以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、実施形態1に係る駆動装置1の概略構成図である。本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図1に示すように、ステージ11と、超音波アクチュエータ2と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置10とを備えている。
ステージ11は、ガイド(図示省略)に摺動可能に取り付けられている。つまり、ステージ11は、ガイドが延びる方向(図中の矢印A,Bの方向)に沿って移動可能に構成されている(このガイドの延びる方向がステージ11の可動方向に相当する)。このステージ11は、平面視略方形の板状部材である。そして、前記超音波アクチュエータ2は、このステージ11の裏面に後述する駆動子9,9が接触するように配設されている。
前記超音波アクチュエータ2は、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4の駆動力をステージ11に伝達させる駆動子9,9と、該アクチュエータ本体4を収容するケース3と、アクチュエータ本体4とケース3との間に介設されてアクチュエータ本体4を弾性的に支持する支持ゴム81,81と、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に付勢するための付勢ゴム82とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子で構成されている。アクチュエータ本体4は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。主面、長辺側面及び短辺側面のうち、主面が最大の面積を有している。これら長辺側面及び短辺側面が、主面の周縁に形成された側面を構成する。このアクチュエータ本体4は、詳しくは後述するが、伸縮振動と屈曲振動とを調和的に発生させる。
アクチュエータ本体4の長辺側面(以下、設置面ともいう)40aには、2個の駆動子9,9が設けられている。
各駆動子9は、円柱状に形成されている。駆動子9の先端は、半球状に形成されている。この駆動子9は、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。この駆動子9は、接着剤を介してアクチュエータ本体4の設置面40aに取り付けられている。
接着剤としては、アクチュエータ本体4の材料及び駆動子9の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることによって、アクチュエータ本体4の後述する振動をできるだけ阻害せずに、駆動子9と設置面40aとの間の固定を実現することができる。
また、駆動子9,9が設けられた位置は、設置面40aにおいて、アクチュエータ本体4の長手方向両端部から該設置面40aの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、アクチュエータ本体4の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
前記ケース3は、樹脂製であって、前記アクチュエータ本体4に対応した略コ字形状をしている。このケース3は、長辺壁部31と、長辺壁部31の一端部に設けられた第1短辺壁部32と、長辺壁部31の他端部に設けられた第2短辺壁部33とを有している。
このように構成されたケース3内に前記アクチュエータ本体4が収容されている。アクチュエータ本体4は、駆動子9,9が設けられていない長辺側面がケース3の長辺壁部31と対向するようにしてケース3内に収容されている。アクチュエータ本体4の該長辺側面とケース3の長辺壁部31との間には付勢ゴム82が介設されている。このとき、駆動子9,9はケース3から突出している。また、アクチュエータ本体4の一方の短辺側面とケース3の第1短辺壁部32との間およびアクチュエータ本体4の他方の短辺側面とケース3の第2短辺壁部33との間には、それぞれ支持ゴム81,81が介設されている。このアクチュエータ本体4の両短辺側面は縦振動の腹の部分である。しかし、支持ゴム81,81は弾性体であるため、アクチュエータ本体4の縦振動を阻害することなく、該アクチュエータ本体4を支持することができる。
尚、これら支持ゴム81及び付勢ゴム82の代わりに、板バネ等の弾性部材を採用してもよい。
このように構成された超音波アクチュエータ2は、駆動子9,9がステージ11の裏面と当接する状態で、ケース3が基台(図示省略)に固定される。詳しくは、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の短手方向がステージ11の裏面に直交すると共に、アクチュエータ本体4の長手方向がステージ11の裏面と平行で且つステージ11の可動方向と平行になるように配置される。さらに換言すれば、超音波アクチュエータ2は、アクチュエータ本体4の屈曲振動の振動方向がステージ11の裏面と直交すると共に、アクチュエータ本体4の縦振動の振動方向がステージ11の可動方向を向くように配置される。
このとき、前記付勢ゴム82が圧縮変形している。この付勢ゴム82の弾性力によって駆動子9,9がステージ11に付勢されている。超音波アクチュエータ2のステージ11への付勢力は、付勢ゴム82の弾性力によって決まる。
前記制御装置10は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差でアクチュエータ本体4に印加する。つまり、制御装置10は、アクチュエータ本体4に縦振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子9,9を周回運動させることで、ステージ11を移動させる。
続いて、アクチュエータ本体4の構成について、図2,3を参照しながら、さらに詳しく説明する。図2は、アクチュエータ本体4の構成を示す図であって、(A)は、アクチュエータ本体4の斜視図であり、(B)は、主面に電極層が設けられた圧電体層のそれぞれを、積層方向の一側から見たときの平面図である。
図3は、圧電体層の形状を説明するための説明図である。
アクチュエータ本体4は、図2に示すように、複数の圧電体層41,41,…と複数の内部電極層5,…,6,…とを交互に積層して構成される。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素等のセラミック材料からなる絶縁体層である。圧電体層41は、前記アクチュエータ本体4と同様に、一対の主面41a,41bと、一対の長辺側面41c,41dと、一対の短辺側面41e,41fとを有する略直方体状をしている。主面41a,41b、長辺側面41c,41d及び短辺側面41e,41fのうち、主面41a,41bが最大の面積を有している。これら長辺側面41c,41d及び短辺側面41e,41fが、主面の周縁に形成された側面を構成する。圧電体層41は、一対の主面41a,41bが対向する方向(即ち、厚み方向)に分極されている。
内部電極層5,…,6,…は、積層方向に圧電体層41を挟んで交互に配された、プラス電極層5とマイナス電極層6とで構成される。プラス電極層5とマイナス電極層6とは、同数だけ設けられている。これらプラス電極層5とマイナス電極層6を1セットとして、複数セットのプラス電極層5とマイナス電極層6が圧電体層41を介在させた状態で繰り返し積層されている。これらプラス電極層5及びマイナス電極層6のそれぞれは、例えば、銀、パラジウム等を主成分とする金属からなる電極層である。また、プラス電極層5及びマイナス電極層6のそれぞれは、各圧電体層41の主面41a上に印刷されている。プラス電極層5とマイナス電極層6とは、互いに絶縁されて導通されていない。尚、圧電体層41は、プラス電極層5からマイナス電極層6の方向へ分極されている。換言すれば、圧電体層41の分極方向に対して順方向に電圧を印加するときにプラス側、即ち、陽極となる電極層がプラス電極層5であり、マイナス側、即ち、陰極となる電極層がマイナス電極層6である。
尚、図2(B)では、最外層の圧電体層41(図の上段)と、プラス電極層5が設けられた圧電体層41(図の中段)と、マイナス電極層6が設けられた圧電体層41(図の下段)とを示している。アクチュエータ本体4では、プラス電極層5が設けられた圧電体層41と、マイナス電極層6が設けられた圧電体層41とが繰り返し積層されている。アクチュエータ本体4の最外層には、プラス電極層5やマイナス電極層6が露出しないように構成されている。つまり、アクチュエータ本体4の一方の最外層には、1つ内側の圧電体層41のプラス電極層5を覆うようにして、プラス及びマイナス電極層5,6が形成されていない圧電体層41が設けられている。一方、その反対側の最外層には、マイナス電極層6が形成された圧電体層41が設けられており、プラス及びマイナス電極層5,6が形成されていない圧電体層41が別途設けられているわけではない。つまり、このマイナス電極層6は、最外層の圧電体層41の主面41a,41bのうち、1つ内側の圧電体層41と対向する側の主面41aに設けられているため、マイナス電極層6は外部に露出していない。したがって、反対側の最外層は、マイナス電極層6が設けられた圧電体層41で構成されている。尚、図2(B)の下段に示す圧電体層41には、後述するプラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が図示されているが、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が設けられているのは、最外層に位置する圧電体層41だけである。つまり、最外層以外に位置する、マイナス電極層6が形成された圧電体層41には、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成されていない。
前記プラス電極層5は、図3に示すように、圧電体層41の主面41aをその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4にそれぞれ設けられたプラス分割電極51A〜54Bと、4つのプラス分割電極のうち対角線方向に並ぶ2組のプラス分割電極のうち一方の組のプラス分割電極51A,53Aを接続するプラス対角接続電極55Aとを有している。詳しくは、4つのプラス分割電極51A〜54Bは、略矩形状の電極である。また、4つのプラス分割電極51A〜54Bは、図2(B)において左上に位置する第1プラス分割電極51Aと、該第1プラス分割電極51Aから時計回りに順に並ぶ、第2プラス分割電極52Bと、第3プラス分割電極53Aと、第4プラス分割電極54Bとで構成されている。これら第1〜第4プラス分割電極51A〜54Bがプラス分割電極を構成する。また、第1及び第3プラス分割電極51A,53Aが第1組のプラス分割電極を、第2及び第4プラス分割電極52B,54Bが第2組のプラス分割電極を構成する。
そして、一方の対角線方向D1に並ぶ第1プラス分割電極51Aと第3プラス分割電極53Aとがプラス対角接続電極55Aで接続されている。このプラス対角接続電極55Aは、第1プラス分割電極51Aの4辺のうち第2プラス分割電極52Bに対向する短辺と、第3プラス分割電極53Aの4辺のうち第2プラス分割電極52Bに対向する長辺とに接続されている。すなわち、プラス対角接続電極55Aは、相対向する、第1プラス分割電極51Aの角部と第3プラス分割電極53Aの角部とを結ぶ線よりも第2プラス分割電極52B側に寄っている。一方、第2プラス分割電極52Bと第4プラス分割電極54Bとは、プラス電極層5内では接続されていない。
また、プラス分割電極51A〜54Bにはそれぞれ、圧電体層41の周縁(具体的には圧電体層41の長辺)まで延びるプラス引出電極51a〜54bが設けられている。具体的には、第1及び第2プラス引出電極51a,52bはそれぞれ、第1及び第2プラス分割電極51A,52Bの長辺から、近接する、圧電体層41の長辺に向かって延びている。第1及び第2プラス引出電極51a,52bは、圧電体層41の長手方向における相対的に外側の位置に位置している。一方、第3及び第4プラス引出電極53a,54bはそれぞれ、第3及び第4プラス分割電極53A,54Bの長辺から、近接する、圧電体層41の長辺に向かって延びている。第3及び第4プラス引出電極53a,54bは、圧電体層41の長手方向における相対的に中央寄りの位置に位置している。
また、前記マイナス電極層6も、プラス電極層5と同様に、図3に示すように、圧電体層41の主面41aをその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4にそれぞれ設けられたマイナス分割電極61A〜64Bと、4つのマイナス分割電極のうち対角線方向に並ぶ2組のマイナス分割電極のうち一方の組のマイナス分割電極61A,63Aを接続するマイナス対角接続電極65Aとを有している。詳しくは、4つのマイナス分割電極61A〜64Bは、略矩形状の電極である。また、4つのマイナス分割電極61A〜64Bは、図2(B)において左上に位置する第1マイナス分割電極61Aと、該第1マイナス分割電極61Aから時計回りに順に並ぶ、第2マイナス分割電極62Bと、第3マイナス分割電極63Aと、第4マイナス分割電極64Bとで構成されている。これら第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bがマイナス分割電極を構成する。また、第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aが第1組のマイナス分割電極を、第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bが第2組のマイナス分割電極を構成する。
そして、一方の対角線方向D1に並ぶ第1マイナス分割電極61Aと第3マイナス分割電極63Aとがマイナス対角接続電極65Aで接続されている。このマイナス対角接続電極65Aは、第1マイナス分割電極61Aの4辺のうち第4マイナス分割電極64Bに対向する長辺と、第3マイナス分割電極63Aの4辺のうち第4マイナス分割電極64Bに対向する短辺とに接続されている。すなわち、マイナス対角接続電極65Aは、相対向する、第1マイナス分割電極61Aの角部と第3マイナス分割電極63Aの角部とを結ぶ線よりも第4マイナス分割電極64B側に寄っている。一方、第2マイナス分割電極62Bと第4マイナス分割電極64Bとは、マイナス電極層6内では接続されていない。
また、マイナス分割電極61A〜64Bにはそれぞれ、圧電体層41の周縁(具体的には圧電体層41の長辺)まで延びるマイナス引出電極61a〜64bが設けられている。具体的には、第1及び第2マイナス引出電極61a,62bはそれぞれ、第1及び第2マイナス分割電極61A,62Bの長辺から、近接する、圧電体層41の長辺に向かって延びている。第1及び第2マイナス引出電極61a,62bは、圧電体層41の長手方向における相対的に中央寄りの位置に位置している。一方、第3及び第4マイナス引出電極63a,64bはそれぞれ、第3及び第4マイナス分割電極63A,64Bの長辺から、近接する、圧電体層41の長辺に向かって延びている。第3及び第4マイナス引出電極63a,64bは、圧電体層41の長手方向における相対的に外側の位置に位置している。
こうして、積層方向において、圧電体層41を挟んで、第1プラス分割電極51Aと第1マイナス分割電極61Aとが対向し、第2プラス分割電極52Bと第2マイナス分割電極62Bとが対向し、第3プラス分割電極53Aと第3マイナス分割電極63Aとが対向し、第4プラス分割電極54Bと第4マイナス分割電極64Bとが対向するようになる。一方、第1〜第4プラス引出電極51a〜54bは、積層方向において、第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bや第1〜第4マイナス引出電極61a〜64bと重なっていない。同様に、第1〜第4マイナス引出電極61a〜64bは、積層方向において、第1〜第4プラス分割電極51A〜54Bや第1〜第4プラス引出電極51a〜54bと重なっていない。このため、圧電体層41の、第1〜第4プラス引出電極51a〜54bや第1〜第4マイナス引出電極61a〜64bに対応する部分は、圧電体層41の厚み方向への電界が生じず、圧電的に不活性な部分となる。
このように構成されたプラス電極層5とマイナス電極層6とは、圧電体層41の重心Mを中心に点対称な形状をしている。
また、圧電体層41の長辺側面には、異なる圧電体層41に形成された各分割電極同士を接続するための側方接続電極71A+〜74B−が形成されている。これら側方接続電極71A+〜74B−は、金や銀やパラジウムなどの金属を焼き付けや溶射、スパッタなどの方法で圧電体層41の長辺側面に形成されている。
詳しくは、圧電体層41の一方の長辺側面の長手方向一端部には、第1プラス分割電極51Aの第1プラス引出電極51aに接続された第1プラス側方接続電極71A+が形成されている。圧電体層41の一方の長辺側面の長手方向他端部には、第2プラス分割電極52Bの第2プラス引出電極52bに接続された第2プラス側方接続電極72B+が形成されている。圧電体層41の一方の長辺側面の長手方向中央の第1プラス側方接続電極71A+寄りの部分には、第1マイナス分割電極61Aの第1マイナス引出電極61aに接続された第1マイナス側方接続電極71A−が形成されている。圧電体層41の一方の長辺側面の長手方向中央の第2プラス側方接続電極72B+寄りの部分には、第2マイナス分割電極62Bの第2マイナス引出電極62bに接続された第2マイナス側方接続電極72B−が形成されている。
一方、圧電体層41の他方の長辺側面の長手方向一端部には、第4マイナス分割電極64Bの第4マイナス引出電極64bに接続された第4マイナス側方接続電極74B−が形成されている。圧電体層41の他方の長辺側面の長手方向他端部には、第3マイナス分割電極63Aの第3マイナス引出電極63aに接続された第3マイナス側方接続電極73A−が形成されている。圧電体層41の他方の長辺側面の長手方向中央の第4マイナス側方接続電極74B−寄りの部分には、第4プラス分割電極54Bの第4プラス引出電極54bに接続された第4プラス側方接続電極74B+が形成されている。圧電体層41の他方の長辺側面の長手方向中央の第3マイナス側方接続電極73A−寄りの部分には、第3プラス分割電極53Aの第3プラス引出電極53aに接続された第3プラス側方接続電極73A+が形成されている。
これら第1〜第4プラス側方接続電極71A+〜74B+及び第1〜第4マイナス側方接続電極71A−〜74B−が側方接続電極を構成する。
こうして、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1〜第4プラス分割電極51A〜54Bはそれぞれ、第1〜第4プラス側方接続電極71A+〜74B+を介して互いに導通している。また、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bはそれぞれ、第1〜第4マイナス側方接続電極71A−〜74B−を介して互いに導通している。
ここで、第1プラス分割電極51Aと第3プラス分割電極53Aとは、プラス対角接続電極55Aを介して導通しているため、第1プラス分割電極51Aは、別の圧電体層41,41,…に形成された第1プラス分割電極51A,51A,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第3プラス分割電極53A,53A,…にも導通している。同様に、第3プラス分割電極53Aは、別の圧電体層41,41,…に形成された第3プラス分割電極53A,53A,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第1プラス分割電極51A,51A,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1及び第3プラス分割電極51A,…,53A,…は、互いに導通している。また、第1マイナス分割電極61Aと第3マイナス分割電極63Aとは、マイナス対角接続電極65Aを介して導通しているため、第1マイナス分割電極61Aは、別の圧電体層41,41,…に形成された第1マイナス分割電極61A,61A,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第3マイナス分割電極63A,63A,…にも導通している。同様に、第3マイナス分割電極63Aは、別の圧電体層41,41,…に形成された第3マイナス分割電極63A,63A,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第1マイナス分割電極61A,61A,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1及び第3マイナス分割電極61A,…,63A,…は、互いに導通している。
一方、第2プラス分割電極52Bと第4プラス分割電極54Bとは、プラス電極層5内では互いに導通していない。同様に、第2マイナス分割電極62Bと第4マイナス分割電極64Bとは、マイナス電極層6内では互いに導通していない。
そこで、第2プラス分割電極52Bに接続された第2プラス側方接続電極72B+と、第4プラス分割電極54Bに接続された第4プラス側方接続電極74B+とを互いに接続するプラス外部接続電極75B+が設けられている。プラス外部接続電極75B+は、圧電体層41の主面41a,41bのうち、プラス電極層5及びマイナス電極層6が設けられていない主面に設けられている。また、第2マイナス分割電極62Bに接続された第2マイナス側方接続電極72B−と、第4マイナス分割電極64Bに接続された第4マイナス側方接続電極74B−とを互いに接続するマイナス外部接続電極75B−が設けられている。マイナス外部接続電極75B−は、圧電体層41の主面41a,41bのうち、プラス電極層5及びマイナス電極層6が形成されていない主面に設けられている。プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−は、金や銀やパラジウムなどの金属を焼き付けや溶射、スパッタなどの方法で圧電体層41の主面に形成されている。
詳しくは、積層された圧電体層41,41,…のうち、最も外側の圧電体層41,41(即ち、積層方向に見たときの最初の圧電体層41と最後の圧電体層41)においては、外側を向く(即ち、露出している)主面41aにはプラス及びマイナス電極層5,6が設けられていない。つまり、アクチュエータ本体4の外表面、即ち、アクチュエータ本体4の主面にプラス及びマイナス電極層5,6が露出しないようになっている。これら両最外の圧電体層41,41の外側の主面41a,41b(即ち、アクチュエータ本体4の主面)に、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成されている。プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−は、各最外の圧電体層41の外側の主面41a(41b)において、互いに平行に延びている。尚、最外層に設けられた圧電体層41,41は、それ以外の圧電体層41に比べて、厚みが厚くなっている。つまり、最外層の圧電多層41は、プラス又はマイナス外部接続電極75B+,75B−とプラス又はマイナス電極層5,6とで挟持されることになる。そのため、該圧電体層41には、部分的に、厚み方向へ電界が作用して、振動が発生する虞がある。そのため、最外層の圧電体層41を厚くすることによって、不要な振動の発生を抑制している。
こうして、第2プラス分割電極52Bと第4プラス分割電極54Bとは、プラス外部接続電極75B+を介して導通しているため、第2プラス分割電極52Bは、別の圧電体層41,41,…に形成された第2プラス分割電極52B,52B,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第4プラス分割電極54B,54B,…にも導通している。同様に、第4プラス分割電極54Bは、別の圧電体層41,41,…に形成された第4プラス分割電極54B,54B,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第2プラス分割電極52B,52B,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第2及び第4プラス分割電極52B,…,54B,…は、互いに導通している。また、第2マイナス分割電極62Bと第4マイナス分割電極64Bとは、マイナス外部接続電極75B−を介して導通しているため、第2マイナス分割電極62Bは、別の圧電体層41,41,…に形成された第2マイナス分割電極62B,62B,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第4マイナス分割電極64B,64B,…にも導通している。同様に、第4マイナス分割電極64Bは、別の圧電体層41,41,…に形成された第4マイナス分割電極64B,64B,…だけでなく、別の圧電体層41,41,…に形成された第2マイナス分割電極62B,62B,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第2及び第4マイナス分割電極62B,…,64B,…は、互いに導通している。
このように構成されたアクチュエータ本体4においては、側方接続電極71A+〜74B−及び外部接続電極75B+,75B−が外側に露出している。これら側方接続電極71A+〜74B−及び外部接続電極75B+,75B−を給電端子として、アクチュエータ本体4に給電が行われる。詳しくは、第1又は第3プラス側方接続電極71A+,73A+と第1又は第3マイナス側方接続電極71A−,73A−との間に電圧を印加することによって、圧電体層41,41,…の、第1及び第3プラス分割電極51A,53Aと第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aとに挟持された部分に電界を加えることができる。一方、第2又は第4プラス側方接続電極72B+,74B+と第2又は第4マイナス側方接続電極72B−,74B−との間に電圧を印加することによって、圧電体層41,41,…の、第2及び第4プラス分割電極52B,54Bと第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bとに挟持された部分に電界を加えることができる。
次に、制御装置10の構成及び動作について、図4〜7を参照しながら、説明する。図4は、制御装置10の一部を構成するフルブリッジ回路の回路図であり、図5は、アクチュエータ本体の1次モードの伸縮振動の変位図であり、図6は、アクチュエータ本体の2次モードの屈曲振動の変位図であり、図7は、アクチュエータ本体の1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動との合成振動の変位図である。
フルブリッジ回路12は、スイッチング回路としての複数のFETと、2つのコイルを有している。制御装置10は、CPU(図示省略)によりFETをスイッチングすることによって、アクチュエータ本体4に所定の交流電圧を印加する。フルブリッジ回路12の出力端子にはワイヤを介して、アクチュエータ本体4の第3プラス側方接続電極73A+、第3マイナス側方接続電極73A−、第4プラス側方接続電極74B+、及び第4マイナス側方接続電極74B−が接続されている。図4では、それらの側方接続電極73A+〜74B−に導通している分割電極51A〜64Bを図示している。尚、第3プラス側方接続電極73A+の代わりに第1プラス側方接続電極71A+が、第3マイナス側方接続電極73A−の代わりに第1マイナス側方接続電極71A−が、第4プラス側方接続電極74B+の代わりに第2プラス側方接続電極72B+又はプラス外部接続電極75B+が、第4マイナス側方接続電極74B−の代わりに第2マイナス側方接続電極72B−又はマイナス外部接続電極75B−がフルブリッジ回路12の出力端子に接続されるように構成してもよい。
そして、制御装置10は、第3プラス側方接続電極73A+と第3マイナス側方接続電極73A−とを介して、第1及び第3プラス分割電極51A,53Aと第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aとの間に所定の第1交流電圧を印加する一方、第4プラス側方接続電極74B+と第4マイナス側方接続電極74B−とを介して、第2及び第4プラス分割電極52B,54Bと第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bとの間に所定の第2交流電圧を印加する。制御装置10は、第1及び第2交流電圧の電圧値、周波数、位相を調節することによって、アクチュエータ本体4に種々の振動を誘起させる。例えば、略同じ電圧値、周波数の第1及び第2交流電圧を同位相でアクチュエータ本体4に印加すると、アクチュエータ本体4には図5に示す1次モードの伸縮振動が誘起される。一方、略同じ電圧値、周波数の第1及び第2交流電圧を180°の位相差でアクチュエータ本体4に印加すると、アクチュエータ本体4には図6に示す2次モードの屈曲振動が誘起される。
ところで、アクチュエータ本体4の伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ、アクチュエータ本体4の材料や形状等により決定される。本実施形態では、アクチュエータ本体4の材料や形状等は、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数が略一致するように決定されている。
そして、制御装置10は、略同じ電圧値で、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数と略同じ周波数の第1及び第2交流電圧を90°又は−90°の位相差でアクチュエータ本体4に印加すると、アクチュエータ本体4には1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起され、アクチュエータ本体4の形状が、図7(A)〜(D)に示すような順で変化する。その結果、アクチュエータ本体4に設けられた駆動子9,9が、図7の紙面を貫く方向から見て周回運動、具体的には、略楕円運動する。つまり、アクチュエータ本体4の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子9,9が略楕円運動する。この楕円運動により駆動子9,9が当接しているステージ11は、アクチュエータ本体4に対して相対的に、図1に示す矢印A又は矢印Bの方向に移動する。尚、アクチュエータ本体4の異常発熱を防止すべく、アクチュエータ本体4の縦振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧を印加するようにしてもよい。
ここで、伸縮振動の伸縮方向は、アクチュエータ本体4の主面の長手方向、つまり、ステージ11の移動方向であり、屈曲振動の振動方向は、駆動子9,9がステージ11を押圧する方向である。アクチュエータ本体4の積層方向は、伸縮振動の伸縮方向及び屈曲振動の振動方向の両方と垂直な方向である。
尚、ステージ11の移動量、移動速度及び移動加速度は、給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は給電する各交流電圧の位相のずれを変更する等によって調整することができる。
このように超音波アクチュエータ2は、駆動子9,9を縦振動の振動方向(長手方向)と屈曲振動の振動方向(短手方向)とを含む平面内で周回運動させて、駆動子9,9とステージ11との間の摩擦力の増大と緩和とを繰り返しながら、該ステージ11を駆動している。
具体例としては、アクチュエータ本体4を長さ6.0mm×幅1.7mm×厚さ1.0mmの直方体に形成し、制御装置10のCPUにより270kHzでスイッチングを行い、アクチュエータ本体に±3Vの第1及び第2交流電圧を印加した。このときの第1及び第2交流電圧の位相差は90°である。この場合、アクチュエータ本体にかかる電圧は6Vppで、無負荷状態におけるステージ11の移動速度は90mm/sであった。
尚、図8に示すように、アクチュエータ本体4のマイナス電極層6を4分割ではなく、1つの共通電極とし、制御装置10をハーフブリッジ回路で構成した場合には、3Vppの第1及び第2交流電圧を90°の位相差でアクチュエータ本体4に印加すると、無負荷状態におけるステージ11の移動速度は50mm/sであった。
したがって、本実施形態によれば、各電極層の4つの分割電極のうち一方の対角線方向に並ぶ1組の分割電極を該電極層内において対角接続電極で接続すると共に、他方の対角線方向に並ぶ1組の分割電極を該電極層の外部で接続することによって、電極層のパターンを減らすことができる。
詳しくは、フルブリッジ回路を実現すべく、圧電体層41の主面41aを縦横に4分割した領域に4つの分割電極を配置したアクチュエータ本体4の場合、対角線方向に並ぶ各2つの分割電極は同じ交流電圧を印加する必要がある。例えば、プラス電極層5の一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3プラス分割電極51A,53Aには共に所定の第1交流電圧を印加する必要があり、プラス電極層5の他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4プラス分割電極52B,54Bには共に所定の第2交流電圧を印加する必要がある。そのため、対角線方向に並ぶ各2つの分割電極を接続することによって、対角線方向に並ぶ2つの分割電極の一方に所定の交流電圧を印加するだけで、該対角線方向に並ぶ2つの分割電極の他方にも同じ交流電圧を印加することができるようになる。そして、圧電体層41の主面41aを4分割した領域に4つの分割電極を配置し且つフルブリッジ回路に適用されるアクチュエータ本体4においては、接続すべき分割電極の組として、(i)プラス電極層5の一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3プラス分割電極51A,53Aと、(ii)プラス電極層5の他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4プラス分割電極52B,54Bと、(iii)マイナス電極層6の一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aと、(iv)マイナス電極層6の他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bとの4種類がある。ここで、対角線方向D1に沿って延びる対角接続電極と対角線方向D2に沿って延びる対角接続電極とは交差してしまうため、1つの電極層では1つの対角線方向に並ぶ分割電極しか接続できない。そのため、特許文献1の振動型アクチュエータのように、接続すべき分割電極を電極層内で対角接続電極によって接続しようとすると、4種類の接続すべき分割電極の組に対応した4パターンの電極層が必要になる。
それに対して、本実施形態では、プラス電極層5において、一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3プラス分割電極51A,53Aをプラス対角接続電極55Aで接続する一方、他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4プラス分割電極52B,54Bをプラス電極層5の外部で接続することによって、対角線方向に並ぶ2組の分割電極をそれぞれ接続することができるため、プラス電極層5を1パターンにすることができる。また、マイナス電極層6において、一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aをマイナス対角接続電極65Aで接続する一方、他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bをマイナス電極層6の外部で接続することによって、対角線方向に並ぶ2組の分割電極をそれぞれ接続することができるため、マイナス電極層6を1パターンにすることができる。こうして、電極層のパターンを、プラス電極層5の1パターンとマイナス電極層6の1パターンとの合計2パターンとすることができる。その結果、超音波アクチュエータ2の製造コストを削減することができる。例えば、電極層を圧電体層41の主面41aに印刷するスクリーン印刷板の個数を削減することができ、電極層が形成された圧電体層を積層していくための設備を簡素化して、製造コストを削減することができる。
さらに、本実施形態では、プラス電極層5とマイナス電極層6とを点対称(詳しくは、圧電体層41の主面41aの重心Mに対して点対称)な形状に形成することによって、プラス電極層5のパターンとマイナス電極層6のパターンを共通化して、製造コストをさらに削減することができる。詳しくは、第1〜第4プラス分割電極51A〜54B及び第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bをそれぞれ、圧電体層41の主面41aの重心Mに対して点対称に形成及び配置している。それに加えて、圧電体層41の一方の長辺側面に向かって延びる第1及び第2プラス引出電極51a,52bを長辺側面の長手方向両端部寄りに配置し且つ、圧電体層41の他方の長辺側面に向かって延びる第3及び第4プラス引出電極53a,54bを長辺側面の長手方向中央寄りに配置する一方、圧電体層41の一方の長辺側面に向かって延びる第1及び第2マイナス引出電極61a,62bを長辺側面の長手方向中央寄りに配置し且つ、他方の長辺側面に向かって延びる第3及び第4マイナス引出電極63a,64bを長辺側面の長手方向両端部寄りに配置している。さらに、プラス対角接続電極55Aを第2プラス分割電極52B側へ、マイナス対角接続電極65Aを第4マイナス分割電極64B側へずらしている。これらの構成によって、プラス電極層5とマイナス電極層6とを圧電体層41の主面41aの重心Mに対して点対称に形成することができる。プラス電極層5とマイナス電極層6とが点対称であるため、プラス電極層5を圧電体層41の主面41aの重心M回りに180°回転させたものがマイナス電極層6となる。つまり、1種類の電極層を圧電体層41,41,…に印刷し、同じ電極層が主面41aに印刷された複数の圧電体層41,41,…を圧電体層41の主面41aの重心M回りに180°回転させて交互に積層していくことで、プラス電極層5が設けられた圧電体層41とマイナス電極層6が設けられた圧電体層41とを交互に積層させたアクチュエータ本体4を形成することができる。こうして、電極層を圧電体層41の主面41aに印刷するスクリーン印刷板を1種類に削減することができるため、製造コストをさらに削減することができる。また、プラス電極層5とマイナス電極層6とを点対称な形状にすることによって、アクチュエータ本体4の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、アクチュエータ本体4に不要な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換できる。
また、電極層の外部で接続する分割電極の接続は、ワイヤやフレキシブルケーブルで接続することも考えられるが、本実施形態では、圧電体層41の表面に設けた側方接続電極71A+〜74B−と外部接続電極75B+,75B−とで実現している。こうして、電極層の外部で接続すべき分割電極を、アクチュエータ本体4の表面に形成された側方接続電極71A+〜74B−及び外部接続電極75B+,75B−によって接続することによって、ワイヤやフレキシブルケーブルでアクチュエータ本体4の振動を阻害することを防止することができる。その結果、超音波アクチュエータ2の効率の低下を防止することができる。
さらに、アクチュエータ本体4の表面に形成された2つの側方接続電極をアクチュエータ本体4の表面に形成された外部接続電極で接続する構成においては、これら3つの接続電極が同一平面上にない限り、これら3つの接続電極はアクチュエータ本体4の稜線部を横切って形成されることになる。つまり、本実施形態では、第2プラス側方接続電極72B+とプラス外部接続電極75B+とは、アクチュエータ本体4の主面と一方の長辺側面との稜線部において接続されている。第4プラス側方接続電極74B+とプラス外部接続電極75B+とは、アクチュエータ本体4の主面と他方の長辺側面との稜線部において接続されている。すなわち、第2プラス側方接続電極72B+とプラス外部接続電極75B+と第4プラス側方接続電極74B+とは、アクチュエータ本体4の稜線部を横切って形成されている。同様に、第2マイナス側方接続電極72B−とマイナス外部接続電極75B−とは、アクチュエータ本体4の主面と一方の長辺側面との稜線部において接続されている。第4マイナス側方接続電極74B−とマイナス外部接続電極75B−とは、アクチュエータ本体4の主面と他方の長辺側面との稜線部において接続されている。すなわち、第2マイナス側方接続電極72B−とマイナス外部接続電極75B−と第4マイナス側方接続電極74B−とは、アクチュエータ本体4の稜線部を横切って形成されている。
このように、電極が稜線部を横切って形成される構成においては、稜線部において断線が発生する虞がある。つまり、圧電体層は脆弱材料であるため、稜線部が欠けやすく、電極が稜線部と共に欠けてしまう虞がある。また、稜線部における電極は、主面や長辺側面等の面に形成された電極に比べて、膜厚を確保することが困難であるため、圧電体層41と電極との熱膨張係数の差等で稜線部の電極が切れる虞がある。
それに対して、本実施形態では、第2プラス側方接続電極72B+と第4プラス側方接続電極74B+とを接続するプラス外部接続電極75B+をアクチュエータ本体4の両方の主面に設けている。これにより、一方のプラス外部接続電極75B+において稜線部で断線が生じたとしても、他方のプラス外部接続電極75B+を介して第2プラス側方接続電極72B+と第4プラス側方接続電極74B+との接続を維持することができるため、超音波アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
このとき、長辺側面における第2プラス側方接続電極72B+と第2マイナス側方接続電極72B−の並ぶ順番を、アクチュエータ本体4の長手方向において、第4プラス側方接続電極74B+と第4マイナス側方接続電極74B−の並ぶ順番と同じにすることによって、プラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−とを圧電体層41の主面41a,41bにおいて交差させることなく形成することができる。その結果、一の主面41a(41b)にプラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−との両方を形成することができるため、プラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−とをそれぞれ両方の主面41a,41bに形成することができる。つまり、一の主面41a(41b)においてプラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−とが交差せざるを得ない場合、一の主面41a(41b)にプラス外部接続電極75B+及びマイナス外部接続電極75B−のうちの一方しか形成することができず、アクチュエータ本体4の一方の主面41aにプラス外部接続電極75B+だけが形成され、他方の主面41bにマイナス外部接続電極75B−だけが形成されることになる。したがって、アクチュエータ本体4の一方の長辺側面と他方の長辺側面において、第2プラス側方接続電極72B+と第2マイナス側方接続電極72B−の並ぶ順番を第4プラス側方接続電極74B+と第4マイナス側方接続電極74B−の並ぶ順番と一致させることによって、アクチュエータ本体4の各主面(即ち、一方の最外の圧電体層41の主面41aと他方の最外の圧電体層41の主面41b)にプラス外部接続電極75B+及びマイナス外部接続電極75B−の両方を形成することができる。
ただし、一方の最外の圧電体層41の外側の主面41aにプラス外部接続電極75B+だけを設け、他方の最外の圧電体層41の外側の主面41bにマイナス外部接続電極75Bだけ−を設けるように構成してもよい。かかる構成においては、稜線部を横切る電極の幅を太くすることができる。すなわち、1つの主面41a(41b)にプラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−とを形成する構成においては、プラス外部接続電極75B+とマイナス外部接続電極75B−とが干渉しない程度に、プラス外部接続電極75B+及びマイナス外部接続電極75B−の幅を細くしなければならない。しかし、1つの主面41a(41b)にプラス外部接続電極75B+及びマイナス外部接続電極75B−の何れか一方しか形成しない構成においては、外部接続電極及びそれに接続される側方接続電極の幅を、他方の外部接続電極との干渉を考慮することなく、広くすることができる。その結果、電極のうちの稜線部を横切る部分の幅が広くなるため、稜線部を横切る部分に損傷等が生じたとしても、電極が完全に断線することが起こり難くなり、導通状態が維持される。これにより、超音波アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
また、プラス電極層5のプラス対角接続電極55Aと、マイナス電極層6のマイナス対角接続電極65Aとを、積層方向(即ち、圧電体層41の分極方向)に向かって見たときに重ならないように配置することによって、アクチュエータ本体4をバランスよく振動させ、その振動効率を向上させることができる。すなわち、プラス対角接続電極55Aを対角線方向D2において第2プラス分割電極52B寄りに、マイナス対角接続電極65Aを対角線方向D2において第4マイナス分割電極64B寄りにずらして配置することによって、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとが圧電体層41の分極方向に並ばないようにしている。これにより、圧電体層41のうちプラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとが設けられた部分を圧電的に不活性にすることができるため、アクチュエータ本体4に不要な振動が発生することを抑制することができる。その結果、アクチュエータ本体4をバランスよく振動させ、その振動効率を向上させることができる。
ただし、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとは積層方向に向かって見たときに重ならないように完全にずれていなくてもよい。すなわち、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aと積層方向に向かって見たときに完全には重なっていないものの一部だけが重なっている状態であってもよい。かかる構成であっても、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとの間に生じる電界は、圧電体層41の分極方向に対して傾斜した方向に作用するため、該電界の作用する方向が分極方向と一致する場合に比べて、圧電体層41のうちプラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとが設けられた部分に誘起される振動を抑制することができる。
さらに、プラス電極層5の第1〜第4プラス引出電極51a〜54bと、マイナス電極層6の第1〜第4マイナス引出電極61a〜64bとを積層方向に向かって見たときに重ならないように配置することによって、圧電体層41のうち第1〜第4プラス引出電極51a〜54bや第1〜第4マイナス引出電極61a〜64bが設けられた部分を圧電的に不活性にすることができるため、アクチュエータ本体4の不要な振動を抑制することができる。その結果、アクチュエータ本体4をバランスよく振動させ、その振動効率を向上させることができる。
また、プラス電極層5とマイナス電極層6とを交互に配設することによって、アクチュエータ本体4の振動を積層方向に均一にすることができる。つまり、プラス電極層5とマイナス電極層6とがランダムに積層されていると、圧電体層41ごとに作用する電界の強度が異なることになり、アクチュエータ本体4の振動が積層方向において不均一となる。それに対して、プラス電極層5とマイナス電極層6とを交互に配設することによって、各圧電体層41は必ずプラス電極層5とマイナス電極層6とで挟持されることになるため、圧電体層41ごとに作用する電界の強度を(電界の向きは、プラス電極層5とマイナス電極層6の配置によって異なるものの)略等しくすることができる。その結果、アクチュエータ本体4の振動を積層方向に均一にすることができる。これにより、圧電体層41に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減されるため、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
さらに、本実施形態では、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとが積層方向に向かって見たときに重ならないようにずれているため、圧電体層41のうち、これらプラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aが位置する部分には、分極方向に沿った電界は作用しない。しかしながら、圧電体層41の当該部分には、分極方向に対して傾斜した方向である、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとを結ぶ方向への電界が作用する。つまり、圧電体層41の当該部分は、少しではあるが、振動が発生する。ここで、前述の如く、プラス電極層5とマイナス電極層6とを交互に配設することによって、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとも交互に配設されるため、圧電体層41のうちプラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aが位置する部分の振動についても、積層方向において均一にすることができる。
また、プラス電極層5とマイナス電極層6の数を同数とすることによって、アクチュエータ本体4の振動の対称性を向上させることができる。このことにより、アクチュエータ本体4に不要な振動が発生することを抑制し、エネルギーロスを大幅に低減することができる。その結果、給電電力を効率よく振動に変換できる。
また、アクチュエータ本体4の積層方向の最外層を圧電体層41,41にすることによって、振動型アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。すなわち、電子機器内部の非常に小さい空間に小型の振動型アクチュエータ2(例えば、長さが1mm〜20mm程度のもの)を実装する場合、アクチュエータ本体4の最外層がプラス又はマイナス電極層5,6であると、アクチュエータ本体4の主面にその周辺にある金属部品が接触したときに、その最外層のプラス又はマイナス電極層5,6がショートして、超音波アクチュエータ2の特性が著しく低下することがある。そこで、前述のように、アクチュエータ本体4の積層方向の最外層を絶縁体である圧電体層41とすることによって、アクチュエータ本体4の主面に金属部品が接触してもショートが発生しない。その結果、超音波アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
また、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成された圧電体層41の厚みを、そのほかの圧電体層41の厚みより厚くすることによって、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−とプラス又はマイナス電極層5,6との間に生じる電界による不要振動の発生を抑制することができる。すなわち、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成された圧電体層41においては、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成された主面41a(41b)とは反対側の主面41b(41a)には、プラス又はマイナス電極層5,6が位置している。そのため、該圧電体層41においては、プラス又はマイナス外部接続電極75B+,75B−とプラス又はマイナス電極層5,6との間に電界が生じ得る。そこで、プラス及びマイナス外部接続電極75B+,75B−が形成された圧電体層41を厚くすることによって、プラス又はマイナス外部接続電極75B+,75B−とプラス又はマイナス電極層5,6との間に電界が生じる電界により圧電体層41に発生する不要振動を抑制することができる。
また、プラス電極層5の分割電極51A〜54Bとマイナス電極層6の分割電極61A〜64Bとが重なる部分を、圧電体層41の長手方向両端縁部に形成しないことによって、給電電力を効率よく振動に変換することができる。つまり、圧電体層41の長手方向両端部は、1次モードの伸縮振動の応力集中部(圧電体層41の長手方向中央部)から遠く離れており、応力があまり発生しない。応力があまり発生しないその領域に電極を形成すると、その電極を通じて供給される電力が効率よく振動に変換されず、電気的なロスが生じやすい。よって、給電電力を効率よく振動に変換するためには、上述のように、応力があまり発生しない、圧電体層41の長手方向両端縁部には電極を形成せず、それ以外の、伸縮振動の応力集中部及びこの近傍部分に電極を形成することが好ましい。具体的には、圧電体層41の長手方向各端縁から、該端縁よりも長手方向内側へ圧電体層41の長手方向長さの10%に相当する長さだけ入った部分までの間の領域には電極を形成せず、該10%に相当する長さだけ入った部分よりも長手方向内側の領域にプラス電極層5とマイナス電極層6との重なり部分を形成するのが好ましく、圧電体層41の長手方向長さの20%に相当する長さだけ入った部分よりも長手方向内側の領域に電極を形成するのがより好ましい。このことにより、1次モードの伸縮振動を効率よく誘起させることができ、超音波アクチュエータ2の効率を向上させることができる。
また、プラス電極層5の分割電極51A〜54Bとマイナス電極層6の分割電極61A〜64Bとが重なる部分を、圧電体層41の短手方向中央部に形成しないことによって、給電電力を効率よく振動に変換することができる。つまり、圧電体層41の短手方向中央部は、2次モードの屈曲振動による応力が集中する応力集中部(圧電体層41の短手方向両端縁部)から遠く離れており、応力があまり発生しない。応力があまり発生しないその領域に電極を形成すると、その電極を通じて供給される電力が効率よく振動に変換されず、電気的なロスが生じやすい。よって、給電電力を効率よく振動に変換するためには、上述のように、応力があまり発生しない、圧電体層41の短手方向中央部には電極を形成せず、それ以外の、屈曲振動の応力集中部及びこの近傍部分に電極を形成することが好ましい。具体的には、圧電体層41の短手方向中央から、該中央よりも圧電体層41の短手方向長さの10%に相当する長さだけ短手方向外側の部分までの間の領域には電極を形成せず、該10%に相当する長さだけ短手方向外側の部分よりも短手方向外側の領域に電極を形成することが好ましい。このことにより、2次モードの屈曲振動を効率よく誘起させることができ、超音波アクチュエータ2の効率を向上させることができる。
《発明の実施形態2》
続いて、本発明の実施形態2に係る駆動装置201について、図9を参照しながら説明する。図9は、実施形態2に係る駆動装置の概略構成を示す正面図である。
超音波アクチュエータ202は、アクチュエータ本体4への給電方法が実施形態1に係る超音波アクチュエータ2と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
詳しくは、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に付勢するための付勢ゴム282が導電ゴムで構成されている。付勢ゴム282は、例えばシリコーンゴムが主成分の支持層とシリコーンゴムに銀などの金属粒子が混ぜられた導電層との積層構造となった導電ゴムである。付勢ゴム282は、その積層方向には絶縁されており、異方性を有している。
このように構成された付勢ゴム282を、アクチュエータ本体4の、駆動子9,9が設けられていない方の長辺側面とケース203長辺壁部231との間に配置する。ここで、ケース203の長辺壁部231の内周面のうち、アクチュエータ本体4の該長辺側面と対向する部分には、対向電極34,34,…が設けられている。これら対向電極34,34,…はそれぞれ、アクチュエータ本体4の第4マイナス及び第4プラス側方接続電極74B−,74B+並びに第3プラス及び第3マイナス側方接続電極73A+,73A−と対向する位置に設けられている。また、対向電極34,34,…は、互いに絶縁されている。これら対向電極34,34,…は、ワイヤ35,35,…を介して制御装置10に接続されており、制御装置10から交流電圧が印加されるようになっている。付勢ゴム282は、その積層方向がアクチュエータ本体4の長手方向を向くように配置される。すなわち、付勢ゴム282は、アクチュエータ本体4の長辺側面に設けられた第4マイナス及び第4プラス側方接続電極74B−,74B+並びに第3プラス及び第3マイナス側方接続電極73A+,73A−をそれぞれ、ケース203の対向電極34,34,…と導通させる。このとき、付勢ゴム282の積層方向がアクチュエータ本体4の長手方向を向いているため、アクチュエータ本体4の側方接続電極73A+〜74B−のそれぞれは、付勢ゴム282を介して互いに導通することがない。
尚、本実施形態では、アクチュエータ本体4の側方接続電極73A+〜74B−への給電を導電ゴムで実現しているが、これに限られるものではない。例えば、アクチュエータ本体4の側方接続電極73A+〜74B−に、異方性導電シートを介してフレキシブルプリント基板を接着してもよい。また、アクチュエータ本体4の側方接続電極73A+〜74B−に導電性接着剤を介してワイヤを接続してもよい。ただし、アクチュエータ本体4への給電手段は、アクチュエータ本体4の長手方向中央を通り厚み方向に延びる直線に対して線対称に配置することが好ましい。つまり、給電手段が付勢ゴム282であっても、異方性導電シートや導電性接着剤であっても、それらがアクチュエータ本体4に接触している限り、アクチュエータ本体4の振動を多少なりとも邪魔することになる。そのため、前述の如く、給電手段をアクチュエータ本体4の長手方向へ線対称に配置することによって、アクチュエータ本体4の振動の対称性を維持することができる。
《発明の実施形態3》
続いて、実施形態3に係る超音波アクチュエータ302について図10,11を参照しながら説明する。図10は、実施形態3に係る超音波アクチュエータの概略構成を示す正面図であり、図11は、アクチュエータ本体の構成を示す図であって、(A)はアクチュエータ本体の斜視図で、(B)は主面に電極層が設けられた圧電体層のそれぞれを、積層方向の一側から見たときの平面図である。
超音波アクチュエータ302は、側方接続電極がアクチュエータ本体の短辺側面に設けられている点で実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
アクチュエータ本体304は、複数の圧電体層41,41,…と、圧電体層41を介して交互に積層されるプラス電極層305及びマイナス電極層306とを有する。
プラス電極層305は、実施形態1と同様に、4つのプラス分割電極51A〜54Bと、第1プラス分割電極51Aと第3プラス分割電極53Aを接続するプラス対角接続電極55Aとを有している。そして、各プラス分割電極にはプラス引出電極が設けられており、それらの構成が実施形態1と異なる。詳しくは、第1プラス分割電極51Aには、プラス引出電極が設けられていない。第2プラス分割電極52Bには、その長手方向外側の部分から、近接する、圧電体層41の短辺側面及び長辺側面まで延びる第2プラス引出電極352bが設けられている。第3プラス分割電極53Aには、その長手方向外側の部分から、近接する、圧電体層41の短辺側面まで延びる第3プラス引出電極353aが設けられている。第4プラス分割電極54Bには、その長手方向内側の部分から、近接する、圧電体層41の長辺側面まで延びる第4プラス引出電極354bが設けられている。
マイナス電極層306も、実施形態1と同様に、4つのマイナス分割電極61A〜64Bと、第1マイナス分割電極61Aと第3マイナス分割電極63Aを接続するマイナス対角接続電極65Aとを有している。そして、各マイナス分割電極にはマイナス引出電極が設けられており、それらの構成が実施形態1と異なる。詳しくは、第1マイナス分割電極61Aには、その長手方向外側の部分から、近接する、圧電体層41の短辺側面まで延びる第1マイナス引出電極361aが設けられている。第2マイナス分割電極62Bには、その長手方向内側の部分から、近接する、圧電体層41の長辺側面まで延びる第2マイナス引出電極362bが設けられている。第3マイナス分割電極63Aには、マイナス引出電極が設けられていない。第4マイナス分割電極64Bには、その長手方向外側の部分から、近接する、圧電体層41の短辺側面及び長辺側面まで延びる第4マイナス引出電極364bが設けられている。
そして、圧電体層41の長辺側面及び短辺側面には、異なる圧電体層41に形成された各分割電極同士を接続するための側方接続電極371A−〜374B−が形成されている。
詳しくは、圧電体層41の領域A2の角部に対応する長辺側面及び短辺側面(即ち、圧電体層41の一方の長辺側面の長手方向(圧電体層41の長手方向。以下、同様)一端部から圧電体層41の一方の短辺側面の短手方向(圧電体層41の短手方向。以下、同様。)一端部にかけての部分)には、第2プラス分割電極52Bの第2プラス引出電極352bに接続された第2プラス側方接続電極372B+が形成されている。圧電体層41の一方の短辺側面の、第2プラス側方接続電極372B+とは反対側の端部には、第3プラス分割電極53Aの第3プラス引出電極353aに接続された第3プラス側方接続電極373A+が形成されている。圧電体層41の他方の長辺側面(第2プラス側方接続電極372B+が形成されていない方の長辺側面)の長手方向中央寄りの部分には、第4プラス分割電極54Bの第4プラス引出電極354bに接続された第4プラス側方接続電極374B+が形成されている。圧電体層41の領域A4の角部に対応する長辺側面及び短辺側面(即ち、圧電体層41の他方の長辺側面の長手方向他端部から他方の短辺側面の短手方向他端部にかけての部分)には、第4マイナス分割電極64Bの第4マイナス引出電極364bに接続された第4マイナス側方接続電極374B−が形成されている。圧電体層41の他方の短辺側面の、第4マイナス側方接続電極374B−と反対側の端部には、第1マイナス分割電極61Aの第1マイナス引出電極361aに接続された第1マイナス側方接続電極371A−が形成されている。圧電体層41の一方の長辺側面(第2プラス側方接続電極372B+が形成されている方の長辺側面)の長手方向中央寄りの部分には、第2マイナス分割電極62Bの第2マイナス引出電極362bに接続された第2マイナス側方接続電極372B−が形成されている。
こうして、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1〜第4プラス分割電極51A〜54Bはそれぞれ、第2〜第4プラス側方接続電極372B+〜374B+を介して互いに導通している。また、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bはそれぞれ、第1、第2及び第4マイナス側方接続電極371A−,372B−,374B−を介して互いに導通している。
ここで、第1プラス分割電極51Aには引出電極が設けられていない。しかし、第1プラス分割電極51Aはプラス対角接続電極55Aを介して第3プラス分割電極53Aと導通している。そのため、第1プラス分割電極51Aは、第3プラス分割電極53Aに接続された第3プラス引出電極353a及び第3プラス側方接続電極373A+を介して、別の圧電体層41,41,…に形成された第3プラス分割電極53A,53A,…、さらには、第1プラス分割電極51A,51A,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1及び第3プラス分割電極51A,…,53A,…は、互いに導通している。
同様に、第3マイナス分割電極63Aには引出電極が設けられていない。しかし、第3マイナス分割電極63Aはマイナス対角接続電極65Aを介して第1マイナス分割電極61Aと導通している。そのため、第3マイナス分割電極63Aは、第1マイナス分割電極61Aに接続された第1マイナス引出電極361a及び第1マイナス側方接続電極371A−を介して、別の圧電体層41,41,…に形成された第1マイナス分割電極61A,61A,…、さらには、第3マイナス分割電極63A,63A,…にも導通している。すなわち、別々の圧電体層41,41,…に形成された第1及び第3マイナス分割電極61A,…,63A,…は、互いに導通している。
一方、第2プラス分割電極52Bと第4プラス分割電極54Bとは、プラス電極層305内では互いに導通していない。同様に、第2マイナス分割電極62Bと第4マイナス分割電極64Bとは、マイナス電極層306内では互いに導通していない。
そこで、第2プラス分割電極52Bに接続された第2プラス側方接続電極372B+と、第4プラス分割電極54Bに接続された第4プラス側方接続電極374B+とを互いに接続するプラス外部接続電極375B+が設けられている。また、第2マイナス分割電極62Bに接続された第2マイナス側方接続電極372B−と、第4マイナス分割電極64Bに接続された第4マイナス側方接続電極374B−とを互いに接続するマイナス外部接続電極375B−が設けられている。プラス及びマイナス外部接続電極375B+,375B−は、圧電体層41の主面41a,41bのうち、プラス電極層305及びマイナス電極層306が設けられていない主面(即ち、積層された圧電体層41,41,…のうち、最も外側の圧電体層41,41の外側を向く主面)41a,41bに設けられている。プラス及びマイナス外部接続電極375B+,375B−は、各最外の圧電体層41の外側の主面41a,41bにおいて、互いに平行に延びている。プラス及びマイナス外部接続電極375B+,375B−は、金や銀やパラジウムなどの金属を焼き付けや溶射、スパッタなどの方法で圧電体層41の主面41a,41bに形成されている。
これにより、第2プラス分割電極52Bと第4プラス分割電極54Bとは、プラス外部接続電極375B+を介して導通しているため、別々の圧電体層41,41,…に形成された第2及び第4プラス分割電極52B,…,54B,…は、互いに導通している。同様に、第2マイナス分割電極62Bと第4マイナス分割電極64Bとは、マイナス外部接続電極375B−を介して導通しているため、別々の圧電体層41,41,…に形成された第2及び第4マイナス分割電極62B,…,64B,…は、互いに導通している。
尚、プラス外部接続電極375B+は、第2プラス側方接続電極372B+のうち、長辺側面に位置する部分に接続されているが、短辺側面に位置する部分に接続されていてもよい。同様に、マイナス外部接続電極375B−は、第4マイナス側方接続電極374B−の長辺側面に位置する部分に接続されているが、短辺側面に位置する部分に接続されていてもよい。
このように構成されたアクチュエータ本体304においては、各短辺側面に側方接続電極が2つずつ露出している。これら短辺側面に露出する側方接続電極に給電することによって、第1〜第4プラス分割電極51A〜54B及び第1〜第4マイナス分割電極61A〜64Bに給電することができる。
詳しくは、図10に示すように、アクチュエータ本体304がケース303内に収容された状態において、アクチュエータ本体304の短辺側面とケース303の第1及び第2短辺壁部332,333との間にはそれぞれ、支持ゴム381,381が介設されている。支持ゴム381は、例えばシリコーンゴムが主成分の支持層とシリコーンゴムに銀などの金属粒子が混ぜられた導電層との積層構造となった導電ゴムで構成されている。支持ゴム381は、その積層方向には絶縁されており、異方性を有している。支持ゴム381は、その積層方向がアクチュエータ本体304の短手方向を向くように配置される。ここで、ケース303の第1短辺壁部332の内周面のうち、アクチュエータ本体304の短辺側面の第1及び第4マイナス側方接続電極371A−,374B−に対向する位置には、対向電極334,334が設けられている。また、第2短辺壁部333の内周面のうち、アクチュエータ本体304の短辺側面の第2及び第3プラス側方接続電極372B+,373A+と対向する位置には、対向電極334,334が設けられている。これら対向電極334,334,…は、互いに絶縁されている。これら対向電極334,334,…は、ワイヤ335,335,…を介して制御装置10に接続されており、制御装置10から交流電圧が印加されるようになっている。アクチュエータ本体304の短辺側面に露出する4つの側方接続電極372B+,373A+,371A−,374B−に個別に交流電圧を印加することによって、第1及び第3プラス分割電極51A,53Aの組と、第2及び第4プラス分割電極52B,54Bの組と、第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aの組と、第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bの組とに交流電圧を個別に印加することができる。
したがって、実施形態3に係る超音波アクチュエータ302によれば、アクチュエータ本体304とケース303との導通を支持ゴム381,381で行うと共に、アクチュエータ本体304のステージ11への付勢を付勢ゴム82で行うことによって、支持ゴム381と付勢ゴム82とをそれぞれに適した圧縮状態で使用することができる。つまり、安定した導通に適した支持ゴム381の圧縮状態と、適切な付勢力を発揮させるための付勢ゴム82の圧縮状態とは異なる場合がある。例えば、実施形態2に係る超音波アクチュエータ202においては、付勢ゴム282が、アクチュエータ本体4とケース203とを導通させる機能と、アクチュエータ本体4をステージ11へ付勢する機能とを果たす。そのため、付勢ゴム282の圧縮状態は、安定した導通に適した圧縮状態と適切な付勢力を発揮させるための圧縮状態との何れか一方の圧縮状態か、又は、両方の圧縮状態の間でバランスをとった圧縮状態に設定される。つまり、実施形態2においては、適した導通状態と適切な付勢力とを両立させることが難しい。それに対して、この超音波アクチュエータ302によれば、支持ゴム381の圧縮状態と付勢ゴム82の圧縮状態とを個別に設定することができるため、アクチュエータ本体304とケース303との安定した導通と、アクチュエータ本体304のステージ11への適切な付勢とを両立することができる。
また、アクチュエータ本体304では、短辺側面に設けた2つの側方接続電極のうち、少なくとも一方の側方接続電極を短辺側面だけでなく、長辺側面に跨って形成することによって、1つの短辺側面に形成される2つの側方接続電極の間に十分な絶縁距離を確保することができる。つまり、分割電極から延びる引出電極と側方接続電極とを確実に接続するためには、引出電極及び側方接続電極の幅が広い方が好ましい。しかしながら、アクチュエータ本体304の短辺側面は、長辺側面に比べて短いため、短辺側面に側方接続電極を2つ配置する構成では、側方接続電極等の幅を広くすると、2つの側方接続電極の間に十分な絶縁距離を確保することが難しくなる。それに対して、アクチュエータ本体304によれば、少なくとも一方の側方接続電極を短辺側面だけでなく、長辺側面にも跨って形成することによって、側方接続電極の幅を長辺側面の方に拡大しつつ、隣接する別の側方接続電極との間に間隔を確保することができる。尚、アクチュエータ本体304では、短辺側面に設けられた2つの側方接続電極のうち、一方の側方接続電極だけが長辺側面にも跨って形成されているが、これに限られるものではない。両方の側方接続電極がそれぞれに近接する長辺側面に跨って形成されていてもよい。
《発明の実施形態4》
続いて、実施形態4に係る駆動装置401について図12,13を参照しながら説明する。図12は、駆動装置401の斜視図であり、図13は、制御装置410のブロック図である。
実施形態4に係る超音波アクチュエータ402は、第1アクチュエータ本体4Pと第2アクチュエータ本体4Qとの2つのアクチュエータ本体を有している。
第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qはそれぞれ、実施形態1に係るアクチュエータ本体4と同様の構成をしている。すなわち、図示は省略するが、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qはそれぞれ、支持ゴム及び付勢ゴムを介してケースに収容されている。第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qは、その長手方向が互いに一致するように一直線上に並べられた状態で、駆動子9,9がステージ11に当接するようにして配置されている。第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qは、駆動子9,9が設けられていない方の長辺側面から付勢力が付与され、駆動子9,9がステージ11に押し付けられている。これにより、駆動子9,9とステージ11との摩擦力が高められ、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの振動が駆動子9,9を介して確実にステージ11に伝達される。
そして、第1アクチュエータ本体4Pと第2アクチュエータ本体4Qとは電気的に直列に接続されている。詳しくは、第1アクチュエータ本体4Pのマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aに導通している第1又は第3マイナス側方接続電極71A−,73A−と、第2アクチュエータ本体4Qのプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53Aに導通している第1又は第3プラス側方接続電極71A+,73A+とが接続されると共に、第1アクチュエータ本体4Pのマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bに導通している第2又は第4マイナス側方接続電極72B−,74B−と、第2アクチュエータ本体4Qのプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54Bに導通している第2又は第4プラス側方接続電極72B+,74B+とが接続される。すなわち、制御装置410→第1アクチュエータ本体4Pのプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53A→第1アクチュエータ本体4Pのマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63A→第2アクチュエータ本体4Qのプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53A→第2アクチュエータ本体4Qのマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63A→グラウンドの順に直列に接続されると共に、制御装置410→第1アクチュエータ本体4Pのプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54B→第1アクチュエータ本体4Pのマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64B→第2アクチュエータ本体4Qのプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54B→第2アクチュエータ本体4Qのマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64B→グラウンドの順に直列に接続される。
続いて、制御装置410の構成について説明する。
制御装置410は、制御部410aと、周波数発生部410bと、位相差発生部410cと、第1ドライバ410dと、第2ドライバ410eと、電流電圧検出部410fとを有している。
周波数発生部410bから発生した所定周波数の正弦波電圧が、直列接続された第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qに第1交流電圧として第1ドライバ410dを介して印加される。また、周波数発生部410bから発生した正弦波電圧が、位相差発生部410cにより位相がずらされ、直列接続された第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qに第2ドライバ410eを介して、第1交流電圧と周波数が同じで位相が異なる第2交流電圧として印加される。第1アクチュエータ本体4Pの第1又は第3マイナス側方接続電極71A−,73A−と第2アクチュエータ本体4Qの第1又は第3プラス側方接続電極71A+,73A+との間の電流及び電圧、並びに、第1アクチュエータ本体4Pの第2又は第4マイナス側方接続電極72B−,74B−と第2アクチュエータ本体4Qの第2又は第4プラス側方接続電極72B+,74B+との間の電流及び電圧が電流電圧検出部410fによりそれぞれ検出され、その電流電圧情報が制御部410aに入力される。制御部410aは、電流電圧検出部410fからの電流電圧情報などに基づいて、第1及び第2交流電圧の周波数、並びに第1交流電圧と第2交流電圧との位相差を決定し、その周波数情報を周波数発生部410bへ出力し、その位相差情報を位相差発生部410cへ出力する。
ここで、超音波アクチュエータ402の駆動速度(即ち、ステージ11の移動速度)の周波数特性及び電圧特性について説明する。図14は、超音波アクチュエータ402の駆動速度の周波数特性及びアクチュエータ本体のインピーダンスの周波数特性を示し、図15は、2相の交流電圧の周波数を270kHz、位相差を90度とした場合における、超音波アクチュエータ402の駆動速度の電圧特性を示す。また、図16は、共振周波数が異なる2つのアクチュエータ本体のインピーダンスの周波数特性を示し、図17は、共振周波数が異なる2つのアクチュエータ本体の駆動速度の周波数特性を示す。
超音波アクチュエータ402の駆動速度の周波数特性は、各アクチュエータ本体4P(4Q)の共振周波数(インピーダンスが最も低い周波数)をピークとした山状の形状となっている。また、アクチュエータ本体4P(4Q)のインピーダンスの周波数特性は、超音波アクチュエータ402の駆動速度の最高速度近傍で最も低く、周波数が高くなるに従って高くなってピークに達する。本実施形態では、効率の観点から、共振周波数よりも高い周波数帯域で周波数を変化させることにより、ステージ11の移動速度を制御するようになっている。超音波アクチュエータ402の駆動速度の電圧特性については、電源電圧が所定値以下の場合、ステージ11は移動せず、所定値を超えると、ステージ11は移動し、その移動速度は電源電圧に対し単調増加する。つまり、アクチュエータ本体4P,4Qにかかる電圧が高いほど、ステージ11は高速で移動する。ただし、アクチュエータ本体4P,4Qにあまりに大きな電圧をかけると、アクチュエータ本体4P,4Qの変位が大きくなり過ぎて破壊限界を超えてしまったり、アクチュエータ本体4P,4Qに流れる電流が多くなり過ぎてアクチュエータ本体4P,4Qが異常発熱して破損する虞がある。
ところで、アクチュエータ本体4P,4Qの共振周波数の絶対値は、その外形寸法に大きく依存する。例えば、長さ寸法が6.0mmの圧電素子を製作しようとして、製造上の不良により、これと長さ寸法が0.10mm違うものが出来てしまうと、その絶対値は、長さ寸法が6.0mmのものから約4.4kHzずれてしまう。図16に示すように、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの共振周波数が異なると、図17に示すように、移動速度がピークになる周波数がずれる。このような第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを同一周波数で個別に動かすと、第1アクチュエータ本体4Pと第2アクチュエータ本体4Qとで駆動速度が異なる。アクチュエータ本体4P,4Qは共にステージ11に当接しているため、一方のアクチュエータ本体4P(4Q)が他方のアクチュエータ本体4Q(4P)の負荷となり、その結果、2つのアクチュエータ本体4P,4Qでステージ11を効率良く駆動することができない。
ここで、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qごとに個別の電源を用意し、電圧の周波数や2相の交流電圧の位相差などを第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qごとに調整することが考えられる。かかる構成においては、駆動速度の周波数特性等のばらつきは小さくなるが、その分、電源の構成や制御が複雑になる。また、各アクチュエータ本体を並列接続すると、電源の構成は簡単になるが、その特性にばらつきが発生し、アクチュエータ本体の個数分のパワーアップを図ることができない。
それに対して、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを直列に接続することによって、第1アクチュエータ本体4Pの駆動速度と第2アクチュエータ本体4Qの駆動速度との差を小さくすることができる。すなわち、2つのアクチュエータ本体の反共振周波数(インピーダンスが最も高い周波数)のうち、低い方の反共振周波数よりも低い周波数領域においては、ほとんどの場合、インピーダンスが高い方のアクチュエータ本体の方が、駆動速度が遅くなっている。第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを直列に接続している場合、インピーダンスが高い方のアクチュエータ本体により大きな電圧が印加される。そのため、前記周波数領域においては、駆動速度が遅い方のアクチュエータ本体に相対的に大きな電圧が印加され、駆動速度が速い方のアクチュエータ本体に相対的に小さな電圧が印加される。駆動速度は、前述の如く、電圧に応じて上昇するため、2つのアクチュエータ本体の駆動速度の差は小さくなる。このように、第1アクチュエータ本体4Pのインピーダンスと第2アクチュエータ本体4Qのインピーダンスが異なる場合、第1アクチュエータ本体4Pの駆動速度と第2アクチュエータ本体4Qの駆動速度との差を小さくすることができる。
したがって、の駆動速度及びインピーダンスの周波数特性にばらつきがある第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを同一周波数の交流電圧で作動させる場合であっても、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを直列に接続することによって、第1アクチュエータ本体4Pの駆動速度と第2アクチュエータ本体4Qの駆動速度との差を小さくすることができる。このように、本実施形態によれば、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを同一電源で安定して協調動作させることができる。
第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを直列接続すると、電圧は、各アクチュエータ本体4に電圧を個別に印加する場合と比較して、2倍の大きさとなる。これは、平均インピーダンスが2倍になるためである。しかし、電流は、各アクチュエータ本体に個別に印加する場合と比較して、1/2の大きさとなるので、電力は等しくなる。このように、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを直列接続すると、2倍の電圧をかける必要があるため、各アクチュエータ本体4を、非常に大きな電圧が必要な単板構成ではなく、積層構成にしている。
本実施形態では、第2アクチュエータ本体4Qをグラウンドに接続しているが、フルブリッジ駆動を採用すれば、2倍の電圧を実質的に印加できる。
第1及び第2交流電圧の周波数は、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qのうち、共振周波数が高い方のアクチュエータ本体の共振周波数よりも高く、かつ、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qのうち、反共振周波数が低い方のアクチュエータ本体の反共振周波数よりも低い周波数帯域(図16参照)で調整することが好ましい。この周波数帯域では、図17に示すように、周波数が大きくなるに従って、駆動速度は単調減少し、インピーダンスは単調増加するからである。そして、この周波数帯域は、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの周波数特性を予め検出することで得ることができる。なお、第1及び第2交流電圧の周波数を調整する周波数帯域は、単に、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qのうち共振周波数の高い方のアクチュエータ本体の共振周波数よりも高くしてもよく、あるいは、単に、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qのうち反共振周波数の低い方のアクチュエータ本体の反共振周波数よりも低くしてもよい。
さらに、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの共振周波数が大きく異なる場合、これらの第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qのうち一方のインピーダンスが非常に低い状態で、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qを駆動させてしまうときがある。そこで、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの間の電流及び電圧を電流電圧検出部410fによりモニターし、その検出値が異常値であるとき(例えば、その電圧値が電源電圧近傍、又はグラウンド近傍のとき)は、第1及び第2交流電圧の周波数を変更するようになっている。なお、第1及び第2アクチュエータ本体4P,4Qの間の電流又は電圧をモニターし、その検出値が異常値であるときは、第1及び第2交流電圧の周波数を変更するようにしてもよい。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記実施形態では、プラス電極層5においてプラス対角接続電極55Aで接続される第1及び第3プラス分割電極51A,53Aが並ぶ対角線方向と、マイナス電極層6においてマイナス対角接続電極65Aで接続される第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aが並ぶ対角線方向とは、対角線方向D1で同じである。しかしながら、プラス対角接続電極55Aで接続されるプラス分割電極が並ぶ対角線方向と、マイナス対角接続電極65Aで接続されるマイナス分割電極が並ぶ対角線方向とが異なっていてもよい。例えば、プラス電極層5においては一方の対角線方向D1に並ぶ第1及び第3プラス分割電極51A,53Aがプラス対角接続電極55Aで接続される一方、マイナス電極層6においては他方の対角線方向D2に並ぶ第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bがマイナス対角接続電極65Aで接続される構成であってもよい。尚、プラス対角接続電極55Aで接続されるプラス分割電極が並ぶ対角線方向と、マイナス対角接続電極65Aで接続されるマイナス分割電極が並ぶ対角線方向とを、対角線方向D2で揃えてもよい。
また、前記実施形態では、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとは積層方向を向いて見たときに重ならないように完全にずれているが、これに限られるものではない。例えば、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとが積層方向を向いて見たときに完全に重なるように設けられていてもよい。ただし、不要振動を抑制する観点からは、プラス対角接続電極55Aとマイナス対角接続電極65Aとは少しでもずれていることが好ましく、重ならないように完全にずれていることがより好ましい。
さらに、プラス電極層5とマイナス電極層6とは、点対称でなくてもよい。点対称でなくても、スクリーン印刷版の種類が、プラス電極層5とマイナス電極層6との2種類になるため、少なくとも4種類のスクリーン印刷版が必要であった従来の構成と比較して、製造コストを抑制することができる。
また、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aを、圧電体層41の長手方向中央部における、短手方向両端縁部を除く部分のほぼ全域に亘って設けてもよい。これにより、圧電体層41の長手方向中央部の電極の面積を大きくすることができる。ここで、圧電体層41の長手方向中央部は、1次モードの伸縮振動のノード部、つまり、伸縮振動による応力が集中する応力集中部であり、この応力集中部には、圧電効果による電荷が集中して発生する。そして、上述のように、その部分の電極の面積を大きくすることにより、アクチュエータ本体4を小型化した場合でも、大きな伸縮振動を誘起させることができる。その結果、超音波アクチュエータ2の効率を向上させることができる。ここで、圧電体層41の短手方向に関しては、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aをほぼ全域に亘って形成することが理想であるが、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aを圧電体層41の短手方向端縁部にまで形成すると、プラス電極層5とマイナス電極層6との間の絶縁が困難となる。そこで、上述のように、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aを圧電体層41の短手方向両端縁部を除く部分に形成するのがよい。具体的には、圧電体層41の短手方向各端縁から短手方向内側へ圧電体層41の厚み分だけ入った領域よりも、短手方向内側の領域にプラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aを形成することが好ましい。
尚、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aの電極面積が大きいほど、大きな伸縮振動が発生するが、その電極面積があまりに大きすぎると、2次モードの屈曲振動が妨げられる。そこで、プラス及びマイナス対角接続電極55A,65Aの(圧電体層41の長手方向への)幅は、圧電体層41の長手方向長さの5%〜40%程度とするのが望ましい。
また、分割電極51A〜64Bを略矩形状の電極としたが、これに限らず、例えば、これらを振動による応力の分布に応じた形状のものとしてもよい。
また、アクチュエータ本体4への給電は、ワイヤ以外にも、フレキシブル基板による給電や、コンタクトピンによる給電など、他の給電方法を用いてもよい。かかる場合であっても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2の駆動力が付与されて駆動される可動体は、平板状のステージ11であるが、これに限られるものではなく、可動体の構成としては任意の構成を採用できる。例えば、図18に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体17であり、超音波アクチュエータの駆動子9,9が該円板体17の側周面17aに当接するように構成された駆動装置501を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子9,9の概略楕円運動によって、該円板体17が所定の軸X回りに回動させられる。また、図19に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体18であり、超音波アクチュエータの駆動子9,9が該円板体18の平面部18aに当接するように構成された駆動装置601を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子9,9の概略楕円運動によって、該円板体18が駆動子9,9と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体18が所定の軸X回りに回動させられる。
また、前記実施形態1〜4では、駆動子9,9をアクチュエータ本体4の長辺側面に設けた構成について説明したが、アクチュエータ本体4の短辺側面に設けてもよい。この場合、1次モードの伸縮振動の伸縮方向は、駆動子9,9がステージ11に直交する方向となり、2次モードの屈曲振動の振動方向は、ステージ11の移動方向となる。
また、第1交流電圧と第2交流電圧との位相差は、90度に限るものではない。この位相差を制御することにより、ステージ11の速度を制御することができる。
また、前記実施形態では、第1及び第2プラス側方接続電極71A+,72B+並びに第3及び第4マイナス側方接続電極73A−,74B−が駆動子9,9よりも長手方向外側に、第1及び第2マイナス側方接続電極71A−,72B−並びに第3及び第4プラス側方接続電極73A+,74B+が駆動子9,9よりも長手方向内側に位置しているが、これに限られるものではない。例えば、図20に示すように、第1及び第2マイナス側方接続電極71A−,72B−並びに第3及び第4プラス側方接続電極73A+,74B+も駆動子9,9よりも長手方向外側に配置してもよい。逆に、全ての側方接続電極を駆動子9,9よりも長手方向内側に配置してもよい。
また、前記実施形態では、アクチュエータ本体4に、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第1プラス分割電極51A,51A,…を接続する第1プラス側方接続電極71A+と、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第3プラス分割電極53A,53A,…を接続する第3プラス側方接続電極73A+とが設けられているが、何れか一方の側方接続電極だけであってもよい。つまり、第1プラス分割電極51Aと第3プラス分割電極53Aとはプラス対角接続電極55Aで接続されているため、第1プラス分割電極51A及び第3プラス分割電極53Aのうち何れか一方について側方接続電極を設ければ、異なる圧電体層41,41,…に設けられた第1プラス分割電極51A,51A,…と第3プラス分割電極53A,53A,…とを全て接続することができる。これは、マイナス電極層6についても同様である。すなわち、第1マイナス側方接続電極71A−及び第3マイナス側方接続電極73A−とは、何れか一方だけであってもよい。
また、実施形態4では、直列接続され2つのたアクチュエータ本体4P,4Qについて説明したが、3つ以上のアクチュエータ本体4,4,…を直列に接続して、ステージ11を3つ以上のアクチュエータ本体4,4,…で駆動する構成であってもよい。つまり、第1〜第nアクチュエータ本体4(但し、nは3以上の任意の整数)を用意し、第1アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aと、第2アクチュエータ本体4のプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53Aとを直列に接続し、第2アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aと、第3アクチュエータ本体4のプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53Aとを直列に接続し、…、第n−1アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aと第nアクチュエータ本体4のプラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53Aを直列に接続する。それと共に、第1アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bと、第2アクチュエータ本体4のプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54Bとを直列に接続し、第2アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bと、第3アクチュエータ本体4のプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54Bとを直列に接続し、…、第n−1アクチュエータ本体4のマイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bと第nアクチュエータ本体4のプラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54Bを直列に接続する。
ここで、上述においては、第iアクチュエータ本体4(但し、i=1,…,n−1)の第1組のマイナス分割電極と第(i+1)アクチュエータ本体4の第1組のプラス分割電極とを直列に接続し、第iアクチュエータ本体4の第2組のマイナス分割電極と第(i+1)アクチュエータ本体4の第2組のプラス分割電極とを直列に接続している。要するに、第iアクチュエータ本体4の第1交流電圧が印加される分割電極と第(i+1)アクチュエータ本体4の第1交流電圧が印加される分割電極とを直列に接続し、第iアクチュエータ本体4の第2交流電圧が印加される分割電極と第(i+1)アクチュエータ本体4の第2交流電圧が印加される分割電極とを直列に接続すればよい。
また、前記実施形態4では、プラス電極層5の第1及び第3プラス分割電極51A,53Aが第1組のプラス分割電極を、プラス電極層5の第2及び第4プラス分割電極52B,54Bが第2組のプラス分割電極を、マイナス電極層6の第1及び第3マイナス分割電極61A,63Aが第1組のマイナス分割電極を、マイナス電極層6の第2及び第4マイナス分割電極62B,64Bが第2組のマイナス分割電極を構成している。ただし、第1組のプラス分割電極が第1交流電圧が供給されるものであり、第2組のプラス分割電極が第2交流電圧が供給されるものであり、第1組のマイナス分割電極が圧電体層41を挟んで第1組のプラス分割電極と対向するものであり、第2組のマイナス分割電極が圧電体層41を挟んで第2組のプラス分割電極と対向するものである限り、第1組のプラス分割電極、第2組のプラス分割電極、第1組のマイナス分割電極は、及び第2組のマイナス分割電極の構成はこれに限らない。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。