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JP5456243B2 - 猫砂 - Google Patents

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Description

本発明は、猫砂に関するものであり、より詳細には、猫の尿の悪臭を有効に抑制することができる猫砂に関する。
ベントナイト等の水膨潤性を示す粘土は、尿を固形物として処理することができるため、ペット用トイレ砂として広く使用されている。このようなトイレ砂では、尿の悪臭乃至異臭に対する消臭効果が十分でないという問題がある。このため、トイレ砂に香料を担持させることが考えられるが、ベントナイト等の水膨潤性粘土鉱物に香料を担持させると、香料を徐々に放出するようになってしまい、香料の徐放性を示し、長期間にわたって芳香を発散させるという点では有効であるが、最も悪臭が発散する実際の使用時(糞尿時)には、さほどの芳香を発散せず、その消臭効果が十分でない。
このため、特許文献1には、水膨潤性粘土に代えて、吸着性の高いゼオライト粒子を使用し、このゼオライト粒子に香料を担持させたペット用トイレ砂(ペット用排泄物処理剤)が提案されている。
特開2000−236766号
即ち、特許文献1のトイレ砂は、ゼオライト粒子により、アンモニア等の悪臭成分を吸着し、同時に香料が発する芳香によって高い消臭機能を持たせたものであるが、反面、水膨潤性粘土鉱物の如き固化機能は損なわれてしまい、廃棄処理性が不満足になってしまうという問題がある。また、犬などの糞尿に対する消臭効果は達成できるものの、猫の尿に対する消臭効果が未だ十分でない。
また、本発明者等は、先に、ベントナイト等の水膨潤性粘土鉱物成分とオパール成分とを含有する粒状物に香料を担持させた香料担持ペット用トイレ砂を提案した(特願2004−362605)。このトイレ砂は、水膨潤性能による固化機能を有していると同時に、アンモニア等に対する悪臭乃至異臭に対する消臭性を持続して示し、特に糞尿時において高い消臭性が発揮されるというものである。
しかしながら、上記のような香料担持ペット用トイレ砂は、特許文献1のトイレ砂と同様、犬などのペットに対しては糞尿に由来する悪臭を有効に抑制することができるものの、猫に対しては、悪臭防止効果が十分でない。即ち、種々のペットの中でも猫、特に雄猫の尿は悪臭が著しく、このような猫の尿の悪臭に対しても、これを十分に抑制するトイレ砂が求められているのが実情である。
従って、本発明の目的は、猫の尿の悪臭を有効に抑制することができる猫用トイレ砂、即ち猫砂を提供することにある。
本発明によれば、水膨潤性粘土成分と、クエン酸、フマル酸及び硫酸アルミニウムから選択された酸性添加剤とを含有しており、
前記水膨潤性粘土成分に、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpHが10以上の粘土成分が助剤として含まれており、
前記酸性添加剤は、前記水膨潤性粘土成分100重量部当り、0.05乃至1重量部の量で、且つ、該水膨潤性粘土成分の粒子の一部に展着されて存在していることを特徴とする猫砂が提供される。
本発明の猫砂は、水膨潤性粘土成分と共に、酸性添加剤が該水膨潤性粘土成分の粒子の一部に展着されていること、即ち、一部の粒子の表面乃至は表層部分に展着されていることが重要な特徴である。即ち、この猫砂は、水膨潤性粘土成分を含有しているため、水膨潤による固化機能を有し、従って糞尿によって固化し、容易に廃棄することができるという特性を有しているが、上記のような酸性添加剤を含有していることにより、猫の尿の悪臭の発生を有効に抑制し、特に雄猫の尿のように、酷い悪臭の発生さえも抑制できるという従来公知の猫砂には全く認められない優れた効果を有している。
本発明において、上記のような酸性添加剤の配合により、猫の悪臭の発生を有効に防止できるという効果は、多くの実験により現象として見出されたものであり、何故、このような悪臭の発生を防止できるのかについて、正確な理由は解明されていないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、猫の尿の悪臭の原因としては、尿中の尿素(NH・CO・NH)がウレアーゼ(加水分解酵素)により加水分解されてアンモニアを発生し、このアンモニアが悪臭の原因となることは従来から知られている。このようなアンモニアによる悪臭は、猫に限らず、他のペットなどでも同様である。しかるに、アンモニアを発生させるウレアーゼの酵素活性は、pHが5以下、特に4以下の酸性領域並びにpHが10以上のアルカリ性領域で失活する。従って、本発明の猫砂では、上記の酸性添加剤を一部の水膨潤性粘土成分の粒子表面に展着させておくことにより、ウレアーゼが失活し、アンモニアの発生が抑制され、この結果、悪臭の発生が抑制される。これが理由の一つである。
また、猫の尿の悪臭の原因としては、例えば雄猫の尿中に特に多く含まれる一種のフェロモン様物質(以下、単にフェロモンとも記す)が知られている。このフェロモンの候補物質は、フェニリンの誘導体であり、例えば下記式:
HS・C(CH・CH・CH・OH
HS・C(CH・CH・CH・O・CO・H
CH・S・C(CH・CH・CH・OH
CH・S・S・C(CH・CH・CH・OH
などで表されるものが雄猫の尿中に含まれ、これが雄猫の尿の著しい悪臭の要因となっている。上記のようなフェニリン誘導体(フェロモン)の発生要因は、次のように考えられている。
即ち、猫の体内で生成した下記式:
Figure 0005456243
式中、Xは、カルボキシル基(COOH)である、
で表されるフェニリン前駆体は、肝臓から排出されるγ−GTP(γ−グルタミルトランスフェラーゼ)により分解され、下記式:
HOOC・CH・NH・CO・CH(NH)・CH・S・C(CH)・CH・CH・OH
で表されるフェニリン前駆体分解物が生成する。
尿中には、腎臓由来のコーキシンと呼ばれるタンパク質(カルボキシエステラーゼ類似の酵素)が含まれており、上記のフェリニン前駆体分解物は、このコーキシンの作用により更に分解され、グリシンと共に、下記式:
HOOC・CH(NH)・CH・S・C(CH)・CH・CH・OH
で表されるフェニリン(フェロモン前駆体)が生成する。このフェニリンが尿中に含まれる各種分解酵素や土壌などに含まれる微生物が保有する酵素などによって分解し、前述した数種のフェニリン誘導体(フェロモン候補物質)が生成し、これが著しい悪臭の元となるわけである。前記化学式で表した4種のフェロモン候補物質の中でも、下記式:
HS・C(CH)・CH・CH・OH
で表される3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールが、質量ともに代表的悪臭物質と考えられている。
しかるに、本発明においては、前述した酸性添加剤の展着により、これに接触した部分において、尿中に含まれる各種分解酵素や微生物保有酵素の活性が失活してフェニリンからのフェロモンの生成が抑制されるばかりか、コーキシンの活性も失活するため、フェロモンの発生源であるフェニリンの発生も有効に抑制されるものと考えられる。即ち、本発明では、著しい悪臭の元であるフェロモンの発生が、コーキシンや各種酵素の失活により、元から断たれることとなり、これが、著しい悪臭の発生が防止される最も大きな理由であると考えられる。
また、本発明においては、上記のような酸性添加剤を配合すると同時に、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpHが10以上の成分(以下、単にアルカリ成分)を含有しており、これにより、悪臭発生防止効果はさらに向上する。即ち、このようなアルカリ成分としては、pHが上記のアルカリサイドに調整された水膨潤性粘土成分が使用されるが、このようなアルカリ成分の使用により、前述したコーキシン等のフェロモン発生の要因となる酵素の失活やウレアーゼなどのアンモニア発生の要因となる酵素も失活し、悪臭成分の発生が有効に防止されるからである。以上のコーキシンやウレアーゼなどの酵素活性の失活によりフェロモンやアンモニアの発生を抑制・防止し、さらに一部の分解により発生したフェロモンやアンモニアを吸着により脱臭する効果は、後述の実施例に防臭脱臭性能試験法として示した「抗酵素防臭脱臭能」によって代表的に評価できる。
さらに、猫の尿から発生する特異臭のフェロモン候補物質といわれる前記4種の化合物は、いずれも含硫黄化合物であり、気化して弱酸性の気体物質となることから、特にpHが10以上のアルカリサイドに調整された水膨潤性粘土成分に強く吸着されて脱臭されるという効果も極めて大きい。この効果は、後述の実施例に脱臭性能試験法として示した「擬似フェロモン脱臭能」によって代表的に評価できる。本試験法で用いた擬似フェロモン物質は、下記式:
HS・CH・CH・OH
で表される2−メルカプトエタノールである。質量ともに代表的悪臭物質と考えられている前記の3−メルカプト−3−メチル−1−ブタノールと化学構造の基本骨格[HS・(CH)・OH)]が同一であり、類似の特異臭と化学的性質を有する擬似フェロモンとして用いるのに適している。また、従来において硫黄系の悪臭物質の代表としてこの種の脱臭性能試験に用いてきたエタンチオール等と同様に、試薬として容易に調達できることも本試験法の利点である。
本発明の猫砂は、猫用に使用されるトイレ砂であり、既に述べたように、水膨潤性粘土成分を含有し、さらに、水膨潤性粘土成分の粒子の一部には酸性添加剤が展着されている。
<水膨潤性粘土成分>
水膨潤性粘土成分を主要に構成している粘土鉱物は、例えばジオクタヘドラル型スメクタイトに由来するものであり、AlO八面体層が二つのSiO四面体層でサンドイッチされた三層構造を基本層単位とし、この基本層単位がc軸方向に積層された積層構造を有している。また、上記のAlO八面体層のAlは、その一部がMgやFe(II)で同形置換され、SiO四面体層のSiの一部はAlで同形置換され、c軸方向に積層されている基本層単位間の層間には、同形置換による電荷の不足を補う形で金属カチオン(例えばNaイオン)が存在している。このようなジオクタヘドラル型スメクタイトは、火山灰や溶岩等が海水の影響下に変性されることにより生成したものと考えられており、粘土鉱物分類上、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイトなどがある。天然に産する所謂酸性白土やベントナイトは、これらのスメクタイトを主要成分として含有している粘土である。
このようなジオクタヘドラル型スメクタイトは、上記の基本層単位の層間に水を取り込むことにより膨潤し固化する性質を有しているが、本発明では、特に層間にNaイオンを多く含み、水膨潤機能の大きいベントナイトが好適である。
かかる水膨潤性粘土成分は、層間に含まれるNa、Kなどのアルカリ金属イオンの量やCa2+などのアルカリ土類金属イオンの量により、水膨潤性及び固化性が異なるが、通常、使用後の猫砂の廃棄処理の観点から好適な水膨潤性及び固化性を発揮することが好ましく、例えば、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したときのpHが10以上であることが好適である。
また、この水膨潤性粘土成分は、廃棄のための水膨潤性及び固化性を確保する上で、本発明の猫砂の主成分であり、この猫砂中に多量に含まれる成分である。このため、この水膨潤性粘土鉱物成分のpHが必要以上にアルカリサイドにあるときは、生体に対する悪影響を及ぼすおそれがあるため、一般的には、主成分として用いる水膨潤性粘土鉱物成分のpHは12以下であることが好適である。
尚、上記のような水膨潤性粘土成分のpHは、アルカリ処理或いは酸処理などの公知の手段によって容易に調整することができる。即ち、必要以上にpHが小さいものについては(例えば酸性白土などが該当する)、これを炭酸ソーダ等の炭酸アルカリや水酸化アルカリなどによって処理することにより、層間にナトリウムイオン等を導入することによりpHを向上させることができる。また、極端にpHの高いベントナイトなどについては、硫酸等の酸を用いての処理により、層間のナトリウムイオン等を水素イオン(H)で置換することにより、pHを低下させることができる。
<酸性添加剤>
本発明において、上述した水膨潤性粘土鉱物成分の粒子に展着される酸性添加剤としては、前述したコーキシンやウレアーゼ等の各種酵素を失活させ得る程度の酸性度を有する種々の酸性物質、即ち、各種の有機酸、硫酸アルミニウムが使用されるが、安全性などの観点から各種有機酸が好適であり、特に臭気などの問題がなく且つ安定性を有している炭素数が3乃至6の有機酸が好適であり、中でもフマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸等が最も好適である。これらの有機酸は食品添加物としても使用され、猫や人間に対して極めて安全性が高いものである。また、抗菌性も付与できるという点では、サリチル酸やトリヒドロキシ安息香酸なども有効であると考えられる。いずれにしても、このような酸性添加剤の展着により、フェロモンやアンモニアなどの悪臭成分の発生を有効に抑制することが可能となる。
また、上記の酸性添加剤は、水膨潤性粘土鉱物成分100重量部当り、0.05乃至1重量部、特に0.1乃至0.5重量部の量で使用されることが好適である。即ち、酸性添加剤の使用量が、上記範囲よりも多いと、水膨潤性粘土成分の水膨潤性乃至固化性を大幅に低下させるおそれがある。また、上記範囲よりも少ない場合には、各種酵素の活性を有効に失活させることが困難となり、悪臭発生防止能が低減するおそれがある。したがって、酸性添加剤の使用量が上記範囲にあれば、それが表層のみに展着された水膨潤性粘土成分粒子自体の水膨潤性も或る程度保持できるため、猫砂全体の固化性能を低下させることなく防臭機能を発揮できるのである。
さらに、本発明においては、上記のような酸性添加剤は、水膨潤性粘土成分のうち、3乃至40重量%程度の粒子に展着されていることが、水膨潤性粘土成分の水膨潤性乃至固化性を十分に発揮させると同時に、良好な酵素失活能を確保して悪臭防止効果を発揮させる上で好適である。
<他の成分>
本発明においては、前記酸性添加剤とともに、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpHが10以上、好ましくは12以下の高pH粘土成分を助剤として配合する。即ち、かかる助剤を配合することにより、猫の尿の悪臭防止効果を一層向上させることができる。フェロモンやアンモニアを発生させる各種酵素は、高pHのアルカリ領域でも失活させることができるからである。
このような高pH粘土成分は、前述した酸性添加剤と中和しないような形態で使用するべきであり、例えば、ベントナイトなどの水膨潤性粘土成分の内、pHが上記範囲に調整されたもの、或いはベントナイトや酸性白土などの粒子表面にアルカリ成分が展着され、前述した範囲のpHを示すように調整された粒子などが使用される。一般的には、ベントナイトなどの水膨潤性粘土成分の内、pHが上記範囲に調整された粒子が好適である。
本発明において、このような高pH粘土成分は、通常、前記水膨潤性粘土鉱物成分100重量部当り、5乃至100重量部、特に10乃至50重量部の量で使用することが好ましい。
本発明においては、また、前述した水膨潤性粘土成分の粒子に展着された酸性添加剤や助剤の高pH粘土成分の酵素失活作用を損なわない限りにおいて、猫砂に従来から配合されている各種配合剤、例えば、香料、銅化合物、銀化合物、ポリフェノール類、更にはヒドロキシ安息香酸類などを配合することも可能である。これらの配合剤は、一般に、前述した水膨潤性粘土鉱物成分の粒子表面に展着されて使用される。
香料は、猫の尿に対して消臭効果を持たせるために使用されるものであり、例えば、ローズ油、ラベンダー油、ジャスミン油、バチュリー油、カーネーション油、レモン油、オレンジ油、レモングラス油、ベルガモット油、ベチュバ油、チョウジ油、ゼダーン油、ビャクダン油、ユーカリ油、カッシャ油、ショウノウ油、イランイラン油、シトロネラー油、ゼラニウム油等の精油、ジャコウ、シベット油、ウミダヌキ香、アンバーグリス油等の動物性香料、バニリン、サリチル酸メチル、シンナミルアルデヒド、β−フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、オキシシトロネラール、フェニルアセトアルデヒド、ピペロナール等の合成香料などの1種または2種以上を挙げることができる。
香料の担持は、スプレー噴霧等により、香料を上記粒状物に吹き付けることにより容易に行うことができ、これにより、前述した水膨潤性粘土鉱物成分の層間や小さな細孔内に香料が浸透し保持され、香料の徐放性が確保され、長期間にわたって、安定した消臭性を確保することができる。
また、銅化合物、銀化合物、ポリフェノール類、ヒドロキシ安息香酸類などは、抗菌性を付与するために使用されるものであり、銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性硫酸銅カルシウム塩(ボルドー液)、塩化銅、炭酸銅などの無機塩や、ジカルボン酸銅などの有機酸塩を挙げることができる。特に、水膨潤性粘土鉱物粒子表面への添着を容易に行うことができるという点で、水溶性塩であることが好ましく、さらに、安価で容易に入手できる点で、硫酸銅が最も好適である。また、銀化合物としては、硝酸銀等の塩や塩化銀などのハロゲン化物、その他、水酸化物、酸化物、錯体等、種々の形で使用することができるが、添着を容易に行うことができるという点で、水溶性であることが好ましく、さらに、容易に入手できるという点で、硝酸銀が最も好適である。さらに、ポリフェノール類としては茶カテキンなどがあり、ヒドロキシ安息香酸類としては、サリチル酸、トリヒドロキシ安息香酸などを挙げることができる。
上述した各種成分を含有する本発明の猫砂は、前述したベントナイトに代表され水膨潤性粘土成分の原土などを、必要により、粉砕し、所定の粒度に分級し或いは押出成形等により、所定の粒子形状に成形し、所定の大きさの粒状物とし、さらに、このように調製された粒子の一部について、前述した酸性添加剤を必要に応じて展着剤(糊料)と共に水溶液乃至水分散液或いは有機溶媒溶液となし、スプレー噴霧により展着させ、得られた酸性添加剤が表面乃至は表層に展着された粒子と、展着されていない水膨潤性粘土成分の粒子を乾式で混合することにより製造される。この場合、前述した助剤の高pH粘土成分も、上記と同様の粒状物として混合され、また、香料や抗菌剤として使用される銅化合物等も、酸性添加剤と同様、スプレー噴霧などにより水膨潤性粘土鉱物成分等の粒子の表面乃至は表層に展着される。
尚、水膨潤性粘土成分の粒子は、一般に短径が0.5乃至8mmであり、アスペクト比が1乃至20の範囲にあることが、水分の吸収、固結ないし凝固性、凝固物の取り扱い性の点で好ましく、また、粒状物の形状は、特に制限されず、球状、立方体状、円柱状、角柱状、顆粒状、タブレット状、不定形状の何れでもよい。
上述した本発明の猫砂は、それ単独で使用することもできるし、必要により、例えば天然ゼオライトや合成ゼオライトの粒状品、川砂、シリカゲル、新聞紙、製紙スラッジ成型品、大鋸屑、鹿沼土(アロフェン)、1乃至10mmの粒状パルプ或いは粒状化した紙等と併用して用いることもできる。
本発明を次の実験例で説明する。
(1)pH測定方法
試料5g(無水物換算)を100mlビーカーに取り、1%食塩水95gを加え、マグネチックスターラーで10分間かきまぜる。30分間靜置し、得られた上澄液のpHを測定する。
(2)防臭脱臭性能試験法
<抗酵素防臭脱臭能>
試料100gを1800mlのガラス瓶に取り、ゴム製注入口のついた蓋で密栓する。それに尿成分液として1.5%尿素溶液10mlと酵素成分液として0.05%ウレアーゼ溶液(ナタ豆由来、使用当日に調製したもの)4mlをすばやく混合したものを、シリンジで注入する。これを25℃の恒温器に入れて1時間放置した後、外に取り出し、蓋を開けて5人のパネラーが臭いを嗅ぐ官能テストを行い、抗酵素防臭脱臭能として以下の基準で5段階に評価した。
1・・・5人のパネラー全員がアンモニアの強い刺激臭により不快感を示した。
2・・・5人のパネラー中、3人以上の人がアンモニア臭により不快感を示した。
3・・・5人のパネラー中、2人以下の人が弱いアンモニア臭を感じたが、
他の人は殆ど感じなかった。
4・・・5人のパネラー全員がアンモニア臭を殆ど感じないか、
微かに感じても不快感はなかった。
5・・・5人のパネラー全員がアンモニア臭を感じなかった。
(3)脱臭性能試験法
<擬似フェロモン脱臭能>
試料100gを1800mlのガラス瓶に取り、ゴム製注入口のついた蓋で密栓する。それに、2−メルカプトエタノール0.0627w/v%エタノール溶液1mlをシリンジで注入する。室温で30分放置した後、蓋を開けて5人のパネラーが臭いを嗅ぐ官能テストを行い、擬似フェロモン脱臭能として以下の基準で4段階に評価した。
1・・・5人のパネラー全員が強い2−メルカプトエタノール臭を感じた。
2・・・5人のパネラー中、3人以上の人が弱い2−メルカプトエタノール臭を
感じたが、他の人は感じなかった。
3・・・5人のパネラー中、2人以下の人が弱い2−メルカプトエタノール臭を
感じたが、他の人は感じなかった。
4・・・5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を殆ど感じないか、
微かに感じても不快感はなかった。
5・・・5人のパネラー全員が2−メルカプトエタノール臭を感じなかった。
(4)固化性能試験法
<固化長>
試料1kgを深さ15cm以上になるように容器に充填する。充填層上面より1cmの高さから1%食塩水7mlを10秒間で注下する。30分後に固化部分をとりだして、注下方向に対して縦方向の長さを測り、固化長とした。
<固化強度>
前記固化長測定後の試料を下記の基準で固化強度の評価を行った。
◎:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5〜1mの高さからの自然落下でも
殆ど破壊しない。
○:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5〜1mの高さからの自然落下でも
一部が破壊するがバラバラにはならない。
△:手や指により圧力を加えると容易に崩れ、0.5m以下の高さからの自然落下でも破
壊する。
×:殆ど或いは全く固化していない状態。
また、以下の実験のために、水膨潤性粘土成分(I)、高pH粘土成分(HA)及び酸性添加剤展着粘土成分(a)〜(d)を以下の方法で調製した。
[水膨潤性粘土成分(I)]の製造;
新潟県新発田市小戸産酸性白土A(含水率31.5%)4.25kgに炭酸ナトリウム90gを加え、孔径10mmの単軸型押出造粒機を用いて3回混練した。それをさらに孔径3mmの二軸型押出造粒機で造粒、170℃で3時間乾燥し、解砕機・篩機を経て短径3mm、長径4〜7mmのペレット型の粒状物(pH=9.5)を得た。
[高pH粘土成分(HA)]の製造;
新潟県新発田市小戸産酸性白土A(含水率31.5%)4.25kgに水酸化ナトリウム90gを加え、孔径10mmの単軸型押出造粒機を用いて3回混練した。それをさらに孔径3mmの二軸型押出造粒機を用いて造粒、170℃で3時間乾燥し、解砕機・篩機を経て短径3mm、長径4〜7mmのペレット状の粒状物(pH=11.4)を得た。
[酸性添加剤展着粘土成分(a)]の製造;
前記で調製された水膨潤性粘土成分(I)の粒子1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%の硫酸アルミニウム水溶液50gを滴下させ、表面に硫酸アルミニウムを展着させた粒状物を得た。
[酸性添加剤展着粘土成分(b)]の製造;
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに40%のクエン酸−水溶液50gを滴下させ、表面にクエン酸を展着させた粒状物を得た。
[酸性添加剤展着粘土成分(c)]の製造;
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%のクエン酸−ポリエチレングリコール溶液(PEG#4000の40%水溶液)50gを滴下させ、表面にクエン酸を展着させた粒状物を得た。
[酸性添加剤展着粘土成分(d)]の製造;
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物1kgを回転円筒容器に入れ、それに20%のフマル酸−ポリエチレングリコール溶液(PEG#4000の40%水溶液)分散液(部分溶解液)50gを滴下させ、表面にフマル酸を展着させた粒状物を得た。
<実施例1〜3>
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物及び酸性添加剤展着粘土成分(a)の粒状物を、それぞれ、90:10(実施例1)、80:20(実施例2)、70:30(実施例3)の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
<実施例4〜6>
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物、高pH粘土成分(HA)の粒状物及び酸性添加剤展着粘土成分(a)の粒状物を、それぞれ、60:30:10(実施例7)、53:27:20(実施例8)、47:23:30(実施例9)の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
<実施例7〜9>
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物と、酸性添加剤展着粘土成分(b)〜(d)の何れかの粒状物とを、それぞれ80:20の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
<実施例10〜12>
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物と、高pH粘土成分(HA)の粒状物と、酸性添加剤展着粘土成分(b)〜(d)の何れかの粒状物とを、それぞれ得られた酸性添加剤展着粘土成分(b〜d)の粒状物をそれぞれ60:30:10の割合で混合し、本発明の猫砂を得た。
実施例1〜12で得られた粒状物の各粘土成分のpHとそれらの混合割合、防臭脱臭性能(抗酵素防臭脱臭能)、脱臭性能(擬似フェロモン脱臭能)および固化性能(固化長、固化強度)について表1に示した。
このように、実施例1〜12によって得られた本発明の猫砂は、防臭脱臭性能、脱臭性能および固化性能において、いずれも優れた性能を示した。
さらに、実施例12の方法で製した本発明の猫砂を、3才の雄猫をペットとして飼育している室内で、それまで使用していた猫砂に代えて1ヶ月間試用したところ、猫用トイレから発する従来の雄猫特有の不快な尿臭が薄らぎ、従来の市販のベントナイト系猫砂(後述の比較例1に相当)の使用時に比して殆ど気にならなくなった。
<比較例1>
水膨潤性粘土成分(I)の粒状物のみからなる従来公知の猫砂を得た。
比較例1で得られた粒状物の各粘土成分の混合割合、防臭脱臭性能(抗酵素防臭脱臭能)、脱臭性能(擬似フェロモン脱臭能)および固化性能(固化長、固化強度)についても表1に示した。
<参考例1>
パルプと再生紙を原料として成形して製した市販の紙製猫砂(紙砂、ペーパーサンド)を参考例として上記同様の性能試験を行い、その結果も併せて表1に示した。
Figure 0005456243

Claims (1)

  1. 膨潤性粘土成分と、クエン酸、フマル酸及び硫酸アルミニウムから選択された酸性添加剤とを含有しており、
    前記水膨潤性粘土成分に、1%食塩水を使用して5重量%濃度で測定したpH10以上の粘土成分が助剤として含まれており、
    前記酸性添加剤は、前記水膨潤性粘土成分100重量部当り、0.05乃至1重量部の量で、且つ、該水膨潤性粘土成分の粒子の一部に展着されて存在していることを特徴とする猫砂。
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