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JP5550028B1 - 高柔軟性ステント - Google Patents

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JP5550028B1 JP2014012064A JP2014012064A JP5550028B1 JP 5550028 B1 JP5550028 B1 JP 5550028B1 JP 2014012064 A JP2014012064 A JP 2014012064A JP 2014012064 A JP2014012064 A JP 2014012064A JP 5550028 B1 JP5550028 B1 JP 5550028B1
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Abstract

【課題】ステントに要求される様々な特性をより向上させるための構造を提供すること。
【解決手段】ステントは、波線状パターンを有し且つ軸線方向に並んで配置される複数の環状体と、隣り合う環状体の間に配置され軸線周りに螺旋状に延びる複数のコイル状要素15とを備え、隣り合う環状体の波線状パターンの対向する側の頂部の全てが相互にコイル状要素15によって接続されている。環状体の波線状パターンの各頂部に、軸線方向に延び且つコイル状要素15の幅よりも大きい幅を有する延長部分19aとその先端に形成された略半円形部分19bとを含む瘤状部19が形成されており、コイル状要素15が瘤状部19に接続されている。瘤状部19の延長部分19aの一部に、環状体の波線状パターンの頂部の内側周縁部から軸線方向に延びるスリット21が形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、管腔を拡張するために生体の管腔構造内に留置される高柔軟性ステントに関する。
血管、気管、腸などの管腔構造を有する生体器官において、これらに狭窄症を生じた場合、狭窄部内腔を拡張することによって病変部位の開通性を確保するために、網状円筒形のステントが使用される。これら生体器官は局所的に屈曲やテーパー構造(すなわち、内腔断面径が軸線方向に局所的に異なる管状構造)を有することが多く、そのような複雑な血管構造に柔軟に適合できる形状追従性(conformability)の高いステントが望まれている。また、近年では、脳血管治療へのステントの適用も進んでいる。脳血管系は生体の管状器官の中でも複雑な構造を有し、屈曲した部位やテーパー構造を有する部位が多数存在するため、ステントには特に高い形状追従性が求められる。
形状追従性の高いステントを実現するためには、ステントの長手軸線方向(中心軸線方向)及び半径方向(長手軸線と垂直な方向)の2種類の力学的柔軟性が重要とされている。ここで、長手軸線方向の柔軟性とは、長手軸線に沿った屈曲に対する剛性又は屈曲のしやすさを意味し、半径方向の柔軟性とは、長手軸線と垂直な方向の拡縮に対する剛性又は拡縮のしやすさを意味する。長手軸線方向の力学的柔軟性は、長手軸線に沿って柔軟に屈曲させて生体の管状器官の屈曲部位に適応させるために必要な特性であり、半径方向の柔軟性は、生体の管状器官の管腔構造の外壁の形状に沿ってステントの半径を柔軟に変化させてステントを管腔構造の外壁に密着させるために必要な特性である。特に後者の半径方向の柔軟性に関しては、ステントの剛性が低くなるようにするだけでなく、ステントがテーパー構造を有する生体器官内に留置されることを考慮して、テーパー構造を有する部位における局所的な内腔断面径の変化に対しステントの拡張力が大きく変化しないような特性を有する必要がある。
また、脳内血管のような細くて複雑な形状の管状器官におけるステント治療では、細い管状器官網を輸送でき病変部位で適切に拡張できるようにするために、縮径性、輸送性及び展開性能に優れたステントが望まれている。通常、血管内ステントは拡張した状態から半径方向に縮径(クリンプ)されて、病変部位まで挿入された細径のカテーテル内を縮径された状態で輸送され、カテーテル内からプッシャーなどの押出機で押し出されて病変部位で展開される。従来の頸動脈や大腿動脈におけるステント治療で使用されるステントは、その縮径率が1/6であるのに対して、脳血管治療では最低でも縮径率を1/10以下にする必要がある。例えば頭蓋内循環においてステント治療が適用される血管径は2.5〜3.5mm程度であり、大きな径のカテーテルではアクセスが制限されてステント治療が適用できなくなる場合がある。また、カテーテルの径が太くなると必然的に剛性が高くなるため、ステント輸送中に血管に過度な変形や負荷を与えてしまう危険性がある。ステントが細径のカテーテルに収容できない場合には、より大きな径のカテーテルを使用せざるを得なくなるので、特に脳血管治療にステントを用いる場合、ステントを縮径(クリンプ)して1mm以下の細いカテーテル内に収容できるようにする必要がある。一方で、脳血管ステントの場合、元々半径方向の力(ラディアルフォース)が低い設計であるため血管内壁との密着性が弱くなることを考慮して、通常は血管径よりも1〜2mm程度大きい外径を有するステントが使用される。したがって、ステントの頭蓋内血管への治療適用を考慮すると、縮径率の高いステントが必要とされる。また、脳血管ステント治療では、細く蛇行した血管内に配置されたカテーテルの内腔を通して縮径されたステントを病変部位へ輸送する必要があり、屈曲したカテーテルの内腔をステントが通過しなければならない。このため、縮径された状態でも柔軟性(Flexibility)を確保した輸送性の高いステントが望まれる。さらに、所望の病変部位でカテーテルからプッシャーでステントを押し出して展開するために長手軸線方向に押出力を効率的に伝達できるようにすることが望まれる。
特開2003−93518号公報 特開2003−93519号公報 特開2010−264261号公報 国際公開第WO2010/090348号パンフレット 特表2010−535075号公報
ステントの構造は、一般的に、オープンセルタイプとクローズドセルタイプの2種類に大別される。オープンセル構造のステント(例えば非特許文献1を参照)は、その長手軸線方向に非常に柔軟な力学特性を発揮するため、形状追従性が高く、屈曲した管状器官に留置するステントの構造として有効とされてきた。しかし、このようなオープンセル構造のステントでは、屈曲時にステントのストラットの一部がフレア状にステントの半径方向外側に飛び出す恐れがあるため、ステントを留置した際に血管等の生体の管状器官の組織を損傷させる危険性がある。一方、クローズドセル構造のステントとして、オープンセル構造のステントでは困難であった術中のステントの再留置を部分的に可能にしたもの(特許文献1、特許文献2及び非特許文献2を参照)や、術中のステントの完全な再留置を可能にしたもの(特許文献3及び非特許文献3を参照)がある。こうしたクローズドセル構造のステントは、オープンセル構造のステントのようにステントのストラットがステントの半径方向外側に飛び出す恐れはないが、その構造上柔軟性に欠ける傾向があるため、屈曲した管状器官に適用したときにステントが座屈し、管状器官内の血液などの液体の流れを阻害する危険性があった。さらに、クローズドセル構造のステントは、構造上、オープンセル構造のステントと比較して縮径性に劣るため、2mm前後の小径の管状器官へのステントの留置には対応できず、生体組織を損傷させる危険性があった。
このため、近年では、特許文献4及び特許文献5に記載されているように、上述したようなクローズドセル構造のステントの欠点を補う形状を有するクローズドセル構造のステントも提案されている。しかしながら、このようなステントでも、縮径した場合の最小径は外径2mm程度にとどまっており、脳血管での使用のためには十分とは言えない。また、クローズドセル構造のステントは、構造上、局所的に独立して変形することができないので、テーパー構造を有する部位における局所的な内腔断面径の変化に対するステントの拡張力の変化が大きくなりやすく、外径の変化に対する拡張力の変化がより少ないステントの開発が望まれる。
加えて、脳血管ステント治療の場合、留置ミスを回避するためにステントの展開と回収を繰り返して行う場合がある。また、留置されたステントは血流や血管壁の拍動運動による繰り返し変形(負荷)を受ける。このため、ステントに過度な金属疲労が生じる可能性がある。さらに、上述した頭蓋内ステントのように高い縮径率で圧縮されたステントがこのような過酷な負荷環境下におかれる場合には、金属疲労のリスクは拍動等による繰り返し負荷の小さい抹消血管や太い心臓血管に適用されるステントに比べて非常に高くなる。こうした金属疲労に起因するステントの破損は、術中の事故や血管組織への損傷を招くため、金属疲労の生じにくいステントの開発が望まれている。
このように、特に脳血管ステント治療のためには、上述のような様々な力学的特性を全て満たすステントが望まれる。しかしながら、従来のステントは、上述したような様々な特性を有しているとは言えなかった。
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決して、ステントに要求される様々な特性をより向上させるための構造を提供することにある。
本発明は、上記目的に鑑み、波線状パターンを有し且つ軸線方向に並んで配置される複数の環状体と、隣り合う環状体の間に配置され軸線周りに螺旋状に延びる複数のコイル状要素とを備え、隣り合う前記環状体の前記波線状パターンの対向する側の頂部の全てが相互に前記コイル状要素によって接続されている高柔軟性ステントであって、前記環状体の前記波線状パターンの各頂部に、前記軸線方向に延び且つ前記コイル状要素の幅よりも大きい幅を有する延長部分と該延長部分の先端に形成された略半円形部分とを含む瘤状部が形成されており、前記コイル状要素が前記瘤状部に接続されている高柔軟性ステントを提供する。
上記高柔軟性ステントは、波線状パターンを有する複数の環状体が軸線方向に並んで配置されており且つ隣り合う環状体の波線状パターンの対向する側の頂部の全てが相互に軸線周りに螺旋状に延びるコイル状要素によって接続されているステント、いわゆるクローズドセル構造のステントであるので、生体の管状器官の湾曲部に留置されるときでも、ステントを構成するストラットがオープンセル構造のステントのようにフレア状にステントの半径方向外側に飛び出すことがない。また、軸線周りに螺旋状に延びる複数のコイル状要素によって隣り合う環状体の間が接続されており、これらコイル状要素はコイルばねのように軸線方向に柔軟な曲げ変形を行うことができる。さらに、波線状パターンの環状体は周方向に収縮しやすく且つコイルばねのように作用するコイル状要素は軸線方向に伸長することにより半径方向に収縮するので、ステント全体の縮径を容易にしている。加えて、上記ステントでは、軸線方向に延び且つコイル状要素の幅よりも大きい幅を有する延長部分と該延長部分の先端に形成された略半円形部分とを含む瘤状部が環状体の波線状パターンの各頂部に形成されており、拡張又は縮径に伴う頂部の外側周縁部の長さの変化に寄与する範囲を長くすることにより、ステントの拡張又は縮径時に波線状パターンの頂部外側周縁部に発生するひずみ(=変形量/長さ)を低減させている。
上記延長部分は前記軸線方向に直線状に延びていることが好ましい。
また、上記高柔軟性ステントでは、前記瘤状部の前記延長部分の一部に、前記環状体の前記波線状パターンの頂部の内側周縁部から前記軸線方向に延びるスリットが形成されていることが好ましい。
さらに、前記コイル状要素は両端部に湾曲部を有し、前記コイル状要素は前記湾曲部を介して前記環状体に接続されていることが好ましく、前記湾曲部は、前記コイル状要素と前記環状体とが接続する接続端における前記湾曲部の接線方向が前記軸線方向に一致するように形成されていることがさらに好ましい。
好ましい実施形態として、前記環状体の前記波線状パターンの軸線方向一方側に位置する前記頂部と前記コイル状要素とが接続する接続端と、前記環状体の前記波線状パターンの軸線方向他方側に位置する前記頂部と前記コイル状要素とが接続する接続端とは、前記頂部の中心から周方向正反対側にオフセットされているようにすることができる。
前記高柔軟性ステントが超弾性合金から形成されていることが好ましく、前記超弾性合金がニッケルチタン合金であることがさらに好ましい。また、前記高柔軟性ステントは、脳血管内に留置するためのステントであることが好ましい。
本発明によれば、いわゆるクローズドセル構造が採用されているので、ステントが生体の管状器官の湾曲部に留置されるときでも、ステントを構成するストラットがオープンセル構造のステントのようにフレア状にステントの半径方向外側に飛び出して管状器官の組織を損傷させる危険性を低減させることができる。また、波線状パターンの環状体同士がコイル状要素によって接続されており、コイル状要素がコイルばねのように軸線方向に柔軟な曲げ変形を行うことができるので、ステント全体として、血管構造に対する形状追従性が向上される。さらに、波線状パターンの環状体は周方向に収縮しやすく、コイルばねのように作用するコイル状要素は軸線方向に伸長することにより半径方向に収縮するので、ステントの縮径が容易である。加えて、瘤状部によりステントの拡張又は縮径時に波線状パターンの頂部外側周縁部に発生するひずみを低減させているので、血管内での血流や血管壁の拍動などに伴って生じる当該頂部の繰り返し変形に起因する金属疲労の危険性を低減させ、疲労耐性の向上によりステントの破損を抑制することができる。このように、本発明のステントによれば、形状追従性や縮径性が高く、金属疲労によるステントの破損も生じにくくなる。
無負荷状態の本発明の一実施形態の高柔軟性ステントを平面に展開して示した図である。 図1のステントの部分Aのみを示した図である。 図1のステントの部分Bを詳細に示す拡大図である。 本発明による高柔軟性ステントの(a)拡張状態及び(b)縮径(クリンプ)状態を模式的に示した模式図である。 図1に示されているステントが縮径されるときにステントの環状体の波形要素の頂部に変形が生じることを示す説明図である。 ステントの環状体の波形要素の頂部にスリットが設けられていない場合の縮径時の波形要素の変形状態を示す模式図である。 ステントの環状体の波形要素の頂部にスリットが設けられている場合の縮径時の波形要素の変形状態を示す模式図である。 図1に示されているステントの環状体の波形要素の頂部の第1の実施形態を示す部分拡大図である。 図1に示されているステントの環状体の波形要素の頂部の第2の実施形態を示す部分拡大図である。 図1に示されているステントの環状体の波形要素の頂部の第3の実施形態を示す部分拡大図である。 超弾性合金の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。 超弾性合金において、与えるひずみの大きさを変えたときのそれぞれの応力−ひずみ曲線を示すグラフである。 図8に示されている第1の実施形態の頂部を有する波形要素と図9に示されている第2の実施形態の頂部を有する波形要素とにおけるマルテンサイト相へ相変態した領域の体積分率の分布図である。 図4のステントの部分Cの拡大図であり、縮径時にコイル状要素が変形するときの接続端における挙動を模式的に示している。 曲げモーメントを受けたときの曲り梁の変形前(実線)と変形後(破線)を表す模式図である。 図1に示されている実施形態のステントと従来技術のステントとを対比して、ステントの直径の変化量とステントが血管に付与する半径方向の力との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明による高柔軟性ステントの実施の形態を説明する。最初に、図1から図3を参照して、本発明の一実施形態による高柔軟性ステント11の全体構成を説明する。
ステント11は直径がDで長手軸線方向の長さがLである略円筒形状であり、ステント11の周壁は、ワイヤ状の材料で囲まれた合同な形状を有する複数のクローズドセルが周方向に敷き詰められたメッシュパターンの構造を有している。図1では、ステント11の構造の理解を容易にするために、ステント11が平面に展開した状態で示されている。ここで、本明細書において、ステント11の周壁とは、ステント11の略円筒構造の円筒の内部と外部とを隔てる部分を意味する。また、セルとは、開口又は隔室ともいい、ステント11のメッシュパターンを形成するワイヤ状の材料で囲まれた部分を指す。
ステント11は、ステンレス鋼又はタンタル、プラチナ、金、コバルト、チタン若しくはこれらの合金のような生体適合性を有する材料から形成されており、特にニッケルチタン合金のような超弾性特性を有した材料から形成されていることが好ましい。
ステント11は、長手軸線方向(すなわち中心軸線方向)に並んで配置される複数の環状体13と、長手軸線方向に隣り合う環状体13の間に配置されている複数のコイル状要素15とを備える。環状体13は、図2に示されているように、二つの脚部17aを頂部17bで連結した略V字形状の波形要素17を周方向に複数接続して形成される波線状パターンを有する。複数のコイル状要素15は、中心軸線周りに等間隔で配置されている。各コイル状要素15は中心軸線周りに螺旋状に延びており、各コイル状要素15の両端部は、それぞれ、隣り合う二つの環状体13の対向する側の頂部17bに接続されている。なお、隣り合う環状体13の対向する側の頂部17bの全てが相互にコイル状要素15によって接続されており、ステント11はいわゆるクローズドセル構造を有している。すなわち、隣り合う環状体13の一方において波線状パターンに沿って脚部17aによって互いに接続される三つの頂部17bのうちの長手軸線方向対向側に位置する二つの頂部17bが、それぞれコイル状要素15によって、隣り合う環状体13の他方において波線状パターンに沿って脚部17aによって互いに接続される三つの頂部のうちの軸線方向対向側に位置する二つの頂部に接続されて、セルを形成し、各環状体13の波線状パターンの全ての頂部17bが三つのセルに共有される構成となっている。
本発明者は、環状体13とコイル状要素15との接続部分の構造がステント11の特性に大きな影響を与えることを見出し、接続部分に、以下で説明するような特徴的な構造を設けることにより、ステント11の特性の向上を図っている。
波形要素17の頂部17bには、図3に詳しく示されているように、長手軸線方向に直線状に延びる延長部分19aとその先端に形成された略半円形部分19bとを含む瘤状部19が形成されている。延長部分19aはコイル状要素15の幅よりも大きい幅を有している。さらに、波形要素17の頂部17bには、内側周縁部(図3における略V字形状の波形要素17の左側の谷部側)から長手軸線方向に延びるスリット21が形成されている。このため、二つの脚部17aが長手軸線方向に概略平行に延びる直線部分を介して延長部分19aのスリット21が設けられていない領域及び瘤状部19の略半円形部分19bに接続されるような形態を構成している。しかしながら、スリット21は、必須の構成ではなく、設けられなくてもよい。
各コイル状要素15の両端部には、湾曲部15aが形成されており、各コイル状要素15の両端部は、それぞれ、湾曲部15aを介して、隣り合う二つの環状体13の対向する側の頂部17b(詳細にはその瘤状部19)に接続されている。図3から分かるように、コイル状要素15の両端部の湾曲部15aは円弧形状を有しており、コイル状要素15と環状体13の波線状パターンの頂部17bとの接続端におけるコイル状要素15の接線方向が長手軸線方向に一致するように形成されている。
また、コイル状要素15は、図3によく示されているように、環状体13の頂部17bの中心から周方向にオフセットされた位置に接続されている。好ましくは、図2によく示されているように、環状体13の波線状パターンの長手軸線方向一方側に位置する頂部17bとコイル状要素15とが接続する接続端と、環状体13の波線状パターンの長手軸線方向他方側に位置する頂部17bとが接続する接続端とは、頂部17bの中心から周方向正反対側にオフセットされている。例えば、図2の中央部に位置する環状体13では、環状体13の左側の頂部17bとコイル状要素15との接続端は頂部17bの中心から図中上方向にオフセットされている一方、環状体13の右側の頂部17bとコイル状要素15との接続端は頂部17bの中心から図中下方向にオフセットされている。さらに、環状体13の長手軸線方向両端部の一方側に位置する頂部17bに接続されているコイル状要素15と他方側に位置する頂部17bに接続されているコイル状要素15とは、中心軸線周りの向きが正反対となっている。例えば、環状体13の長手軸線方向両端部の一方側に位置するコイル状要素15が時計回りに螺旋状に延びる場合、環状体13の長手軸線方向両端部の他方側に位置するコイル状要素15は反時計回りに螺旋状に延びるようになっている。
ステント11は、以上のような構造を備えることにより、優れた形状追従性や縮径性を実現すると共に、金属疲労によるステントの破損を生じにくくしている。
特許文献1〜3や非特許文献2及び3に記載のような従来のクローズドセル構造のステントは、構造上、柔軟性に欠けるので屈曲血管において座屈を生じて血流の阻害を招く危険性があった。また、ステントが局所的に変形すると、その変形の影響がステントの半径方向だけでなく、軸線方向(長手軸線方向)にも伝播され、局所的に独立して変形できないことに起因して、動脈瘤のような複雑な血管構造に適合できずにステントの周壁と血管壁との間に隙間を生じてしまい、血管の拍動に伴う変形でステントが血管内腔で滑りやすくなって、留置後のステントの移動(マイグレーション)を生じる恐れもあった。
これに対し、ステント11では、波線状パターンを有する環状体13が容易に周方向に変形できるので、半径方向への収縮や拡張に柔軟に対応することができる。また、隣り合う環状体13の間を接続するコイル状要素15が中心軸線周りに螺旋状に延びており、コイルばねのように変形するので、ステント11が屈曲された際に、屈曲部の外側でコイル状要素15が伸長すると共に屈曲部の内側でコイル状要素15が収縮することで、ステント11全体として、長手軸線方向の柔軟な曲げ変形を可能にしている。さらに、ステント11に局所的に与えられた外力や変形は、波線状パターンの環状体13によって半径方向に伝達されると共に、コイル状要素15によって周方向に伝達されるので、環状体13及びコイル状要素15が各部位でほぼ独立して変形することが可能となる。これにより、脳動脈瘤のような特殊な血管の病変部位に適用された場合でも、病変部位の血管構造に適合して留置され得る。例えば、脳動脈瘤に部位にステント11を留置する場合、波線状パターンの環状体13を瘤のネック部分に配置することにより、環状体13が半径方向に拡張して瘤の空間内にせり出し、この部位に安定してステント11を留めることができる。さらに、瘤のネック部の周辺の血管壁の形状に沿ってコイル状要素15が接触し、アンカーのような役割を果たすので、ステント11が移動するリスクも軽減される。さらに、ステント11はクローズドセル構造を有しているので、屈曲部位に適用された場合でも、ステント11のストラットがフレア状に外側に突出して血管壁を損傷させたり、血流疎外を発生させるリスクを軽減させることができる。
以下に、各特徴的構造の作用及び効果を詳細に説明する。
ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bの内側周縁から延びるスリット21は、ステント11の縮径性を向上させる効果を奏する。
ステント11は、図4(a)に示すような拡張状態から図4(b)に示すような縮径状態(クリンプ状態)に変形させるとき、環状体13の波線状パターンが折り畳まれるように圧縮した状態になると共に、コイル状要素15がコイルバネのように長手軸線方向に寝て長手軸線方向に引っ張られたような状態になる。ステント11の環状体13の波線状パターンの波形要素17の一つを取り出して考えると、波形要素17は、ステント11の縮径及び拡張の際に、図5に示されているように、ピンセットの開閉のように変形する。図6(a)に示されているように波形要素17の根本の谷側部分(頂部17bの内側周縁部)にスリット21が設けられていない場合、ステント11を縮径させるときに波形要素17を閉じるように変形させると、図6(b)に示されているように脚部17aの中央部が樽状に膨らんで変形しやすい。波形要素17がこのように樽状に膨らんで変形すると、ステント11を縮径する際に、環状体13において周方向に隣り合う波形要素17の脚部17aの樽状に膨らんだ部分同士が接触し、ステント11、特にその環状体13が縮径することを妨げ、縮径率を低くする要因となる。これに対して、ステント11では、図7(a)に示されているように環状体13の波形要素17の根本部分にスリット21が設けられているため、ステント11を縮径する際に、図7(b)のように変形して、環状体13において周方向に隣り合う波形要素17の脚部17a同士が接触しにくくなり縮径率を高めることができる。
ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bに設けられた瘤状部19は、金属疲労を軽減する効果を奏する。
上述したように、波形要素17は、ステント11の縮径及び拡張の際に、図5に示されているように、ピンセットの開閉のように変形する。このため、ステント11のクリンプ及び拡張の際に、変形が頂部に集中し、この部分に材料変形によるひずみを集中的に発生する。したがって、ステント11の縮径と拡張を繰り返し行った場合や血管内の血流や血管壁の拍動による変形に伴ってステント11が繰り返し負荷を受けた場合には、波形要素17の頂部17bで過度な金属疲労が生じやすい。そこで、ステント11では、金属疲労が発生するリスクを低減させるために、頂部17bに発生するひずみを小さくするように頂部17bの形状に改良を加えている。
ステント11の縮径及び拡張の際、波形要素17は、根本の谷川部分(内側周縁部)を中心に開閉するので、波形要素17の頂部17bのひずみは、頂部17bの領域の中の特に外側周縁部(図5において両端に矢印が付された曲線で示される頂部17bの外側)に多く生じる。ここで、ひずみeは、変形前の長さをl、変形量をuとすると、以下の式により表される。
e=u/l
したがって、ステント11の頂部17bの金属疲労の発生リスクを低減させるためには、ステント11の縮径及び拡張の際に発生する頂部17bのひずみを小さくすればよい。縮径の際の変形量uが同じだけ与えられるとすれば、lに相当する長さを大きくすることにより、頂部17bに発生するひずみを小さくすることができる。また、波形要素17の変形は、波形要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)を中心に行われ、実質的に変形に寄与するのは、波形要素17の頂部17bの山側部分(図8〜図10の上部において両側矢印で示されている範囲)、特にその外側周縁部分である。そこで、ステント11では、図8から図10に示されているように、延長部分19aと略半円形部分19bとを含み且つコイル状要素15の幅よりも大きい幅を有する瘤状部19を頂部17bに形成することにより、頂部17bを長手軸線方向に延長するようにしている。具体的には、一般的な波形要素17の脚部17aとその頂部17bを形成する略半円形部分19bとの間に長手軸線方向に延びる延長部分19aを設けて、変形基点となる波形要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)から外側へ向かって頂部17bをオフセットさせることにより、頂部17bの外側周縁部分を長くしている。延長部分19aは、縮径時に周方向に隣り合う瘤状部19同士が接触して縮径を妨げる要因となることを防ぐために、図8から図10に示されているように、長手軸線方向に延びる直線部分によって形成することが望ましい。
なお、波形要素17の頂部17bに、頂部17bの内側周縁部から延びるスリット21が形成されている場合、図7に示されているように、波形要素17の変形は、スリット21の先端(図8から図10におけるスリット21の上端)を中心として行われ、クリンプ及び拡張に伴う変形に関与する主たる部分は、波形要素17においてスリット21の先端よりも外側に位置する部分となる。したがって、図8に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21の長さと同じ又はスリット21の長さよりも短い形態よりも、図9に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21の長さよりも長く、延長部分19aがスリット21の先端を越えて延びている形態とすることが好ましい。また、瘤状部19の効果は、図10に示されているように頂部17bにスリット21が設けられていない場合でも得ることができることはもちろんである。
さらに、ニッケルチタン合金のような超弾性合金からステント11を形成している場合、図9に示されているように、ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bに瘤状部19を設け且つ瘤状部19の延長部分19aの長さがスリット21を越える長さを有するように構成することにより、超弾性合金の超弾性特性を最大限に引きだし、ステント11の外径変化に対する拡張力の変化を抑制することできる。
超弾性合金を材料として使用する場合、材料に応力負荷を加え、材料の降伏応力を超えると、図11に示される応力−ひずみ曲線における矢印23に沿った負荷過程の挙動を示し、このとき、超弾性合金は、オーステナイト相からマルテンサイト相へと相変態する。さらに、この状態から除荷していくときには、図11に示される応力―ひずみ曲線における矢印25に沿った除荷過程の挙動を示し、今度は、マルテンサイト相からオーステナイト相へと相変態することで、負荷過程で与えられたひずみを除荷過程で回復していく。また、図12に示されているように、より高い応力負荷を材料に与えた方がマルテンサイト相への相変態が誘起されやすく、図11の矢印25に沿った除荷曲線における緩やかな変形領域が長くなる。この除荷過程の挙動は、ステント11を縮径した後に除荷した際に得られる拡張力(ラジアルフォース)の変化に相当する。したがって、図11に示される除荷過程で緩やかに変化する領域を長くすることができれば、異なる血管径でも拡張力の変化の少ないステント11を得ることができる。
本発明者は、ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bにスリット21が設けられている場合に、頂部17bに設けられた瘤状部19の延長部分19aの長さがスリット21を越える長さを有するように構成することにより、負荷時にスリット21の周辺部においてマルテンサイト相へ相変態する体積比率が高まることを見出した。図13は、縮径時におけるステント11の波形要素17の頂部17bのマルテンサイト相に相変態した領域をシミュレーションにより求め、その体積分率を示した図であり、図13の左側が図8に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21とほぼ同じ場合(スリット21の先端から瘤状部19の略半円形部分の頂点までの距離が0.06mm)、図13の右側が図9に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21を越える長さを有する場合(スリット21の先端から瘤状部19の略半円形部分の頂点までの距離が0.11mm)の結果をそれぞれ示している。図13の右側に示されているステント11の方が、マルテンサイト相へ相変態した領域の体積分率が高い白い領域の範囲が広くなっていることが分かる(特にスリット21の周辺の延長部分19aの外側領域において)。したがって、ステント11が図9に示されているような頂部17bを有する波形要素17を備えるように構成されることにより、ステント11の直径の変化に対する拡張力の変化が緩やかで、異なる血管径でも拡張力の変化の少ないステント11を実現することができる。
ステント11のコイル状要素15の両端部に設けられた湾曲部15aは、環状体13との接続部におけるコイル状要素15の変形をより円滑にさせ、ステント11の縮径性を高める効果を奏する。
ステント11を縮径させる際には、図4(b)に示されているように、コイル状要素15が長手軸線方向に引き伸ばされるように変形するため、ステント11の柔軟性を高めるためには、環状体13の頂部17bとコイル状要素15との接続部分が柔軟となる設計にする必要がある。ステント11では、コイル状要素15の両端部に円弧形状を有する湾曲部15aを設け、湾曲部15aを介して環状体13の頂部17bとコイル状要素15とを接続している。ステント11の縮径時に、図14に示されているように湾曲部15aが曲げを受けて変形することにより、コイル状要素15の柔軟な変形を可能にし、縮径性を向上させている。
湾曲部15aの変形は、図15に示されているように、薄肉曲り梁の変形に近似することできる。曲率半径Rを有する薄肉曲り梁が曲げモーメントMを受けて曲率半径R´となったときの変形による角ひずみ(角度変化率)ωは、曲り梁を円弧とみなしたときの曲げ前の中心角度θが曲げ後にθ+dθに変化したとすると、以下のように表される。
ω=Δdθ/dθ=MR/EIx
ここで、Eはヤング率、Ixは定数である。
したがって、曲率半径Rが大きければ同じ大きさの曲げモーメントに対してより大きな角ひずみが得られ、コイル状要素15が柔軟に変形できるようになる。
また、コイル状要素15と環状体13の頂部17bとが接続する接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向に一致する構成は、ステント11の縮径及び拡張に伴う変形を容易にすると共にステント11の直径の変化に対する拡張力の変化を緩やかにする効果を奏する。
コイル状要素15は、コイルばねのように変形して、長手軸線方向に伸長することにより、ステント11の縮径に伴う半径方向の変形を可能にしている。したがって、環状体13とコイル状要素15とが接続する接続端における湾曲部15aの接線方向を長手軸線方向に一致させることにより、コイル状要素15の長手軸線方向への変形特性を効果的に発揮できるようになる。コイル状要素15が長手軸線方向に円滑に変形できるようになる結果、ステント11の縮径及び拡張が容易になる。また、コイル状要素15の長手軸線方向の自然な変形が促されることによって、予期せぬ変形抵抗が発生することを防ぐことができ、ステント11の直径の変化に対する拡張力の応答が緩やかになる効果を奏する。
環状体13とコイル状要素15とが接続する接続端が環状体13の頂部17bの中心から周方向にオフセットされている構成、特に環状体13の長手軸線方向一方側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端と環状体13の長手軸線方向他方側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端とが周方向正反対側にオフセットされている構成は、ステント11の輸送及び展開性能を向上させる効果を奏する。
ステント11は、縮径された状態でカテーテル内に挿入され、プッシャーなどの押出機で押されてカテーテル内を移動し、病変部位に展開される。このとき、押出機により付与される長手軸線方向の力がステント11の環状体13及びコイル状要素15の間で相互作用を及ぼしながらステント11全体に伝達されていく。環状体13の頂部17bとコイル状要素15とが接続する接続端が頂部17bの中心から周方向にオフセットされていることにより、長手軸線方向の力がコイル状要素15から環状体13に伝達されるときに環状体13の波形要素17を構成する一方の脚部17aに力が円滑に伝達されるので、長手軸線方向の力の伝達性が高められる。さらに、環状体13の長手軸線方向一方側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端と環状体13の長手軸線方向他方側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端とが周方向正反対側にオフセットされている場合、例えば図2に示されているように、図2の中央に位置する環状体13の左側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端を頂部17bの中心よりも上側にオフセットさせると共に、環状体13の右側に位置する頂部17bとコイル状要素15との接続端を頂部17bの中心よりも下側にオフセットさせることにより、左側のコイル状要素15と環状体13の頂部17bとの接続端から伝達される長手軸線方向の力が環状体13の脚部17aを通って右側のコイル状要素15と環状体13の頂部17bとの接続端に到達するまでの距離を短くすることができ、ステント11に対する長手軸線方向の力の伝達がより円滑に行われるようになる。したがって、カテーテルの内腔におけるステントの移動及びカテーテルからのステントの押出時に、ステント11が押出機からの長手軸線方向の力による座屈を起こしにくくなり、ステント11の輸送及び展開が容易となる。
上記のような構造のステント11は、例えば生体適合性材料、特に好ましくは超弾性合金から形成されたチューブをレーザ加工することにより作製される。超弾性合金チューブから作製する場合、コストを低減させるため、2〜3mm程度のチューブをレーザ加工後、所望する径まで拡張させ形状記憶処理を施すことにより作製することが好ましい。しかしながら、ステント11の作製は、レーザ加工によるものに限定されるものではなく、例えば切削加工など他の方法によって作製することも可能である。
次に、ステント11の使用方法を説明する。
患者の血管内にカテーテルが挿入され、カテーテルを病変部位まで到達させる。次に、ステント11は、縮径(クリンプ)されてカテーテル内に配置される。ステント11は、環状体13の波線状パターン、環状体13の頂部17bに形成されたスリット21、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向に一致する構成の複合的及び相乗的効果により、縮径性が高められており、従来のステントと比較してより細いカテーテル内にステント11を挿入することを容易にし、より細い血管へのステント11の適用を可能にする。
次に、プッシャーなどの押出機を用いてカテーテルの内腔に沿って縮径した状態のステントを押し、病変部位でカテーテルの先端からステント11を押し出して展開させる。ステント11は、複数の環状体13をコイル状要素15によって接続した構成、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向に一致する構成の複合的及び相乗的効果により、輸送時の柔軟性が高められており、カテーテルが蛇行した血管内に挿入されている場合でも、カテーテルに沿って柔軟に変形し、病変部位へステント11を輸送することが容易である。また、ステント11がクローズドセル構造でストラットがフレーア状に飛び出ない構造により、カテーテルの内腔とステント11との過度な接触をしないようにすることができる。さらに、環状体13の頂部17bとコイル状要素15との接続端が頂部17bの中心からオフセットされている構成(特に環状体13の長手軸線方向一方側の接続端と長手軸線方向他方側の接続端がそれぞれ周方向に正反対側にオフセットされている構成)により、押出機による長手軸線方向の力がステント11に効率的に伝達できると共に、長手軸線方向の力によるステントの座屈の発生を抑制することができる。したがって、ステント11は優れた輸送性を有する。
さらに、ステント11は、環状体13の頂部17bに瘤状部19を設ける構成により、金属疲労の発生を抑制することができ、留置ミスによるステント11の縮径及び拡張の繰り返し、血流や血管壁の拍動によるステント11の繰り返し変形などによるステント11の破損を抑制することができる。
加えて、ステント11は、環状体13の頂部17bにスリット21を設けることによりクリンプ時に変形部においてマルテンサイト相に相変態する領域を増加させる構成、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向に一致する構成の複合的及び相乗的な効果により、柔軟性が向上すると共に、図16に示されているように除荷過程においてステント11の直径の変化に対する拡張力の変化が緩やかになる。この結果、ステント11の形状追従性が向上されると共に、テーパー状の血管のように局所的に血管径が変化する部位においても、血管に過度な負荷を与えることなくステント11を留置することが可能となる。
なお、図16は、ステントの直径とステントが血管に与える圧力との関係を示すグラフである。図16において、破線27で示される曲線は、外径4.5mmの従来のオープンセル構造のステントを1mm以下まで縮径後に除荷した時の特性を表し、実線29で示される曲線は、外径4.2mmの本発明によるステント11を外径1mmまで縮径後、除荷したときの特性を表す。矢印31は負荷過程を表し、矢印除荷過程を表す。特に、除荷過程において、ステント11は、従来のステントと比較して、ステント外径に対する圧力の変化が緩やかで且つ低くなっていることが分かる。
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明によるステント11を説明したが、本発明は、図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では、六つの環状体13をコイル状要素15で接続することによりステント11を構成しているが、五つ以下の環状体13又は七つ以上の環状体13をコイル状要素15で接続することによりステント11を構成してもよい。また、図示されている実施形態では、波線状パターンを有した環状体13を備えるステントに、瘤状部19、スリット21、湾曲部15aなどの特徴的構造を適用しているが、波線状パターンの螺旋体を備え、螺旋体の波線状パターンの頂部間をコイル状要素で接続した構造を有するステントに、瘤状部19、スリット21、湾曲部15aなどの特徴的構造を適用することも可能である。
11 ステント
13 環状体
15 コイル状要素
15a 湾曲部
17 波形要素
17a 脚部
17b 頂部
19 瘤状部
19a 延長部分
19b 略半円形部分
21 スリット

Claims (5)

  1. 波線状パターンを有し且つ軸線方向に並んで配置される複数の環状体と、隣り合う前記環状体の間に配置され軸線周りに螺旋状に延びる両端部に湾曲部を有する複数のコイル状要素とを備え、隣り合う前記環状体の前記波線状パターンの対向する側の頂部の全てが相互に前記コイル状要素によって前記湾曲部を介して接続されている高柔軟性ステントであって、
    前記湾曲部は、前記コイル状要素と前記環状体とが接続する接続端における前記湾曲部の接線方向が前記軸線方向に一致するように形成されており、
    前記環状体の前記波線状パターンの各頂部に、前記軸線方向に延び且つ前記コイル状要素の幅よりも大きい幅を有する延長部分と該延長部分の先端に形成された略半円形部分とを含む瘤状部が形成され、
    前記コイル状要素が、前記環状体の前記波線状パターンの軸線方向一方側に位置する前記頂部との接続端と、前記環状体の前記波線状パターンの軸線方向他方側に位置する前記頂部との接続端とが、前記頂部の中心から周方向正反対側にオフセットされて前記瘤状部に接続されており、
    前記瘤状部の前記延長部分の一部に、前記環状体の前記波線状パターンの頂部の内側周縁部から前記軸線方向に延びるスリットが形成されており、
    前記スリットの対向する側縁は、概略平行に延びる直線状であることを特徴とする高柔軟性ステント。
  2. 前記延長部分は前記軸線方向に直線状に延びる、請求項1に記載の高柔軟性ステント。
  3. 前記高柔軟性ステントが超弾性合金から形成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の高柔軟性ステント。
  4. 前記超弾性合金がニッケルチタン合金である、請求項に記載の高柔軟性ステント。
  5. 前記高柔軟性ステントは、脳血管内に留置するためのステントである、請求項1から請求項の何れか一項に記載のステント。
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