JP5458376B2 - 高せん断装置を用いた高せん断方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、内部帰還型スクリューが搭載された高せん断機において、高せん断スクリューにより2〜5gの高分子ブレンド微量試料を溶融状態で例えば500〜3000rpmの回転数で高速回転させて数分間混練してナノ分散化させることで、耐熱性、機械的特性、寸法安定性等に優れた高分子ブレンド押出し物(ブレンド材)を製造する構造について開示したものである。
すなわち、特許文献1のような高せん断機(高せん断部)では、内部帰還型スクリューを高速回転させて高せん断を開始する手順として、先ず内部帰還型スクリューを中速回転させながら溶融させた樹脂を加熱筒内に注入し、内部帰還型スクリューの溝部に規定量の樹脂を充填させてから、内部帰還型スクリューを高速回転に切り替えて高せん断を行っている。
ところが、加熱筒内への樹脂の充填が完了した時点で、内部帰還型スクリュー前部に樹脂が密な状態で充填されていない場合や、内部帰還型スクリューの軸方向全体にわたって樹脂が一様に充填されていない場合がある。このような場合、とくに内部帰還型スクリューを高速回転させることによる高せん断開始直後において、材料が不均一な状態で混練され、加熱筒内の材料の圧力波形や内部帰還型スクリュー用モータのトルクなどの挙動が不安定な状態となることから、製造するブレンド材の品質が低下するという問題があった。そのため、高せん断時における上記挙動を安定させて材料を混練するための好適な方法が必要とされており、その点で改良の余地があった。
なお、図1に示す高せん断装置1は、一部(後述する可塑化スクリュー12部分)が破断した図となっており、また見易いように後述するホッパー14及びホッパー台17が側面から見た図となっている。
回転機構13Aは、固定部131上に固定されたスクリュー回転モータ132と、そのスクリュー回転モータ132によって回転力が伝達されたスクリュー回転軸133とを備えている。そして、スクリュー回転軸133と可塑化スクリュー12の基端部12aとは、連結片134によって一直線上に連結されている。
図1及び図2に示すように、高せん断ユニット20は、樹脂を注入するための注入部22を有するとともに略水平方向に配した中空円筒形状の加熱筒21と、この加熱筒21内に挿通された状態で周方向に回転自在とされる内部帰還型スクリュー23と、この内部帰還型スクリュー23の後方(すなわち、スクリュー軸方向一端側をなす基端部23b側)に配置されるとともにシャフト25を介して内部帰還型スクリュー23を回転させるための駆動モータ24と、前記シャフト25をベアリング26を介して回転可能に支持する振止め支持部27と、内部帰還型スクリュー23の軸方向他端側の先端側に設けられた成形加工部をなすT−ダイ29を有する先端保持部28とを備えて概略構成されている。
そして、注入路22aの途中には、加熱筒21の内空部に可塑化ユニット10からの溶融樹脂M´の流入量を調整するための開閉制御が可能な注入バルブ31が設けられている。この注入バルブ31は、予め設定された時間等に応じて注入量を制御することが可能な自動開閉式とされ、後述する排出バルブ32の開閉動作に対して連動可能となっている。
高せん断装置1において、高分子ブレンド系の固体状の樹脂Mは上述したように2種以上を混合した樹脂を使用する。
具体的には、溶融樹脂M´が所望の性状で得られたら、高せん断ユニット20の注入バルブ31を開いて注入路22aを開放するとともに、排出バルブ32を閉じる(ステップS1)。
次に、高せん断ユニット20の内部帰還型スクリュー23を低速回転(例えば、100〜500rpm)で回転させ、可塑化ユニット10より溶融樹脂M´を射出して高せん断ユニット20の加熱筒21内に注入する(ステップS2)。
そして、所定量の溶融樹脂M´が可塑化ユニット10より射出された時点で、注入バルブ31を閉じる(ステップS3)。
すなわち、図5(a)、(b)に示すように、スクリュー溝に溜まっている溶融樹脂M´をスクリュー前方(矢印F方向)へ送り込み、その前方領域(符号s)で密実な状態とすることで、内部帰還型スクリュー23の前方の樹脂圧力を高めておく。
このとき、高せん断領域K内に注入された溶融樹脂M´は、内部帰還型スクリュー23の外周側ではスクリュー23の高速回転とともに先端側へ送られ、スクリュー先端部23aで帰還穴231の流入口231aより後方へ流れ、吐出口231bよりスクリュー外周側に出て帰還し、再び先端側に送られるといった循環を所定時間繰り返すことで、その溶融樹脂M´に高せん断応力が付与されるようになっている。
本実施例では、非相溶性ポリマーブレンド系、ポリマー/フィラー系、さらにはポリマーブレンド/フィラー系の材料からなる樹脂Mを、図1に示す高せん断装置1により高せん断を行い、ブレンド材を製造した。
図7において、符号P1の波形は図3に示す内部帰還型スクリュー23の回転数、符号P2に示す波形は高せん断ユニット20の加熱筒21の先端部に設けた温度センサー34Bによって検出された樹脂温度、符号P3に示す波形は内部帰還型スクリュー23の駆動モータ24のスクリュートルク、符号P4、P5に示す波形はそれぞれ前部樹脂圧センサー33Aで検出された前部樹脂圧、後部樹脂圧センサー33Bで検出された後部樹脂圧である。
例えば、本実施の形態では可塑化ユニット10から高せん断ユニット20の加熱筒21への樹脂注入完了後の樹脂の移送工程の時間として2〜3秒としているが、この移送時間は内部帰還型スクリューの回転数などの条件に合わせて適宜変更可能である。
また、可塑化部ユニット10、高せん断ユニット20の構成、例えば加熱筒11、21、可塑化スクリュー12、内部帰還型スクリュー23の形状、寸法などの構成は本実施の形態に限定されることはなく、適宜設定することができる。
10 可塑化ユニット(可塑化部)
11 可塑化ユニットの加熱筒
12 可塑化スクリュー
20 高せん断ユニット(高せん断部)
21 高せん断ユニットの加熱筒
23 内部帰還型スクリュー(高せん断スクリュー)
231 帰還穴
231a 流入口
231b 吐出口
31 注入バルブ
32 排出バルブ
33 樹脂圧センサー
33A 前部樹脂圧センサー
33B 後部樹脂圧センサー
34、34A〜34D 温度センサー
M 樹脂(材料)
M´ 溶融樹脂(材料)
Claims (1)
- 高せん断応力を付与しつつ混練することで、非相溶性ポリマーブレンド系、ポリマー/フィラー系、さらにはポリマーブレンド/フィラー系の材料における内部構造をナノレベルで分散・混合する高せん断装置を用いた高せん断方法であって、
前記材料を可塑化して溶融するための可塑化部において、溶融させた材料を高せん断スクリューを備えた高せん断部の加熱筒内に注入する工程と、
前記注入工程後に前記高せん断スクリューを低速回転により回転させて、前記加熱筒内の材料を所定時間だけ前記高せん断スクリューの送り側へ移送して前記高せん断スクリュー前方の材料圧力を高める工程と、
前記移送工程の後、前記高せん断スクリューを前記低速回転より高速の高速回転をさせて前記材料に高せん断応力を与えて混練する工程と、
を有することを特徴とする高せん断装置を用いた高せん断方法。
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