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JP2010107570A - 表示装置の製造方法 - Google Patents

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JP2010107570A JP2008276874A JP2008276874A JP2010107570A JP 2010107570 A JP2010107570 A JP 2010107570A JP 2008276874 A JP2008276874 A JP 2008276874A JP 2008276874 A JP2008276874 A JP 2008276874A JP 2010107570 A JP2010107570 A JP 2010107570A
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Abstract

【課題】酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続された構造を備えた表示装置の製造工程において、TMAH水溶液などのアルカリ現像液に曝された場合に、上記Al合金膜の腐食を有効に抑制することのできる、上記表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備えた表示装置の製造方法であって、基板上に前記酸化物透明導電膜を形成する第1の工程と、前記酸化物透明導電膜を150℃以上に5分間以上加熱して結晶質とする第2の工程と、前記酸化物透明導電膜上に前記Al合金膜を形成する第3の工程とを包含し、前記Al合金膜は、Niを0.1〜4原子%含有するAl合金からなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどに代表される表示装置(薄型電子表示装置)の製造方法に関するものである。詳細には、本発明は、酸化物透明導電膜と反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備えた表示装置の製造方法であって、該Al合金膜のパターニング時のアルカリ腐食を有効に抑制できるものである。以下では、液晶ディスプレイを代表例として挙げて説明するが、これに限定する趣旨ではない。
液晶ディスプレイは、液晶パネルの背後に設置された照明装置(バックライト)からの光を光源として用いる透過型表示装置と、反射電極を備え、周囲光を用いる反射型表示装置と、透過型と反射型の両タイプを兼ね備えた半透過型表示装置と、に大別される。
このうち、半透過型表示装置は、バックライトの光を透過させる機能と、表示装置の表面からの入射光(周囲光)を反射電極で反射する機能の両機能を備えており、昼間は周囲光を利用して消費電力を節約し、室内や夜間では、必要に応じバックライトを使用して表示を行うなど、使用環境に応じて透過モードによる表示と反射モードによる表示を行うことができる。
図1を参照しながら、代表的な半透過型液晶表示装置の構成および動作原理を説明する。尚、図1は、後記する特許文献2に開示された図2に対応する。
図1に示すように、半透過型液晶表示装置11は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「TFT」と呼ぶ。)基板21と、TFT基板21に対向して配置された対向基板15と、TFT基板21と対向基板15との間に配置され、光変調層として機能する液晶層23とを備えている。対向基板15は、カラーフィルター(図示せず)を含み、カラーフィルター上には、透明な共通電極13が形成されている。一方、TFT基板21は、画素電極19および、スイッチング素子や走査線信号線を含む配線部(図示せず)を有している。
図1に示す通り、画素電極19の画素領域Pは、透過領域Aと反射領域Cとから構成されており、透過領域Aは透明画素電極(酸化物透明導電膜)19aを、また反射領域Cは透明画素電極19aと反射電極19bを備えている。透過モードでは、TFT基板21の下部に配置されたバックライト41の光Fを光源として使用する。バックライト41から出射した光は、透明画素電極19aおよび透過領域Aを介して液晶層23に入射し、透明画素電極19aと共通電極13との間に形成される電界によって、液晶層23における液晶分子の配列方向が制御されるしくみとなっている。一方、反射モードでは、外部の自然光または人工光(周囲光)Bが光源として利用される。対向基板15に入射した周囲光Bは、反射電極19bで反射され、反射電極19bと共通電極13との間に形成される電界によって、液晶層23における液晶分子の配列方向が制御されるしくみとなっている。
透明画素電極19aは、可視光領域に高い透過性を有する酸化物透明導電膜から形成されており、代表的には、酸化インジウム(In)中に酸化錫(SnO)が10質量%程度含まれる酸化インジウム錫(ITO)や、酸化インジウム中に酸化亜鉛が10質量%程度含まれる酸化インジウム亜鉛(IZO)などの酸化物透明導電膜から形成されている。
また、反射電極19bは、反射率の高い金属材料で構成されている。反射率のみを考慮すれば、Ag(銀)が理想的な材料であるが、薄型電子表示装置においては、作製プロセスにおける水分吸着や大気暴露などによる異常酸化を抑制する観点からや材料コスト低減の観点から、純AlやAl−Ni合金などのAl合金(以下、これらをまとめて「Al系合金」と呼ぶ。)が典型的な材料として用いられている。Al系合金は、電気抵抗率も低いため、配線材料として極めて有用である。
しかしながら、酸化物透明導電膜と反射電極用Al系合金膜をこの順に積層後、Al系合金膜をパターニングするため、フォトレジストのアルカリ現像液である水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)に浸漬させると、腐食が発生することが判明した。特に、酸化物透明導電膜のパターン端でこの腐食が著しい傾向にあることがわかった。
上記腐食は、電解質溶液であるTMAH水溶液が、Al系合金膜に生成したピンホールや貫通粒界に沿って酸化物透明導電膜との界面まで浸入し、電気的に接触している酸化物透明導電膜とAl系合金膜のうち、電極電位の低いAl系合金膜が腐食されて溶出し、酸化物透明導電膜が黒化する、いわゆるガルバニック腐食である。
ガルバニック腐食は、上記ITO膜などの酸化物透明導電膜とAl系合金膜のように、異種金属間の電極電位差が大きい場合に生じるといわれている。TMAH水溶液中のAg/AgCl標準電極に対する電極電位は、下記表1に示す通り、アモルファス−ITO(a−ITO)が約−0.17V、ポリ−ITO(p−ITO)が約−0.19Vであるのに対し、純Alは約−1.93Vと非常に低い。
表示装置において、上記の様なガルバニック腐食が生じると、様々な不具合、例えば酸化物透明導電膜の黒化、それによる画素の黒化、配線細り・断線などのパターン形成不良、Al系合金膜と酸化物透明導電膜との接触抵抗の増大、それによる表示(点灯)不良などが生じる。
よって従来の表示装置においては、前記図1に示す通り、反射電極19bを構成するAl系合金膜と、透明画素電極19aを構成するITO膜やIZO膜などの酸化物透明導電膜との間に、上記表1に示す通り、ITO膜との電極電位差がAl系合金膜よりも小さいMo等からなるバリアメタル層51が形成されている。例えば特許文献1や特許文献2では、Al系合金膜と酸化物透明導電膜との間にMoやCrなどのバリアメタル層51を介在させている。しかしながら、バリアメタル層を介在させる方法は、製造工程が煩雑になって生産コストの上昇を招くなどの問題がある。
そこで、バリアメタル層の形成を省略でき、Al系合金膜を透明画素電極に直接接触させることの可能な「ダイレクトコンタクト技術」が検討されている。ダイレクトコンタクト技術では、高い表示品位の表示装置が得られるように、電極材料であるAl系合金膜と透明画素電極との接触抵抗が低く、かつ耐熱性に優れていることが要求される。
本願出願人も、本発明のように酸化物透明導電膜と反射電極用Al合金膜が直接接続された構造を有する表示装置を対象とするものではないが、関連のダイレクトコンタクト技術として、特許文献3に記載の方法を提案している。特許文献3には、Au、Ag、Zn、Cu、Ni、Sr、Ge、Sm、およびBiよりなる群から選ばれる少なくとも一種の合金元素を0.1〜6原子%含むAl合金膜の配線材料が開示されている。
上記のAl合金膜を用いれば、当該Al合金膜と透明画素電極との界面に導電性の合金元素含有析出物が形成され、酸化アルミニウム等の絶縁物質の生成が抑制されるため、接触抵抗を低減することができる。また、合金元素の添加量が上記範囲内であれば、Al合金自体の電気抵抗率も低く抑えられる。更に、上記のAl合金膜にNd、Y、Fe、Coの少なくとも一種の合金元素を更に添加すれば、ヒロック(コブ状の突起物)の生成が抑えられ、耐熱性が向上する。上記合金元素の析出物は、基板上にAl合金膜をスパッタリング法などによって成膜した後、150〜400℃(好ましくは200〜350℃)で15分〜1時間程度加熱(アニーリング)処理することによって得られる。
この様な成分組成のAl合金膜を反射電極に採用すれば、前記表1に示す通り、ITO膜との電極電位差は純Al膜よりも小さくなるが、それでもMo等と比較して電極電位差は大きく、ガルバニック腐食を十分に抑えることは難しい。よって、酸化物透明導電膜と反射電極用Al合金膜が直接接続された構造を有する表示装置の製造方法として、製造工程での腐食環境下における腐食を十分に抑制すべく、独自の方法を確立する必要があると考える。
特開2004−144826号公報 特開2005−196172号公報 特開2004−214606号公報
本発明の目的は、酸化物透明導電膜(例えばITO膜等)の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続された構造を有する表示装置(例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)の製造過程において、TMAH水溶液などのアルカリ現像液に曝された場合に、上記Al合金膜の腐食を有効に抑制することのできる表示装置の製造方法を提供することにある。また本発明は、純アルミニウムと同等の反射率を示すと共に高耐熱性をも示す反射電極を備えた、表示装置の製造方法を提供することも目的とする。
本発明に係る表示装置の製造方法とは、酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備えた表示装置の製造方法であって、基板上に前記酸化物透明導電膜を形成する第1の工程と、前記酸化物透明導電膜を150℃以上に5分間以上加熱して結晶質とする第2の工程と、前記酸化物透明導電膜上に前記Al合金膜を形成する第3の工程とを包含し、前記Al合金膜は、Niを0.1〜4原子%含有するAl合金からなるところに特徴を有する。
前記Al合金膜は、更に、La、Mg、Cr、Mn、Ru、Rh、Pt、Pd、Ir、Ce、Pr、Gd、Tb、Dy、Nd、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Y、Fe、Co、Sm、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を合計で0.1〜2原子%含有するAl合金からなるものであってもよい。
更に、第4の工程として、前記Al合金膜にパターニングを施す工程を包含し、該パターニングを、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて行う場合に、本発明の効果が存分に発揮される。
本発明には、上記方法で製造された表示装置であって、酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備え、かつ前記酸化物透明導電膜が結晶質であるところに特徴を有する表示装置も含まれる。
本発明によれば、表示装置の製造過程において、酸化物透明導電膜(例えばITO膜)の上に形成された反射電極用Al合金膜のパターニングの際に、該Al合金膜がTMAH水溶液等のアルカリ現像液に曝されても腐食が抑制され、結果として、酸化物透明導電膜と反射電極を構成するAl合金膜との接触抵抗低減等を達成できる。また、本発明の表示装置は、純アルミニウムと同等の反射率および高耐熱性を示す反射電極を備えている。よって表示装置として、従来よりも性能のより高い液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを提供することができる。
本発明者らは、反射電極が、Alを主成分(組成比で94原子%以上)とするAl合金膜からなり、かつ酸化物透明導電膜上に直接接続した構造を有する表示装置の製造過程において、反射電極用Al合金膜のパターニング時の、フォトレジストのアルカリ現像液(TMAH水溶液等)によるAl合金膜の腐食(ガルバニック腐食)を有効に抑制すべく鋭意研究を重ねてきた。そして本願出願人は、既に、上記反射電極用Al合金膜の成膜時に基板を所定の条件で加熱するか、または、Al合金膜の成膜後、該Al合金膜を所定の条件で加熱することにより、ガルバニック腐食を抑制する技術を提案している(特願2007−335004号)。上記技術では、更に、反射電極用Al合金膜として、Al−Ni系を中心とした多元系Al合金材を用いることで、純Al膜に匹敵する導電性および反射率と、純Al膜では望めない優れた耐熱性を兼備できることも示している。
本発明者らは、この様な技術を提案した上で更に、上記腐食を確実に抑制するための別の手段についても検討を行った。上述した通り、ガルバニック腐食は、TMAH水溶液が反射電極用Al合金膜に形成されたピンホールや貫通粒界を通じ、酸化物透明導電膜と反射電極の界面まで浸入することにより生じる。よって、反射電極に生じるピンホールや貫通粒界を抑制し、TMAH水溶液が酸化物透明導電膜と反射電極の界面に浸入しないようにすることで、ガルバニック腐食を抑制する、との着想のもと、その達成手段について検討したところ、上記Al合金膜成膜時の基板となる酸化物透明導電膜を結晶質とすれば、その上に形成されるAl合金膜が、緻密化すること(具体的には、結晶粒が微細になったり、ピンホールレスとなる等)がわかった。
このことを、図2を用いて説明する。図2(a)は、非晶質(アモルファス)である酸化物透明導電膜とその上に形成されたAl合金膜(反射電極)の模式断面図である。この図2(a)に示す通り、酸化物透明導電膜が非晶質(アモルファス)であると、Al合金膜の成膜初期過程にスパッタ粒子の成長核があまり形成されず、該成長核の密度が小さくなるため、形成されるAl合金膜がポーラスな膜質となり、ピンホールや貫通粒界が形成され易くなると考えられる。これに対し、図2(b)は、結晶質である酸化物透明導電膜とその上に形成されたAl合金膜(反射電極)の模式断面図であるが、この図2(b)に示す通り、酸化物透明導電膜が結晶質であると、Al合金膜の成膜初期過程で上記成長核が多く形成され、該成長核の密度が高くなるため、形成されるAl合金膜は、ピンホールや貫通粒界の抑制された緻密なものとなると考えられる。尚、図2(a)における酸化物透明導電膜中の点線はアモルファス状態であることを、また図2(b)中の酸化物透明導電膜中の点線は多結晶状態であることを視覚的に表現したものである。
この様に、ピンホールや貫通粒界の抑制されたAl合金膜が反射電極用として形成されることにより、該Al合金膜のパターニング工程でのTMAHによるレジスト現像時に、該Al合金膜のガルバニック腐食を抑制できる。また、上記の通り、酸化物透明導電膜を結晶化することで、酸化物透明導電膜の表面電位が変動して、仕事関数が増加[=反射電極(Al合金膜)との電極電位差が縮小]するため、上記ガルバニック腐食を抑制する効果が得られることもわかった。
上記結晶化の程度については、X線回折、電子線回折での回折パターンにより、結晶質/非晶質の判別を行うことができる。具体的には、後述する実施例に示す通り、例えばITO膜の場合、回折角30°と35°にピークが確認されたものは結晶質と判断し、回折角30°と35°にピークは確認されないが、回折角32°あたりにブロードなピークが確認されるものについては非晶質と判断した。
そして、酸化物透明導電膜の上記結晶化を具現化するため、更に検討したところ、表示装置の製造方法において、
基板上に前記酸化物透明導電膜を形成する第1の工程と;
前記酸化物透明導電膜を、150℃以上に5分間以上加熱して結晶質とする第2の工程と;
前記酸化物透明導電膜上に前記Al合金膜を形成する第3の工程と;
を包含すればよいことを見出した。この様に本発明の方法は、酸化物透明導電膜を150℃以上に5分間以上加熱して結晶質とした後、該酸化物透明導電上にAl合金膜を形成する点に特徴がある。上記加熱は200℃以上で行うことが好ましい。一方、上記加熱温度が高すぎても、下層部の平坦な膜の変質・損傷を招くため、加熱温度は400℃以下とするのがよい。より好ましくは350℃以下である。
また、上記温度での加熱の時間が短すぎても、十分に結晶化が図れないことから、上記温度での加熱時間は5分間以上(好ましくは10分間以上)とする。一方、加熱時間が長すぎても製造時間が増大し、スループットの低下を招くことから、上記温度での加熱時間は60分間以下(より好ましくは30分間以下)とすることが好ましい。
加熱雰囲気は、真空(例えば、真空度≦3×10−4Pa)、または窒素雰囲気等とすればよい。
酸化物透明導電膜としては、ITO膜、IZO膜、ITZO膜等、幾つか種類があるが、本発明の方法が、上記条件で加熱して酸化物透明導電膜の結晶化を図る点に特徴を有していることから、酸化物透明導電膜として、上記条件で加熱することにより結晶化が促進される特性を有するものがよい。この様な観点からは、加熱による結晶化がIZO膜よりも十分に促進されるITO膜やITZO膜が好ましい。
前記第2の工程は、酸化物透明導電膜の結晶性向上を目的に行う加熱であってもよいし、他の目的で行う加熱が、上記温度・時間を満たすものであってもよい。他の目的で行う加熱として、酸化物透明導電膜にパターニングを施した後、反射電極として、例えば液晶セル内部拡散反射膜を製造する工程の一部で加熱する場合が挙げられる。
ここで、液晶セル内部拡散反射膜について説明する。従来より、反射電極として導電性金属からなる鏡面反射膜が用いられており、この鏡面反射膜が反射板としての機能と電極としての機能を兼ね備えているが、この反射膜の表面を鏡面でなく凹凸とし、拡散反射としての機能を持たせることで、反射機能をより高める場合がある。この様に表面が凹凸の反射電極を用いれば、前方散乱板や透過型拡散ホログラムなどを不要とすることができる。その結果、前方散乱板を併用する場合に問題となる、前方散乱板と反射膜の間のガラス基板の存在による視差や入射光の後方散乱によるコントラスト低下を回避することができる。
反射電極の表面に凹凸を形成する方法としては、例えば、
(1)加熱やサンブラスト等により金属薄膜の表面を荒らす方法、
(2)金属と熱膨張率の異なる有機薄膜を加熱しながら金属薄膜を形成することにより微細な凹凸(しわ)を得る方法、
(3)SiO等の無機薄膜に凹凸上のテーパーエッチングを施し、その上に金属薄膜を形成する方法、
(4)感光性樹脂等を用いて凹凸形状を有する絶縁層を作製し、その上に金属薄膜を形成する方法等が挙げられ、実用的には(4)の方法が用いられている。
(4)の具体的な方法として、次の様な方法が挙げられる。まず、感光性樹脂をスピンコートし、円形状のパターン孔があいたフォトマスクを用いて露光、現像することにより、円形状凸部パターンを有する絶縁層を形成する。その後、パターン上端角部を加熱することにより軟化させ丸みを持たせる。さらに同じ感光性樹脂を、上記円形状凸部パターン上にスピンコートし、露光、現像した後、ドレイン電極上にコンタクトホールを形成する、その上に酸化物透明導電膜、反射電極(Al合金膜)を順次形成することにより、液晶セル内部拡散反射膜が得られる。
この場合、上記他の目的で加熱を行う場合として、上記反射電極(Al合金膜)を酸化物透明導電膜上に成膜するときに、ステージ(酸化物透明導電膜)を加熱した状態で該Al合金膜の成膜を行うことが挙げられる。
本発明は、上記のように酸化物透明導電膜を形成後、該酸化物透明導電膜を上記条件で加熱し結晶質としてから、該酸化物透明導電膜上にAl合金膜を形成するところに最大の特徴があり、第2の工程におけるその他の条件は特に問わない。また、酸化物透明導電膜を形成する第1の工程や、酸化物透明導電膜上にAl合金膜を形成する第3の工程は、公知の方法を適切に選択して採用すればよい。
尚、第3の工程において、上述した特願2007−335004号で提案している通り、所定の条件でAl合金膜の成膜時に基板を加熱するか、または、第3の工程の後、即ちAl合金膜の成膜後に、該Al合金膜を所定の条件で加熱することによって、ガルバニック腐食をより確実に抑制することもできる。
本発明は、上記第1の工程、第2の工程、および第3の工程を含むものであり、例えば第1の工程で形成した酸化物透明導電膜に、公知の方法でパターニングを施してから、第2の工程として、該パターニングされた酸化物透明導電膜を上記条件で加熱し、次いで、第3の工程の通りAl合金膜を成膜してから、形成されたAl合金膜にパターニングを施す方法が挙げられる。
上記第1〜3の工程以外の工程については、特に問わず、通常の方法を採用することができる。
尚、本発明は、反射電極用のAl合金膜を形成後(即ち、酸化物透明導電膜とAl合金膜を直接接続させる状態とした後)、第4の工程として、該Al合金膜にパターニングを施すべくTMAH水溶液に曝す場合に、その効果が存分に発揮される。パターニングのその他の条件(レジストの種類や、エッチングの方法等)については、通常の方法を採用すればよい。
本発明では、反射電極用Al合金膜として、Niを0.1〜4原子%含有するAl合金からなるものを用いる。Niは、酸化物透明導電膜との接触抵抗の低減作用を有するほか、耐熱性の向上作用も有している。Al合金膜にNiを添加することによって、酸化物透明導電膜との接触抵抗が低下する理由は、Al合金膜と酸化物透明導電膜の界面(接触界面)に、Alの拡散を防止し得るNi含有析出物が形成されるためと考えられる。
Ni含有量は、上述した接触抵抗の低減作用および耐熱性向上作用を有効に発揮させるため、0.1原子%以上とする。一方、Ni含有量が4原子%を超えると、Al合金膜の反射率および電気抵抗率が低くなり、実用に供し得なくなる。そこでAl合金膜中のNi含有量を、0.1原子%以上(好ましくは0.2原子%以上)、4原子%以下(好ましくは2.0原子%以下)と定めた。本発明において、Al合金膜の残部は、Alおよび不可避不純物からなる。
更には、La、Mg、Cr、Mn、Ru、Rh、Pt、Pd、Ir、Ce、Pr、Gd、Tb、Dy、Nd、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Y、Fe、Co、Sm、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuよりなる群(グループX)から選択される少なくとも一種の元素(第3元素)を合計で0.1〜2原子%含有させたAl合金膜を用いてもよい。
上記グループXの元素は、Al合金膜の耐熱性向上に寄与する元素(耐熱性向上元素)である。詳しくは、グループXの少なくとも1種を含有させることによって、加熱時に、Al合金膜表面のヒロック(コブ状の突起物)の形成を有効に防止することができる。これらの元素は、単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
このような耐熱性向上作用を十分に発揮させるには、グループXに属する元素の含有量を合計で0.1原子%以上とするのが好ましく、より好ましくは合計で0.2原子%以上である。しかし、グループXに属する元素の含有量が過剰になると、Al合金膜自体の電気抵抗率が上昇する。そこで、グループXに属する元素の含有量は合計で2原子%以下とするのがよく、より好ましくは合計で0.8原子%以下である。
高耐熱性および低電気抵抗率を併せて実現させること等を考慮すると、グループXに属する元素の中でも、La、Gd、TbおよびMnが好ましく、Laがより好ましい。
Al合金膜の成膜方法としては、代表的には、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法が挙げられる。スパッタリング法とは、基板と、形成しようとする薄膜と同種の材料から構成されるスパッタリングターゲット(ターゲット材)との間でプラズマ放電を形成し、プラズマ放電によってイオン化した気体をターゲット材に衝突させることによってターゲット材の原子をたたき出し、基板上に積層させて薄膜を作製する方法である。スパッタリング法は、真空蒸着法やアークイオンプレーティング(AIP:Arc Ion Plating)法と異なり、ターゲット材と同じ組成の薄膜を形成できるという
メリットを有している。特に、スパッタリング法で成膜されたAl合金膜は、平衡状態で固溶し得ないNdなどの合金元素を固溶でき、薄膜として優れた性能を発揮するなどの利点を有している。ただし、本発明は上記に限定する主旨ではなく、Al合金膜の成膜方法に通常用いられる方法を適宜採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実験例1)
基板(無アルカリ硝子板、板厚0.7mm、4インチサイズ)上に、酸化物透明導電膜(透明画素電極)として、SnOを約10質量%含むITO膜(膜厚:約50nm)をスパッタリング法によって形成した。このときのスパッタリング条件は、アルゴン雰囲気下、圧力:約3mTorrとした。次いで、フォトリソグラフィー、エッチングを順次行って、ITO膜にパターニングを施した。
次に、パターニングを施したITO膜に対し、加熱を施した試料と加熱を施さない試料を用意した。加熱を施す場合は、200℃で1時間保持する加熱を行った。加熱雰囲気は窒素雰囲気とした。
上記ITO膜の上に、反射電極として、純Al膜、またはAl−2原子%Ni−0.35原子%La合金膜(以下、「Al−2Ni−0.35La膜」という)をスパッタリング法により形成した。膜厚は、いずれの場合も約100nmとした。スパッタリング条件は、基板温度:室温、アルゴン雰囲気下、圧力:約2mTorrとした。
次いで、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La膜にレジストを塗布し露光した後、2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH、東京応化工業株式会社製現像液:NMD−W)に1分間浸漬する現像を実施し、露光部のレジストをエッチング除去してから、光学顕微鏡によるパターン観察を実施してガルバニック腐食の発生状況を観察した。ガルバニック腐食率は、基板(面積:10cm×10cm)3枚の任意の5視野(1視野のサイズ:200μm×200μm)の腐食箇所(黒色部分)の面積率を測定し、その平均値(ガルバニック腐食率)を求めた。
そして、ガルバニック腐食率が3面積%以下の場合を、腐食が抑制されていると評価した。
その結果を図3に示す。図3は、純Al膜またはAl−Ni−La合金膜のガルバニック腐食率を加熱の有無別に示したグラフである。この図3から、純Al膜を成膜した場合は、加熱の有無に関係なくガルバニック腐食が著しいのに対し、Al−2Ni−0.35La膜を形成した場合には、腐食が抑えられ、特に、ITO膜を加熱してから上記Al−2Ni−0.35La膜を成膜することで、黒点がほぼ皆無となっていることがわかる。
上記Al−2Ni−0.35La膜を成膜した場合について、ITO膜(酸化物透明導電膜)の加熱を施した場合と施していない場合の光学顕微鏡写真を、図4(a)、図4(b)として示す。この図4の写真から、ITO膜の加熱を行わない場合には黒点が存在しているのに対し、上記条件でITO膜を加熱することによって、黒点がほぼ皆無となっていることがわかる。
図5に(a)加熱していない非晶質のITO膜と(b)加熱して得られた結晶質のITO膜の、それぞれの断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真を示す。この図5(a)(b)を比較すると、図5(b)の結晶質のITO膜の断面には、筋状の粒界が確認できるのに対し、図5(a)の非晶質のITO膜の断面には、上記筋状の粒界が確認できない。
結晶質/非晶質の判別は、X線回折による純粋な結晶質相及び非晶質相のピーク強度の比から行った。X線回折は、リガク製RINT1500X線回折装置を用い、測定範囲:10〜90°の条件で行った。その結果、図5(b)の様な結晶質のITO膜では、回折角30°と35°にピークが確認されたのに対し、図5(a)の様な非晶質のITO膜では、回折角30°と35°にピークは確認されず、回折角32°あたりにブロードなピークが確認された。
(実験例2)
酸化物透明導電膜(ITO膜)の加熱を、100℃、150℃、200℃、250℃の4パターンで行う以外は、実験例1と同様にして試料を作製し、実験例1と同様にしてガルバニック腐食率を求めた。酸化物透明導電膜(ITO膜)の加熱を、150℃、200℃、250℃で行った場合の結果を図6に示す。図6は、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La合金膜のガルバニック腐食率を、加熱の温度別に示したグラフである。この図6から、純Al膜の場合は、ガルバニック腐食率が加熱温度にほとんど関係なく著しいのに対し、Al−2Ni−0.35La膜の場合は、加熱温度が150℃の場合で2.0%に抑えられ、加熱温度が200℃、250℃の場合は、いずれも0.0%となっていることがわかる。尚、上記加熱の温度が100℃の場合は、純Al膜ではガルバニック腐食率が60%を超え、またAl−2Ni−0.35La膜の場合でも、ガルバニック腐食率が5%程度と高くなった。
(実験例3)
酸化物透明導電膜として、ITO膜の代わりに、酸化インジウムに酸化亜鉛を10質量%程度含む酸化インジウム亜鉛(IZO)膜を成膜した以外は、実験例1と同様にして試料を作製し、実験例1と同様にしてガルバニック腐食率を求めた。その結果を図7示す。
図7は、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La合金膜のガルバニック腐食率を加熱の有無別に示したグラフである。この図7から、酸化物透明導電膜としてITO膜の代わりにIZO膜を用いた場合、酸化物透明導電膜(IZO膜)の加熱によるAl−2Ni−0.35La膜の腐食率の下がり代が、前記図3のITO膜の場合よりも小さいことがわかる。このことから、Al合金膜成膜時の基板となる酸化物透明導電膜としてITO膜を用いる方が、本発明の効果がより十分に発揮されることがわかる。
尚、IZO膜を成膜した場合に、加熱を施すことで、腐食率が4.0%から2.7%に下がっているが、これは、IZO膜の表面が加熱されることにより、表面凹凸が小さくなったり酸化されるなどIZO膜の表面状態が変化した結果、反射電極(Al合金膜)との電極電位差が小さくなったためと考えられる。
図1は、代表的な半透過型液晶表示装置の断面を模式的に示す図である。 図2(a)は、酸化物透明導電膜がアモルファスである場合、図2(b)は、酸化物透明導電膜が結晶質である場合の、それぞれのAl合金膜の状態を示す模式断面図である。 図3は、TMAH浸漬によるガルバニック腐食率を、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La膜についてITO膜の加熱有無別に示したグラフである。 図4は、TMAH水溶液に浸漬後の試料の光学顕微鏡写真であり、(a)はITO膜の加熱あり、(b)はITO膜の加熱なしの場合を示している。 図5(a)は非晶質のITO膜の断面、図5(b)は結晶質のITO膜の断面の、それぞれ透過型電子顕微鏡写真を示す。 図6は、TMAH浸漬によるガルバニック腐食率を、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La膜についてITO膜の加熱温度別に示したグラフである。 図7は、TMAH浸漬によるガルバニック腐食率を、純Al膜またはAl−2Ni−0.35La膜についてIZO膜の加熱有無別に示したグラフである。
符号の説明
11 半透過型液晶表示装置
13 共通電極
15 対向基板
19 画素電極
19a 透明画素電極(酸化物透明導電膜)
19b 反射電極
21 TFT基板
23 液晶層
41 バックライト
51 バリアメタル層
P 画素領域
A 透過領域
B 周囲光(自然光または人工光)
C 反射領域
F バックライトからの光

Claims (4)

  1. 酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備えた表示装置の製造方法であって、
    基板上に前記酸化物透明導電膜を形成する第1の工程と、
    前記酸化物透明導電膜を150℃以上に5分間以上加熱して結晶質とする第2の工程と、
    前記酸化物透明導電膜上に前記Al合金膜を形成する第3の工程とを包含し、
    前記Al合金膜は、Niを0.1〜4原子%含有するAl合金からなることを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 前記Al合金膜は、更に、La、Mg、Cr、Mn、Ru、Rh、Pt、Pd、Ir、Ce、Pr、Gd、Tb、Dy、Nd、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Y、Fe、Co、Sm、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を合計で0.1〜2原子%含有するAl合金からなる請求項1に記載の製造方法。
  3. 更に、第4の工程として、前記Al合金膜にパターニングを施す工程を包含し、
    該パターニングを、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて行う請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造された表示装置であって、
    酸化物透明導電膜の上に反射電極用のAl合金膜が直接接続されてなる構造を備え、かつ前記酸化物透明導電膜が結晶質であることを特徴とする表示装置。
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