JP5422019B2 - 磁石式発電機 - Google Patents
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Description
特に磁石式発電機の回転子は、クランクシャフトに装着されてクランクシャフトとともに常に回転しているため、破壊するとエンジンの機能が低下するだけでなく、破壊した部品が飛散すると操縦者に危険がおよぶ可能性があるため、長時間の使用においても破壊しないように配慮する必要がある。
磁石式発電機の回転子は、磁束を発生する磁石と、その磁石を収納する鉄系材料のフライホイルとで構成されるが、磁石は割れやすいため、一般的に磁石の保護と固定を目的に鉄系材料の環状部品を追加して構成されている。
しかし環状部品だけでは磁石を完全に固定することができず、エンジンの振動を受けると磁石が割れる可能性があるため、接着剤を併用して磁石を固定することが一般的である。
その改善策として例えば、特許文献1では接着剤を使用せずフライホイルと磁石と環状部品は、熱可塑性樹脂で一体成形されている。
また環状部品の製造が容易かつ安価で、組み立て作業を容易にするため、板材を屈曲させて構成するようになっている。
板材を屈曲させた環状部品で磁石の位置を仮固定してから熱可塑性樹脂で一体成形する構成は、組み立て作業が容易なだけでなく磁石を同じ条件で完全に固定することができる。
また、板材を屈曲させた環状部品に磁石を仮固定する形状を形成するためには、生産性を考慮すると順送プレスの金型が必要である。
また、熱可塑性樹脂を成形するためには射出成形の金型が必要となる。更には熱可塑性樹脂は磁石の周囲だけでなく、フライホイルと環状部品のすきまを埋めることになるため、重量が増えてしまうという問題があった。
この発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、磁石を確実に固定することで信頼性を高めつつ、部品点数を削減して組み立て工程を簡略化し、コスト低減を図ることができる磁石式発電機を提供することを目的とする。
このようにすると、磁石を仮固定するための環状部品やその後磁石を固定する接着剤や成形樹脂を必要としない。
その結果、部品点数が削減でき組み立て工程も簡略化できるため、コスト低減を図ることができる。
図1〜図3はこの発明の実施の形態1に係る磁石式発電機の構造を示すもので、図1は磁石式発電機の部分断面図、図2は回転子の下面図、図3は図1のA−A線に沿う部分展開図である。
図1において、この発明に係る磁石式発電機は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に締結される回転子10と、エンジン側に固定される固定子20で構成されている。
回転子10は、鉄系材料で製作された椀状のフライホイル11と、磁極を形成し磁束を発生する磁石12を有している。
固定子20は、薄板を積層したコア21と、コア21の表面を覆った絶縁部材22と、その表面に巻線されたコイル23で構成される。
回転子10が回転することにより固定子鉄心21に巻回された固定子側コイル23に電流が発生する。
固定子側コイル23に発生した電流は、図示しないリードワイヤおよびコネクタによりエンジン側の電流制御装置に接続され、バッテリーを充電する。
フライホイル11はエンジンの慣性モーメントを確保するための機能を有し、回転軸に対して略円形であり、エンジンの回転を伝える図示していないクランクシャフトに装着するためのボス部を有している。
フライホイル11のフランジ部内面にはフライホイル11の凸部11aまたは凹部11bの少なくともいずれかがあり、その部分にもボンド磁石12が入り込んでいる。
フライホイル11の凸部11aまたは凹部11bに入り込んだボンド磁石12は、アンカー効果により、抜け止めおよび回り止めの機能を有しているため、フライホイル11に確実に固定されている。
このように構成したことにより、フライホイル11に対するボンド磁石12の位置はボンド磁石12の射出成形型で決めることができるため、従来必要であった磁石を仮固定する部材や磁石を接着固定する部材が不要となり、コスト低減を図ることが可能となる。
また、ボンド磁石12は射出成形によりフライホイル11に固定されるため、接着剤や他の樹脂部品も不要となる。
図4,図5はこの発明の実施の形態2に係る磁石式発電機の回転子を示すもので、図4は回転子の下面図、図5は図4のA−A線に沿う部分展開図である。
実施の形態2では、複数のボンド磁石12は、フライホイル11の底部側に形成された連結部12aで互いに連結されるように成形されている。
このように連結部12aで複数のボンド磁石12を連結することで、ボンド磁石12の射出成形時にボンド磁石を注入するゲート部12bの数を削減することができる。
このようにゲート部を削減すると金型構造が簡単になるだけでなく、射出成形機のノズルからゲート部までを接続する図示しないランナー部も削減できるため、材料ロスについても低減することができる。
図6はこの発明の実施の形態3に係る磁石式発電機の回転子を示す下面図である。
実施の形態3では、ボンド磁石12は、その先端をフィン状に成形されたフィン部12cを有している。
ボンド磁石12をこのように成型すると、フライホイル11が回転することで、フィン部12cによりフライホイル11の内側に空気の流れを発生させ、フライホイル11およびボンド磁石12と、固定子20のコア21に巻線した発熱部であるコイル23を冷却することができる。
コイル23の温度を下げることで、コイル23は耐熱スペックに対する余裕が大きくなるため、磁石式発電機の長寿命化に貢献することができる
図7〜図9はこの発明の実施の形態4に係る磁石式発電機の回転子を示すもので、図7は回転子の下面図、図8は図7のA−O線に沿う部分断面図、図9は図7のB−O線に沿う部分断面図である。
実施の形態4では、フライホイル11の底部を貫通する換気用穴11cを設けている。
このようにフライホイル11に換気用穴11cを設けることで、フィン部12cを有するボンド磁石12で発生させたフライホイル11内の空気の流れを効率的に換気することができる。
なお、フライホイル11の換気用穴は、効率的に喚起することができる位置であれば良く、例えばフライホイル11のフランジ部に設けた換気用穴11dであっても良い。
図10はこの発明の実施の形態5に係る磁石式発電機の回転子を示す下面図である。
実施の形態5では、固定子20と対向する側のボンド磁石12の両側端に傾斜部12dを形成したものである。
磁石式発電機では、回転子10が固定子20の磁極の付近を通過する際にトルク損失を発生するが、回転子側の磁極であるボンド磁石12の両側端に傾斜部12dを設けることでトルク損失を低減することができる。
このようにボンド磁石12では、固定子20と対向する部分の形状を自由に構成できるため、トルク損失を考慮しながら発電性能を設定することが可能となる。
また、図示はしないが、一般にボンド磁石12はNdFeB磁石などが使用されるため単体の状態では錆が発生する可能性がある。
フライホイル11は鉄系材料で構成されているため、通常はメッキまたは塗装し錆発生の対策を実施している。
ボンド磁石12を使用することで、フライホイル11とボンド磁石12は一体で構成されるため、一体になった後にメッキまたは塗装を実施することができる。
このようにすれば、個々の部品でメッキまたは塗装を実施する必要がなく、加工工程を簡略化することができるため、コスト低減を図ることが可能となる。
また、図示はしないが、ボンド磁石12は熱可塑性樹脂などで一体成形しないため、磁石式発電機の回転子の状態では外部に露出していることになり、水分が付着する可能性がある。
ボンド磁石12のバインダーである樹脂はナイロン系樹脂が一般的であるが、樹脂の加水分解による劣化を考慮し、バインダーにPPS樹脂を使用することで、水分が付着する可能性がある環境においても樹脂の劣化は少なく磁石形状を安定して維持できるため、磁石式発電機の長寿命化に貢献することができる。
なお,この発明は,その発明の範囲内において,各実施の形態を自由に組み合わせたり,各実施の形態を適宜,変形,省略することが可能である。
11 フライホイル
11a 凸部
11b 凹部
11c 換気用穴
11d 換気用穴
Claims (6)
- 椀状のフライホイルの内周面に所定の間隔をおいて複数の磁石を配置した回転子と、これら磁石に対向して、コイルを巻回した複数のコアを設けた固定子を備えた磁石式発電機において、
前記磁石は、ボンド磁石を前記フライホイルと一体に成形して構成されると共に、
前記ボンド磁石は、その先端にフィン部を有し、前記フライホイルの回転により、前記固定子のコイルを冷却することを特徴とする磁石式発電機。 - 前記ボンド磁石は、フライホイルの底部側に形成された連結部で互いに連結されるように成形されていることを特徴とする請求項1記載の磁石式発電機。
- 前記フライホイルは、その内側の空気を換気する換気用穴を有することを特徴とする請求項1または2記載の磁石式発電機。
- 前記ボンド磁石は、その両側端に傾斜部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の磁石式発電機。
- 前記ボンド磁石は、前記フライホイルと同時にメッキされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の磁石式発電機。
- 前記ボンド磁石は、バインダーとしてPPS樹脂を用いられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の磁石式発電機。
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