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JP5411260B2 - 義歯、歯列弓、及び製造方法 - Google Patents

義歯、歯列弓、及び製造方法 Download PDF

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JP5411260B2
JP5411260B2 JP2011512784A JP2011512784A JP5411260B2 JP 5411260 B2 JP5411260 B2 JP 5411260B2 JP 2011512784 A JP2011512784 A JP 2011512784A JP 2011512784 A JP2011512784 A JP 2011512784A JP 5411260 B2 JP5411260 B2 JP 5411260B2
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Description

本発明は、義歯、歯列弓、及び製造方法に関する。特に、限定するものではないが、本発明は、改良された上側及び下側義歯、臨床的及び実験室的手法、それら製造のための材料および装置に関する。
代替歯、人工歯又は入れ歯は、投薬、偶発的な萎縮、疾患、又は加齢に伴う損耗等、いろいろな理由から全ての歯が失われる、或いは取り除かれなければならない場合に必要とされる。完全失歯人工歯の最も一般的な形態は、取り外し可能な義歯の形態をなしており、典型的には、通常は智歯を差し引いた上側歯及び下側歯の少なくともいずれかのフルセットを含む。義歯は、口隆線と呼ばれる患者の顎の軟組織上に載るように寸法及び形状が定められる。何億もの義歯が、世界中で使用されている。
材料の進歩は、義歯がより耐久性を有すると共に、より自然な外見を有することを可能にしており、且つ、義歯の構成の発展は、快適性及び咀嚼効率を改良してきた。しかしながら、臨床的及び実験室的な手順双方での義歯製造工程は、数十年の間で僅かしか変化しておらず、また、義歯は各患者に合わせて作られるので、大量生産され得ない。従って、製造工程は、時間がかかると共に、労働集約的である。更に、患者は、義歯の製造に関連する遅延によって不便を感じさせられ、且つ、義歯が完成されると、患者は、患者の顎に関連する不一致、運送事故を含む臨床的及び実験室的ミスによって生じさせられる(複数の)不適合義歯から、未だ不快感を経験するかもしれず、全てが製造工程に影響を及ぼす。
義歯製造のための従来の工程は、典型的には、患者及び義歯施術者の間における複数の臨床的診察を含み、且つ、各臨床的診察は、典型的には、歯科技工士によって行われる作業が後に続く。義歯を完成させるために必要とされる臨床段階を行う歯科技工士の施設又は技工所はしばしば、義歯施術者の診療所から離れている。従って、以下で説明されるような義歯を製造するために使用される印象、型、また特に咬合装置は、義歯施術者の診療所及び歯科技工士の技工所の間を行き来させられる必要がある。これは、義歯の製造に関連する遅延を悪化させると共に、最終的には施術者、ひいては患者に対して、輸送コスト、更には労働コストを発生させる。
義歯施術者による患者の初期判定に続き、義歯製造工程は、ストックトレーを使用して得られる患者の上側及び下側の口の一次印象で開始する。一次印象は、ストーンに印象の型をとる技術者に送られ、それから、患者に特別なトレイが製造される。この特別なトレイは、特別なトレイを使用して二次印象を得る義歯施術者に送られる。技工士は、ストーンに二次印象の型をとると共に、ストーンの二次印象から、ワックス位置合わせリムを作る。患者の顎関連位置合わせは、ワックス位置合わせリムの助けを伴い得られ、次に、患者の顎関節(TMJ)位置、並びに咬合面及び犬歯領域を基準点として含む中心及び垂直方向寸法に従い、一時的に合わせて取り付けられる。時として、顔弓及びより複雑な咬合システムが、施術者によって、患者の義歯構成に対する精密且つ精確な姿勢で使用される。ワックス位置合わせリムは、次にもう一度、技工士に戻される。
技工士は、取り付けられたワックス位置合わせリムを咬合器上に載せると共に、歯列の正確な据付けのために、リム上の印し及び寸法をたどる。複雑さ、精度、及び費用の程度が変化する様々な咬合器が利用可能である。残念ながら、最も良好な結果をもたらす好適な咬合器が、必ずしも使われるわけではない。患者に対して選択された人工歯は、技工士
により、1個ずつ正確に、且つワックス位置合わせリム上のあらかじめ定められた形状に従い取り付けられ、また、ワックスがかけられると共に細部まで彫られ且つ洗浄されると、ワックスベース及び取り付けられた歯列は、患者による試行のために、義歯施術者に戻される。
この段階において、歯列は装着が良好であると共に、好ましい外観及び全ての適切な生理学的寸法を有し得る。しかしながら、施術者は、装着及び歯の不揃い、及び咬み合わせの少なくともいずれかが不適切であることに対処しなければならないことに直面させられ、美的外観及び機能の少なくともいずれかが誤ることとなる。これらの問題は、患者の顎関係の完全な位置を決定するのに必要な1又はそれ以上の要因の臨床的誤解によって生じさせられ得、不適切な施術者の処置、および患者による不正確又は不整合の少なくともいずれかである制御の少なくともいずれか、並びに前の位置合わせの取り決めにおける顎関連位置によって生じさせられる。他の問題となる要因は、技工所において、間違った準備及び手順の少なくともいずれか、1又はそれ以上の使用される材料および装置へ、例えば、移送において加えられる歯列への物理的衝撃およびゆがみ要素の少なくともいずれかに起因して、或いは、歯列を支持するワックスの温度感度、又はあらゆる他の種類の損害によって、生じさせられ得る。このような問題が存在するならば、歯列は、技工士へ戻されなければならず、技工士は、全ての人工歯を取り除くと共に置き直さなければならないので、位置合わせ、咬合、歯列の設置、及びワックス彫刻に関連して行われなければならない全ての広範囲に亘る面倒な作業が、むだになってしまう。再咬合、置き直し、および再度のワックスがけが行われた歯列は次に、患者による再試行のために、義歯施術者に戻される。この工程は、義歯施術者および患者の両方が結果に満足するまで繰り返される。その時になってようやく、技工士は完成段階へ進み、完成した歯列が作られる。当然のことながら、技工士が歯科医から印象、位置合わせリム、又は歯列を受け取る毎に、作業が開始させられる前に、洗浄および滅菌がなされなければならない。
完成段階は、別の面倒な集約的且つ時間がかかる工程であり、最終的な歯列は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はMMAアクリル樹脂又は他のアクリル樹脂から、一般的な埋没、射出成形、又はUV光硬化法のいずれかによって作られる。要約すると、歯列を伴うワックスの石陰型は、フラスコ内で作られる。埋没法においてこの工程が完了させられると、最終的に硬化させられたアクリル樹脂が、自由に取り外され得るように、分離器液又は剥離剤が、硬化させられていないアクリル樹脂および周囲の石膏又は石型の少なくともいずれかの間に非粘着層をもたらすために、全ての石膏および石表面の少なくともいずれかに付加される。埋没法が利用されるならば、軟質ポリメチルメタクリレートアクリル樹脂配合物が、フラスコに加えられると共に、圧粉体密度の増加のために、加圧される。化学反応を開始させて配合物を固化させるために、加熱される前に、余剰分が取り除かれると共に再度加圧される。加熱工程は、使用される配合物のタイプに応じて、1から8時間を要する。冷却させられると、義歯施術者に送られる前に、義歯はフラスコから外され、切断され、フェストゥーン加工され、且つ研磨される。射出成形法及び複合UV機器法等の他の選択肢および方法が使用されてもよい。
患者は、装着及び咬み合わせが正しく、且つ痛点又は時期尚早の接触、支点傾動又は不愉快な美的要素等の好ましくない不一致が存在しないことを確実にするために、歯列を試すと共に、検査が為される。これらの問題が存在すると共に、診察所で補修又は矯正され得ないならば、歯列は、装着が適切であると共に、施術者及び患者の両者が、歯列の装着及び外観の両方に満足いくまで、再咬合を行うと共に、小さな又は大きな修正を行うことにより、適切な更なる調整を行うために、技工士へ戻されなければならない。控えめな概算に基づき、且つ工程が円滑に進むとき、前述のこれまでの歯列製造工程は、診療所及び技工所での時間を含み、義歯施術者及び技工士の施設の間における輸送時間を除き、全体で少なくとも13時間に亘る。
従来の歯列工程で利用される不完全な計画案の別の欠点としては、歯列が完成させられると共に不適合である時に、時として過度にそうであるならば、義歯は、最も重要な段階、例えば完成段階において、完全に回復不能であるかもしれないので、しばしば、最初から最後まで、作り直されなければならない。不測の理由で、試行される大きな調整また小さな調整の少なくともいずれかが、技工所において技工士によって、或いは患者が椅子に座った状態で、義歯施術者によって正され得ないならば、装置は完全な失敗である。欠陥のある義歯は、廃棄させられる必要があり、且つ、前述の面倒な工程が、新しい義歯を作るために、広範囲に亘り繰り返される必要がある。特定の回復不可能な破損がない存在しない時でさえ、平均すると、義歯は、5年毎に、或いは磨耗に起因して取り変えられる必要があり、それ故、口隆線の生理学的萎縮は、骨の水分減少或いは組織表面の変化に至り、不快感を生じさせる。
従来技術の基本は、義歯製造工程、臨床工程、結果的に得られる義歯の義歯構成及び品質整合性の少なくともいずれかの有効性を改善しようとする試行で充実している。しかしながら、これら試行のいずれもが、臨床工程、実験室的構成、製造工程を円滑に行う及び/又は改善すること、また、前述の問題に取り組むことの少なくともいずれかを十分に行っていない。
本明細書において、「からなる」「からなり」「を含む」「を含み」という用語、又は同様の用語は、非限定的な包含を意味するように意図されており、そのため、要素の一覧を含む方法、システム、又は装置は、これらの要素を単独で含むのではなく、一覧に挙げられていない他の要素も同様に含んでよい。
本発明の目的は、周知の義歯製造方法に関連する前述の問題の1つ又はそれ以上に取り組み、又は少なくとも改善することである。
本発明の好適な目的は、義歯を製造するためにかかる時間を減少させ、また製造される義歯の品質および義歯製造方法の少なくともいずれかを改良することの少なくともいずれかを行うことである。
一形態において、唯一、或いはむしろ最も広い形態である必要はないが、本発明は、歯列弓の支持体にあり、支持体は、歯列弓の湾曲を実質的にたどるように湾曲させられた長尺状部材を含む。
好適には、長尺状部材は、金属製であると共に、例えばチタン、ステンレス鋼、高炭素鋼、又は金属合金から作られるが、セラミックス、炭素繊維、少なくとも1つのポリマー、又は繊維複合材等の他の材料が使われてもよい。
好適には、長尺状部材の前部即ち前方領域の表面は、長尺状部材の後部即ち後方領域の表面と実質的に直角である。
好適には、長尺状部材は、前方領域および各後方領域の間に、移行領域を有する。
適切には、長尺状部材は、前方領域および各後方領域の間に、ねじれを有する。
好適には、長尺状部材は、長尺状部材の表面が、歯列弓の人工歯の表面と実質的に平行であるようにねじられる。
好適には、長尺状部材の前方領域の表面は、歯列弓の人工切歯の1つ又はそれ以上の表
面と実質的に平行である。
好適には、長尺状部材の後方領域の表面は、歯列弓の人工大臼歯および/または人工小臼歯の1又はそれ以上の咬合面と実質的に平行である。
適切には、長尺状部材の前方領域は、略後犬歯領域において、長尺状部材の後方領域に変形して、第2小臼歯領域において、より水平な形態となるように平坦にさせられると共に、第1および第2大臼歯後方領域のほぼ下方において、実質的に水平な平面領域を含む。
適切には、各後方領域は、機械的保定の付加のために、模様面を含む。
適切には、支持体は、長尺状部材を貫通する1個又はそれ以上の孔を含む。
適切には、支持体は、支持体の少なくとも2個の部分の間に、少なくとも1個の継手を含む。
適切には、少なくとも1個の継手は、支持体の前方領域のほぼ中心に設けられる。
適切には、少なくとも1個の継手は、支持体の後方領域の少なくとも1つに設けられる。
適切には、支持体は、左側の後方領域に継手を、右側の後方領域に継手を、また支持体の前方領域に継手を含む。
適切には、人工歯は、クリップ式人工歯の形態をなし、支持体にクリップで留められる。クリップ式人工歯は、単一クリップ式人工歯の形態をなしてよく、或いは、複数の人工歯を含むクリップ式ユニットの形態をなしてよい。クリップ式ユニットは、前方ユニット又は後方ユニットであってよい。
適切には、支持体は、支持体に固定される人工歯と、クリップ式人工歯、又は複数の人工歯を含むクリップ式ユニットを取り付けるための1又はそれ以上の空間と、を含む。
別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、歯列弓用支持体の第1部分および第2部分の間における継手にある。第1部分は、貫通する豆形孔を含む突起を有し、第2部分は、豆形突起を受入れるために豆形凹部を有し、前記継手は、突起の豆形孔を貫通すると共に凹部の孔を貫通するピンとを含み、そのピンの周りを、第1部分は、単一平面内において、第2部分と相対的に枢動する。
好適には、継手は、3個の接触点を有する。
別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は歯列弓にあり、
歯列弓の湾曲を実質的にたどるように湾曲させられる金属製長尺状部材と、
長尺状部材に取り付けられる複数の人工歯とを含む。
適切には、人工歯は、長尺状部材に取り外し不能に、又は調整可能に取り付けられる。
適切には、1個又はそれ以上の人工歯は、1個又はそれ以上の歯の夫々の後部への取り付けのために、長尺状部材の1個の孔を貫通する固定具を介して、長尺状部材に取り付けられる。
適切には、1個又はそれ以上の人工歯の夫々の後部は、固定具の端部への係合のための凹部を含む。或いは、1個又はそれ以上の人工歯の夫々の後部は、固定具の端部にある雌ソケットによる係合のために、雄突起を含む。
適切には、人工歯の縦位置および横位置の少なくともいずれかは、孔に対して調整可能である。
適切には、長尺状部材の前方領域に対する人工歯の切歯傾斜角は、調整可能である。
適切には、人工歯は、クリップ式人工歯の形態をなし、支持体にクリップ留めされる。
別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、歯列弓の寸法を判定する弓形部材にあり、弓形部材は、
犬歯の位置を示すために、左側及び右側の前方領域にある一対の前方孔と、
大臼歯の位置を示すために、左側及び右側の後方領域にある少なくとも一対の後方孔とを有する。
好適には、後方孔の対は、第1大臼歯の近心頬側咬頭を示す。
或いは、後方孔の対は、第2大臼歯の位置、とりわけ、第2大臼歯の中央窩の位置を示す。
弓形部材は、2対の後方孔を有してよく、左側及び右側後方領域の第1後方孔対は、第1大臼歯の近心頬側咬頭の位置を示し、第1後方孔対よりも後方の領域にある第2後方孔対は、第2大臼歯の位置、とりわけ、第2大臼歯の中央窩の位置を示す。
好適には、前方孔対と、第1後方孔対および第2後方孔対の少なくともいずれか一方との間の相対位置は、歯列弓の寸法に対応する。
好適には、弓形部材は、各前方孔に隣接して1個又はそれ以上の表示を含み、犬歯との1個の表示の整合は、先細弓形形状又は正方形弓形形状を示す。
好適には、ハンドルは、使用を容易にするために、弓形部材から延出する。
弓形部材は、患者の口で、或いは患者の口のモデルで使用され得る。
別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、弓形列の寸法を判定するシステムにあり、本システムは、一連の弓形部材を含み、各弓形部材は、犬歯の位置を示すために、左側及び右側の前方領域に一対の前方孔と、大臼歯の位置を示すために、左側及び右側の後方領域に少なくとも一対の後方孔を含む。各弓形部材における前方孔対と後方孔対との間の相対位置は、弓形列の寸法に対応する。
適切には、シリーズには、3個又はそれ以上の歯列弓寸法を含む構成に対応する3個又はそれ以上の弓形部材を含む。1つの特定の構成は、5個の歯列弓寸法を含む。
適切には、コネクタは、弓形部材をベーストレイと連結させるために、弓形部材の1個又はそれ以上の前方孔、および1個又はそれ以上の後方孔の少なくともいずれかに挿入され得る。
更に別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、歯列弓の寸法判定方法にあり、
寸法が異なる一連の弓形部材の1個又はそれ以上を、歯列弓に載置する工程であって、各弓形部材は、犬歯の位置を測定するために、左側及び右側前方領域に一対の前方孔と、大臼歯の位置を測定するために、左側及び右側後方領域に少なくとも一対の後方孔とを含む、前記工程と、
犬歯および大臼歯の位置に最良に適合する弓形部材に基づいて、歯列弓の寸法を決定する工程を備える。
別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、義歯用ベース板材料にあり、可撓性生態適合強化メッシュが埋め込まれたアクリル樹脂複合材シートを含む。
適切には、強化メッシュは、生体適合可撓性繊維ガラスである。
別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、義歯の人工歯と整合するために、一連の弓形切欠を含む所定長さの可撓性アクリル樹脂複合材料にある。
適切には、弓形切欠は、人工歯の頸領域と整合させられてよい。
適切には、弓形切欠は、頚部‐首領域を取り囲む複合材料又はアクリル樹脂カラーと整合させられてよい。
更に別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、所定長さの可撓性アクリル樹脂複合材料用型にあり、型は、可撓性アクリル樹脂複合材料に型押領域を刻印するために、表面パターンを有する細片を含む。
好適には、細片は金属製である。
別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、歯の隆線の型を得る際に使用する可撓性緩衝インサートにあり、インサートは、歯列弓の形状に近い形状を有すると共に、インサートの密封外側層にゲルを含む。
適切には、ゲルおよび外側層の少なくともいずれか一方は、透明である。
適切には、下側歯隆線の型をとるためのインサートは、下側歯列の形状に近い弓形形状を有する。
適切には、下側歯隆線の型をとるためのインサートは、下側歯隆線の断面形状に従う略U字形断面を有する。
適切には、上側歯隆線の型をとるためのインサートはまた、上側口蓋の型をとる。
適切には、上側歯隆線の型をとるためのインサートおよび上板は、上側口蓋は、上側歯隆線および上側口蓋の断面形状とほぼ対応する断面形状を有する。
別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、可撓性生態適合強化メッシュが埋め込まれたアクリル樹脂複合材シートから形成される上側および下側義歯用ベーストレイにあり、可撓性生態適合強化メッシュの少なくとも一部は、露出させられる。
好適には、可撓性生態適合強化メッシュの露出させられた少なくとも一部は、上側義歯用ベーストレイの円蓋である。
適切には、可撓性生体適合強化メッシュの露出させられた少なくとも一部は、ベーストレイの周縁である。
適切には、下側義歯のベーストレイは、軟質唇領域および舌領域の少なくともいずれか一方を含む。
別の形態において、必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は、上側口蓋での上側義歯の保持を改良するために、上側ベースの組織接触側の後方領域に取り付ける押込み部材にある。
好適には、押込み部材は、振動線において、上側隆線左側および右側隆起の間で、軟口蓋の幅に延在する。
適切には、押込み部材は、口蓋の横方向口蓋縫合に亘り、押込み部材のベースから圧縮軟組織まで延出する2個の隣接する先細領域を含む。
別の形態において、再度必ずしも最も広い形態ではないが、本発明は義歯製造方法にあり、
ベースを患者の口隆線に一時的に取り付ける工程と、
1個又はそれ以上の複合材の光硬化ダブで、歯列弓をベースに一時的に取り付ける工程と、
所望の位置が得られるまで、ベースおよび患者の歯寸法に対する歯列弓の位置を調整す
る工程と、
複合材のダブを光硬化させる工程を備える。
好適には、本方法は、上側ベースおよび患者の歯の形状寸法に対する上側歯列弓の所望位置および適切な寸法が得られた後に、対向する下側歯列弓の咬合面を、関連する上側歯列弓と咬み合わせる工程を含む。
或いは、本方法は、下側ベースに対する下側歯列弓の所望位置および適切な形状寸法を得る工程と、次に、対向する上側歯列弓の咬合面を、関連する下側歯列弓と咬み合わせる工程を含む。
本発明の更なる形態および特徴は、以下の詳細な説明から明白になる。
本発明が容易に理解されると共に実際の効果が得られるように、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について言及される。同じ符号は同一の要素を言及する。図面は一例としてのみ提供される。
歯列弓用支持体の斜視図。 図1に示される支持体の平面図。 図1に示される支持体の側面図。 歯列弓の部分断面図。 所定の固定位置に人工歯を含む図1に示される支持体の一部の斜視図。 別の実施形態に係る歯列弓用支持体の斜視図。 図5に示される支持体の背面図。 図5に示される支持体を含む歯列弓の斜視図。 人工前方中心歯が支持体の前方部に固定されている図5に示される支持体の側面図。 人工歯および固定具の斜視図。 代替実施形態に係る人工歯および固定具の斜視図および部分拡大側面図。 歯列弓の支持体に緩く取り付けられた人工歯の斜視図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 人工歯が支持体上に載置され得る様々な位置及び角度範囲を示す図。 UV硬化複合材又はワックスで歯列弓の支持体上の所定位置に固定される人工歯の斜視図。 代替実施形態に係る人工歯および固定具の斜視図。 合わせて結合されて、人工歯を歯列弓の支持体にゆるく固定している図10Hの人工歯および固定具の断面図。 図10Hの人工歯および固定具の一部の拡大側面図。 様々な傾斜角における人工切歯を示す歯列弓の側面図。 様々な傾斜角における人工切歯を示す歯列弓の側面図。 様々な傾斜角における人工切歯を示す歯列弓の側面図。 様々な傾斜角における人工切歯を示す歯列弓の側面図。 歯列弓の寸法を判定するための弓形部材の斜視図。 弓形部材の第1および第3孔対の相対位置および歯列弓の寸法の間の対応を示す概略図。 下側歯隆線のモデル、左側および右側犬歯領域の位置、並びに左側および右側大臼歯領域の位置を示す図。 歯列弓の寸法判定方法を示す概略フローチャート。 義歯を作るためのベース板材の分解組立図。 歯科用機器の唇および頬領域を完成させるためのフェストゥーン輪郭を備えたエプロン。 複合材で歯下側隆線の型をとる際に使用する可撓性緩衝下側インサートの平面図。 複合材で上側歯隆線および上側口蓋の型をとる際に使用する可撓性緩衝上側インサートの平面図。 図18に示される下側インサートの断面図。 下側歯隆線の型をとるためのトレイの斜視図。 上側歯隆線および上側口蓋の型をとるためのトレイの斜視図。 図20Aのトレイを通る断面の位置を示す別の斜視図。 使用時における図16のベース板材、図18のインサート、および図20のトレイの断面図。 使用時における図16のベース板材、図18Aのインサート、および図20Aのトレイの断面図。 義歯の構成および製造の臨床手順ならびに実験室的手法を示す概略フローチャートの第1部分。 図22の概略フローチャートの第2部分。 図22の概略フローチャートの第3部分。 図22の概略フローチャートの第4部分。 様々な歯列弓形状を示す図。 様々な歯の形状の例を示す図。 様々な咬合分類および咬み合わせを示す図。 様々な咬合分類および咬み合わせを示す図。 様々な咬合分類および咬み合わせを示す図。 様々な咬合分類および咬み合わせを示す図。 本発明の歯列弓によって対応される更なる咬合配置および接触分類を示す図。 光硬化複合材のダブを含む歯列弓を示す図。 光硬化複合材のダブで上側ベースに一時的に取り付けられ、可鍛粘稠度は未だ硬化させられていない歯列弓を示す図。 光硬化複合材のダブで上側ベースに一時的に取り付けられ、可鍛粘稠度は未だ硬化させられていない歯列弓を示す図。 ダブで取り付けられた上側ベースおよび歯列弓を示す図。 ダブで取り付けられた上側ベースおよび歯列弓を示す図。 嵌合された上側および下側歯列弓を備えた上側および下側ベースを含む4ユニット機器を示す図。 義歯の唇および舌領域に複合材を充填させている図。 義歯の代替フェストゥーン方法を示す図。 部分的にフェストゥーン加工された義歯を示す図。 上側ベースの押込み部材を示す斜視図。 上側口隆線および口蓋のモデルにおける後方領域の陥凹を示す図。 図28の押込み部材140によって生じさせられる軟口蓋の押込みを示す口蓋の断面図。 陥凹を示す図29のモデルの断面図。 継手を含む2部品支持体の平面図。 1個の継手を含む2部品支持体および2個の継手を含む3部品支持体の平面図。 3個の継手を含む4部品支持体の様々な形態を示す平面図。 2個の部品の間に継手を含む雄プロファイルおよび雌プロファイルを示す支持体の2部品の側面図。 支持体の前方部分および後方部分の間の継手を示す平面図。 豆形孔を有する雄プロファイルの平面図。 図36に示される雄プロファイルを受入れる雌プロファイルの平面図。 図36および図37に示される雄プロファイルおよび雌プロファイルを含む継手の移動範囲を示す図。 図36および図37に示される雄プロファイルおよび雌プロファイルを含む継手の移動範囲を示す図。 図36および図37に示される雄プロファイルおよび雌プロファイルを含む継手の移動範囲を示す図。 支持体および人工歯を含む後方および前方クリップ式ユニットの平面図。 支持体、人工歯を含む後方クリップ式ユニット、および個々の人工前方歯の平面図。 人工歯を含む上側および下側前方および後方クリップ式ユニットの更なる例を示す図。 支持体および少なくとも1個の人工歯を含む前方クリップ式ユニットの断面側面図。 支持体および後方クリップ式ユニットの断面端図。 別の実施形態に係る支持体および後方クリップ式ユニットの斜視図。 下側ベーストレイおよびハンドルの斜視図。 ハンドルが取り外されている上側ベーストレイの斜視図。 2段階シリコンベース複合材が充填されている反転下側ベーストレイおよびハンドルの斜視図。 上側ベースの後方斜視部分切取図。 図48の上側ベースの前面斜視分解組立図。 図48の上側ベースの背面図。 上側ベース、周縁複合材ロッド、および完成上側ベースを示す背面斜視分解組立図。 上側および下側ベーストレイと使用する弓形部材の斜視図。 図52の弓形部材と使用するクリップ式コネクタの斜視図。 図52の弓形部材に連結された図53のコネクタの断面図。 可撓性強化メッシュ円蓋および図53のコネクタを含む上側ベース板の斜視図。 可撓性補強メッシュスカートを含む下側ベース板の斜視図。
当該技術分野に属する者であれば、図面内の要素は、簡潔及び明瞭にするために図示されると共に、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことは理解できる。例えば、図面中のいくつかの要素の相対的な形状寸法は、本発明の実施形態の理解向上を助けるために、歪曲されている。
本発明の実施形態に係る歯列弓および付属物の構成が説明され、続いて、本発明の歯列弓および他の態様を用いた義歯製造方法が説明される。
図1〜図3を参照すると、本発明の実施形態に係る歯列弓の支持体10が提供される。支持体10は、歯列弓の湾曲に実質的に従うように湾曲させられた金属製長尺状部材12を含む。湾曲は、歯列弓が向けられる患者の口の概略形状に応じて、先細状、正方形、円形(卵形)又は他の形状等、様々な口形状を有し得る。弓形の寸法もまた、患者の口の寸法に応じており、その判定は、本発明の別の態様に従い、以下に更に詳細に説明される。
長尺状部材は、前部即ち前方領域16および各後部即ち後方領域20の間に、前方領域16が後方領域20へ徐々に溶け込み、或いは変形するように、移行領域13を含む。幾つかの実施形態によれば、長尺状部材12は、長尺状部材12の表面14が、歯列弓の人工前部即ち前方歯の表面と実質的に平行であるように、捩じられる。図1〜図3に示される実施形態によれば、長尺状部材の前方領域16の表面14は、長尺状部材の後方領域20の表面18と実質的に直交する。支持体12の表面および歯列弓の人工歯の表面の間の関係は、以下に図4を参照して、更に詳細に説明される。
図1〜図3に示される実施形態によれば、長尺状部材12は、前方領域16および各後方領域20の間に捩れ22を含む。長尺状部材の前方領域16は、ほぼ後犬歯領域において、長尺状部材12の後方領域20に変形し、第2小臼歯領域において、より水平な形態に向けて平坦になると共に、ほぼ第1および第2大臼歯後方領域の下で、略水平な平面領域を含む。各後方領域20は、模様付面24を含み、且つ各模様付面24は、長尺状部材12を通る孔26を含む。紫外線硬化(UVLC)樹脂等の複合材、又は他の利用可能なアクリル樹脂、又は使用可能な材料が、人工歯を、以下に説明される支持体10に接合させるために使用される。模様付面24および孔26は、支持体10に付与される材料の機械的保持を助ける。
好適な実施形態によれば、支持体10は、要求される強度および剛性を歯列弓およびそれから作られる義歯にもたらすために、単一長さの高張力金属から造られる。チタン又は高張力金属等の材料から作られる支持体は、容易に屈曲し得ず、通常の使用において歪められず、また生体適合性を有する。高品位ステンレス鋼又は高炭素ベース金属等、他の生体適合金属又は合金が、支持体10に使用され得ることが構想される。また、セラミックス、1又は複数のポリマー、繊維複合材、又は炭素繊維材料等、十分な強度の他の生体適合材料が、支持体10に使用され得ることが構想される。
図4を参照すると、歯列弓28は支持体10を含み、一式の人工歯29(智歯を除く)が複合材30又は架橋アクリル樹脂等の他の材料で支持体10に接合されている。明瞭にするために、図4は、支持体10の一部を示しており、隣接する歯は透視されると共に、支持体10を有さない歯列弓28の残りの部分が目に見える。長尺状部材12の前部即ち前方領域16の表面14は、歯列弓28の人工切歯32の1又はそれ以上の前面31と実質的に平行である。長尺状部材12の後部即ち後方領域20の表面18は、歯列弓28の人工大臼歯34および人工小臼歯36の少なくともいずれかの1又はそれ以上の咀嚼咬合面と実質的に平行である。それ故、支持体10は、様々な領域で典型的に遭遇する咀嚼力に従い、歯列弓28に強度をもたらす。
支持体10の一部の斜視図を示す図4Aを参照すると、本実施形態において、歯列弓の人工歯29は、所定の固定位置において、長尺状部材12に取り外し不能に接合され又は取り付けられる。
図5および図6は、本発明の代替実施形態に係る歯列弓の支持体10の斜視図および背面図夫々を示す。本実施形態において、支持体10は、長尺状部材12に複数の孔26を含む。図示される実施形態において、孔26は、長尺状部材12の前方領域16および後方領域20に設けられるが、例えば長尺状部材12の捩れ22によって得られる移行領域13には設けられない。孔26は、人工歯の位置が、支持体10に対して調整可能であるように、人工歯を支持体10に大まかに取り付けるために設けられ、これについては、図9および図10に関連して詳細に説明される。
図7は、別の実施形態に係る上側歯列弓38を示しており、少なくとも幾つかの人工歯
40が、孔26および固定具(図示なし)を用いて、長尺状部材12に取り付けられる。幾つかの人工歯40、例えば移行領域13に隣接するもの、例えば長尺状部材12の捩れ22は、アクリル樹脂30および複合結合剤および他の材料の少なくともいずれかを用いて、長尺状部材12に取り付けられる。
図8は、孔26の1個を介して、長尺状部材12の前方領域16に取り付けられる単一の人工前方切歯32を示しており、残りの孔26は、別の人工歯が取り付けられるのに利用可能である。当然のことながら、人工前方切歯32を含む支持体12は、上側義歯のためにあると共に、図8において、反転させられている(上側を向く)。下側弓形のための本発明の実施形態に係る支持体12は、同様の構造を有するが、下側歯列のより小さい形状寸法に適合するために、形状寸法が、上側弓の支持体の形状寸法と異なる。例えば、前方下側歯列は、前方上側歯列よりも寸法が小さい。
図9および図10を参照すると、本発明によれば、人工歯40は歯の裏側に溝40と、固定具48のねじ切り端部46を受入れるねじ切り凹部44を含む。固定具48は、アクリル樹脂又はチタンなどの金属から作られ得るが、同様の強度を有する他の材料が使われてもよい。溝42は、後壁43、上面45、および下面47を含むと共に、支持体10の長尺状部材12の高さよりも大きい高さを有する。図10に示されるように、幾つかの実施形態によれば、人工歯40は、長尺状部材12の一部が、溝42内に受入れられると共に、後壁43、上面45、および下面47と、堅固に或いはゆるく当接し得るように、支持体10上に位置決めされる。人工歯40は、人工歯40と整合させられた長尺状部材の孔26の1個を貫通すると共に、ねじ切り凹部44にねじ入れられる固定具48を介して、長尺状部材12の所定位置に保持される。孔26は、固定具48の軸49の直径よりも大きいが、固定具48の頭部51の直径よりも小さい幅および高さを有し、固定具48が孔26を通過するのを許容するだけでなく、人工歯40が様々な位置および角度でゆるく取り付けられるのを可能にする一方で、歯40が容易に取り除かれ或いは取り外されるのを阻止する。それ故、人工歯の縦方向位置、横方向位置、および角度は、孔26に対して調整可能であり、歯列弓およびそれから作られる義歯の所望の外観並びに前方歯位置を達成する際に、高度の操作性をもたらす。図10に示される例において、前方横側人工歯40は、ゆるい形態で位置決めされ、長尺状部材12の前部14と当接する。
代替実施形態において、凹部44および固定具48は、ねじ切りされなくてもよい。代わりに、凹部44は、固定具48の拡大端部を受入れる雌ソケットの形態をなし得る。拡大端部は、雌ソケットと相補的な形状を有し得る。この実施形態において、固定具48の拡大端部は、拡大端部が雌ソケットとスナップ嵌合されるとともに係合させられるように、弾性を有し得る。
図9Aを参照すると、別の実施形態において、凹部は、人工歯40の後壁43内において、僅かに先細にされた雌ソケット48Bの形態をなす。固定具48の軸49の端部46Bもまた、徐々に先細にされると共に、凹部44B内に受入れられると共に係合させられるように寸法が決められる。端部46Bは、凹部44B内に保持されるが、頭部51Aへの十分な力を伴い引っ張られることにより、手によって取り除かれ得、これにより、固定具48を所定位置までねじ入れるための長穴を必要としない。
支持体10を基準にして人工歯29が載置され得る様々な位置および角度の更なる例が、図10A〜図10Fに示される。
図10Aは、固定具48A,48Bで支持体10の長尺状部材12にゆるく取り付けられる2個の人工歯29A,29Bを示す。歯29Aは、長尺状部材12の表面14と実質的に平行な前面31Aにゆるく取り付けられる。歯29Bは、長尺状部材12の表面14に対して整合させられた前面31Bにゆるく取り付けられる。
図10Bは、長尺状部材12にゆるく取り付けられた人工歯29の側面図を示す。固定具48の軸49は、孔26を通過すると共に、溝42の後壁43の凹部44に堅固に固定される。図10Bに示される実施形態において、人工歯29は、長尺状部材12に対して、前方に傾斜させられる。矢印は、人工歯29が長尺状部材12に対して移動させられ得る様々な向きを示す。
図10Cは、歯29の前側顔面31の角度を、長尺状部材12の表面14に対して変化させるために、人工歯29が長尺状部材12に対して、どのように移動させられ得るかを示す。
図10Dは、歯29の前面31が長尺状部材12からどの程度突出するかを変化させるために、人工歯29が長尺状部材12に対して、どのように前後に移動させられるかを示す。
図10Eは、垂直方向Vに対して、且つ長尺状部材12に対して、歯29の角度を変化させるために、人工歯29が固定具48の軸周りをどのように回転させられ得るかを示す。
図10Fは、支持体10の一部、および夫々の固定具48によって、長尺状部材12上の所定位置にゆるく保持される6個の人工前方歯29を示す。人工歯29は、長尺状部材12に対して、様々な位置で示される。基準線は、垂直方向および前面31の角度に対する各歯の回転程度を強調する。傾斜角度範囲および様々な突出程度、並びに2個の隣接する人工歯29の間の重なり29Aもまた、図示されている。前景部のブロック55は、各歯29の位置および向きを概略的に示す。この広い配向範囲は、患者又は施術者によって所望される人工前方歯29の略あらゆる位置を可能にする。
図10Gを参照すると、歯29の所望位置が決定されると、それはワックスによって、好適な位置に一時的に安定化或いは固定され得、或いは、患者および施術者両方の観点から、好ましい美しさを維持するために、自己硬化アクリル樹脂又はUV光硬化複合材30で、所定位置により取り外し不能に固定される。
図10H,図10Jおよび図10Kは、人工歯および固定具の代替実施形態を示す。人工歯600は、例えば後壁43、上面45、および下面47を含む溝42等、本明細書に説明される前の実施形態の特徴の多くを含み、溝42は、支持体10の長尺状部材12の高さよりも大きい高さを有する。しかしながら、本実施形態において、後壁43は先の実施形態の凹部44を含むのではなく、雄突起602が、後壁43から延出する。人工歯600は、人工歯600と整合させられた長尺状部材12の孔26の1個を通過する固定具604を介して、長尺状部材12上の所定位置に保持される。孔26は、固定具604の軸49の直径よりも大きいが、固定具604の頭部51の直径よりも小さい幅および高さを有する。本実施形態において、頭部51と反対側の固定具604の端部は、人工歯600の雄突起602と係合するための凹部即ち雌ソケット602を含む。雄突起602は、固定具604の雌ソケット606と実質的に相補的な形状の拡大端部を含み得る。この実施形態において、雌ソケット606は、拡大端部が雌ソケット606にスナップ嵌合されると共に係合させられるように、弾性を有し得る。雌ソケット606の壁608は、雌ソケット606による雄突起602の弾性係合を促すために、1個又はそれ以上のノッチ即ち切欠610を含み得る。雄突起602の長さ、従って雌ソケット606の深さは、実施形態の間で変化し得る。幾つかの実施形態によれば、雄突起602は、少なくとも約1ミリメートルだけ、後壁43から延出し、従って、雌ソケット606の深さは、雄突起602を受入れるために、少なくとも1ミリメートルである。
図11A〜図11Dを参照すると、幾つかの実施形態によれば、長尺状部材12に対する人工歯29の傾斜角は調整可能であり、垂直方向偏向位置、垂直方向角度傾斜、および図10Fにおいて29Aとして示されるように、近遠心重なりを示す。図11Aは、遠い側上で長尺状部材12に取り付けられる人工歯29を含む歯列弓を示しており、また、いずれの人工歯も、長尺状部材の近い側に取り付けられていない。人工切歯32は、歯32が略水平の長尺状部材12に対して鋭角で傾斜させられるように、長尺状部材12の前方領域16に取り付けられる。それ故、人工切歯32は、切縁の前方が著しく、唇方向に角度がつけられる。図11Bにおいて、人工切歯32は、11Aと比較すると、実質的に垂直であると共に、内方に即ち舌方向に切歯が傾けられている。図11Cにおいて、人工切歯32は、11A又は11Bよりも傾斜させられると共に、一層内方に即ち舌方向に切歯が傾けられている。移動範囲は、図11Dに示されるように、好適であれば、図11Aに示されるよりも切縁が一層著しく前方に置かれ得る。
歯列弓28は、様々な口の寸法に合うように、様々な寸法で提供される。歯列弓は少なくとも、小、中、および大の寸法で供給されると共に、以下に更に説明されるように、更なる寸法で供給されてよい。歯列弓28はまた、患者の口の概略形状に適合するように、様々な形状で供給される。歯列弓28は例えば、顎の湾曲程度に応じて、概略正方形、円形(卵形)、先細、又は他の形状であってよい。歯列弓28の形状は、同様の形状の支持体10に基づく。例えば、先細歯列弓は、先細形状の歯を有する支持体に基づく等。
本発明の他の態様によれば、また図12を参照すると、弓形部材50は、歯列弓の寸法を判定するために設けられる。弓形部材50は、滅菌可能な透明プラスチック材料から形成され得る。弓形部材50は、犬歯の左側および右側位置を示すために、ハンドル56に最も近い左側および右側前方領域に、一対の前方孔52を含む。弓形部材50はまた、大臼歯の位置を示すために、左側および右側後方領域に、少なくとも一対の後方孔53を含む。とりわけ、第2孔対53は、第1大臼歯の左側および右側の近心口唇頬側咬頭の位置を示す。幾つかの実施形態によれば、図12に示されるように、弓形部材50は、左側および右側の第2大臼歯の位置を示すために、より後方の領域に、第2後方孔対54を含み得る。とりわけ、第2後方孔対54は、第1後方孔対の後方であると共に、第2大臼歯の中央窩の位置を示す。幾つかの実施形態によれば、弓形部材50は、前方孔52および後方孔54を含む。ハンドル56は、使用を容易にするために、弓形部材50から延出し、且つ、弓形部材は、患者の口上で、或いは患者の口のモデル上で、直接的に使用され得る。
図12は、歯列弓の寸法を判定する際に使用される一連の弓形部材50を示す。各弓形部材は、歯列弓の特定の寸法に対応しており、且つ、図12において、弓形部材50には「4」が印されており、寸法4の弓形部材を示している。図13に示される構成を参照すると、各弓形部材における前方孔対52および後方孔対54の相対位置は、歯列弓の寸法に対応する。例えば、5つの歯列弓寸法を例えば含む構成において、5個の異なる弓形部材が存在する。最も小さい寸法、例えば寸法1では、弓形部材50の前方孔対52および後方孔対54は、図13に示される最も内側の円によって表される。最も大きい寸法、例えば寸法5では、弓形部材50の前方孔対52および後方孔対54は、図13に示される最も外側の円によって表される。中間寸法は、最も小さい寸法および最も大きい寸法の間の円に対応する。幾つかの実施形態によれば、図13において、各円は、隣接する円から、1ミリメートルの横方向距離および1ミリメートルの縦方向距離にある。しかしながら、他の横方向間隔および縦方向間隔の少なくともいずれかが使用されてもよい。
図14は、下側歯隆線のモデル58および第2大臼歯の位置60、第1大臼歯の近心頬側咬頭の位置61、並びに犬歯の位置62を示す。
当然のことながら、構成は、5つの異なる歯列弓寸法に限定されない。例えば、構成は、3、4又は5以上の歯列弓寸法を含む構成に対応する3、4、又は5以上の弓形部材を含み得る。3つの寸法を含む構成において、寸法は小、中、および大に対応し得る。
幾つかの実施形態によれば、弓形部材50は、各前方孔52に隣接して、1個又はそれ以上の表示57A,57Bを含む。犬歯との表示57A,57Bの一方との整合は、先細弓形状又は正方形弓形状を示す。例えば、表示57Aが犬歯と整合するならば、これは正方形弓形状を示す。表示57Bが犬歯と整合するならば、これは先細弓形状を示す。幾つかの実施形態によれば、表示57A,57Bは、弓形部材50の孔の形状をなす。
それ故、本発明の別の態様は、歯列弓の寸法判定システムであり、本システムは、一連の弓形部材50を含み、各弓形部材は、犬歯の位置を示すために、左側および右側前方領域に一対の前方孔52と、大臼歯の位置を示すために、左側および右側の後方領域に少なくとも一対の後方孔53,54を含む。各弓形部材50の前方孔対52および後方孔対53,54の相対位置は、歯列弓の寸法に対応する。とりわけ、後方孔対53は、左側および右側の第1大臼歯の近心頬側咬頭の位置を示す。上述されるように、幾つかの実施形態によれば、一連の各弓形部材50はまた、又は或いは、左側および右側の第2大臼歯の位置を示すために、より後方領域に、第2後方孔対54を含む。とりわけ、第2後方孔対54は、第1後方孔対53の後方にあるとともに、例えば、第2大臼歯の中間‐中央窩の位置を示す。
図15を参照すると、前述のシステムを利用して、本発明の別の態様は、歯列弓の寸法決定方法70である。本方法70は、72において、一連の前記弓形部材50の1個を、歯列弓に載置する工程を含む。74において、本方法は、前方孔対52並びに第1および第2後方孔対53,54の少なくともいずれかが、犬歯および大臼歯夫々の位置と整合するか否かを判定する工程を含む。これは、弓の形状を判定するために、上述された表示57A,57Bを整合させる工程を含み得る。もし否定されるのであれば、本方法は、76において、別の寸法の弓形部材50を選択する工程と、工程72および74を繰り返す工程とを含む。前方孔対並びに第1および第2孔対の少なくともいずれか52,53,54が、犬歯および大臼歯の位置と整合するならば、本方法は、78において、弓形部材50が最良適合であるか否かを判定する。もし否定されるのであれば、76において、本方法は、別の寸法の弓形部材50を選択する工程を含むと共に、工程72,74および78を繰り返す。弓形部材50が最良適合であるならば、本方法は、80において、大臼歯および犬歯の位置と最も適合する弓形部材に基づいて、歯列弓の寸法および形状を判定する。使用される人工歯の輪郭もまた、この段階において判定され得る。
図16を参照すると、本発明の別の態様は、より弾性的且つ強度がある義歯を作るための、可撓性強化メッシュを備えた非硬化可撓性複合材シート90である。図16の分解組立図は、可撓性複合材シート90の実施形態の構成要素を示しており、生体適合繊維ガラス等の生体適合強化メッシュが埋設された可撓性アクリル樹脂等の複合材を含む。可撓性複合シート90は、すぐに使用できる単一ユニットとして供給されるが、可撓性複合シート90は、図16に示されるように、強化メッシュ92を、2層の複合材94,96の間で圧縮させることにより作られ得る。以下に更に詳細に説明されるように、複合材94,96は、義歯の製造に際して目下使用されているものであり、且つ、新規の可撓性複合材90の強化メッシュ92は、義歯ベースに更なる強度を加える。
図17に示される実施形態を参照すると、本発明の更なる態様は、歯エプロンの形態をなす所定長さの可撓性アクリル樹脂複合材100である。歯エプロンは、従来の完成前歯構成の人工歯29の首部、又は完成前義歯を包囲する複合カラーとの整合のための一連の弓形切欠102を含む。例えば、弓形切欠102はまた、人工歯29の湾曲領域と整合さ
せられ得る。歯エプロンは半硬化外側複合材を有し、従って、幾らかの外側層剛性を有する。歯エプロンは、歯茎の外観を真似たフェストゥーンと呼ばれる複数の隆起又は型押し領域104を含む。歯エプロンは、義歯の唇および頬領域の瞬間的なフェストゥーン加工のために、即ち、本物且つ自然な外観を作り出すために、複合材を使用して、歯列弓の人工歯を人工歯茎とうまく溶け込ませる時に使用され得る。歯エプロンは、様々な寸法の弓形と適合するために、様々な寸法で供給される。歯エプロンは、製造の間に、手により、義歯の唇および頬部分をフェストゥーン加工すると共に特徴付けるために通常かかる時間を減少させることにより、義歯の製造効率を向上させる。
歯エプロンはまた、再利用可能な形態のためにゴム材料から、又は通常のろう引き形態のためにワックス材料から形成されてよく、所望の位置に既に設置された歯列弓の周りにおいて、フェストゥーンワックスリムへの使用に対して、人工歯との整合のために、一連の弓形切欠102を有する。これらの形態のための歯エプロンはまた、様々な寸法の弓形に適合するために、様々な寸法で供給される。歯のエプロンは、ここでもまた、製造の間に、手による義歯のフェストゥーン加工および特徴付けのために通常かかる時間を減少させることにより、義歯の製造効率を向上させる。
歯エプロンはまた、本発明の別の態様に係り、フェストゥーン規格構造の形態をなす型上において、可撓性アクリル樹脂複合材100又はワックス材料を押圧することにより、自己製造され得る。フェストゥーン規格構造は、可撓性アクリル樹脂複合材100又はゴム又はワックス細片上において、型押し領域104を刻印するネガティブ面パターンを有する長尺状金属細片である。それ故、すぐに使用できるフェストゥーン加工表示又は印象を有する唇エプロンが形成される。
次に図18及び図19を参照すると、本発明の更なる態様は、口隆線の型をとる際に使用する可撓性緩衝インサート110である。一実施形態によれば、インサート110は、下側隆線の口弓形の形状に近い弓形形状を有すると共に、密封された透明外側層114に超透明ゲル112を含む。図19に示されるように、下側隆線のインサート110は、略U字形断面を有すると共に、以下に説明される様々な対応形状を有する透明トレイと嵌合するように、様々な寸法で供給される。例えば、歯列弓の前述の寸法構成を参照すると、インサート110は、小、中および大等、3つの寸法で、4つの寸法で、1〜5等の5つの寸法で、或いは別の数の寸法で供給され得る。図19の点線は、舌、唇、および頬口溝の中および周囲に装着する舌および唇部におけるインサート110の柔軟特性を示す。
図20は、下側口隆線の型をとるための下側トレイ120を示す。トレイは滅菌され得ると共に、透明な耐衝撃性プラスチック材料等の適切な材料から作られ得、且つ好適には、実際は高い透明性を有する。トレイ120は、歯列弓の形状に近い弓形形状を有すると共に、トレイの使用を容易にするために、ハンドル122を含む。トレイ120は、前述の寸法構成の一つに従い、様々な寸法で提供される。図20は、例えば、5つの寸法を含む構成で使用される寸法4のトレイを示す。
図21は、図18に示されるインサート110および図20に示されるトレイ120が、口隆線124の印象を得るために使用されている断面図を示す。下側トレイ120は、略U字形断面を有しており、また、図21は、口隆線124の上方に複合材層126を備えた患者の口隆線124を示す。インサート110は、トレイ120に載置されると共に、複合材126およびトレイ120の間に載る。可撓性緩衝インサート110は、口隆線をゆがませることなく、また患者へ痛み又は損傷を負わせることなく、密接装着を達成すると共に口隆線の正確な印象を得るために、口隆線124に接して、密着保持される。可撓性緩衝インサート110は、隆線の形状寸法を歪ませると共に置き換えかねない過剰な圧力が組織に付与されるのを阻止する。手に保持されたUV光128は、口隆線124の
印象を保持するために、患者の口の中において、複合材126を固体粘稠度に硬化させるように使用される。患者の口から取り除かれると、より大きなUV光130又はUV機器が、複合材126が完全に固化するように、複合材126を完全に硬化させるために使用されてよい。
図20Aおよび図20Bを参照すると、当然のことながら、下側トレイ120と同じ材料から作られる上側トレイ123もまた、上側歯隆線および上側口蓋の型を取るために供給される。上側トレイ123は、使用を容易にするために、ハンドル122Aを含む。上側トレイ123は、上側歯隆線および上側口蓋に装着するように整形されると共に、前述の寸法構成の一つに従い、様々な寸法で供給される。
図18Aを参照すると、図18および図19に関連して上述されたインサート110と同じ特性を有する可撓性緩衝インサート125が、上側口隆線および上側口蓋の型をとるために、上側トレイ123と共に使用するように供給される。
図21Aは、口隆線および上側口蓋124Aの印象を得るために使用される図18Aに示されるインサート125および図21Aに示されるトレイ123の断面図を示す。上側トレイ123は、略M字形断面を有し、且つ、図21Aは、口隆線および上側口蓋124Aの上方における複合材層126Aを示す。インサート125は、上側トレイ123に載置されると共に、複合材126Aおよびトレイ123の間にある。可撓性緩衝インサート125は、口隆線を歪ませることなく、また患者へ痛み又は損傷を負わせることなく、密接装着を達成すると共に上側口隆線および口蓋124Aの正確な印象を得るために、上側口隆線および上側口蓋124Aに接して、密着保持される。可撓性緩衝インサート125は、隆線の形状寸法を歪ませると共に置き換えかねない過剰な圧力が組織に付与されるのを阻止する。手によって保持されたUV光128は、患者の口の中において、口隆線124Aの印象を保持するために、複合材126Aを固体粘稠度に硬化するように使用される。患者の口から取り除かれると、複合材126Aが完全に固化するように、複合材126Aを完全に硬化させるために、より大きなUV光130又はUV機器が使用されてよい。
本発明の実施形態に係る義歯製造方法を、図22および図23に示される概略フローチャートを参照して、以下に説明する。
図22を参照すると、義歯製造方法200は、205において、患者の医学的および歯科的病歴を検討するために、患者および義歯施術者の間における臨床的診察を行う工程を含む。
210において、本方法は、図12〜図15を参照して上述される一連の弓形部材50を含む前述のシステムを使用して、患者の弓形の寸法を決定する工程を含む。患者の弓形寸法は、3つの寸法を含む構成が使用されるならば、小、中又は大であると、或いは、例えば5つの寸法1〜5を備えた構成等、別の構成が使用されるならば、中間寸法例えば寸法4と判定される。
本方法は、215において、先細、正方形、又は卵形等、患者の弓形形状を判定する工程を含む。熟練した義歯施術者であれば、患者の弓形形状を目によって判定し得、或いは、図24に示されるように、様々な弓形状を示す表を参照して判定され得る。図24は、1つの特定寸法に対する様々な弓形状を示す。他の寸法、形状、および形態もまた利用可能であり、また図24は、一例に過ぎない。215において、歯科施術者は、患者の診察において、患者の歯の概略形状を判定し得、それは、先細、正方形、又は卵形であり得る。この歯形状の例は、図25に示される。歯はまた、矩形、長方形、又は非対称先細であってもよい。歯の適切な色又は色調が判定されてもよい。
220において、本方法は、義歯が作られる上側および下側ベースのために、特定の歯列弓28を選択する工程を含む。選択された歯列弓は、正しい寸法および形状であることに加えて、患者に対する歯の適切な寸法、形状、および色、又は色調をも含む。幾つかの実施形態によれば、本工程は、患者の咬合垂直方向形状寸法(OVD)および残りの垂直方向形状寸法(RVD)を確かめる工程を含む。
図25A〜図25Dを参照すると、本方法はまた、患者の咬合、分類および咬み合わせを判定する工程を含み、これらは、3つの部類に分類される。図25Aに示されるように、分類Iは、1から3ミリメートルの間で変化するオーババイトおよびオーバジェットを伴う正常咬合である。図25Bは、正常咬合を示しており、オーババイトが3ミリメートルよりも大きい。分類IIは、後正常咬合であり、図25Cに示されるように、オーバジェットがオーババイトよりも大きい。分類IIIは、逆オーバジェットを伴う前正常咬合であり、図25Dに示されるように、切歯が縁同士で接する。歯列は、平坦咬頭、準高咬頭、又は生理学的に自然な咬頭であってよく、これは、下側の残りの口隆線14の利用可能な高さ又は萎縮程度によって決定される。
歯列弓はまた、その状況での患者の交差咬み合わせ咬合を伴い作られることにより、下顎は一方側においてより大きく、且つ、その側の後方歯は上側顎弓形よりも頬側に位置決めされる。上頬側咬頭は、後方下側歯列の中央窩に嵌合し、通常は、頬後方下側歯列よりも頬側で噛み合う。
図25Eを参照すると、本発明の実施形態に係る歯列弓は、図25Eに示されるように、単一平面、組み合わせ、舌接触、準解剖学的又は解剖学的等、平面において均衡させられた咬合の様々なタイプを受入れるように整形され得る。或いは、本発明の実施形態に係る歯列弓は、スピー湾曲、ウィルソン湾曲、およびモンソン湾曲等、様々な咬合面の湾曲タイプを受入れるように整形され得る。
225において、本方法は、患者の残りの口隆線124および上側口蓋の印象を得る工程を含む。幾つかの実施形態によれば、これは、図16に示される軟質複合可撓性複合材シート90およびゲルインサート110,125、並びに図18〜図21、図18A、図20A,図20B、および図21Aに示される上側および下側トレイ120,123を用いて得られる。可撓性複合材シートは、必要に応じて、患者の上側および下側隆線の少なくともいずれかに対して整えられる。通常、患者は完全な上顎および下顎義歯を必要とするので、上側および下側の両方が必要とされる。本方法200の幾つかの実施形態によれば、複合材は、患者の残りの口隆線124および上側口蓋上で直接的に成形されると共に、即製の硬質上側および下側ベースを製造するために、紫外光を用いて硬化させられ、次に、従来の印象材料が、型が作られるように使用されることなく、適切な口嵌め合いおよび延長部と適合するように、バーで整えられる。
この時点において、任意で、患者の古い義歯の印象は、従来の技工用パテを用いて作られ得、且つ硬化させられた時に、ベースはまた、この段階において、これら硬化させられたパテベースの上方にメッシュ状複合材白シートを付与し、所定位置に押圧し、且つ棘状延長部において、鋭利な機器を用いて周縁部を整えることにより作られ得る。ベースは次に、UV硬化器で固化させられ、且つ周縁領域は、適合するように整えられる。ベースは、図45〜図51に関連して、以下に更に詳細に説明される。
図26Bおよび図26Cに示される上側ベース134および歯列弓28を参照すると、例えば義歯接着剤を用いて、上側および下側ベースが患者の口の中で安定化させられた状態で、必要であれば、ベースが一時的に患者の口隆線124に一時的に取り付けられるように、本方法は次に、230において、過剰に大きくされた寸法高さの光硬化複合材の小
さな塊即ちダブ132を、犬歯および第1大臼歯位置等、複数の位置において、上側ベース134上に押圧する工程を含む。或いは、複合材塊即ち光硬化複合材ダブ132は、図26Aに示されるように、同様な位置において、患者に対して選択された支持体10を含む上側歯列弓28上に押圧され得る。複合材結合ゲルは、ベースおよび弓形底部への結合を確約するために、ダブ132の各接触端部に加えられ得る。施術者が、下側弓を最初に配置することを好むならば、本システムはまた、最初に、下側弓を正確な位置へ慎重に載置し、下側弓を堅固に硬化させ、次に、上側弓を下側弓に載置および固定することにより、連続的であってもよい。ダブは次に、上側弓およびベース上に載置され、且つ、患者は、要求される位置が得られるまで、自らの口を閉じるように求められる。
上側歯列弓28はダブ132を介して、上側ベースに取り付けられるが、ダブは未だ硬化させられていない。従って、本方法は、235において、正確な中心咬合位置および面、並びに患者にとって最良な美的位置を得るために、歯科施術者が歯列弓28を上側ベース134に対して位置決めする工程を含む。義歯施術者は、必要に応じて、歯列弓28を移動および操作することが可能であると共に、特に後方即ち先端領域において、障害物が存在しないことを確認してよい。
本方法は、240において、ベース134に対する歯列弓28の所望位置が維持されるように、全ての複合材ダブを合わせて硬化させるために、患者の口の中で、ダブ132を一般的なUV拡散器で硬化させる工程、或いは、従来の手によって保持されるUV光で、各ダブ132を個々に硬化させる工程のいずれかを含む。図27Aおよび図27Bは、光硬化ダブ132で、上側ベース134に固定される歯列弓28を示す。図27Aおよび図27Bはまた、上側ベース134との歯列弓28の整合のためのガイドとして使用され得る近心頬側咬頭標識137、犬歯標識138、中心標識138A、および後方窩線139を示す。
245において、本方法は、フォックス面等の面判定器具、又は咬合面を判定するために目下使用される他の利用可能な従来方法等で、咬合面および中心位置を確認する工程を含む。幾つかの理由により、例えば、誤配置又は他の誤り、例えばダブ132が完全に硬化させられておらず、また完全に結合されていないことの少なくともいずれかに起因して、位置は正しくないかもしれず、従って、正しい位置に関する不確実性を生じさせる。本方法は次に、250において、歯列弓28を上側ベース134から簡単に分離する工程と、上側ベース134に対する歯列弓28の正しい位置が得られるまで、工程235,240および245を繰り返す工程とを含む。
位置が正しいならば、本方法は、255において、上側ベース134および取り付けられた弓形を、患者の口から取り除く工程と、関連する下側歯列弓を上側歯列弓と嵌合させる工程とを含み、即ち、嵌合および咬合が正確であるように、下側弓形が上側歯列弓に対して正確に位置決めされる。下側弓形は、溶融粘着ワックスで、上側弓形の正しい位置に、一時的に固定される。
260において、本方法は、3ユニット機器を患者の口に載置する工程を含む。3ユニット機器は、上側歯列弓28と、上側歯列弓と完全咬合で嵌合されると共に取り付けられた下側歯列弓とが取り付けられている上側ベース134を含む。
患者の口の中において、下側ベースが義歯接着剤で口隆線124に良好に固定された状態で、本方法は、265において、上側および下側顎の両方、従ってベースの完全中心相互位置が得られることが満足させられるまで、合わせ位置を正確にたどる工程を含み、下顎およびTMJ位置が最も後退させられた静止位置にあることを確実にする。一定の閉鎖位置を確認することは、患者が単一の再度生じる位置に保証されるのに避けることができ
ず、必要な顎の位置および垂直方向形状寸法の時期尚早の接触又は妨害を生じさせることがない。
本方法は、270において、多数の複合材ダブ132を、例えば犬歯および第1大臼歯位置において、下側歯列弓および下側ベースの間に載置する工程を含む。ダブは、下側歯列弓又は下側ベースの上に載置され得る。複合材結合ゲルは、下側ベースおよび弓形底部への結合を確約するために、ダブ132の各接触端に加えられてよい。
273において、一体化した3ユニット機器の下側歯列弓および下側ベースが正確な位置にあると共に、正しい嵌合、位置合わせ、および咬合面を維持するように、患者は、ゆっくりと口を閉じる。これは、咬合面、中心位置、およびOVDを確認する工程を含む。
図27Cを参照すると、275において、本方法は、4ユニット機器160を患者の口から取り除く前に、下側複合材ダブを十分にスポット硬化させる工程を含む。4ユニット機器160の連続構成は、上側複合材ダブを介して上側歯列弓28と連結される上側ベース134と、粘着性ワックスを介して下側歯列弓28Aと連結される上側歯列弓28と、下側複合材ダブを介して、下側ベース136に連結される下側歯列弓28Aである。上側ベース、並びに下側ベースおよび下側弓形が取り付けられた上側弓形は、次に、弓形の嵌合および咬合部分において、全ての残りの粘着性ワックスを取り除いた後に、粘着性ワックスで合わせて固定された2個の弓形を分離させることにより、嵌合する歯列弓の位置において、互いに分離される。完成させられていない機器は、目下、完成に先立ち、咬合合わせ位置および義歯の適合を追跡確認する準備ができている。注目しなければならないが、粘着性ワックスが破砕又は移動する一方で、4ユニット機器を口から取り除く工程が行われなることは問題ではない。4ユニット機器160は、2ユニット、即ち分離させられた上側および下側機器として取り除かれ得る。なぜならば、2個の別個のユニットは、各ユニットがベースおよび弓形を含み、目下、固化および硬化させられた複合材ダブによって、安定化させられると共に、取り付けられているからである。
本方法は、280において、上側および下側ベース134,136を、それらに取り付けられる歯列弓28,28Aを備えた状態で、患者の口に戻す工程を含む。
285において、本方法は、2個の歯列弓の咬合接触が嵌合し、咬合し、且つ正確に位置するまで、患者に注意深く顎を開放および閉鎖するように求めることにより、義歯の適合、嵌合、および咬合接触、並びに義歯の中心および外観を確認する工程を含む。これは、咬合面、中心位置、OVDおよびRVDを確認する工程を含む。
不規則的な不正咬合又は関連する問題が存在するならば、290において、本方法は、下側歯列弓28Aを下側ベース136から分離させる工程と、本方法を工程255から繰り返す工程を含む。位置が正しく且つ義歯施術者および患者の両者が満足するのであれば、本方法は、工程295において、上側および下側義歯を患者の口から取り外す工程と、上側および下側歯列弓を互いに分離させる工程を含む。ベースを口隆線および上側板に固定するために使用される義歯接着剤は、下側ベースから取り除かれると共に、完全に洗浄される。
300において、本方法は、義歯施術者が、義歯を完成させるために、本発明の実施形態に係る複合材方法又は従来方法の何れを使用するかを決定する工程を含む。方法200は、図23Aの305において、複合材方法に従い継続する。方法200は、図23Bの340において、従来方法に従い継続する。
図23Aを参照すると、施術者が複合方法を用いるならば、本方法は、305において、上側および下側ベース134,136に自己硬化複合材ゲルを載置する工程を含み、そ
れらは次に、患者の口の中で、後方に載置され、患者は、複合材ゲルが、その第1設置/固化段階において、固体粘稠度に部分的に硬化させられるまで、位置を保つように求められ、通常は、約2〜3分かかる。ゲルは、外方へ流出するのが許容される一方で、未だ軟質であり、それ故、ベースの周縁拡大部を取り囲む小溝を充填して、ベースの全周上での自然な転がりを与えると共に、より正確な最終適合のために、より正確な材料の裏打ちをベースに充填する。
本方法は、310において、上側および下側義歯を患者の口から取り外す工程と、それら義歯を、完全に硬化させるために、UV機器に載置する工程とを含む。義歯は目下、完成段階の準備ができている。それ故、義歯施術者および患者の間における臨床的診察は、1回の臨床訪問のみで完了する。
義歯は、この時点において、完成のために、義歯技工所に送られ、或いは診療所において、所内で完成させられると共に、完全に硬化させられるために、UV硬化機器に載置される。
本方法は、315において、図27Dに示されるように、唇および舌の両領域において、両方の義歯に複合材を充填する工程を含む。図17に示されるような口唇フェストゥーンエプロンの形態をなす所定長さの可撓性アクリル樹脂複合材100が、フェストゥーン加工されると共に自然に特徴づけられた外観を備えた義歯を完成させるために使用され得る。軟質複合材面は平滑にされ、且つ、端縁は十分に広げられると共に、硬質および軟質複合化合物の間における滑らかな移行のために一体化させられる。図27Eを参照すると、フェストゥーン加工はまた、一連の略三角形状楔を複合シートから切り取ると共に、歯根の構成と似せるために、それらを各選択された歯首部の下に載置することにより、手によって作られ得る。図27Fは、上側ベース134の半分が未だフェストゥーン加工されている部分フェストゥーン義歯を示す。周縁において複合材で作られる厚みは、所望の効果をもたらすために変化させられてよい。最終完成層が上部に載置された状態で、輝く光沢が生じさせられ得、これは、義歯が機械により高光沢研磨させられる必要すらないことを意味しており、更なる効率が結果的に得られる。
320において、本方法は、改良されたシールによって、上側口蓋上における上側義歯の保持を改善するために、上側ベースの組織接触側の後方領域に、後堤圧子の形態をなす押込み部材140を加える工程を含む。後堤圧子およびその使用例は、図28〜図31を参照して、以下に説明される。
方法に戻ると、325において、本方法は、完全硬化のために、2個の義歯ベースをUV機器へ戻す工程を含む。330において、義歯は目下、整えられ、研磨され、且つ滅菌される通常の工程を通過し、その後に、それら義歯は、診療所において、第2の最終訪問の準備が整っている。
335において、本方法200は、義歯を患者の口に装着し、必要であれば、組織痛を検査すると共に整える工程を含み、且つ本工程は完了する。
本方法は、上側および下側歯列弓28,28A夫々が、従来の方法の一つにおいて、正確な位置に固定された状態で、上側および下側ベース134,136から義歯を製造する工程を含む。義歯は、従来周知の埋没、射出成形、又は複合製造法を用いて作られ得る。任意で、義歯の完成方法を用いる時に、図17を参照して上述された複合材歯エプロンを用いることにより、UV複合材適応および充填方法を、義歯の舌部分および唇部分に利用すると、時間が節約され得る。
図23Bを参照すると、施術者が従来方法を用いるならば、方法200は、340にお
いて、義歯再裏打ち工程において通常行われ得るように、ゴムベースの印象材料を用いて、隆線の正確な印象をより正確に得る工程を含む。本工程は、下側裏板を患者の口に載置する工程と、上側印象をとり、患者に予め記録された垂直方向寸法に閉じるように求めると共に、嵌合および歯位置および中心が完全であることを確実にする工程とを含む。本工程は、下側ベースの印象でも繰り返される。
両方のベースに正確な印象材料が印されると、本方法200は、345において、それらを口から取り除き、滅菌流体ですすぎおよび洗浄し、且つワックスかけのために技工所に送ると共に、完成のために加工する工程を含み、この工程には、裏打ち材の再装着、又は再構築方法および工程が後に続く。本方法は、350において、義歯を技工所において、従来方法を用いて形成する工程を含む。義歯は形成されると、次に、355において、整えられ、研磨され、滅菌されると共に、診療所に戻される。方法200は、360において、義歯を患者の口に装着し、組織痛を検査すると共に、必要であれば整形する工程を含み、且つ本工程は完了する。
方法200の代替実施形態によれば、本方法は、図22を参照して上述される後続工程205〜225を含む。次に、義歯施術者によって又は技工所において、従来の材料を用いて、モデルが患者の口の初期印象から注型され得る。上側および下側ベースは、次に、注型モデルから成形され得る。従来のワックス位置合わせリムが使用されないならば、次に、方法200の工程230から335が、上述されたように後に続く。
方法200の他の代替実施形態において、従来のワックス位置合わせリムが使用されるならば、方法は、全てのワックス形状および表示を得る工程と、咬合および歯列弓28の設置のために、取り付けられた上側および下側ワックス位置合わせリムを技工所へ送る工程とを含む。それ故、歯列弓は、義歯施術者および技工所の少なくともいずれかへ送られ得る。歯列弓は、単一工程において、位置合わせリムの適切な表示への上側弓形の載置、更に下側弓形を上側弓形との完全嵌合関係に置くことにより、迅速に完全嵌合に設定される。ワックスは、ベースリムの周りのあらゆる所において、歯列弓28の複合アクリル樹脂30と同化させられる。リムはフェストゥーン加工され、任意で、図17を参照して上述されたようなエプロンのワックス版を使用し、且つ、リムは、患者への装着のために、診療所に送られる。方法200は次に、図23〜23Bに示されるように、工程280から再開され得る。
図28を参照すると、本発明の別の態様の実施形態によれば、後堤圧子の形態をなす押込み部材140が、上側ベース134への取り付けのために設けられる。押込み部材140は、振動線において、上側隆線の左側および右側隆起の間の軟口蓋の幅に延出するように構成されると共に、上側口蓋上での上側義歯の保持を改良するために、上側ベース134の後方組織接触側領域に取り付けられる。押込み部材140は、押込み部材140のベース145から延出する側部144および点146を有する2つの隣接する先細領域142を含む複合材層である。各先細領域142は、夫々の点146からベース145まで延出する線に沿って、隆起プロファイル143を有し、且つ隆起プロファイルは、各側部144に向けて、高さが減少する。先細領域142は、口蓋の横方向口蓋縫合線まで延出するように構成されると共に、患者の特定の口の寸法および形状に従い、様々な寸法で供給される。押込み部材140は、適用の準備が整うように、裏打シート148上に設けられ得る。
図29は、上側口隆線および上側口蓋の石モデル141を示しており、従来の後堤圧子を生じさせるための石モデル141の印象140Aを示し、結果的に、完成段階において、モデル141にアクリル樹脂を充填することにより、埋没工程又は射出工程で作られる。図29は、軟口蓋および硬口蓋の間に見られる振動線において、押込み部材140によ
り軟口蓋に作られる陥凹の位置および形状を示す。
図30を参照すると、押込み部材140は、上側ベースの後方領域に取り付けられると共に、ベース145において、最も後方の丸くされたより厚みのある端部150から、先細領域142に沿って、点146まで厚みが減少する。それ故、押込み部材140は、上側ベース134の組織接触側に混ざりこむ。押込み部材140の円形でより厚みがある端部150は、粘膜即ち軟組織156によって被覆された硬口蓋154の約2〜3ミリメートル後方の軟口蓋152に、くぼみ即ち陥凹151を作り出す。
図31は、石モデル141およびモデル内の切り取られた陥凹140Aの断面図であり、石モデル141上での後堤の位置、深さ、および輪郭を示している。モデル141は、振動線におけるモデル141の軟口蓋領域152Aおよびモデル141の硬口蓋154Aの間における陥凹140Aの位置を示す。図31はまた、上側口隆線135の図示を示す。押込み部材140は、上側ベースを所定位置に維持するのを助けるために、義歯の上側ベース134および軟口蓋152の間における密封を改善する。
連結された支持体およびクリップ式人工歯に関する本発明の更に別の実施形態を、図32〜図44を参照して、以下に説明する。
図32を参照すると、支持体10の実施形態は、第1長尺状部材402および第2長尺状部材404の形態をなす支持体の少なくとも2個の部品の間に、少なくとも1個の継手400を含む。本実施形態において、継手400は、支持体10の前方領域16の略中心に設けられる。継手400は、支持体が、患者の歯列弓の所望形状に精確に調整されるのを可能にするために、第1および第2長尺状部材402,404が、互いに相対的に枢動するのを許容する。図32は、矢印によって示される第1および第2長尺状部材402,404の移動により達成される第1および第2長尺状部材402,404各々の3つの異なる位置を示す。それ故、図32は、支持体10の9つの異なる形態を示す。しかし当然のことながら、第1および第2長尺状部材402,404には様々な位置が存在し、図32に示される個々の位置ばかりではない。更に、人工歯を取り付けるための孔26を含む支持体10が、図32には示される一方で、孔26は省略されてもよく、また人工歯は、本明細書に説明される他の方法のいずれかによって、支持体10に取り付けられてもよい。
図33を参照すると、支持体10の他の実施形態において、少なくとも1個の継手400が、支持体の後方領域20の少なくとも一方に設けられる。図33は、支持体10の2つの実施形態を示しており、実施形態Aにおいて、支持体10は、右側後方領域に継手400Aを含み、また、実施形態Bにおいて、支持体10は、右側および左側の両方の後方領域に、継手400A,400Bを含む。実施形態Aにおいて、支持体10は、長尺状弓形部材406および長尺状部材408の形態をなす2個の部品を含む。本実施形態は、後方領域の一方における支持体10の角度が、支持体10の残りの部分に対して調整されるのを可能にする。実施形態Bにおいて、支持体10は、前方領域16において、弓形部材410の形態をなす3個の部品と、継手400A,400B夫々において、弓形部材410に接合される後方領域20の2個の長尺状部材412,414を含む。本実施形態は、両方の後方領域20における支持体の角度が、支持体10の前方領域16に対して調整されるのを可能にする。
図34を参照すると、支持体10の実施形態は、4個の部分および3個の継手を含んでよく、支持体10は、支持体の右側後方領域20の継手400Aと、左側後方領域20の継手400Bと、前方領域16の継手400Cとを含む。それ故、支持体10は、2個の前方部品および2個の後方部品を含む。図34は、3個の継手を含む4部品支持体10の多くの異なる形態の中の3つを示すが、当然のことながら、図34に示される個々の形態
以外に、本支持体を伴い、多くの他の形態が達成可能である。
患者の歯列弓への支持体10の適応性は、支持体10における継手400の数に伴い増加する。しかしながら、単一の継手400によってでさえも、支持体10は、幅広い弓形に適応可能である。連結式歯用支持体は、非対称的な顎をもつ患者に特に有用であるが、連結式支持体は、対称的又は適度に対称的な顎で使用されてもよい。
図32〜34に示される第1および第2長尺状部材402,404、長尺状弓形部材406、長尺状部材408、弓形部材410、および2個の長尺状部材412,414は、より一層の適応性をもたらすために、多様な寸法および形状で供給されてよい。部材402〜414は、小、中、および大の寸法で、又は本明細書で説明された寸法構成における寸法1〜5の一つで供給されてよい。部材402〜414は、正方形、先細、又は卵形形状の歯列弓に適するように整形されてよい。
図35を参照すると、幾つかの実施形態によれば、支持体10の2個の部品の間の継手400は、雄プロファイル416を有する一方の部品および雌プロファイル418を有する他方の部品を伴い得られる。図35は、前方領域16の弓形部材410および左側後方領域20の長尺状部材414の間における継手400の側面図を示す。雄プロファイル416は、貫通する孔422を有する突起420を含む。雌プロファイル418は、凹部424と、凹部424のベース430およびルーフ432夫々に孔426,428を含む。突起420は凹部424内に受入れられ、且つ、ピン434は、整合させられた孔422,426および428を貫通させられると共に、適切な手段、例えば押圧ピン止め等によって、所定位置に固定され、これにより、弓形部材410および長尺状部材414は、互いに対して枢動させられる。
図35Aは、継手400の別の変形例を示しており、これもまた、突起即ち雄プロファイル416を有する支持体10の一方の第1部分、例えば後方部分と、凹部即ち雌プロファイル418を有する支持体10の他方の第2部分10、例えば前方部分とを含む。本実施形態において、雄および雌プロファイル416,418は、略円形である。しかしながら、前記実施形態のピン434は省略され、且つ、雄プロファイル416は、2個のプロファイルの間における装着接近により、雌プロファイル418内に保持および係合させられる。雌プロファイル418の開口435は、雄プロファイル416の幅よりも狭く、且つ、雄プロファイル416は、開口435を通り取り外され得ない。雄プロファイル416は、上方又は下方から、雌プロファイル418に挿入され、且つ、第1部分および第2部分の間における中心位置のいずれか側への約7度の枢動が許容される。
図36〜40を参照すると、幾つかの実施形態によれば、雄プロファイル416の突起420および貫通孔422、並びに雌プロファイル418の凹部424は、隣り合う部分が枢動し得る角度を制限する継手400を形成するために、特定の形状を有する。図36は、豆形状を有する突起420およびそれを貫通する孔422を示しており、また、図37は、豆形状の突起420を受入れるために、豆形状を有する凹部424を示す。雌プロファイル418の孔426および428(図示なし)は、円形である。ピン434が孔422,426および428を通過する状態で、図38〜40に示される支持体10の一方の他方に対する移動が達成される。それ故、継手400は、3点接触を含み、且つ、幾つかの実施形態において、中心位置のいずれかの側への約7度の移動が許容される。
本明細書に説明される継手は、支持体の部品間における正確な嵌合をもたらすと共に、一平面のみにおける支持体10の隣り合う部品の相対移動を可能にするために、優れた許容誤差となるように機械加工される。
次に図41および42を参照すると、幾つかの実施形態によれば、人工歯は、クリップ式人工歯の形態をなしており、支持体10にクリップ止めする。クリップ式人工歯は、単一のクリップ式人工歯の形態をなしてよく、或いは、図41に示されるように、複数の人工歯442を含むクリップ式ユニット440の形態をなしてよい。クリップ式ユニット440は、前方クリップ式ユニット444又は後方クリップ式ユニット446であってよい。図41に示される例において、前方ユニット444は、6個の前方人工歯448を含み、且つ2個の後方ユニット446各々は、4個の後方人工歯450を含む。好適な実施形態によれば、クリップ式ユニット440は、人工歯442と、アクリル樹脂等の適切な材料から作られる人工歯茎領域443とを含む。
クリップ式人工歯は、本明細書で説明される本発明の実施形態に係る支持体10のいずれかと共に使用され得る。例えば、図42を参照すると、2個の後方ユニット446は、見えにくい後方領域20において、内部に孔26を含む支持体10と共に使用される。前方領域16において、個々の人工歯40は、上述されるように、孔26を通過する固定具48を介して、支持体10に取り付けられる。これにより、より見える前方歯の個々の形態が達成される。しかし当然のことながら、個々の人工歯は、必要であれば、クリップ式ユニット440或いは個々の人工歯40のいずれが前方領域16で使用されるかに拘わらず、後方領域20で使用されてよい。
幾つかの実施形態によれば、支持体は、歯列の形態をなす支持体に固定される人工歯と、人工歯を取り付けるための1又はそれ以上の空間を含む。空間内において、個々のクリップ式人工歯又は複数の人工歯を含むクリップ式ユニットが取り付けられ得る。或いは、個々の人工歯40は、1又はそれ以上の空間において、孔26を通過する固定具48を介して、支持体10に取り付けられ得る。
図42Aは、前方および後方の両方の領域について、上側および下側支持体10をクリップ留めするためのクリップ式ユニット440の更なる例を示す。図42Aは、3個、6個、および7個の人工歯442を含むクリップ式ユニットを示しているが、当然のことながら、クリップ式ユニットは、1個の人工歯からフルセットの人工歯まで、あらゆる数の人工歯442を含み得る。クリップ式ユニット440は、患者の歯列弓の寸法および形状に適するために、様々な寸法および形状で供給される。寸法には、小、中、および大を含んでよく、或いは、本明細書に説明されるような、例えば寸法1から5といった寸法構成に従い供給されてよい。様々な形状には、先細、卵形、および正方形を含んでよい、人工歯442は、患者の残りの歯に適合するように、或いは、患者によって所望されるように、多様な色および色調で、また、患者の要件を配慮するために、多様な咬頭形状、高さ、および角度で供給される。
クリップ式歯の更なる詳細について、図43および44を参照して、以下に説明する。図43は、支持体10にクリップ留めされる前方クリップ式ユニット444の側断面図を示す。支持体10は、孔26が貫通させられた状態で示されているが、孔26は、クリップ式ユニット444を支持体10に取り付けるために使用されない。クリップ式ユニット444は、支持体10の前方領域16の表面14を補完するように整形される後壁454を有する溝452を含む。溝452は、支持体10の湾曲上面および下面を受入れるために、湾曲上面456および湾曲下面458を含み、且つ、溝452は、支持体10の高さを受入れるのに十分な高さを有する。しかしながら、溝452の開口460の高さは、前方クリップ式ユニット444が支持体10とスナップ嵌合するように、支持体10の高さよりも小さい。開口460は、前方クリップ式ユニット444の溝452への支持体10の滑らかなスナップ嵌合を促すために、円形隆起462を含む。
図44は、支持体10に取り付けられる後方クリップ式ユニット446の断面端図を示
す。後方クリップ式ユニット446は、支持体10の後方領域20の下側を補完するように整形させられたベース464を有する溝463を含む。溝463は、支持体10の湾曲側面を受入れるために、湾曲側面466,468を含み、且つ、溝452は、支持体10の幅を受入れるのに十分な幅を有する。しかしながら、溝463の開口470の幅は、後方クリップ式ユニット446が支持体10とスナップ嵌合するように、支持体10の幅よりも小さい。開口460は、後方クリップ式ユニット446の溝463への支持体10の滑らかなスナップ嵌合を促すために、円形隆起472を含む。
他の実施形態によれば、クリップ式ユニット440は、支持体の孔26を利用して、支持体10に取り付き得る。例えば、前述の溝452,463に代えて、しかし好適にはそれに加えて、クリップ式ユニットは、支持体10の夫々の孔26への挿入のために、突起(図示なし)を含んでよい。突起は、挿入されると、スナップ嵌合をもたらすために、弾性端部を含み得る。弾性端部は、必要に応じて、支持体からの取り外しを促すために、圧縮させられてよい。
図44Aを参照すると、クリップ式ユニット440、また特に後方クリップ式ユニット446の他の実施形態によれば、支持体10の1個又はそれ以上の孔26を通過する固定具650は、クリップ式ユニットを支持体に固定するために使用され得る。これは、図9〜10Gを参照して上述された人工歯の実施形態と同様の方法で行われ得る。図44Aは、ねじ込み式ねじ等の固定具650を示しており、支持体10の孔26を通過して、後方クリップ式ユニット446のねじ込み凹部652に入れられる。支持体10は、固定具650の頭部の少なくとも一部を受入れるために、くぼみを含んでよい。当然のことながら、固定具650およびねじ込み凹部652は、人工歯のクリップ機能に代えて、又は加えて使用されてよく、また、支持体10への人工歯の取り付けのために、生体適合接着剤に代えて又は加えて使用されてよい。
本発明のいくつかの実施形態に係る人工歯の更に別の実施形態において、人工歯は、人工歯が支持体10へ摺動し得るように、支持体10の一部を受入れるための長尺状凹部即ち溝を含み得る。例えば、ユニットの形態をなす後方領域用の人工歯は、図44Aに示されるクリップ式ユニットと同様に、ユニットの対向する内壁に沿って、長尺状溝を含んでよい。長尺状溝は、支持体10の一部、例えば、支持体10の各後方領域20の略水平な平面領域などを受入れるように、寸法が決められると共に整形されてよい。本例において、人工歯を含む後方ユニットは、第1および第2大臼歯領域に対応する支持体10の後方領域20へ向けて摺動する。人工歯を含む前方ユニットが、支持体10の前方部分16を摺動可能に受入れるために、上側および下側長尺状溝を含むことも企図される。
ベース、製造方法、および義歯製造方法に関する本発明の更なる実施形態を、図45〜51を参照して、以下に説明する。以下の方法の少なくとも幾つかは、義歯が破損、損失させられた場合、或いは患者が義歯を必要とした始めての時に特に有用である。
図45は、ベーストレイ500を示しており、ベーストレイ500に取り付けられたハンドル502を含む下側義歯を製造するためのものである。ハンドル520は、適切な金属又はプラスチック材料であってよいが、ステンレス鋼が、好適な材料の一例である。ハンドル520は、図示されるベーストレイ500の複数の長穴504に、或いは本明細書に説明される複合材料の1個又は複数の光硬化ダブを用いることにより固定され得る。ベーストレイ500は、支持体10および人工歯のトレイ500への接着を助けるために、保持溝505を含む。図46は、ハンドル502が複数の長穴504から取り外された状態において、上側義歯を製造するためのベーストレイ506を示す。
ベーストレイ500,506は、混ぜ合わされた標準的歯科技工用パテおよび触媒を使
用し、また例えば、患者の既存の上側義歯および下側義歯の少なくともいずれかに、或いは、利用可能であるならば、予め存在するモデルに直接的に載置することにより、相対的に迅速且つ容易に製造され得る。或いは、ベーストレイ500,506は、従来のゴムベースの印象が製造されるならば、PMMA等の強化アクリル樹脂、又はポリプロピレン等の別のポリマーを用いて、同様の方法で製造され得る。
更なる代替物として、ベーストレイ500,506は、本発明の実施形態に係り、本明細書に説明されるように、メッシュ強化可撓性複合ベース材90を、患者の既に存在する上側義歯および下側義歯の少なくともいずれかに直接的に載置することにより、迅速且つ容易に製造され得る。(複数の)義歯が利用可能でない場合には、メッシュ強化可撓性複合ベース材90は、患者の口隆線上に載置されると共に、口隆線の形状にゆっくりと押圧される。整形された強化複合材は、光硬化させられると共に、患者に合わせて作られる上側および下側の少なくともいずれかのベーストレイ500,506を迅速に得るために、端縁の周りが整えられる。ベーストレイ500,506は、次に、支持体10、人工歯、複合材の光硬化ダブ、および本明細書に記載される患者の口への嵌合方法を用いて、正確な義歯を製造するために使用され得る。
図47を参照すると、或いは、ベーストレイ500,506は、患者の口隆線の印象を得るために、VOCOアメリカから市販されているUfiGel等の2段階シリコンベース複合材508又はその他が充填されてよい。或いは、ゴムベースの印象材が使用されてもよい。義歯は、次に、所内で完成させられ、或いは、歯科技工士又は歯科技工所へ外部委託されてよい。
図48を参照すると、複合材上側ベーストレイ506の別の実施形態は、本明細書において先に説明されたように、貫通する可撓性生体適合強化メッシュ92を含む。図48の分解組立図および図50の背面図を参照すると、トレイ506の可撓性生体適合強化メッシュ92の少なくとも一部が露出されている。図示される実施形態において、トレイ506は当初、複合材を有さない可撓性強化メッシュ円蓋510を含む。円蓋の寸法および形状は、患者間で変化し、且つ、本発明者は、可撓性強化メッシュ円蓋510が、上側トレイ506、ひいては上側義歯の患者への特に正確な装着を可能にすることを確認した。軟質可撓性非硬化複合材の別個の上側および下側シート512,514は、可撓性メッシュ円蓋510の上側および下側夫々において、上側トレイ506に取り付けられると共に、液体結合剤などの適切な結合法を用いて、それに結合される。義歯の円蓋は、次に、骨口蓋の異常に拘わらず、患者に特有の円蓋となるように正確に成形され、次に光硬化され得る。不必要に厚い円蓋が回避され、従って、快適な装着が得られると共に、材料が無駄にされない。
図51を参照すると、複合材のロッド516は、適切な手段によって、上側ベーストレイ506の周縁に取り付けられ得、患者の口の端への完全な装着を達成するために、患者の口に成形される。
幾つかの実施形態によれば、複合材はまた、上側ベーストレイ506、並びに或いは代わりに、円蓋510の周縁から、当初に省略されてもよい。この実施形態において、上側ベーストレイ506は、可撓性強化メッシュスカート518を含む。複合材のロッド516は、次に、患者の口の端への正確な装着を達成するために、スカート518の周りにおいて、上側ベーストレイ506の周縁に取り付けられ得る。
下側ベーストレイ500もまた、患者の口への正確な装着を達成するために、トレイ500の唇および舌の少なくともいずれかの領域において、可撓性強化メッシュスカートを含んでよい。患者の口隆線の厚みの変化は、装着の正確性、従って義歯の快適性を最大に
するために、ただ周縁における複合材の正確な厚みおよび形状を達成することにより、受入れられ得る。
本発明の更なる変形および実施形態は、図52〜56に示される。図52は、本明細書に説明される上側および下側ベーストレイ、例えば下側および上側ベーストレイ500,506と共に使用する弓形部材700の斜視図である。弓形部材700は、例えば、図12〜図14に関連して上述された弓形部材50の形態をなしてよい。弓形部材700は、弓形部材700の平面の上方に延出するハンドル56と、ハンドル56により近い左側および右側前方領域にある一対の前方孔52、および左側および右側後方領域にある少なくとも一対の後方孔53の形態をなす複数の孔を含む。弓形部材700は、前方孔52および後方孔53の間の各アーム706上に、中心穴702およびトリム線704を含み、これに沿って、アーム706は、患者の口の寸法に適するように、弓形部材700の寸法を減少させるために、切断され得る。弓形部材700は、上述されたような寸法構成に従い、例えば5つの異なる寸法のような多様な寸法で設けられてよい。図52はまた、以下に説明されるように、弓形部材700をベーストレイに連結させるために、孔52に取り外し可能に挿入されるコネクタ708を示す。
図53は、コネクタ708の拡大斜視図を示しており、弓形部材700にクリップ留めされ得る。コネクタ708は本体710を含み、本体710は、そこから延出する突起712を有する。突起712は、拡大端部714と、端部714およびコネクタ708の本体710の間の胴部76を含む。突起712は、弾性材料から形成されてよく、図54の断面図に示されるように、弓形部材700の一方の孔52,53に少なくとも部分的に挿入させられる。一方のアーム706によって形成される一方の孔52,53の外周は、コネクタ708を孔の所定位置に保持するために、胴部716と係合する。コネクタ708の幾つかの実施形態は、図55に示されるように、コネクタ708を上側および下側ベーストレイに取り付けるために、本体710の下側に塗布される接着剤712を含む。接着剤712は、使用の準備が整うまで、その接着特性を維持するために、取り外し可能なカバー714によって被覆されてよい。或いは、コネクタは、従来の生体適合接着剤で、上側および下側ベーストレイに取り付けられてよい。
図55は、上側ベーストレイ506を示しており、ベーストレイ506の後方領域に取り付けられる一対のコネクタ708Aと、前方領域に取り付けられるコネクタ708Bを含む。弓形部材700は、次に、後方孔53および中心孔702夫々を介して、コネクタ708A,708Bに取り付けられてよい。或いは、コネクタ708A,708Bは、最初に、弓形部材700の孔53,702によって係合させられ、次に、ベーストレイ506に接着されてよい。図55に図示される上側ベーストレイ506はまた、上述されるように、可撓性強化メッシュ円蓋510および可撓性強化メッシュスカート518を含む。図56は、コネクタ708を用いて、弓形部材700への取り付けに備える可撓性強化メッシュスカート518を含む下側ベーストレイ500を示す。
それ故、本明細書に開示される支持体10、歯列弓28、義歯、弓形部材50、インサート110,125、および後堤圧子140、システム、方法、および他の装置は、患者に対して義歯を製造するためにかかる時間を大きく減少させると共に、歯の配置を著しく確実にし、且つ義歯の品質および強度を改善することにより、従来技術の前述の問題の少なくとも幾つかに取り組む。義歯は、典型的には、義歯施術者への2回の訪問のみで、正確に装着され得、且つ、義歯を構成するために、従来の機械式連結機器を用いるのではなく、患者の実際の生理学的咬合が用いられるので、工程は一層正確である。支持体10および強化可撓性複合材ベース板90を含む歯列弓28は、義歯に付加的な強度および耐久性をもたらす。上側および下側ベースへの歯列弓の正確な装着方法は、従来技術と比較して大きく簡素化される。ベースへの歯列弓の正確な装着は、義歯施術者によって、患者の
実際の平常な顎に直接的に、一セッションで単に且つ唯一行われる。患者は、あまり正確ではない結果をもたらす基本的且つ最も複雑な形態をなす従来の咬合器のような仮位置決めする機械式機器を用いるのではない義歯の咬合器である。それ故、臨床工程における誤りは、技工所での相互作用又は介入を有することなく、同じセッションで迅速に確認されると共に、容易に修正される。
従来技術のシステムおよび方法が遭遇する診療所および技工所の間における印象、位置合わせリム、完全設定された試適等の変形の高頻度は、大きく減少させられ、また幾つかの場合では、完全に排除されさえする。これにより、義歯施術者、技工所技術者、および搬送者の間における相互作用数が減少および除去の少なくともいずれかとなり、これはまた、義歯施術者および技工所技術者の間にける災難および誤伝達の少なくともいずれかに起因して、また輸送中の破損に起因しての少なくともいずれかにより為される誤りの機会を減少させる。患者は、かなり短い時間枠内において、完全に完成した快適な義歯を受け取ることができ、ひいては、義歯がないという不便さが最小減になる。工程において大きく減少させられる誤りは、義歯施術者および技工所技術者が、より多くの患者の要求に仕えると共に、利益を増加させることを可能にする。加えて、本発明に従い作られる義歯はまた、歯列のベースを包囲する金属製支持体10と、完全装着ベースを被覆すると共に上側および下側両方のフランジを取り囲む強化メッシュ92に起因して、極めて強度が高い。本発明の実施形態に係る義歯はまた、押込み部材140等の特徴により、優れた性能を示す。
個々の人工歯を所望の位置および向きに配置する能力のおかげで、本発明の実施形態に従い製造される義歯の美しさにおける劇的な改良が存在し、これにより、一層自然に見える義歯が製造されると共に、患者の咬合が受入れられる。エプロンを備えた義歯のフランジ周りにおけるフェストゥーン加工はまた、より自然に見える義歯を製造し、且つ、その方法の簡潔性は、製造時間を減少させる一方で、品質を保つ。
連結式支持体は、異常な寸法および形状を有する弓形および咬合すら備えていても、正確且つ自然に見える義歯を維持するために、患者の歯列弓の幅広い寸法および形状への支持体の一層の適合性をもたらす。
1個およびそれ以上の人工歯を含むクリップ式ユニットは、義歯製造工程を更に加速する単純であるが丈夫な取付機構をもたらすことにより、本明細書に説明されるシステムおよび方法を増強する。クリップ式ユニットはまた、内部の孔を介して支持体に固定される個々の歯など、本明細書に説明される人工歯の外側形態と共に使用されてよい。
本明細書に説明される上側および下側ベーストレイは、義歯が破損、損失された場合、或いは患者が義歯を必要とした最初の時に、特に有用である。上側及び下側ベーストレイは更に、義歯製造工程を簡略化且つ加速化し、且つ、可撓性強化メッシュ円蓋およびスカートの少なくともいずれかを備えたベーストレイは、義歯の装着精度を更に改善する。
本発明の様々な実施形態および態様に係るシステム、方法、および装置は、義歯専門家、技工所技術者、および関係者によって、現今使用されている従来システム又は方法と合わせて使用されてよく、また、現今使用されている従来工程のいずれの段階において、導入されてもよい。
明細書全体において、一実施形態のいずれか又は特徴の特定の集合に本発明を限定することなく、本発明を説明することが目的であった。当該技術分野に属する者であれば、それでもなお本発明の範囲内にある特定実施形態から、変形物を実現できる。例えば、本方法の幾つかの工程は、説明される順序で、必ずしも行われる必要はなく、また、異なる順
序で行われてよい。例えば、方法200において、歯列弓および人工歯の寸法および形状判定工程は、歯列弓の印象を得る前又は得た後に、行われてよい。

Claims (31)

  1. 義歯の歯列弓の硬質支持体であって、該支持体は、歯列弓の湾曲に実質的に従うように湾曲させられる硬質長尺状部材を含み、前記長尺状部材の前方領域は、略後犬歯領域において該長尺状部材の後方領域に変形し、第2小臼歯領域から大臼歯領域までより水平形態になるように平坦にされることを特徴とする支持体。
  2. 前記長尺状部材は、金属材料、チタン、ステンレス鋼、高炭素鋼、金属合金、セラミックス、炭素繊維、少なくとも一つのポリマー、及び繊維複合材料、のうちの一つから作られることを特徴とする請求項1に記載の支持体。
  3. 前記長尺状部材の前部即ち前方領域の表面は、該長尺状部材の後部即ち後方領域の表面と略直交することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持体。
  4. 前記長尺状部材は、前記前方領域および各後方領域の間に、移行領域を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の支持体。
  5. 前記移行領域は、前記前方領域および各後方領域の間に捩れ又は平坦領域を有することを特徴とする請求項4に記載の支持体。
  6. 前記長尺状部材の表面は、前記歯列弓の人工歯の表面と実質的に平行であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の支持体。
  7. 前記長尺状部材の前方領域の表面は、前記歯列弓の人工切歯の1又はそれ以上の前面と実質的に平行であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の支持体。
  8. 前記長尺状部材の後方領域の表面は、歯列弓における人工大臼歯及び人工小臼歯のうちの少なくとも一方の1又は複数の咬合面と実質的に平行であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の支持体。
  9. 前記支持体は、患者の口の外形に整合するような歯列弓の形状及び患者の口の寸法に適合するような歯列弓の寸法の少なくとも一方の範囲内で提供され、該歯列弓の形状の範囲は、正方形、丸形すなわち卵形、或いは先細であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の支持体。
  10. 前記長尺状部材は、第1および第2大臼歯後方領域の略下方で、実質的に水平な平坦領域を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の支持体。
  11. 各後方領域は、模様付面を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の支持体。
  12. 前記長尺状部材を貫通する1個又はそれ以上の孔を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の支持体。
  13. 前記支持体の少なくとも2部品の間に少なくとも1個の継手を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の支持体。
  14. 前記少なくとも1個の継手は、前記支持体の前方領域の略中心に設けられることを特徴とする請求項13に記載の支持体。
  15. 前記少なくとも1個の継手は、前記支持体の少なくとも一方の後方領域に設けられることを特徴とする請求項13に記載の支持体。
  16. 前記支持体の左側後方領域の継手と、右側後方領域の継手と、前方領域の継手とを含むことを特徴とする請求項13に記載の支持体。
  17. 前記支持体に取り付けられる少なくとも1個の人工歯を含むことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の支持体。
  18. 前記少なくとも1個の人工歯は、前記支持体にクリップ留めされることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
  19. 前記少なくとも1個の人工歯は、人工歯茎の領域を含むクリップ式ユニットの一部であることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
  20. 前記クリップ式ユニットは、前方ユニット又は後方ユニットであることを特徴とする請求項19に記載の支持体。
  21. 前記支持体に固定される1個又はそれ以上の人工歯と、クリップ式人工歯、又は少なくとも1個の人工歯および人工歯茎領域を含むクリップ式ユニットを取り付けるための1又はそれ以上の空間とを含むことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の支持体。
  22. 前記少なくとも1個の人工歯は、前記長尺状部材に取り外し不能に取り付けられることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
  23. 前記少なくとも1個の人工歯は、前記長尺状部材に調節可能に取り付けられることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
  24. 前記少なくとも1個の人工歯は、該人工歯の夫々の後部への取付けのために、前記長尺状部材の孔を貫通する固定具を介して、該長尺状部材に取り付けられることを特徴とする請求項23に記載の支持体。
  25. 前記人工歯の夫々の後部は、前記固定具の端部の係合のために凹部を有することを特徴とする請求項24に記載の支持体。
  26. 前記人工歯の夫々の後部は、前記固定具の端部にある雌ソケットによる係合のための雄突起を有することを特徴とする請求項24に記載の支持体。
  27. 前記少なくとも1個の人工歯の垂直位置及び水平位置のいずれか一方又は両方は、前記孔に対して調整可能であることを特徴とする請求項24に記載の支持体。
  28. 前記長尺状部材に対する前記少なくとも1個の人工歯の切歯傾斜角は調整可能であることを特徴とする請求項24に記載の支持体。
  29. 少なくとも1個の継手が、
    通する豆形孔を含む突起を有する、前記支持体の第1部分と
    記豆形状突起を受入れるために豆形凹部を有する、前記支持体の第2部分と
    記突起の豆形孔および前記凹部の孔を貫通するピンと、を含み、該ピンの周りを、単一平面内において、前記第1部分は前記第2部分に対して枢動し得る
    ことを特徴とする請求項13〜16の何れか一項に記載の支持体
  30. 前記豆形孔および前記豆形突起の間に3つの接点を有することを特徴とする請求項29に記載の支持体
  31. 少なくとも1個の継手が、
    起を有する、前記支持体の第1部分と
    記第1部分の突起を受入れると共に同突起と係合する凹部を有する、前記支持体の第2部分と、を含み該凹部は該第1部分および該第2部分の間における相対移動を許容す
    ことを特徴とする請求項13〜16の何れか一項に記載の支持体
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