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JP2009221630A - 透湿防水性布帛 - Google Patents

透湿防水性布帛 Download PDF

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JP2009221630A
JP2009221630A JP2008067720A JP2008067720A JP2009221630A JP 2009221630 A JP2009221630 A JP 2009221630A JP 2008067720 A JP2008067720 A JP 2008067720A JP 2008067720 A JP2008067720 A JP 2008067720A JP 2009221630 A JP2009221630 A JP 2009221630A
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moisture
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JP2008067720A
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Kiyoshi Nakagawa
清 中川
Yoshiaki Kijima
由明 來島
Munemasa Okubo
宗政 大久保
Kohei Toyofuku
航平 豊福
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

【課題】高い透湿性能と防水性能とを備えると共に、風合いや耐久性などにも優れた透湿防水性布帛を提供することを目的とする。
【解決手段】繊維布帛の片面に、膜厚が10.0〜50.0μmであり、フュームドシリカ系微粉末を15〜45質量%含有してなるポリウレタン微多孔質膜を有してなり、耐水圧が100〜300kPaであり、JIS L1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が8000〜12000g/m・24hrsである透湿防水性布帛。
【選択図】図1

Description

本発明は、透湿防水性布帛に関するものである。
透湿性と防水性とを併せ持つ透湿防水性布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機能と、雨が衣服内に侵入するのを防ぐ機能とを有するものであり、スポーツ衣料や防寒衣料などに広く用いられている。
このような透湿防水性布帛としては、糸を高密度に織り込んだ高密度織物や、繊維布帛の片面にポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド又はポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂からなる樹脂膜を形成した透湿防水性布帛がよく知られている。その中でも、汎用性並びにコストや性能面からポリウレタン樹脂が好ましく用いられている。
前記透湿防水性布帛の一例として、下記特許文献1には、繊維布帛上に、平均粒子径が1μm以下で、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量の多い無機微粉末を1質量%以上含有させたポリウレタン樹脂を湿式凝固することで、ポリウレタン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の他にサブミクロンオーダーの微細孔を多数有する樹脂膜を備えた透湿防水性布帛が開示されている。同文献によれば、当該透湿防水性布帛は、透湿度7000g/m・24hrs、耐水圧0.6kgf/cmを満足する。
特開平6−272168号公報
近年、アウトドアブームの高まりによって、透湿防水性布帛の用途が従来のスポーツ衣料だけでなく、広くレジャー分野全般に渡るようになってきており、透湿防水性布帛における透湿性能、防水性能、風合い及び洗濯耐久性などの機能強化が要望されている。
しかしながら、特許文献1記載の透湿防水性布帛における樹脂膜は、一般のポリウレタン樹脂膜と同じく、孔径10〜50μm程度の孔を多数有するハニカムスキンコア構造であるため、十分な防水性能を得ることができない。つまり、所望の防水性能を得るには、樹脂膜の厚みを40〜100μm程度にまで厚くする必要があり、結果、厚みによる透湿抵抗から透湿性能が低下するという問題に加え、風合いが損なわれるという問題が生じる。
本発明はこのような現状に鑑みて行われたもので、高い透湿性能と防水性能とを備えると共に、風合いや耐久性などにも優れた透湿防水性布帛を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するもので、次の構成よりなるものである。
(1)繊維布帛の片面に、膜厚が10.0〜50.0μmであり、フュームドシリカ系微粉末を15〜45質量%含有してなるポリウレタン微多孔質膜を有してなり、耐水圧が100〜300kPaであり、JIS L1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が8000〜12000g/m・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
(2)繊維布帛の片面に、膜厚が10.0〜50.0μmであり、フュームドシリカ系微粉末を15〜45質量%含有してなるポリウレタン微多孔質膜と、その上に膜厚が0.5〜15.0μmの無孔質膜とを順次備えてなり、耐水圧が150〜800kPaであり、JIS L1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が5000〜11000g/m・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
本発明の透湿防水性布帛は、高い透湿性能と防水性能とを備えると共に、風合い及び洗濯などの耐久性にも非常に優れている。そのため、本発明の透湿防水性布帛は、スポーツ衣料だけでなく、広くレジャー分野全般に用いることができる。
また、本発明の透湿防水性布帛が備えてなる微多孔質膜は、構造としてハニカムスキン構造をとるのではなく、ナノオーダーの微細な孔を多数有する微多孔質なものであるから、膜厚を抑えることができ、結果、風合い向上や質量感低減などに非常に有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透湿防水性布帛に用いうる繊維布帛としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維などの合成繊維、トリアセテートなどの半合成繊維、あるいはナイロン6/綿、ポリエチレンテレフタレート/綿などの混合繊維からなる織物、編物又は不織布などがあげられる。
本発明の透湿防水性布帛は、上記繊維布帛の片面に特定の要件を満足するポリウレタン微多孔質膜を備えてなるものである。
具体的に、ポリウレタン微多孔質膜の膜厚としては、10.0〜50.0μmが好ましく、15.0〜40.0μmがより好ましい。膜厚が10.0μm未満になると、防水性能が低減する傾向にあり、一方、50.0μmを超えると、ハニカムスキンコア構造に近い形態を呈しやすくなる他、風合いの悪化を招きやすい傾向にあるので、いずれも好ましくない。
本発明におけるポリウレタン微多孔質膜は、基本的に、凝固液として水又はN,N−ジメチルホルムアミドを少量含有する水混合液を使用して、所定のポリウレタン樹脂を凝固させる、いわゆる湿式法により形成する。つまり、樹脂溶液中の溶媒と、凝固液中に含まれる水との間で生じる溶媒置換を利用することで、製膜するのである。したがって、ポリウレタン樹脂は固形のままで使用されるのではなく、溶液にして用いるのが一般的である。このとき、ポリウレタン樹脂を溶解させる溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解する極性有機溶媒であれば特段限定されないが、後述するフュームドシリカ系微粉末がN,N−ジメチルホルムアミドを多量に吸着しやすい特性を有することから、N,N−ジメチルホルムアミドが好適である。
上記ポリウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる重合体があげられる。イソシアネート成分としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが単独で又は混合して用いられる。具体的には、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート又は1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネートを使用してもよい。一方、ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラエチレングリコールなどが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのジオールと、アジピン酸やセバチン酸などの二塩基酸との反応生成物、又はカプロラクトンなどの開環重合物を用いることができ、勿論、オキシ酸モノマーあるいはそのプレポリマーの重合物も用いることができる。
本発明の透湿防水性布帛は主に衣料用途に適用するものであるから、微多孔質膜は当然、使用に耐えうるだけの強伸度を有していることが好ましい。そのため、かかるポリウレタン樹脂の強伸度として、具体的に100%モジュラスが1〜20MPaの範囲を満足することが好ましく、2〜15MPaを満足することがより好ましい。100%モジュラスが1MPa未満では、布帛の耐水圧や透湿性能などが低下する傾向にあり、一方、20MPaを超えると、微多孔質膜の形態安定性が低下するだけでなく、布帛の風合いも硬くなる傾向にあり、いずれも好ましくない。なお、この強伸度は、樹脂を無孔質膜とし、測定されるものである。
また、本発明では、繊維布帛との接着性向上の観点から、ポリウレタン樹脂が架橋されたものであることが好ましい。架橋に用いる架橋剤としては、イソシアネート化合物などが好適であり、一般には、ポリウレタン樹脂に対し1〜10質量%程度の割合で用いる。この他、樹脂中には、目的に応じ、顔料、フィラーなどの各種添加剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤などの各種機能材を含有させてもよい。
本発明に使用しうるポリウレタン樹脂は、純然たるポリウレタン樹脂であってよいことは当然であるが、何らこれに限定されず、少量であればポリウレタン樹脂以外の重合体が含まれていてもよい。具体的には、ポリウレタン樹脂中に含まれる当該重合体の比率としては、20質量%以下が好ましい。
かかる重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸、ポリカーボネートなどの他、これらの共重合体、あるいは、これらをフッ素やシリコンなどで変成したものなどがあげられる。なお、これらの重合体の100%モジュラスも、前述の範囲を満足するのが好ましいことはいうまでもない。
かかる微多孔質膜は、以上のような所定のポリウレタン樹脂から形成されてなるものであるが、本発明では、この微多孔質膜にフュームドシリカ系微粉末が15〜45質量%含有されている。これにより、孔径1μm以下のナノオーダーレベルにある多数の孔が膜全体に渡って略均等に配された構造の微多孔質膜形成が可能となる。つまり、かかる微粉末の含有量が15質量%未満であると、上記構造を呈する微多孔質膜を形成することができず、ハニカムスキンコア構造を呈する従来のものと同様の構造となることがある。加えて、布帛に対し透湿、防水の両機能を同時に付与することが困難となる。一方、45質量%を超えると、微多孔質膜が脆くなる傾向にあり、結果、洗濯耐久性の低下などを招く恐れがある。また、布帛の質量が過度に増える傾向にあり、用途が限られる恐れがある。
ここで、フュームドシリカ系超微粉末とは、アモルファス構造で細孔のない球状二酸化珪素粒子が凝集した一次粒子からなるものである。
具体的に、フュームドシリカ系超微粉末の一次粒子径としては、7〜40nmが好ましく、10〜30nmがより好ましい。粒子径が7nm未満であると、取り扱いが煩雑になることに加え、均一分散性の点で不利となり易い傾向にあり、好ましくない。一方、40nmを超えると、膜内に孔径の大きな孔が形成される結果、布帛の防水性能を低下させてしまうことがあり、好ましくない。
また、フュームドシリカ系微粉末が微多孔質膜形成に寄与する点を考慮し、当該微粉末はN,N−ジメチルホルムアミドを吸着するものであることが好ましい。具体的な吸着量としては、200mL/100g以上が好ましく、250mL/100g以上がより好ましい。N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200mL/100g未満であると、ナノオーダーレベルの孔を形成し難くなる傾向にあり、布帛に優れた透湿性能を付与し難くなるので好ましくない。
ここで、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量は、以下の方法で測定されるものである。すなわち、フュームドシリカ系微粉末5gをガラス平板上におき、N,N−ジメチルホルムアミドを1滴滴下するごとにステンレス製のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチルホルムアミドの1滴で急激に柔らかくなる直前までに要したN,N−ジメチルホルムアミドの体積(単位:mL)を測定する。つまり、この測定方法は、JIS K−5101Kを準用したものであり、煮あまに油に代えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた方法である。
本発明におけるフュームドシリカ系微粉末は、上記の物性を有するものであれば、基本的にどのようなものでも使用できる。例えば、粒子表面に多数のシラノール基を有する親水性フュームドシリカ系微粉末や、この粒子にジメチルジクロロシランなどの有機珪素ハロゲン化物を反応させることで疎水改質した、疎水性フュームドシリカ系微粉末などが使用できる。また、フュームド金属酸化物も、かかる微粉末の一態様といえ、例えば、親水又は疎水性のフュームド酸化アルミニウム微粉末、フュームド酸化チタン微粉末、酸化ジルコニウム微粉末などが使用可能である。さらに、例示したこれらの微粉末と各種金属酸化物とを混合して得た微粉末も有効である。
このような微粉末を具体的に例示すれば、日本アエロジル(株)製、「AEROSIL 90(商品名)」、「AEROSIL 130(商品名)」、「AEROSIL 150(商品名)」、「AEROSIL 200(商品名)」、「AEROSIL300(商品名)」といった親水性フュームドシリカ系微粉末、「AEROSIL R104(商品名)」、「AEROSIL R106(商品名)」、「AEROSIL R202(商品名)」、「AEROSIL R805(商品名)」、「AEROSIL RX200(商品名)」、「AEROSIL RX300(商品名)」、「AEROSIL R972(商品名)」、「AEROSIL R974(商品名)」、「AEROSIL R976(商品名)」、「AEROSIL R7200(商品名)」、「AEROSIL R8200(商品名)」、「AEROSIL R9200(商品名)」といった疎水性フュームドシリカ系微粉末などがあげられ、この他にも、フュームドシリカとフュームド酸化アルミニウムを混合させた微粉末として「AEROSIL COK84(商品名)」、疎水性フュームド酸化アルミニウム微粉末として「AEROXIDE Alu C 805(商品名)」などがあげられる。
本発明では、上記に列挙したフュームドシリカ系超微粉末を、目的に応じ単独又は複数選択し、使用すればよい。例えば、膜形態を均一にさせ、微多孔質膜の透湿性能を向上させる観点からは、親水性又は疎水性フュームドシリカ系微粉末が好ましく、中でも漏水性や防水耐久性の点で疎水性フュームドシリカ系微粉末が好ましい。また、微多孔質膜の負帯電防止性や微多孔質膜形成の際に用いる樹脂溶液の分散性、流動性及び安定性などを考慮すれば、親水性及び/又は疎水性フュームドシリカ系微粉末とフュームド金属酸化物とを混用して用いるのがよい。
また、上記フュームドシリカ系超微粉末の製法としては、公知の方法が採用でき、例えば、燃焼加水分解法により得ることができる。具体的には、公知の乾式法シリカの一種たる珪素塩化物を気化し、高温の炎中において気層状態で酸化すれば、容易に目的の微粉末を得ることができる。
以上、本発明おけるポリウレタン微多孔質膜は、フュームドシリカ系微粉末を特定質量含有するものである。これにより、かかる微多孔質膜は、孔径1μm以下のナノオーダーレベルにある多数の孔が膜全体に渡って略均等に配された構造を呈するから、膜圧を薄くしても、優れた防水性能と透湿性能とを同時に実現させることができる。この点、本発明の透湿防水性布帛は、風合いの向上や質量感の低減などに効果があり、従来の透湿防水性布帛のように、ハニカムスキンコア構造の厚い樹脂膜を備えてなるものとは大きく異なる。
本発明の透湿防水性布帛が奏しうる、具体的な防水性能及び透湿性能としては、防水性能の指標たる耐水圧として100〜300kPaが、透湿性能の指標たる透湿度として8000〜12000g/m・24hrsが達成可能となる。なお、耐水圧は、JIS L1092(高水圧法)に、透湿度は、JIS L1099(A−1法)にそれぞれ準じ測定されるものである。
本発明の透湿防水性布帛は以上の構成を有するものであるが、必要に応じて、微多孔質膜上に別途樹脂膜を形成することを何ら制限するものでない。例えば、防水性能を向上させたいときは、微多孔質膜上に所定の膜厚を有する無孔質膜を順次設ければよい。これにより、耐水圧として150〜800kPaが達成可能となる。ただ、微多孔質膜上に別途樹脂膜を形成することは、当該樹脂膜の組成、形態にもよるが、一般には透湿性能を阻害する傾向にあり、上記の態様の場合では、透湿度は5000〜11000g/m・24hrsに低減する。
当該態様の場合、無孔質膜の膜厚としては、0.5〜15.0μmが好ましく1.0〜12.0μmがより好ましく、1.0〜8.0μmが特に好ましい。膜厚が0.5μm未満になると、防水性能をあまり向上させることができない傾向にあり、一方、15.0μmを超えると、防水性能を大幅に向上させることができるものの、透湿性能を著しく阻害する傾向にあり、いずれも好ましくない。
また、無孔質膜を形成しうる樹脂としては、特に限定されるものでないが、微多孔質膜との接着性の観点から、好ましくはポリウレタン樹脂を用いる。
そして、樹脂を溶解させる溶媒としては、特段限定こそされないが、微多孔質膜の場合とは異なり、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドの含有率が少ないもの、もしくはこれを全く含まないものを用いる。なぜなら、N,N−ジメチルホルムアミドは、ポリウレタン樹脂の親溶媒にあたるところ、溶媒中にこれが多く含まれていると、微多孔質膜の表面が侵蝕されることがあるからである。
無孔膜を形成する手段としては、特に限定されるものでないが、樹脂溶液を塗布して乾燥する、いわゆる乾式法が採用できる。このとき、溶媒中にN,N−ジメチルホルムアミドが10%質量%含有されているときは、上記の理由から速やかに乾燥して無孔膜を形成することが好ましい。
次に、本発明の透湿防水性布帛の製法について説明する。なお、かかる製法は、何ら制限を受けるものではないが、以下の製法が代表例としてあげられる。
まず、繊維布帛を用意する。本発明では、繊維布帛として製織編しただけのもの(生機)をそのまま用いてもよいが、繊維布帛に樹脂溶液を塗布する際にかかる樹脂溶液が繊維布帛内部へ深く浸透するのを防ぐ観点から、撥水加工やカレンダー加工された繊維布帛を用いるのがよい。
かかる撥水加工に用いる撥水剤としては、例えば、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などがあげられ、加工方法としては、例えば、パディング法、コーティング法、スプレー法などがあげられる。
樹脂溶液の繊維布帛への浸透は、基本的に上記手段を採用すれば防ぐことができるが、それでも浸透を防ぐことができないときは、透湿性能に支障を及ぼし難い樹脂、例えば、アクリル系樹脂やポリウレタン系樹脂などを用いて、パディング法、スプレー法といったプライマー処理やコーティング法、グラビアコーティング法といった片面処理などを実施すればよい。
本発明では、上記繊維布帛の片面に、前述のポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布する。樹脂溶液中に含まれる固形分濃度(固形分とは、揮発、蒸発などしない成分の総称であり、具体的には、樹脂成分、微粉末、添加剤成分、機能剤成分の他、各種助剤成分などが該当する)としては、15〜35%が好ましく、粘度としては、5000〜30000mPa・s(25℃)が好ましい。
そして、かかる樹脂溶液中には、フュームドシリカ系微粉末が含まれており、含有量は全固形分中に15〜45質量%含まれる。
フュームドシリカ系微粉末は、均一構造の微多孔質膜を形成する観点から、溶液中に均一に含有されていることが好ましく、このため、溶液中に当該微粉末を含有させる際は、その目的に沿う手段を採用する。具体的には、3本ロールミル機、ニーダー機、サンドミル機などの混練機を用いて、所定の含有率に均一分散する、又は同混練機で高含有率に混練した後、所定の含有率に均一撹拌するなどの手段が好ましく採用される。
また、ポリウレタン樹脂を溶解させる溶媒としては、前述のようにN,N−ジメチルホルムアミドが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、N,N−ジメチルホルムアミド以外のものを併用してもよい。
本発明では、以上の樹脂溶液を繊維布帛の片面に塗布する。かかる塗布の手段としては、例えば、コンマコータ、ナイフコータなどを用いて塗布する手段があげられる。そして、塗布量としては、最終的に得られる微多孔質膜の膜厚を十分考慮しつつ、適宜決定すればよい。
樹脂溶液塗布の後は、樹脂溶液中に含まれる固形分を凝固させる。
湿式凝固に用いる凝固液としては、前述のように、水又はN,N−ジメチルホルムアミドを少量含有する水混合液を使用する。水混合液の場合、濃度としては、操業性や環境面を考慮し、5〜30%程度が好ましい。また、凝固液の温度としては5〜35℃が好ましく、凝固時間としては30秒間〜5分間が好ましい。
固形分を凝固させた後は、N,N−ジメチルホルムアミドの除去を促進する目的で、35〜80℃の温度下で1〜10分間湯洗する。そして、湯洗後は、50〜150℃の温度下で1〜10分間乾燥する。
以上のようにして、本発明の透湿防水性布帛を得ることができる。
本発明の透湿防水性布帛は、既に述べたように、特異な構造の微多孔質膜を備えるものである。特異な構造とは、ナノオーダーレベルにある多数の孔が、膜全体に渡って略均等に配された構造を意味することは、前述の通りである。ここで、微多孔質膜が、ハニカムスキンコア構造ではなく、なぜこのような構造を呈するかについては、詳細は不明であるものの、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、樹脂溶液中に含まれる固形分の濃度が15〜35%である点、固形分中に含まれるフュームドシリカ系微粉末の割合が15〜45質量%である点、並びに溶媒置換をフュームドシリカ系微粉末の周囲で先行させる点、並びに膜厚を10.0〜50.0μmとする点などが有機的に作用し、相乗効果として、均一構造の微多孔質膜が形成されるものと推測する。
また、本発明では、防水性能や洗濯耐久性などの向上のため、微多孔質膜の形成の後、撥水加工してもよい。この場合の撥水加工としては、前述した繊維布帛を撥水加工する手段を準用すればよい。
さらに、前述のように、本発明では、必要に応じ微多孔質膜上に別途樹脂膜を形成してもよい。この場合、例えば、無孔質膜を設けるのであれば、ナイフコータやリバースコータなどを用いて、乾燥後の膜厚を十分考慮しながら所定の樹脂溶液を塗布すればよい。なお、無孔質膜形成後に必要に応じ撥水加工してもよいことは、いうまでもない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例における布帛の性能の測定、評価は、次の方法で行った。
(1)耐水圧
JIS L−1092(高水圧法)に準じて測定した。
(2)洗濯耐久性
同一の布帛について、洗濯前の耐水圧と、JIS L−0217(103法)に準じた洗濯を50回繰り返した後の耐水圧とを測定し、両者の測定値を比較することで布帛の洗濯耐久性を評価した。
(3)透湿度
JIS L1099(A?1法)塩化カルシウム法に準じて測定した。
(4)風合い
下記3水準で官能評価した。
○:ソフト
△:普通
×:ペーパーライクで粗硬
(5)樹脂膜の膜厚及び断面形態の観察
オリンパス光学工業(株)製、「OLYMPUS BH−2型(商品名)」を用いて、倍率660倍の光学写真を撮影し、樹脂膜の膜厚及び断面形態を観察した。
(実施例1)
経緯糸にナイロン6フィラメント糸78dtex/68fを用い、経糸密度115本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cmの繊維布帛たるタフタを製織した。得られた繊維布帛を精練した後、酸性染料(日本化薬(株)製、「Kayanol Blue N2G(商品名)」)1.0%omfを用いて染色した。その後、フッ素系撥水剤エマルジョン(旭硝子(株)製、「アサヒガードGS10(商品名)」の5%水分散液を用いて、布帛をパディングし(絞り率40%)、乾燥後、170℃で40秒間熱処理した。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で布帛をカレンダー加工し、布帛Aを得た。
一方で、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒とするエステル型ポリウレタン樹脂溶液であって固形分濃度が28%である、セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」と、一次粒子径が16nmの疎水性フュームドシリカ系微粉末であってN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が260mL/100gである、日本アエロジル(株)製、「AEROSIL R972(商品名)」と、N,N−ジメチルホルムアミドとを順に3:1:1の割合で粗練りした後、3本ロールミル機を用いて均一に混練し、無色透明の樹脂溶液(樹脂溶液A)を得た。
次いで、上記樹脂溶液Aを含有する、下記処方1に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において9000mPa・sであり、固形分濃度は24%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は30質量%であった。
《処方1》
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」) 50質量部
樹脂溶液A 50質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
そして、コンマコータを用いて、布帛Aのカレンダー加工された面に、かかる樹脂溶液を速度10m/分で100g/m塗布した。塗布後、直ちに、かかる布帛をN,N−ジメチルホルムアミドを濃度15%含有する水混合液(20℃)に2分間浸漬した。続いて、布帛を50℃の温度下で5分間湯洗し、マングルで絞った後、130℃で2分間乾燥した。
その後、フッ素系溶剤型撥水剤(旭硝子(株)製「アサヒガードAG5850(商品名)」の3%ミネラルターペン溶液を用いて、得られた布帛をパディングし(絞り率30%)、乾燥後、170℃で40秒熱処理し、本発明の透湿防水性布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、布帛表面に形成された微多孔質膜の態様につき、検証した。まず、光学写真から膜厚は25μmと測定され、従来の透湿防水性布帛に比べ、膜厚が薄いことが確認できた。また、同写真から微多孔質膜はハニカムスキンコア構造を呈していないことも確認できた。また、電界放射形走査電子顕微鏡((株)日立製作所製、「S−4000(商品名)」)を用いて写真撮影することで、さらに検証したところ、膜中には孔径1μm以下の多数の孔が多数存在し、それらは膜全体に渡って略均等に分布していた。なお、撮影の倍率は、1000倍、3000倍、10000倍とし、撮影された写真(図面代用写真)を順に図1〜3に示す。
(実施例2)
布帛Aに代えて下記布帛Bを用いる以外は、実施例1と同一に行い、本発明の透湿防水性布帛を得た。すなわち、経糸としてポリエステルフィラメント糸83dtex/68fを、緯糸としてポリエステルフィラメント糸166dtex/288fを用い、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度76本/2.54cmの繊維布帛たるタフタを製織した。得られた繊維布帛を精練した後、分散染料(日本化薬(株)製、「Dianix Blue UN−SE(商品名)」)1.0%omfを用いて染色し、以降は実施例1と同一に行い、布帛Bを得た。
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、微多孔質膜の態様を検証したところ、膜厚が25μmであり、構造はハニカムスキンコア構造ではなく、多数の微細孔を内在する極めて均一な構造であることが確認できた。
(実施例3、4)
樹脂溶液の塗布量を100g/mに代えて60g/m(実施例3)、170g/m(実施例4)とする以外は、実施例2と同一の方法により、本発明の透湿防水布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、微多孔質膜の態様を検証したところ、膜厚が15μm(実施例3)、膜厚が45μm(実施例4)であり、構造は何れの場合もハニカムスキンコア構造ではなく、多数の微細孔を内在する極めて均一な構造であることが確認できた。
(実施例5)
処方1の樹脂溶液に代えて下記処方2の樹脂溶液を用いる以外は、実施例1と同一に行い、本発明の透湿防水性布帛を得た。
すなわち、まず、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒とするエステル型ポリウレタン樹脂溶液であって固形分濃度が28%である、セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」と、一次粒子径が10〜20nmでありN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が220mL/100gである、日本アエロジル(株)製、「AEROSIL COK 84(商品名)」と、N,N−ジメチルホルムアミドとを順に3:1:1の割合で粗練りした後、3本ロールミル機を用いて均一に混練し、無色透明の樹脂溶液(樹脂溶液B)を得た。
次に、上記樹脂溶液Bを含有する、下記処方2に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において10000mPa・sであり、固形分濃度は23%、全固形分中に占める微粉末の割合は30質量%であった。
《処方2》
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」) 50質量部
樹脂溶液B 50質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 45質量部
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、微多孔質膜の態様を検証したところ、膜厚が22μmであり、構造はハニカムスキンコア構造ではなく、多数の微細孔を内在する極めて均一な構造であることが確認できた。
(実施例6)
下記処方3に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において3500mPa・sであり、固形分濃度は18%、溶媒中に占めるN,N−ジメチルホルムアミドの割合は1%未満であった。
《処方3》
無黄変型ポリウレタン樹脂(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分が25%) 50質量部
ポリウレタン樹脂用マット剤(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分20%) 50質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
トルエン 15質量部
次に、ナイフコータを用いて、実施例1で得た透湿防水性布帛において微多孔質膜の上から、この樹脂溶液を22g/m塗布し、120℃で2分間乾燥し、膜厚約4μmの無孔質膜を形成した。
そして、以降は、得られた布帛を、実施例1を準用して撥水加工し、本発明の透湿防水性布帛を得た。
(実施例7)
処方3のポリウレタン樹脂溶液に代えて下記処方4に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を用いると共に、塗布量を7g/m、膜厚を約1μmに変更する以外は、実施例6と同一に行い、微多孔質膜及び無孔質膜を備えてなる本発明の透湿防水性布帛を得た。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において1500mPa・sであり、固形分濃度は16%であった。
《処方4》
無黄変型ポリウレタン樹脂(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分が25%) 50質量部
ポリウレタン樹脂用マット剤(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分20%) 50質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
トルエン 20質量部
(実施例8)
布帛Bに代えて布帛Cを用いる以外は、実施例4と同一に行い、透湿防水性布帛を得た。すなわち、まず、経緯糸にナイロン高強力フィラメント糸110dtex/24fを用い、経糸密度80本/2.54cm、緯糸密度76本/2.54の繊維布帛たるリップストップタフタを製織した。次に、得られた繊維布帛を精練した後、酸性染料(日本化薬(株)製、「Kayanol Milling Green5GW(商品名)」)1.0%omfを用いて染色し、以降は実施例1と同一に行い、布帛Cを得た。
透湿防水性布帛を得た後、ナイフコータを用いて、当該透湿防水性布帛において微多孔質膜の上から、下記処方5に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を60g/m塗付し、120℃で2分間乾燥し、膜厚約12μmの無孔質膜を形成した。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において5000mPa・sであり、固形分濃度は20%、溶媒中に占めるN,N−ジメチルホルムアミドの割合は1%未満であった。
《処方5》
無黄変型ポリウレタン樹脂(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分が25%) 50質量部
ポリウレタン樹脂用マット剤(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分20%) 50質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
トルエン 5質量部
その後、実施例6同様、布帛を、実施例1を準用して撥水加工し、本発明の透湿防水性布帛を得た。
(比較例1)
処方1のポリウレタン樹脂溶液に代えて下記処方6に示すポリウレタン樹脂溶液を用いる以外は、実施例1と同一に行い、透湿防水性布帛を得た。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において12000mPa・sであり、固形分濃度は22%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は10質量%であった。
《処方6》
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキン1740−29B(商品名)」) 85質量部
樹脂溶液A 15質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、かかる樹脂膜の態様を検証したところ、膜厚が60μmと測定され、従来の透湿防水性布帛と略同様であることが確認できた。つまり、構造として孔径10〜40μmの縦長楕円状の孔を多数内在する、いわゆるハニカムスキンコア構造を呈することが確認できた。
(比較例2)
処方1のポリウレタン樹脂溶液に代えて下記処方7に示すポリウレタン樹脂溶液を用いる以外は、実施例1と同一に行い、透湿防水性布帛を得た。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において11000mPa・sであり、固形分濃度は27%、全固形分中に占める疎水性フュームドシリカ系微粉末の割合は54質量%であった。
《処方7》
樹脂溶液A 100質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、架橋剤「レザミンX(商品名)」固形分100%) 1質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、微多孔質膜の態様を検証したところ、膜厚が30μmと測定され、膜厚としては特段問題なく、しかもハニカムスキンコア構造を呈していないことも確認できた。しかしながら、下記表1に示すように、布帛の洗濯耐水性や風合いは、本発明の透湿防水性布帛に比べ相対的に著しく劣る結果となった。
(比較例3、4)
処方1のポリウレタン樹脂系溶液の塗布量を100g/m2に代えて30g/m、(比較例3)、250g/m(比較例4)とする以外は、実施例1と同一の方法により、透湿防水布帛を得た。
透湿防水性布帛を得た後、実施例1の場合と同様の手段により、微多孔質の態様を検証したところ、比較例3では、ハニカムスキンコア構造を呈していないことが確認できたが、膜厚が6.0〜8.0μmと非常に薄く、このため、下記表1に示すように、布帛の耐水圧や洗濯耐水性は、本発明の透湿防水性布帛に比べ相対的に著しく劣る結果となった。一方、比較例4では、膜厚が60.0μmと非常に厚く、このため、微多孔質内の一部にハニカムスキンコア構造を呈する部分があるのが認められた。
(比較例5)
ナイフコータを用いて、布帛Bのカレンダー加工された面に、下記処方8に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を速度10m/分で90g/m塗布し、120℃で2分間乾燥し、膜厚約20μmの無孔質膜を形成した。なお、この樹脂溶液の粘度は25℃下において12000mPa・sであり、固形分濃度は23%であった。
《処方8》
無黄変型ポリウレタン樹脂(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分が25%) 50質量部
ポリウレタン樹脂用マット剤(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分20%) 50質量部
以降は、得られた布帛を、実施例1を準用して撥水加工し、透湿防水性布帛を得た。
上記実施例及び比較例で得られた各布帛の性能を下記表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明の透湿防水性布帛は、透湿性能、防水性能共に優れるだけでなく、良好な洗濯耐久性、さらにはソフト感に富む風合いも併せもつものであった。
本発明の透湿防水性布帛が備える微多孔質膜の断面を例示する、1000倍の電子顕微鏡写真である。 本発明の透湿防水性布帛が備える微多孔質膜の断面を例示する、3000倍の電子顕微鏡写真である。 本発明の透湿防水性布帛が備える微多孔質膜の断面を例示する、10000倍の電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

  1. 繊維布帛の片面に、膜厚が10.0〜50.0μmであり、フュームドシリカ系微粉末を15〜45質量%含有してなるポリウレタン微多孔質膜を有してなり、耐水圧が100〜300kPaであり、JIS L1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が8000〜12000g/m・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
  2. 繊維布帛の片面に、膜厚が10.0〜50.0μmであり、フュームドシリカ系微粉末を15〜45質量%含有してなるポリウレタン微多孔質膜と、その上に膜厚が0.5〜15.0μmの無孔質膜とを順次備えてなり、耐水圧が150〜800kPaであり、JIS L1099(A−1法)に準じて測定される透湿度が5000〜11000g/m・24hrsであることを特徴とする透湿防水性布帛。
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