JP5480584B2 - カラーフィルター用顔料分散体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、顔料の凝集を効果的に防止し、分散性を改善することを課題として、窒素原子及びエーテル基を有するグラフト共重合体を含有する顔料分散剤、それを含む顔料分散組成物及び着色感光性組成物が開示されている。
また、特許文献2には、現像性等の特性を低下させず、顔料の分散安定性を改善することを課題として、窒素原子及び炭素原子のみから構成される環構造を有する含窒素単量体単位と酸基を有する単量体単位とを有する共重合体(i)、又は窒素原子を必須とする複素芳香環構造を有する含窒素単量体単位と酸基を有する単量体単位とを有する共重合体(ii)と顔料とを含む顔料分散組成物が開示されている。
本発明は、低粘度であり、保存安定性に優れ、かつ光学濃度に優れた硬化膜を得ることができるカラーフィルター用顔料分散体、その顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及びカラーフィルター用顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕顔料(A)、下記一般式(1)で表される構成単位を有する顔料分散用ポリマー(B)、及び下記一般式(2)で表される有機溶媒(C)を含有するカラーフィルター用顔料分散体。
〔2〕前記〔1〕のカラーフィルター用顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
〔3〕顔料(A)、前記一般式(1)で表される構成単位を有する顔料分散用ポリマー(B)、及び前記一般式(2)で表される有機溶媒(C)を含有する混合物を分散処理する工程を有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
以下、本発明に用いられる各成分等について説明する。
本発明に用いられる顔料(A)は、無機顔料及び有機顔料いずれであってもよい。また必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料等が挙げられる。アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン58等のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料等が挙げられる。
縮合多環顔料としては、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150等のニッケルアゾ錯体系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等のジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(3)で表されるジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Igaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
顔料(A)は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、更に好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、100個の粒子について、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測して、その平均値をその粒子の平均一次粒子径とする。
上記の顔料(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる顔料分散用ポリマー(B)は、顔料(A)を一般式(2)で表される化合物を含む有機溶媒(C)中で安定に微細化した状態で分散するために用いられる。顔料分散用ポリマー(B)は、下記一般式(1)で表される構成単位を有する。
R1は炭素数2〜5のアルキル基が好ましく、炭素数2〜4のアルキル基がより好ましく、ブチル基が更に好ましい。R2はメチル基が好ましく、Aはエチレン基が好ましい。nは1〜4であり、1〜3が好ましく、2がより好ましい。
顔料分散用ポリマー(B)としては、例えば、一般式(1)で表される構成単位のみからなるホモポリマー、一般式(1)で表される構成単位とその他の構成単位を有するグラフトポリマー、ブロックポリマー又はランダムポリマー等のコポリマー(共重合体)が挙げられる。これらの中では、顔料(A)の分散安定性の観点から、一般式(1)で表される構成単位を有するグラフトポリマーが好ましい。
一般式(1)で表される構成単位を有するグラフトポリマーは、一般式(1)で表される構成単位を主鎖に有していてもよいし、側鎖に有していてもよいし、それらの両方に有していてもよいが、低粘度を保ち、光学濃度を向上させる観点から、側鎖のみ又は主鎖よりも側鎖に多く有することが好ましく、側鎖のみに有することがより好ましい。
グラフトポリマーの主鎖としては、顔料(A)への吸着性の観点から、窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位、又はカルボキシ基を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含有することが好ましく、窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含有することがより好ましい。
また、グラフトポリマーの側鎖としては、前記有機溶媒(C)への顔料(A)の分散性を高める観点から、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位及び/又はスチレン由来の構成単位を含有することが好ましく、一般式(1)で表される構成単位を含有することがより好ましく、実質的に一般式(1)で表される構成単位のみからなることが更に好ましい。
上記のグラフトポリマーは、本発明の効果を阻害しない範囲内において、主鎖及び側鎖のいずれにも、前記モノマーと共重合可能なその他のモノマーを共重合したものでもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸、及び/又はメタクリル酸」を意味する。
グラフトポリマーの主鎖部分の重量平均分子量は、本発明の顔料分散体の低粘度を維持し、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは10,000〜25,000、更に好ましくは12,000〜23,000、更に好ましくは15,000〜20,000である。
グラフトポリマーの主鎖部分の重量平均分子量が前記範囲であると、側鎖部分が前記有機溶媒(C)への溶解性に引きずられて溶け出すこともなく、主鎖部分の顔料(A)に対する吸着部分も有効に使用され、グラフトポリマーが効率よく顔料(A)に吸着するため、保存安定性も向上し、粘度も低くなるものと考えられる。
グラフトポリマーの側鎖部分の重量平均分子量は、本発明の顔料分散体の保存安定性の観点から、好ましくは500〜20,000、より好ましくは700〜10,000、更に好ましくは700〜6000である。
グラフトポリマーの主鎖部分の重量平均分子量と側鎖部分の重量平均分子量の比〔主鎖/側鎖〕は、本発明の顔料分散体の保存安定性及び粘度低減の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜5、更に好ましくは3〜5である。
なお、重量平均分子量の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
主鎖の構成単位となるモノマーには、窒素原子を含有するビニルモノマーを用いることが好ましく、本発明の効果を妨げない範囲で、共重合可能なモノマーを共重合することができる。
窒素原子を含有するビニルモノマーとしては、アミド基やアミノ基等の官能基を有するビニルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、含窒素(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
含窒素(メタ)アクリル酸エステルとしては、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリレート、1−(N,N−ジアルキルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら窒素原子を含有するビニルモノマーの中では、顔料(A)への吸着性の観点から、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類が好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
前記グラフトポリマーの全構成単位中の窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成成分の含有量は、顔料(A)への吸着性の観点、及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
前記グラフトポリマーの製造方法として、後述するカップリング反応による方法を用いる場合には、反応性官能基を含有するビニルモノマーも共重合することができる。反応性官能基を含有するビニルモノマーの具体例は後述する。
前記モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
側鎖の構成単位となるモノマーには、下記一般式(1)で表される構成単位の由来となるモノマーを用いることが好ましく、本発明の効果を妨げない範囲で、共重合可能なモノマーを共重合することができる。
一般式(1)で表される構造の由来となるモノマーは、(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールであり、具体的には、(メタ)アクリル酸ブトキシジエチレングリコール等が挙げられ、メタクリル酸ブトキシジエチレングリコールが好ましい。(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールの市販品としては、共栄社化学株式会社製の商品名:ライトエステルBC(メタクリル酸ブトキシジエチレングリコール)等が挙げられる。
一般式(1)で表される構造の由来となるモノマーと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
前記モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記グラフトポリマーの側鎖中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、側鎖中の全構成単位に対して、好ましくは5〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは80〜100重量%である。
前記グラフトポリマー中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、ポリマー中の全構成単位に対して、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは60〜800重量%、更に好ましくは60〜70重量%である。
前記グラフトポリマーの製造方法としては、(i)主鎖部分の構成単位であるモノマーと側鎖部分を構成するモノマー、いわゆるマクロマーとを共重合する方法、及び(ii)主鎖部分を構成するポリマーと側鎖部分を構成するポリマーとをカップリング反応させる方法が挙げられるが、顔料(A)の微細安定化の観点から、(ii)主鎖部分を構成するポリマーと側鎖部分を構成するポリマーとをカップリング反応させる方法が好ましい。
カップリング反応に用いられる主鎖部分を構成するポリマーは、好ましくは窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むポリマーであり、反応性官能基を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。該ポリマーは、当該モノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基を含有するモノマーが挙げられ、反応性、重合速度の面から、エポキシ基を含有するビニルモノマーが好ましく、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
カップリング反応に用いられる主鎖部分を構成するポリマーが反応性官能基として、エポキシ基を含有する場合、エポキシ価は、側鎖部分との反応性等の観点から、19〜375mgKOH/gが好ましく、30〜350mgKOH/gがより好ましく、40〜300mgKOH/gが特に好ましい。
なお、エポキシ価の測定は実施例記載の方法により行うことができる。
主鎖部分を構成するポリマーの反応性官能基がエポキシ基である場合は、側鎖部分を構成するポリマーの片末端はカルボキシ基又はアミノ基であることが好ましい。
カップリング反応に用いられる側鎖部分を構成するポリマーは、例えば、反応性官能基であるカルボキシ基又はアミノ基を含有する重合開始剤や連鎖移動剤を使用し、溶液重合によって得ることが好ましい。
側鎖部分を構成するポリマーと主鎖部分を構成するポリマーとのカップリング反応は、それぞれの反応性官能基が十分反応する条件で行えばよいが、触媒存在下、有機溶媒中にそれぞれのポリマーを溶解させて行うことが好ましい。
触媒としては、第四級アンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩、トリエチルアミン等の第三級アミン、アルカリ金属の水酸化物、無機酸、スルホン酸、カルボン酸、固体酸、固体塩基等が挙げられる。これらの中では、第四級アンモニウムハライドがより好ましく、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が特に好ましい。
本発明で用いられる有機溶媒(C)は、低粘度を維持し、光学濃度を向上させる観点から、一般式(2)で表される有機溶媒である。
ただし、本発明の顔料分散体における一般式(1)と一般式(2)では、対応するR1及びAはそれぞれ同一の基(例えば、両方ともブチル基、及び両方ともエチレン基)であり、対応するnも同一の数(例えば、両方とも2)である。
(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネート:エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート等
(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート:エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)等。
有機溶媒(C)の中では、(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、及び(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートが好ましく、(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃)が更に好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)が特に好ましい。
有機溶媒(C)は、本発明の顔料分散体中に含まれる有機溶媒の50〜100重量%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることが更に好ましく、本発明の顔料分散体中に含まれる有機溶媒が、有機溶媒(C)のみからなることが更に好ましい。
本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、その他の有機溶媒を併用することができる。併用できるその他の有機溶媒は特に限定されないが、沸点が100℃以上の高沸点有機溶媒が好ましい。このような高沸点有機溶媒としては、以下の(iii)〜(v)等が挙げられる。
(iii)エチレングリコールアルキルエーテル類(セロソルブ類):エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等
(iv)ジエチレングリコールアルキルエーテル類(カルビトール類):ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等
(v)アルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類:プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等
上記その他の有機溶媒の中では、本発明で用いられる一般式(2)で表される有機溶媒(C)とR1、A又はnの一つ以上の値が異なる(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、及び(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートが好ましく、(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートがより好ましい。
R1、A又はnの値は、一般式(2)で表される有機溶媒(C)の値に、近いほど好ましく、R1及びAの値が一般式(2)で表される有機溶媒(C)と同一であり、nの値が異なるものが好ましい。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法は、顔料(A)、前記一般式(1)で表される構成単位を有する顔料分散用ポリマー(B)、及び前記一般式(2)で表される化合物を含む有機溶媒(C)を含有する混合物を分散処理する工程を有することを特徴とする。
得られるカラーフィルター用顔料分散体は、低粘度で保存安定性に優れ、また、光学濃度に優れた硬化膜を得ることができる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。
顔料(A)は通常、微細に分散することで発色性が高まるが、微細にするほど、凝集性も高まり、分散安定性が低下する。そのため、凝集によって、光学濃度が低下してしまい、それを防ぐために顔料分散用ポリマー(B)が大量に必要となる。
しかしながら、本発明においては、顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)とがC−COO(AO)n−R1(R1及びAは前記と同じである)という共通の構造を有するため、顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)の該共通構造部分の親和性が高く、少量の顔料分散用ポリマー(B)で顔料(A)が均一に微粒化でき、安定な顔料分散体が得られるものと考えられる。更に理由は明らかではないが、この顔料分散用ポリマーと有機溶媒の組み合わせを用いると顔料分散体の粘度も低く維持することができ、顔料分散体が高濃度であっても、均一な流動状態を維持することができるため、硬化すると安定な硬化膜を形成し、カラーフィルター用として光学濃度に優れたものとなる。
これらの効果は、顔料分散用ポリマー(B)が、一般式(1)で表される構成単位を有する側鎖を有するグラフトポリマーである場合に、より効果的に発揮される。
(予備分散工程)
顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)、及び有機溶媒(C)の予備分散は、一度に全成分を混合し、分散してもよいが、顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)とを予め混合して予備混合物を調製し、得られた予備混合物に顔料(A)を混合し、分散して最終的な混合物を得ることが好ましい。
予備分散時における、顔料分散用ポリマー(B)に対する顔料(A)の重量比〔(A)/(B)〕は、顔料(A)に必要量の顔料分散用ポリマー(B)を付着させる観点から、該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/250とすることが好ましく、100/40〜100/200とすることがより好ましい。
予備分散の分散時間は、通常0.1〜10時間であり、0.5〜4時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
これらの中では、顔料(A)を有機溶媒(C)中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましく、これらを併用することがより好ましい。
本分散工程は、上記の予備分散で得られた混合物を更に微細化するために行われるが、顔料(A)を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、前記の高圧式分散機を併用してもよい。
本分散に用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの粒径としては、0.003〜0.1mmが好ましい。顔料を微細化する観点から、0.07mm以下がより好ましく、0.05mm以下が更に好ましく、メディアを顔料と分離する観点から、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。
本分散に用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。
分散時には発熱があるため、温度を10〜33℃に維持するため分散機を適宜冷却することが好ましい。例えば、分散機がペイントシェイカーの場合は、冷風を吹き付けるスポットクーラーを用いて冷却することが好ましく、ビーズミル、ニーダー、高圧式分散機の場合は、ジャケットに冷媒を流して冷却することが好ましい。
本分散の分散時間は、顔料(A)を十分に微細化する観点から、3〜200時間が好ましく、5〜50時間がより好ましい。
本分散終了時における、顔料分散用ポリマー(B)に対する顔料(A)の重量比〔(A)/(B)〕は、分散体の低粘度化の観点から、100/30〜100/250が好ましく、100/40〜100/200がより好ましい。
硬化膜の光学濃度を向上させ、顔料分散体の保存安定性を向上させる観点から、本分散工程で得られた顔料分散体を遠心分離して、その沈降物を除くことにより、粗大粒子を除去することが好ましい。
また、顔料分散体を低粘度化し、保存安定性を向上させる観点から、顔料に吸着していない顔料分散用ポリマー(B)を除くことが好ましい。顔料に吸着していない顔料分散用ポリマー(B)を除く方法としては、限外濾過によってポリマー分子を顔料粒子から濾別する方法、遠心分離で顔料粒子を沈降させ、上澄みに残留するポリマーを除去する方法等が挙げられ、遠心分離による方法が除去効率が高く、好ましい。
更に硬化膜の光学濃度を向上させ、顔料分散体の保存安定性を向上させる観点から、限外濾過や遠心分離で得られた分散体や沈降物を分散機で再分散することが好ましい。再分散に用いられる分散機は前記の分散機を用いることができるが、超音波分散機が好ましい。
顔料に吸着していない顔料分散用ポリマー(B)を除いた後の顔料分散体中の顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から、100/40〜100/120が好ましく、100/50〜100/80がより好ましい。
本発明の製造方法によって得られるカラーフィルター用顔料分散体は、顔料(A)、顔料分散用ポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する。
顔料分散体中の顔料(A)の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料(A)と顔料分散用ポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、顔料分散体の保存安定性の観点から、100/40〜100/120が好ましく、100/50〜100/80がより好ましい。
顔料分散体中の有機溶媒(C)の含有量は、良好な着色性、分散体の低粘度化及び安定性向上の観点から、20〜90重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料(A)と有機溶媒(C)の重量比〔(A)/(C)〕は、良好な着色性、分散体の低粘度化及び安定性向上の観点から、100/500〜100/650が好ましく、100/500〜100/515がより好ましい。
顔料分散体中の顔料分散用ポリマー(B)と有機溶媒(C)の重量比〔(B)/(C)〕は、顔料分散体の分散体の低粘度化及び安定性向上の観点から、100/670〜100/1100が好ましく、100/880〜100/1010がより好ましい。
なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)の値は、製造直後の顔料分散体をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス株式会社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、測定条件として、例えばジケトピロロピロール系顔料の場合、顔料粒子屈折率:1.51、顔料密度:1.45g/cm3、BCA屈折率:1.426、BCA粘度:3.60cPを入力して、20℃で測定することができる。
本発明の製造方法によって得られる顔料分散体の固形分12重量%における粘度(20℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。また、インクジェット法によりカラーフィルターを製造する際の良好な吐出性を維持するために、1〜50mPa・sが好ましく、1〜30mPa・sがより好ましい。
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、本発明の前記顔料分散体を含有することを特徴とし、本発明の顔料分散体以外にバインダー成分、界面活性剤等を含有することができる。
バインダー成分としては、(i)電離放射線硬化性成分からなるバインダー成分、又は(ii)熱重合性硬化性成分からなるバインダー成分等が挙げられる。
(i)電離放射線硬化性成分からなるバインダー成分は、樹脂を主体とし、必要に応じて、多官能モノマーや電離放射線により活性化する光重合開始剤を含有することが好ましく、更に多官能オリゴマー、単官能のモノマー、及び増感剤等を配合することができる。これらの樹脂、オリゴマー、モノマー、添加剤等は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(i)電離放射線硬化性成分からなるバインダー成分の含有量は、溶媒を除いた有効分中20〜80重量%が好ましく、光重合開始剤の含有量は、溶媒を除いた有効分中0.2〜20重量%が好ましい。
前記非重合性樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、トリメリット酸、メチルアクリレート、カプロラクトン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーから選ばれる2種以上のモノマーからなる共重合体等が挙げられる。より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等が挙げられる。非重合性樹脂の重量平均分子量は5,000〜200,000が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類等が挙げられる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。
(ii)熱重合性官能基からなるバインダー成分の含有量は、溶媒を除いた有効分中10〜60重量%が好ましい。
熱重合性官能基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エポキシブチル、(メタ)クリル酸エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸エポキシヘプチル等の(メタ)アクリレート類;ビニルグリシジルエーテル類;ジグリシジルオキシスチレン類;ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル類;ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル類;トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル類から選ばれるエチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーの単独重合体又は共重合体等が挙げられる。
さらに、粘度を調節して、均一な塗布膜形成を可能とし、保存安定性を高める観点から、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、酢酸エチル等の溶媒を添加することもできる。
なお、製造例で得られた顔料分散用ポリマーの重量平均分子量、不揮発分、主鎖のエポキシ価、顔料分散体の粘度、体積中位粒径(D50)、及び硬化膜の光学濃度の測定は、以下の方法で行った。
カラムとして昭和電工株式会社製、K−804Lカラムを2本直列で用い、溶媒として、1mmol/Lのジメチルラウリルアミン(花王株式会社製、ファーミンDM2098)を含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて、重量平均分子量を測定した。
(2)顔料分散用ポリマーの不揮発分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム約10gを量り取り、そこにポリマー溶液を約2g入れ、ガラス棒で混合し、150℃の減圧乾燥機(圧力−75kPa)で12時間乾燥する。乾燥後の重さを量り、次式より得られた値を不揮発分とした。
不揮発分={[サンプル量−(乾燥後の重さ−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの重さ))]/サンプル量}×100
(3)顔料分散用ポリマーのエポキシ価の測定
ポリマー溶液に塩酸を加え、クロルヒドリン化により消費された量を水酸化カリウムのmg数で表示した。
顔料濃度15%に合わせた分散体1mLを、20℃で5分間保持した後、E型粘度計(東機産業社製、機種:Viscometer TV−22、ローター:1°34′×R24)を用いて、20℃、回転数20rpmで顔料分散体の粘度を測定した。
(5)体積中位粒径(D50)の測定
調製した顔料分散体をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、商品名:ゼータサイザーナノZS)を用いて、測定条件として、ジケトピロロピロール系顔料の粒子屈折率:1.51とその密度:1.45g/cm3、BCAの屈折率:1.426とその粘度:3.60cPを入力して、20℃で測定した。
(6)顔料分散体を用いた硬化膜の光学濃度の測定
実施例7〜12及び比較例2で製造した着色組成物をガラス基板上にスピンコーター(800rpm×10秒)で塗布した後、水平台にて5分間静置し、80℃で15分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、200℃のクリーンオーブン内で30分間加熱、更に240℃のクリーンオーブン内で30分間加熱してポストベーク(焼き締め)を行い、硬化膜を作製した。分光式色差計(日本電色工業社製、SE−2000形)を用いて、硬化膜のxの値を測定した。
(7)分散体の保存安定性
実施例2〜6及び比較例1で得られた顔料分散体をガラス製密閉容器に充填し、40℃168時間保存後の分散体粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)を用いて25℃で粘度を測定し、下記式より粘度変化率を求めた。変化率の絶対値が小さい方が、保存安定性が良好である。
保存安定性(粘度変化率)(%)=((〔保存後の粘度〕−〔保存前の粘度〕)/〔保存前の粘度〕)×100
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、表1に示すようにモノマー溶液及び開始剤溶液を加えて反応させた。
すなわち、モノマー溶液1 147.6gを仕込んで窒素置換を行い、77℃で攪拌しながら、開始剤溶液1 27.3gを添加した。次に、77℃で攪拌しながら、モノマー溶液2 318.7g及び開始剤溶液2 78.0gを90分かけて別の投入口から同時に滴下した。滴下終了後、更にモノマー溶液3 129.3g及び開始剤溶液3 31.2gを、3時間かけて別の投入口から同時に滴下した。滴下終了後、開始剤溶液4 18.3gを加えて、更に1時間77℃で攪拌した。その後、開始剤溶液5 18.3gを加えて、更に1時間77℃で攪拌した。その後、エタノール100.0gを加えて、冷却し、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸グリシジル)のエタノール溶液(ポリマー溶液(1−1))を得た。該ポリマーの重量平均分子量は17,300であり、不揮発分は36.4%、エポキシ価は23.8mgKOH/gであった。
製造例1−1において、表1に示す条件に変えた以外は、製造例1−1と同様の操作を行い、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸グリシジル)のエタノール溶液(ポリマー溶液(1−2)〜(1−6))を得た。結果を表1に示す。
製造例1−1において、表1に示す条件に変え、更にモノマー溶液2と開始剤溶液2、及びモノマー溶液3と開始剤溶液3をそれぞれ予め混合して滴下した以外は、製造例1−1と同様の操作を行い、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸グリシジル)のエタノール溶液(ポリマー溶液(1−7))を得た。結果を表1に示す。
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトエステルBC、純度97.8%、以下、「BDGM」という)150g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)8.6g、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:ブチルジグリコールアセテート、純度100%、以下、「BCA」という)75.2gを仕込み、窒素置換した後、77℃で攪拌しながら、BDGM 600g、3−メルカプトプロピオン酸 34.6g、BCA 181gを混合した溶液、及びV−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名)6.0gとBCA 120gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。更に1時間、77℃で攪拌後、V−65 1.5gとBCA 20gの混合溶液を加えて、更に1時間77℃で攪拌した。その後、V−65 1.5gとBCA 20gの混合溶液を加えて、更に1時間77℃で攪拌し、末端カルボン酸型ポリブトキシジエチレングリコールメタクリレートのBCA溶液(ポリマー溶液(2−1))を得た。ポリマー溶液の酸価は17.7mgKOH/gであり、重量平均分子量は3,300、不揮発分は62.2%であった。
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、BDGM 150g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5.8g、BCA 73.9gを仕込み、窒素置換した後、77℃で攪拌しながら、BDGM 600g、3−メルカプトプロピオン酸23.0g、BCA175gを混合した溶液、及びV−65 6.0gとBCA120gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。この後は、製造例2−1と同様に行い、末端カルボン酸型ポリブトキシジエチレングリコールメタクリレートのBCA溶液(ポリマー溶液(2−2))を得た。ポリマー溶液の酸価は12.3mgKOH/gであり、重量平均分子量は4,500、不揮発分は63.7%であった。
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)700g、3−メルカプトプロピオン酸49.8g、BCA350gを仕込み、窒素置換したあと、77℃で攪拌しながら、メタクリル酸メチル2800g、3−メルカプトプロピオン酸199.1g、BCA1400g、V−65 28gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。更にV−65 28g、3−メルカプトプロピオン酸12.6g、BCA1400gを混合した溶液を1時間かけて滴下した。更に、77℃で2時間攪拌し、ポリメチルメタクリレートのBCA溶液(ポリマー溶液(2−3))を得た。溶液の酸価は20mgKOH/gであり、重量平均分子量は3000、不揮発分は53%であった。
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに製造例1−1のポリマー(1−1)溶液94.7g、製造例2−1のポリマー溶液(2−1)89.3g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(触媒)2.3g、メタノール75.0gを仕込み、95℃のオイルバス中で10時間攪拌した。その後、BCA60gを加えた後、水分定量受器を取り付け、系内のメタノール、エタノールを留去した。メタノールとエタノールをほぼ除去した後、水分定量受器を取り外し、更に同条件で反応を続けた。反応開始から19.5時間後、BCA80gを加え、冷却し、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、残りの溶媒を留去し、グラフトポリマー溶液(3−1)を得た。重量平均分子量は55,400であり、不揮発分は35.4%であった。反応に用いた片末端カルボン酸型側鎖の酸価と得られたグラフトポリマー溶液の酸価から求めた反応率は、97%であった。仕込み組成と反応率から計算により求めたグラフトポリマー組成及びその他物性を表2に示す。
製造例3−1において、表2に示す条件に変えた以外は、製造例3−1と同様の操作を行い、グラフトポリマー溶液(3−2)〜(3−6)を得た。結果を表2に示す。
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに製造例1−7のポリマー溶液(1−7)71.3g、製造例2−3のポリマー溶液(2−3)98.7g、BCA39.3g、エタノール39.3g、TBAB2.7gを仕込み、90℃で13時間攪拌した。冷却後、エバポレーターにて、エタノールを留去し、グラフトポリマー溶液(3−7)を得た。重量平均分子量は28,000であり、不揮発分は50%であった。反応に用いた片末端カルボン酸型側鎖の酸価と得られたグラフトポリマー溶液の酸価から求めた反応率は、99%であった。仕込み組成と反応率から計算により求めたグラフトポリマー組成及びその他物性を表2に示す。
製造例3―1で得られたグラフトポリマー溶液63.6g、BCA71.4gを500ccのポリビンに量り取り、混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズ300gとC.I.ピグメントレッド254(東洋インキ製造株式会社製、LIONOGEN RED LX-8318)15gを加えて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で3時間振とうした。ステンレス金網(200メッシュ)でジルコニアビーズを濾過し、予備分散体を得た。
得られた予備分散体100gと直径0.05mmのジルコニアビーズ100gを250ccのポリビンに量り取り、前記ペイントシェーカーで24時間振とうした。ステンレス金網(400メッシュ)でジルコニアビーズを濾過し、100mlスクリュー管に入れ、超音波洗浄器(アズワン株式会社製、商品名:Sefi)中で、10℃、15時間処理した。超音波処理した分散体を遠心分離機(Sigma社製、商品名:Sigma 3K30C)を用いて、ローター12158Hを使い、15500rpmで1時間遠心分離した。得られた上澄み液20gにBCA40gを加えて混合した分散体を、前記遠心分離機を用いてローター12159Hを使い、25000rpmで24時間遠心分離し、上澄みを除去した。得られた沈殿にBCAを加えて、顔料濃度が15%となるようにしたのち、前記超音波洗浄器中で再分散させることで顔料分散体を得た。結果を表3に示す。
なお、表3に示す分散体組成比中の固形分量(%)は、遠心分離で除去した上澄み中の固形分(90℃のオーブンで乾燥させた残分)を分散工程で仕込んだグラフトポリマー量から差し引いたものとして算出した。
実施例1において、用いたグラフトポリマー溶液、ポリマー溶液量、及びBCA量を表3に示すものに変えた以外は、顔料分散体の実施例1と同様の操作を行い、顔料分散体を得た。結果を表3に示す。
比較例1で得られた顔料分散体80部とBCA20部を混合し、顔料分散体を得た。結果を表3に示す。
(1)バインダー性エポキシ化合物の合成
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、BCAを40.7部仕込み、攪拌しながら加熱して75℃に昇温した。次いで、75℃の温度でGMA10部、MMA40部、V−65 4.7部を混合した混合物54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、V−65 0.30部及びBCA4.3部からなる混合物4.6重量部を添加し、75℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、バインダー性エポキシ化合物を得た。
(2)バインダー溶液の調製
ビーカーに、製造例1のバインダー性エポキシ化合物BCA溶液(固形分50%)37.5部、多官能エポキシ樹脂(商品名:jER157S70、ジャパンエポキシレジン株式会社製)12.5部、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル6.25部、トリメリット酸のn−プロピルビニルエーテル反応生成物(1/3(モル))のBCA溶液(固形分80%)15.63部、BCA28.13部を入れ、マグネチックスターラーで攪拌した後、濾過してバインダー溶液(固形分50%)を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた顔料分散体75部、バインダー溶液(固形分50%)25部、BCA50部を均一になるまで混合し、着色組成物を得た。結果を表3の一部と合わせて、表4に示す。
Claims (9)
- 有機溶媒(C)が、顔料分散体中に含まれる有機溶媒の50〜100重量%である、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 顔料分散用ポリマー(B)がグラフトポリマーである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- グラフトポリマーが、側鎖に一般式(1)で表される構成単位を有するものである、請求項3記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- グラフトポリマーが、主鎖に窒素原子を含有するモノマー由来の構成単位を有するものである、請求項3又は4に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 顔料分散用ポリマー(B)の主鎖部分の重量平均分子量が12,000〜23,000である、請求項3〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 一般式(1)におけるR1がブチル基であり、Aがエチレン基である、請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
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