JP5442265B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
しかし、ばね係数を小さくする技術や、低反発クッション部材による技術では、乗物の後方への身体の沈み込みを大きくする(即ち、移動量を大きくする)ことができないという不都合があった。
しかし、特許文献2で示される技術は、固定フレームと可動フレームが、下部の取付軸で固定されているため、下部位置近傍での固定フレームと可動フレームの可動が非常に少なく、着座している身体の全体を乗物の後方側へ沈み込ませることができないという不都合がある。また特許文献2のばねは、大きく移動するに従って反力が大きくなって動きにくくなるだけでなく、固定フレームと可動フレームとの可動範囲は、極めて限定された移動範囲となり、大きく沈み込ませる移動量を確保することが難しいという問題があった。そして、可動フレームを用いているため、全体として装置が大きくなり、軽量化が困難であるという不都合もあった。
また、本発明の他の目的は、通常の着座荷重や後面衝突時において最適な状態となるような衝撃低減部材を備え、必要以上の剛性が不要で、部品点数が少なく、小型化,軽量化が図れ、構造が単純で、低コストで、且つ設計の自由度を確保した、ヘッドレストと独立して後面衝突時における身体、頸部等への衝撃を確実に且つ効果的に低減できる乗物用シートを提供することにある。
このように構成すると、回動阻止部材(例えばストッパピン等)を別途設ける必要がなく、また衝撃低減部材がL字型に内側へ屈曲した後縁部の壁面に当接して支持され、安定して回動が停止される。
このように、回動阻止部を後縁部と平行方向で側板から離間方向に屈曲して形成された屈曲部に連続して後縁部に対して垂直方向に折り曲げられた当接部とから構成すると、衝撃低減部材の回動阻止部は、側板から距離をもって、回動阻止部の端面側が平行に後縁部の壁面と当接することになり、側板の影響を受けず、回動阻止を確実に且つ安定して行うことが可能となる。また側板から離間方向に屈曲した屈曲部を調整することによって、回動阻止部を形成する位置を選択することが可能となるため、他の配置部材(例えば連結部材)等との関係で、設計の自由度を確保することが可能となる。
このように、回動阻止部が衝撃低減部材と一体なので、衝撃低減部材に回動阻止のための別部材を設ける必要がなく、部品点数を削減することができ、組付けも容易となる。また、回動阻止部がシートバックフレームと当接しても回動阻止部の強度が保て、確実且つ安定して回動阻止を行なうことが可能となる。
このように構成することにより、荷重伝達部に近い位置で、効率よく回動を阻止できると共に、回動阻止部の大型化も抑制できる。しかも、衝撃低減部材の回動阻止部の回動範囲を確保できると共に、回動支点を超えないようにでき、衝撃低減部材が動かなくなること(いわゆるスタック)を防止することが可能となるような設定が容易である。
このように、衝撃低減部材は、ヘッドレストと独立して可動されるので、受圧部材に加わる荷重をヘッドレストに伝達する機構等が不要となり、単純化が図れると共に、軽量化を図ることが可能となる。しかも、衝撃低減部材は、両側のサイド部に配設され、各々が独立して可動されるので、乗員の姿勢や衝突の方向等の違いにより偏ったねじれ荷重が発生しても、効率よくねじれを吸収しながら、乗員の移動量を確保できる。
また、通常の着座荷重や後面衝突時において最適な状態となるような衝撃低減部材を備え、必要以上の剛性が不要で、部品点数が少なく、小型化,軽量化が図れ、構造が単純で、低コストで、且つ設計の自由度を確保した、ヘッドレストと独立して後面衝突時における身体、頸部等への衝撃を確実に且つ効果的に低減できる。
さらに、衝撃荷重によって回動する衝撃低減部材の回動を確実且つ安定して停止させることができる。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの突起部15dから付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
次述するように、ストッパ部39a,39dはそれぞれ回動部材30の回動前と回動後に後縁部15cと当接して回動を阻止する当接部であり、後縁部15cと当接するストッパ部39a,39bのそれぞれの厚さ方向の面は、当接時に後縁部15cと面一になるように形成されている。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、後述する付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
M1=F2×a、M1′=F2′×a′
M1,M1′回転モーメント
F1,F1′後方への荷重
F2,F2′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
F2′=F2+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
例えば、ばねの引張り力F2′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
F1×b≦F2×a ・・・(式1)
F1′×b′≧F2′×a′ ・・・(式2)
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部(屈曲部)
31 係止部
32 軸部(回動軸)
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部(当接部)
39c 切り欠き部
Claims (7)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結される受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により回動軸を中心に回動する衝撃低減部材と、を備え、
前記サイド部は、平板状の側板と、該側板の乗物後方側に位置する端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部とを有し、
前記衝撃低減部材には回動阻止部が形成され、該回動阻止部は、前記後縁部と平行方向で前記側板から離間方向に屈曲して形成された屈曲部と、該屈曲部に連続して前記後縁部に対して垂直方向に折り曲げられた当接部とからなり、
前記当接部が前記サイド部の後縁部と当接して前記衝撃低減部材の回動が阻止されることを特徴とする乗物用シート。 - 前記衝撃低減部材には前記回動阻止部が一体に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記回動阻止部は、前記衝撃低減部材の回動前、回動後のそれぞれにおいて前記衝撃低減部材の回動軸より乗物後方側に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材の回動後の前記回動阻止部と前記シートバックフレームとの当接位置は、前記衝撃低減部材の回動軸の中心を通る前記後縁部に対する垂線と、前記連結部材と前記衝撃低減部材の連結部を通る前記後縁部に対する垂線との間に位置していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の乗物用シート。
- 前記回動阻止部と前記シートバックフレームとの当接は、前記衝撃低減部材の回動前、回動後のそれぞれにおいて、前記回動阻止部の異なる位置で行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の乗物用シート。
- 前記回動阻止部は、前記衝撃低減部材の回動前、回動後のそれぞれにおいて当接する2つの当接部を有し、該2つの当接部の間には、切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材は、前記ヘッドレストと独立して可動すると共に、両側の前記サイド部に配設され、各々独立して可動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の乗物用シート。
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