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JP5548344B2 - 透湿防水性布帛 - Google Patents

透湿防水性布帛 Download PDF

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JP5548344B2 JP2008122309A JP2008122309A JP5548344B2 JP 5548344 B2 JP5548344 B2 JP 5548344B2 JP 2008122309 A JP2008122309 A JP 2008122309A JP 2008122309 A JP2008122309 A JP 2008122309A JP 5548344 B2 JP5548344 B2 JP 5548344B2
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Description

本発明は、透湿防水性布帛に関するものである。
透湿性と防水性とを併せ持つ透湿防水性布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機能と、雨が衣服内に侵入するのを防ぐ機能とを有するものであり、スポーツ衣料や防寒衣料などに広く用いられている。
このような透湿防水性布帛としては、糸を高密度に織り込んだ高密度織物や、繊維布帛の片面にポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド又はポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂からなる樹脂膜を形成した透湿防水性布帛がよく知られている。その中でも、汎用性並びにコストや性能面からポリウレタン樹脂が好ましく用いられている。
透湿防水性布帛の一例として、下記特許文献1には、繊維布帛上に、平均粒子径が1μm以下で、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量の多い無機微粉末を1質量%以上含有させたポリウレタン樹脂を湿式凝固することで、ポリウレタン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の他にサブミクロンオーダーの微細孔を多数有する樹脂膜を備えた透湿防水性布帛が開示されている。同文献によれば、当該透湿防水性布帛は、透湿度7000g/m・24hrs、耐水圧0.6kgf/cmを満足する。
このように、一口に透湿防水性布帛といっても、上記のようにある一定レベル以上の透湿防水性能を具備するものもあれば、透湿性能及び防水性能のうち一方だけが特に優れるといったものまで、様々なタイプがある。とりわけ、透湿防水性能に優れるものは、一般にスポーツ衣料に供される傾向が強い。
一般に、運動時は、身体からの発汗により衣服内温度が外気に比して高くなる傾向にある。そのため、衣服内側には一般に結露が付着し、これが着用不快感を引き起こすことがある。この着用感の低下は、程度の差こそあれ透湿防水性布帛を用いた場合であっても例外でなく、これを解決のため手段が多数提案されている。
例えば、特許文献2には、布帛上に形成されたポリウレタン樹脂層の上から、さらに接着剤層を介して、特定の吸放湿特性を有する裏地を貼り付けた透湿防水性布帛が開示されている。また、引用文献3には、布帛上に形成された、特定の無機微粉末を含有するポリウレタン微多孔質膜の上から、さらに接着剤層を介して裏地を貼り付けた透湿防水性布帛が開示されている。これらはいずれも結露防止性に優れており、結果、ムレ感、冷え感といった着用不快感を解消するに至っている。
特開平6−272168号公報 特開2002−67205号公報 特開2002−69855号公報
近年、アウトドアブームの高まりによって、透湿防水性布帛の用途が従来のようにスポーツ衣料や防寒衣料を主とするものから、広くレジャー分野全般に渡るようになってきた。このため、透湿防水性布帛に対し、より高い透湿防水性能と併せ良好な風合いや高い洗濯耐久性なども要望されている。
透湿防水性布帛を広くレジャー分野全般に適用するには、一般に防水性能として耐水圧200kPa以上を有することが好ましく、この数値範囲を達成するには、布帛上にポリウレタン微多孔質膜とポリウレタン無孔質膜とを順次形成させる手段を採用するのが最も一般的であるといわれている。しかし、2つの樹脂層を形成することは、防水性能向上に資する一方で、透湿性能を透湿度(A−1法)4000〜5000g/m・24hrsクラスまで低下させてしまう場合もある。
そこで、樹脂層を貼り合わせるときに用いる接着剤層として、水膨潤性を有する樹脂層を使用することが提案されており、これにより、透湿防水性布帛の透湿度は、B−1法ながら所望のレベルまで引き上げることが可能となった。しかし、このような透湿防水性布帛は、洗濯耐久性や質量感などに難点があり、B−1法ながら所望の透湿度を達成できるものの、依然として着用時の衣服内湿度は高いままであり、着用感に劣るという課題を残している。
本発明はこのような現状に鑑みて行われたもので、高い透湿性能と防水性能とを備えると共に、風合いや耐久性などにも優れた透湿防水性布帛を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するもので、次の構成よりなるものである。
(1)布帛、ポリウレタン微多孔質膜、接着剤層及び布帛の順に積層貼合されてなり、該ポリウレタン微多孔質膜は、厚みが10〜50μmであると共に、フュームドシリカ系微粉末として疎水性フュームドシリカ系微粉末のみを20〜45質量%含有し、かつ孔径1μm以下の多数の微細孔が膜全体に渡り均等に配された構造を呈しており、さらに、布帛全体として、耐水圧が250〜500kPaであり、かつJISL1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が7000〜11000g/m ・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
(2)前記接着剤層がパターン状で設けられていることを特徴とする請求項1記載の透湿防水性布帛。
本発明の透湿防水性布帛は、高い透湿性能と防水性能とを備えると共に、風合い及び洗濯耐久性などに非常に優れている。そのため、本発明の透湿防水性布帛は、スポーツ衣料だけでなく、広くレジャー分野全般に用いることができる。
また、本発明の透湿防水性布帛が備えてなる微多孔質膜は、構造としてハニカムスキン構造をとるのではなく、ナノオーダーの微細な孔を多数有する微多孔質なものであるから、厚みを抑えることができ、結果、風合い向上や質量感低減などに非常に有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透湿防水性布帛に用いうる布帛としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維などの合成繊維、トリアセテートなどの半合成繊維、あるいはナイロン6/綿、ポリエチレンテレフタレート/綿などの混合繊維からなる織物、編物又は不織布などがあげられる。
本発明の透湿防水性布帛は、2枚の布帛の間に特定のポリウレタン微多孔質膜を備えてなるものである。
ポリウレタン微多孔質膜は、厚みとして10〜50μmの範囲を満足する必要があり、15〜40μmが好ましい。厚みが10μm未満になると、防水性能が低減する傾向にあり、一方、50μmを超えると、ハニカムスキンコア構造に近い形態を呈しやすくなる他、風合いを悪化させやすい傾向にあり、いずれも好ましくない。
本発明におけるポリウレタン微多孔質膜は、基本的に、凝固液として水又はN,N−ジメチルホルムアミドを少量含有する水混合液を使用して、所定のポリウレタン樹脂を凝固させる、いわゆる湿式法により形成する。つまり、樹脂溶液中の溶媒と、凝固液中に含まれる水との間で生じる溶媒置換を利用することで、製膜するのである。したがって、ポリウレタン樹脂は固形のままで使用されるのではなく、溶液にして用いるのが一般的である。このとき、ポリウレタン樹脂を溶解させる溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解する極性有機溶媒であれば特段限定されないが、後述するフュームドシリカ系微粉末がN,N−ジメチルホルムアミドを多量に吸着しやすい特性を有することから、N,N−ジメチルホルムアミドが好適である。
上記ポリウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる重合体があげられる。イソシアネート成分としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが単独で又は混合して用いられる。具体的には、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネートを使用してもよい。一方、ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラエチレングリコールなどが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのジオールと、アジピン酸やセバチン酸などの二塩基酸との反応生成物、又はカプロラクトンなどの開環重合物を用いることができ、勿論、オキシ酸モノマーあるいはそのプレポリマーの重合物も用いることができる。
本発明の透湿防水性布帛は主に衣料用途に適用するものであるから、微多孔質膜は当然、使用に耐えうるだけの強伸度を有していることが好ましい。そのため、かかるポリウレタン樹脂の強伸度として、具体的に100%モジュラスが1〜20MPaの範囲を満足することが好ましく、2〜15MPaを満足することがより好ましい。100%モジュラスが1MPa未満では、布帛の耐水圧や透湿性能などが低下する傾向にあり、一方、20MPaを超えると、微多孔質膜の形態安定性が低下するだけでなく、布帛の風合いも硬くなる傾向にあり、いずれも好ましくない。なお、この強伸度は、樹脂を無孔質膜となして測定されるものである。
また、本発明では、繊維布帛との接着性向上の観点から、ポリウレタン樹脂が架橋されたものであることが好ましい。架橋に用いる架橋剤としては、イソシアネート化合物などが好適であり、一般には、ポリウレタン樹脂に対し1〜10質量%程度の割合で用いる。この他、樹脂中には、目的に応じ、顔料、フィラーなどの各種添加剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤などの各種機能材を含有させてもよい。
本発明に使用しうるポリウレタン樹脂は、純然たるポリウレタン樹脂であってよいことは当然であるが、何らこれに限定されず、少量であればポリウレタン樹脂以外の重合体が含まれていてもよい。具体的には、ポリウレタン樹脂中に含まれる当該重合体の比率としては、20質量%以下が好ましい。
かかる重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸、ポリカーボネートなどの他、これらの共重合体、あるいは、これらをフッ素やシリコンなどで変成したものなどがあげられる。なお、これらの重合体の100%モジュラスも、前述の範囲を満足するのが好ましいことはいうまでもない。
かかる微多孔質膜は、以上のような所定のポリウレタン樹脂から形成されてなるものであるが、本発明では、この微多孔質膜にフュームドシリカ系微粉末が15〜45質量%、好ましくは20〜40質量%含有されている。これにより、孔径1μm以下のナノオーダーレベルにある多数の孔が膜全体に渡って略均等に配された構造の微多孔質膜が形成される。つまり、かかる微粉末の含有量が15質量%未満であると、上記構造を呈する微多孔質膜を形成することができず、ハニカムスキンコア構造を呈する従来のものと同様の構造となることがある。加えて、布帛に対し透湿、防水の両機能を同時に付与することが困難となる。一方、45質量%を超えると、微多孔質膜が脆くなる傾向にあり、結果、洗濯耐久性の低下などを招く恐れがある。また、布帛の質量が過度に増える傾向にあり、用途が限られる恐れがある。
ここで、フュームドシリカ系超微粉末とは、アモルファス構造で細孔のない球状二酸化珪素粒子が凝集した一次粒子からなるものである。
具体的に、フュームドシリカ系超微粉末の一次粒子径としては、7〜40nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。粒子径が7nm未満であると、取り扱いが煩雑になることに加え、均一分散性の点で不利となり易い傾向にあり、好ましくない。一方、40nmを超えると、膜内に孔径の大きな孔が形成される結果、布帛の防水性能を低下させてしまうことがあり、好ましくない。
また、フュームドシリカ系微粉末が微多孔質膜形成に寄与する点を考慮し、当該微粉末はN,N−ジメチルホルムアミドを吸着するものであることが好ましい。具体的な吸着量としては、150mL/100g以上が好ましく、200mL/100g以上がより好ましい。N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が150mL/100g未満であると、ナノオーダーレベルの孔を形成し難くなる傾向にあり、布帛に優れた透湿性能を付与し難くなるので好ましくない。
ここで、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量は、以下の方法で測定されるものである。すなわち、フュームドシリカ系微粉末5gをガラス平板上におき、N,N−ジメチルホルムアミドを1滴滴下するごとにステンレス製のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチルホルムアミドの1滴で急激に柔らかくなる直前までに要したN,N−ジメチルホルムアミドの体積(単位:mL)を測定する。つまり、この測定方法は、JIS K5101Kを準用したものであり、煮あまに油に代えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた方法である。
本発明におけるフュームドシリカ系微粉末は、上記の物性を有するものであれば、基本的にどのようなものでも使用できる。例えば、粒子表面に多数のシラノール基を有する親水性フュームドシリカ微粉末や、この粒子にジメチルジクロロシランなどの有機珪素ハロゲン化物を反応させることで疎水改質した、疎水性フュームドシリカ系微粉末などが使用できる。また、フュームド金属酸化物も、かかる微粉末の一態様といえ、例えば、親水又は疎水性のフュームド酸化アルミニウム微粉末、フュームド酸化チタン微粉末、酸化ジルコニウム微粉末などが使用可能である。さらに、例示したこれらの微粉末と各種金属酸化物とを混合して得た微粉末も有効である。
このような微粉末を具体的に例示すれば、日本アエロジル(株)製、「AEROSIL 90(商品名)」、「AEROSIL 130(商品名)」、「AEROSIL 150(商品名)」、「AEROSIL 200(商品名)」、「AEROSIL300(商品名)」といった親水性フュームドシリカ系微粉末、「AEROSIL R104(商品名)」、「AEROSIL R106(商品名)」、「AEROSIL R202(商品名)」、「AEROSIL R805(商品名)」、「AEROSIL RX200(商品名)」、「AEROSIL RX300(商品名)」、「AEROSIL R972(商品名)」、「AEROSIL R974(商品名)」、「AEROSIL R976(商品名)」、「AEROSIL R7200(商品名)」、「AEROSIL R8200(商品名)」、「AEROSIL R9200(商品名)」といった疎水性フュームドシリカ系微粉末などがあげられ、この他にも、フュームドシリカとフュームド酸化アルミニウムを混合させた微粉末として「AEROSIL COK84(商品名)」、疎水性フュームド酸化アルミニウム微粉末として「AEROXIDE Alu C 805(商品名)」などがあげられる。
本発明では、上記に列挙したフュームドシリカ系超微粉末を、目的に応じ単独又は複数選択し、使用すればよい。例えば、膜形態を均一にさせ、微多孔質膜の透湿性能を向上させる観点からは、親水性又は疎水性フュームドシリカ系微粉末が好ましく、中でも漏水性や防水耐久性の点で疎水性フュームドシリカ系微粉末が好ましい。また、微多孔質膜の負帯電防止性や微多孔質膜形成の際に用いる樹脂溶液の分散性、流動性及び安定性などを考慮すれば、親水性及び/又は疎水性フュームドシリカ系微粉末と他の金属酸化したものとを混用して用いるのがよい。
また、上記フュームドシリカ系超微粉末の製法としては、公知の方法が採用でき、例えば、燃焼加水分解法により得ることができる。具体的には、公知の乾式法シリカの一種たる珪素塩化物を気化し、高温の炎中において気層状態で酸化すれば、容易に目的の微粉末を得ることができる。
このように、本発明おけるポリウレタン微多孔質膜は、フュームドシリカ系微粉末を特定質量含有するものである。これにより、かかる微多孔質膜は、孔径1μm以下のナノオーダーレベルにある多数の孔が膜全体に渡って略均等に配された構造を呈し、その結果、厚みを薄くしても、優れた防水性能と透湿性能とを同時に実現させることができる。この点、本発明の透湿防水性布帛は、風合いの向上や質量感の低減などにも効果があり、従来の透湿防水性布帛のように、ハニカムスキンコア構造をした厚い樹脂膜(厚み50〜100μm、孔径5〜50μm)を備えてなるものとは大きく異なる。
ここで、かかる微多孔質膜が、ハニカムスキンコア構造ではなく、なぜこのような構造を呈するかについては、詳細は不明であるものの、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、後述する樹脂溶液中に含まれる固形分の濃度を好ましくは15〜35%とする点、固形分中に含まれるフュームドシリカ系微粉末の割合を15〜45質量%とする点、並びに溶媒置換をフュームドシリカ系微粉末の周囲で先行させる点、並びに厚み(乾燥時)を10〜50μmとする点などが有機的に作用し、相乗効果として、均一構造の微多孔質膜が形成されるものと推測している。
そして、本発明の透湿防水性布帛では、上記のポリウレタン微多孔質膜の裏面側(上記布帛側の反対面側)に接着剤層(接着剤からなる層)を介して別のもう一枚の布帛が貼りあわされている。
このもう一枚の布帛としては、特に限定されるものでなく、例えば、既述の布帛と同一のものでも使用可能である。ただし、得られる透湿防水性布帛の質量感、風合いの他、製造コストなども勘案すれば、好ましくはトータル繊度15〜78dtex、より好ましくは15〜44dtexの合成繊維糸条からなる布帛とし、特に合成繊維として好ましくはナイロン6、ナイロン66を使用する。
この他、ここに用いる布帛は、透湿防水性布帛の裏面を構成するものであるところ、自身が吸湿性を具備していることや、縫製部分の目張りを確実なものとするためシームテープ接着性を有していることも、好ましい態様に含まれる。
他方、上記もう一枚の布帛を微多孔質膜に接着させるための接着剤としては、従来公知のものであれば、どのようなものでも使用しうる。具体的には、天然ゴム、ニトリルゴム系、クロロプレンゴム系などの合成ゴム、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂などを、単独で又は混合して用いることができる。また、樹脂のタイプとしても特に限定されるものでなく、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型、硬化型などいずれも使用可能であるが、特に接着耐久性の観点から硬化型が好ましい。
例えば、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基などの反応基を持ついわゆる架橋性を有したポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン−酢酸ビニルなどが自己架橋するか、又はイソシアネート系、エポキシ系などの架橋剤と架橋して、接着剤が硬化型となるものが好ましい。中でも、ポリウレタン系樹脂接着剤が柔軟性に富み、かつ透湿性にも優れているので特に好ましい。
また、接着剤層の形状としては、得られる透湿防水性布帛の機能を損なわない限り、任意の形状が採用できる。例えば、得られる透湿防水性布帛の防水性能を向上させることを考慮すれば、微多孔質膜上の全面又は略全面に該接着剤層を設けるのが好ましく、一方、透湿性能や風合いを考慮すれば、かかる接着剤層の形状としては、点状又は部分的、あるいは一定模様を呈するパターン状のものが好ましいことになる。ただ、透湿防水性布帛の防水性能は、ポリウレタン微多孔質膜の厚みを調整するなどして所望のものとなすことが可能なので、一般に、接着剤層の形状としては後者の態様が好ましく、特に剥離強度の点からパターン状のものが好ましい。
パターン状の形状としては、例えば、点状(ドット状)、線状、格子状、市松模様、亀甲模様などがあげられ、剥離強度の点から、パターンのなす柄が全体として均一性あるものが好ましい。また、微多孔質膜に対する接着剤層の占有面積としては、20〜70%の範囲が好ましく、30〜50%がより好ましい。
そして、接着剤層の厚みとしては、一般に5〜100μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、20〜50μmが特に好ましい。厚みが5μm未満になると、透湿防水性布帛の剥離強力が乏しくなる傾向にあり、一方、100μmを超えると、透湿性能が低下したり、風合いが硬化したりすることがあるので、いずれも好ましくない。
以上のように、本発明の透湿防水性布帛は、布帛、ポリウレタン微多孔質膜、接着剤層及び布帛の順に積層貼合されてなるものであって、優れた透湿防水性能を発揮するものである。かかる透湿防水性能を具体的に数値化すると、防水性能の指標たる耐水圧としては250〜500kPaが好ましく、透湿性能の指標たる透湿度としては7000〜11000g/m・24hrsが好ましい。なお、耐水圧は、JIS L1092(高水圧法)に、透湿度は、JIS L1099(A−1法)にそれぞれ準じて測定されるものである。
次に、本発明の透湿防水性布帛の製法について説明する。なお、以下に記載する製法は、単なる代表例に過ぎないと理解されるべきである。
まず、布帛を用意する。本発明では、例えば布帛として製織編しただけのもの(生機)や染色上がりの布帛などをそのまま用いてもよいが、布帛に樹脂溶液を塗布する際に樹脂溶液が布帛内部へ深く浸透するのを防ぐ観点から、撥水加工やカレンダー加工された布帛を用いるのがよい。
上記撥水加工に用いる撥水剤としては、例えば、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などがあげられ、加工方法としては、例えば、パディング法、コーティング法、スプレー法などがあげられる。
また、上記カレンダー加工としては、温度制御機能を有する鏡面ロールと、コットンロール又はプラスチックロールとの間に布帛を走行させ、鏡面ロールでもって布帛表面を目潰しすればよい。なお、後述する樹脂溶液の塗布は、布帛のカレンダー加工された面に対し行うのが一般的である。
布帛を準備した後、ポリウレタン樹脂を含む所定の樹脂溶液を準備する。かかる樹脂溶液中に含まれる固形分濃度(固形分とは、揮発、蒸発などしない成分の総称であり、具体的には、樹脂成分、微粉末、添加剤成分、機能剤成分の他、各種助剤成分などが該当する)としては、15〜35%が好ましい。また、粘度としては、5000〜30000mPa・s(25℃)が好ましい。粘度が5000mPa・s(25℃)未満では、樹脂溶液が布帛内部へ深く浸透する傾向が強く、一方、30000mPa・s(25℃)を超えると、樹脂溶液のレベリング性に問題が生じやすくなる傾向にあり、いずれも好ましくない。
そして、かかる樹脂溶液中には、既述したフュームドシリカ系微粉末が含まれており、含有量は全固形分に対し15〜45質量%含まれる。
フュームドシリカ系微粉末は、均一構造の微多孔質膜を形成する観点から、溶液中に均一に含有されていることが好ましく、このため、溶液中に当該微粉末を含有させる際は、その目的に沿う手段を採用する。具体的には、3本ロールミル機、ニーダー機、サンドミル機などの混練機を用いて、所定の含有率に均一分散する、又は同混練機で高含有率に混練した後、所定の含有率に均一撹拌するなどの手段が好ましく採用される。
また、ポリウレタン樹脂を溶解させる溶媒としては、前述のようにN,N−ジメチルホルムアミドが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、N,N−ジメチルホルムアミド以外のものを併用してもよい。
本発明では、布帛、樹脂溶液を準備した後、布帛の片面に樹脂溶液を塗布する。塗布は、布帛の片面全面に行い、必要に応じ所々厚みに差を設けてもよい。
塗布手段としては、例えば、コンマコータ、ナイフコータなどを用いて塗布する手段があげられる。そして、塗布量としては、最終的に得られる微多孔質膜の厚みを10〜50μmとする点を十分考慮して適宜決定する。
樹脂溶液を塗布した後は、樹脂溶液中に含まれる固形分を湿式法により凝固させる。
湿式凝固に用いる凝固液としては、前述のように、水又はN,N−ジメチルホルムアミドを少量含有する水混合液を使用する。水混合液の場合、濃度としては、操業性や環境面を考慮し、5〜30%程度が好ましい。また、凝固液の温度としては5〜35℃が好ましく、凝固時間としては30秒間〜5分間が好ましい。
固形分を凝固させた後は、N,N−ジメチルホルムアミドの除去を促進する目的で、35〜80℃の温度下で1〜10分間湯洗する。そして、湯洗後は、50〜150℃の温度下で1〜10分間乾燥する。以上のようにしてポリウレタン微多孔質膜を形成できるが、次工程後たる接着剤層の形成に移る前に、防水耐久性や撥水耐久性などを付与する目的で、得られた布帛を撥水加工してもよい。ここで行う撥水加工としては、撥水剤、加工方法共に既述の撥水加工を準用すればよい。
ポリウレタン微多孔質膜を形成した後は、この膜上に接着剤層を形成する。接着剤層を形成するには、例えば、樹脂のタイプがエマルジョン型や溶剤型であれば、コンマコータ、グラビアコータ、スクリーンなどを用いて、微多孔質膜上に樹脂溶液を任意の形状で塗布し、50〜150℃で1〜5分間乾燥すれば容易に形成することができる。また、樹脂がホットメルト型であれば、Tダイ、グラビアロールなどを用いて、微多孔質膜上に樹脂溶液を任意の形状で押し出し、20〜150℃で圧着貼合すれば容易に形成できる。
そして、接着剤層の形成後、予め準備しておいたもう一枚の布帛を接着剤層表面に圧着もしくは熱圧着して、本発明の透湿防水性布帛を得ることができる。なお、本発明では、防水性能や洗濯耐久性などの向上のため、もう一枚の布帛を貼り付けた後、前述した撥水加工を準用するなどして撥水加工してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例における布帛の性能の測定、評価は、次の方法で行った。
(1)耐水圧
JIS L1092(高水圧法)に準じて測定した。
(2)洗濯耐久性
同一の布帛について、洗濯前の耐水圧と、JIS L0217(103法)に準じた洗濯を20回繰り返した後(20洗後)の耐水圧とを測定した後、洗濯前の耐水圧(A)に対する20洗後耐水圧(B)の保持率(A/B×100(%))を算出し、布帛の洗濯耐久性とした。
(3)透湿度
JIS L1099(A?1法)塩化カルシウム法に準じて測定した。
(4)剥離強度
JIS L1089に準じて裏地(もう一枚の布帛)経方向の接着強度を測定することで布帛の剥離強度を評価した。
(5)風合い
下記3水準で官能評価した。
○:ソフト
△:普通
×:ペーパーライクで粗硬
(6)樹脂膜の厚み及び断面形態の観察
オリンパス光学工業(株)製、「OLYMPUS BH−2型(商品名)」を用いて、倍率660倍の光学写真を撮影し、樹脂膜の厚み及び断面形態を観察した。
参考例1)
経緯糸にナイロン6フィラメント糸78dtex/68fを用い、経糸密度115本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cmの平組織の布帛たるタフタを製織した。得られた布帛を精練した後、酸性染料(日本化薬(株)製、「KayanolMilling Blue GW(商品名)」)1.0%omfを用いて染色した。その後、フッ素系撥水剤エマルジョン(旭硝子(株)製、「アサヒガードGS10(商品名)」の5%水分散液を用いて、布帛をパディングし(絞り率40%)、乾燥後、170℃で40秒間熱処理した。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で布帛をカレンダー加工した。
一方で、ナイロン6フィラメント糸22dtex/7fを用い、針密度28本/2.54cmのトリコット経編機にて経編地を編成し、これを通常の方法で精練し、裏地に供する布帛(もう一枚の布帛)とした。
また、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒とするエステル型ポリウレタン樹脂溶液であって固形分濃度が28%である、セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」と、一次粒子径が16nmの疎水性フュームドシリカ系微粉末であってN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が260mL/100gである、日本アエロジル(株)製、「AEROSIL R972(商品名)」と、N,N−ジメチルホルムアミドとを順に3:1:1の割合で粗練りした後、3本ロールミル機を用いて均一に混練し、無色透明の樹脂溶液(樹脂溶液A)を得た。
次いで、上記樹脂溶液Aを含有する、下記処方1に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液は、粘度が25℃下において10000mPa・sであり、固形分濃度は24%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は30質量%であった。
《処方1》
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」) 50質量部
樹脂溶液A 50質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 38質量部
そして、コンマコータを用いて、布帛(タフタ)のカレンダー加工された面の全面に、上記処方1にかかる樹脂溶液を100g/m塗布した。塗布後直ちに、かかる布帛をN,N−ジメチルホルムアミドを濃度15%含有する水混合液(20℃)に2分間浸漬した。続いて、布帛を50℃の温度下で5分間湯洗し、マングルで絞った後、130℃で2分間乾燥し、ポリウレタン微多孔質膜を形成した。
その後、フッ素系溶剤型撥水剤(旭硝子(株)製「アサヒガードAG5850(商品名)」の3%ミネラルターペン溶液を用いて、得られた布帛をパディングし(絞り率30%)、乾燥後、170℃で40秒熱処理した。
次に、下記処方2に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を準備した。この樹脂溶液は2液タイプであり、接着剤層を形成するためのものである。粘度は25℃下において1000mPa・sであり、固形分濃度は35%であった。
《処方2》
非膨潤型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンUD−108(商品名)」) 50質量部
膨潤型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンUD−4048(商品名)」) 50質量部
イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、架橋剤「コロネートHL(商品名)」固形分100%) 8質量部
メチルエチルケトン 35質量部
トルエン 15質量部
そして、ドッド状に彫刻したグラビアロール(0.4mm/40メッシュ、深度100μm)を用いて、微多孔質膜上の全面にこの樹脂溶液を35g/m塗布した。塗布後、130℃で2分間乾燥し、接着剤層を形成した。
接着剤層の形成後、前述の裏地(もう一枚の布帛)を、接着剤層表面に300kPaなるゲージ圧力にて圧着し、50℃下で5日間エージングし、湿防水性布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、微多孔質膜の態様につき、検証した。まず、光学写真から厚みは25μmと測定され、従来の透湿防水性布帛に比べ、厚みが薄いことが確認できた。また、同写真からは、膜中にハニカムスキンコア構造を発見できなかった。さらに進んで検証すべく、電界放射形走査電子顕微鏡((株)日立製作所製、「S−4000(商品名)」)を用いて、3000倍、10000倍の写真を撮影したところ、膜中には孔径1μm以下の孔が多数存在し、それらは膜全体に渡って略均等に分布していることが確認できた。
他方、接着剤層についても、同じく光学写真から厚みを測定したところ、5〜20μmであった。
(実施例2)
ドッド状に彫刻したグラビアロールとして、0.4mm/40メッシュ、深度100μmなるものに代えて、0.7mm/25メッシュ、深度200μmなるものを用い、上記処方2にかかる樹脂溶液に代えて、下記処方3に示す組成のポリウレタン樹脂溶液をドット占有率40%のドットパターンに塗布する以外は、参考例1と同様にして本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、この樹脂溶液(処方3)も2液タイプであり、粘度は25℃下において3000mPa・sであり、固形分濃度は39%であった。
《処方3》
非膨潤型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンUD−108(商品名)」) 100質量部
イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、架橋剤「コロネートHL(商品名)」固形分100%) 8質量部
メチルエチルケトン 25質量部
トルエン 10質量部
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、厚みは25μmと測定された。また、膜の構造としては、ハニカムスキンコア構造は発見されず、ナノオーダーレベルにある多数の微細孔を略均等に内在した構造であることが確認できた。さらに、接着剤層の厚みも同様に測定したところ、ドット中央部の最大厚みが約50μmであった。
(実施例3)
ナイロン6フィラメント糸からなる布帛(タフタ)に代えて、下記の布帛を用いる以外は、参考例1と同様にして本発明の透湿防水性布帛を得た。すなわち、経緯糸にポリエステルフィラメント糸83dtex/68fを用い、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cmの平組織の布帛たるタフタを製織した。得られた布帛を精練した後、分散染料(ダイスター(株)製、「DianixYellow SE−5G(商品名)」)0.3%omfを用いて染色し、以降は参考例1と同様にして透湿防水性布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、ハニカムスキンコア構造は発見されず、ナノオーダーレベルにある多数の微細孔を略均等に内在した構造であることが確認できた。
参考例4、実施例5)
処方1にかかる樹脂溶液の塗布量を100g/mに代えて60g/m参考例4)、170g/m(実施例5)とする以外は、実施例2と同様にして湿防水布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、厚みが15μm(参考例4)、厚みが45μm(実施例5)であり、構造はいずれの膜においても、多数の微細孔を内在する略均一な構造であることが確認できた。
(比較例1、2)
処方1にかかるポリウレタン樹脂溶液に代えて、下記処方4に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を用いる以外は、参考例1と同様にして(比較例1)、また、実施例2と同様にして(比較例2)、それぞれ透湿防水性布帛を得た。なお、処方4にかかる樹脂溶液は、粘度が25℃下において13000mPa・sであり、固形分濃度は22%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は10質量%であった。
《処方4》
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」) 85質量部
樹脂溶液A 15質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 30質量部
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、共に厚みが60μmと測定され、従来の透湿防水性布帛と略同様のものであることが確認できた。また、構造としても、共に孔径10〜40μmの縦長楕円状の孔が多数認められ、いわゆるハニカムスキンコア構造であるのが確認できた。
(比較例3)
処方1にかかるポリウレタン樹脂溶液に代えて、下記処方5に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を用いる以外は、実施例2と同様にして透湿防水性布帛を得た。なお、処方5にかかる樹脂溶液は、粘度が25℃下において11000mPa・sであり、固形分濃度は27%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は54質量%であった。
《処方5》
樹脂溶液A 100質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、厚みが30μmと測定され、ハニカムスキンコア構造は発見されなかったものの、微粉末の含有量が多過ぎたため、微多孔質膜は脆いものとなった。その結果、得られた透湿防水性布帛は、下記表1に示すように洗濯耐久性に乏しく、硬い風合いのものとなった。
(比較例4、5)
処方1にかかる樹脂溶液の塗布量を100g/mに代えて30g/m(比較例4)、250g/m(比較例5)とする以外は、実施例2と同様にして透湿防水布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、参考例1の場合と同様の手段で微多孔質膜の態様を検証したところ、厚みが6〜8μm(比較例4)、60μm(比較例5)と測定された。膜の構造としては、前者(比較例4)ではハニカムスキンコア構造は発見されなかったものの、膜の厚みが薄すぎたため、透湿防水性布帛は防水性能に劣るものとなった。一方、後者(比較例5)では、膜の厚みが所定の範囲を超えており、膜がハニカムスキンコア構造を呈しているのが確認できた。
上記実施例及び比較例で得られた各布帛の性能を下記表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明の透湿防水性布帛は、透湿性能、防水性能共に優れるだけでなく、良好な洗濯耐久性、さらにはソフト感に富む風合いも併せもつものであった。

Claims (2)

  1. 布帛、ポリウレタン微多孔質膜、接着剤層及び布帛の順に積層貼合されてなり、該ポリウレタン微多孔質膜は、厚みが10〜50μmであると共に、フュームドシリカ系微粉末として疎水性フュームドシリカ系微粉末のみを20〜45質量%含有し、かつ孔径1μm以下の多数の微細孔が膜全体に渡り均等に配された構造を呈しており、さらに、布帛全体として、耐水圧が250〜500kPaであり、かつJISL1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が7000〜11000g/m ・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
  2. 前記接着剤層がパターン状で設けられていることを特徴とする請求項1記載の透湿防水性布帛。
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