JP5463492B2 - 微生物細胞からのプラスミドdna抽出法 - Google Patents
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Description
M NaOH、1%SDS]を加えて菌体を溶解し、タンパク質、核酸を変性状態とする
。(4)150μLのsolution III[3M 酢酸カリウム、11.5%酢酸]を加えて溶液の中和とSDSの除去を行う。この操作により、染色体DNA、タンパク質は凝集沈殿物となるが、プラスミドDNAは溶液部分に留まる。(5)凝集沈殿物を遠心分離により溶液から除去し、プラスミドDNAを含む溶液を回収する。(6)得られたプラスミドDNAを含む溶液に対して、フェノール・クロロホルム抽出を行ってタンパク質を除去する。(7)プラスミド溶液の2倍量のエタノールを加えてドライアイス上に5分静置する。(8)遠心操作によってプラスミドDNAの沈殿を得る。(9)得られたプラスミドDNAの沈殿をTE[10mMTris−HCl pH8.0、1mM EDTA]に溶解して試料とする。
害物質であるフェノール、クロロホルムを使用する必要がある。そこで、操作の簡略化や有害物質の使用量削減を目的として、核酸結合担体を用いたプラスミドDNA抽出法が開示されている。以下に、核酸結合担体を用いたプラスミドDNA抽出法の例を示す。
山本雅編、「実験医学別冊バイオマニュアルシリーズ1 遺伝子工学の基礎実験」、羊土社、1993、p.19−76
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:アルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩を除く陰イオン界面活性剤とを含む液。
ゼオライトB:交換性陽イオンとしてアルカリ土類金属陽イオンを保持するゼオライト。ゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト。
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムからなる群より選択される、1つまたは複数のアルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩とを含む液。
ゼオライトB:カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より選択される、1つまたは複数の陽イオンを交換性陽イオンとして保持するゼオライト。
ゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト。
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
することは明らかである。
mMTris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA、0.9%グルコース]が挙
げられる。さらに、この工程においてRNase、プロテアーゼの添加を行ってもよい。
工程(1)では、ペレットまたは分散させた微生物細胞を、細胞溶解液Aを用いて溶解し、ライセートを調製する。この工程で用いる細胞溶解液Aは、アルカリ金属水酸化物塩と、陰イオン界面活性剤とを含む。アルカリ金属水酸化物塩は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムから一つ、または複数選択して使用することができる。細胞溶解液は、DNAを1本鎖に変性させうるpH10〜14の範囲であることが好ましく、これはアルカリ金属水酸化物塩の濃度によって調整することができる。例えば濃度200mMの水酸化ナトリウムを用いる場合、pHは約12.5である。細胞溶解液に含まれる陰イオン界面活性剤は、アルキル硫酸塩を除いた陰イオン界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルサルコシン塩、コール酸塩、デオキシコール酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等から1つ、または複数選択して用いることができる。陰イオン界面活性剤は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩であることが好ましい。陰イオン界面活性剤の濃度は、0.1〜3%が好適である。
工程(2)では、工程(1)で調製したライセートを、ゼオライトBおよび、ゼオライトCと接触させる。ゼオライトBが保持する交換性陽イオンは、工程(1)の細胞溶解液Aに含まれる陰イオン界面活性剤の種類によって選択される。すなわち、陰イオン界面活性剤がアルキル硫酸塩を含まない場合は、アルカリ土類金属陽イオンから1つ、または複数選択することができる。陰イオン界面活性剤がアルキル硫酸塩を含む場合は、カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より1つ、または複数選択することができる。この群から少なくとも1つが選択されている場合、二つめ以降の陽イオンとしてマグネシウムを選択していてもよい。ゼオライトCが保持する交換性陽イオンは水素イオンである。
以下、ライセート中に含まれる陽イオンを陽イオンD、ゼオライトBが保持する交換性陽イオンを陽イオンEと称す。
工程(2)−2では、ライセートとゼオライトCとの接触により、陽イオンEと交換しきれなかったライセート中に残存する陽イオンD、および陰イオン界面活性剤と反応しなかった陽イオンEが、ゼオライトCが保持する水素イオンと交換し、ライセート中から除去される。同時に、ライセート中に遊離した水素イオンは、ライセート中の水酸化物イオンと反応し、中和が起こる。
)の細胞溶解液Aに含まれるアルカリ金属水酸化物塩が200mMの水酸化ナトリウムであり、この液1mLを細胞の溶解に用いる場合、数2により、必要量は、少なくとも0.2gであると計算できる。
ゼオライトBと、ゼオライトCとを、工程(1)のライセートが入った容器に添加する方法である。ゼオライトBと、ゼオライトCが別個のゼオライトである場合、前記ゼオライトを混合したものを添加してもよい。個別に添加する場合は、まずゼオライトBを添加し、続いてゼオライトCを添加することが好ましい。
ゼオライトBと、ゼオライトCとを充填したカラムを用いる方法である。ゼオライトを充填したカラムは、ライセートを通液する前にあらかじめ超純水で洗浄して平衡化しておくことが好ましい。
陽イオンの量を示す等量とは、陽イオンのモル数にその陽イオンの価数を乗じた値を指し、eqで表す。
カリウム型ゼオライトとは、交換性陽イオンとしてカリウムイオンを保持しているゼオライトを指す。同様に、マグネシウム型ゼオライト、カルシウム型ゼオライト、ストロンチウム型ゼオライト、バリウム型ゼオライト、水素イオン型ゼオライトは、それぞれ、交換性陽イオンとしてマグネシウムイオンを保持しているゼオライト、交換性陽イオンとしてカルシウムイオンを保持しているゼオライト、交換性陽イオンとしてストロンチウムイオンを保持しているゼオライト、交換性陽イオンとしてバリウムイオンを保持しているゼオライト、交換性陽イオンとして水素イオンを保持しているゼオライト、を指す。
陰イオン界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムについて、
陽イオンとの反応による沈殿除去が可能かを、次の方法により検討した。1%の上記陰イオン界面活性剤1mLに対して、濃度1Mのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の溶液0.1mLを添加混合し、沈殿生成を目視により確認した。表1に塩溶液の種類、および沈殿生成の有無を示す。なお、実験は室温(20℃)で行った。表1に示されるように、ドデシル硫酸ナトリウムと反応して沈殿を生じる陽イオンはカリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであった。また、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムと反応して沈殿を生じる陽イオンはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであった。
チウム、バリウムを保持するゼオライトの調製
交換性陽イオンとしてカリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを保持するゼオライトを、次の方法により調製した。本調製例に用いたゼオライト試料を、表2に示す。天然ゼオライトは粒径が45μm以下となるよう原石を遊星ボールミルにて粉砕し、超純水で十分に洗浄した後乾燥させた。合成ゼオライトは、ナトリウム型のものを入手した。これらのゼオライト50gを、0.1Mの塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム各水溶液1Lに浸漬し、80℃にて16時間放置した。その後、各水溶液を新しく調製したものと交換し、再度80℃にて16時間放置した。この操作を12〜15回繰り返すことにより、イオン交換を行った。イオン交換終了後、各ゼオライトを超純水で十分洗浄した後、乾燥させた。
水素イオンを保持するゼオライトは、次の方法により調製した。本調製例に用いたゼオライト試料を、表3に示す。天然ゼオライトは粒径が45μm以下となるよう原石を遊星ボールミルにて粉砕し、超純水で十分に洗浄した後乾燥させた。これらのゼオライト50gを、0.1MのHCl水溶液1Lに浸漬して80℃にて16時間放置した。その後、HCl水溶液を新しく調製したものと交換し、再度80℃にて16時間放置した。この操作を13回繰り返すことにより、イオン交換を行った。イオン交換終了後、各ゼオライトを超純水で十分洗浄した後、乾燥させた。
大腸菌DH5αのコンピテントセル(TOYOBO製Competenthigh E
.coli DH5α)100μLに対してプラスミドDNApBluescript II SK+(STRATAGENE製)1pgを加え、添付の取り扱い説明書に従って形
質転換を行い、LB/Ampプレートにて培養した。37℃にて16時間の培養後、単一のコロニーをLB培地25mLに植菌し、37℃にて16時間震とう培養した。培養後、培養液を1.5mLポリプロピレン製チューブに1mLづつ分注し、マイクロ冷却遠心機(KUBOTA製3700)にて12000rpm、1分の遠心を行い、菌体ペレットと培地とに分離した。培地を除去し、得られたポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを出発材料とし、プラスミドDNA抽出操作を行った。
調製例3のポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを6本用意した。それぞれのチューブに100μLの菌体縣濁液[25mMTris−HCl(pH7.5)、10mM
EDTA、0.9%グルコース]を加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。次
に、200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム]をそれぞれのチューブに加え、転倒混和して菌体を溶解させ、ライセートを調製した。このライセート入りチューブに、表2に記載のカリウム型島根県産天然ゼオライトW、ストロンチウム型島根県産天然ゼオライトW、バリウム型島根県産天然ゼオライトW、カリウム型島根県産天然ゼオライトO、ストロンチウム型島根県産天然ゼオライトO、バリウム型島根県産天然ゼオライトOをそれぞれ0.2g加えて転倒混和した。次に、表3に記載の水素イオン型島根県産天然ゼオライトIを0.2g加えて転倒混和した。次に、上記混合物をマイクロ冷却遠心機(KUBOTA製3700)にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。回収した上清10μLを1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチ
ジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図2に示す。図2から明らかなように、カリウム型、ストロンチウム型、バリウム型のいずれのゼオライトを用いても、プラスミドDNAが抽出された。
調製例3のポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを4本用意した。それぞれのチューブに100μLの菌体縣濁液[25mMTris−HCl(pH7.5)、10mM
EDTA、0.9%グルコース]を加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。次
に、200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%デオキシコール酸ナトリウム]をそれぞれのチューブに加え、転倒混和して菌体を溶解させ、ライセートを調製した。このライセート入りチューブに、表2に記載のマグネシウム型島根県産天然ゼオライトW、カルシウム型島根県産天然ゼオライトW、ストロンチウム型島根県産天然ゼオライトW、バリウム型島根県産天然ゼオライトWを各0.2g加えて転倒混和した。次に、表3に記載の水素イオン型島根県産天然ゼオライトIを各0.2g加えて転倒混和した。次に、上記混合物をマイクロ冷却遠心機にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清部分を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。回収した上清10μLを1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図3に示す。図3から明らかなように、マグネシウム型、カルシウム型、ストロンチウム型、バリウム型のいずれのゼオライトを用いても、プラスミドDNAが抽出された。
調製例2のポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを3本用意した。それぞれのチューブに100μLの菌体縣濁液[25mMTris−HCl(pH7.5)、10mM
EDTA、0.9%グルコース]を加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。こ
の溶液に200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム]を加え、転倒混和して菌体を溶解させ、ライセートを調製した。この細胞溶解液に、表2に記載のバリウム型島根県産天然ゼオライトW0.2gを加えて転倒混和した。次に、表3に記載の水素イオン型島根県産天然ゼオライトW、水素イオン型島根県産天然ゼオライトO、水素イオン型島根県産天然ゼオライトIを各0.2g加えて転倒混和した。次に、上記混合物をマイクロ冷却遠心機にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清部分を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。回収した上清10μLを1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図4に示す。図4から明らかなように、水素イオン型島根県産天然ゼオライトW、水素イオン型島根県産天然ゼオライトO、水素イオン型島根県産天然ゼオライトIのいずれのゼオライトを用いても、プラスミドDNAが抽出された。
調製例3のポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを3本用意した。それぞれのチューブに100μLの菌体縣濁液[25mMTris−HCl(pH7.5)、10mM
EDTA、0.9%グルコース]を加え、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。次
に、200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム]をそれぞれのチューブに加え、転倒混和して菌体を溶解させ、ライセートを調製した。このライセート入りチューブに、表2に記載のカリウム型合成ゼオライトA−4、ストロンチウム
型合成ゼオライトA−4、バリウム型合成ゼオライトA−4をそれぞれ0.2g加えて転倒混和した。次に、表3に記載の水素イオン型島根県産天然ゼオライトIを0.2g加えて転倒混和した。次に、上記混合物をマイクロ冷却遠心機(KUBOTA製3700)にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。回収した上清10μLを1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図5に示す。図5から明らかなように、カリウム型、ストロンチウム型、バリウム型のいずれのゼオライトを用いても、プラスミドDNAが抽出された。
(1)調製例3のポリプロピレン製チューブ入り菌体ペレットを4本用意し、1〜4の番号を付した。それぞれのチューブに100μLの菌体縣濁液[25mMTris−HCl(pH7.5)、10mM EDTA、0.9%グルコース]を加え、ボルテックスミ
キサーを用いて撹拌した。次に、200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム]をそれぞれのチューブに加え、転倒混和して菌体を溶解させ、ライセートを調製した。このライセート入りチューブ1〜4に、表4に記載のゼオライト1およびゼオライト2をあらかじめ等量混合したものをそれぞれ0.4g加えて転倒混和した。次に、上記1〜4のチューブをマイクロ冷却遠心機にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清部分を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。
キサーを用いて撹拌した。次に、200μLの細胞溶解液[0.2MNaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム]をそれぞれのチューブに加え、転倒混和することにより菌体を溶解させ、ライセートを調製した。このライセート入りチューブ5〜8に、表4に記載のゼオライト1をそれぞれ0.2g加えて転倒混和した。次に、表4に記載のゼオライト2を各0.2g加えて転倒混和した。次に、上記5〜8のチューブをマイクロ冷却遠心機にて12000rpm、5分の遠心操作による固液分離を行い、上清部分を新しい1.5mLポリプロピレン製チューブに回収した。
本発明の方法で抽出したプラスミドDNAが制限酵素による消化処理に適用できるかを、次の方法により確認した。消化処理に使用した制限酵素および反応溶液組成を表5に示す。消化処理は、取り扱い説明書に記載の条件に従い行った。実施例4のバリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトWの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNA、およびバリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトOの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNAを基質とし、これらプラスミドDNA溶液15μLに制限酵素2〜10U、反応バッファー、超純水を添加して合計を20μLとした。この反応液を、37℃1時間で反応させた。反応終了後、全量を1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図7に示す。図中のAがバリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトWの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNA、Bがバリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトOの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNAの処理結果である。レーン7に示す未処理プラスミドDNAは、スーパーコイル構造をとるために早く泳動される。一方、レーン1〜6の制限酵素によって消化されたプラスミドDNAはリニア型となるため、遅く泳動されていることが分かる。このように、全ての制限酵素において消化が確認され、本発明による方法で分離したプラスミドDNAは、直ちに制限酵素消化処理に適用可能であることが示された。
本発明の方法で抽出したプラスミドDNAがPCR反応に適用できるかを、次の方法により確認した。PCR反応液は、HybriPolDNAポリメラーゼ(BIOLINE製)1U、DNAポリメラーゼに添付の10×リアクションバッファー2μL、2.5mMMgCl2、10mM dNTP Mix、M13プライマー(tgtaaaacgacggccagt)10pmol、Reverseプライマー(ggaaacagctatgaccatg)10pmol、鋳型プラスミドDNA100pgとし、超純水で計20μLとした。鋳型プラスミドDNAは、実施例4においてバリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトWの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNA、バリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトOの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNA、バリウム型島根県産天然ゼオライトWと水素イオン型島根県産天然ゼオライトIの組み合わせによって抽出されたプラスミドDNAとした。この反応溶液をサーマルサイクラー(アステック製プログラムテンプコントロールシステムPC−812)にセットし、温度プログラム94℃15秒、55℃10秒、72℃60秒を1サイクルとして35サイクルの増幅を行った。増幅後、反応液10μLを1%アガロースによる電気泳動に供した。泳動終了後、臭化エチジウムで染色し、紫外線照射下で写真撮影を行った。結果を図8に示す。図8から明らかなように、本発明の方法で分離したプラスミドDNAを鋳型とした場合も従来法と同様にPCR産物の増幅が見られ、直ちにPCR反応に適用可能であることが示された。
Claims (5)
- 微生物細胞からプラスミドDNAを抽出する方法であって、
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:アルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩を除く陰イオン界面活性剤とを含む液。
ゼオライトB:交換性陽イオンとしてアルカリ土類金属陽イオンを保持するゼオライト。ゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト。
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。 - 微生物細胞からプラスミドDNAを抽出する方法であって、
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムからなる群より選択される、1つまたは複数のアルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩とを含む液。
ゼオライトB:カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より選択される、1つまたは複数の陽イオンを交換性陽イオンとして保持するゼオライト。
ゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト。
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。 - 請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートがゼオライトBへの接触の後にゼオライトCへ接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
- 請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートがゼオライトBとゼオライトCとに同時に接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
- 請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートとゼオライトBまたはゼオライトCあるいはその両方との接触が、ゼオライトを充填したカラムにより行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
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