以下、本発明に係る車両周辺監視装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10の構成を示す電気ブロック図である。図2は、図1に示す車両周辺監視装置10が組み込まれた車両12の概略斜視図である。図3は、図2に示す車両12の、運転者側から視た車両12の前方内観図である。なお、この車両12は、自動車が右側走行することを取り極められている国の道路を走行している状況を示しており、車両12は左ハンドル車として図示されている。
車両周辺監視装置10は、この車両周辺監視装置10を制御する画像処理ユニット14と、画像処理ユニット14に接続される左右の赤外線カメラ16L、16R(撮像部)と、車両12の車速Vsを検出する車速センサ18と、運転者による図示しないブレーキペダルの操作量Br(ブレーキ操作量Br)を検出するブレーキセンサ20と、車両12のヨーレートYrを検出するヨーレートセンサ22と、音声で警報等を発するためのスピーカ24と、赤外線カメラ16L、16Rから出力された撮像画像を表示する汎用ディスプレイ26と、車両12の運転の際の付随情報を可視化して表示するMID(Multi-Information Display)28と、記憶部30とを備える。
図2に示すように、ステレオカメラとして機能する赤外線カメラ16L、16Rは、車両12前方の風景を撮像するものであり、車両12の前部バンパー部に、車両12の車幅方向中心部に対して略対称な位置に配置されている。2つの赤外線カメラ16(赤外線カメラ16L、16R)の光軸が互いに平行であって、且つ両者の路面からの高さが等しくなるように固定されている。赤外線カメラ16L、16Rは、監視対象物の温度が高いほど、その出力信号レベルが高くなる(輝度が増加する)特性を有している。
ここで、赤外線カメラ16を2つ備える理由としては、監視対象物までの距離を算出するためである。従って、赤外線カメラ16L、16Rのうち何れか一方の赤外線カメラ16で得られた撮像画像が基本的に用いられ、他方の赤外線カメラ16で撮像して得られた撮像画像は、監視対象物までの距離の算出時のみ用いられる。本実施の形態では、赤外線カメラ16Lによって得られた撮像画像(以下、撮像画像IL)を基本的に用い、赤外線カメラ16Rによって得られた撮像画像(以下、撮像画像IR)は、監視対象物までの距離の算出時のみ用いられる。
なお、本発明の撮像部は、図2に示す構成例に限られることなく、種々の構成を採り得る。例えば、撮像部は、複眼カメラ(ステレオカメラ)であっても単眼カメラ(1つのカメラ)であってもよい。単眼カメラの場合、別の測距手段(レーダ装置)を併せて備えていてもよく、TOF(Time Of Flight)法を用いて被写体まで距離を算出してもよい。TOF法とは、簡単に説明すると、光源から出た光が対象物で反射し、カメラに届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光の速度とから、被写体までの距離を得る手法である。また、赤外線カメラに代替して、主に可視光領域の波長を有する光を利用するカメラ(カラーカメラともいう。)を用いてもよく、あるいは両方を併せ備えてもよい。また、撮像部は、複数のカメラを有してもよい。
図2及び図3に示すように、ダッシュボード40には、その下部から図示しない運転席の方へ突出するハンドル42が配設されている。ハンドル42の中心位置に揃えた位置であり、且つ、計器盤44の上側近傍のダッシュボード40(あるいは、計器盤44内)の部位には、MID(第2表示部)28が配設されている。これにより、運転者は、車両12の前方へ顔を向けたままの状態で、MID28を正視することができ、MID28への視認性が向上する。なお、汎用ディスプレイ(第1表示部)26は、ダッシュボード40の所定部位(具体的には、MID28の配設位置に対して右方の部位)に配設されている。
図4Aは汎用ディスプレイ26の正面図であり、図4BはMID28の正面図である。
図4Aに示す汎用ディスプレイ26の略全面には、横方向に長尺な矩形状の第1表示領域46が設けられている。本図では、赤外線カメラ16Lから出力された撮像画像ILを、第1表示領域46内に表示した状態を表している。汎用ディスプレイ26は、カラー画像又はモノクロ画像が表示可能なモジュールであり、例えば液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELパネル等で構成されてもよい。この場合、汎用ディスプレイ26は、任意の画像、例えば、カーナビゲーション用の各種画像(道路地図、サービス情報等)、動画コンテンツ等も表示可能である。
図4Bに示すMID28の略全面には、横方向に長尺な矩形状の第2表示領域48が設けられている。第2表示領域48には、第1表示領域46に表示される所定の特徴部位のみを抽出して模擬化した模擬画像50が表示されている。具体的には、模擬画像50は、車両前方に見える道路を模式化した道路52を有し、道路52は、ライン52L、52C、52Rを含む。道路52は、遠近法を用いて表され、詳しくは、ライン52L、52R間の幅は、上側になるほど狭くなっている。このライン52L、52C、52Rにより、運転席から前方を眺めた時の直線道路を運転者に想起させることができる。なお、MID28は、このライン52L、52C、52Rを電気的に表示するのではなく、機械的若しくは構造的に表示させてもよい。例えば、予めMID28の第2表示領域48にライン52L、52C、52Rを示す部材を貼り付けることで、模式的に道路52を表示してもよい。つまり、MID28には、車両前方に見える道路を模式化された道路52が表されていればよい。
MID28は、汎用ディスプレイ26よりも構成が簡便で、且つ、安価な表示モジュールである。MID28は、燃費、現在時刻、計器盤44に関する情報等を表示可能であってもよい。
画像処理ユニット14は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、各種演算処理を実行するCPU(中央処理装置;コンピュータ)等を有し(図示略)、記憶部30に記憶されたプログラムを読み込むことによって、本実施の形態の画像処理ユニット14として機能する。記憶部30は、デジタル信号に変換された撮像画像IL、IR、各種演算処理に供される一時データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、あるいは、実行プログラム、テーブル、若しくはマップ等を記憶するROM(Read Only Memory)等で構成されている。
赤外線カメラ16L、16R、車速センサ18、ブレーキセンサ20及びヨーレートセンサ22の各出力信号は、デジタル信号として画像処理ユニット14に供給可能に構成されている。
画像処理ユニット14は、対象物検出部60、距離算出部64、位置算出部66、接触回避判断部68、回避方向決定部70、第1表示制御部72、及び第2表示制御部74を有する。この画像処理ユニット14による各種処理により、画像処理ユニット14は、赤外線カメラ16L、16Rが撮像した車両12前方の撮像画像(赤外線画像)L、Rと、車両12の走行状態を示す各種信号(例えば、車速Vs、ブレーキ操作量Br及びヨーレートYr)等とから、車両12の前方に存在する監視対象物を検出し、監視対象物に車両12が接触する可能性が高いと判断したとき、スピーカ24等を通じて警報を発する。
対象物検出部60は、赤外線カメラ16Lが撮像して得られた撮像画像ILに基づいて、該撮像画像内に監視対象物が存在するか否かを検出する。監視対象物としては、人間と動物(例えば、犬、猫等)等が挙げられる。検出手法としては、例えば、パターンマッチング手法(人間、各種動物の特徴を示す特徴データと撮像された撮像画像ILとをマッチングすることで、人間や動物を検出する手法)等を採用してもよい。
距離算出部64は、対象物検出部60が検出した監視対象物までの距離を算出する。詳しくは、距離算出部64は、赤外線カメラ16L、16Rによって得られた撮像画像IL、IRから、三角測量法等の公知の手段を用いて、検出された監視対象物までの距離を算出する。なお、車両周辺監視装置10は、測距センサを備え、距離算出部64は、測距センサの検出信号に基づいて監視対象物までの距離を算出してもよく、TOF(Time Of Flight)法によって監視対象物までの距離を算出してもよい。測距センサやTOF法を用いて監視対象物までの距離を算出する場合は、赤外線カメラ16は1つであってもよい。
位置算出部66は、赤外線カメラ16Lによって得られた撮像画像IL内における検出された監視対象物の位置を算出する。接触回避判断部68は、距離算出部64が算出した監視対象物までの距離と、撮像画像IL内における監視対象物の位置とから、車両12がこのまま走行すると車両12が監視対象物と接触する可能性が高いか否か、接触する可能性が高い場合は、接触を回避することができるか否かを判断する。
回避方向決定部70は、車両12と監視対象物との接触を回避するために車両12が移動すべき回避方向を決定する。回避方向決定部70は、位置算出部66が算出した撮像画像IL内における検出された監視対象物の位置に基づいて回避方向を決定する。
第1表示制御部72は、赤外線カメラ16Lが撮像して得られた撮像画像ILを汎用ディスプレイ26に表示させるとともに、検出された監視対象物を強調表示させる。また、第1表示制御部72は、接触回避判断部68により接触する可能性が高いと判断されると、検出された監視対象物の強調表示を中止する。
第2表示制御部74は、監視対象物として人間が検出された場合は、監視対象物である人間をシンボル化したマーク102(図8、図9参照)をMID28に表示させる。詳しくは、第2表示制御部74は、位置算出部66が算出した撮像画像IL内における監視対象物である人間の位置に対応する第2表示領域48上の表示位置にマーク102を表示させる。また、第2表示制御部74は、接触回避判断部68により接触する可能性が高く、接触を回避することができると判断された場合は回避方向をMID28の第2表示領域48に表示させ、接触を回避することが困難と判断された場合はブレーキを促す旨をMID28の第2表示領域48に表示させる。
図5を用いて、第2表示制御部74が、位置算出部66が算出した監視対象物である人間の位置に応じてMID28に表示するマーク102の表示位置について説明する。撮像画像ILは、3つの領域、左から順に、左側領域82、中央領域84、右側領域86に分割され、MID28の第2表示領域48には、3つの位置、左から左側表示位置92、中央表示位置94、右側表示位置96が決められており、左側領域82は左側表示位置92に、中央領域84は中央表示位置94に、右側領域86は右側表示位置96に対応付けられている。なお、撮像画像ILは、道路の斜線に倣ってハの字に分割されていてもよい。また、撮像画像ILは、4つ以上の領域に分割されてもよい。撮像画像ILが4つ以上の領域に分割されている場合は、各領域に対応して第2表示領域48の表示位置が決められることは言うまでもない。
位置算出部66が算出した監視対象物である人間の位置が左側領域82に属する場合は、マーク102が左側表示位置92に表示され、位置算出部66が算出した監視対象物である人間の位置が中央領域84に属する場合は、マーク102が中央表示位置94に表示され、位置算出部66が算出した監視対象物である人間の位置が右側領域86に属する場合は、マーク102が右側表示位置96に表示される。
したがって、位置算出部66が複数の監視対象物の位置を算出し、例えば、複数の監視対象物の位置がそれぞれ左側領域82と中央領域84とに属する場合は、マーク102は左側表示位置92と中央表示位置94とに表示されることになる。なお、位置算出部66が算出した複数の監視対象物の位置が、同一の領域、例えば、右側領域86に属する場合であっても、右側表示位置96に1つのマーク102が表示されることになる。
本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、基本的には以上のように構成される。続いて、この車両周辺監視装置10の動作について、図6及び図7のフローチャートに沿って、他の図面を適宜参照しながら説明する。
画像処理ユニット14は、赤外線カメラ16L、16Rによって得られた撮像画像IL、IRを取得する(ステップS1)。赤外線カメラ16L、16R、所定のフレームレート、例えば、30fps(1秒間に30フレームを撮像するフレームレート)で撮像を行うものとする。なお、図6及び図7のフローチャートに示す動作は、1/30秒周期で実行するものとする。つまり、赤外線カメラ16L、16Rが1回撮像するたびに図6及び図7のフローチャートに示す動作が実行される。
次いで、対象物検出部60は、ステップS1で取得した撮像画像IL、IRのうち、赤外線カメラ16Lで撮像された撮像画像ILに基づいて監視対象物を検出する(ステップS2)。対象物検出部60は、撮像画像IL内に複数の監視対象物が存在する場合は、複数の監視対象物を検出する。
次いで、距離算出部64は、ステップS2で検出された監視対象物までの距離を算出する(ステップS3)。具体的には、ステップS2で検出された撮像画像IL内の監視対象物が、撮像画像IR内のどこにいるかをブロックマッチング法などによって検出し、三角測量の原理を用いて、該監視対象物までの距離を算出する。距離算出部64は、複数の監視対象物が検出された場合は、該複数の監視対象物までの距離をそれぞれ算出する。
次いで、接触回避判断部68は、ステップS3で算出された距離と、車速センサ18が検出した現在の車速とから、車両12が監視対象物まで到達する時間(以下、到達時間)を算出する(ステップS4)。到達時間は、ステップS3で検出された距離を車速で除算することで求めることができる。接触回避判断部68は、複数の監視対象物が検出された場合は、該複数の監視対象物までの到達時間をそれぞれ算出する。
次いで、位置算出部66は、ステップS2で検出された監視対象物の撮像画像IL内における位置を算出する(ステップS5)。
次いで、接触回避判断部68は、ステップS2で検出された監視対象物として動物が検出されたか否かを判断する(ステップS6)。
ステップS6で、接触回避判断部68は、監視対象物として動物が検出されていないと判断すると、ステップS5で算出された全ての監視対象物(人間)の撮像画像IL内における位置が、1つの領域に属するか否かを判断する(ステップS7)。つまり、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、左側領域82、中央領域84、右側領域86のうち、何れか1つの領域に属するか否かを判断する。
ステップS7で、算出された全ての監視対象物(人間)の撮像画像IL内における位置が、1つの領域に属すると判断されると、接触回避判断部68は、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置は、中央領域84に属するか否かを判断する(ステップS8)。
ステップS8で、検出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、中央領域84に属すると判断されると、接触回避判断部68は、ステップS4で算出した監視対象物までの到達時間が一定時間以下であるか否かを判断する(ステップS9)。このとき、複数の監視対象物が検出されている場合は、もっとも短い到達時間が一定時間以下であるか否かを判断する。
ステップS8で算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、中央領域84に属しないと判断された場合、ステップS9で、監視対象物までの到達時間が一定時間以下でないと判断された場合は、接触回避判断部68は、車両12が監視対象物と接触する可能性は低いと判断し、ステップS10に進む。
ステップS10に進むと、第2表示制御部74は、算出された監視対象物の撮像画像IL内における位置に対応する第2表示領域48上の表示位置に、マーク102をMID28に表示させる。
次いで、第1表示制御部72は、ステップS1で直近に取得した撮像画像ILを汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示させるとともに、検出された監視対象物を強調表示させて(ステップS11)、処理を終了する。
図8Aは、ステップS11で汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示さる撮像画像ILの一例を示す図であり、図8Bは、図8Aに示す撮像画像ILが撮像された場合に、ステップS10でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。
図8Aに示すように、検出された監視対象物H1を強調枠100で囲むことで監視対象物H1が強調表示されている。この強調枠100の表示位置は、ステップS5で算出された監視対象物の位置に基づいて定まる。また、図8Aに示す例では、監視対象物H1の撮像画像IL内における位置は、中央領域84に属するので、図8Bに示すように、マーク102は、第2表示領域48の中央表示位置94に表示される。これにより、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、監視対象物の存否、監視対象物がいる場合はその位置を容易且つ瞬時に把握することができる。
ステップS7で、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、1つの領域に属しないと判断されると、接触回避判断部68は、検出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、左側領域82及び中央領域84に属するか否かを判断する(図7のステップS12)。つまり、ステップS12では、監視対象物が左側と中央に存在するかを判断している。
ステップS12で、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、左側領域82及び中央領域84に属するものでないと判断すると、接触回避判断部68は、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、右側領域86及び中央領域84に属するか否かを判断する(ステップS13)。つまり、ステップS13では、監視対象物が右側と中央に存在するか否かを判断している。
ステップS13で、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、右側領域86及び中央領域84に属するものでないと判断すると、接触回避判断部68は、算出された監視対象物の撮像画像IL内における位置が、全ての領域(左側領域82、中央領域84、及び右側領域86)に属するか否かを判断する(ステップS14)。つまり、ステップS14では、監視対象物が右側と中央と左側に存在するか否かを判断している。
ステップS14で、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が、全ての領域に属するものではないと判断すると、接触回避判断部68は、算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置は、左側領域82及び右側領域86に属すると判断して、ステップS16に進む。
ステップS12で算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が左側領域82及び中央領域84に属すると判断された場合、ステップS13で算出された全ての監視対象物の撮像画像IL内における位置が右側領域86及び中央領域84に属すると判断された場合は、接触回避判断部68は、中央領域84の監視対象物は、左側領域82又は右側領域86の監視対象物に比べ、遠い位置に存在するか否かを判断する(ステップS15)。つまり、ステップS15では、中央にいる監視対象物が左右にいる監視対象物より遠い位置に存在するか否かを判断している。中央にいる監視対象物が複数であり、左又は右にいる監視対象物が複数である場合は、ステップS15では、中央にいる監視対象物のうち最も近い監視対象物が、左又は右にいる監視対象物のうち最も遠い監視対象物より遠い位置にいるか否かを判断してもよいし、中央にいる監視対象物のうち最も近い又は遠い監視対象物が、左又は右にいる監視対象物のうち最も近い又は遠い監視対象物より遠い位置にいるか否かを判断してもよい。
ステップS15で、中央領域84の監視対象物は、左側領域82又は右側領域86の監視対象物に比べ、遠い位置に存在しないと判断するとステップS16に進む。
ステップS16に進むと、接触回避判断部68は、ステップS4で算出された何れかの監視対象物までの到達時間が一定時間以下であるか否かを判断する。つまり、最も短い監視対象物までの到達時間が一定時間以下であるか否かを判断する。
ステップS16で、全ての監視対象物までの到達時間が一定時間以下でないと判断すると、図6のステップS10に進み、上記した動作を行う。つまり、監視対象物が左側と右側にいる場合、又は、中央にいる監視対象物が左右にいる監視対象物より近い位置にいる場合であって、全ての監視対象物までの到達時間が一定時間以下でない場合は、車両12が監視対象物と接触する可能性は低いと判断できるので、第2表示制御部74は、監視対象物の撮像画像IL内における位置に対応するMID28の第2表示領域48の表示位置にマーク102を表示させ、第1表示制御部72は、汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に撮像画像ILを表示させるとともに監視対象物を強調表示させる。
図9Aは、中央と右側に監視対象物がいる場合に、ステップS11で汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示さる撮像画像ILの一例を示す図であり、図9Bは、図9Aに示す撮像画像ILが撮像された場合に、ステップS10でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。
図9Aに示すように、中央領域84に監視対象物H1が存在し、右側領域86に監視対象物H2が存在し、監視対象物H1、H2を強調枠100を囲むことで監視対象物H1、H2が強調表示されている。図9Aに示す例では、監視対象物H1の撮像画像IL内における位置は中央領域84に属し、監視対象物H2の撮像画像IL内における位置は右側領域86に属するので、図9Bに示すように、マーク102は、第2表示領域48の中央表示位置94と、右側表示位置96とに表示される。これにより、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、監視対象物の存否、監視対象物がいる場合はその位置を容易且つ瞬時に把握することができる。
ステップS15で、中央領域84の監視対象物は、左側領域82又は右側領域86に比べ、遠い位置に存在すると判断すると、接触回避判断部68は、中央領域84の監視対象物までの到達時間が一定時間以下であるか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS17で、中央領域84の監視対象物までの到達時間が一定時間以下であると判断すると、接触回避判断部68は、このまま走行すると車両12と中央領域84の監視対象物とが接触する可能性が高く、且つ、接触を回避することが難しいと判断し、ステップS18に進む。接触回避判断部68は、接触する可能性が高いと判断すると、警報音等の注意を促す音をスピーカ24から出力させることで、運転者にその旨を認識させる。
ステップS18に進むと、第2表示制御部74は、ブレーキを促す旨をMID28の第2表示領域48に表示させて、ステップS20に進む。図10は、ブレーキを促す旨の表示例を示す図である。図10に示すように「BRAKE」という文字を、道路52の上に大きく表示させる。これにより、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、ブレーキ操作すべきことが促されていることを容易且つ瞬時に把握することができ、迅速にブレーキ操作を行うことができる。なお、BRAKEという文字ではなく、ブレーキを模式化した図形等を表示させてもよい。
一方、ステップS17で、中央領域84の監視対象物までの到達時間が一定時間以下でないと判断すると、接触回避判断部68は、車両12と中央領域84の監視対象物とが接触する可能性が高いが、接触回避が可能と判断し、ステップS19に進む。中央領域84の監視対象物は、左側領域82又は右側領域86の監視対象物に比べ遠い位置にあり、且つ、中央領域84の監視対象物までの到達時間は一定時間より長いが、運転者は、車両12により近い左側領域82又は右側領域86の監視対象物に注意がいってしまうため、中央領域84の監視対象物に気がつかない場合がある。したがって、このような場合は、そのまま走行すると車両12と監視対象物とが接触する可能性が高いと判断する。接触回避判断部68は、接触する可能性が高いと判断すると、警報音等の注意を促す旨の音をスピーカ24から出力させることで、運転者にその旨を認識させる。
ステップS19に進むと、回避方向決定部70は、算出された監視対象物の撮像画像ILにおける位置に基づいて回避方向を決定し、第2表示制御部74は、決定された回避方向をMID28の第2表示領域48に表示させて、ステップS20に進む。図11は、左側領域82と中央領域84とに監視対象物がいる場合における回避方向の表示例を示す図である。図11に示すように、回避方向を示す矢印(右を示す矢印)106を、道路52の上に大きく表示させる。これにより、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、容易且つ瞬時に回避方向を把握することができ、ハンドル42を回避方向に迅速に切ることができる。なお、回避方向決定部70は、右側領域86と中央領域84とに監視対象物がいる場合は、左を示す矢印を回避方向として決定する。
ステップS20に進むと、第1表示制御部72は、図6のステップS1で直近に取得した撮像画像ILを汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示させる。このとき、第1表示制御部72は、監視対象物と接触する可能性が高いと判断されると、監視対象物の強調表示を中止する。したがって、接触する可能性が高い場合は、監視対象物の強調表示を中止するので、運転者が汎用ディスプレイ26を見る時間を無くす、又は、少なくすることができる。
図6のステップS6で、監視対象物として動物が検出されたと判断すると、接触回避判断部68は、このまま走行すると車両12が監視対象物と接触する可能性が高く、接触を回避することが難しいと判断し、図7のステップS18に進む。動物は、予測不可能な行動をとる可能性が高いからである。ステップS18に進むと、第2表示制御部74は、MID28にブレーキを促す旨を表示させ、ステップS20で、第1表示制御部72は、図6のステップS1で直近に取得した汎用ディスプレイ26に撮像画像ILを表示させる。勿論、ことのときも監視対象物は強調表示されない。なお、接触回避判断部68は、接触する可能性が高いと判断すると、警報音等の注意を促す音をスピーカ24から出力させることは言うまでもない。
図6のステップS9で、中央領域84にいる監視対象物までの到達時間が一定時間以下であると判断すると、接触回避判断部68は、このまま走行すると監視対象物と接触する可能性が高く、接触を回避することが難しいと判断し、図7のステップS18に進む。
図7のステップS14で、算出された監視対象物の位置が全ての領域に属すると判断された場合は、接触回避判断部68は、このまま走行すると車両12が監視対象物と接触する可能性が高く、接触を回避することが難しいと判断し、ステップS18に進む。
図7のステップS14で、算出された全ての監視対象物の位置が全ての領域に属しない、つまり、左側領域82及び右側領域86に属すると判断され、ステップS16で、何れかの監視対象物までの到達時間が一定時間以下であると判断された場合は、右側又は左側にいる監視対象物が車両12の進行方向に向かって移動してくる可能性があり、且つ、監視対象物までの到達時間が短いので、接触回避判断部68は、このまま走行すると車両12が監視対象物と接触する可能性が高く、接触を回避することが難しいと判断し、ステップS18に進む。
図7のステップS15で、中央領域84の監視対象物が左側領域82又は右側領域86の監視対象物に比べ近いと判断され、ステップS16で、何れかの監視対象物までの到達時間が一定時間以下であると判断された場合は、接触回避判断部68は、このまま走行すると車両12が監視対象物と接触する可能性が高く、接触を回避することが難しいと判断し、ステップS18に進む。
このように、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、監視対象物の存否、監視対象物が存在する場合はその位置を容易且つ瞬時に把握することができる。また、監視対象物の撮像画像IL内における位置及び該監視対象物までの到達時間に応じて、MID28にブレーキを促す旨及び回避方向の何れか一方を表示するので、運転者は、MID28を一見するだけで、その情報を瞬時に把握することができ、ブレーキ操作又は回避方向にハンドルを切る操作を迅速に行うことができる。
上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。
(変形例1)上記実施の形態では、車両12が監視対象物と接触する可能性が高いと判断される場合は、マーク102を表示せずに、ブレーキを促す旨又は回避方向をMID28の第2表示領域48に表示するようにしたが(図7のステップS18、ステップS19)、マーク102と、ブレーキを促す旨又は回避方向とを一定時間間隔で交互に表示させてもよいし、マーク102と、ブレーキを促す旨又は回避方向とを同時にMID28に表示させてもよい。
(変形例2)上記実施の形態では、動物が監視対象物として検出されても、動物をシンボル化したマークはMID28に表示されなかったが、上記変形例1のように、接触する可能性が高いと判断された場合であっても、マーク102の表示を行う場合は、該動物をシンボル化したマークをMID28に表示させてもよい。この場合は、撮像画像IL内における検出した動物の位置が属する領域(右側領域82、中央領域84、左側領域86)に応じた第2表示領域48上の表示位置(右側表示位置92、中央表示位置94、左側表示位置96)に動物をシンボル化したマークを表示させる。例えば、検出された動物の撮像画像IL内における位置が右側領域86に属する場合は、右側領域86に対応する第2表示領域48上の右側表示位置96に該動物をシンボル化したマークを表示させてもよい。更に、動物の撮像画像IL内における位置が属する領域に応じた第2表示領域48上の表示位置を、人間の場合における表示位置と若干異なるようにしてもよい。例えば、人間と動物の撮像画像IL内における位置が共に右側領域86に属する場合であっても、その第2表示領域48上の表示位置を、人間と動物とで異ならせるようにする。これにより、マーク102と動物をシンボル化したマークとが同じ表示位置で表示されることはなく、視認性が向上する。
(変形例3)上記実施の形態では、図6のステップS6で動物を監視対象物として検出されたと判断すると、このまま走行すると車両12が動物と接触する可能性が高く、回避することが困難であると判断し、図7のステップS18でブレーキ表示を行うようにしたが、動物が監視対象物として検出された場合も、人間が監視対象物として検出されたときと同様に処理してもよい。具体的には、図6のステップS6の動作を無くし、ステップS5の動作を経るとそのままステップS7に進むようにしてもよい。動物を検出した場合における図6のステップS10では、検出された動物の撮像画像IL内における位置が属する領域(左側領域82、中央領域84、右側領域86)に対応するMID28の第2表示領域48上の表示位置(左側表示位置92、中央表示位置94、右側表示位置96)に動物をシンボル化したマークが表示し、ステップS11では、該検出した動物を強調表示する(検出した動物を強調枠100で囲む)。なお、動物と人間との場合はで、第2表示領域48上に表示させる表示位置を若干異ならせるようにしてもよい。これにより、マーク102と動物をシンボル化したマークとが同じ表示位置で表示されることはなく、視認性が向上する。
(変形例4)上記変形例1〜変形例3を任意に組み合わせた態様であってもよい。
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。