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JP5462918B2 - 低放射率建材及びそれを用いた内装仕上げ構造 - Google Patents

低放射率建材及びそれを用いた内装仕上げ構造 Download PDF

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JP5462918B2 JP2012223975A JP2012223975A JP5462918B2 JP 5462918 B2 JP5462918 B2 JP 5462918B2 JP 2012223975 A JP2012223975 A JP 2012223975A JP 2012223975 A JP2012223975 A JP 2012223975A JP 5462918 B2 JP5462918 B2 JP 5462918B2
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Description

本発明は、省エネルギー性に優れた低放射率建材及びそれを用いた内装仕上げ構造に関するものである。
夏期の日中は太陽の日射が強く、屋根材または外装材が熱せられると、材料同士が接している箇所では主に熱伝導により、小屋裏や空気層を介している箇所では主に熱放射により、熱は高温部から低温部へ移動し、室内の天井表面や壁表面の温度が上昇する。熱は天井表面や壁表面からさらに熱伝導や熱放射で室内に伝わり、室温又は体感温度が上昇する。
冬期は逆に、暖房により室温が上昇すると、温度の高い室内から温度の低い外部へ向かって、天井→小屋裏→屋根→外部へと熱が移動することにより、室温が低下する。
夏期の天井からの放射熱による伝熱を少なくし、冷房設備の小型化や冷房運転費用を節減する方法として、熱伝導率の低い板状物の一面に低放射率のシート状材料を貼り合わせた天井材を、シート状材料側を室内に向けて施工する方法が開示されている。
特開2001−348989公報
特許文献1のように、低放射率材を天井材の室内側に設けた場合、夏期は屋根材から天井材に熱が伝わった後、天井材から室内への放射熱量は減少するという効果が見られる。また、冬期は室内で発生した熱の伝達を天井表面で遮断し外部に逃さないという効果が見られるが、その一方で室内の暖められた空気が天井付近まで上昇した場合、その熱は天井材への伝達もあまりされないため天井表面温度は低くなり、天井材からの熱放射が減少するので、かえって体感温度が低下する。室温全体の温度を均等にすることによって寒く感じないようにするためには、部屋の端部のような箇所も含めて必要以上に室温を上げる必要があるが、内装材からの熱放射を伴う方法によれば、室温をあまり上げなくても体感温度自体は上昇するため、省エネルギーにも効果がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたものであり、夏期の外部からの熱による室内温度の上昇を防止すると共に、冬期に室内の熱が外部に流出することを防止し、且つ室温をあまり上げなくとも体感温度を保持できるようにし省エネルギーに優れた、低放射率建材を用いた内装仕上げ構造及びそれに用いる低放射率建材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、低放射率建材は、裏面側が内装下地材に固着される内装仕上げ材の該裏面に凹凸を設けると共に、凹凸に沿わせて放射率が0.5以下である低放射率材を設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、内装仕上げ構造は、請求項1に記載の低放射率建材の裏面側を内装下地材に固着したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、低放射率建材は、裏面側が内装下地材に固着される内装仕上げ材の裏面の凹凸に沿わせて放射率が0.5以下である低放射率材を設けているので、夏期において太陽の熱射により建物(屋根や外壁)が熱せられ壁下地材や天井下地材等の内装下地材側から内装仕上げ材へ熱が伝達され室内の温度が上昇する際に、内装下地材側から内装仕上げ材への熱放射による熱移動が低減する。低放射率材の放射率が0.5以下であれば実用上使用することができ、0.1以下であればさらに好ましい。
また、冬期は室内で発生した熱の熱放射による伝達を内装仕上げ材裏面で遮断し外部への熱の流出を防止すると共に熱を内装仕上げ材内部に蓄熱保持し、内装仕上げ材表面から室内側への熱放射によって、体感温度を高めることができるので、室温をあまり上げる必要がなく省エネルギーに優れる。
そして、内装仕上げ材の裏面に凹凸を設けると共に、凹凸に沿わせて低放射率材を設けているので、胴縁等をわざわざ施工しなくても低放射率建材と内装下地材との間に空気層を設けることができ、上記効果に加えて施工手間が大幅に少なくなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の低放射率建材が十分な効果を発揮するための具体的な構造を得ることができる。
参考例1に係る内装仕上げ構造の縦断面図。 本発明の実施形態に係る低放射率建材の縦断面図。 参考例2に係る低放射率建材の縦断面図。 本試験で用いた実験装置の縦断面図。 空気層の厚みの好ましい範囲を決めるための実験装置の縦断面図。 空気層の厚みと試験体表面温度の時間推移を表す図。 夏期を想定したシミュレーション試験における天井表面温度と室内温度の時間推移を表す図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。もちろん本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
図1は参考例1に係る低放射率建材Aを用いた内装仕上げ構造の縦断面図であり、低放射率建材Aは内装仕上げ材1の裏面側に低放射率材2を設けている。内装仕上げ材1は、鉱物質繊維板、火山性ガラス質複層板、石膏ボード、珪酸カルシウム板、木質繊維板、合板等、一般的に天井材や壁材等の内装材に用いられるものが使用でき、内装仕上げ材1の厚さ、幅、長さ等の寸法も特に限定しない。特に鉱物質繊維板は断熱性、吸音性、防火性に優れ好ましいものである。
低放射率材2としてはアルミニウム等の金属のシートや金属蒸着や金属粉を混入した塗料等がある。放射率は0.5以下が必要であり0.1以下が好ましい。放射率が0.5を超えると実用上熱放射による熱移動が高くなる。ここで放射率は、JIS A 1423(赤外線放射温度計による放射率の簡易測定方法)により測定したものである。
低放射率建材Aは、図1に示すように内装下地材7(例えば、合板、火山性ガラス質複層板、石膏ボード、珪酸カルシウム板、木質繊維板等)との間に桟材5を介して空気層6を設けて施工される。基本的に低放射率建材Aを内装下地材7に直接施工すると熱伝導により両者間に熱の伝達が生じる。熱伝導をできるだけ小さくするためには空気層の存在が必要である。
空気層の厚みの好ましい範囲を決めるために、図5に示す実験装置を用いて以下の実験を行った。試験体A(低放射率建材)としては、厚みが0.2mmで放射率が0.05のアルミテープ2(低放射率材)を片面に貼った厚みが9mmの合板を用いた。ホットプレート100の上に高温になり過ぎないようにケイカル板や石膏ボード等の無機板110を置き、その上に1mm、2mm、4mm、6mm、15mmの1対のディスタンスバー120(桟材)を介して試験体Aを載置して隙間130(空気層)を設けた。試験体Aはアルミテープ2の面を隙間に向けて、ホットプレート100を加熱して、ディスタンスバー120を変えて隙間130(空気層)の厚みを変化させた場合の試験体Aの温度変化を30分間測定した。その結果を図6に示す。
図6からわかるように、空気層の厚みが薄い程急速に熱が伝わり試験体Aの表面温度も高くなる。最初ほぼ室温に等しい26〜27℃であった試験体Aは、空気層のない場合は約35℃まで上昇するが、空気層の厚みの増加に従って温度は下降し、6mmになると上昇温度は約30℃まで下がり、それ以上空気層の厚みを増加させても上昇温度は大きく変わらない。したがって、空気層が6mm以上あることが好ましい。
図2は本発明の実施形態に係る低放射率建材Aの縦断面図であり、内装仕上げ材1の裏面に凹凸形状(凸部1a、凹部1b)を設け、凹凸面には低放射率材2を設けている。本実施形態の低放射率建材Aをそのまま内装下地材7(図1参照)に固着すれば、凹部1bが空気層となるので、桟材を予め施工する必要がなく施工の手間が減る。参考例1に記載の通り空気層を6mm以上とすることが好ましいので、凹部1bの深さは6mm以上に設定した。
凹凸形状は内装仕上げ材1の裏面をルーターやカッターで切削するか、凹凸形状の金型でプレス成形を施して形成する。その上にシート状の低放射率材2を貼着するか、塗料にアルミニウム粉等の金属粉を添加して塗布することにより裏面側に低放射率材2からなる層を設けた低放射率建材Aが得られる。
図3は参考例2に係る低放射率建材Aの縦断面図であり、内装仕上げ材1の裏面に、内部が一方向に連通する壁3bにより複数の空間3aに仕切られた中空通路を有する中空板材3(プラスチックダンボール)を接着剤で固着し、中空板材3の内側面(空間3aに面した内側全面)には低放射率材2を設ける。中空通路が低放射率建材Aの空気層となるので本実施形態においても桟材を予め施工する必要がなく施工の手間が減ると共に、内装仕上げ材1の裏面への凹凸加工が不要である。また、参考例1や実施形態と異なり低放射率材2が板材の外面に露出していないので、搬送や施工時に擦れて剥離する虞がない。なお、低放射率材2を中空樹脂板3の内側面に設ける方法として、アルミニウム粉等を含む塗料を中空孔内に流し込むことで中空孔内側面に低放射率材2の塗膜を形成する。
次に、夏期の太陽熱で屋根が熱せられた時の室内温度の変化を想定し、実験室レベルでシミュレーション試験した結果を説明する。図4は、本試験で用いた実験装置Xの縦断面図である。
試験装置Xは、合板で組み立てられ外側面に断熱材(本実験ではポリスチレンフォーム)を貼着した4面の壁板20、1面の床板30からなる箱体で構成し、壁板20の上端部から小屋裏空間60を空けて天井断熱材10を固定した。寸法は床板の一片が500mmの正方形で壁板の高さ800mmである。壁板20の上端部には合板で屋根板40を設け、その上部から2個の100W白熱電球50により一定時間点灯して屋根材40を加熱することができる。
試験装置Xを用いたシミュレーション試験において、天井断熱材10の下面に桟材を介して試験を行う天井板A(低放射率建材)を固定し所定の空気層6(厚さ6mm)を設けた。試験装置Xは温度35℃相対湿度50%の環境試験室内に置き、電球を点灯して屋根板40が82〜83℃となるように加熱維持した場合の室内及び天井表面の温度変化を約7時間調査した。なお、ここで使用した天井板Aは9mm厚さの合板であり、低放射率材2は厚みが0.2mmで放射率が0.05のアルミテープである。測定水準は表1の通りである。なお、測定2において低放射率材の配置が裏面空気層内側とは、天井板Aの裏面で空気層6に面する側にアルミテープを貼着したものであり、測定3において低放射率材の配置が裏面空気層外側とは、天井断熱材10の空気層6に面する側にアルミテープを貼着したものである。得られた試験結果を図7に示す。
Figure 0005462918
図7からわかるように、測定1の天井板Aは表面(室内に面する側)にアルミシートを貼ったもので、白熱電球50から伝達された熱が低放射率材2であるアルミシートによって室内側への熱放射が抑制されて天井表面温度が43℃付近まで上昇するが、一方、室内温度は36℃程度で最も低い結果となった。次いで、Blank、測定4、測定2、測定3の順に、室内温度及び天井表面温度が共に低下した。
測定1では天井板Aには熱が伝達されるが、その表面に低放射率材2を貼着しているので、熱が室内に放射されないために室内温度が低くなるという結果が得られ、夏期に室内温度が最も低いという点では他の水準に比較して有効である。冬期を考えた場合も室内の熱が天井板表面の低放射率材の反射によって外部に放出し難い点は同様に有効であるが、天井板表面温度が低くなり、体感温度上昇にはあまり効果がないと考えられる。部屋全体を考えた場合の平均的な室温が低くても、壁面や天井面からの放射熱があれば暖かく感じる。暖かい空気は上昇するが、天井付近で滞留していても暖かくは感じない。むしろ壁板や天井板に熱が吸収されても、室内に再び放射されるため体感温度は上昇するものと考えられる。
Blank、測定4、測定2、測定3については、低放射率材2の有無による差は特に天井表面温度において見られ、したがって、空気層6及び低放射率材2の存在によって、夏期の太陽光の熱射による室内温度の上昇を防止できることがわかる。
夏期に涼しく冬暖かい室内を実現し、空調機器の使用を最小限にして省エネ効果を発揮することができる。
A 低放射率建材
X 実験装置
1 内装仕上げ材
1a 凸部
1b 凹部
2 低放射率材
3 中空樹脂板
6 空気層
7 内装下地材
10 天井断熱材
20 壁板
30 床板
40 屋根板
50 電球
60 小屋裏空間

Claims (2)

  1. 裏面側が内装下地材に固着される内装仕上げ材の該裏面に凹凸を設けると共に、凹凸に沿わせて放射率が0.5以下である低放射率材を設けたことを特徴とする低放射率建材。
  2. 請求項1に記載の低放射率建材の裏面側を内装下地材に固着したことを特徴とする低放射率建材を用いた内装仕上げ構造。
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