JP5439531B2 - 連続鋳造用鋳型及びその製造方法 - Google Patents
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Description
鋳片の製造に際しては、鋳型本体内で形成される凝固シェルの成長を確実に行う必要があるが、凝固シェルの成長が不安定な場合、凝固シェルが破れ、未凝固の溶鋼が流出するブレークアウトが発生し、例えば、鋳造作業の中断や長時間の休止、更には設備損傷のような事故を招く恐れがある。
そこで、このブレークアウトの発生を予知する方法として、例えば、特許文献1に示すように、鋳型本体を構成する冷却板に複数の熱電対を埋設し、これら熱電対の温度変化等を検出する方法が開示されている。
そこで、本発明者らは、冷却板の温度測定を行う熱電対として、構成が簡単なシース熱電対を使用している。このシース熱電対の取付け構造を、図3に示す。
図3に示すように、冷却板80の裏面側には、多数の導水溝81が鋳造方向に沿って設けられ、この冷却板80の裏面に当接配置したバックプレート82の給水部及び排水部(図示しない)を介して、各導水溝81に冷却水を流し、冷却板80を冷却している。
ここで、冷却板80に当接するボルト83の先側には、Oリング85が取付けられ、バックプレート82の裏面から突出するボルト83の基側には、パッキン86、シールリング87、及びOリング88が取付けられ、冷却水の漏出を防止している。
これにより、冷却板80の温度を、熱電対90により測定することができる。
また、上記したように、バネ材93を用いる構造であるため、熱電対90の取付け構造が複雑になる。このため、熱電対90の取付けに、より広い場所が必要となるため、例えば、熱電対90を密に配置することができず、多くの必要な測温情報を得ることができない場合があった。
このシース熱電対は、シースの外側に、このシースよりも良導電性の材料よりなる金属製補助管を外装すると共に、この金属製補助管の先端を先端部又はその近傍のシース外面に通電可能に接合し、金属製補助管を通じて溶接用高電流を流すことで、先端部が被測温金属体に溶接固着される構造であるので、溶接用高電流はシース外側の金属製補助管を流れ、内側のシースの赤熱現象が回避される。
前記鋳型本体を構成する冷却板の裏面側には、温度測定部を金属キャップで覆い、しかも該金属キャップに銅又は銅合金からなるリード線を取付けたシース熱電対が設けられ、前記冷却板の裏面に前記金属キャップが固着されている。
前記目的に沿う第2の発明に係る連続鋳造用鋳型の製造方法は、上下方向に貫通する空間部が内側に形成された鋳型本体を有し、該空間部へ供給された溶鋼を前記鋳型本体で冷却しながら凝固させて鋳片を製造する連続鋳造用鋳型の製造方法において、
温度測定部が金属キャップで覆われたシース熱電対を、前記鋳型本体を構成する冷却板の裏面側に配置し、前記金属キャップに取付けられた銅又は銅合金からなるリード線を用いて、前記金属キャップと前記冷却板との間でアークを発生させ、前記金属キャップを前記冷却板の裏面に固着する。
第2の発明に係る連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記冷却板の裏面への固着前の前記金属キャップの先部は、先細り形状となって尖っていることが好ましい。
また、金属キャップにリード線が取付けられているため、金属キャップの固着に際しては、例えば、スタッド溶接法を用いてリード線に電流を流すことにより、金属キャップを冷却板の裏面に固着させることができるため、取付け構造を簡単にできる。
更に、リード線を用いて金属キャップを冷却板の裏面に固着させることができるので、従来のように、シースの外側に金属製補助管を外装する必要がない。これにより、シース熱電対を幅広とすることなく、しかもシース熱電対を容易に曲げることができるため、取付け位置の自由度を広げる(例えば、シース熱電対を密に配置する)ことができ、しかも、作業性が良好で経済的である。更に、温度測定時に測温点の熱が金属製補助管に奪われることもなくなり、正確な測温情報が得られ易くなる。
図1(A)〜(C)に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型ともいう)は、上下方向に貫通する空間部(図示しない)が内側に形成された鋳型本体を有し、空間部へ供給された溶鋼を鋳型本体で冷却しながら凝固させて鋳片を製造するものであり、鋳型本体を構成し、それぞれ冷却板の一例である一対の短辺(図示しない)及び一対の長辺10の裏面側には、温度測定部11を金属キャップ12で覆い、しかも金属キャップ12にリード線13を取付けたシース熱電対14が設けられ、一対の短辺及び一対の長辺10の裏面に金属キャップ12が固着されている。以下、詳しく説明する。
なお、各短辺と各長辺10は、銅又は銅合金で構成され、この短辺と長辺10の各裏面に当接し固定されるバックプレート15(支持部材の一例)は、ステンレス又は鋼で構成されている。また、各短辺と各長辺10の裏面側には、多数の導水溝が鋳造方向(引抜き方向)に設けられている(図3参照)。
このシース熱電対14の基本構造は、従来公知であり、金属保護管19(例えば、ステンレス製)内に絶縁材20(酸化マグネシウム等の無機絶縁物)を介して、一対の互いに異なる熱電能を有する熱電対素線21、22(ここでは、銅とコンスタンタン)を配することで構成されている。なお、一対の熱電対素線21、22は、袋ナットの軸心方向に設けられた貫通孔から外部へ突出し、使用にあっては、各熱電対素線21、22の2つの接点の一端(冷接点)と他端(熱接点)に温度差が与えられることで、起電力が生じ、この起電力の電圧を測定し、既知の起電力表と対比することにより、他端の温度が測温される。
このシース熱電対14への金属キャップ12の取付けは、図1(C)に示すように、金属キャップ12の基側に形成された断面円形の凹部23内に、シース熱電対14の温度測定部11を差込み、金属キャップ12の基端部をシース熱電対14の金属保護管19に、銀ロウ24を用いて固定することにより行っている。しかし、金属キャップがシース熱電対から脱落しなければ、この方法に特に限定されるものではなく、他の方法を採用することも勿論可能である。
また、金属キャップの材質は、アルメルに限定されるものではなく、導電性があって適度な強度を有する他の材質、例えば、銅や銅合金、又はニッケル合金等でもよい。
そして、上記したシース熱電対は、例えば、バックプレートに貫通孔を形成し、この貫通孔内に挿通することもできる。この場合、バックプレートの裏面側にシール部材を設けて、貫通孔からの冷却水の漏出を防止する。
具体的には、片面を接着処理したPTFE樹脂フィルムからなるテープや無機ガラス繊維からなるテープ、無機ガラス繊維からなるチューブ、無機セラミックス系接着剤などの絶縁耐熱ペーストなどを用いることができる。
なお、リード線の素材は、例えば、金属保護管19と比較して電気抵抗が低く、良導電性の素材であれば、上記した構成に限定されるものではなく、他の素材(例えば、銅合金)を用いることも勿論できる。また、この素材(例えば、銅線)を被覆する被覆材は、溶接電流の短絡を防止して、溶接をより確実にできるものであれば、特に限定されるものではなく、上記した金属保護管の表面を被覆する材料を用いることもできる。
まず、温度測定位置に凹部26が形成された長辺10の裏面にバックプレート15を配置し、多数のボルト16でバックプレート15の取付け固定を行った後、予め準備したシース熱電対14、即ち温度測定部11が金属キャップ12で覆われ、しかも金属キャップ12にリード線13が取付けられたシース熱電対14を、各ボルト16の貫通孔18内に挿通する。
これにより、長辺10の裏面側に、シース熱電対14が配置される。
これにより、凹部26の底位置と金属キャップ12とが、十分接近したところで高電流が流れ、金属キャップ12の先端部分と凹部26の底との間でアークが発生し、金属キャップ12が長辺10の裏面に固着(溶着)される(短辺も同様)。
このように、金属キャップ12を長辺10の裏面へ固着した場合、図1(C)に示すように、シース熱電対14の各熱電対素線21、22が、長辺10の裏面に直接接触することが好ましいが、シース熱電対の各熱電対素線が、金属キャップの金属を介して、長辺の裏面に間接的に接触してもよい。
上記したように、長辺10の裏面に金属キャップ12を固着させることで、シース熱電対14の取付け構造を簡単にできると共に、長辺10の温度のシース熱電対14への応答性を良好にでき、長辺10の測温精度を従来よりも向上できる。
まず、長辺27の裏面側の温度測定位置に穴28を、例えば、2〜10mm(好ましくは上限5mm)の間隔で複数形成する。この各穴28は、金属キャップ12を配置する小径穴部29(例えば、直径が1.5〜6mm程度)と、この小径穴部29の基側に連続し、直径が小径穴部29より大きい大径穴部30(例えば、直径が3〜10mm程度)とで構成されている。
ここで、金属キャップ12は、小径穴部29内の長辺27の裏面に固着させているが、この固着時期は、ボルト31によって座金32、シールゴム33、及び座金34を固定する前又は後のいずれでもよい。
前記実施の形態においては、シース熱電対を、一対の短辺及び一対の長辺の各裏面に固着させた場合について説明したが、シース熱電対を、短辺の裏面のみ又は長辺の裏面のみに、固着させてもよい。また、シース熱電対の取付け構造を、従来の取付け構造(図3参照)と併用することもできる。
Claims (3)
- 上下方向に貫通する空間部が内側に形成された鋳型本体を有し、該空間部へ供給された溶鋼を前記鋳型本体で冷却しながら凝固させて鋳片を製造する連続鋳造用鋳型において、
前記鋳型本体を構成する冷却板の裏面側には、温度測定部を金属キャップで覆い、しかも該金属キャップに銅又は銅合金からなるリード線を取付けたシース熱電対が設けられ、前記冷却板の裏面に前記金属キャップが固着されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。 - 上下方向に貫通する空間部が内側に形成された鋳型本体を有し、該空間部へ供給された溶鋼を前記鋳型本体で冷却しながら凝固させて鋳片を製造する連続鋳造用鋳型の製造方法において、
温度測定部が金属キャップで覆われたシース熱電対を、前記鋳型本体を構成する冷却板の裏面側に配置し、前記金属キャップに取付けられた銅又は銅合金からなるリード線を用いて、前記金属キャップと前記冷却板との間でアークを発生させ、前記金属キャップを前記冷却板の裏面に固着することを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。 - 請求項2記載の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記冷却板の裏面への固着前の前記金属キャップの先部は、先細り形状となって尖っていることを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
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