JP5414291B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
また、リンク機構を下側として、ばね等は上側等のように離れて構成されているために、コンパクト化を図ることができないという不都合があった。
本発明の他の目的は、衝撃低減部材と付勢手段を備え、後面衝突時に乗物の後方への身体のみ(移動)量を大きく、後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に軽減することができ、連結部材と衝撃低減部材との関係を改良した乗物用シートを提供することにある。
さらに請求項6のように、前記シートバックフレームのサイド部の、前記衝撃低減部材に形成された前記連結部材の取付孔と対向する位置には、開口部が設けられていると、サイド部から取付状況を確認でき、作業を行い易く、作業効率が向上する。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの突起部15dから付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部(取付孔)31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
また、第1立上り部30bは、軸部32を中心とした場合に、回動阻止部39のストッパ部39a,39b間の所定間隔の間の位置から概略90度離れた位置に形成している。
このような配置により、回動部材30にワイヤ22を取り付けるときに、引張りコイルばね35が邪魔にならず、取り付け作業が行い易くなる。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、後述する付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部(取付孔)31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
M1=F2×a、M1′=F2′×a′
M1,M1′回転モーメント
F1,F1′後方への荷重
F2,F2′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
F2′=F2+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
例えば、ばねの引張り力F2′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
F1×b≦F2×a ・・・(式1)
F1′×b′≧F2′×a′ ・・・(式2)
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
また、図12で示す例では、前縁部15b(延出部)に形成された切り欠き部15eを、ワイヤ22の係止部31の乗物前方に対応する位置まで延長して形成している。このようにすると、ワイヤ22の取り付け作業時に内側に延出している前縁部15bが邪魔にならず、作業性が向上する。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部(延出部)
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
15g 開口部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
30e 下がり部
30f 形成部
31 係止部(取付孔)
31a 内壁
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33 係止孔(取付部)
34 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部
Claims (6)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結される受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、可動する衝撃低減部材と、
該衝撃低減部材と前記シートバックフレームとに端部を取り付けて配設された付勢手段と、を備え、
前記衝撃低減部材には、前記連結部材の端部を取り付ける取付孔及び前記付勢手段の端部を取り付ける取付部が形成され、該連結部材の取付孔は、乗物前方上側から後方下側へ延長した長孔として形成され、前記付勢手段の取付部よりもシート内側方向に位置していることを特徴とする乗物用シート。 - 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結される受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、可動する衝撃低減部材と、
該衝撃低減部材と前記シートバックフレームとに端部を取り付けて配設された付勢手段と、を備え、
前記衝撃低減部材には、前記連結部材の端部を取り付ける取付孔及び前記付勢手段の端部を取り付ける取付部が形成され、該連結部材の取付孔は、乗物前方上側から後方下側へ延長した長孔として形成され、前記付勢手段の取付部よりも乗物後方側に位置していると共に、前記付勢手段の取付部の乗物前方からの投影範囲内から外れた位置に設けられていることを特徴とする乗物用シート。 - 前記衝撃低減部材は、回動軸を中心に回動し、
前記連結部材の取付孔及び前記付勢手段の取付部は、前記回動軸よりも乗物下方側に設けられると共に、前記連結部材の取付孔は、前記付勢手段の取付部よりも乗物下方側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の乗物用シート。 - 前記サイド部は、該サイド部の前部に形成されたシート内側に延出する延出部を有し、該延出部には、前記連結部材の取付孔の乗物前方に対応する位置に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記連結部材は、前記連結部材の取付孔である前記長孔内の前記付勢手段から最も離れる位置で係合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記シートバックフレームのサイド部の、前記衝撃低減部材に形成された前記連結部材の取付孔と対向する位置には、開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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