JP5542752B2 - 絶縁部形成方法及び導電パターン形成基板の製造方法 - Google Patents
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Description
この種の導電パターン形成基板は、絶縁基板上に、透明導電パターンが形成された画像表示領域(表示領域)と、配線ラインが形成された低抵抗配線パターン形成領域(配線領域)とを備えている。前記画像表示領域は、タッチパネルの操作者から視認可能とされており、前記低抵抗配線パターン形成領域は、枠体等に被覆され操作者からは視認不能とされている。
また、導電パターンには、広範囲に複数形成された導電性の導電部と、これら導電部同士を区画するように形成された絶縁性の絶縁部とが設けられている。
すなわち、透明導電膜のうち、導電パターンの絶縁部に対応する部分をフォトリソグラフィによるプロセスで除去した場合、該絶縁部と導電部との屈折率の違い等により、該導電パターンが視認されてしまい、外観上好ましくなかった。
また、特許文献4には、導電性ナノファイバーがバインダ中で3次元状に絡み合った導電膜にレーザ照射を行うことで絶縁化する技術が開示されているが、3次元状に絡み合った導電経路を確実に絶縁化するには大きなエネルギを照射する必要があり、バインダ層を除去又は変質させずに、照射部分と非照射部分の外観に変化が無いような照射条件を見出すことは困難である。したがって、特許文献4に記載の方法でも、導電パターンが視認可能になる問題は解決できなかった。
また、レーザ照射の集光スポットのサイズは数十μmであり、導電領域を面状に絶縁化すること、具体的には前記透明導電膜にレーザ光を照射して前記配線領域を絶縁化することは、レーザ加工に手間がかかり、作業性が低下する傾向にあった。
[1]絶縁性を有する透明基体内に導電性材料からなる2次元網目状の導電ネットワーク構造を有する透明導電膜の少なくとも一部にマイクロ波を照射することを特徴とする絶縁部形成方法。
[2]マイクロ波照射の際に、前記透明導電膜を冷却することを特徴とする[1]に記載の絶縁部形成方法。
[4]前記導電パターン形成工程では、前記透明導電膜のうち表示領域に対応する部分に所定のパターンでレーザ光を照射することにより、導電性材料を除去することを特徴とする[3]に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
[5]少なくとも前記透明導電パターン上に、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を有することを特徴とする[3]または[4]に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
(導電パターン形成基板)
以下、本発明の第1実施形態に係る導電パターン形成基板の製造方法により作製される導電パターン形成基板10について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、導電パターン形成基板10は、透明な絶縁基板11上に、透明導電パターン12が形成される画像表示領域(表示領域)13と、配線ライン14が形成される低抵抗配線パターン形成領域(配線領域)15とを備えている。
画像表示領域13は、透明であり且つタッチパネルの操作者から視認可能とされ、低抵抗配線パターン形成領域15は、装飾パネル(枠)等に覆われて操作者からは視認不能とされる。
なお、本発明において、「透明」とは、50%以上の光線透過率を有することを意味する。また、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上のことであり、「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味する。
図2(a)に示すように、導電部Cは、絶縁性を有する透明基体2内に導電性極細繊維(導電性材料)4からなる2次元網目状の導電ネットワーク構造3を有する。
導電性極細繊維4同士は、絶縁基板11の表面(透明導電パターン12が形成される面)の面方向に沿って互いに異なる向きに不規則に存在しているとともに、その少なくとも一部が互いに接触し合う程度に密集して2次元網目状に配置されている。このような配置によって導電性極細繊維4同士が互いに電気的に接続されることで、導電ネットワーク構造3を形成し、導電部Cとなっている。
また、導電性極細繊維4は、その大部分が透明基体2内に埋設されているが、一部は、透明導電パターン12の絶縁基板11とは反対側の表面から突出している。
透明基体2を形成する樹脂としては、透明な熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)、熱や紫外線や電子線や放射線で硬化する透明な硬化性樹脂(メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂)が挙げられる。
また、透明基体2に市販のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合には、光学的特性の類似するポリエステル系樹脂が好適である。
第1絶縁部I1は、導電性極細繊維4同士が接触せずに導電ネットワーク構造3が分断している部分Dを有する(図2(b))。
第1絶縁部I1においては、導電性極細繊維4が残っているため、導電部Cと化学的組成が同じである。そのため、第1絶縁部I1と導電部Cとは、光学的な特性がほぼ同等であるため、見分けることは困難である。
第2絶縁部I2では、導電ネットワーク構造を有さないため、絶縁部となっている。
なお、第2絶縁部I2においては、導電性極細繊維4がほぼ残っている。そのため、第2絶縁部I2と導電部Cとは、光学的な特性がほぼ同等であるため、見分けることは困難である。
配線ライン14としては、AgやCuからなる導電性金属材料を主成分として含み、該導電性金属材料がバインダ樹脂で結着されたものが挙げられる。
次に、本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方法について、図3〜図6を用いて説明する。なお、図3及び図4は、図1のX−X断面における作製工程を示すものである。
本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方法は、透明導電膜形成工程と導電パターン形成工程と絶縁化工程と配線ライン形成工程と絶縁膜形成工程とを、その順に有する。
透明導電膜形成工程では、図3(a)に示すように、絶縁基板11上の画像表示領域13及び低抵抗配線パターン形成領域15に、透明基体2内に導電ネットワーク構造3が設けられた透明導電膜aを形成する。
透明導電膜aは、例えば、絶縁基板11上に導電性極細繊維4を含むインクを塗布し、次いで、透明基体2を形成する樹脂を充填し、硬化することによって形成できる。
導電パターン形成工程では、図3(b)に示すように、透明導電膜aのうち画像表示領域13に対応する部分に所定のパターンでレーザ光Lを照射することにより、図5に示すように、透明基体2内の導電ネットワーク構造3の導電性極細繊維4が除去された空隙5を形成して第1絶縁部I1を形成する。これにより、第1絶縁部I1と、第1絶縁部I1以外の部分である導電部Cとを備えた透明導電パターン12を形成する。なお、図1においては、X−X断面における第1絶縁部I1の記載を省略しているが、実際には、図1の矩形状をなす導電部C内に、該導電部Cを分割するように、第1絶縁部I1が例えば線状に延びて形成されており、これにより、隣り合う導電部C同士は互いに電気的に絶縁されている。
本実施形態では、画像表示領域13の透明導電膜aに、パルス状レーザであるレーザ光Lを所定のパターンで照射する方法を用いている。
レーザ光Lは、YAGやYVO4等のパルス状レーザ光、炭酸ガスレーザ等の連続発振レーザ光が挙げられる。中でも、簡便であることから、YAGやYVO4等の波長1064nmもしくはその2次高調波を使用した532nm、パルス幅1〜200n秒のパルス状レーザ光が好ましい。また、レーザ照射痕を目立たせたくない用途に対しては、波長が1600〜600nmでパルス幅が10f〜100p秒の極短パルスレーザーが好ましい。
そして、レーザ光発生手段41から集光レンズ42を介して透明導電膜aにレーザ光Lを照射して、該透明導電膜aに第1絶縁部I1を形成するとともに導電パターンを形成する。
ステージ43は、絶縁基板11が透明でレーザ光Lの出力が1Wを超える場合、ナイロン系若しくはフッ素系の樹脂材料、又は、シリコーンゴム系の高分子材料を用いることが好ましい。
まず、ステージ43の上面に、絶縁基板11を、透明導電膜aが該絶縁基板11の上側に配置されるように載置する。ここで、絶縁基板11と透明導電膜aの透明基体2とは、互いに同一材料又は同一系統の樹脂材料からなるものを用いることが好ましい。詳しくは、例えば絶縁基板11がポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、透明基体2にはポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
例えば、パルス幅が1〜100n秒のレーザ(YAGレーザ又はYVO4レーザ)では、パルスエネルギ密度1×1011〜1×1013W/m2、単位面積あたりの照射エネルギは1×104〜1×106J/m2が好ましい。より好ましくは1×105〜3×105J/m2である。
エネルギ密度・照射エネルギが上記数値範囲よりも小さな値に設定された場合、第1絶縁部I1の絶縁が不充分になるおそれがある。また、上記数値範囲よりも大きな値に設定された場合、加工痕が目立つようになり、透明タッチパネルや透明電磁波シールドなどの用途では不適当となるおそれがある。
また、スポット径面積Sは、下記式により定義される。
S=S0×D/FL
S0:レンズで集光されるレーザのビーム面積
FL:レンズの焦点距離
D:透明導電膜aの上面と焦点との距離
絶縁化工程では、まず、図3(c)に示すように、透明導電膜a上の画像表示領域13に対応する部分にマスク手段50を設ける。マスク手段50としては、マイクロ波を遮蔽するものであれば特に制限されないが、マイクロ波遮蔽性が高いことから、導電性を有するものが好ましい。導電性を有するマスク手段50としては、透明導電膜aよりも充分に小さい表面抵抗の導電体の板がより好ましく、アルミニウム板もしくはステンレス板等の金属板がさらに好ましい。また、特に、金属板の厚みを1mm以下とすると、開口部の幅が2mm程度の、マイクロ波の波長よりも充分小さなサイズの絶縁化処理が可能になる。
次いで、透明導電膜aのうち低抵抗配線パターン形成領域15に対応する部分に、波長0.9〜3.0GHzの電磁波であるマイクロ波Wを照射して絶縁化して第2絶縁部I2を形成し、次いで、図4(a)に示すように、マスク手段50を除去する。
マイクロ波照射の際には、透明基体2の変形を防止するために、透明導電膜aを冷媒に浸漬させて冷却することが好ましい。本実施形態において、透明導電膜aを冷媒に浸漬させるためには、導電性基板20を冷媒に浸漬させればよい。ここで、冷媒としては、水、氷、アルコールおよびこれらの混合物、各種フロンを用いることができ、特に発火防止性の観点からは、水、氷およびこれらの混合物が好ましい。
マイクロ波照射により2次元網目状の導電ネットワーク構造が絶縁化する理由は明らかではないが、導体である導電性極細繊維4がマイクロ波により選択的に誘導過熱され、繊維周辺のバインダが局所的に加熱されることで、繊維同士の交差点の接触が失われ、絶縁化するものと思われる。
マイクロ波は、照射部分を確実に絶縁化できることから、出力が100W以上であることが好ましく、300W以上であることがより好ましい。
画像表示領域13に透明導電パターン12を形成した後は、図4(b)に示すように、低抵抗配線パターン形成領域15の第2絶縁部I2上に、透明導電パターン12の導電部Cに電気的に接続する前記配線ライン14を形成する。具体的には、配線ライン14は、低抵抗配線パターン形成領域15における第2絶縁部I2上、及び、透明導電パターン12の導電部C上の一部(周縁端部)に、ペースト状のAgやCuからなる導電性金属材料を印刷又は蒸着して、配線ライン14を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、少なくとも透明導電パターン12上に、絶縁性の保護膜(絶縁膜)16を形成する。図示例では、透明導電パターン12及び配線ライン14を覆うように絶縁基板11上の全体に、粘着材17を介してPETフィルム18を設けることによって、カバーフィルムとしての保護膜16を形成する。
上記本実施形態に係る導電パターン形成基板10の製造方法では、低抵抗配線パターン形成領域15の透明導電膜aにマイクロ波を照射することで、低抵抗配線パターン形成領域15を絶縁化して第2絶縁部I2を形成できる。したがって、低抵抗配線パターン形成領域15の絶縁化に手間がかからない。また、画像表示領域13の透明導電膜aにレーザ光Lを照射することで、第1絶縁部I1を形成できる。よって、上記導電パターン形成基板10の製造方法によれば、導電パターン形成基板10を容易に製造できる。
また、配線ライン14を、導電性金属材料の印刷又は蒸着によって形成するため、透明導電パターン12の導電部Cと外部回路とを低抵抗に確実に接続でき、電気的な信頼性を充分に確保できる。また、配線ライン14を目視で確認できるため、製造時の異常等について容易かつ早期に発見できる。
また、少なくとも透明導電パターン12上に、絶縁性の保護膜16を形成するため、該透明導電パターン12が外気、水分に接触することを防止でき、水分の接触によるマイグレーションや劣化を抑制できる。さらに、本実施形態のように、保護膜16を絶縁基板11上の全域に設けた場合には、透明導電パターン12のみならず配線ライン14のマイグレーションや劣化をも防止できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る導電パターン形成基板の製造方法について、図7及び図8を参照して説明する。なお、前述の実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態により製造される導電パターン形成基板10の構成については、前述した第1実施形態と同一である。
透明導電膜形成工程では、図7(a)に示すように、まず、絶縁基板11上の画像表示領域13及び低抵抗配線パターン形成領域15に、透明基体2内に導電ネットワーク構造3を有する透明導電膜aを形成する。
絶縁化工程では、まず、図7(b)に示すように、透明導電膜a上の画像表示領域13に対応する部分にマスク手段50を設ける。
次いで、絶縁基板11上の透明導電膜aのうち、低抵抗配線パターン形成領域15に対応する部分にマイクロ波Wを照射し、絶縁化して第2絶縁部I2を形成した後、図7(c)に示すように、マスク手段50を除去する。
導電パターン形成工程では、図8(a)に示すように、透明導電膜aのうち画像表示領域13に対応する部分に所定のパターンでレーザ光Lを照射することにより、第1絶縁部I1と導電部Cとを備えた透明導電パターン12を形成する。
配線ライン形成工程では、図8(b)に示すように、低抵抗配線パターン形成領域15の第2絶縁部I2上に、透明導電パターン12の導電部Cに電気的に接続するように前記配線ライン14を形成する。
絶縁膜形成工程では、図8(c)に示すように、少なくとも透明導電パターン12上に、絶縁性の保護膜16を形成する。
本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方法により製造された導電パターン形成基板10によれば、第1実施形態と同様に、低抵抗配線パターン形成領域15の絶縁化に手間がかからず、導電パターン形成基板10を容易に製造できる。また、導電パターンが視認されにくく、外観に優れた高品位な導電パターン形成基板となる。また、導電部C同士の間隔を狭くでき、微細なパターンを形成できる。
次に、本発明の第3実施形態に係る導電パターン形成基板の製造方法について、図9,10を参照して説明する。なお、前述の実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態により製造される導電パターン形成基板10の構成については、前述した第1実施形態と同一である。
(透明導電膜形成工程)
透明導電膜形成工程では、図9(a)に示すように、まず、絶縁基板11上の画像表示領域13及び低抵抗配線パターン形成領域15に、透明基体2内に導電ネットワーク構造3を有する透明導電膜aを形成する。
本実施形態における絶縁化工程では、まず、図9(b)に示すように、透明導電膜a上の、画像表示領域13の導電部とする部分と低抵抗配線パターン形成領域15に対応する部分にマスク手段50を形成する。次いで、マイクロ波を照射して、透明導電膜aのマスク手段50で被覆されていない部分を絶縁化した後、図9(c)に示すように、マスク手段50を除去する。
これにより、透明導電膜aのうち低抵抗配線パターン形成領域15に対応する部分を絶縁化して第2絶縁部I2を形成すると共に、画像表示領域13に第1絶縁部I1と導電部Cとを備えた導電パターンを形成できる。
配線ライン形成工程では、図10(a)に示すように、低抵抗配線パターン形成領域15の第2絶縁部I2上に、透明導電パターン12の導電部Cに電気的に接続するように前記配線ライン14を形成する。
絶縁膜形成工程では、図10(b)に示すように、少なくとも透明導電パターン12上に、絶縁性の保護膜16を形成する。
本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方法によっても、導電部Cと第1絶縁部I1との外観に差がほとんど生じないため、導電パターンが視認されにくく、外観に優れた高品位な導電パターン形成基板となる。また、画像表示領域13の透明導電膜aおよび低抵抗配線パターン形成領域15の透明導電膜aに一括してマイクロ波を照射することによって、第1絶縁部I1と第2絶縁部I2とを形成するため、導電パターン形成基板10をより容易に製造できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、前述の実施形態では、絶縁基板11が透明であることとしたが、絶縁基板11にある程度の透明性を有した着色が施されていても構わない。
第3絶縁部I3を形成する場合には、まず、図12(a)に示すように、透明導電膜aにレーザ光Lを照射して第3絶縁部I3を形成することで、導電部Cの形状を精密に描画できる。
その後、導電部Cを形成するように、図12(b)に示すように、第3絶縁部I3,I3の間の透明導電膜aをマスク手段50によって覆い、マイクロ波Wを照射して、マスク手段50で覆われていない部分を絶縁化した後、図12(c)に示すように、マスク手段50を除去して、導電パターンを得る。
特に、YAGレーザやYVO4レーザの基本波など波長が1000nm近辺のレーザを用いるとともに、上記機能層として、アクリル系高分子素材を使用する場合には、外観特性の観点から、レーザ照射後に機能層を設けることが好ましい。
まず、図3(a)に示すように、70mm角のポリエチレンタレフタレートフィルムからなる絶縁基板11上に、銀ナノワイヤからなる導電性極細繊維4を含むインク(Cambrios社のOhm)を塗布し、次いで、紫外線硬化性のポリエステル樹脂インクを上塗りして、乾燥・紫外線処理を施した。これにより、絶縁基板11上の画像表示領域13及び低抵抗配線パターン形成領域15に、透明基体2内に導電ネットワーク構造3が設けられた透明導電膜aを形成し、導電性基板20を得た。透明導電膜aの表面抵抗を測定したところ、250Ω/□であった。
次いで、図3(b)に示すように、透明導電膜aのうち画像表示領域13に対応する部分に、互いに平行な6本の直線(長さ50mm、8mm間隔)の第1絶縁部I1が形成するようにレーザ光Lを照射した。ここで、レーザ光照射装置としては、ガルバノミラーを備えたYVO4基本波のレーザ加工機(キーエンス社製、MD−V9920)を使用した。また、レーザ照射条件として、焦点から透明導電膜aまでの距離:0mm、出力:30%、発振周波数:100kHzとした。
これにより、第1絶縁部I1と導電部Cとを備えた透明導電パターン12を形成した。また、画像表示領域13のコーナー部にレーザ光を複数回照射してマスク位置決めマークを形成した。
次いで、耐熱ガラス製の容器に脱イオン水を入れ、その脱イオン水に、透明導電パターンを形成した導電性基板を水深が5mmになるように沈めた。図3(c)に示すように、透明導電膜a上の画像表示領域13に対応する部分に、アルミニウム板(43mm角、厚さ1.2mm)からなるマスク手段50を載せた。
次いで、日本国内で市販の電子レンジ(700W)を用いて、透明導電膜aのうち低抵抗配線パターン形成領域15に対応する部分にマイクロ波Wを10秒間照射して絶縁化して第2絶縁部I2を形成し、次いで、図4(a)に示すように、マスク手段50を除去した。これにより、導電パターン形成基板を得た。
導電部C同士の抵抗を市販のデジタルテスタで測定したところ、10MΩ以上であり、第1絶縁部I1および第2絶縁部I2が共に絶縁化されていることが示された。また、導電パターンが視認されることはなかった。
マイクロ波照射の際に、導電性基板を脱イオン水に浸漬しなかったこと以外は実施例1と同様にして、導電パターン形成基板を得た。この方法でも、マイクロ波照射によって透明導電膜aが絶縁化したが、ポリエチレンテレフタレートフィルムが収縮し、導電パターン形成基板が所定のサイズよりも小さくなった。
マイクロ波の照射時間を1秒としたこと以外は実施例2と同様にして、導電パターン形成基板を得た。この方法でも、マイクロ波照射によって透明導電膜aが絶縁化したが、マイクロ波が照射された部分に波打ちが見られた。
マイクロ波を照射する代わりに、直径40mm、10ターンの空芯コイルを用いて、2MHz、3kWの高周波誘導加熱を行ったところ、わずかに発熱が生じたが、透明導電膜aの電気抵抗値に変化はなく、絶縁化できなかった。
実施例1の導電パターン形成基板に、図4(b)に示すように、低抵抗配線パターン形成領域15の第2絶縁部I2上に、銀ペーストの印刷により、透明導電パターン12の導電部Cに電気的に接続する配線ライン14を形成した。
上記により、配線ライン14を形成した導電パターン形成基板を2枚作製し、これらを、透明導電膜a同士が対向するように絶縁ドットスペーサを介して貼り合せ、インターフェース回路を接続したところ、メンブレン式タッチパネルとして動作した。
本発明で得られた導電パターン形成基板を用いたタッチパネル(入力装置)は、導電パターン形成基板が厚さ方向に積層するように一対設けられた入力部材と、導電パターン形成基板の透明導電パターンの導電部及び配線ラインに電気的に接続され、入力信号を検出するインターフェース回路等の検出手段とを備えて構成される。
3 導電ネットワーク構造
5 空隙
10 導電パターン形成基板
11 絶縁基板
12 導電パターン
13 画像表示領域(表示領域)
14 配線ライン
15 低抵抗配線パターン形成領域(配線領域)
16、19 保護膜(絶縁膜)
20 導電性基板
50 マスク手段
a 透明導電膜
C 導電部
I 絶縁部
I1 第1絶縁部
I2 第2絶縁部
I3 第3絶縁部
L レーザ光
W マイクロ波
Claims (5)
- 絶縁性を有する透明基体内に導電性材料からなる2次元網目状の導電ネットワーク構造を有する透明導電膜の少なくとも一部にマイクロ波を照射することを特徴とする絶縁部形成方法。
- マイクロ波照射の際に、前記透明導電膜を冷却することを特徴とする請求項1に記載の絶縁部形成方法。
- 絶縁基板上に、透明導電パターンが形成された表示領域と、配線ラインが形成された配線領域とを備え、前記透明導電パターンに、絶縁性を有する透明基体内に導電性材料からなる2次元網目状の導電ネットワーク構造を有する導電部と、前記導電ネットワーク構造を有さない絶縁部とが設けられた導電パターン形成基板を製造する方法であって、
絶縁基板上の前記表示領域及び前記配線領域に、透明基体内に前記導電ネットワーク構造を有する透明導電膜を形成する透明導電膜形成工程と、
前記透明導電膜のうち表示領域に対応する部分に所定のパターンで絶縁化して、前記透明導電パターンを得る導電パターン形成工程と、
前記透明導電膜上の表示領域に対応する部分にマスク手段により被覆して保護し、前記透明導電膜のうち配線領域に対応する部分を絶縁化する絶縁化工程と、
前記透明導電パターンの導電部に電気的に接続する配線ラインを形成する配線ライン形成工程とを有し、
前記絶縁化工程および前記導電パターン形成工程の少なくとも一方は、請求項1または2に記載の絶縁部形成方法により、透明導電膜を絶縁化することを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 前記導電パターン形成工程では、前記透明導電膜のうち表示領域に対応する部分に所定のパターンでレーザ光を照射することにより、導電性材料を除去することを特徴とする請求項3に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
- 少なくとも前記透明導電パターン上に、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を有することを特徴とする請求項3または4に記載の導電パターン形成基板の製造方法。
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