JP5455006B2 - 超音波測定に用いられる圧迫装置とその圧迫制御方法、および光音響計測装置 - Google Patents
超音波測定に用いられる圧迫装置とその圧迫制御方法、および光音響計測装置 Download PDFInfo
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Description
特に、被検体内部に近赤外線を照射して、被検体内部で発生する光音響波を超音波探触子で受信し、被検体内部の組織画像を表示する光音響計測装置に用いられる圧迫装置に関するものである。
非特許文献1は、ガラスプレートと超音波探触子で被検体(乳房)を圧迫し、ガラスプレート越しに、Nd:YAGレーザを光源とする照明光(近赤外線)を乳房に照射する。
そして,被検体(乳房)内部で発生する光音響波を超音波探触子で受信し、被検体(乳房)内部の組織、特に乳がんにおける血管新生を画像再構成して表示する。
しかしながら、非特許文献1の装置では、被検体(乳房)の一部が超音波探触子との間で、超音波探触子と接触できないデットスペースによる浮きを発生させてしまうこととなる。
その浮きの部分は空気であり、音響インピーダンスが著しく異なってしまうため、浮きの部分で光音響波が透過せず、画像再構成できない領域が生じる。
この、特許文献1の超音波測定装置を、図9を用いて説明する。
図9において、左図aは被検体である乳房を超音波測定装置に挿入した側面からの断面図である。その側面図のB−B’断面を右図bに示す。なお、右図bのA−A’断面が左図aである。
ここで、20は被検体である乳房を圧迫させる圧迫整形手段であり、60は圧迫整形手段20に取り付けられたジャバラ機構である。
また、80は圧迫整形手段20の内部に充填される、音響インピーダンスのマッチングをとるための音響結合体である。
また、121は送信用トランスデューサであり、122は受信用トランスデューサである。
音響結合体80は圧迫整形手段20とジャバラ機構60によって封止され、圧迫整形手段20が圧迫方向へ移動可能とされている。
Srirang Manohar,et al.,The Twente photoacoustic mammoscope: system overview and performance, Physics in Medicine and Biology 50 (2005)2543−2557.
上記したように特許文献1によると非特許文献1のように浮きの部分により音響インピーダンスが異なり、測定できない領域が生じるという問題は生じないが、マッチング液(音響結合体80)の保持に関する課題が残る。
つまり、図9のように、横から被検体を挿入する形態を用いると、水をマッチング液(音響結合体80)とした場合、圧迫整形手段20による圧迫の前後を通じてマッチング液(音響結合体80)が漏れる恐れが生じる。
あるいは、ゲルをマッチング液(音響結合体80)とした場合、マッチング液(音響結合体80)が溢れる恐れが生じる。
上記特許文献1では、これらの解決手段については、何も言及されていない。
被検体との音響インピーダンスの整合をとることができると共に、マッチング液が漏れることや溢れることを抑制することが可能となる圧迫装置とその圧迫制御方法、および光音響計測装置を提供することを目的とするものである。
本発明の圧迫装置は、被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられる、該被検体を圧迫するための圧迫装置であって、
前記被検体を圧迫する際に用いられる、圧迫プレート締結部に保持されており、且つ水平面に対し垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートと、
前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間とを覆って封止するように前記圧迫プレート締結部に固定されると共に、該二枚の圧迫プレートの上面間を覆わずに上部が開口するように配設されたフレキシブル部材と、
前記圧迫プレート締結部に接続されたガイドに沿って、前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレート間の距離を相対的に移動させ、前記被検体を挟んで圧迫する圧迫機構と、
前記二枚の圧迫プレートと該二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間に配設されたフレキシブル部材とで囲まれた空間部に、マッチング液を供給し、該供給されたマッチング液を廃液する配管ユニットと、
を有することを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置は、前記空間部に供給される前記マッチング液の供給具合を検出する検出部を有することを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置は、前記検出部の出力に基づいて、前記空間部から前記マッチング液が溢れないように前記マッチング液の供給を制御する制御部を有することを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置は、前記フレキシブル部材が、ジャバラ、ベローズ、樹脂フィルムまたはゴムシートのいずれかの部材によって構成されていることを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置は、前記配管ユニットが、
前記マッチング液の供給または廃液を制御するためのバルブ、
前記マッチング液を溜めるためのタンク、
前記マッチング液を送液するためのポンプ、
前記マッチング液の圧力または流量を調整する圧力・流量調整バルブ、
前記マッチング液を加熱するためのヒータ、
前記マッチング液から不純物を除去するためのフィルタ、
前記マッチング液に含まれる溶存ガスを脱気する脱気水生成装置、
のうち、少なくともいずれかを備えていることを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置は、前記配管ユニットが、洗浄液の供給を制御するためのバルブを備えていることを特徴とする。
また、本発明の光音響計測装置は、二枚の圧迫プレートの間に被検体を挟んで圧迫する圧迫装置を備え、該圧迫装置により被検体を圧迫し、該被検体に入射させた光による超音波を光音響信号として検出する光音響計測装置であって、
前記圧迫装置が、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧迫装置によって構成された圧迫手段と、
前記光を前記圧迫プレート越しに、被検体へ照射するための照明光学系と、
前記被検体から発生した光音響信号を前記圧迫プレート越しから受信する探触子と、
前記探触子が受信した光音響信号を処理し画像再構成する処理部と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の光音響計測装置は、前記二枚の圧迫プレートのうち、探触子が配置される側の圧迫プレートは樹脂によって形成されていることを特徴とする。
また、本発明の光音響計測装置は、前記平板を形成している樹脂は、ポリメチルペンテンからなることを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置の圧迫制御方法は、被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられる、該被検体を圧迫するための圧迫装置の圧迫制御方法であって、
上記したいずれかに記載の圧迫装置を備え、前記空間部の内部を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程の後に、前記二枚の圧迫プレートで前記被検体を挟んで圧迫する圧迫工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置の圧迫制御方法は、前記洗浄工程が、
前記空間部に供給されたマッチング液を廃液する工程と、
前記空間部の内部に洗浄液を供給する工程と、
前記洗浄液を供給する工程の後に、前記空間部の内部に供給された洗浄液を廃液する工程と、
前記洗浄液を廃液する工程の後に、前記空間部の内部にマッチング液を供給する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の圧迫装置の圧迫制御方法は、前記圧迫工程が、
前記被検体の前記空間部の内部への挿入を検知する工程と、
前記被検体を圧迫するために圧迫機構により圧迫動作を開始する工程と、
前記空間部の内部へ充填されるマッチング液の液量を制御する工程と、
前記圧迫機構による圧迫動作を終了する工程と、を有することを特徴とする。また、本発明の圧迫装置の圧迫制御方法は、前記マッチング液の流量制御工程が、前記空間部に供給される前記マッチング液の供給具合を検出する検出部の出力に基づいて、
前記空間部から前記マッチング液が溢れないように前記マッチング液の供給を制御することを特徴とする。
被検体との音響インピーダンスの整合をとることができると共に、マッチング液が漏れることや溢れることを抑制することが可能となる圧迫装置とその圧迫制御方法、および光音響計測装置を実現することができる。
本実施形態の圧迫装置は、被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられる、該被検体を圧迫するための圧迫装置が、つぎのように構成される。
すなわち、被検体との音響インピーダンスの整合をとることができると共に、マッチング液が漏れることや溢れることを抑制するため、被検体を入れて圧迫できるようにし、マッチング液を充填するための空間部を備えた圧迫装置を、上部が開口した構成とする。
このような構成とするため、この圧迫装置は、前記被検体を圧迫する際に用いられる、水平面に対し垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートと、
前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間とを覆って封止すると共に、該二枚の圧迫プレートの上面間を覆わずに上部が開口するように配設されたフレキシブル部材とを備えている。
そして、前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレート間の距離を相対的に移動させ、前記被検体を挟んで圧迫する圧迫機構が構成されると共に、
前記二枚の圧迫プレートと該二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間に配設されたフレキシブル部材とで囲まれた空間部に、マッチング液を供給し、該供給されたマッチング液を廃液する配管ユニットが構成される。
このような構成により、音響インピーダンスの整合をとるためのマッチング液が圧迫装置から漏れること、ならびに溢れることを低減して、被検体を圧迫することが可能となる。
さらに、この圧迫装置を光音響装置に搭載すれば、マッチング液の漏れや溢れを低減しているため、清掃の手間を軽減させ、光音響装置の運転稼働率を向上させることができる。
そして、測定できないデッドスペースを減らすことも同時に可能となる。
なお、本発明の圧迫装置は、被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられるが、例えば以下のような装置に搭載される。被検体に対してパルス光を照射し、このパルス光を吸収して起こる局所的な温度上昇により発せられる超音波を受信する光音響計測装置である。いわゆるPAT(Photo Acoustic Tomography)と呼ばれるもので、被検体から発生する超音波は光音響波とも呼ばれる。
光は生体内で大きく減衰するため、被検体の深部まで光音響測定を行うためには本発明のような圧迫装置を好適に適用できる。ただし、本発明の圧迫装置は、被検体に対し超音波を照射し、被検体から反射される超音波(反射エコー)を受信する公知の超音波装置にも適用可能である。
本明細書において「マッチング液」とは、超音波を受信する探触子と被検体との間に供給され、被検体の音響インピーダンスと近似した値をもつ材料であり、定形性がなく本発明のような構成でないと保持できないようなものであれば、ゲルなども含む概念である。
[実施例1]
実施例1においては、本発明の圧迫装置の構成例について説明する。
図1に、本実施例における解放時の圧迫装置の構成について説明する図を示す。図1において、1は圧迫装置、2は圧迫プレート、3は圧迫プレート締結部、4はガイド、5は圧迫機構、6はジャバラ、7は配管ユニットである。
本実施例の圧迫装置1において、被検体を挟むための圧迫プレート2は、水平面に対し垂直方向に対向させた二枚の平板によって構成されている。二枚の平板は平行平板によって構成することができる。
圧迫プレート締結部3は、圧迫プレート2を保持するための部材であり、圧迫プレート締結部3には数本のガイド4と、ロボット機構による圧迫機構5が接続されている。
これらは、被検体を圧迫装置1内に入れ、被検体を圧迫させるためのものである。
なお、本実施例では圧迫機構5はロボット機構により構成したが、これに限定されず、エアシリンダ機構や、ラックアンドピニオンやウォームギアなどを用いた手動機構(万力機構)で構成してもよい。また、ガイド4を四本図示したが、その本数を限定しない。
その際、このフレキシブルな部材は、本実施例ではジャバラ6で構成され、圧迫プレート2の各側面と下面を囲むように、ジャバラ6の端部が圧迫プレート締結部3に固定されている。
本実施例では、図1に示されるように、ジャバラ6を角型としたが、これに限定されず丸型としてもよい。
ジャバラ6の材料としては、ゴムや、成型した樹脂、あるいはステンレスなど金属を用いることができる。例えば、溶接ベローズの一部を切り取ったものでもよい。
さらに、ジャバラ6を用いなくても、樹脂フィルムやゴムシートなどフレキシブルな部材を用い、その端部を圧迫プレート締結部3に固定するようにしてもよい。
また、図1には配管ユニット7の一部が図示されているが、圧迫装置1における上記した空間部の内部に、マッチング液を供給し、回収する配管が設けられる。さらに、配管ユニット7には、圧迫装置1における上記した空間部の内壁を洗浄するための洗浄液を供給する配管を設けることが好ましい。
これにより、圧迫機構5で圧迫プレート2を圧迫動作させることが可能となる。
そして、圧迫プレート2と不図示の被検体との間にマッチング液が入るためデットスペースによる浮きが生ぜず、被検体との音響インピーダンスの整合をとることができる。
なお、図2は本実施例における圧迫時の圧迫装置の構成を示す図である。
本実施例の圧迫装置1は、圧迫時においては図1に示される圧迫プレート2が開放状態から、圧迫機構5で圧迫プレート2を圧迫動作させ、被検体(不図示)を圧迫した状態とすることができる。
図3に、本実施例における配管ユニット7を説明する図を示す。
図3において、7は配管ユニット、8はマッチング液、9は空間部に供給されるマッチング液の供給具合を検出する検出部である液量センサである。
本実施例において、マッチング液8が、光音響波の音響インピーダンスの整合をとるため圧迫装置1内に充填される。
また、圧迫装置1内のマッチング液8の液量(液面)を計測するため液量センサ9が設けられている。
回収ライン72にバルブ72aを設け、マッチング液8をタンク72bに溜める。
そして、タンク72bからポンプ71aでマッチング液8を汲み上げて送液されたマッチング液を、圧力・流量調整バルブ71bの開閉動作により圧力または流量のいずれかを調整する。
そして、圧力または流量のいずれかを調整したマッチング液8はヒータ71cで被検体の温度近傍の40℃程度まで加熱し、不純物を除去するためのフィルタ71dを介して圧迫装置1内へ供給する。
また、マッチング液8が水の場合、溶存ガスを脱気することが望ましく、その場合は配管ユニット7の一部に脱気装置71fとして脱気水生成装置を組み込む。
その際、液量センサ9でマッチング液8の液量(液面)を計測し、その出力をフィードバックする。
特に、圧迫装置1を圧迫機構5で圧迫させるとき、圧迫装置1の容積が小さくなるため、圧迫装置1内の液面は上昇する。
その液面が上昇すると、圧迫装置1からマッチング液8が溢れるため、流量センサ9の計測結果による出力に基づき、マッチング液回収ライン72のバルブ72aを開く。
反対に、圧迫装置1を圧迫機構5で開放にさせるときは、圧迫装置1の容積が大きくなるため、液量センサ9の出力をフィードバッグして、圧力・流量調整バルブ71bを調整し、マッチング液8の供給圧力や供給流量を増やす。このように制御部は、検出部である液量センサ9の出力に基づいて、空間部からマッチング液が溢れないようにマッチング液の供給を制御する。
ここでは液量センサ9の出力に基づきマッチング液8の供給と回収の制御について説明したが、これに限定されない。
例えば、圧迫装置1はジャバラ6を用いているため、圧迫プレート2間の距離移動に伴う圧迫装置1内の容積の変化は再現する。
したがって、圧迫装置1の圧迫距離センサ(不図示)を設け、その出力から圧迫装置1の容積変化を算出することによって液量センサ9とし、マッチング液8の供給と回収の制御してもよい。この場合は、圧迫距離センサが本発明における検出部に相当する。
また、マッチング液8の殺菌・除菌のため、タンク72bでマッチング液8を沸騰させるとより衛生的になる。
なお、配管ユニット7内の各要素は図3に図示した順番に限定されない。
ここまで、マッチング液8は回収後、一度タンク72bに溜めると説明したが、これに限定されない。
マッチング液8は被検体に触れるため、次の人を測定する場合は、使いまわすことなく廃液する方が好ましい場合がある。
そして、さらに洗浄液を圧迫装置1内に供給できるように洗浄液供給ライン73を設けた。
なお、図3にも洗浄液供給ライン73を設けてもよい。ただし、マッチング液8と洗浄液が混ざらないよう、洗浄液を回収するラインを別途設けた方がよい。
以上の構成によれば、マッチング液8の補充や廃液のためのユーティリティを必要とするものの、他の被検体に触れたマッチング液8を圧迫装置1に充填させることがないため、より衛生的である。
そして、圧迫装置1を洗浄液で清掃できるため、さらに衛生的である。
実施例2においては、本発明の光音響計測に用いられる圧迫装置の圧迫制御方法の構成例について説明する。
まず、被検体(例えば、乳房)を測定する前に、以下の圧迫装置内部を洗浄する洗浄の工程(S51からS54)を順番に行う。
図5に、本実施例における上記洗浄工程について説明するためのフロー図を示す。
S51のマッチング液を廃液する工程において、液体回収ライン72のバルブ72aを開けて、圧迫装置1内のマッチング液8を排液する。
この時、バルブ71eとバルブ73aは閉じておく。
次に、S52の洗浄液を供給する工程において、液体回収ライン72のバルブ72aを閉じて、洗浄液供給ライン73のバルブ73aを開け、洗浄液供給ラインから洗浄液、例えばアルコールや熱湯を供給する。
そして、圧迫装置1に洗浄液が充填されたらバルブ73aを閉じる。この時、バルブ71eは閉じたままとする。
この状態で圧迫装置1の中の液体はマッチング液8から洗浄液で置換される。
なお、洗浄液の供給する流量が、液体回収の廃液流量よりも多い場合は、必ずしも液体回収ライン72のバルブ72aを閉じなくてもよい。
この時、バルブ71eとバルブ73aは閉じたままとする。
あるいはこの前に、洗浄液供給ライン73のバルブ73aと液体回収ライン72のバルブ72aを同時に明け、洗浄液を流し続けてもよい。
次に、S54のマッチングを供給する工程において、液体回収ライン72のバルブ72aを閉じ、マッチング液供給ライン71のバルブ71eを開けて、マッチング液8を供給する。
さらに、必要に応じて、圧迫装置1内の洗浄液のすすぎを行うために、工程S54の後、工程S53を行い、続けて工程S54を行う。これにより、洗浄液の残留を抑制することができる。
以上の方法によれば、圧迫装置1の中を殺菌、除菌することができるため、より衛生的になる。
図6に、本実施例における上記圧迫工程について説明するためのフロー図を示す。
まず、S61の挿入検知をする工程において、圧迫装置1内にマッチング液8が充填された状態で、被検体を圧迫装置に挿入する。
その際、マッチング液8が圧迫装置1から溢れださないよう、液体回収ライン72のバルブ72aを開いて、マッチング液8の流量制御を行い液量を調整する。あるいは、挿入する被検体の容積の分だけ、あらかじめ圧迫装置1内のマッチング液8を少なく充填させてもよい。
次に、S62の圧迫動作を開始する工程において、圧迫機構5により、被検体を圧迫させる。
次に、S64における圧迫動作を終了する工程において、二枚の圧迫プレート2間の距離が所定値になったら、あるいは圧迫力を測定するセンサを設け、そのセンサの出力が所定値になったら圧迫機構の駆動を終了する。
以上の方法によれば、マッチング液8を溢すことなく、被検体を圧迫させることができる。そして、圧迫の工程が完了した後、光音響による測定を行う。
この図7に示される方法による場合には、まず、S71の挿入検知をする工程において、圧迫装置1内のマッチング液8を空、もしくは十分に少ない液量にしておき、被検体を圧迫装置に挿入する。
次に、S72の圧迫動作を開始する工程において、圧迫機構5により、被検体を圧迫させる。
次に、S73の圧迫動作を終了する工程において、二枚の圧迫プレート2間の距離が所定値になったら、あるいは圧迫力を測定するセンサを設け、そのセンサの出力が所定値になったら圧迫機構の駆動を終了する。
次に、S74のマッチング液を充填する工程において、マッチング液8を圧迫装置1に充填する。
このように、工程S71から工程S74を行う場合、圧迫時(工程S72)はマッチング液8が圧迫装置1内に入っていないため、液体回収ライン72のマッチング液8を排液する流量が不足してもマッチング液8を圧迫装置1から溢すことはない。
実施例3においては、実施例1の圧迫装置を搭載した光音響計測装置の構成例について説明する。
図8に、光音響計測装置(乳がん撮影装置)(Photoacoustic mammography、以下これをPAMと表記する)の構成を示す。
光音響(Photoacoustic)とは、被検体内に照射された近赤外線が被検体内部の組織に吸収され、局所的に熱膨張するときに発生する音響波のことである。
この光音響波を超音波探触子で受信して光音響波固有の信号を抽出すれば、近赤外線を吸収した被検体組織を特異的に画像化することができる。
被検体組織の中でも特に血液(ヘモグロビン)が吸収しやすい波長を照射すれば、特異的に血液や血管の画像を取得でき、特にがんの血管新生を撮影することができる。そのため、がんの進行度をより詳細に把握することができる。
図8は、このような被検体内部に近赤外線を照射して入射させ、被検体内部で発生する光音響波を超音波探触子で受信し、被検体内部の組織画像を表示する光音響計測装置の原理を乳がんの測定に適用したものである。
図8において、1は図1から図7まで用いて説明した圧迫装置である。
そして、10は被検体(乳房)から光音響波を発生させるため、650nmから1100nm程度の波長のレーザ光を照射するための照明光学系である。
この照明光学系は、近赤外線を少なくとも前記平行平板の少なくとも一枚の平板越し(圧迫プレート越し)に、被検体へ照射するための照明光学系により構成することができる。
なお、レーザ光源ならびに、レーザ光源から照明光学系10までの照明光の引き回しは不図示とした。
11は照明光学系からの近赤外線をスキャンさせ照射位置を調整する照明光スキャンユニットである。
12は被検体(乳房)から発せられた光音響波を受信する探触子であり、13は探触子12をスキャンさせ、探触子を所定の領域の中で位置合わせするための探触子スキャンユニットである。
そして、三次元画像再構成された画像情報をモニタに表示する。なお、これらの処理部やモニタは、図8において不図示とした。
光音響信号の信号処理から三次元画像再構成までの方法は、公知の手法を適用すればよく、本発明はここで説明した手法に限定されるものではない。
圧迫装置1内には被検体(乳房)から探触子12までの音響インピーダンスの整合をとるために、マッチング液を充填する。マッチング液は脱気水が好ましく、その他ひまし油などの油でもよい。
照明光学系10側の圧迫プレート2の材質はポリカーボネートのような樹脂や石英などのガラスが好適である。
もう一方の探触子が配置される側の圧迫プレート2は、被検体(乳房)から探触子までの音響インピーダンスの整合をとるため、材質は樹脂が好ましく、特にポリメチルペンテンで形成することが好適である。
ここまで説明した圧迫容器1を光音響装置に搭載すれば、清掃の手間を軽減することができるため、光音響装置の運転効率を向上させることができる。
なお、以上で説明した本発明の圧迫装置およびその制御方法は、光音響装置だけでなく、超音波装置にも適用することができる。
2:圧迫プレート
3:圧迫プレート締結部
4:ガイド
5:圧迫機構
6:ジャバラ
7:配管ユニット
8:マッチング液
9:液量センサ
10:照明光学系
11:照明光スキャンユニット
12:探触子
13:探触子スキャンユニット
Claims (13)
- 被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられる、該被検体を圧迫するための圧迫装置であって、
前記被検体を圧迫する際に用いられる、圧迫プレート締結部に保持されており、且つ水平面に対し垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートと、
前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間とを覆って封止するように前記圧迫プレート締結部に固定されると共に、該二枚の圧迫プレートの上面間を覆わずに上部が開口するように配設されたフレキシブル部材と、
前記圧迫プレート締結部に接続されたガイドに沿って、前記垂直方向に対向させた二枚の圧迫プレート間の距離を相対的に移動させ、前記被検体を挟んで圧迫する圧迫機構と、
前記二枚の圧迫プレートと該二枚の圧迫プレートの両側面間と下面間に配設されたフレキシブル部材とで囲まれた空間部に、マッチング液を供給し、該供給されたマッチング液を廃液する配管ユニットと、
を有することを特徴とする圧迫装置。 - 前記空間部に供給される前記マッチング液の供給具合を検出する検出部を有することを特徴とする請求項1に記載の圧迫装置。
- 前記検出部の出力に基づいて、前記空間部から前記マッチング液が溢れないように前記マッチング液の供給を制御する制御部を有することを特徴とする請求項2に記載の圧迫装置。
- 前記フレキシブル部材は、ジャバラ、ベローズ、樹脂フィルムまたはゴムシートのいずれかの部材によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧迫装置。
- 前記配管ユニットは、
前記マッチング液の供給または廃液を制御するためのバルブ、
前記マッチング液を溜めるためのタンク、
前記マッチング液を送液するためのポンプ、
前記マッチング液の圧力または流量を調整する圧力・流量調整バルブ、
前記マッチング液を加熱するためのヒータ、
前記マッチング液から不純物を除去するためのフィルタ、
前記マッチング液に含まれる溶存ガスを脱気する脱気水生成装置、
のうち、少なくともいずれかを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧迫装置。 - 前記配管ユニットは、洗浄液の供給を制御するためのバルブを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の圧迫装置。
- 二枚の圧迫プレートの間に被検体を挟んで圧迫する圧迫装置を備え、該圧迫装置により被検体を圧迫し、該被検体に入射させた光による超音波を光音響信号として検出する光音響計測装置であって、
前記圧迫装置が、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧迫装置によって構成された圧迫手段と、
前記光を前記圧迫プレート越しに、被検体へ照射するための照明光学系と、
前記被検体から発生した光音響信号を前記圧迫プレート越しから受信する探触子と、
前記探触子が受信した光音響信号を処理し画像再構成する処理部と、
を有することを特徴とする光音響計測装置。 - 前記二枚の圧迫プレートのうち、探触子が配置される側の圧迫プレートは樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光音響計測装置。
- 前記探触子が配置される側の圧迫プレートを形成している樹脂は、ポリメチルペンテンからなることを特徴とする請求項8に記載の光音響計測装置。
- 被検体からの超音波を受信して該被検体の生体情報を取得する超音波測定に用いられる、該被検体を圧迫するための圧迫装置の圧迫制御方法であって、
請求項1から6のいずれか1項に記載の圧迫装置を備え、前記空間部の内部を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程の後に、前記二枚の圧迫プレートで前記被検体を挟んで圧迫する圧迫工程と、
を有することを特徴とする圧迫制御方法。 - 前記洗浄工程は、
前記空間部に供給されたマッチング液を廃液する工程と、
前記空間部の内部に洗浄液を供給する工程と、
前記洗浄液を供給する工程の後に、前記空間部の内部に供給された洗浄液を廃液する工程と、
前記洗浄液を廃液する工程の後に、前記空間部の内部にマッチング液を供給する工程と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の圧迫制御方法。 - 前記圧迫工程は、
前記被検体の前記空間部の内部への挿入を検知する工程と、
前記被検体を圧迫するために圧迫機構により圧迫動作を開始する工程と、
前記空間部の内部へ充填されるマッチング液の液量を制御する工程と、
前記圧迫機構による圧迫動作を終了する工程と、
を有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の圧迫制御方法。 - 前記マッチング液の流量制御工程は、前記空間部に供給される前記マッチング液の供給具合を検出する検出部の出力に基づいて、
前記空間部から前記マッチング液が溢れないように前記マッチング液の供給を制御することを特徴とする請求項12に記載の圧迫制御方法。
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