JP5402982B2 - 内燃機関の異常判定装置 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関の異常判定装置に関し、特に、複数の気筒を有する内燃機関において、気筒間で空燃比が異なるか否かを判定する技術に関する。
一般的に、車両に搭載される内燃機関には複数の気筒が設けられる。多くの場合、各気筒に対してインジェクタが設けられる。したがって、一部のインジェクタのみが正常に作動しないと、気筒間で空燃比が異なる。内燃機関においては予め定められた順序で気筒毎に燃料が燃焼されるため、空燃比が不均一であると、燃料の燃焼により得られるトルクが気筒毎、すなわちクランク角毎に異なり得る。また、一部の気筒のみにおいて空燃比が高くなると(リーンになると)、その気筒のみにおいて失火し得る。その結果、内燃機関の出力軸の回転速度の変動量が大きくなり得る。
このような異常を検出する方法の1つとして、特開2006−233800号公報(特許文献1)は、請求項7等において、内燃機関の燃焼状態が良好な状態になる方向に変更してから、回転変動に基いて失火判定を行なうことを開示する。
しかしながら、内燃機関の燃焼状態を良好にした場合、たとえば所望の空燃比が得られないことに起因して燃焼状態が悪化していた気筒においても、燃焼状態が改善される結果となる。そのため、燃焼状態が悪化していた気筒の燃焼行程において得られるトルクと、燃焼状態が良好であった気筒、すなわち空燃比の異常がなかった気筒の燃焼行程において得られるトルクとの差が小さくなる。これにより、回転変動が低減され、結果として回転変動に基いて空燃比の異常を判定することが困難になり得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、空燃比が気筒間で異なる異常を精度よく判定することである。
第1の発明において、複数の気筒を有する内燃機関の異常判定装置は、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくするための増大手段と、増大手段によって大きくされた変動量に基づいて複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定するための判定手段とを備える。
この構成によると、気筒間で空燃比が不均一であることに起因して生じる回転変動量が、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定する際にさらに大きくされる。そのため、空燃比が均一であるときの回転変動量と空燃比が不均一であるときの回転変動量との差が大きくなる。その結果、空燃比が気筒間で異なることにより生じる現象をより顕著にし、空燃比が気筒間で異なる異常を精度よく判定することができる。
第2の発明において、判定手段は、内燃機関の出力軸回転速度の変動量がしきい値以上であると、複数の気筒間で空燃比が異なると判定する。
この構成によると、内燃機関の出力軸回転速度の変動量がしきい値以上であることによって、複数の気筒間で空燃比が異なる異常を検出できる。
第3の発明において、増大手段は、内燃機関における点火時期を遅角することによって、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする。
この構成によると、点火時期を遅角することによって燃焼速度が緩慢にされる。その結果、たとえば空燃比が他の気筒に比べて高い気筒の燃焼行程において得られるトルクがさらに低下される。そのため、内燃機関の出力軸回転速度の変動量が大きくされる。
第4の発明において、増大手段は、内燃機関から排出された排気ガスを複数の気筒に戻すことによって、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする。
この構成によると、排気ガスを戻すことによって燃焼温度が下げられる。その結果、たとえば空燃比が他の気筒に比べて高い気筒の燃焼行程において得られるトルクがさらに低下される。そのため、内燃機関の出力軸回転速度の変動量が大きくされる。
第5の発明において、増大手段は、各気筒における空燃比を増大することによって、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする。
この構成によると、各気筒における空燃比を増大することによって、燃料の噴射量が不十分な気筒において空燃比がさらに高くされる。その結果、その気筒の燃焼行程において得られるトルクがさらに低下される。そのため、内燃機関の出力軸回転速度の変動量が大きくされる。
第6の発明において、判定手段は、複数の気筒間で空燃比が異なると判定すると、後で、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを再度判定する。増大手段は、複数の気筒間で空燃比が異なると判定された後で、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする。
この構成によると、気筒間の空燃比が異なるか否かを複数回判定することで、空燃比が不均一である異常の誤検出を抑制できる。
第7の発明において、内燃機関は車両に搭載される。判定手段は、車両の走行中に複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定し、車両の走行中に複数の気筒間で空燃比が異なると判定すると、後で、車両の停車中に、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを再度判定する。増大手段は、車両の走行中に複数の気筒間で空燃比が異なると判定された後で、内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする。
この構成によると、停車中において回転変動量を大きくするようにすることで、走行性能の悪化を抑制できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、車両の一例として示されるハイブリッド車両について説明する。なお、ハイブリッド車両以外の車両に本発明を適用するようにしてもよい。
ハイブリッド車両は、複数の気筒が設けられた、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、単にエンジンという)120と、第1モータジェネレータ141と、第2モータジェネレータ142とを含む。たとえば、エンジン120および第2モータジェネレータ142が駆動源として用いられる。すなわち、ハイブリッド車両は、エンジン120および第2モータジェネレータ142のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。なお、第1モータジェネレータ141および第2モータジェネレータ142は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、ジェネレータとして機能したり、モータとして機能したりする。
ハイブリッド車両には、減速機180と、動力分割機構260と、走行用バッテリ220と、インバータ240と、昇圧コンバータ242と、エンジンECU(Electronic Control Unit)1000と、MG−ECU1010と、バッテリECU1020と、HV−ECU1030とがさらに搭載される。エンジンECU1000と、MG−ECU1010と、バッテリECU1020と、HV−ECU1030とは、相互に信号を送受信可能であるように構成される。
減速機180は、エンジン120、第1モータジェネレータ141および第2モータジェネレータ142で発生した駆動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160からエンジン120、第1モータジェネレータ141および第2モータジェネレータ142に駆動力を伝達する。
動力分割機構260は、エンジン120が発生した駆動力を第1モータジェネレータ141と駆動輪160との2経路に分配する。動力分割機構260には、たとえばプラネタリーギヤが用いられる。エンジン120はプラネタリーキャリアに連結される。第1モータジェネレータ141はサンギヤに連結される。第2モータジェネレータ142および出力軸(駆動輪160)はリングギヤに連結される。第1モータジェネレータ141の回転速度を制御することにより、動力分割機構260は無段変速機として機能し得る。
走行用バッテリ220は、第1モータジェネレータ141および第2モータジェネレータ142を駆動するための電力を蓄える。インバータ240は、走行用バッテリ220の直流を交流に変換したり、第1モータジェネレータ141および第2モータジェネレータ142の交流を直流に変換したりする。昇圧コンバータ242は、走行用バッテリ220とインバータ240との間で電圧を変換する。
エンジンECU1000は、エンジン120を制御する。MG−ECU1010は、ハイブリッド車両の状態に応じて第1モータジェネレータ141、第2モータジェネレータ142、バッテリECU1020およびインバータ240を制御する。バッテリECU1020は、昇圧コンバータ242と、走行用バッテリ220の充放電状態を制御する。
HV−ECU1030は、エンジンECU1000、MG−ECU1010およびバッテリECU1020を管理することによって、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御する。
なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したE
CUとして構成してもよい(たとえば、エンジンECU1000、MG−ECU1010およびHV−ECU1030を統合したECUを用いてもよい)。
CUとして構成してもよい(たとえば、エンジンECU1000、MG−ECU1010およびHV−ECU1030を統合したECUを用いてもよい)。
ハイブリッド車両は、発進時や低速走行時などのエンジン120の効率が悪い場合に、第2モータジェネレータ142からの駆動力のみにより走行するように制御される。
通常走行時には、エンジン120および第2モータジェネレータ142の両方からの駆動力により走行するようにハイブリッド車両が制御される。たとえば動力分割機構260により分割されたエンジン120の駆動力の一方で駆動輪160が駆動される。他方で第1モータジェネレータ141が発電するように駆動される。第1モータジェネレータ141が発電した電力で第2モータジェネレータ142が駆動される。これにより、エンジン120が第2モータジェネレータ142によってアシストされる。
高速走行時には、駆動輪160に対して駆動力を追加するように、走行用バッテリ220からの電力が第2モータジェネレータ142に供給されて第2モータジェネレータ142の出力が増大される
減速時には、駆動輪160により従動する第2モータジェネレータ142がジェネレータとして機能して回生発電する。回生された電力は走行用バッテリ220に蓄えられる。
減速時には、駆動輪160により従動する第2モータジェネレータ142がジェネレータとして機能して回生発電する。回生された電力は走行用バッテリ220に蓄えられる。
走行用バッテリ220の残存容量(SOC:State of Charge)が低下した場合には、
エンジン120の出力パワーを増大することにより、第1モータジェネレータ141の発電量が増大される。第1モータジェネレータ141が発電した電力は、走行用バッテリ220に充電される。
エンジン120の出力パワーを増大することにより、第1モータジェネレータ141の発電量が増大される。第1モータジェネレータ141が発電した電力は、走行用バッテリ220に充電される。
本実施の形態において、HV−ECU1030は、ハイブリッド車両の走行に必要なパワー(トルクと回転速度との積として算出される仕事率)ならびに走行用バッテリ220への充電量などを含む目標パワーを設定する。ハイブリッド車両の走行に必要なパワーは、たとえばアクセルポジションセンサ1032により検出されるアクセル開度および車速センサ1034により検出される車速に応じて定められる。なお、目標パワーの代わりに目標駆動力、目標加速度もしくは目標トルクなどを定めるようにしてもよい。
HV−ECU1030は、目標パワーをエンジンECU1000からの出力パワーと第2モータジェネレータ141からの出力パワーとで分担して実現するように、エンジンECU1000、MG−ECU1010およびバッテリECU1020を制御する。
すなわち、エンジンECU1000からの出力パワーと第2モータジェネレータ141からの出力パワーとの和が目標パワーになるように、エンジンECU1000からの出力パワーならびに第2モータジェネレータ141からの出力パワーが定められる。エンジン120および第2モータジェネレータ142は、それぞれに対して定められた出力パワーを実現するように制御される。
本実施の形態において、エンジン120は、図2に示すように、エンジン120が出力すべきパワーに対して、燃費が好適になると考えられるエンジントルクおよびエンジン120の出力軸回転速度(以下、エンジン回転速度とも記載する)を実現するように制御される。
燃費が好適になるエンジントルクおよびエンジン回転速度は、たとえば、ハイブリッド車両の開発における実験およびシミュレーションなどの結果に基づいて、ドライバビリティなどに関する種々の条件を満たし得る範囲で最も良い燃費を実現するように開発者により定められる。
また、本実施の形態において、HV−ECU1030は、走行用バッテリ220のSOCが予め定められた目標値(制御中心値)になるように、MG−ECU1010およびバッテリECU1020に対して指令する。
図3に示すように、走行用バッテリ220のSOCが目標値Aよりも小さい場合には、走行用バッテリ220が充電される。走行用バッテリ220のSOCが目標値Aよりも小さいほど、走行用バッテリ220への充電量(充電電力)がより大きくされる。
一方、走行用バッテリ220のSOCが目標値Aよりも大きい場合には、走行用バッテリ220から放電される。走行用バッテリ220のSOCが目標値Aよりも大きいほど、走行用バッテリ220からの放電量(放電電力)がより大きくされる。
走行用バッテリ220のSOCの目標値は、たとえばHV−ECU1030により設定される。HV−ECU1030により設定された目標値は、MG−ECU1010およびバッテリECU1020に送信される。
走行用バッテリ220のSOCは、たとえば、走行用バッテリ220からの放電電流、走行用バッテリ220への充電電流および走行用バッテリ220の電圧などをモニタすることにより、バッテリECU1020が算出する。HV−ECU1030には、バッテリECU1020からSOCを表わす信号が入力される。
なお、走行用バッテリ220のSOCが目標値になるように制御する方法、ならびにSOCを算出する方法については周知の一般的な技術を利用すればよいためここではそのさらなる説明は繰返さない。
図4を参照して、エンジンECU1000によって制御されるエンジン120についてさらに説明する。
エアクリーナ200から吸入された空気が、吸気通路210を通ってエンジン120の燃焼室に導入される。吸入空気量はエアフローメータ202により検出されて、エンジンECU1000に吸入空気量を表わす信号が入力される。吸入空気量は、スロットルバルブ300の開度により変化する。このスロットルバルブ300の開度は、エンジンECU1000からの信号に基づいて作動したスロットルモータ304により変化される。スロットルバルブ300の開度は、スロットルポジションセンサ302により検出されて、エンジンECU1000にスロットルバルブ300の開度を表わす信号が入力される。
燃料は、フューエルタンク400に貯蔵され、フューエルポンプ402により高圧フューエルポンプ800を介してインジェクタ804から燃焼室に噴射される。インテークマニホールドから導入された空気と、フューエルタンク400からインジェクタ804を介して燃焼室に噴射された燃料との混合気が、点火プラグ808により点火される。なお、筒内に向けて燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタの代わりにもしくは加えて、吸気ポ
ートに向けて燃料を噴射するポート噴射用インジェクタを設けてもよい。
ートに向けて燃料を噴射するポート噴射用インジェクタを設けてもよい。
フューエルタンク400から気化した燃料は、チャコールキャニスタ404により捕集される。チャコールキャニスタ404により捕集された気化燃料は、たとえば、フューエルタンク400内部の圧力がしきい値を超えると、吸気通路210にパージされる。パージされた気化燃料は燃焼室内に吸入されて、燃焼される。
パージ量は、チャコールキャニスタ404と吸気通路210とを連結する通路410に設けられたキャニスタパージ用VSV(Vacuum Switching Valve)406により制御される。キャニスタパージ用VSV406が開くと、気化燃料がパージされる。キャニスタパージ用VSV406が閉じると、気化燃料のパージが停止される。
キャニスタパージ用VSV406は、エンジンECU1000により制御される。たとえば、エンジンECU1000がキャニスタパージ用VSV406にデューティ信号を出力することにより、キャニスタパージ用VSV406の開度が制御される。
フューエルタンク400の内部の圧力は、圧力センサ408により検出され、圧力を示す信号がエンジンECU1000に送信される。HV−ECU1030には、エンジンECU1000からフューエルタンク400の内部の圧力を表わす信号が入力される。その他、HV−ECU1030には、エンジン回転速度などのエンジンの運転状態のパラメータを表わす信号がエンジンECU1000を経由して入力される。
排気ガスは、エキゾーストマニホールドを通り、三元触媒コンバータ900および三元触媒コンバータ902を通って、大気に排出される。
排気ガスの一部は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置のEGRパイプ500を通って吸気通路210に還流される。EGR装置により還流される排気ガスの流量は、EGRバルブ502により制御される。EGRバルブ502は、エンジンECU1000によりデューティ制御される。エンジンECU1000は、エンジン回転速度、アクセルポジションセンサ1032からの信号などの各種の信号に基づいて、EGRバルブ502の開度を制御する。
EGR装置は、エンジンから排出される排気ガスの一部を吸気系へ再循環させ、新しい混合気と混ぜて燃焼温度を下げることにより、未燃焼燃料、ポンピングロス、窒素酸化物(NOx)およびノッキングなどを低減する。
排気ガス中の酸素濃度は、空燃比のフィードバック制御のために酸素センサ710,712からの信号により検出されて、エンジンECU1000に酸素濃度を表わす信号が入力される、排気ガス中の酸素濃度から混合気の空燃比が検出される。
エンジンECU1000は、各センサからの信号により最適な点火時期を算出し、点火プラグ808に点火信号を出力する。たとえば、エンジン回転速度、カムポジション、吸気量、スロットルバルブ開度、エンジン冷却水温などに基づいて、点火時期が算出される。
算出された点火時期は、ノックコントロールシステムにより補正される。ノックセンサ704によりノッキングが検出されると、ノッキングが発生しなくなるまで一定角度ずつ点火時期が遅角される。一方、ノッキングが発生しなくなると一定角度ずつ点火時期が進角される。
また、本実施の形態において、エンジンECU1000は、空燃比が不均一(インバランス)になる異常を検出すべく、エンジン回転速度の変動量に基いて、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定する。
一例として、図5に示すように、エンジン回転速度の変動量がしきい値以上であると、複数の気筒間で空燃比が異なると判定される。変動量は、たとえば、特定のクランク角の期間(たとえ720°)の間におけるエンジン回転速度の最大値と最小値との差として得られる。回転変動により空燃比のインバランスを検出する方法には、周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではそれらの詳細な説明は繰り返さない。
図6を参照して、本実施の形態においてエンジンECU1000が実行する処理について説明する。以下に説明する処理は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現してもよい。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、車両が走行中であるか否かが判断される。たとえば、車速がしきい値以上であると、車両が走行中であると判断される。車両が走行中であると(S100にてYES)、S102にて、エンジン120の運転中に、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かが判定される。たとえば、負荷が所定の範囲にある場合、あるいは負荷の変動量がしきい値以下であると、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かが判定される。
複数の気筒間で空燃比が異なると判定された場合(S102にてYES)、S104にて、停車中であるか否かが判断される。停車中であると(S104にてYES)、S106にて、エンジン120の運転中に、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かが再度判定される。すなわち、走行中において空燃比のインバランスが検出されていなければエンジン120を停止するような運転状態においても、エンジン120を始動して、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かが判断される。
さらに、S108にて、複数の気筒間で空燃比が異なるか否かが再度判定される間に、点火時期が遅角される。たとえば、エンジン120の負荷および回転速度などをパラメータとして定められるベース点火時期から、所定のクランク角だけ点火時期が遅角される。予め定められたクランク角まで点火時期を遅角するようにしてもよい。
点火時期を遅角すると、気筒内での燃料の燃焼速度が緩慢にされる。その結果、空燃比が他の気筒に比べて高い気筒の燃焼行程において得られるトルクがさらに低下される。そのため、図7に示すように、点火時期の遅角量が大きい(点火時期が遅い)ほど、破線で示す、空燃比が均一であるときのエンジン回転速度の変動量と、実線で示す、空燃比が不均一であるときのエンジン回転速度の変動量との差が大きくなるという傾向を示す。また、点火時期の遅角量が大きいほど、空燃比が不均一あるときのエンジン回転速度の変動量が大きくなるという傾向を示す。そのため、空燃比がインバランスであることを回転変動量により顕著に表すことができる。その結果、空燃比のインバランス異常を精度よく判定することができる。
図6に戻って、点火時期を遅角した状態で、複数の気筒間で空燃比が異なると判定されると(S110にてYES)、S112にて、空燃比がインバランスであることが検出される。
点火時期を遅角する代わりに、もしくは加えて、EGR装置によって、もしくは吸気バルブと排気バルブのオーバラップ量を増やすことによって、排気ガスを気筒に戻すようにしたり、気筒に戻される排気ガスの量を増やすようにしてもよい。
さらに、点火時期を遅角する代わりに、もしくは加えて、各気筒における空燃比を増大するようにしてもよい。すなわち、各気筒においてインジェクタからの燃料噴射量を減少するようにしてもよい。
いずれの場合においても、空燃比が他の気筒に比べて高い気筒の燃焼行程において得られるトルクがさらに低下される。そのため、エンジン回転速度の変動量が大きくされる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
120 エンジン、500 EGRパイプ、502 EGRバルブ、804 インジェクタ、808 点火プラグ、1000 エンジンECU、1010 MG−ECU、1020 バッテリECU、1030 HV−ECU、1032 アクセルポジションセンサ、1034 車速センサ。
Claims (6)
- 複数の気筒を有する内燃機関の異常判定装置であって、
前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくするための増大手段と、
前記増大手段によって大きくされた変動量がしきい値以上であると、前記複数の気筒間で空燃比が異なると判定するための判定手段とを備える、内燃機関の異常判定装置。 - 前記増大手段は、前記内燃機関における点火時期を遅角することによって、前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする、請求項1に記載の内燃機関の異常判定装置。
- 複数の気筒を有する内燃機関の異常判定装置であって、
前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくするための増大手段と、
前記増大手段によって大きくされた変動量に基づいて前記複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定するための判定手段とを備え、
前記増大手段は、前記内燃機関から排出された排気ガスを前記複数の気筒に戻すことによって、前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする、内燃機関の異常判定装置。 - 前記増大手段は、各前記気筒における空燃比を増大することによって、前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする、請求項1に記載の内燃機関の異常判定装置。
- 前記判定手段は、前記複数の気筒間で空燃比が異なると判定すると、後で、前記複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを再度判定し、
前記増大手段は、前記複数の気筒間で空燃比が異なると判定された後で、前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする、請求項1に記載の内燃機関の異常判定装置。 - 複数の気筒を有する内燃機関の異常判定装置であって、
前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくするための増大手段と、
前記増大手段によって大きくされた変動量に基づいて前記複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定するための判定手段とを備え、
前記内燃機関は車両に搭載され、
前記判定手段は、前記車両の走行中に前記複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを判定し、前記車両の走行中に前記複数の気筒間で空燃比が異なると判定すると、後で、前記車両の停車中に、前記複数の気筒間で空燃比が異なるか否かを再度判定し、
前記増大手段は、前記車両の走行中に前記複数の気筒間で空燃比が異なると判定された後で、前記内燃機関の出力軸回転速度の変動量を大きくする、内燃機関の異常判定装置。
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