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JP5432085B2 - 電力半導体装置 - Google Patents

電力半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、電力半導体素子を搭載し、放熱効率を向上させる電力半導体装置に関するものである。
従来、多くの電力半導体装置では、CPUやパワートランジスタなどの発熱の激しい電子部品を冷却するためにヒートシンクなどの放熱器を取り付ける際、両者の接合部の微細な隙間を埋めて熱伝導率を高めるために放熱グリースを塗布することが広く行われている。グリースの熱伝導率は、金属類と比較して非常に低いことから、電力半導体装置のより一層の高放熱化を実現するためには、グリースを用いずに電力半導体装置とヒートシンクとを直接固着させることが求められている。
例えば、特許文献1に示される放熱フィン一体型パワーモジュールでは、高放熱化実現の障害となっているグリースを使用せずに、冷却用フィンとパワーモジュールの金属板とを一体にするため、パワーモジュールの金属板に冷却用フィンを高熱伝導率の絶縁樹脂シートで熱圧着するか、もしくは一体に形成し、パワーモジュールの金属板に電力半導体素子や配線部材等の電子部品を搭載することにより、電力半導体装置の高放熱化を図っている。
このようなパワーモジュールにあっては、予め冷却フィンを高熱伝導率の絶縁樹脂シートで熱圧着するか、もしくは一体に形成することにより構成された金属板に、電力半導体素子や配線部材等の電子部品を搭載し、その後、モールド樹脂によるケース付けを行っている。しかし、電力半導体素子や配線部材等の電子部品を搭載する前に電力半導体装置(パワーモジュール)の金属板に放熱フィン(冷却フィン)が付いていると、電力半導体装置のベース板の熱容量が大きくなり、はんだ付けが困難になるばかりでなく、ワイヤボンド工程でも従来の治具を用いることができず、ベース板と放熱フィンの形状ごとに特殊な治具を作らなければならない。そして、製造する製品を変更するたびに治具交換等、組立装置の段取り替えも必要となる。また、放熱フィンが付いていることにより電力半導体装置が大きくなるため、製品生産時に、収納容器に収納できる電力半導体装置の数が少なくなり、人手、もしくは専用の機械で常に供給する必要があり生産性が低下する。
この問題は、電力半導体装置のベース板を、予めベース板の厚みを薄くして、このベース板に電力半導体素子や配線部材等の電子部品を搭載し、最後に放熱フィンを取り付けることにより解決することができる。しかし、ベース板への放熱フィンの取り付けに、はんだや溶接等の熱的取り付け法を用いた場合には、電力半導体装置の熱容量が大きいため、生産性が低く、一方、放熱フィンを、完成した電力半導体装置のベース板に機械的に固定しようとすると、放熱フィン取付時に電力半導体装置にストレスが加わり、電力半導体装置に与えるダメージが問題となる。
この対策として、例えば、特許文献2に示される電力半導体回路装置及びその製造方法では、ベース板の放熱フィン接合部に溝を設け、この溝が形成された部分を含むベース板の一部の表面を露出させた状態で樹脂モールドしこの溝に放熱フィンを挿入してかしめによって固着することにより、電力半導体装置にダメージを与えることなく放熱フィンを形成し、製造工程を簡素化、生産性の向上を図ることができる電力半導体回路装置が開示されている。
特開平11−204700号公報 WO2009/150995A1号公報
しかしながら、近年、電力半導体装置には、大容量化が求められ、発熱量も増大化する傾向にあり、さらに小型化が進められている。このため、放熱フィンの大きさや設置面積が制約を受けると共に発熱量の増大に対処しなければならず、従来の放熱方法では不充分であり、電力半導体装置においては、さらなる放熱対策が求められているという問題があった。
また、電力半導体装置の放熱性能を向上させるためには、放熱フィンのフィンピッチを小さくし、フィン枚数を多くすることで放熱面積を拡大させることが有効であるが、小型化の問題から放熱フィンは必要最小限の厚みに設定される場合が多い。このため、放熱性能が制限されるとともに放熱フィンの強度が低下し、製造工程や運搬時、電力半導体装置を他の機器に組み付ける場合などに、放熱フィンが何かに接触して変形する可能性があるといった問題もあった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、大容量の電力半導体素子に適した高放熱性と放熱フィンの変形の防止に対応した電力半導体装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の電力半導体装置は、電力半導体素子と、前記電力半導体素子を載置するベース板と、前記電力半導体素子を封止するモールド樹脂と、前記ベース板の前記電力半導体素子が載置される面と反対側の面に溝加工が施され、前記溝にかしめにより固着された放熱フィンと、前記放熱フィンを通風路となる空間を残して通風路側板及び覆い板で囲む包囲体と、を備え、前記放熱フィンが前記ベース板の前記溝にかしめ固着される際に、前記通風路側板の一部が前記放熱フィンの端部と前記ベース板とに挟持され、前記通風路側板が同時に固着されることを特徴とするものである。
本発明の電力半導体装置によれば、放熱フィンを壁面の一部とした包囲体を通風路として空気流により電力半導体素子を冷却することにより、大容量の電力半導体素子に対しても小型で効率がよく、冷却性能の優れた電力半導体装置を実現することができる。
実施の形態1における電力半導体装置を示す断面模式図である。 実施の形態1における電力半導体装置の部品構成を示す断面模式図である。 実施の形態1における電力半導体装置の他の構成例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態に係る電力半導体装置について図1〜図3に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における電力半導体装置を示す断面模式図であり、図2は、この電力半導体装置の部品構成を示す断面模式図である。
図1に示すように、電力半導体装置1は、電力半導体素子2と、この電力半導体素子2
を載置する外部と電気的に接続するための配線部材3と、この配線部材3を搭載するベース板4と、配線部材3とベース板4及び配線部材3と電力半導体素子2とをそれぞれ接合する接合材5と、電力半導体素子2と配線部材3及び電力半導体素子2同志とを電気的に接続するワイヤ6と、ベース板4に形成された溝4aと嵌合する放熱フィン7と、放熱フィン7と共に通風路を形成する包囲体8の通風路側板9及び覆い板10と、通風路側板9と覆い板10とを互いに締結部材11のビス11a、ナット11bにて固定するための孔9a,10aと、電力半導体素子2を封止するモールド樹脂12とで構成されている。
電力半導体素子2としては、例えば、IGBT(InsuIated Gate BipoIar Transistor)、もしくはMOSFET(Metal Oxide
Semiconductor FieId Effect Transistor)がある。
次に、電力半導体素子装置1の組立について、図2の電力半導体装置の部品構成を示す断面図を参照して説明する。
まず、電力半導体素子2は、配線部材3に載置され接合材5にて接合される。続いて、配線部材3は、金属からなるベース板4に接合材5により接合、固定される。例えば、ベース板4は、アルミニウムで押出し加工、鋳造あるいはダイキャストにより製造される。また、接合材5としては、はんだあるいは熱伝導性に優れた接着剤が用いられる。電力半導体素子2と配線部材3あるいは電力半導体素子2同志の電気的接続がワイヤ6のボンディングにより行われる。
電力半導体素子2および電力半導体素子2が載置された配線部材3とベース板4は、ベース板4の裏面とベース板4の側面の一部の表面が露出されるように、エポキシ系のモールド樹脂12を用いてトランスファモールドにより樹脂モールド封止される。
電力半導体素子2が載置された配線部材3が接合されているベース板4の反対面には、溝4a加工が施されており、アルミ系の板材が波状に加工された放熱フィン7の凸部が変形されベース板4の溝4aに嵌め込まれ、かしめ接合により放熱フィン7が接合される。放熱フィン7の両側面を囲うように通風路を形成するための通風路側板9が、このベース板4と放熱フィン7とがかしめ接合される際に同時に固着される。すなわち、通風路側板9には、ベース板4の溝4a加工で形成された突出部4bに対応した開口部9cが設けられており、この開口部9cと突出部4bを嵌合させた後に、放熱フィン7をかしめ接合することにより、通風路側板9の底部は、ベース板4と放熱フィン7に挟持され、ネジや接着剤などを一切使うことなく強固に固定される。さらに、通風路側板9の上部には覆い板10で蓋をされ、放熱フィン7、通風路側板9及び覆い板10により通風路を形成する包囲体8が構成される。このようにして形成された包囲体8の通風路に外部から送風機(図示せず)にて空気流を送り込み、効率よく電力半導体素子2を冷却することが可能になる。また、包囲体8を他の冷却管と接続してもよい。通風路側板9及び覆い板10には、ステンレスや亜鉛メッキ鋼板などの剛性の高い金属板を利用することが好ましい。
また、電力半導体装置の放熱性能を向上させるためには、放熱フィンのフィンピッチを小さくし、フィン枚数を多くすることで放熱面積を拡大させることが有効であるが、小型化の問題から放熱フィンは必要最小限の厚みに設定される場合が多い。このため、放熱性能が制限されるとともに放熱フィンの強度が低下し、製造工程や運搬時、電力半導体装置を他の機器に組み付ける場合などに、放熱フィンが何かに接触して変形する可能性があるといった問題があったが、通風路側板9の脚部9b側に覆い板10が取り付けられていることにより、製造工程や運搬時、電力半導体装置を他の機器に組み付ける際に、放熱フィンが何かと接触することによる変形を防止することができる。
また、電力半導体装置1を他の機器に組付・固定してもよく、通風路側板9に設けられた脚部9b及び孔9aにて、他の機器への組付・固定が容易にできる構成とされている。また、覆い板10には、通風路側板9に設けられた孔9aに対応する位置に、同様の孔10aが設けられていることで、電力半導体装置を他の機器に組み付けたときに、覆い板10も同時に強固に固定されるため、通風路側板9と覆板10を強固に固定しておく必要がなくなり、スナップフィットなどによって脱落しない程度に保持されていればよく、電力半導体装置の組立作業が容易となる効果がある。また、孔10aを孔9aよりも大きくしておくことにより、両者の位置がずれていても、電力半導体装置1を他の機器に組み付ける際に、ネジが入らないなどの不具合を防止することができ、ひいては電力変換装置の組み立てが容易となる。
さらに、図3の電力半導体装置の他の構成例に示すように、覆い板10の替わりに他の電子機器13や電子部品の壁面を利用してもよく、他の電子機器13、電子部品との合体組立により通風路を形成する包囲体8が構成される。
実施の形態1に係る電力半導体装置は上記のように構成されているが、電力半導体素子2は複数個あってもよく、また、電力半導体素子2は、配線部材3を介さずにベース板4にはんだあるいは接着剤の接合材5により直接接着することにより搭載するものであってもよい。更に、電力半導体素子2と配線部材3は、ベース板4との絶縁のため、セラミック基板等の絶縁部材を介してベース板4に、はんだあるいは接着剤の接合材5で接着し、その絶縁部材をベース板4に接着するようにしてもよい。
ベース板4の裏面に加工された溝4aに、かしめ接合により装着される放熱フィン7は、一枚の板を波状に加工されたものであってもよく、また、フィンが一枚ずつ独立して形成されたものであってもよい。また、放熱フィン7のベース板4への装着は、ベース板4を変形させてかしめてもよく、両者間の押圧力による接合であってもよい。
モールド材料としては、エポキシ系樹脂は材料が硬いため電力半導体素子2へのダメージを回避できる点で好ましく、ポッティング、あるいはトランスファモールド、注型法などの方法で電力半導体素子2の周辺をエポキシ樹脂でモールドする構造が望ましく、さらに、かしめ圧力をモールド樹脂全面で受けることができるように、上面は可能な限りフラットな構造であることが好ましい。
通風路側板9及び覆い板10の材質は、上述したように剛性が高く、耐環境性に優れ、曲げ加工が容易なステンレス鋼鈑や亜鉛メッキ鋼板が望ましいが、これに限定するものではなく、必要な剛性を有し、所望の形状に加工することが容易で、耐環境性に優れたものであればよい。つまり、熱可塑性樹脂の射出成形品などであってもよい。
通風路側板9及び覆い板10は、放熱性に優れていればよく、熱伝導性に優れたものであればよく、絶縁性部材でも構わないが、電気伝導性に優れた覆い板10を金属で構成することにより、これらを経由して放熱フィン7をアース電位に接続することができ、放射ノイズや誤動作を抑制することが容易になる。特に、電力半導体素子2として高速スイッチング動作させるSiC半導体を用いた場合には、ノイズが発生し易いため通風路側板9及び覆い板10の材質を金属材料や導電性材料で構成することは、放熱フィン7をアース電位に接続することができるためノイズの発生を抑制することができるので有効である。
なお、電力半導体素子2の半導体材料としては、シリコン半導体の他、SiC(Silicon Carbide)を始め、窒化ガリウム(GaN)、ダイアモンドといった珪素(Si)に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体により形成され
た電力半導体素子であってもよい。
また、ワイドバンドギャップ半導体による電力半導体素子では、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、素子の小型化が可能であり、小型化された電力半導体素子を組み込んだ電力半導体装置の小型化が可能になる。
また、耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、電力半導体装置の一層の小型化が可能になる。
さらに、電力損失が低いため、電力半導体素子の高効率化が可能であり、延いては電力半導体装置の高効率化が可能になる。
このように、実施の形態1における電力半導体装置によれば、通風路側板、覆い板及び放熱フィンを壁面の一部とした包囲体を通風路として構成することにより、空気流により電力半導体素子を効率よく冷却することにができ、大容量の電力半導体素子に対しても小型で効率がよく、冷却性能の優れた電力半導体装置を実現することができる。
また、通風路側板と覆い板が取り付けられていることにより、放熱フィンが保護され、製造工程や運搬時、電力半導体装置を他の機器に組み付ける際に、放熱フィンが何かと接触することによる変形を防止することもできるという効果がある。
なお、図において、同一符号は、同一または相当部分を示す。
1 電力半導体装置
2 電力半導体素子
3 配線部材
4 ベース板
5 接合材
6 ワイヤ
7 放熱フィン
8 包囲体
9 通風路側板
10 覆い板
12 モールド樹脂
13 他の電子機器

Claims (5)

  1. 電力半導体素子と、
    前記電力半導体素子を載置するベース板と、
    前記電力半導体素子を封止するモールド樹脂と、
    前記ベース板の前記電力半導体素子が載置される面と反対側の面に溝加工が施され、前記溝にかしめにより固着された放熱フィンと、
    前記放熱フィンを通風路となる空間を残して通風路側板及び覆い板で囲む包囲体と、を備え
    前記放熱フィンが前記ベース板の前記溝にかしめ固着される際に、前記通風路側板の一部が前記放熱フィンの端部と前記ベース板とに挟持され、前記通風路側板が同時に固着されることを特徴とする電力半導体装置。
  2. 前記包囲体は、金属材料又は導電性材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力半導体装置。
  3. 前記覆い板は、他の電子機器又は電子部品の壁面を利用したものであることを特徴とする請求項に記載の電力半導体装置。
  4. 前記電力半導体素子は、ワイドバンドギャップ半導体素子によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力半導体装置。
  5. 前記ワイドバンドギャップ半導体素子は、炭化珪素、窒化ガリウム又はダイアモンドを材料とするものであることを特徴とする請求項に記載の電力半導体装置。
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