JP5498981B2 - 複合構造部材、その製造方法、自動車用部材及び自動車ドアパネル - Google Patents
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Description
複合構造部材の製造方法としては、外壁から構成される空間内に、エポキシ系充填発泡剤とウレタン系充填発泡剤を充填する方法が提案されている(特許文献1)。
更に、外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填し、次いで加熱することにより複合構造部材を得る方法が提案されている(特許文献3)。
かくして本発明によれば、外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、
前記外壁が、発泡層と密着可能な材料から構成された内面、かつ前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を有し、
前記1次発泡粒子が15〜35%の結晶化度を有し、前記発泡層が、前記加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有することを特徴とする複合構造部材の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法で得られた複合構造部材が提供される。
更に、本発明によれば、上記複合構造部材を含む自動車用部材が提供される。
また、本発明によれば、上記複合構造部材を含む自動車ドアパネルが提供される。
また、外壁が、150℃以上の耐熱温度を有する材料から構成される場合、外壁と発泡層との密着性及び剛性を十分に確保しつつ、更に剛性に優れた複合構造部材を得ることができる。
更に、加熱が、温風により行われる場合、外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を、乾燥工程のような他の工程が付加されることなく簡便に得ることができる。
また、空間が、1次発泡粒子を通過させず、2次発泡により生じる気体を通過可能な大きさの孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖される場合、より外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を得ることができる。
外壁から構成される空間は、少なくとも1次発泡粒子を保持することができれば特に限定されない。実際には、2次発泡により生じる気体を通過可能な程度に実質的に閉鎖されていることが好ましい。より好ましくは、空間が、1次発泡粒子を通過させず、2次発泡により生じる気体を通過可能な大きさの孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖されることである。孔の大きさは、1次発泡粒子の粒径より小さければ特に限定されないが、粒径より5〜80%の範囲で小さいことが好ましい。なお、孔の大きさは、孔の最大径を意味する。
これら材料の内、150℃以上の耐熱温度を有する材料である場合、1次発泡粒子の加熱の際の変形が抑制できるので好ましい。このような材料としては、アルミニウム、銅等の金属、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のスーパーエンプラ樹脂、不飽和ポリエステルのような熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等を繊維で強化した繊維強化樹脂等が挙げられる。
なお、外壁の外面を構成する材料は特に限定されず、複合構造部材の用途に応じて適宜選択できる。
空間の形状は、特に限定されず、所望する用途に応じて適宜決定できる。
(1)ポリ乳酸系樹脂
ポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができる。具体的には、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体、D−乳酸(D体)又はL−乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体が挙げられる。
従って、例えば、高い耐熱性が望まれる用途では、前者のポリ乳酸系樹脂を、複雑な空間への充填性の向上が望まれる用途では、後者のポリ乳酸系樹脂を使用できる。
更に、D体とL体との共重合体は、D体又はL体のうちのいずれか少ない方の光学異性体の割合が4モル%未満であることが好ましく、3モル%未満であることより好ましく、2モル%未満であることが特に好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕
・・・式2
まず、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
また、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎることになる。そのため、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまうことがある。
1次発泡粒子は、公知の方法によって製造できる。例えば、以下の押出発泡法が挙げられる。
まず、ポリ乳酸系樹脂を図1及び2に示す押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する。この後、押出機の前端に取り付けたノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させる。
なお、上記押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されない。例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら回転している。ノズル金型1から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物は、回転刃5と、ノズル金型1におけるノズルの出口部11端縁との間に生じる剪断応力によって、一定の時間間隔毎に大気中において切断されて1次発泡粒子とされる。この時、ポリ乳酸系樹脂押出物の冷却が過度とならない範囲内において、ポリ乳酸系樹脂押出物に水を霧状に吹き付けてもよい。
得られた1次発泡粒子は、ポリ乳酸系樹脂押出物をその未発泡部で切断していることから、切断部の表面には気泡断面は存在しない。そして、1次発泡粒子の表面全面は、気泡断面の存在しない表皮層で被覆されている。従って、1次発泡粒子は、発泡ガスの抜けがなく優れた発泡性を有していると共に連続気泡率も低く、更に、表面の熱融着性にも優れている。
また、回転刃5は一定の回転数で回転していることが好ましい。回転刃5の回転数は、2000〜10000rpmが好ましく、3000〜9000rpmがより好ましく、4000〜8000rmpが更に好ましい。
一方、10000rpmを上回ると下記の問題点を生じることがある。第一の問題点は、回転刃による切断応力が大きくなって、1次発泡粒子がノズルの出口部から冷却部材に向かって飛散される際に、1次発泡粒子の初速が速くなる。その結果、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断してから、1次発泡粒子が冷却部材に衝突するまでの時間が短くなり、1次発泡粒子の発泡が不充分となることである。第二の問題点は、回転刃及び回転軸の摩耗が大きくなって回転刃及び回転軸の寿命が短くなることである。
冷却ドラム41の周壁部41bの内周面は全面的に冷却液42で被覆されており、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に衝突した1次発泡粒子は直ちに冷却されて、発泡が停止する。このように、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断した後に、1次発泡粒子を直ちに冷却液42によって冷却していることで、1次発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇するのを防止できると共に、1次発泡粒子が過度に発泡するのを防止できる。
なお、冷却液42の温度は、低いと、冷却ドラム41の近傍に位置するノズル金型が過度に冷却されて、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡に悪影響が生じることがある一方、高いと、1次発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高くなり、1次発泡粒子の熱融着性が低下することがある。よって、温度は、0〜45℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜35℃が特に好ましい。
1次発泡粒子の嵩密度が小さいと、1次発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時に1次発泡粒子に必要な発泡力を付与できないことがある。一方、大きいと、得られる1次発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時における1次発泡粒子の発泡性が不充分となることがある。よって、嵩密度は、0.02〜0.6g/cm3が好ましく、0.03〜0.5g/cm3がより好ましく、0.04〜0.4g/cm3が特に好ましい。
複合構造部材を得る際の加熱条件としては、15〜35%の結晶化度を有する1次発泡粒子を、加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有する発泡層に変化させうる条件であれば特に限定されない。例えば、90〜150℃の熱媒体と1〜120分間接触させることが挙げられる。ここで、熱媒体とは、水蒸気、加熱空気(温風)等が挙げられ、この内、水の乾燥工程が不要な加熱空気が好ましい。また、加熱空気はできるだけ乾燥した加熱空気であることが好ましい。更に、加熱方法は、外壁のみをヒータや加熱空気で加熱する方法や、熱媒体中に全体を浸漬することで加熱する方法等が挙げられる。
また、1次発泡粒子は、空間内への充填前に、発泡性を向上させるため気体を含浸させてもよい。気体としては、1次発泡粒子の製造時に使用される発泡剤を使用でき、中でも窒素及び二酸化炭素のいずれかを少なくとも含むことが好ましい。
上記方法により得られた複合構造部材は、外壁と発泡層との密着性が良好であるという特徴と有している。密着性が良好であることで、耐熱性、剛性及び外観の良好な複合構造部材を得ることができる。
このような複合構造部材は、自動車用部材、建築資材等の用途に有用である。
自動車用部材としては、ドアパネル、バンパー、フェンダー等の自動車外装材、天井材のような自動車内装材が挙げられる。この内、従来鋼板で製造されていたドアパネルに使用すると、鋼板製ドアパネルと略同一剛性を有するドアパネルが本発明の複合構造部材を用いることで大きく軽量化できるため、高い自動車の軽量化の効果が得られる。図3(a)及び(b)は、ドアパネルの概略断面図である。図中、aはドアパネル、bは外壁、cは発泡層を意味する。外壁から構成される空間の体積に占める発泡層の体積の割合は、ドアパネルに要求される安全性を加味して適宜設定できる。
ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定する。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30ミリリットルを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。
次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、液体クロマトグラフを用いて分析し、得られたチャートに基づいてD体及びL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量及びL体量を算出する。そして、上述と同様の要領を5回繰り返して行い、得られたD体量及びL体量をそれぞれ相加平均した値を、ポリ乳酸系樹脂のD体量及びL体量とする。
HPLC装置(液体クロマトグラフ):日本分光社製商品名「PU−2085 Plus型システム」
カラム:住友分析センター社製商品名「SUMICHIRAL OA5000」(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mMCuSO4水溶液と2−プロパノールとの混合液
(CuSO4水溶液:2−プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV254nm
注入量:20マイクロリットル
ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は次のようにして測定する。
即ち、JIS K7121:1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは次のようにして測定する。
まず、1次発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
このポリ乳酸系樹脂粒子を9.33×104Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
また、温度Tは、Reologica Instruments A.B社から商品名「DynAlyser DAR−100」にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定する。
1次発泡粒子の粒径は、直径を直接、ノギスを用いて次のようにして測定する。即ち、1次発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、1次発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定する。1次発泡粒子20個の長径、短径及び長さの相加平均値を粒径とする。
連続気泡率は次のようにして測定する。
まず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の1次発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記1次発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に1次発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた1次発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて1次発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと1次発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により1次発泡粒子の連続気泡率を算出する。なお、水1gの体積を1cm3とする。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
結晶化度は次のようにして測定する。
1次発泡粒子又は発泡層を4mg試料として採取する。得られた試料を、JIS K7121に記載の測定法に準拠して、10℃/分の速度にて昇温しながら、示差走査熱量計(DSC:エスアイアイナノテクノロジー社製DSC6220型)を用いて、1mg当たりの冷結晶化熱量及び融解熱量を測定する。両熱量を下記式に代入することで結晶化度を算出する。
結晶化度(%)
1次発泡粒子を500cm3メスシリンダ内に500cm3のメモリまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、1次発泡粒子が一粒でも500cm3のメモリに達しているものがあれば、その時点で1次発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した1次発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字まで秤量し、その質量W(g)とする。
そして、下記の式により1次発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
φ66mm円柱を厚み40mmにカットしたものを試験体とする。この試験体の側面を、圧縮速度10mm/分の条件で5%圧縮時の圧縮応力を測定する。圧縮応力の測定には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いる。
図1及び図2に示した製造装置を用いて1次発泡粒子を製造した。まず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6250H」、融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:138.8℃)100重量部及び気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を200℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度7639sec-1でポリ乳酸系樹脂を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型1の温度は200℃に維持されていた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が1.0mmのノズルを10個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及びドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
冷却された発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41e及び排出管41fを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られた発泡粒子は、その粒径が2.2〜2.6mmであり、嵩密度が0.21g/cm3であった。
得られた発泡粒子の表面は、表皮層で全面的に被覆されていた。表皮層には気泡断面は存在していなかった。
発泡粒子を圧力容器から取り出し、直ちに攪拌機付の熱風乾燥機に供給し、攪拌しながら55℃の乾燥した熱風で3分間に亘って加熱発泡させた。この発泡により、粒径が2.6〜3.6mm、嵩密度が0.083g/cm3、結晶化度が20.2%の発泡粒子を得た。
得られた粒子を10リットルの圧力容器内に供給して、容器を密閉し、容器内に二酸化炭素を0.5MPaの圧力で圧入した後、20℃にて6時間に亘って放置した。放置後、容器から取り出した粒子を以下の実施例及び比較例において1次発泡粒子として使用した。
直径66mm、厚み0.2mm、長さ60mmのアルミニウムからなる外壁から構成される3個の筒(圧縮応力0.5N、内面及び外面共にアルミニウム)のそれぞれに、上記製造例で得られた結晶化度26%の1次発泡粒子を詰め、両端をアルミニウムテープで塞いだ。その後、アルミニウムテープの中心に、発泡剤の逸散用として直径1mmの孔を1つ開けた。
上記1次発泡粒子が詰まったアルミニウム缶をオーブンに入れ、100℃で20分間加熱することで、発泡層を形成した後、オーブンより取り出すことで複合構造部材を得た。
上記と同様に複合構造部材の重量を測定したところ、重量バラツキは観察されなかった。
中心部より切り取った発泡層の結晶化度を測定したところ42%(3個の平均値)であった。また、複合構造部材の圧縮応力(2個の平均値)は、331Nであった。
1次発泡粒子としてポリスチレン1次発泡粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、発泡層が収縮しており、容易に外壁と分離した。
なお、ポリスチレン1次発泡粒子には、エスレンビーズHCS(積水化成品工業社製)を予備発泡機に供給して、次いで、このビーズを水蒸気を用いて発泡させて得られた嵩密度0.067の発泡粒子を、1日常温で保管することで乾燥させた粒子を用いた。
アルミニウムテープに孔を開けず筒内に1次発泡粒子を密封すること以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、1次発泡粒子の2次発泡が不足しており、容易に外壁と分離した。
Claims (11)
- 外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、
前記外壁が、発泡層と密着可能な材料から構成された内面、かつ前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を有し、
前記1次発泡粒子が15〜35%の結晶化度を有し、前記発泡層が、前記加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有することを特徴とする複合構造部材の製造方法。 - 前記外壁が、150℃以上の耐熱温度を有する材料から構成される請求項1に記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記加熱が、前記外壁を加熱することにより行われる請求項1又は2に記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記空間が、前記1次発泡粒子を通過させず、前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖される請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記1次発泡粒子が、0.02〜0.6g/cm3の嵩密度を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記加熱が、90〜150℃の温度で行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記1次発泡粒子が、気体を含浸させた後、前記空間内へ充填される請求項1〜6のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記気体が、窒素及び二酸化炭素のいずれかを少なくとも含む請求項7に記載の複合構造部材の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載の製造方法で得られた複合構造部材。
- 請求項9に記載の複合構造部材を含む自動車用部材。
- 請求項9に記載の複合構造部材を含む自動車ドアパネル。
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