JP5467201B2 - 電子レンジ用容器 - Google Patents

Description

本発明は、電子レンジで加熱して調理する際に、調理時間が異なる２種以上の調理食品を充填するための電子レンジ調理用容器に関し、より詳細には、調理時間が異なる２種以上の調理食品を電子レンジにより加熱して、同時に調理が完了する、電子レンジ用容器に関する。

従来技術

調理済みまたは未調理の食品を容器に充填し、これを室温、冷蔵、または冷凍保存しておいて、利用時に電子レンジによって加熱するだけで簡易に喫食できる包装食品が市販されている。これら包装食品は、食品の種類、容量、および保存状態によって、電子レンジでの調理時間に大差がある。例えば、調理パン等のように室温または冷蔵保存された加工食品は、食品容量にもよるが、概ね１〜２分程度で加熱が完了する。一方、冷凍保存されたスープ、カレー、グラタン等の加工食品は、加熱時間がより長く、概ね、数分程度を要するものが多い。

このような加熱時間に長時間を要するような冷凍食品においては、電子レンジでの加熱時間をより短縮するため、加熱むらを低減したり、より均一な加熱が行えるような容器が開発されている。

また、従来蒸して食べるシュウマイ、餃子、中華まんじゅう等の調理食品を、冷凍または冷蔵した調理食品においては、電子レンジでの加熱と同時に、蒸気加温できる電子レンジ用調理容器も提案されている（特公平８−３３２１１号公報：特許文献１）。

特公平８−３３２１１号公報

しかしながら、冷凍または冷蔵保存されたスープ等と調理加熱用パン等とを、同時に電子レンジに入れて加熱調理を行った場合、両方の加工食品の加熱調理時間が異なるため、一方の加熱が不十分であったり、また、一方が加熱されすぎて炭化してしまう。冷凍または冷蔵保存されたスープ等と調理加熱用パン等とを同時に加熱調理して、調理完了時期を揃えるには、時間を要する方の加工食品を予め加熱しておくか、または、２台の電子レンジを用いて時間を調整する必要があった。そのような理由から、２種の調理時間の異なる加工食品を１台の電子レンジで調理して同時に喫食することは、従来行われていなかった。

本発明者らは、今般、一方の加工食品を電子レンジで加熱するとともに、他方の加工食品には電子レンジからのマイクロ波が照射されないようにし、かつ、一方の加工食品の加熱により発生した水蒸気を、他方の加工食品の加熱に利用することにより、比較的短時間に加熱調理が完了する加工食品と、調理時間に時間を要する加工食品とを、１台の電子レンジによって同時に加熱調理が完了できる電子レンジ用容器を見出した。

したがって、本発明の目的は、調理時間を要しない、比較的短時間に加熱調理が完了する加工食品と、調理時間に時間を要する加工食品とを、１台の電子レンジによって同時に加熱調理が完了できる電子レンジ用容器を提供することにある。

本発明による電子レンジ用容器は、開口と、開口周縁部に設けられたフランジとを有する、第一の食品充填物を収容する、有底状の下側容器本体、および、前記開口をシールする下側容器用蓋材、を備えた下側容器と、
開口と、有底状の収容部と、開口周縁部から収容部の側面を囲むようにして収容部の底部よりも下まで延びるフランジとを有する、第二の食品充填物を収容する、上側容器本体、および、前記開口をシールする上側容器用蓋材、を備えた上側容器と、からなり、
前記下側容器本体のフランジと、前記上側容器本体のフランジとが係合して、前記下側容器と前記上側容器とが組み合わされる電子レンジ用容器であって、
前記下側容器用蓋材に蒸気抜け口が設けられており、前記第一食品充填物を加熱した際に発生する水蒸気が、該蒸気抜け口を通じて、前記上側容器本体の収容部の外側面と前記上側容器本体のフランジの内側との間に形成された空間に充填され、前記上側容器の第二食品充填物を加熱する、ことを特徴とするものである。

本発明の好ましい態様においては、前記第一食品充填物は、前記第二食品充填物よりも、電子レンジ調理加熱に時間を要するものである。

また、本発明においては、前記上側容器用蓋材が、マイクロ波を遮蔽する材料から形成されていることが好ましい。

また、本発明の好ましい態様においては、前記上側容器用蓋材は、その外周縁が上側容器本体のフランジの外周縁から少なくとも２０ｍｍ以上、容器内側に位置するように、開口をシールするものである。

さらに、本発明の好ましい態様においては、前記下側容器用蓋材には、通気孔が設けられているか、または、自動開口が設けられている。

また、本発明においては、前記下側容器本体はリブにより分割されていることが好ましい。

本発明の態様においては、前記下側容器本体は、フランジに係止するように着脱自在に載置された中皿をさらに備え、下側容器用蓋材によって、中皿とともに下側容器本体の開口がシールされるが、中皿の少なくとも一部および開口の少なくとも一部はシールされていないことが好ましい。

また、上記の態様においては、前記中皿のシールされていない部分から、下側容器本体の開口のシールされていない部分へ、水蒸気が導通できるように、下側容器本体に通気路が設けられていることが好ましい。

また、本発明の別の態様として、電子レンジ用容器の、下側容器に第一の食品充填物を収容し、上側容器に第二の食品充填物を収容したことを特徴とする、電子レンジ用包装食品も提供される。

本発明によれば、下側容器の食品充填物を電子レンジで加熱するとともに、上側容器の食品充填物には電子レンジからのマイクロ波が照射されない、または下側容器の食品充填物よりもマイクロ波の照射が少ないようにし、かつ、下側容器の食品充填物の加熱により発生した水蒸気を、上側容器の食品充填物の加熱に利用することにより、比較的短時間に加熱調理が完了する食品と、調理時間に時間を要する食品とを、１台の電子レンジによって同時に加熱調理が完了できる。

さらに、本発明においては、前記下側容器本体は、フランジに係止するように着脱自在に載置された中皿をさらに備え、下側容器用蓋材によって、中皿とともに下側容器本体の開口がシールされるが、中皿の少なくとも一部および開口の少なくとも一部はシールされていない構成とすることにより、下側容器の食品充填物から発生する水蒸気を、上側容器の食品充填物の加熱に使用するだけでなく、下側容器の食品充填物自身の加熱にも利用できるため、より、短時間に、且つ均一に電子レンジの加熱調理を完了することができる。

本発明による電子レンジ用容器を構成する下側容器本体の斜視図を示したものである。 図１のＡ−Ａ線矢視断面図を示したものである。 下側容器本体と下側容器用蓋材とを組み合わせた斜視図を示したものである。 本発明による電子レンジ用容器を構成する上側容器本体の斜視図を示したものである。 図４のＢ−Ｂ線矢視断面図を示したものである。 下側容器と上側容器とを組み合わせた本発明による電子レンジ用容器の斜視図を示したものである。 本発明の別の態様として用いられる下側容器本体と中皿とを組み合わせた斜視図を示したものである。 下側容器本体と中皿とを組み合わせたものに、下側容器用蓋材を組み合わせた状態の斜視図を示したものである。 下側容器本体と中皿とを組み合わせたものに、下側容器用蓋材をシールした状態の斜視図を示したものである。 図９の上面図を示したものである。

発明の実施の形態

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本発明による電子レンジ用容器は、下側容器と上側容器とから構成されており、下側容器は、下側容器本体と、その開口をシールする下側容器用蓋材とからなり、上側容器は、上側容器本体と、その開口をシールする上側容器用蓋材とからなる。

図１は、本発明による電子レンジ用容器を構成する下側容器本体１０の斜視図を示したものである。下側容器本体１０は、開口１１と、開口１１の周縁部に設けられたフランジ１２とを有する有底状の容器である。

下側容器本体１０には、第一の食品充填物（図示せず）が収容される。第一食品充填物としては、液状物、半液状物、ペースト状物、固形物等、特に制限されるものではないが、スプーン等を用いて食べる液状物、半液状物、ペースト状物等を収容する場合には、容器本体１０の四隅の角をなくしアール形状１３とすることが好ましい。このように容器本体の四隅をアール形状１３とすることにより、電子レンジでの加熱をよりむらなく行うことができる。

また、下側容器本体１０にリブ１４を設けて、食品充填物を収容する収容部を分割してもよい。電子レンジのマイクロ波は、加熱する食品充填物の中央部分が温まりにくく、周囲が温まり易い性質がある。そのため、容器の収容部を分割することにより、より食品充填物を均一に温めることができる。リブ１４により容器本体１０の収容部を分割した場合においても、容器本体の四隅と同様に、容器本体１０の側面とリブ１４とが交差する箇所１５、及びリブ１４同士が交差する箇所１６をアール形状とすることが好ましい。リブによって分割された各収容部の四隅をアール形状とすることにより、食品充填物をより均一に温めることができ、その結果、電子レンジによる加熱調理時間も短時間ですむ。
また、図１のＡ−Ａ線矢視断面図である図２に示すように、容器中央の底部１７が凸状となるようにリブを設けることが好ましい。上記したようにマイクロ波は容器の中央部分に届きにくい性質を有するため、容器中央部分を凸状にすることにより、マイクロ波が届きにくい部分を低減することができる。

下側容器本体１０のフランジ１２は、後記する上側容器本体のフランジと係合して、下側容器と上側容器とが組み合わされる。下側容器本体１０のフランジ１２の周縁部に凸部（または凹部）１８を設け、上側容器本体のフランジの周縁部に凹部（または凸部）を設けることにより、両容器を係合させたり、または係合した容器を分離させたりすることができる。

また、下側容器本体１０の強度を持たせるため、容器本体の側面を波形状または凹凸形状としてもよい。

下側容器本体としては、ポリエチレンテレフタレート、無機質入りポリプロピレン、多層無機質入りポリプロピレン、ポリプロプレン・ポリエチレンブレンド物、ポリプロピレン／無機質入りポリプロピレン／ポリプロピレン、ポリプロピレン／ポリ塩化ビニリデン／ポリプロピレン、多層ポリエチレン／ポリ塩化ビニリデン／ナイロン、ポリプロピレン／接着層／ナイロン、ポリプロピレン／接着層／エチレンビニルアルコール鹸化物／接着層／ポリプロピレン、ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物／無機質入りポリプロピレン／ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物、ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物／ポリ塩化ビニリデン／ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物、多層ポリエチレン／ポリ塩化ビニリデン／ナイロン、ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物／接着層／ナイロン、ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物／接着層／エチレンビニルアルコール鹸化物／接着層／ポリプロピレン・ポリエチレンブレンド物等の１００℃以上の耐熱温度を有し、かつ電子レンジのマイクロ波を透過する材料からなるもの、好ましくはポリプロピレンを主体とし、ＥＶＯＨ及びＭＸＤ６ナイロンなどのバリア層を積層した材質からなるものを適用することができる。なお、下側容器本体の成形は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、射出成形などの公知の方法によって行なうことができる。

下側容器は、図３に示されるように、容器本体の開口をシールする下側容器用蓋材２０を備えている。容器本体の開口１１を蓋材２０でシールすることにより、食品充填物を衛生的に保存することができる。また、食品充填物が液状物または半液状物である場合に、容器から食品充填物がこぼれ出してしまうことを防ぐことができ、容器に食品充填物が収容された状態での運搬性が向上する。

蓋材２０は、下側容器本体１０の開口周縁部１９に貼着してシールされるが、貼着方法は、従来公知の方法を利用でき、特に制限されるものではない。また、蓋材は、上記した下側容器本体にシールされた後、食品充填物を加熱調理後に、剥がして使用することから、蓋材２０の四隅のいずれか1個所以上に、タブ（図示せず）を設けることが好ましい。タブを掴んで蓋材をフランジから剥離することができる。

蓋材は、基材層とイージーピール層とを備えた積層フィルムからなることが好ましい。基材としては電子レンジからのマイクロ波を透過するものであれば、特に制限されるものではなく、例えばポリエステルおよびナイロン等を使用できる。イージーピール層としては、界面剥離タイプ、凝集破壊タイプ、または層間剥離タイプのいずれのものも使用することができるが、これらの中でも層間剥離タイプ又は凝集破壊タイプのイージーピール層が好ましい。層間剥離タイプのイージーピール層としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテン共重合体、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の多層フィルムが挙げられる。また凝集破壊タイプのイージーピール層としては、エチレン酢酸ビニル共重合体・ポリエチレンブレンド物、ポリエチレン・ポリプロピレンブレンド物等からなるものが挙げられる。蓋材とフランジとの間のシール強度は、２〜３０Ｎ／１５ｍｍ幅が適当であり、好ましくは５〜２５Ｎ／１５ｍｍ幅である。

蓋材のフランジ部へのシールには、例えばシール金型によるヒートシール、瞬間強電流によるインパルスシール、高周波シール、超音波シール等の種々の方法を適用することができる。蓋材のフランジへのヒートシール方法は、ベタシール、リングシール、またはそれらの組み合わせ方式のいずれであってもよい。

本発明においては、下側容器用蓋材２０に蒸気抜け口が設けられている。この蒸気抜け口を設けることにより、第一食品充填物を加熱した際に発生する水蒸気が、蒸気抜け口を通じて、後記する上側容器本体の外側面と前記上側容器本体のフランジの内側との間に形成された空間に充填され、上側容器に収容された第二食品充填物を加熱することができる。

蒸気抜け口は、蓋材２０をフランジ１２にシールした後、容器を電子レンジで加熱する際に、シールの一部を剥離することにより、形成できる。

また、図３に示すように、蓋材２０に通気孔２１を設けてもよい。通気孔の数および外径は、加熱する食品充填物の種類によって適宜調整されてよい。

また、蓋材２０に設ける通気孔として、自動開口を備えた蓋材を使用することもできる。自動開口を設けることにより、電子レンジ使用時に蓋材をフランジから剥離する手間が省けるとともに、食品充填物が収容された状態での容器の密閉性に優れるため、衛生性や保存性に優れる。自動開口を備える蓋材としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、特開２００２−１７９１５４号公報に記載された複合フィルムを好適に使用することができる。

次に、本発明による電子レンジ用容器を構成する上側容器について説明する。
図４は、本発明による電子レンジ用容器を構成する上側容器本体３０の斜視図を示したものである。図４に示したように、上側容器本体３０は、開口３１と、有底状の収容部３２と、開口３１の周縁部から収容部３２の側面を囲むようにして収容部３２の底部よりも下まで延びるフランジ３３とを有する。

開口３１の形状は、特に制限されるものではなく、矩形状、略矩形状、円形状、略円形状、楕円状、略楕円状等のいずれの形状でもよく、収容部３２の形状も有底上の容器であれば、特に形状に制限はない。

上側容器本体３０のフランジ３３は、図４の上側容器本体のＢ−Ｂ線矢視断面図である図５に示すように、開口３１の周縁部から、容器本体の収容部３２の底部よりも下まで延びている。フランジ３３の周縁部には、下側容器本体と同様に凹部（または凸部）３４が設けられており、上側容器本体３０のフランジ３３は、下側容器本体１０のフランジ１２と係合して、下側容器５０と上側容器６０とが組み合わされ、図６に示すような一体型の容器１００となる。

上側容器本体３０は、収容部３２を囲むようにして下まで延びたフランジ３３によって、収容部３２の外側面とフランジ３３内側面との間には空間３５が形成される。また、フランジ３３は、容器本体３０の収容部３２の底部よりも下まで延びているため、下側容器５０と上側容器６０とが組み合わされた図６の状態において、下側容器５０の蓋材２０と収容部３２の底部との間には空間３６が形成される。このような構造の上側容器６０を、上記の下側容器５０と組み合わせた電子レンジ用容器１００は、以下のような機能を有する。

電子レンジは、一般に、上部よりも下部の方が温まり易い性質を有する。従って、容器を上下に重ねて電子レンジに載置すると、上部よりも下部の容器の方が先に温まる。本発明においては、上側容器よりも下側容器の方が先に温まり、下側容器に収容された食品充填物から水蒸気が発生する。この水蒸気は、上記の通り、収容部３２の外側面とフランジ３３内側面との間に形成された空間３５や、収容部３２の底部と下側容器の蓋材２０との間に形成された空間３６に充填される。この水蒸気により、未だ温まっていない上側容器の食品充填物の加熱が加速される。さらに、上側容器の食品充填物が十分に温まっていない状態で水蒸気が充填されるため、上側容器の収容部の側面および底部には水蒸気が結露して水滴が付着する。この水滴により、電子レンジからのマイクロ波が吸収されるため、上側容器に収容された食品充填物は、マイクロ波による加熱がより抑制される。そのため、下側容器に収容された食品充填物を温めるのに適した時間、電子レンジで加熱を行った場合であっても、上側容器に収容された食品充填物を温め過ぎてしまうことがない。また、下側容器から発生する水蒸気により、上側容器に収容された食品充填物が加熱されるため、下側の食品充填物の加熱調理の完了とともに、上側の食品充填物も加熱調理が完了する。

上側容器本体の開口面３１は、下側容器本体の開口面１１よりも小さくてもよく、また、逆に、上側容器本体の開口面３１が、下側容器本体の開口面１１よりも大きくてもよい。いずれの場合であっても、下側容器と上側容器とを組み合わせた場合に、上側容器本体の食品充填物収容部分３２に水蒸気があたるように、上側容器の収容部３２の側面と下方に延びるフランジ３３内側との間に、空間３５が形成されていればよい。この空間３５を大きくすることにより、水蒸気による加熱効率がより向上する。空間３５を大きくするために、下側容器本体の開口１１を大きくし、上側容器本体の収容部３２を小さくするか、又は、上側容器本体の開口面３１を下側容器本体の開口面１１よりも大きくし、下側容器本体のフランジ１２の周縁と係合するように上側容器本体のフランジを逆錐形状にすることができる。

下側容器に収容される食品充填物は、上側容器に収容される食品充填物よりも、電子レンジでの加熱調理に時間を要するものであることが好ましい。例えば、下側容器に収容される食品充填物としては、冷蔵または冷凍されたスープ、パスタ、ラザニア、味噌汁、餃子、中華まんじゅう等の電子レンジでの加熱調理に時間を要するものを好適に使用できる。

また、上側容器に収容される食品充填物としては、電子レンジでの加熱調理で蒸し立てのようなパンを製造できる、いわゆるパンの素や、白米、おにぎり等、特に制限されるものではないが、下側容器に収容される食品充填物よりも電子レンジでの加熱調理に時間を要さないものであることが好ましい。

上側容器は、下側容器と同様に、容器本体３０の開口３１をシールする上側容器用蓋材を備えている。容器の開口を蓋材でシールすることにより、食品充填物を衛生的に保存することができる。

上側容器用蓋材としては、下側容器用蓋材と同様に、基材層とイージーピール層とを備えた積層フィルムを使用することができるが、電子レンジからマイクロ波をより遮蔽するためには、マイクロ波を遮蔽できる材料を使用することが好ましい。マイクロ波を遮蔽できる蓋材としては、例えばアルミニウム等の金属箔単体や積層体、金属蒸着膜を設けた合成樹脂シート等を好適に用いることができる。

マイクロ波を遮蔽できる蓋材を用いた場合、蓋材の外周縁が上側容器本体のフランジの外周縁から少なくとも２０ｍｍ以上、容器内側に位置するようにして開口をシールする必要がある。フランジの外周縁から２０ｍｍ未満の位置で開口をシールすると、マイクロ波によって蓋材がスパークし、発火のおそれがあるからである。

本発明の好ましい態様における電子レンジ用容器は、図７に示されるように、下側容器本体１０がフランジ１２に係止するように着脱自在に載置された中皿７０をさらに備えている。そして、中皿７０及び下側容器本体１０の開口７１が蓋材２０によりシールされるが、蓋材２０には、図８に示すように、蓋材２０の一部に穴２２が開いている。蓋材２０は、下側容器本体１０のフランジ１２の周縁部にリングシール方式により、シールされる。

一部に穴２２の開いた蓋材２０によって、中皿７０及び下側容器本体１０の開口７１をシールした状態を図９に示す。図９に示すように、中皿７０の周縁部の、下側容器本体１０のフランジ１２に係止した部分は、フランジ１２の周縁に沿って蓋材２０をシールする際に、中皿７０も同時にシールされるため、下側容器本体１０と中皿７０とが一体的にシールされる。

このように、蓋材２０をシールすることにより、中皿７０の少なくとも一部７４および下側容器本体１０の開口の少なくとも一部７５がシールされていないことになる。図９を参照しながら、より詳細に説明すると、中皿７０がフランジ１２に係止していない部分７４は、蓋材２０が下側容器本体１０のフランジ１２のみにシールされている。従って、中皿７０の中に収容される食品充填物から発生する水蒸気は、このシールされていない部分７４を通って、中皿７０と下側容器本体１０との隙間に導かれる。また、蓋材２０には通気孔２２が設けられているため、下側容器本体１０の開口の一部２２がシールさていない状態となっている。中皿７０と下側容器本体１０との隙間に導かれた水蒸気は、この通気孔２２を通って、上側容器側へ導かれる。

このような構成とすることにより、下側容器の収容部（中皿７０）に収容された食品充填物が電子レンジで加熱されて発生した水蒸気は、中皿７０の底面７６および側面７７を伝って蓋材２０の通気孔２２に抜けるため、中皿７０の食品充填物自体の加熱を促進することができる。

また、上記の態様においては、図１０に示すように、中皿７０の食品充填物から発生した水蒸気が、蓋材に設けた通気孔まで導かれ易いように、下側容器本体１０と中皿７０との間に通気路７８を設けてもよい。例えば、下側容器本体１０をリブ１４により４分割して収容部を４つにした場合、各収容部に通気路７８を設けることにより、より均一に蒸気加熱を行うことができる。通気路７８を設ける位置は特に制限されるものではないが、例えば、中皿７０から発生した水蒸気が、収容部の側面を伝って底部７６まで達するように、通気路７８を下に向かって延びるように設け、収容部の底部７６で方向を変えて蓋材２０の通気孔２２に達するように設けることができる。

食品充填物が完全に温まるまでは、水蒸気が食品充填物により冷却されて結露する場合がある。しかしながら、上記のような通気路を設けることにより、通気路内面で結露した水滴は電子レンジのマイクロ波により加熱されて水蒸気となるため、水滴によって通気路が塞がれてしまうようなこともない。

以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。

実施例１
厚み８００μｍのポリプロピレン製シートを、真空成形および圧空成形して、図４に示すような上側容器を作製した。得られた上側容器に、パンの素３０ｇと水３０ｇとを混練したものを充填し、容器開口部分を、ＰＥＴ層／アルミ箔層／ヒートシール層から構成されるフィルムによりシールした。

次に、厚み８００μｍのポリプロピレン製シートを真空成形および圧空成形して、図１に示すような下側容器を作製した。得られた下側容器に、スープを３００ｃｃ充填した。ＰＥＴ層／ＯＮＹ層／ヒートシール層から構成されるフィルムを準備し、下側容器の四隅に位置するように、フィルムに直径１０ｍｍの蒸気抜き穴を設けた。このフィルムを下側容器のシールフランジにシールした。

フィルムでシールされた上側容器および下側容器を組合せた状態にして、−１９℃で２４時間冷凍保存した。

その後、容器を１１００Ｗのターンテーブル式電子レンジを用いて、８分間調理加熱を行った。加熱完了後、電子レンジから容器を取り出し、上側容器と下側容器とに分離し、それぞれの容器のシールフィルムを剥がし、充填物の確認を行った。

その結果、上側容器には、ふっくらとした質感に優れるパンができていた。また、下側容器のスープは液温が７０℃であり、均一に加熱されていた。

実施例２
実施例１において使用したものと同様の上側容器及び下側容器を準備した。上側容器に、パンの素３０ｇと水３０ｇとを混練したものを充填し、容器開口部分を、ＰＥＴ層／アルミ箔層／ヒートシール層から構成されるフィルムによりシールした。

次に、下側容器に、スープを３００ｃｃ充填した。ＰＥＴ層／ＯＮＹ層／ヒートシール層から構成されるフィルムを準備し、フィルムをシールした際の下側容器の開口部に相当する位置に、直径２ｍｍの蒸気抜き穴を２０個設けた。このフィルムを下側容器のシールフランジにシールした。

フィルムでシールされた上側容器および下側容器を組合せた状態にして、−１９℃で２４時間冷凍保存した。

その後、容器を１１００Ｗのターンテーブル式電子レンジを用いて、８分間調理加熱を行った。加熱完了後、電子レンジから容器を取り出し、上側容器と下側容器とに分離し、それぞれの容器のシールフィルムを剥がし、充填物の確認を行った。

その結果、上側容器には、ふっくらとした質感に優れるパンができていた。また、下側容器のスープは液温が７０℃であり、均一に加熱されていた。

実施例３
実施例１において使用したものと同様の上側容器及び下側容器を準備した。上側容器に、米６０ｇと水９０ｇとを充填し、容器開口部分を、ＰＥＴ層／アルミ箔層／ヒートシール層から構成されるフィルムによりシールした。

次に、下側容器に、味噌汁３００ｃｃを充填した。自動開封機能付きのＰＥＴ層／ＯＮＹ層／ヒートシール層から構成されるフィルムを準備し、このフィルムを下側容器のシールフランジにシールした。

フィルムでシールされた上側容器および下側容器を、１２１℃×３０分の温度条件にてレトルト殺菌を行った後、両容器を組み合わせた状態にして、室温で保管した。

その後、容器を１１００Ｗのターンテーブル式電子レンジを用いて、３分間調理加熱を行った。加熱完了後、電子レンジから容器を取り出し、上側容器と下側容器とに分離し、それぞれの容器のシールフィルムを剥がし、充填物の確認を行った。

その結果、上側容器には、ふっくらと炊きあがった御飯ができており、御飯の温度は５０℃であった。また、下側容器の味噌汁は液温が７０℃であり、均一に加熱されていた。

実施例４
厚み８００μｍのポリプロピレン製シートを、真空成形および圧空成形して、図４に示すような上側容器を作製した。得られた上側容器凹部の底面に、直径２ｍｍの細孔を１５個設けた。この上側容器に１５０ｇの肉まんを充填し、容器開口部分を、ＰＥＴ層／アルミ箔層／ヒートシール層から構成されるフィルムによりシールした。

次に、実施例１において使用したものと同様の下側容器を準備し、中華スープ３００ｃｃを充填した。ＰＥＴ層／ＯＮＹ層／ヒートシール層から構成されるフィルムを準備し、フィルムをシールした際の下側容器の開口部に相当する位置に、直径２ｍｍの蒸気抜き穴を２０個設けた。このフィルムを下側容器のシールフランジにシールした。

フィルムでシールされた上側容器および下側容器を組合せた状態にして、３℃で２４時間冷蔵保存した。冷蔵保存された中華スープは寒天状に固化していた。

その後、容器を１１００Ｗのターンテーブル式電子レンジを用いて、３分３０秒間調理加熱を行った。加熱完了後、電子レンジから容器を取り出し、上側容器と下側容器とに分離し、それぞれの容器のシールフィルムを剥がし、充填物の確認を行った。

その結果、上側容器には、ふっくらと蒸し上がり質感のよい肉まんができていた。また、下側容器の中華スープは液温が７０℃であり、均一に加熱されていた。

比較例１
厚み８００μｍのポリプロピレン製シートを、真空成形および圧空成形して得られたフランジ付きカップに、パンの素３０ｇと水３０ｇとを混練したものを充填し、カップ開口部分を、ＰＥＴ層／ヒートシール層から構成されるフィルムによりシールした。

次に、次に、実施例１において使用したものと同様の下側容器を準備し、スープ３００ｃｃを充填した後、ＰＥＴ層／ヒートシール層から構成されるフィルムを下側容器のシールフランジにシールした。

カップおよび下側容器を、−１９℃で２４時間冷凍保存した。
その後、１１００Ｗのターンテーブル式電子レンジを用いて、カップおよび下側容器をターンテーブルに並列に並べた状態で、８分間調理加熱を行った。加熱完了後、電子レンジからカップおよび容器を取り出し、カップおよび下側容器のシールフィルムを剥がし、充填物の確認を行った。

その結果、下側容器のスープは液温が７０℃であり、均一に加熱されていたが、カップ中のパンは、褐変に固くなっていた。

１０ 下側容器本体
１１ 下側容器本体の開口
１２ 下側容器本体のフランジ
１４ リブ
１７ 下側容器本体の底部
１９ 下側容器本体の開口周縁部
２０ 下側容器用蓋材
２１ 通気孔
２２ 通気孔
３０ 上側容器本体
３１ 上側容器本体の開口
３２ 上側容器本体の収容部
３３ 上側容器本体のフランジ
５０ 下側容器
６０ 上側容器
７０ 中皿
７１ 中皿の開口
７２ 通気路
１００ 電子レンジ用容器

Claims (10)

1. 開口と、開口周縁部に設けられたフランジとを有する、第一の食品充填物を収容する、有底状の下側容器本体、および、前記開口をシールする下側容器用蓋材、を備えた下側容器と、
   開口と、有底状の収容部と、開口周縁部から収容部の側面を囲むようにして収容部の底部よりも下まで延びるフランジとを有する、第二の食品充填物を収容する、上側容器本体、および、前記開口をシールする上側容器用蓋材、を備えた上側容器と、からなり、
   前記下側容器本体のフランジと、前記上側容器本体のフランジとが係合して、前記下側容器と前記上側容器とが組み合わされる電子レンジ用容器であって、
   前記下側容器用蓋材に蒸気抜け口が設けられており、前記第一食品充填物を加熱した際に発生する水蒸気が、該蒸気抜け口を通じて、前記上側容器本体の収容部の外側面と前記上側容器本体のフランジの内側との間に形成された空間に充填され、前記上側容器の第二食品充填物を加熱する、ことを特徴とする、電子レンジ用容器。
2. 前記第一食品充填物は、前記第二食品充填物よりも、電子レンジ調理加熱に時間を要するものである、請求項１に記載の電子レンジ用容器。
3. 前記上側容器用蓋材が、マイクロ波を遮蔽する材料から形成されている、請求項１または２に記載の電子レンジ用容器。
4. 前記上側容器用蓋材は、その外周縁が上側容器本体のフランジの外周縁から少なくとも２０ｍｍ以上、容器内側に位置するように、開口をシールするものである、請求項１〜３のいずれか一項に記載の電子レンジ用容器。
5. 前記下側容器用蓋材に通気孔が設けられている、請求項１〜４のいずれか一項に記載の電子レンジ用容器。
6. 前記下側容器用蓋材に自動開口が設けられている、請求項１〜４のいずれか一項に記載の電子レンジ用容器。
7. 前記下側容器本体がリブにより分割されている、請求項１〜６のいずれか一項に記載の電子レンジ容器。
8. 前記下側容器本体は、フランジに係止するように着脱自在に載置された中皿をさらに備え、
   下側容器用蓋材によって、中皿とともに下側容器本体の開口がシールされるが、中皿の少なくとも一部および開口の少なくとも一部はシールされていない、請求項１に記載の電子レンジ用容器。
9. 前記中皿のシールされていない部分から、下側容器本体の開口のシールされていない部分へ、水蒸気が導通できるように、下側容器本体に通気路が設けられている、請求項８に記載の電子レンジ用容器。
10. 請求項１〜９のいずれか一項に記載の電子レンジ用容器の、下側容器に第一の食品充填物を収容し、上側容器に第二の食品充填物を収容したことを特徴とする、電子レンジ用包装食品。

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