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JP5499573B2 - 塗工包装用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキソ印刷時の発色性、及び水性グラビア印刷時の印刷均一性に優れ、かつ製袋適性を備えた塗工包装用紙に関する。
近年、印刷物の多色化が進み、要求される印刷品質の高級化、印刷速度の高速化が進んできており、それに対応する包装用紙の開発が求められている。ショッピングバックに代表されるような紙製手提げ袋に用いられる包装用紙においても、印刷品質の高級化が強く要求されている。印刷品質の高級化手法としては、例えば、高速で高精細なオフセット印刷やグラビア印刷での印刷が一般的である。しかしながら、安全性と環境問題から脱溶剤化の水性インキを使用したグラビア印刷が市場に浸透しつつある。但し、溶剤を含有したインキよりも乾燥性が著しく低下することから、ミッシングドットや網点の再現性を損ない、印刷の均一性が劣り、高速印刷が出来ないなどの問題がある。また、包装用紙においては、フレキソ印刷の使用状況はいまだに多く、その印刷品質は、オフセット印刷やグラビア印刷に比べて見劣り感がすることは否めない。一方、フレキソ印刷の技術進歩も目覚しく、小ロット多品種化や環境と安全性問題、コスト削減などの市場課題に対して、近年のデジタル化の波とともに、画期的で斬新な技術でもって注目されている。さらに印刷品質についても、他の印刷方式と比較しても遜色ないレベルまで改良されている。フレキソ印刷は上述のごとく、水性化や無溶剤化の面で大きな優位性が認められ、欧米の包装分野では既にフレキソ印刷が主流となっており、日本においても普及の兆しがある。このようなフレキソ技術を駆使して、一般に使用されているオフセット用や溶剤グラビア用印刷用紙にフレキソ印刷をしても、インキ発色性が劣るので濃度の高い印刷ができず、多量にインキを載せると、画線部のインキが紙に吸着せず、流れる現象がおき、印刷品質を高級化するには不十分であった。
また、包装用紙は、品物を包装、保持する役割が必要なため、印刷品質だけでなく、強度、剛度などの品質も重要な要素のひとつである。印刷品質と強度を両立する手法として例えば、原紙に両性ポリアクリルアミド系紙力剤及びポリアミドエピクロロヒドリン系紙力剤を含有させ、湿潤強度を持たせた原紙の片面にピグメント層を形成することが例示されている(特許文献1)。
原紙抄紙時に表裏の繊維配向角の差、及び繊維配向比をある範囲に調整し、少なくとも一方の面に1〜10g/mの塗工層を設けることが提示されている(特許文献2)。
また、針葉樹クラフトパルプを50質量%以上用いて形成され、縦横引っ張り強度比が1.7以上に調整された原紙上の少なくとも片面に顔料と接着剤とを含有する塗工層が1〜10g/m形成された坪量が100〜500g/mの範囲の塗工包装用紙が提示されている(特許文献3)。前記特許文献はいずれもフレキソ印刷、水性グラビア印刷の記述がなく、フレキソ印刷や水性グラビア印刷を想定しているものではない。
特開2005−248394号公報 特開2006−83487号公報 特開2006−97149号公報
本発明は、フレキソ印刷時におけるフレキソインキ発色性、及び水性グラビア印刷における印刷均一性に優れ、通常包装用紙として適用されるニス加工、ラミネート加工時の加工適性、製袋適性に優れた塗工包装用紙を提供するものである。
本発明は、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する塗工包装用紙において、前記原紙はフリーネス(CSF)500〜650lの針葉樹晒クラフトパルプを30〜90質量%含有する晒クラフトパルプからなり、前記塗工層中の顔料に焼成カオリンを含有し、かつ前記塗工層の乾燥塗工量が0.5〜10g/m であって、さらに塗工層表面のJIS P8151:2004に準じて測定したPPS平滑度が3〜7μm、かつ王研式透気度が20〜500秒であることを特徴とする塗工包装用紙である。
前記焼成カオリンの含有量が顔料100質量部に対して、20〜100質量部であると好ましい。
前記顔料100質量部に対し、タルクが80質量部以下を含有すると好ましい。
前記顔料100質量部に対し、水分散性接着剤が8〜30質量部含有すると好ましい。
前記顔料100質量部に対し、澱粉誘導体が2〜40質量部含有すると好ましい。
本発明によって、フレキソ印刷におけるインキ発色性、水性グラビア印刷における印刷均一性に優れた塗工包装用紙を提供することが可能になった。
一般に、フレキソ印刷は水性タイプのインキを使用して印刷が実施され、また、水性グラビア印刷においても水性タイプのインキであることから、印刷面の吸水性度合いによりインキの浸み込みが異なる。このため、フレキソインキ、水性グラビアインキにおけるインキ発色性、均一性は、印刷面の吸水性の度合いとそのインキ量に大いに影響される。包装用紙表面に形成する塗工層中に焼成カオリンが存在すると水性インキの吸収性が極めてよくなり、この焼成カオリンの配合量、及びその他の顔料配合量を調整することにより、各種のフレキソ印刷機、グラビア印刷機に適応したインキ発色性の優れた品質を得ることができる。
焼成カオリンを塗工層中に含有するとフレキソ印刷、水性グラビア印刷の適性が改善される理由は必ずしも定かではないが、焼成カオリンは、天然に産するカオリンをキルンなどで約800℃程度の高温処理することにより、カオリンの結晶構造中に存在する結晶水を放出させたもので、結晶構造が崩壊して非晶質な構造となり、不透明性、多孔質でインキ吸収性に優れた性質を持っている。このことから、焼成カオリンのもつ空隙性によって、顔料中にインキを取り込み、またインキ中の溶剤である水が均一に吸収されて、フレキソインキの発色性の向上が図られ、また密着性の向上による網点の再現性も得られるものと考える。また、水性グラビア印刷においても、水性のグラビアインキが均一に吸収されることにより、印刷の均一性に優れると考える。本発明の効果を得る焼成カオリンの含有量としては20〜100質量部が好ましく、より好ましくは40〜90質量部である。
接着剤は、一般に製紙分野で使用されている公知の水分散性接着剤、水溶性接着剤が適宜使用される。水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレンーメチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等の水分散性接着剤等が使用でき、1種または2種以上を適宜選択して使用できる。なお、例示した水分散性接着剤の中で、費用と接着強度のバランスの良い、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを使用することがより好ましい。また、水分散性接着剤の塗工層中の配合量としては、顔料100質量部に対して8〜30質量部が好ましい。更に好ましくは、10〜25質量部である。これは、焼成カオリンが上述のごとく、多孔質な特徴があることから、後加工時や製袋加工時に塗工層が剥がれ落ちないように塗工層の強度を発現させるために上記範囲が必要となる。
水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、陽性澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類が例示される。これら水分散性および/または水溶性接着剤から1種または2種以上を適宜選択して使用できる。
本発明に使用する焼成カオリン以外の顔料としては、製紙分野で通常使用されている顔料、例えば、クレー、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、タルク、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム等の一種または二種以上を使用することができる。この中でも、タルクを配合することが好ましい。後加工、製袋加工時に塗工表面に異物が接触して擦れた時、異物付着による汚れが発生しやすいことに対して、タルクが扁平顔料で、塗工層に存在すると摩擦抵抗を低減させる性質を有していることから、異物による汚れを軽減させることが出来る。一般的に製紙用のタルクは、セディグラフによって測定した平均粒径が1〜5μm、クロライト含有率は0〜90%であるが、中でもクロライト含有率5〜80%のタルクの使用は、顔料の分散性と加工時の汚れを軽減させる効果のバランスがとれているため、より好ましい。また、タルク配合部数は顔料100質量部当たり、80質量部以下が好ましい。5質量部以上を含有するとその効果が顕著に発現される。クロライト含有率によりタルク配合部数は変わるものの、さらに好ましくは15〜60質量部である。なお、焼成カオリン以外の顔料は、フレキソインキの吸収性の観点から、本発明の所望する効果を阻害しない範囲で使用するのが望ましいが、プラスチックピグメント等の有機顔料はインキ吸収性が劣るので好ましくない。
焼成カオリンは塗料の保水性を著しく低下させることが知られている。塗料保水性が低いと、原紙中に塗料が浸透し易くなり、均一な塗工層が原紙表面に形成することが困難となる。また、塗工装置によっては、塗工筋が発生したり、全く塗工が出来なくなったりすることがあるので、澱粉誘導体を使用することが好ましい。本発明で使用される澱粉誘導体としては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリン、冷水可溶性澱粉などが挙げられる。その配合量としては、顔料100質量部あたり2〜40質量部が好ましい。10〜30質量部の割合で配合することがより好ましい。
インキ発色性向上に対して効果を阻害しない範囲において、本発明で使用される塗料中に、防滑剤、染料等の添加剤を併用してもよい。
本発明の塗工層は、単層であっても、複層であっても差し支えないが、全体の塗工量は0.5〜10g/m である。塗工量がこの範囲であると、経済性にすぐれ、且つ水性フレキソのインキ発色性が優れた塗工包装用紙が得られる。より好ましい塗工量としては、1.5〜7g/mである。
本発明で顔料塗工層を片面に設ける場合は、カール矯正のため、裏面側に水、澱粉、ポリビニルアルコール等を塗布することが好ましい。澱粉、ポリビニルアルコールは、一般に製紙分野で使用されている材料を適宜選択して使用できる。その際の塗工量としては、0.1〜2.0g/mの範囲が好ましい。
本発明の塗料を原紙に塗工するに当たっては、塗被紙製造に一般に使用される塗工装置が使用でき、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター、フィルムメタリングサイズプレスコーター等の塗工装置を使用して、オンマシン方式またはオフマシン方式で原紙の表面に、単層または多層で塗工される。塗工時の顔料組成物の固形分濃度は、10〜75質量%の範囲で選ぶことができるが、塗工量が0.5〜10g/mの範囲、好ましくは、1.5〜7g/mの範囲に留まるよう、また、塗工するコーターを考慮し、適宜調整する。因みに、塗工量が0.5g/m未満であると、所望するフレキソインキ発色性、水性グラビアの網点再現性が得がたく、10g/mを超えると、効果が飽和し経済的に好ましくない。片面のみ顔料塗工層を設けた場合、カール矯正のために裏面層を設けることが好ましい。特にカール矯正効果の高い樹脂を塗工に使用することが好適である。
本発明で塗工された塗工包装用紙は、塗工面や印刷適性をさらに向上させるために、カレンダー処理をすることが出来る。例えば、金属ロール間でニップするマシンカレンダーや弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダーや弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップが挙げられる。ソフトニップカレンダーは合成樹脂ロール表面の耐熱温度がコットンロールに比べて高く設定することが可能なため、高温での処理が可能であり、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定できるので好ましい態様である。
本発明に使用される晒クラフトパルプは高強度を確保することが出来る利点がある。この晒クラフトパルプの種類は特に限定がなく、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(以下、NBKPという)、広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKP)が挙げられる。塗工包装用紙は製袋機械を通した場合に折り目からの割れや製袋時の紙破れ等の問題が発生しやすいため、発明者らが鋭意検討を重ねた結果、LBKPに比べ繊維長が長く、繊維間の結合が強いNBKPを30質量%以上配合し、かつ該NBKPのフリーネス(CSF)を500ml以上にすることによって、紙の引張り強度や引裂き強度が得られ、上記問題を解決可能であることを見出した。原紙の地合い、抄紙のしやすさ及び塗工後の表面平滑性等の観点から、NBKPの含有量は90質量%以下である。また、CSFは650ml以下である
内添薬品は必要に応じて使用でき、例えば、硫酸バンド、ロジン等のサイズ剤、ポリアミド、澱粉等の紙力増強剤、濾水歩留まり向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロヒドリン等の耐水化剤、染料等が使用される。
原紙の抄紙条件においても特に限定は無く、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、丸網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式でも使用できる。これらの抄紙条件で抄紙された原紙の米坪としては、30〜180g/mが製袋加工するのに適した坪量であり包装用紙として好ましい。より好ましくは、60〜150g/mである。
本発明の塗工包装用紙は表面のJIS P8151:2004に準じて測定したPPS平滑度が3〜7μm、かつ王研式透気度が20〜500秒であると、フレキソ印刷時の網点再現性に優れ、水性グラビア印刷時の印刷均一性が優れる。PPS平滑度が3μm未満では多量のフレキソインキが供給された場合に、フレキソの版と塗工包装用紙の表面との密着性が良すぎて、マージナルマークの際立ち、インキのはみ出しを起こす恐れがある。一方、PPS平滑度が7μmを超えると、インキの転写不良が起こり、均一な印刷が難しい。また、王研式透気度が20秒未満では、平滑性が劣り、フレキソインキ、水性グラビアインキのインキ濃度が低下する恐れがあり、王研式透気度が500秒を超えると製袋時の作業性が低下し、マージナルマークが目立つ恐れがある。本発明の塗工包装用紙は表面PPS平滑度が4〜6μm、かつ王研式透気度が30〜300秒の範囲が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」、「%」は特に断わらない限り、質量部、質量%を示す。
実施例1
(塗料の作成)
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)100部、接着剤(商品名:PA−8064、日本エイアンドエル社製)15部、酸化澱粉(商品名:GRS−T110、王子コーンスターチ社製)20部(いずれも固形分換算)からなる塗料を、濃度40%となるよう調製した。
560mlCSFのNBKP60%、460mlCSFのLBKP40%を混合し、カチオン化澱粉(商品名:ピラーP3YK、ピラースターチ社製)0.5%、硫酸バンド1.3%、サイズ剤(商品名:ペローザーE3655、東邦化学工業社製)0.4%を添加して調整した紙料を抄紙し、引き続きゲートロール塗工装置により上記塗料を片面に乾燥質量が3g/m(固形分)となるように塗工し、反対面には、酸化澱粉(商品名:GRS−T110、王子コーンスターチ社製)を0.5g/mとなるように塗工乾燥し、カレンダー処理をして紙水分6.0%、坪量80g/mの塗工包装用紙を得た。
実施例2
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン70部、タルク(商品名:ミクロタッチ、日本ミストロン社製)30部とした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
実施例3
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン30部、タルク70部、接着剤を5部、酸化澱粉を50部とした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
実施例4
実施例2において、塗工量を12g/m、反対面をポリビニルアルコール(商品名:ゴーセナールKS、日本合成化学社製)0.5g/mとした以外は実施例2と同様にして塗工包装用紙を得た。
実施例5
実施例1において、塗料中の顔料を焼成カオリン15部、カオリン(商品名:ミラグロスJ、BASF社製)35部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)50部、酸化澱粉を1部とした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
比較例1
実施例1の原紙上に、酸化澱粉(商品名:GRS−T110、王子コーンスターチ社製)を両面での塗工量を0.4g/m塗工し、乾燥後、カレンダー処理をして紙水分6.0%の包装用紙を得た。
比較例2
実施例1において、塗料中の顔料をカオリン50部、重質炭酸カルシウム50部、接着剤を11部、酸化澱粉を7部、塗工量を7.5g/m、反対面をポリビニアルアルコール0.8g/mとした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
比較例3
実施例1において、原紙中のパルプをLBKP100%とした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
比較例4
実施例1において、原紙中のNBKPのCSFを400mlとした以外は、実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
比較例5
実施例1において、原紙中のNBKPを90%、LBKPを10%とした以外は実施例1と同様にして塗工包装用紙を得た。
得られた塗工包装用紙について、下記の評価方法で評価を行い、得られた結果を表1にしめした。なお、本発明における測定及び評価については特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下で行った。
(PPS平滑度)
JIS P 8151:2004に準じて、加圧型平滑度計(測定器:パーカープリントサーフ、Messmer Buchel社製)を使用し、加圧条件が0.5MPa(5kgf/cm)時の平滑度を測定した。
(王研式透気度)
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて、加圧式透気度試験機(旭精工社製)で測定した。
(フレキソ印刷におけるインキの発色性)
K印刷プルーファー(RK Print−Coat Instruments社製)、100線/インチに彫刻したアニロックスプレートで、水性フレキソ藍インキ(商品名:ラップトーンHR、サカタインクス社製)を使用して、得られた塗工包装用紙に印刷した。印刷した面をカラー反射濃度計(Model404G、X−Rite社製)でシアンインキ濃度を計測した。
(グラビア印刷における印刷均一性)
印刷局式グラビア印刷試験機(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.24に準拠)で、インキは水性グラビア用インキ(商品名:DICセーフWHプロセス墨、DIC社製)を用い、グラビア印刷を行った後、均一性を目視評価した。
「評価基準」
◎:インキの塗工面への転写が均一で、吸収ムラもない。
○:階調部分によっては、やや吸収ムラが認められる。
△:転写性がやや不均一で、吸収ムラも若干認められる。
×:転写不良で、吸収ムラも悪い。
(印刷部インキ泳ぎ)
上記K印刷プルーファーで印刷した部分を観察し、印刷面のインキが均一に定着されているかを拡大鏡と目視で評価した。
「評価基準」
◎:拡大鏡、目視ともインキが均一に定着されている。
○:拡大して印刷部分を観察すると、不均一部が一部存在するが、目視では均一に定着
されている。
×:インキが用紙に吸収し難く、表面にインキが泳いでおり、目視の観察でインキ定着
面が不均一である。
(製袋適性)
自動製袋機で、底幅115mm、袋幅315mm、袋長さ315mmの角底袋(手提げ袋)に加工した。加工後に折部の割れ、印刷部の割れを総合的に目視評価した。
「評価基準」
◎:全く割れが発生しない。
○:ごく一部割れが発生したが、実用範囲である。
×:割れが定常的に発生した。
Figure 0005499573
上記表1に明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜5は、本発明の要件をいずれか欠く比較例1〜5に対して、フレキソインキの発色性、水性グラビア印刷の均一性に優れ、印刷部のインキ泳ぎがなく、かつ製袋適性が良好であった。
以上の通り、本発明によりフレキソ印刷に対して優れたインキ発色性、水性グラビア印刷に対して優れた印刷均一性、かつ良好な製袋適性を有する塗工包装用紙を得ることが可能となった。

Claims (5)

  1. 原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する塗工包装用紙において、前記原紙はフリーネス(CSF)500〜650lの針葉樹晒クラフトパルプを30〜90質量%含有する晒クラフトパルプからなり、前記塗工層中の顔料に焼成カオリンを含有し、かつ前記塗工層の乾燥塗工量が0.5〜10g/m であって、さらに塗工層表面のJIS P8151:2004に準じて測定したPPS平滑度が3〜7μm、かつ王研式透気度が20〜500秒であることを特徴とする塗工包装用紙。
  2. 前記焼成カオリンの含有量が顔料100質量部に対して、20〜100質量部である請求項1記載の塗工包装用紙。
  3. 前記顔料100質量部に対し、タルクが80質量部以下を含有する請求項1または2記載の塗工包装用紙。
  4. 前記顔料100質量部に対し、水分散性接着剤が8〜30質量部を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の塗工包装用紙。
  5. 前記顔料100質量部に対し、澱粉誘導体が2〜40質量部を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の塗工包装用紙。
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