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JP5543441B2 - 有機発光素子とその製造方法、有機表示パネル、有機表示装置 - Google Patents

有機発光素子とその製造方法、有機表示パネル、有機表示装置 Download PDF

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JP5543441B2 JP2011511919A JP2011511919A JP5543441B2 JP 5543441 B2 JP5543441 B2 JP 5543441B2 JP 2011511919 A JP2011511919 A JP 2011511919A JP 2011511919 A JP2011511919 A JP 2011511919A JP 5543441 B2 JP5543441 B2 JP 5543441B2
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Description

本発明は、有機発光素子とその製造方法、有機表示パネル、有機表示装置に関する。
近年、研究・開発が進む有機エレクトロルミネッセンス素子(以下では、「有機EL素子」と記載する。)は、有機材料の電界発光現象を利用した発光素子である。従来技術に係る有機EL素子を用いた有機ELパネルの構成について、図9を用い説明する。
図9に示すように、有機ELパネルでは、基板900上に薄膜トランジスタ層(以下では、「TFT層」と記載する。)901、パッシベーション膜902、および平坦化膜903が順に積層されている。TFT層901は、ゲート電極9011、ドレイン電極9012、ソース電極9013と、チャネル層9014およびゲート絶縁膜9015とから構成されている。
有機ELパネルでは、平坦化膜903の表面上において、当該表面に沿って互いに間隙をあけた状態で、陽極905と補助電極906とが形成され、各上面にはホール注入層913,914が積層形成されている。なお、有機ELパネルにおいては、陽極905が形成された部分が画素部90aに該当し、補助電極906が形成された部分が非画素部90bに該当する。画素部90a同士の間、および画素部90aと非画素部90bとの間には、バンク907が形成されている。
有機ELパネルの画素部90aでは、バンク907で規定された領域内において、ホール注入層913の上にインターレイヤ908、有機発光層909、電子輸送層910、および陰極911が順に積層形成されている。電子輸送層910および陰極911は、バンク907を乗り越えて隣接する画素部90aおよび非画素部90bにも連続して形成されている。そして、非画素部90bにおいては、陰極911が、ホール注入層914および電子輸送層910を介して補助電極906に接続されている(矢印Cで指し示す部分)。
有機ELパネルでは、陰極911上が封止層912で覆われている。
なお、上記構成において、陽極905および補助電極906の構成材料として、従来用いられてきた銀(Ag)を含む合金材料に代え、より安価なアルミニウム(Al)を含む合金材料を用いる研究・開発もなされている。
また、非晶質の透明導電膜を用いることで水分や酸素の侵入を防止しようとする技術や(特許文献1)、電解メッキなどにより陽極の表面に酸化被膜を形成し、この酸化被膜が有機発光層と接するという構成を採用することで高い発光効率を得ようとする技術(特許文献2)などが提案されている。
また、遷移金属酸化物などの金属酸化物を用いてホール注入層913,914を形成する提案などもなされている(特許文献3,4)。このような材料を用いホール注入層913,914を形成する場合には、素子での電圧−電流密度特性に優れ、また、大電流を流して発光強度を高める場合にも、劣化し難いという効果を得られる。
特開2007−149703号公報 特開2002−203687号公報 特開2007−288071号公報 特開2005−203339号公報
ところで、図9に示すように、従来技術に係る有機ELパネルは、多くの層を積層することで形成されているため、コスト面で不利であり、更なるコスト低減が求められている。また、ホール注入層913は、陽極905のパターニング処理の精度に影響をうけるため、パターニング処理が十分でない場合には、そのカバレッジの確保が困難であり、ホール注入層913の剥がれを生じることも考えられ、このような場合には、発光特性の低下に繋がる。
本発明は、上記課題の解決を図るべくなされたものであって、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能な有機発光素子とその製造方法、有機表示パネル、有機表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機発光素子は、酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、その表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている第1電極と、第1電極の表面に接続して設けられ、第1電極から注入されたキャリアを受け取る発光層を少なくとも含む機能層と、機能層を挟んで第1電極と異なる側に設けられ、第1電極と異なる極性を有する第2電極と、を備える。
本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極の表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている。そして、上記のように、第1電極の構成材料である合金中に含まれた上記第1の金属材料は、酸化されることによりキャリア注入性を有する。よって、本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極が機能層に対するキャリア注入性を有し、第1電極上に別途のキャリア注入層を形成しなくてもよい。よって、第1電極上のキャリア注入層を省略できる分だけ、構成層の数を低減することができ、コスト面での効果を得ることができる。
また、上記のように、本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極における金属酸化物層がキャリア注入性を有し、別途のキャリア注入層を形成しなくてもよいので、上記従来技術におけるキャリア注入層の剥がれに起因する発光特性の低下を招くこともない。
従って、本発明の一態様に係る有機発光素子では、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能である。
実施の形態に係る有機表示装置1の構成を示す模式ブロック図である。 有機表示パネル10におけるバンク107と陽極105および補助電極106との配置関係を示す模式平面図である。 有機表示パネル10の一部の構成を示す模式断面端面図である。 陽極105の表層部分の一部を拡大して示す模式断面図である。 有機表示パネル10の製造における工程を示す模式断面端面図である。 有機表示パネル10の製造における工程を示す模式断面端面図である。 有機表示パネル10の製造における工程を示す模式断面端面図である。 変形例に係る有機表示パネルにおけるバンク207と陽極105および補助電極106との配置関係を示す模式平面図である。 従来技術に係る有機表示パネルの一部の構成を示す模式断面端面図である。
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係る有機発光素子は、酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、その表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている第1電極と、第1電極の表面に接続して設けられ、第1電極から注入されたキャリアを受け取る発光層を少なくとも含む機能層と、機能層を挟んで第1電極と異なる側に設けられ、第1電極と異なる極性を有する第2電極と、を備える。
本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極の表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている。そして、上記のように、第1電極の構成材料である合金中に含まれた上記第1の金属材料は、酸化されることによりキャリア注入性を有する。よって、本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極が機能層に対するキャリア注入性を有し、第1電極上に別途のキャリア注入層を形成しなくてもよい。よって、第1電極上のキャリア注入層を省略できる分だけ、構成層の数を低減することができ、コスト面での効果を得ることができる。
また、上記のように、本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極における金属酸化物層がキャリア注入を有し、別途のキャリア注入層を形成しなくてもよいので、上記従来技術におけるキャリア注入層の剥がれに起因する発光特性の低下を招くこともない。
従って、本発明の一態様に係る有機発光素子では、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能である。
なお、「析出」とは、元の結晶構造の固溶体(母材)の中に、これと異なる結晶構造を有する相(析出物)が現れる現象をいい、上記においては、合金の表面の少なくとも一部に、上記金属材料の相が現れる現象を示す。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、第1電極の表面に、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層と、上記第2の金属材料の金属酸化物層とが形成されている。即ち、本発明の一態様に係る有機発光素子では、第1電極の表面に、上記第1の金属材料の金属酸化物層と、上記第2の金属材料の金属酸化物層とが混在形成された構成となる。この構成の場合において、第2の金属材料の金属酸化物層が絶縁性を示しても、上記第1の金属材料の金属酸化物層がキャリア注入性を有することから、機能層に対して確実にキャリアの注入を行うことができる。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層が、上記第2の金属材料の金属酸化物層中に、島状または不連続状に形成されている。この構成を採用する場合には、第1電極の表面に形成された上記第1の金属材料の金属酸化物層を通じて機能層に対してキャリアの注入ができ、上記第2の金属の金属酸化物層を介して内部に存在する導電性金属により光反射性の確保ができる。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、酸化されることによりキャリア注入性を有する上記第1の金属材料の具体例は、周期表第4族から第11族の何れかの遷移金属材料、あるいは、周期表第12族の典型金属材料である。これらの材料では、その金属酸化物が半導体特性を有する。このため、キャリア注入性という観点から優れる。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、第1電極が陽極を構成し、第2電極が陰極を構成し、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層が、キャリアとしてのホールを注入するホール注入性を備える。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、機能層が発光層にホールを輸送するホール輸送層を含み、ホール輸送層が第1電極に接続されている。この場合には、機能層に含まれるホール輸送層に対して良好なホール注入性が得られる。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、素子中に画素部と非画素部とを有し、画素部では第1電極と発光層と第2電極とを含み、非画素部では酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、その表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている補助電極と、第2電極と、を含むとともに、発光層を含まず、第2電極が、画素部および非画素部にわたって接続されている。
この構成では、第1電極および補助電極が、ともに同一の構成を以って形成されていることになる。即ち、第1電極および補助電極は、ともに、酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、各表面の少なくとも一部に、上記第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている。このような構成を採用する場合には、画素部において、キャリア注入のための層を別途設ける必要がなく、第1電極における析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層により良好なキャリア注入性が得られる。
一方、非画素部においては、補助電極と第2電極との間にキャリア注入のための層が別層として介在しないので、補助電極と第2電極との間のコンタクト抵抗を上げていた一つの要因を除去することができる。この結果、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層が、補助電極と第2電極との間での良好な電気的接続を確保するための役割を果たす。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、第1の金属材料が、具体的にニッケル(Ni)であり、第2の金属材料が、具体的にアルミニウム(Al)である。
また、本発明の一態様に係る有機発光素子では、上記構成において、合金における第1の金属材料の含有量が、3.0[at%(原子濃度)]以上5.0[at%(原子濃度)]以下である。これは、合金における第1の金属材料の含有量が3.0[at%(原子濃度)]よりも小さい場合、キャリア注入性の点で必ずしも十分ではなく、一方、第1の金属材料の含有量が5.0[at%]よりも大きい場合、光反射性を確保し難くなるおそれがあるからである。
本発明の一態様に係る有機表示パネルは、上記本発明の一態様に係る有機発光素子を備える。よって、本発明の一態様に係る有機表示パネルでは、上記同様に理由により、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能である。
本発明の一態様に係る有機表示装置は、上記本発明の一態様に係る有機表示パネルを備える。よって、本発明の一態様に係る有機表示装置は、上記同様に理由により、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能である。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、(第1工程)酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成される第1電極層を形成する、(第2工程)形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、前記第1の金属材料を析出させ、当該析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層を第1電極層の表面の少なくとも一部に形成する、(第3工程)第1電極層の上方に、第1電極層の表面(析出した第1の金属材料の金属酸化物層が少なくとも一部に形成された表面)に接続して設けられ、第1電極層から注入されたキャリアを受け取る発光層を含む機能層を形成する、(第4工程)機能層の上方に、第1電極層とは極性の異なる第2電極を形成する、の各工程を実行することを特徴とする。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、第1電極層の表面の少なくとも一部に、第1の金属材料を析出させた状態で当該第1の金属材料の金属酸化物層を形成することができる。そして、上記のように、第1電極層の構成材料である合金中に含まれた上記第1の金属材料が、酸化されることによりキャリア注入性を有するので、本発明の一態様に係る製造方法を用い製造される有機発光素子では、第1電極層が機能層に対するキャリア注入性を有し、第1電極層上に別途のキャリア注入層を形成しなくてもよい。よって、第1電極層上のキャリア注入層を省略できる分だけ、構成層の数を低減することができ、コスト面での効果を得ることができる。
また、上記のように、本発明の一態様に係る製造方法を用い製造される有機発光素子では、第1電極層における析出された上記第1の金属材料の金属酸化物層がキャリア注入を有し、別途のキャリア注入層を形成しなくてもよいので、上記従来技術におけるキャリア注入層の剥がれに起因する発光特性の低下を招くこともない。
従って、本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能な有機発光素子を製造することができる。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、上記構成において、第2工程が、その前の第1工程で形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層と共に、上記第2の金属材料の金属酸化物層とを形成する工程である。このように加熱して酸化処理を行うことにより、煩雑な工程を実行しなくても、第1の金属材料の析出およびその酸化がなされる。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、上記構成において、第2工程が、その前の第1工程で形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、析出した上記第1の金属材料の金属酸化物層を、上記第2の金属材料の金属酸化物層中に、島状または不連続状に形成する工程である。このように、上記第1の金属材料の金属酸化物層を、上記第2の金属材料の金属酸化物層中で、島状または不連続状に形成する場合には、製造した有機発光素子において、第1電極の表面に形成された上記第1の金属材料の金属酸化物層を通じて機能層に対してキャリアの注入ができ、上記第2の金属材料の金属酸化物層を介して内部に存在する第2の金属材料により光反射性および導電性の確保ができる。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、上記構成において、第2工程が、具体的に、焼成温度が230[℃]以上であり、かつ、焼成時間が30分以上で行う工程である。このような焼成条件を採用すれば、上記第1の金属材料の析出、および当該析出した第1の金属材料の金属酸化物の形成を効率的に行うことができ、製造された有機発光素子において、機能層に対する良好なキャリア注入性を確保することができる。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、上記構成において、第2工程と第3工程との間に、その前の第2工程により、析出された上記第1の金属材料の金属酸化物層が形成された第1電極層をパターニング処理する工程と、第1電極層における上記パターニング処理された部位同士の間を区画する隔壁を形成する工程と、を有する。
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、上記構成において、機能層が発光層に対してホールを輸送するホール輸送層を含み、第1工程が、第2の金属材料として陽極を構成する材料を用いると共に、上記第1の金属材料として酸化されることによりホールを注入するホール注入性を備える材料を用いることにより第1電極層を形成する工程であり、第4工程が、第2電極としての陰極を構成する材料を用いて第2電極を形成する工程である。
以下では、本発明を実施するための形態について、数例を用い説明する。
なお、以下の説明で用いる実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる例示であって、本発明は、その本質的部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[実施の形態]
1.表示装置1の全体構成
以下では、実施の形態に係る有機表示装置1について、図1を用い説明する。
図1に示すように、有機表示装置1は、有機表示パネル10と、これに接続された駆動制御部20とを有し構成されている。有機表示パネル10は、有機発光材料の電界発光現象を利用した有機ELパネルであり、複数の有機発光素子が配列され構成されている。
駆動制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。
なお、実際の表示装置1では、表示パネル10に対する駆動制御部20の配置や接続関係については、これに限られない。
2.有機表示パネル10の構成
有機表示パネル10の構成について、図2および図3を用い説明する。図2は、有機表示パネル10におけるバンク107と陽極105および補助電極106の配置関係を示す模式平面図であり、図3は、有機表示パネル10の一部構成を示す模式断面端面図であり、図2のA−A‘断面を示す。
先ず、図2に示すように、本実施の形態に係る有機表示パネル10では、Y軸方向に沿って延伸する複数のバンク107を有する(ラインバンク)。そして、隣接するバンク107間には、画素部に相当する部分では陽極105が設けられ、非画素部に相当する部分では補助電極106が形成されている。
本実施の形態に係る有機表示パネル10では、X軸方向に隣接する3つのサブピクセルにより一つのピクセルが構成されており、ピクセル毎に対応して補助電極106が形成されている。なお、Y軸方向において隣接するサブピクセル同士の間は、画素規制層113で区画されており、当該画素規制層113に隣接する箇所に、コンタクトホール104が形成されている。
次に、図3に示すように、有機表示パネル10では、基板100のZ軸方向上側の表面に、TFT層101およびパッシベーション膜102が順に積層形成され、さらにその上に平坦化膜103が積層形成されている。有機表示パネル10においては、X−Y平面において(図1および図2を参照。)、画素部10aと非画素部10bとが含まれている。上述のように、画素部10aにおいては、平坦化膜103上に陽極105が形成され、非画素部10bにおいては、平坦化膜103上に補助電極106が形成されている。本実施の形態では、陽極105と補助電極106とは、同一の材料を以って、同一の膜厚で形成されている。
TFT層101は、ゲート電極1011、ドレイン電極1012、ソース電極1013と、チャネル層1014およびゲート絶縁膜1015とから構成されており、陽極105に対してコンタクトホール104で接続されている(図3では、図示を省略)。
隣接する陽極105同士の間、および隣接する陽極105と補助電極106との間には、各々バンク107が立設されている。バンク107は、陽極105および補助電極106の側縁部上面に乗り上げる状態で形成されている。
画素部10aにおいては、陽極105の上に、インターレイヤ108、有機発光層109、電子輸送層110、および陰極111が順に積層形成されている。このうち、電子輸送層110と陰極111とは、バンク107の上面を乗り越え、非画素部10bにも連続して形成されている。このため、補助電極106上には、有機発光層109は積層形成されておらず、電子輸送層110および陰極111が順に積層形成されている。この構成により、陰極111と補助電極106とは、間に電子輸送層110が介在した状態で電気的に接続されている(矢印Bで指し示す部分)。
陰極111の上面は、封止層112により覆われている。
有機表示パネル10における各構成材料の一例を次に示す。
a)基板100
基板100は、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、又はアルミナ等の絶縁性材料をベースとして形成されている。
b)平坦化膜103
平坦化膜103は、例えば、アクリル、ポリイミド、ゾルゲルなどの有機絶縁材料や、SiNやSiOXなどの無機絶縁材料などから形成されている。
c)陽極105および補助電極106
陽極105および補助電極106は、ニッケル(Ni)を含み、アルミニウムを成分とする合金材料を用い形成されている。ここで、ニッケルは、周期表第10族に属する遷移金属材料であり、酸化により半導体性を有することにより、ホール注入性を有する。また、アルミニウムは、光反射性を有する導電性金属材料である。
陽極105および補助電極106では、表面の少なくとも一部にニッケルが析出し、当該析出したニッケルの表面が酸化されて酸化ニッケル層が形成されている。この構成については、後述する。
d)バンク107
バンク107は、樹脂等の有機材料で形成されており絶縁性を有する。バンク107の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク107は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。さらに、バンク107はエッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。また、撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
なお、バンク107の形成に用いる絶縁材料については、上記の各材料をはじめ、特に抵抗率が105[Ω・cm]以上であって、撥水性を有する材料を用いることができる。これは、抵抗率が105[Ω・cm]以下の材料を用いた場合には、バンク107を要因として、陽極105と陰極111との間でのリーク電流、あるいは隣接するサブピクセル間でのリーク電流の発生の原因となり、消費電力の増加などの種々の問題を生じることになるためである。
また、バンク107の構造については、図3に示すような一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもできる。この場合には、層毎に上記材料を組み合わせることもできるし、層毎に無機材料と有機材料とを用いることもできる。
e)インターレイヤ108
インターレイヤ108は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
f)有機発光層109
有機発光層109は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層109の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
g)電子輸送層110
電子輸送層110は、陰極111から注入された電子を有機発光層109へ輸送する機能を有し、例えば、次に示すような材料を用い形成することができる。
電子輸送層110の形成に用いる材料の例としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンあるいはその誘導体、アントラキノンあるいはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンあるいはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンあるいはその誘導体、ポリキノキサリンあるいはその誘導体、ポリフルオレンあるいはその誘導体などをあげることができる。
h)陰極111
陰極111は、例えば、ITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)などで形成される。トップエミッション型の有機表示パネル10では、上記にあげるような光透過性の材料を用い形成することが好ましい。光透過性については、透過率が80[%]以上とすることが好ましい。
陰極111の形成に用いる材料としては、上記の他に、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらのハロゲン化物を含む層と銀を含む層とをこの順で積層した構造を用いることもできる。上記において、銀を含む層は、銀単独で形成されていてもよいし、銀合金で形成されていてもよい。また、光取出し効率の向上を図るためには、当該銀を含む層の上から透明度の高い屈折率調整層を設けることもできる。
i)封止層112
封止層112は、有機発光層109などが水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)などの材料を用い形成される。トップエミッション型の場合においては、光透過性の材料で形成されることが好ましい。
3.陽極105の構成
陽極105の構成について、図4を用い説明する。図4は、図3に示す有機表示パネル10の陽極105およびその周辺部分を抜き出して描いている。
陽極105は、上記のように、第1の金属材料としてのニッケルを含み、第2の金属材料としてのアルミニウムを成分として含む合金から構成されている。そして、図4に示すように、成分であるアルミニウム(Al)層1050のZ軸上側の表面には、ニッケルが析出している(析出ニッケル1051)。
ここで、陽極105における第1の金属材料としてのニッケルは、酸化されることによりホール注入性を有する材料であり、陽極105における第2の金属材料としてのアルミニウムは、光反射性および導電性を有する材料である。
析出ニッケル1051は、陽極105のZ軸方向上側の表面全体に析出しているのではなく、表面の一部に析出した状態になっている。そして、析出ニッケル1051の表面の内、析出部分には、酸化ニッケル層1053が形成されている。
また、アルミニウム層1050の表面であって、析出ニッケル1051が存在しない部分には、酸化アルミニウム層1052が形成されている。
ここで、図4では、図示していないが、陽極105のZ軸方向上側の表面における酸化ニッケル層1053の分布形態は、酸化アルミニウム層1052中に、島状または不連続状である。
図4に示すように、有機表示パネル10では、陽極105の上にインターレイヤ108を積層形成しており、その間に、別途のホール注入層が介在していない。有機表示パネル10では、析出ニッケル1051の表面に形成された酸化ニッケル層1053が、ホール注入性を有し、陽極105がホール注入性を備えることとなる。
ところで、陽極105を構成する合金は、ニッケルの含有量が3.0[at%(原子濃度)]よりも小さい場合、正孔注入性の点で必ずしも十分ではなく、一方、ニッケルの含有量が5.0[at%]よりも大きい場合、光反射性を確保し難くなるおそれがある。
このため、陽極105を構成する合金は、ニッケルの含有量が3.0[at%]以上5.0[at%]以下の範囲であることが望ましい。
なお、合金がニッケルとアルミニウムの2成分系の構造、または、合金がニッケル・アルミニウム以外の他の成分を含む3成分系であって、他の成分が微少である構造、または、合金が不純物を含む構造であって、不純物の含有量が無視できる程度である構造においては、ニッケルの含有量が3.0[at%]以上5.0[at%]以下であることに加え、アルミニウムの含有量が94[at%]以上96[at%]以下であることが好ましい。
4.効果
図3および図4に示すように、本実施の形態に係る有機表示パネル10では、画素部10aにおいて、陽極105の表面の少なくとも一部に、ニッケルを析出させ(析出ニッケル1051)、析出ニッケル1051の上側表面に酸化ニッケル層1053が形成されている。
ここで、上記のように、遷移金属の酸化物層である酸化ニッケル層1053は、ホール注入性を有する。これについては、次に示す参考文献でも確認されている。
(参考文献)「Enhanced hole injections in organic light−emitting devices by depositing nickel oxide on indium tin oxide anode」、I−Min Chan,Tsung−Yi Hsu,and Franklin C.Hong、“2002 American Institute of Physics、Applied Physics Letters、volume 81,number 10”
よって、本実施の形態に係る有機表示パネル10およびこれを備える有機表示装置1では、陽極105が有機発光層109に対するキャリア注入性を有し、陽極105上に別途のホール注入層を形成しなくてもよい。これより、陽極105上のホール注入層を省略できる分だけ、有機表示パネル10全体としての構成層の数を低減することができ、コスト面での効果を得ることができる。
また、上記のように、本実施の形態に係る有機表示パネル10では、陽極105における酸化ニッケル層1053がホール注入を有し、別途のホール注入層を形成しなくてもよいので、上記従来技術におけるホール注入層の剥がれに起因する発光特性の低下を招くこともない。
従って、本実施の形態に係る有機表示パネル10およびこれを備える有機表示装置1では、高い発光特性を有しながら、低コストでの製造が可能である。
また、図3の矢印Bで指し示す部分に示すように、有機表示パネル10の非画素部10bにおいては、補助電極106と陰極111との間には、インターレイヤ110が介在するものの、図9に示す従来技術に係る有機表示パネルに対して、ホール注入層が介在していない点で相違する。このため、本実施の形態に係る有機表示パネル10では、非画素部10bにおいて、補助電極106と陰極111との間にホール注入層が介在しない分だけ、コンタクト抵抗の低減が図られている。
また、補助電極106においても、図4に示す陽極105と同様に、その表面にニッケルが析出し、当該析出したニッケルの表面が酸化して酸化ニッケル層を形成している。このため、補助電極106と電子輸送層110との間での良好な電気的接続が可能となる。
5.製造方法
有機表示パネル10の製造方法について、図5から図7を用い説明する。
図5(a)に示すように、基板100のZ軸方向上側の主面に、ドレイン電極1012およびソース電極1013と、これらを覆うチャネル層1014、ゲート絶縁膜1015と、ゲート電極1011を順に形成することで、TFT層101を形成する。その後、パッシベーション膜102を被覆形成した後、無機材料(例えば、SiN、SiOXなど)あるいは有機材料(例えば、アクリル、ポリイミド、ゾルゲルなど)を用いて平坦化膜103を形成する。
次に、図5(b)に示すように、平坦化膜103の表面に対し、合金膜2050を成膜する。合金膜2050の成膜には、少なくともニッケル(Ni)を含み、アルミニウム(Al)を成分とする合金を用い、例えば、スパッタリング方を用いることで行う。
次に、図5(c)に示すように、平坦化膜103上に形成の合金膜2050に対して、酸素(O2)雰囲気下で焼成を行う。焼成の条件は、焼成温度が230[℃]以上、焼成時間が30[min.]以上である。このように合金膜2050を焼成することにより、図5(c)の二点鎖線で囲む部分に示すように、アルミニウム層2051の表面の一部にニッケルが析出し(析出ニッケル2052)、析出ニッケル2052の表面が酸化されて酸化ニッケル層2054が形成される。また、アルミニウム層2051の表面も酸化されて酸化アルミニウム層2053が形成され、焼成後の合金膜205が完成する。
次に、図6(a)に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、合金膜205をパターニングすることで、陽極105および補助電極106を形成する。この場合、陽極105および補助電極106における各Z軸方向上側の表面部分に析出ニッケル1051および酸化ニッケル層1053が形成されていることになる(図4を参照)。なお、パターニングにおけるエッチングとしては、ウェットエッチングおよびドライエッチングのどちらを用いてもよい。例えば、ウェットエッチングを選択する場合には、エッチング液として希フッ酸などを用いることができ、ドライエッチングを選択する場合には、エッチングガスとしてCF4などを用いることができる。
次に、パターニングにより形成された陽極105および補助電極106の各上、および互いの間に露出した平坦化膜103の表面の全体を覆うように、バンク材料からなる層を形成する。この形成には、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック系フェノール樹脂などの絶縁材料を用い、例えば、スピンコート法などにより行うことができる。
そして、バンク材料からなる層に対して、露光・現像を実行することにより、図6(b)に示すように、隣接する陽極105同士の間、および隣接する陽極105と補助電極106との間にバンク107が形成される。このとき、バンク107は、陽極105および補助電極106の側縁部上面に一部が乗り上げる状態となっている。
次に、図6(c)に示すように、バンク107で区画された画素部10a(図3を参照。)において、陽極105上にインターレイヤ108を積層形成する。インターレイヤ108の形成には、上記のように、親水基を備えない高分子化合物を用いることができる。
次に、インターレイヤ108上に対して、例えば、インクジェット法などにより有機発光材料を含むインクを滴下し、滴下したインクを乾燥させることにより、図7(a)に示すように、有機発光層109を形成できる。なお、有機発光層109については、隣接するサブピクセル毎に赤(R)、緑(G)、青(B)というように発光色が異なるように塗り分ける。
この後、図7(b)に示すように、有機発光層109上、バンク107上、および補助電極106上の全面に、電子輸送層110を形成し、さらにその後、図7(c)に示すように、電子輸送層110上に陰極111を形成する。
なお、図示を省略しているが、陰極111上には、封止層112を形成することで、図3に示す有機表示パネル10が完成する。
以上のような製造方法を採用する本実施の形態では、図9に示す従来の有機表示パネルを製造する場合に比べて、ホール注入層を別途設ける必要がないので、その分だけ製造工程の簡略化が可能であり、製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態に係る方法を用い製造された有機表示パネル10については、上記のような効果を奏する。
[変形例]
変形例に係る有機表示パネルの構成について、図8を用い説明する。
図8に示すように、変形例に係る有機表示パネルでは、上記実施の形態に係る有機表示パネル10に対してバンク207の形態が相違し、それ以外の構成は、同様である。
本変形例に係る有機表示パネルのバンク207は、X軸方向に延伸する部分207aとY軸方向に延伸する部分207bとが一体に形成された、所謂、ピクセルバンクとなっている。本変形例に係る有機表示パネルでは、X軸方向に隣接するサブピクセル同士の間が部分207bで区画され、Y軸方向に隣接するサブピクセル同士の間が部分207aで区画される。そして、バンク207に開けられた窓部からは、各サブピクセルに対応する陽極105およびピクセル単位で設けられた補助電極106が露出する。
本変形例に係る有機表示パネルにおいても、陽極105および補助電極106の構成が、上記実施の形態と同様であり、バンク207の形態を除く他の構成も同様であるので、上記実施の形態に係る有機表示パネル10と同様の効果を有する。
[その他の事項]
上記実施の形態および上記変形例に係る有機表示パネル10,・・では、平坦化膜103上に陽極105を設ける構成を採用したが、逆に平坦化膜103上に陰極を設ける構成を採用することもできる。この場合には、陰極に対して、図4のような構成を適用することで上記同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態および上記変形例に係る有機表示パネル10,・・では、ピクセル毎に補助電極106を設ける構成を採用したが、パネルサイズによっては必ずしも補助電極は必要がない。即ち、小型のパネルの場合においては、パネル中央部における電圧降下が問題となるレベルではない場合があり、その様な場合には補助電極を設ける必要はない。補助電極を設ける場合においても、3つのサブピクセルに一つの補助電極を設けるという構成は必須のものではなく、パネルサイズおよび電圧降下の程度などを勘案して設計することができる。
また、上記実施の形態および上記変形例に係る有機表示パネル10,・・では、陽極105および補助電極106の母材として、ニッケル(Ni)を含み、アルミニウム(Al)を成分とする合金を採用したが、合金については適宜の変更が可能である。但し、酸化によりキャリア注入性を有する金属材料を含み、光反射性を有する導電性金属材料を成分とする合金を母材とし、その表面の一部に前記金属材料が析出し、析出した金属材料の表面にその酸化物層が形成されることが必要である。
上記において、陽極105における第1の金属材料としては、上記実施の形態で採用したニッケル(Ni)の他にも、周期表第4族から第11族の何れかの遷移金属材料、あるいは、周期表第12族の典型金属材料などであれば用いることができる。
また、上記実施の形態では、その製造方法において、合金膜2050を酸素(O2)雰囲気下で焼成した後に、パターニングして陽極105および補助電極106を形成したが、パターニングした後に酸素(O2)雰囲気下での焼成を実行することとしてもよい。
また、焼成条件については、焼成温度を上昇させれば、析出する金属材料(ニッケル)が増えることになり、導電性およびキャリア注入性の向上などを図ることができる。但し、陽極における光反射性を考慮する必要がある。
本発明は、高い発光特性を有し、低コストでの製造が可能な有機発光素子とその製造方法、および有機表示パネル、有機表示装置を実現するのに有用である。
1.有機表示装置
10.有機表示パネル
10a.画素部
10b.非画素部
20.駆動制御部
21〜24.駆動回路
25.制御回路
100.基板
101.TFT層
102.パッシベーション膜
103.平坦化膜
104.コンタクトホール
105.陽極
106.補助電極
107,207.バンク
108.インターレイヤ
109.有機発光層
110.電子輸送層
111.陰極
112.封止層
113.画素規制層
205,2050.合金膜
1011.ゲート電極
1012.ドレイン電極
1013.ソース電極
1014.チャネル層
1015.ゲート絶縁膜
1050,2051.アルミニウム層
1051,2052.析出ニッケル
1052,2053.酸化アルミニウム層
1053,2054.酸化ニッケル層

Claims (17)

  1. 酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、その表面の少なくとも一部に、前記第1の金属材料を析出させた状態で前記第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている第1電極と、
    前記第1電極の前記表面に接続して設けられ、前記第1電極から注入されたキャリアを受け取る発光層を少なくとも含む機能層と、
    前記機能層を挟んで前記第1電極と異なる側に設けられ、前記第1電極と異なる極性を有する第2電極と、
    を備える
    有機発光素子。
  2. 前記第1電極の前記表面には、前記析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層と、前記第2の金属材料の金属酸化物層とが形成されている
    請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層は、前記第2の金属材料の金属酸化物層中に、島状または不連続状に形成されている
    請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 前記第1の金属材料は、周期表第4族から第11族の何れかの遷移金属材料、あるいは、周期表第12族の典型金属材料である
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の有機発光素子。
  5. 前記第1電極は陽極を構成し、
    前記第2電極は陰極を構成し、
    前記析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層は、キャリアとしてのホールを注入するホール注入性を備える
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の有機発光素子。
  6. 前記機能層は、前記発光層にホールを輸送するホール輸送層を含み、前記ホール輸送層が前記第1電極に接続されている
    請求項5に記載の有機発光素子。
  7. 前記有機発光素子は、画素部と非画素部とを有し、
    前記画素部では、前記第1電極と前記発光層と前記第2電極とを含み、
    前記非画素部では、
    酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成され、その表面の少なくとも一部に、前記第1の金属材料を析出させた状態で前記第1の金属材料の金属酸化物層が形成されている補助電極と、
    前記第2電極と、を含み、
    前記発光層を含まず、
    前記第2電極は、前記画素部および前記非画素部にわたって接続されている
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の有機発光素子。
  8. 前記第1の金属材料は、ニッケルであり、
    前記第2の金属材料は、アルミニウムである
    請求項1から請求項7の何れか1項に記載の有機発光素子。
  9. 前記合金における前記第1の金属材料の含有量は、3.0at%(原子濃度)以上5.0at%(原子濃度)以下である
    請求項1から請求項8の何れか1項に記載の有機発光素子。
  10. 請求項1から請求項9の何れか1項に記載された有機発光素子を備えた
    有機表示パネル。
  11. 請求項10に記載された有機表示パネルを備えた
    有機表示装置。
  12. 酸化されることによりキャリア注入性を有する第1の金属材料を含み、光反射性および導電性を有する第2の金属材料を成分とする合金から構成される第1電極層を形成する第1工程と、
    前記形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、前記第1の金属材料を析出させ、前記第1の金属材料の金属酸化物層を前記第1電極層の表面の少なくとも一部に形成する第2工程と、
    前記第1電極層の上方に、前記第1電極層の前記表面に接続して設けられ、前記第1電極層から注入されたキャリアを受け取る発光層を含む機能層を形成する第3工程と、
    前記機能層の上方に、前記第1電極層とは極性の異なる第2電極を形成する第4工程と、
    を有することを特徴とする
    有機発光素子の製造方法。
  13. 前記第2工程は、前記第1工程で形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、前記析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層と共に、前記第2の金属材料の金属酸化物層とを形成する工程である
    請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
  14. 前記第2工程は、前記第1工程で形成された第1電極層を加熱して酸化処理することにより、前記析出した前記第1の金属材料の金属酸化物層を、前記第2の金属材料の金属酸化物層中に、島状または不連続状に形成する工程である
    請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
  15. 前記第2工程は、焼成温度が230℃以上であり、かつ、焼成時間が30分以上で行う工程である
    請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
  16. 前記第2工程と前記第3工程との間には、
    前記第2工程により、前記金属酸化物層が形成された第1電極層をパターニング処理する工程と、
    前記第1電極層における前記パターニング処理された部位同士の間を区画する隔壁を形成する工程と、
    を有する
    請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
  17. 前記機能層は、前記発光層にホールを輸送するホール輸送層を含み、
    前記第1工程は、前記導電性金属材料として陽極を構成する材料を用いると共に、前記第1の金属材料としてホールを注入するホール注入性を備える材料を用いることにより第1電極層を形成する工程であり、
    前記第4工程は、前記第2電極として陰極を構成する材料を用いて前記第2電極を形成する工程である
    請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
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