。
次に、HIモードでは、図4(c)に示すように、スイッチSW1,SW2が共にONされ、+(1),+(2),−(1),−(2)の4本のブラシが全て通電される(図3(b)-(c))。このように、対向する二対4本のブラシが通電されると、一対のブラシ(+(1),−(1))に通電する場合よりも供給電流量が増大し、モータ回転数が高くなる。一方、当該ワイパモータ1で新設されるMIDモードでは、図4(b)に示すように、スイッチSW1はOFFのままSW2がONされ、+(1)と−(1)及び−(2)が通電される(図3(b)-(b))。つまり、4個のブラシ19a〜19dのうち、3個が使用される形となり、供給電流量が一対のブラシ(+(1),−(1))を使用する場合よりは多いが、二対のブラシを共に使用した場合よりは少なくなる。従って、この場合は、LOWモードとHIモードの中間のモータ回転数となる。
このように、当該ワイパモータ1では、4個のブラシ19a〜19dに対する通電状態を図3(b)のように制御することにより、モータ回転数を低速−中速−高速に変化させることができる。すなわち、4極モータでありながら、4個のブラシにてモータ速度を2速度以上に切り換えることができる。従って、多極機においてもブラシ数を大幅に増大させることなく、HI,LO作動を実現でき、多極機による小型・軽量化のメリットを享受しつつ、従来のワイパモータにはないMIDモードをも付加することが可能となる。なお、HI,MID,LOWの各モードにおいて間欠作動を行わせることもでき、トータルで6モードの作動形態が実現可能である。
一方、図3(b)のような制御形態を採ると、最も使用頻度の高いLOWモードでは、+(1)と−(1)を通電する組み合わせとなる。ところが、+(1)と−(1)を通電すると、図4(a)からも分かるように、ブラシ間で並列回路の巻線長が異なり電気的にアンバランスとなる上に、+(2),−(2)によって短絡されるアーマチュアコイル7が回転軸5に対し対称に配されず、磁気的にもアンバランスとなる。そこで、ワイパモータ1では、かかる磁気的アンバランスを解消すべく、隣接するコンミテータ片14間に接続された個々のコイルを、回転軸に対し点対称に配置された複数の副コイルにて形成する巻線形態を採用し、モータ耐久性の向上を図っている。
図5(a)〜(d)は、前述の巻線形態の例を示す巻線展開図である。図5(a)の巻線形態では、巻線12をアーマチュアコア6の対向する位置に2つに分けて巻装する。すなわち、図5(a)では、例えば3番コンミテータ片14cより巻き始められた巻線12は、3番コンミテータ片14cのライザ15に懸け回された後、1−2番ティースの間のスロット11aと5−6番ティースの間のスロット11eとの間に巻装され、コイル7A(副コイル)が形成される。コイル7Aは、アーマチュアコイル7における所定のターン数nの半分の回数(n/2)巻装される。
コイル7Aはその後、スロット11e,11aと径方向に対向する、すなわち、周方向に180°回転した位置に存在する11−12番ティースの間のスロット11kと15−16番ティースの間のスロット11oの間に巻装され、コイル7B(副コイル)が形成される。コイル7Bは、コイル7Aと同じ方向に、所定のターン数nの半分の回数(n/2)で巻装され、その後、巻線12は4番コンミテータ片14dに接続される。これにより、3,4番コンミテータ片14c,14dの間には、径方向に対向し、かつ直列接続された一対のコイル7A,7Bを備えたアーマチュアコイル7が形成される。同様に、隣接するコンミテータ片14間には、径方向に対向し、かつ直列接続された一対のコイル7A,7Bを備えたアーマチュアコイル7を形成する。
次に、図5(b)の巻線形態では、巻線12を四方に等分に巻装する。すなわち、図5(b)では、例えば3番コンミテータ片14cより巻き始められた巻線12は、スロット11a−11e間に(n/4)ターン巻装され(コイル7A)、次に、スロット11eからスロット11jに向い、スロット11a,11eから周方向に90°ずれた位置にあるスロット11f,11jの間に巻装される(コイル7B)。コイル7Bは、コイル7Aと極性の異なる磁極(永久磁石4)に対向するため、スロット11f−11j間では、巻線12は、11a−11e間とは逆の巻き方向で(n/4)ターン巻装される。その後、巻線12は、スロット11fからスロット11kに向い、スロット11f,11jから周方向に90°ずれた位置(スロット11a,11eに対しては180°対向位置)にあるスロット11k,11oの間に巻装される(コイル7C;副コイル)。スロット11k−11o間では、巻線12は、11a−11e間と同じ巻き方向で(n/4)ターン巻装される。
スロット11k−11o間に巻装した後、巻線12はさらに、スロット11oからスロット11pに向い、スロット11k,11oから周方向に90°ずれた位置(スロット11f,11jに対しては180°対向位置)にあるスロット11p,11tの間に巻装される(コイル7D;副コイル)。スロット11p−11t間では、巻線12は、11a−11e間とは逆の巻き方向で(n/4)ターン巻装される。巻線12は、その後、スロット11pから4番コンミテータ片14dに接続される。この場合も、コイル7A〜7Dは回転軸5に対し点対称に等しく配置されており、ブラシ19によって短絡されたアーマチュアコイル7は、回転軸5に対し対称な位置関係に配置される。
図5(c)の巻線形態では、図5(a)と同様に、巻線12をアーマチュアコア6の対向する位置に2つに分けて巻装するが、巻線12の巻装方式が(a)とは異なっている。ここでは、3番コンミテータ片14cより巻き始められた巻線12は、スロット11a−11e間に、まず((n/2)−m)回巻装される。次に、巻線12は、スロット11e,11aと径方向に対向するスロット11k,11oの間に(n/2)ターン巻装される(コイル7B)。その後、巻線12は、スロット11oからスロット11aに向い、スロット11a−11e間にm回巻装され、4番コンミテータ片14dに接続される。つまり、スロット11a−11e間には、先の((n/2)−m)回と合わせて巻線12が(n/2)ターン巻装されコイル7Aが形成される。
図5(d)の巻線形態では、図5(b)と同様に、巻線12を四方に等分に巻装するが、巻線12の巻装方式が(c)とは異なり、図5(c)と同様の形態となっている。すなわち、3番コンミテータ片14cより巻き始められた巻線12は、スロット11a−11e間に、まず((n/2)−m)回巻装される。次に、巻線12は、スロット11f−11j間にてコイル7B、スロット11k−11oにてコイル7C、スロット11p−11t間にてコイル7Dを図5(c)と同様に形成する。その後、巻線12は、スロット11pからスロット11aに向い、スロット11a−11e間にm回巻装され、4番コンミテータ片14dに接続される。つまり、スロット11a−11e間には、先の((n/2)−m)回と合わせて巻線12が(n/2)ターン巻装されコイル7Aが形成される。
このように、図5に例示したような巻線形態を採用すると、ブラシ19によって短絡されたアーマチュアコイル7は、コイル7A,7B(7C、7D)により、常に、回転軸5に対し対称な位置関係に配置される。従って、アーマチュアコイル7に関する磁気的なアンバランスが解消され、LOWモードにおいても均一な磁気バランスとなり、モータの耐久性が向上する。図6はワイパモータ1の耐久試験結果であり、(a)はHIモード、(b)はLOWモードにおける結果を示している。
図6に示すように、前述のような巻線形態を採用した場合、従来の重巻巻線に比して、ブラシ摩耗速度が大幅に低下する。すなわち、HIモードでは、正極・負極共に1/4強、LOWモードでは、正極は約1/5,1/7、負極は約1/6,1/20となった。これに伴い、耐久性も大幅に向上し、HIモードでは約4.5倍、LOWモードでは約20倍と大きく向上した。図6の試験は、現在の自動車用電装品の通常電圧(14V仕様)よりも過酷な条件である高電圧仕様(42V)にて試験を実施しており、通常電圧ではより高い耐久性が得られる。また、高電圧仕様が採用された場合でも、当該ワイパモータ1は十分な耐久性を有していることが分かる。
次に、本発明の実施例2として、均圧線(均圧部材)を用いてブラシ数を削減した形態について説明する。図7は、本発明の実施例2であるワイパモータのブラシ構成を示す説明図である。本実施例のワイパモータも、その基本構成は、図11に示した実施例1のワイパモータ1と同様であり、4極重巻の仕様となっている。なお、以下の実施例では、実施例1と同様の部材、部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
本実施例のワイパモータでは、アーマチュアコイル7の等電位点を均圧線にて接続する。すなわち、アーマチュアコイル7の対向するコイル同士を均圧線にて接続する。これにより、同電位にて対向するブラシ19の一方(19p',19q',19r')が存在しなくとも、これらのブラシによって給電されるコイルに対しては、他方側のブラシ19p(第1ブラシ),19q(第2ブラシ),19r(第3ブラシ)から均圧線を介して給電が行われる。従って、図7に破線にて示したように、対向するブラシ19の一方側(19p',19q',19r')を削減しても、均圧線によって、削減されたブラシが存在する場合と同様にアーマチュアコイル7に給電することが可能となる。
本実施例では、LOWモード時は、ブラシ19p,19qが使用される。この際、アーマチュアコイル7に対しては、ブラシ19p,19qを介して給電が行われるが、均圧線を介して、ブラシ19p',19q'によって給電されるべきコイルにも電流が流れる。
従って、実質的には、ブラシ19p,19q,19p',19q'の4ブラシに通電した場合と同様の状態でモータが駆動される。一方、HIモード時は、ブラシ19q,19rが使用される。この場合も、ブラシ19q,19rを介して給電が行われるが、均圧線を介して、ブラシ19p',19r'によって給電されるべきコイルにも電流が流れる。従って、実質的には、ブラシ19r',19q,19r,19q'の4ブラシに通電した場合と同様の状態でモータが駆動される。ブラシ19r,19r'はブラシ19p',19pに対し、(θ/2)°進角した位置に配置されており、HIモードではLOWモードよりもモータの回転数が高くなる。
このように、均圧線を用いると、2速度を実現しつつブラシ個数を6個から3個へと削減でき、これは、図11に示した従来の2極モータと同様のブラシ個数となる。このため、モータを多極化したにもかかわらず、ブラシ個数増大に伴うコストアップがなく、また、ブラシ周りでの損失増大もない。さらに、HI作動用のブラシ19rを、LOW作動用ブラシ19p’の近くに隣接して配置する必要がなく、HI,LOWブラシの近接配置問題も生じない。従って、多極機においてもブラシ数を増大させることなく、HI,LOW作動を実現でき、従来の2極機に対し小型・軽量化を図ることが可能となる。
加えて、本実施例のように、均圧線を使用することにより、アーマチュアコイル7の電気的なバランスが向上し、振れ回り力が低減し、騒音や振動を低減させることが可能となると共に、高電圧化にも対応可能な耐久性を得ることができる。なお、図11に示した従来の2極機では、ブラシ51a〜51cにより、図中に矢印で示したような方向にアーマチュア3が押される。これに対し、図7のブラシ構成とした場合には、アーマチュア3はブラシ19p,19q,19rによって概ね三方から押圧される。従って、図11の場合よりも、アーマチュア3に対するブラシ押圧荷重が均等化され、アーマチュア3の回転バランスが安定する。
さらに、本発明の実施例3として、実施例2のワイパモータにHI,LOW以外の作動モードを付加した形態について説明する。図8(a)は本発明の実施例3であるワイパモータのブラシ構成を示す説明図、(b)は(a)のモータにおける各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。図8のモータでは、図7のブラシ19p,19q,19rに加えて、実施例2では削除した19q'をθ°進角方向にずらす形で配置し、HI作動用のブラシ19sを新たに設置する。図7では、ブラシ19rはHI作動モードとされているが、ここでは、θ進角させたHI作動用ブラシ19sを設けることにより、(θ/2)°進角させたブラシ19rは、HI、LOWの中間のMID作動用ブラシとなる。
図8(b)に示すように、図8(a)のモータにおいては、LOWモードでは、ブラシ19p(+(1)),19q(−(1))が通電される。実施例2の場合と同様、当該モータには均圧線が設けられており、4極機でありながら1対のブラシ19p,19qにて4ブラシ機と同様に作動する。次に、HIモードでは、ブラシ19p(+(1)),19s(−(2))が通電される。ブラシ19sは、LOW作動用ブラシの配置位置(図8では、均圧線使用によりブラシ自体は省かれている)からθ°進角した位置に設けられており、モータはLOWモードよりも高い回転数で作動する。これに加え、当該モータでは、MIDモードが設けられており、この場合にはブラシ19r(+(2)),19q(−(1))が通電される。ブラシ19rは、LOW作動用ブラシの配置位置(同上)から(θ/2)°進角した位置に設けられており、モータはLOWモードとHIモードの中間の回転数で作動する。
図9(a)は図8の変形例を示す説明図、(b)は各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。図9の場合、ブラシ19r(+(2)),19s(−(2))が共に、LOW作動用ブラシの配置位置(同上)からθ'°進角した位置に設けられている。この場合、LOWモードでは、前述同様にブラシ19p(+(1)),19q(−(1))が通電される。これに対し、HIモードではブラシ19r(+(2)),19s(−(2))が通電され、θ'°の進角効果が得られ、図8のものよりもHIモードの高効率化が図られる。一方、MIDモードは、2つのパターンがあり、ブラシ19r(+(2)),19q(−(1)):MID 1、あるいは、ブラシ19p(+(1)),19s(−(2)):MID 2が通電され、(θ'/2)°進角した状態の回転速度が得られる。
本実施例の形態では、MIDモード以外に、LOWモードよりも低速回転の超LOWモードを設定することもできる。図10(a)は超LOWモードを設定した場合のブラシ構成を示す説明図、(b)は(a)のモータにおける各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。図10の場合、ブラシ19t(+(2))が、LOW作動用ブラシの配置位置からθ°遅角した位置に設けられている。その他のブラシは図8と同様の配置となっている。この場合も前述同様、LOWモードではブラシ19p(+(1)),19q(−(1))が、HIモードでは、ブラシ19p(+(1)),19s(−(2))が通電される。これに対し、超LOWモードではブラシ19t(+(2)),19q(−(1))が通電される。ブラシ19tは、LOW作動用ブラシの配置位置(同上)からθ°遅角(−θ°進角)した位置に設けられており、モータはLOWモードよりも低い回転数で作動する。
このように、本実施例では、実施例2の3ブラシ構成によって空いたスペースを活用し、そこにブラシをもう一つ付加することにより、従来の4極機と同様の4ブラシ構成でありながら、MIDモードや超LOWモードを備えた3速度を実現できる。すなわち、多極機においてもブラシ数を大幅に増大させることなく、HI、LOW作動以外の新たな作動モードを実現でき、従来の2極機に対し小型・軽量化を図りつつ、多様な作動形態を提供することが可能となる。
なお、実施例2,3では、4極機を例にとって説明したが、6極以上の多極機に前述のような構成を適用しても良い。例えば、6極機に均圧線を適用すれば、通常はブラシが6個必要となるが、LOWモードは2個のブラシで作動可能である。この際、本来ブラシが配置されるスペースが4箇所空くことから、そこに別作動モード用のブラシを適宜配置することにより、HI,LOW以外にさらに4種類の作動モードを追加できる。つまり、モータが多極となればなるほど作動モードの種類も増やすことが可能となる
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、磁気的アンバランスを解消する巻線形態は図5の例には限定されず、種々の形態が採用可能である。なお、図5ではアーマチュアコイル7のターン数が偶数回の場合について述べたが、奇数回の場合には、例えば、コイル7A,7Bに0.5ターンずつ巻回数を割り振るなどして、アンバランス解消巻線を構成することができる。
一方、前述の実施例では、本発明のモータを自動車用ワイパ装置の駆動源として使用した場合について説明したが、その用途はこれには限定されず、パワーウインド用モータや筒型ファンモータなどの車載モータ、パソコン等のOA機器用のモータなどにも適用可能である。パワーウインド用モータの場合、例えば、超LOWモードにより、車内温度調節時や喫煙時等に窓をわずかに開ける機能を付加することなども可能となる。また、ファンモータにも作動切り換え機能を付加することが可能となる。
本発明の実施例1であるワイパモータの構成を示す断面図である。 図1のワイパモータにおけるギヤハウジング左端面の構成を示す説明図である。 (a)は図1のワイパモータのブラシ構成を示す説明図、(b)は各モードにおける通電ブラシを示す一覧表である。 各モードにおけるブラシ通電状態を示す説明図である。 (a)〜(d)は、本発明による巻線形態の一例を示す巻線展開図である。 本発明によるワイパモータの耐久試験結果であり、(a)はHIモード、(b)はLOWモードにおける結果を示している。 本発明の実施例2であるワイパモータのブラシ構成を示す説明図である。 (a)は本発明の実施例3であるワイパモータのブラシ構成を示す説明図、(b)は(a)のモータにおける各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。 (a)は図8の変形例を示す説明図、(b)は(a)のモータにおける各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。 (a)は超LOWモードを設定した場合のブラシ構成を示す説明図、(b)は(a)のモータにおける各モードごとの通電ブラシを示す一覧表である。 2速度切り換えが可能な従来のワイパモータのブラシ配置構成を示す説明図である。 従来のワイパモータを4極化した場合のブラシ配置構成を示す説明図である。
1 ワイパモータ
2 モータハウジング
3 アーマチュア
4 永久磁石(界磁磁極)
5 回転軸
6 アーマチュアコア
7 アーマチュアコイル(電機子巻線)
7A〜7D コイル
8 軸受
9 金属板
11 スロット
11a,11e,11f,11j,11o,11p,11t スロット
12 巻線
13 コンミテータ
14 コンミテータ片(整流子片)
14c 3番コンミテータ片
14d 4番コンミテータ片
15 ライザ
16 ギヤハウジング
17 ホルダステー
18 ブラシホルダ
19 ブラシ
19a 正極第1ブラシ
19b 負極第1ブラシ
19c 正極第2ブラシ
19d 負極第2ブラシ
19p,19p' ブラシ
19q,19q' ブラシ
19r,19r' ブラシ
19s HI作動用ブラシ
19t 超LOW作動用ブラシ
21 スプリング
22 ピグテール
23 ウォームホイール
24 軸受
25 ウォーム
26 出力軸
51a,51a' コモンブラシ
51b,51b' 低速用ブラシ
51c,51c' 高速用ブラシ
M モータ部
R 減速部

Claims (1)

  1. モータハウジングの内周面に固定された4極以上の界磁磁極と、
    電機子巻線が重巻にて巻装されたアーマチュアと、
    前記電機子巻線が電気的に接続された整流子片が周方向に沿って複数個配設され、前記アーマチュアに配置された整流子と、
    隣接する前記整流子片間に接続され、前記電機子巻線を形成する複数のコイルと、
    前記整流子の表面に摺接し、前記コイルに対し給電を行う2以上のブラシと、
    等電位となる前記コイルの等電位点の間を接続する均圧部材と、を備えてなる多極モータであって、
    該多極モータに、前記2以上のブラシとして、低速作動時に通電される第1及び第2ブラシと、前記第1及び第2ブラシの何れか一方と共に高速作動時に通電される速度変更用の第3ブラシの3個のブラシのみを設け、
    前記第1〜第3の3個のブラシによって前記整流子を三方から押圧するように、前記第1ブラシと前記第2ブラシを略90°間隔にて配置すると共に、高速作動時に通電される導電性の前記第3ブラシを、前記第1ブラシと前記第2ブラシとの間に形成される空間のうち広角側の空間に配置したことを特徴とする多極モータ。
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