以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機10に適用した場合のデジタル複合機10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、デジタル複合機10は、CPUを含み、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、画像データ等の書き込みや読み出しを行うためのDRAM12と、デジタル複合機10の有する情報を表示する表示画面を含み、デジタル複合機10におけるユーザとのインターフェースとなる操作部13と、原稿を自動的に所定の原稿読み取り位置へ搬送する原稿送り装置14と、原稿送り装置14によって搬送されてきた原稿の画像を所定の読み取り位置でスキャナで読み取る画像読取り部15と、画像読取り部15で読み取られた原稿等からその画像を形成する画像形成部16と、画像データ等を格納するハードディスク17と、公衆回線20に接続されるFAX通信部18と、ネットワーク21と接続するためのネットワークIF(インターフェース)部19とを備える。
制御部11は、画像読取り部15から与えられる原稿データをDRAM12に圧縮符号化して書き込み、DRAM12に書き込んだデータを読み出し、伸張復号化して画像形成部16に出力する。
デジタル複合機10は、画像読取り部15により読み取られた原稿を用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機10は、ネットワークIF部19を通じて、ネットワーク21に接続されたパソコン22から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、プリンターとして作動する。さらに、デジタル複合機10は、FAX通信部18を通じて、公衆回線20から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、また、画像読取り部15により読み取られた原稿の画像データを、FAX通信部18を通じて公衆回線20に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。すなわち、デジタル複合機10は、画像処理に関し、複写(コピー)機能、プリンター機能、FAX機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、さらに詳細に設定可能な機能を有する。
なお、図1において、太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
ここで、画像形成部16の具体的な構成について説明する。図2は、画像形成部16の一部の構成を示す概略図である。図2において、実線の矢印は用紙の流れを示しており、点線の矢印は転写ベルトの回転方向を示している。図1〜図2を参照して、画像形成部16は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像形成部26a〜26dと、各色の本体駆動部(図2においては、図示せず)とを備える。
ここで、イエローのトナー像形成部26aについて説明する。なお、他の色のトナー像形成部26b〜26dについても同様の構成であるため、説明は省略する。
まず、イエローのトナー像形成部26aは、感光体30aと、帯電部27aと、露光部28aと、現像部29aと、クリーニング部31aとを備える。そして、帯電部27aにより、感光体30aに電圧を印加して表面を所定の電位に帯電させると、露光部28aにより、感光体30aの表面にイエローの光像を露光する。そうすると、感光体30aの表面には、静電潜像が形成される。そして、現像部29aにより、静電潜像にイエローのトナーを付着させ、イエローのトナー像を形成する。マゼンタ、シアン、ブラックの他の色のトナー像形成部26b〜26dについても同様に、各色のトナー像を形成する。そして、各色のトナー像は、位置ずれが起きないように、図2中の点線の矢印で示す方向に回転している転写ベルト34上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に重ね合わせて一次転写される。このとき、各色の感光体30a〜30dは、同一の方向に同期して回転する。そして、クリーニング部31aにより、感光体30aの表面に残留しているトナー等を取り除き、次の画像を形成するための準備を行う。
なお、転写ベルト34上に形成されたカラー画像は、用紙へ転写ローラ32によって二次転写され、定着ローラ33により定着される。このようにして、用紙にカラー画像が形成される。
イエローのトナー像形成部26aは、さらに、検出部35と、記憶部36とを備える。図3は、イエローのトナー像形成部26aと、イエローの本体駆動部37とを示す概略図である。
検出部35は、PI(Photo Interrupter)センサ40と、遮光板41とを備える。図4および図5は、検出部35を示す斜視図である。図1〜図5を参照して、PIセンサ40は、クリーニング部31aに設けられており、光を照射する発光面を有する発光側部材40aと、発光面から照射された光を受光する受光面を有する受光側部材40bとを含む。発光面と受光面とは、対向するように設けられている。
遮光板41は、感光体30aの長手方向端部に位置する円筒形状のフランジ部44に設けられている。遮光板41は、フランジ部44の外径面から径方向外側に突出する形状であって、フランジ部44の円周上の所定の箇所に位置する。また、遮光板41は、黒色の部材である。遮光板41は、感光体30aの回転に伴い、PIセンサ40の発光面と受光面との間に位置し、発光面から照射された光を受光面に受光させることなく、遮光することによって、感光体30aの円周上の所定の箇所を検出する。すなわち、所定の箇所は、遮光板41によって遮光された位置であって、感光体30aの回転角度の基準となる基準箇所である。また、所定の箇所は、円周上の一箇所のみである。ここで、PIセンサ40および遮光板41は、位置検出手段として作動する。
また、フランジ部44と感光体30aとは、接着剤等で接合されている。これにより、フランジ部44と感光体30aとの接合による振動等を防止することができる。
記憶部36は、感光体30aの円周上の偏心位置を記憶する。偏心位置とは、感光体30aの最大振幅位置を示す情報である。具体的には、感光体一周を等間隔に30分割し、PIセンサ40によって検出した基準箇所を先頭として、最大振幅位置が、回転方向の何番目に位置するかを記憶する。すなわち、感光体一周を30分割したうち、PIセンサ40によって検出した基準箇所と偏心位置との差分を記憶する。ここで、記憶部36は、記憶手段として作動する。
ここで、イエローの本体駆動部37について説明する。なお、他の色の本体駆動部についても同様の構成であるため、説明は省略する。
まず、イエローの本体駆動部37は、感光体30aを回転駆動させる駆動手段として作動するモータ43と、エンコーダ42とを備える。
エンコーダ42は、回転軸を有し、感光体30aの回転角度に応じてパルス信号を出力する。
モータ43は、制御部11からの指示によって出力される制御信号と、モータ43が回転することによって出力される回転信号、すなわち、感光体30aの回転角度に応じて、エンコーダ42から出力されるパルス信号とに基づいて、その回転を制御される。
モータ43と、エンコーダ42とは、同じ回転軸線上に配置されている。そして、感光体30aの回転角度を検出する。具体的には、感光体30aが一周回転した場合に発生させるパルス信号を1456パルスとすると、PIセンサ40によって検出した基準箇所を先頭として、1456パルス中の何パルス目まで回転したかを判断することによって、感光体30aの回転角度を検出する。ここで、エンコーダ42は、角度検出手段として作動する。
ここで、各色の感光体30a〜30dの最大振幅位置は、各色の感光体30a〜30d毎に異なっている。すなわち、各色の記憶部36に記憶されているPIセンサ40によって検出した基準箇所と偏心位置との差分は、各色の感光体30a〜30d毎に異なっている。この実施形態においては、記憶されているブラックの差分を5個分とする。そうすると、ブラックの偏心位置は、基準箇所を先頭として、1456÷30×5=242パルス目である。また、記憶されているイエローの差分を20個分とすると、イエローの偏心位置は、1456÷30×20=970パルス目である。また、記憶されているマゼンタの差分を16個分とすると、マゼンタの偏心位置は、1456÷30×16=776パルス目である。また、記憶されているシアンの差分を22個分とすると、シアンの偏心位置は、1456÷30×22=1068パルス目である。
ここで、定常時において、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合について説明する。図6は、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合について示すフローチャートである。図1〜図6を参照して、定常時において、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合について説明する。なお、定常時とは、画像形成の可能な定常速度で、モータ43が回転している状態である。
図7は、ブラックの感光体30dにおいて、基準箇所Aと偏心位置Bとを示す図である。図7中の矢印は、回転方向を示している。まず、制御部11は、ブラックの感光体30dにおいて、PIセンサ40によって、円周上の基準箇所Aを検出する(図6において、ステップS11、以下ステップを省略する)。また、制御部11は、記憶部36により記憶した差分から、偏心位置Bを検出する(S12)。この実施形態においては、上記したように、242パルス目である。
そして、偏心位置Bを1456パルス中の0パルス目に置き換える(S13)。すなわち、偏心位置Bを先頭とする。具体的には、242パルス目を0パルス目に置き換えて、0パルス目を1456−242より、1214パルス目に置き換える。すなわち、0パルス目が偏心位置Bであって、1214パルス目が基準箇所Aとなる。図8は、置き換えた基準箇所Aと偏心位置Bとを示す図である。
イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の感光体30a〜30cにおいても同様に、基準箇所と偏心位置とを検出する。図9は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の感光体30a〜30dの基準箇所と偏心位置とを示す図である。図9を参照して、イエローの感光体30aにおいては、0パルス目が偏心位置Dであって、1456−970より、486パルス目が基準箇所Cとなっている。また、マゼンタの感光体30bにおいては、0パルス目が偏心位置Fであって、1456−776より、680パルス目が基準箇所Eとなっている。シアンの感光体30cにおいては、0パルス目が偏心位置Hであって、1456−1068より、388パルス目が基準箇所Gとなっている。
そして、制御部11は、ブラックの偏心位置Bを基準として、ブラックの偏心位置Bに、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを一致させるよう制御する。すなわち、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させる。ここで、ブラックの感光体30dは、偏心位置を一致させる基準となる第1の感光体であって、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体30a〜30cは、第1の感光体に合わせて動作する第2の感光体である。ここで、制御部11は、制御手段として作動する。
まず、イエローの感光体30aの偏心位置を同期させる場合について説明すると、ブラックの偏心位置Bに対して、イエローの偏心位置Dが、回転方向に所定の角度よりも離れているか否かを判断する(S14)。この実施形態においては、所定の角度は、半円の180°、すなわち、1456÷2=728パルスとし、728パルスより離れているか否かを判断する。ここで、制御部11は、判断手段として作動する。
具体的には、ブラックの偏心位置Bとイエローの偏心位置Dとの差分、すなわち、位相差を計算し、ブラックの基準箇所Aのパルスとイエローの基準箇所Cのパルスとを一致させるように制御する。したがって、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aは、1214パルスであって、イエローの偏心位置Dに対する基準箇所Cは、486パルスであることから、位相差は、1214−486=728である。したがって、回転方向に所定の角度よりも離れていないと判断する(S14において、YES)。
そうすると、イエローの感光体30aの回転速度を現在の回転速度に対して減速させる。その後、この回転速度を元の速度に戻すため、イエローの感光体30aの回転を加速する。そして、この加速が終了し、この回転速度が元の速度に戻るタイミングで、ブラックの偏心位置Bに、イエローの偏心位置Dを一致させる(S15)。ここで、制御部11は、速度変更手段として作動する。
また、マゼンタの感光体30bについて説明すると、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aは、1214パルスであって、マゼンタの偏心位置Fに対する基準箇所Eは、680パルスであることから、位相差は、1214−680=534である。したがって、回転方向に所定の角度よりも離れていないと判断し(S14において、YES)、マゼンタの感光体30bの回転速度を現在の回転速度に対して減速させる。その後、この回転速度を元の速度に戻すため、マゼンタの感光体30bの回転を加速する。そして、この加速が終了し、この回転速度が元の速度に戻るタイミングで、ブラックの偏心位置Bに、マゼンタの偏心位置Fを一致させる(S15)。
また、シアンの感光体30cについて説明すると、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aは、1214パルスであって、シアンの偏心位置Hに対する基準箇所Gは、388パルスであることから、位相差は、1214−388=826である。したがって、回転方向に所定の角度よりも離れていると判断し(S14において、NO)、シアンの感光体30cの回転速度を現在の回転速度に対して加速させる。その後、この回転速度を元の速度に戻すため、シアンの感光体30cの回転を減速する。そして、この減速が終了し、この回転速度が元の速度に戻るタイミングで、ブラックの偏心位置Bに、シアンの偏心位置Hを一致させる(S16)。
このように、デジタル複合機10は、基準箇所A、C、E、Gと偏心位置B、D、F、Hとの差分を記憶する。そして、感光体30a〜30dの回転角度を検出することにより、記憶した差分を用いて、感光体30a〜30dの円周上の偏心位置を、複数の感光体30a〜30dにおいて各々一致させる。これにより、位相合わせを行うタイミングを任意にすることができ、感光体30a〜30dの回転を停止させる必要もない。したがって、効率よく位相合わせを行うことができ、短時間で複数の感光体30a〜30dの位相合わせを適切に行うことができる。
また、デジタル複合機10は、感光体30a〜30dの円周上の偏心位置を、複数の感光体30a〜30dにおいて各々一致させる際に、偏心位置が所定の角度よりも離れているか否かを判断する。そして、判断した結果に応じて、感光体30b〜30dの回転速度を変更する。これにより、偏心位置の離れている角度の大きさに応じて、感光体30b〜30dの回転速度を変更することができるため、短時間で複数の感光体30a〜30dの位相合わせを適切に行うことができる。
また、このような各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させる感光体30a〜30dの回転同期方法は、感光体30a〜30dの回転を停止させる必要なく、複数の感光体30a〜30dを回転させながら、感光体30a〜30dの円周上の偏心位置を同期させる。したがって、効率よく位相合わせを行うことができ、短時間で複数の感光体30a〜30dの位相合わせを適切に行うことができる。
なお、上記の実施の形態においては、感光体30a〜30dの偏心位置を検出する際に、感光体一周を30分割する例について説明したが、これに限ることなく、例えば、2分割であってもよいし、何分割であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、モータ43と、エンコーダ42とは、同じ回転軸線上に配置されている例について説明したが、これに限ることなく、減速比が固定である場合には、異なる回転軸線上であってもよい。また、エンコーダ42は、回転軸を有し、感光体の中心軸と同軸上に位置するよう構成してもよい。また、エンコーダ42の中心軸は、モータ43の中心軸と同軸であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、感光体30a〜30dの回転角度を検出する際に、エンコーダ42を用いる例について説明したが、これに限ることなく、モータ43にDCブラシレスモータを採用し、DCブラシレスモータのFG(Frequency Generator)パルス信号によって、感光体30a〜30dの回転角度を検出してもよい。
また、上記の実施の形態においては、画像形成部16は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色分の感光体30a〜30dを備える例について説明したが、これに限ることなく、例えば、マゼンタおよびブラックの2色分の感光体を備えてもよい。
また、上記の実施の形態においては、ブラックの偏心位置Bとイエローの偏心位置Dとの位相差が、728、すなわち、半円の728と同じ値であって、この場合に、イエローの感光体30aの回転速度を現在の回転速度に対して減速させることにより、ブラックの偏心位置Bにイエローの偏心位置Dを一致させる例について説明したが、これに限ることなく、イエローの感光体30aの回転速度を現在の回転速度に対して加速させることにより、ブラックの偏心位置Bにイエローの偏心位置Dを一致させてもよい。
また、上記の実施の形態においては、感光体30aの回転角度の基準となる基準箇所である所定の箇所は、遮光板41によって遮光された位置である例について説明したが、これに限ることなく、遮光板41によって遮光された位置から、例えば、所定のパルス進んだ箇所であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、ブラックの偏心位置Bに、他の色の偏心位置D、F、Hを一致させるよう制御する際に、減速または加速させると共に、減速または加速が終了し、回転速度が元の速度に戻るタイミングで、ブラックの偏心位置Bに、他の色の偏心位置D、F、Hを一致させる例について説明したが、このように、位相合わせが終了したタイミングで、元の速度に戻すよう制御する他の実施形態について説明する。図10は、他の実施形態について示すフローチャートである。図1〜図10を参照して、他の実施形態について説明する。なお、S21〜S26については、上記した図6のS11〜S16と同様であるため、説明は省略する。
まず、S25において、マゼンタの感光体30bの回転速度を現在の回転速度に対して減速して、ブラックの偏心位置Bに、マゼンタの偏心位置Fを一致させるよう制御する(S25)。このとき、制御部11は、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aと、マゼンタの偏心位置Fに対する基準箇所Eとの差が、1214−680=534であることから、半分の位相差、すなわち、534÷2=267パルスの地点まで、現在の回転速度に対して減速するよう制御する(S27)。
そして、267パルスの地点を超えると、534パルスの地点まで、現在の回転速度に対して減速した分だけ加速するよう制御する(S28)。すなわち、減速量と加速量とを同じにして、元の速度に戻すように制御する。図11は、減速量と加速量とを同じにした場合の回転速度の変化を示す図である。
こうすることにより、位相合わせが終了したタイミングで、減速する前の基準となる速度に戻すことができるため、効率的に、位相合わせを行うことができる。
なお、シアンの感光体30cの回転速度を現在の回転速度に対して加速して、ブラックの偏心位置Bに、シアンの偏心位置Hを一致させるよう制御する場合においても同様に(S26)、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aと、シアンの偏心位置Hに対する基準箇所Gとの差が、1214−388=826であることから、半分の位相差、すなわち、826÷2=413パルスの地点まで、現在の回転速度に対して加速するよう制御する(S29)。
そして、413パルスの地点を超えると、826パルスの地点まで、現在の回転速度に対して加速した分だけ減速するよう制御する(S30)。すなわち、加速量と減速量とを同じにして、元の速度に戻すように制御する。図12は、加速量と減速量とを同じにした場合の回転速度の変化を示す図である。
また、上記の実施の形態においては、ブラックの偏心位置Bを基準とし、ブラックの偏心位置Bに、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを一致させる例について説明したが、これに限ることなく、他の色の偏心位置を基準としてもよい。ここで、他の色の偏心位置を基準とする他の実施形態について説明する。
まず、デジタル複合機10を用いて、画像を形成する場合には、カラー画像を形成する場合と、モノクロ画像を形成する場合とが存在する。そして、それぞれの動作は、異なっている。具体的には、カラー画像を形成する場合は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色分の感光体30a〜30dを動作させる。一方、モノクロ画像を形成する場合は、ブラックの感光体30dのみを動作させる。
したがって、モノクロ画像の形成が終了したタイミングでは、ブラックの感光体30dのみを動作させたため、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hは、それぞれ一致した状態であって、ブラックの偏心位置Bのみ、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hと一致しない状態である。このような状態で、カラー画像を形成しようとして、上記したように、ブラックの偏心位置Bを基準として、ブラックの偏心位置Bに、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを一致させると、カラー画像の形成に時間がかかってしまう虞がある。
そこで、他の色の偏心位置を基準として、位相合わせを行う場合の他の実施形態について説明する。図13は、他の実施形態について示すフローチャートである。図1〜図13を参照して、他の実施形態について説明する。
まず、上記したように、ブラックの偏心位置Bを基準として、ブラックの偏心位置Bに、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを一致させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う(S101)。その後、モノクロ画像を形成する(S102)。
そして、画像の形成を終了するタイミングで、S102にて形成した画像が、モノクロ画像であるか否かを判断する(S103)。ここで、制御部11は、動作判断手段として作動する。
ここで、S102では、モノクロ画像を形成している(S103において、YES)。したがって、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを基準として、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hに、ブラックの偏心位置Bを一致させて、ブラックの感光体30dの回転を停止させるよう制御する(S104)。すなわち、S102において、モノクロ画像を形成していることから、ブラックの感光体30dのみを動作させ、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の感光体30a〜30cにおいては、動作させていない。したがって、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hは、一致した状態のままである。
具体的には、記憶部36にイエロー、マゼンタ、シアンの一致した状態の偏心位置D、F、Hを記憶しておくことにより、記憶した偏心位置に、ブラックの偏心位置Bを一致させて、ブラックの感光体30dの回転を停止させるよう制御する。
すなわち、この実施形態においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の感光体30a〜30dのうち、単独で動作した感光体が在るか否かを判断する。そして、単独で動作した感光体、ここでは、ブラックの感光体30dが在ると判断すれば、他の感光体、ここでは、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体30a〜30cの偏心位置に、単独で動作した感光体、ここでは、ブラックの感光体30dの偏心位置を一致させるよう制御する。
これにより、複数の感光体のうち、単独で動作した感光体が在るか否かを判断し、単独で動作した感光体が在ると判断すれば、単独で動作した感光体の偏心位置を、他の感光体の偏心位置に一致させるよう制御する。したがって、動作した感光体の数に応じて、位相合わせを行うことができる。その結果、ユーザにとって、所望の画像を得るまでの待ち時間を減らすよう制御して、複数の感光体の位相合わせを適切に行うことができる。
なお、形成した画像が、カラーの画像である場合には(S103において、NO)、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色分の感光体30a〜30dを動作させているため、ブラックの偏心位置Bに、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hを一致させるよう制御する(S105)。
また、上記の実施の形態においては、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を一致させる場合、感光体30a〜30dの回転速度を加速または減速する例について説明したが、感光体30a〜30dの回転速度には、上限速度および下限速度を設ける場合がある。この場合、上限速度以上には加速することができず、また、下限速度以下には減速することができないことから、一致させるのに時間がかかってしまう虞がある。
そこで、上限速度および下限速度を設けた場合のさらに他の実施形態について説明する。図14は、図11に示すマゼンタの感光体30bの減速量と加速量とを同じにした場合であって、下限速度が設けられている場合の回転速度の変化を示す図である。図14中の二点鎖線で、マゼンタの感光体30bの下限速度を示している。図11および図14を参照して、この場合、位相合わせを行う時間が、長くなってしまう。
そこで、上限速度および下限速度に応じて、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を一致させて、位相合わせを行う場合のさらに他の実施形態について説明する。図15は、さらに他の実施形態について示すフローチャートである。図1〜図15を参照して、さらに他の実施形態について説明する。S31〜S34については、上記した図6のS11〜S14と同様であるため、説明は省略する。
まず、S34において、ブラックの偏心位置Bに対して、マゼンタの偏心位置Fが、所定の角度よりも離れているか否かを判断し(S34)、所定の角度は、半円の180°、すなわち、1456÷2=728パルスとし、728パルスよりも離れているか否かを判断する。
そうすると、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aは、1214パルスであって、マゼンタの偏心位置Fに対する基準箇所Eは、680パルスであることから、位相差は、1214−680=534である。したがって、回転方向に所定の角度よりも離れていないと判断し(S34において、YES)、マゼンタの感光体30bの回転速度を現在の回転速度に対して減速して、ブラックの偏心位置Bに、マゼンタの偏心位置Fを一致させるよう制御する(S35)。
しかし、上記したように、下限速度に近い速度で回転していることから、位相合わせを行うのに、1.5秒かかってしまう(図14参照)。そこで、所定の角度を変更する(S36)。具体的には、180°を1/4円の90°に変更する。そして、1456÷4×1より、364パルスよりも離れているか否かを判断する。ここで、制御部11は、角度変更手段として作動する。
そうすると、回転方向に所定の角度よりも離れていると判断し(S34において、NO)、マゼンタの感光体30bの回転速度を現在の回転速度に対して加速して、ブラックの偏心位置Bに、マゼンタの偏心位置Fを一致させるよう制御する(S37)。
図16は、マゼンタの感光体30bの減速量と加速量とを同じにした場合であって、加速することによって、位相合わせを行う場合の回転速度の変化を示す図である。図16を参照して、この場合、位相合わせを行うのに、1.2秒かかっている。したがって、0.3秒短い時間で位相合わせを行うことができる。
こうすることにより、より短時間で位相合わせを行うことができる所定の角度に変更して、位相合わせを行うことができる。また、上限速度および下限速度を超えることなく、適切な速度で、複数の感光体30a〜30dの位相合わせを行うことができる。
次に、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合のさらに他の実施形態について説明する。
まず、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を一致させる場合には、上記したように、基準となる色の感光体に対して、他の色の感光体の回転速度を加速または減速する。ここで、加速または減速する際には、所定のデータを用いて、回転速度を加速または減速する。具体的には、現在の回転速度を目標となる目標速度に追従または一致させることによって、回転速度を加速または減速する。この目標速度は、エンコーダ42から出力されるパルス信号の1パルスあたりに存在するタイマカウント値の目標値である。タイマカウント値とは、CPUの内部タイマを用いて出力されるクロックパルスの数をカウントした値である。
目標速度は、例えば、記憶部36に記憶されており、複数のタイマカウント値の目標値を保持するテーブルとして構成される。この目標速度となる複数のタイマカウント値は、複数のステップに分かれて保持されている。そして、この複数のタイマカウント値は、回転速度が速くなるにしたがって小さくなるように保持されている。図17は、タイマカウント値と回転速度との関係を示す図である。図17を参照して、回転速度が遅い場合、タイマカウント値は大きくなり、回転速度が速い場合、タイマカウント値は小さくなる。また、回転速度が遅い場合のタイマカウント値は、ステップ間の変化量が大きくなり、回転速度が速い場合のタイマカウント値は、ステップ間の変化量が小さくなる。図17を参照して、回転速度の遅い領域Aにおいては、ステップ間のタイマカウント値の変化量aが大きくなっている。また、回転速度の速い領域Bにおいては、ステップ間のタイマカウント値の変化量bが小さくなっている。
ここで、複数のタイマカウント値は、感光体の偏心位置の距離差、例えば、ブラックの偏心位置Bに対する基準箇所Aと、イエローの偏心位置Dに対する基準箇所Cとの差分が、小さくなるにしたがい、異なる方法で保持されている。すなわち、偏心位置の一致を開始する場合の回転速度が遅く、距離差が大きい場合、すなわち、図17中の領域Aの場合と、偏心位置の一致を開始して所定の時間が経過し、回転速度が速く、距離差が小さくなった場合、すなわち、図17中の領域Bの場合とで、保持方法が変更されている。
具体的には、複数のタイマカウント値は、複数の区分に分割され、各区分毎に異なるステップ数で保持されている。図18は、複数の区分に分割した場合の一例を示す図である。図19は、各区分におけるタイマカウント値を示す図である。区分1におけるタイマカウント値は、ステップ間の変化量が大きく、距離差が大きいため、各ステップ毎にデータを保持する。また、区分2におけるタイマカウント値は、ステップ間の変化量が小さく、距離差が小さいため、複数ステップでまとめてデータを保持する。すなわち、複数ステップで1データに代替する。なお、図19の区分2の上段でまとめた場合のデータを示し、下段でまとめなかった場合のデータを示している。このように、区分毎に、異なるステップ数でデータを保持して、目標速度のデータの保持方法を変更する。すなわち、感光体の偏心位置の距離差に応じて、保持された所定のデータを用いて、感光体の回転速度を変更し、感光体の円周上の偏心位置を、複数の感光体において各々一致させる。これにより、保持する所定のデータの量を少なくすることができ、デジタル複合機10全体の処理効率を向上させることができる。ここで、記憶部36は、保持変更手段として作動する。
また、この区分は、例えば、図20に示すフローチャートによって、適切に分割して設定することができる。図20を参照して、まず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の色ずれの許容値を設定する(S201)。色ずれの許容値とは、各色のトナー像を転写ベルト34上に転写する際に、生じても許容可能な位置ずれの範囲を言う。ここで、色ずれの許容値を40μmと設定する。そして、設定した色ずれの許容値に基づいて、例えば、ブラックの偏心位置Bを基準として、イエロー、マゼンタ、シアンの他の色の偏心位置D、F、Hのパルス差の許容値を設定する(S202)。例えば、40μmに対応する値が、−200から+200パルス以内である。そして、パルス差の許容値に基づいて、複数の区分に分割する(S203)。具体的には、パルス差の許容値の範囲となるよう、各区分の範囲を調整して、複数の区分に分割する。また、分割した複数の区分において、パルス差の許容値の範囲となるよう、各区分毎に保持するステップ数を設定するよう制御する。
こうすることにより、パルス差の許容値に基づいて、各区分の範囲を調整して、複数の区分に分割すると共に、各区分毎に保持するステップ数を設定するよう制御する。これにより、複数の感光体の位相合わせを適切に行うことができる。
なお、上記の実施の形態においては、区分1および区分2の2つに分割する例について説明したが、これに限ることなく、パルス差の許容値に応じて、2以上の複数の区分に分割してよい。例えば、図21は、5区分に分割した場合を示す図である。この場合、例えば、区分1では、1ステップ毎にデータを保持し、区分2では、2ステップ毎にデータを保持し、区分3では、3ステップ毎にデータを保持し、区分4では、4ステップ毎にデータを保持し、区分5では、5ステップ毎にデータを保持してもよい。すなわち、距離差が小さくなるにしたがい、より多くのデータをまとめて保持してもよい。
次に、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合のさらに他の実施形態について説明する。
まず、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を一致させる場合には、上記したように、基準となる色の感光体に対して、他の色の感光体の回転速度を加速または減速する。ここで、加速または減速する際には、現在の回転速度を目標となる目標速度に追従または一致させることによって、回転速度を加速または減速する。この目標速度は、さらに、位相差に応じた所定の補正量によって補正される。具体的には、この目標速度は、所定の補正量を乗算することによって補正される。
この所定の補正量は、感光体30a〜30dを回転駆動させるモータの駆動トルクを一定の範囲内の値とし、その一定の範囲内の値に対応して設定されるものである。しかし、例えば、経年変化等で、各色の感光体30a〜30d毎に、モータの駆動トルクが一定の範囲内を越えて変化する場合がある。すなわち、モータの駆動トルクが、各色の感光体30a〜30d毎に相互に異なる場合がある。そうすると、所定の補正量は、適切な値とならない虞がある。
具体的には、モータの駆動トルクを80mNm(ミリニュートンメートル)とし、その値に対応する所定の補正量を設定する。例えば、80mNmに対する所定の補正量を20と設定する。このとき、モータの駆動トルクが30mNmに変化すると、この20に設定した所定の補正量を用いて補正した速度では、元の速度に収束することなく、オーバーシュートおよびアンダーシュートして、位相合わせに時間がかかってしまう虞がある。図22は、回転速度が収束しない場合の一例を示す図である。図22を参照して、実線で、駆動トルクが80mNmの場合を示し、点線で、駆動トルクが30mNmの場合を示している。この場合、80mNmでは、所定の補正量が適切な値であるため、オーバーシュートおよびアンダーシュートすることなく、適切に元の速度に収束している。しかし、30mNmでは、所定の補正量が大きいため、オーバーシュートおよびアンダーシュートしてしまっている。
このような場合に、所定の補正量をモータの駆動トルクに応じて調整する。図23は、所定の補正量をモータの駆動トルクに応じて調整する場合について示すフローチャートである。図23を参照して、まず、モータの駆動トルクの検出を行う(S301)。このとき、例えば、モータにトルクメータ等を取り付けることにより、駆動トルクの検出を行う。ここで、トルクメータは、検出手段として作動する。そして、検出したトルク値に応じて、所定の補正量を調整する(S302)。ここで、制御部11は、調整手段として作動する。
図24は、所定の補正量をモータの駆動トルクに応じた値に調整した場合の一例を示す図である。図24を参照して、所定の補正量は、モータの駆動トルクの変化に応じた値となっている。
こうすることにより、モータの駆動トルクに応じた所定の補正量を用いて、感光体30a〜30dの回転速度を変更し、感光体30a〜30dの円周上の偏心位置を、複数の感光体30a〜30dにおいて各々一致させる。これにより、複数の感光体30a〜30dの各々において、駆動トルクが相互に異なる場合であっても、駆動トルクに応じた所定の補正量で、感光体30a〜30dの回転速度を変更し、感光体30a〜30dの円周上の偏心位置を、複数の感光体30a〜30dにおいて各々一致させることができる。その結果、短時間で複数の感光体30a〜30dの位相合わせを適切に行うことができる。
次に、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合のさらに他の実施形態について説明する。具体的には、起動時において、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合について説明する。なお、起動時とは、モータ43の回転が停止、すなわち、回転速度0から定常速度となるまでの状態である。
図25は、起動時において、各色の感光体30a〜30dの偏心位置を同期させ、各色の感光体30a〜30dの位相合わせを行う場合について示すフローチャートである。S41〜S46については、上記した図6のS11〜S16と同様であるため、説明は省略する。
図1〜図25を参照して、まず、S46において、シアンの感光体30cの回転速度を現在の回転速度に対して加速して、ブラックの偏心位置Bに、シアンの偏心位置Hを一致させるよう制御する(S46)。ここで、起動時においては、現在の回転速度を目標となる目標速度に追従させることによって、回転速度を加速する。この目標速度は、位相差に応じた所定の補正量によって補正される(S47)。
図26は、起動時の目標速度を示す図であって、回転速度と反比例の関係となっている。したがって、回転を開始した直後の低速時においては、22109であって、定常速度に近づくにしたがって、徐々に小さくなり、定常時においては、3736である。
所定の補正量は、図26に示す目標速度に応じて変更される。具体的には、目標値を、例えば、128で割ることによって変更される。目標値が22109である場合には、22109÷128より、これに対応する目標値が173となり、目標値が3736である場合には、3736÷128より、これに対応する目標値が29となる。よって、所定の補正量は、目標速度に応じた比率となる。すなわち、この補正量を用いることにより、起動開始から目標速度に達するまでのいずれの時点における補正であっても、他の色の偏心位置D、F、Hが同じパルス数だけブラックの偏心位置Bに近づくこととなる。なお、図26に示す6段階の数値は、あくまで代表的な数値を列挙しただけであり、この所定の補正量の変更は適宜行なわれる。すなわち、例えば、22109と7933との間の目標速度に対しても所定の補正量の変更が行なわれる。
こうすることにより、目標速度が変化する場合であっても、それに合わせて、所定の補正量も変更することができるため、目標速度に応じた比率で、所定の補正量を設定することができる。その結果、起動時においても、短時間で位相合わせを適切に行うことができる。
なお、上記の実施の形態においては、目標速度を128で割ることによって、所定の補正量を算出する場合について説明したが、これに限ることなく、任意の値で割ってよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。