JP5456243B2 - 猫砂 - Google Patents
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前記水膨潤性粘土成分に、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpHが10以上の粘土成分が助剤として含まれており、
前記酸性添加剤は、前記水膨潤性粘土成分100重量部当り、0.05乃至1重量部の量で、且つ、該水膨潤性粘土成分の粒子の一部に展着されて存在していることを特徴とする猫砂が提供される。
HS・C(CH3)2・CH2・CH2・OH
HS・C(CH3)2・CH2・CH2・O・CO・H
CH3・S・C(CH3)2・CH2・CH2・OH
CH3・S・S・C(CH3)2・CH2・CH2・OH
などで表されるものが雄猫の尿中に含まれ、これが雄猫の尿の著しい悪臭の要因となっている。上記のようなフェニリン誘導体(フェロモン)の発生要因は、次のように考えられている。
で表されるフェニリン前駆体は、肝臓から排出されるγ−GTP(γ−グルタミルトランスフェラーゼ)により分解され、下記式:
HOOC・CH2・NH・CO・CH(NH2)・CH2・S・C(CH3)・CH2・CH2・OH
で表されるフェニリン前駆体分解物が生成する。
尿中には、腎臓由来のコーキシンと呼ばれるタンパク質(カルボキシエステラーゼ類似の酵素)が含まれており、上記のフェリニン前駆体分解物は、このコーキシンの作用により更に分解され、グリシンと共に、下記式:
HOOC・CH(NH2)・CH2・S・C(CH3)・CH2・CH2・OH
で表されるフェニリン(フェロモン前駆体)が生成する。このフェニリンが尿中に含まれる各種分解酵素や土壌などに含まれる微生物が保有する酵素などによって分解し、前述した数種のフェニリン誘導体(フェロモン候補物質)が生成し、これが著しい悪臭の元となるわけである。前記化学式で表した4種のフェロモン候補物質の中でも、下記式:
HS・C(CH3)・CH2・CH2・OH
で表される3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールが、質量ともに代表的悪臭物質と考えられている。
HS・CH2・CH2・OH
で表される2−メルカプトエタノールである。質量ともに代表的悪臭物質と考えられている前記の3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールと化学構造の基本骨格[HS・(CH2)n・OH)]が同一であり、類似の特異臭と化学的性質を有する擬似フェロモンとして用いるのに適している。また、従来において硫黄系の悪臭物質の代表としてこの種の脱臭性能試験に用いてきたエタンチオール等と同様に、試薬として容易に調達できることも本試験法の利点である。
水膨潤性粘土成分を主要に構成している粘土鉱物は、例えばジオクタヘドラル型スメクタイトに由来するものであり、AlO6八面体層が二つのSiO4四面体層でサンドイッチされた三層構造を基本層単位とし、この基本層単位がc軸方向に積層された積層構造を有している。また、上記のAlO6八面体層のAlは、その一部がMgやFe(II)で同形置換され、SiO4四面体層のSiの一部はAlで同形置換され、c軸方向に積層されている基本層単位間の層間には、同形置換による電荷の不足を補う形で金属カチオン(例えばNaイオン)が存在している。このようなジオクタヘドラル型スメクタイトは、火山灰や溶岩等が海水の影響下に変性されることにより生成したものと考えられており、粘土鉱物分類上、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイトなどがある。天然に産する所謂酸性白土やベントナイトは、これらのスメクタイトを主要成分として含有している粘土である。
本発明において、上述した水膨潤性粘土鉱物成分の粒子に展着される酸性添加剤としては、前述したコーキシンやウレアーゼ等の各種酵素を失活させ得る程度の酸性度を有する種々の酸性物質、即ち、各種の有機酸、硫酸アルミニウムが使用されるが、安全性などの観点から各種有機酸が好適であり、特に臭気などの問題がなく且つ安定性を有している炭素数が3乃至6の有機酸が好適であり、中でもフマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸等が最も好適である。これらの有機酸は食品添加物としても使用され、猫や人間に対して極めて安全性が高いものである。また、抗菌性も付与できるという点では、サリチル酸やトリヒドロキシ安息香酸なども有効であると考えられる。いずれにしても、このような酸性添加剤の展着により、フェロモンやアンモニアなどの悪臭成分の発生を有効に抑制することが可能となる。
本発明においては、前記酸性添加剤とともに、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpHが10以上、好ましくは12以下の高pH粘土成分を助剤として配合する。即ち、かかる助剤を配合することにより、猫の尿の悪臭防止効果を一層向上させることができる。フェロモンやアンモニアを発生させる各種酵素は、高pHのアルカリ領域でも失活させることができるからである。
(1)pH測定方法
試料5g(無水物換算)を100mlビーカーに取り、1%食塩水95gを加え、マグネチックスターラーで10分間かきまぜる。30分間靜置し、得られた上澄液のpHを測定する。
<抗酵素防臭脱臭能>
試料100gを1800mlのガラス瓶に取り、ゴム製注入口のついた蓋で密栓する。それに尿成分液として1.5%尿素溶液10mlと酵素成分液として0.05%ウレアーゼ溶液(ナタ豆由来、使用当日に調製したもの)4mlをすばやく混合したものを、シリンジで注入する。これを25℃の恒温器に入れて1時間放置した後、外に取り出し、蓋を開けて5人のパネラーが臭いを嗅ぐ官能テストを行い、抗酵素防臭脱臭能として以下の基準で5段階に評価した。
1・・・5人のパネラー全員がアンモニアの強い刺激臭により不快感を示した。
2・・・5人のパネラー中、3人以上の人がアンモニア臭により不快感を示した。
3・・・5人のパネラー中、2人以下の人が弱いアンモニア臭を感じたが、
他の人は殆ど感じなかった。
4・・・5人のパネラー全員がアンモニア臭を殆ど感じないか、
微かに感じても不快感はなかった。
5・・・5人のパネラー全員がアンモニア臭を感じなかった。
<擬似フェロモン脱臭能>
試料100gを1800mlのガラス瓶に取り、ゴム製注入口のついた蓋で密栓する。それに、2−メルカプトエタノール0.0627w/v%エタノール溶液1mlをシリンジで注入する。室温で30分放置した後、蓋を開けて5人のパネラーが臭いを嗅ぐ官能テストを行い、擬似フェロモン脱臭能として以下の基準で4段階に評価した。
1・・・5人のパネラー全員が強い2−メルカプトエタノール臭を感じた。
2・・・5人のパネラー中、3人以上の人が弱い2−メルカプトエタノール臭を
感じたが、他の人は感じなかった。
3・・・5人のパネラー中、2人以下の人が弱い2−メルカプトエタノール臭を
感じたが、他の人は感じなかった。
4・・・5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を殆ど感じないか、
微かに感じても不快感はなかった。
5・・・5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を感じなかった。
<固化長>
試料1kgを深さ15cm以上になるように容器に充填する。充填層上面より1cmの高さから1%食塩水7mlを10秒間で注下する。30分後に固化部分をとりだして、注下方向に対して縦方向の長さを測り、固化長とした。
<固化強度>
前記固化長測定後の試料を下記の基準で固化強度の評価を行った。
◎:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5〜1mの高さからの自然落下でも
殆ど破壊しない。
○:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5〜1mの高さからの自然落下でも
一部が破壊するがバラバラにはならない。
△:手や指により圧力を加えると容易に崩れ、0.5m以下の高さからの自然落下でも破
壊する。
×:殆ど或いは全く固化していない状態。
新潟県新発田市小戸産酸性白土A(含水率31.5%)4.25kgに炭酸ナトリウム90gを加え、孔径10mmの単軸型押出造粒機を用いて3回混練した。それをさらに孔径3mmの二軸型押出造粒機で造粒、170℃で3時間乾燥し、解砕機・篩機を経て短径3mm、長径4〜7mmのペレット型の粒状物(pH=9.5)を得た。
新潟県新発田市小戸産酸性白土A(含水率31.5%)4.25kgに水酸化ナトリウム90gを加え、孔径10mmの単軸型押出造粒機を用いて3回混練した。それをさらに孔径3mmの二軸型押出造粒機を用いて造粒、170℃で3時間乾燥し、解砕機・篩機を経て短径3mm、長径4〜7mmのペレット状の粒状物(pH=11.4)を得た。
前記で調製された水膨潤性粘土成分(I)の粒子1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%の硫酸アルミニウム水溶液50gを滴下させ、表面に硫酸アルミニウムを展着させた粒状物を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに40%のクエン酸−水溶液50gを滴下させ、表面にクエン酸を展着させた粒状物を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%のクエン酸−ポリエチレングリコール溶液(PEG#4000の40%水溶液)50gを滴下させ、表面にクエン酸を展着させた粒状物を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%のフマル酸−ポリエチレングリコール溶液(PEG#4000の40%水溶液)分散液(部分溶解液)50gを滴下させ、表面にフマル酸を展着させた粒状物を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物及び酸性添加剤展着粘土成分(a)の粒状物を、それぞれ、90:10(実施例1)、80:20(実施例2)、70:30(実施例3)の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物、高pH粘土成分(HA)の粒状物及び酸性添加剤展着粘土成分(a)の粒状物を、それぞれ、60:30:10(実施例7)、53:27:20(実施例8)、47:23:30(実施例9)の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物と、酸性添加剤展着粘土成分(b)〜(d)の何れかの粒状物とを、それぞれ80:20の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物と、高pH粘土成分(HA)の粒状物と、酸性添加剤展着粘土成分(b)〜(d)の何れかの粒状物とを、それぞれ得られた酸性添加剤展着粘土成分(b〜d)の粒状物をそれぞれ60:30:10の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
このように、実施例1〜12によって得られた本発明の猫砂は、防臭脱臭性能、脱臭性能および固化性能において、いずれも優れた性能を示した。
さらに、実施例12の方法で製した本発明の猫砂を、3才の雄猫をペットとして飼育している室内で、それまで使用していた猫砂に代えて1ヶ月間試用したところ、猫用トイレから発する従来の雄猫特有の不快な尿臭が薄らぎ、従来の市販のベントナイト系猫砂(後述の比較例1に相当)の使用時に比して殆ど気にならなくなった。
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物のみからなる従来公知の猫砂を得た。
比較例1で得られた粒状物の各粘土成分の混合割合、防臭脱臭性能(抗酵素防臭脱臭能)、脱臭性能(擬似フェロモン脱臭能)および固化性能(固化長、固化強度)についても表1に示した。
パルプと再生紙を原料として成形して製した市販の紙製猫砂(紙砂、ペーパーサンド)を参考例として上記同様の性能試験を行い、その結果も併せて表1に示した。
Claims (1)
- 水膨潤性粘土成分と、クエン酸、フマル酸及び硫酸アルミニウムから選択された酸性添加剤とを含有しており、
前記水膨潤性粘土成分に、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpH10以上の粘土成分が助剤として含まれており、
前記酸性添加剤は、前記水膨潤性粘土成分100重量部当り、0.05乃至1重量部の量で、且つ、該水膨潤性粘土成分の粒子の一部に展着されて存在していることを特徴とする猫砂。
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