JP5449068B2 - アンバランスを調整した回転体装置、及び、回転体のアンバランス調整方法 - Google Patents
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Description
一例として、ブロワと呼ばれるファンを備えた回転体を内蔵した空気調和装置を搭載する自動車について説明すると、回転体にアンバランスがある場合は、空気調和装置で発生した振動が車体に伝わり、ハンドル振動の原因となる。この振動が快適性要求を損ねるものとなっていた。そこで、ハンドル振動の発振源となる空気調和装置のファンアッセンブリの低振動化が求められていた。
この装置によりワーク118の動アンバランスを測定すれば、ワークに試し重りを付けて予めワーク回転数変動による振動特性を記憶し、ワーク回転数毎に最適な補正値を設定し、この補正値に基づいて2つのピックアップ信号のそれぞれの補正を行うことができる。
しかしながら、この方法においても、回転体を内蔵する装置ごとに多数のサンプルの振動値を評価し、実験結果から統計的に振動伝達係数α、βを求めるため、修正式を確立するのに手間がかかるといった問題点が指摘されていた。また、装置の設計変更のたびに同様の手間が必要となる。特に、ファンに適用する場合、装置に取り付ける錘は重さが一定な規格のものを用いることが多いため、伝達振動量を相殺する相殺伝達運動量に正確に合わせることが難しい点が指摘されていた。
M=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)…(1)
LA=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)…(2)
これにより、バランス量の修正式の確立手順を簡略化できることと、特に、上面と下面の間に、単位質量の錘を適当数使用して、計算式で求めた角度と高さに設置することで、相殺するバランス量を正確に設定することができる。調整面高さLAを、錘の質量m×個数nに対して適正な値に調整することで、相殺するバランス量を正確に設定することができる。錘の質量m×個数nは、整数倍に不連続的に変化する値であるので、アンバランスを調整する上で適切な値でない場合であっても、調整面高さLAが上記(2)式で求められる位置に、錘の質量m×個数nを取り付けることで、アンバランスを調整することができる。
M=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)・・・(1)
これにより、請求項1の発明と同様な作用効果がある。
LA’=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)…(2)
これにより、請求項2の発明と同様な作用効果がある。
図1は、本発明の一実施形態の説明図である。図2は、本発明の一実施形態において、アンバランスを調整する説明図である。
図1において、1は、送風機のファンである。ファン1は、シャフト2にD穴で固定されており、シャフト2は、本発明の回転体の回転軸を構成する。シャフト2は、駆動用モータを貫通して延びており、下部含浸軸受8、上部含浸軸受9で回転自在に支持されている。6は、アウターロータであって、シャフト2に固定されるとともに、マグネット7を有している。3は、センターピースであり、コイル5が設置されて、ステータを構成する。マグネット7を有するアウターロータ6とコイル5は、ファン1の駆動用モータ(回転駆動部の一部)を構成し、このモータはいわゆるアウターロータ型電動モータである。ファン1の駆動用モータとしては、これに限らずその他のタイプの電動モータを適用しても良い。
外部電源より通電されたコイル5に磁束変化が生じ、アウターロータ6に固定されたマグネット7を引き寄せる力が発生する。アウターロータ6は、シャフト2に固定されており、シャフト2は、センターピース3に含浸軸受8、含浸軸受9を介して支持されているため、マグネット7を引き寄せる力を受けてシャフト2の中心軸周りに回転運動する。また、ファン1も同様にシャフト2に固定されており、シャフト2、アウターロータ3と一体に回転運動するため、ファン1の翼部が空気に運動量を与え、ファン1の外周部より風を送り出す。
図3は、図1におけるアンバランスの状態を説明する模式図である。図4は、アンバランスベクトルの合成を説明する説明図である。
アンバランス(不釣合い)とは、大きさと方向を持つベクトル量である(機械工学便覧、基礎編α2「機械力学」α2−155頁、第17章回転機械の力学、釣合せ等参照)。
ファン1、シャフト2、アウターロータ3からなる回転体は、質量、形状のバラツキにより固有のアンバランス量を持つ。
M=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)…(1)
LA=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)…(2)
図6の本発明の別の一実施形態から、説明する。まず、ステップS101において、バランシングマシンで計測する第1検査面の高さL1、第2検査面高さL2を、ファン形状、錘の取付に適切な位置等を考慮して設定する。ステップS102において、回動中心15から任意の距離LAにある回転軸に垂直な調整面を決定する。通常、L1<LA<L2に設定すると良い。LAの一例としては、(L1+L2)/2とする。
図6と同様に、ステップS205において、合成ベクトルL1・A+L2・Bの絶対値が、所定値GAより大きいか否かを判別して、NOならば、不釣合いを修正する必要が無いので、ステップ108に行き、ENDとなる。
YESならば、ステップS206において、回転体の回転軸上において回動中心15から任意の距離LA、及び、回転軸からの錘の取付半径Rを定めて、単位質量mのn倍の値が、合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)に最も近くなるように個数n個を選定し、ステップ207で個数n個を決定する。ステップ208で、上記(2)式により、LA’=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)を算出する。ステップS209で、ステップ208で選定した距離LA’にある回転軸に垂直な調整面において、合成ベクトル方向から180°方向の角度位置で前記回転体の回転軸から前記錘の取付半径Rの位置に、単位質量mの錘を前記個数n個取り付け、ステップ210に行き、ENDとなる。
1a 錘の取付箇所
2 シャフト
3 センターピース
4 ゴムマウント
5 コイル
6 アウターロータ
7 マグネット
8 下部含浸軸受
9 上部含浸軸受
10 止めネジ
11 回転検出部
12 プレート
13 ケース
14 電子回路
15 回転中心
Claims (7)
- 回転体と該回転体を回転させる回転駆動部からなる回転体装置であって、
前記回転体の回転軸(2)は、前記回転駆動部に片持ち支持されて同軸に連結され、
前記回転駆動部は、マウント支持部に防振用弾性体を介して固定された回転体装置において、
前記回転体の回転軸上において、不釣合い遠心力による回転体装置の回動中心(15)から距離L1にある、前記回転軸に垂直な第1検査面における不釣合いベクトルをAとし、
前記回転体の回転軸上において、前記回動中心(15)から距離L2にある、前記回転軸に垂直な第2検査面における不釣合いベクトルをBとし、
前記不釣合いベクトルAと前記距離L1の積と、前記不釣合いベクトルBと前記距離L2の積との和として算出したベクトルを、合成ベクトルL1・A+L2・Bとしたときに、
前記合成ベクトルL1・A+L2・Bの絶対値が、所定値GAより大きい場合に限って、前記回転体の回転軸上において前記回動中心(15)から任意の距離LAにある、前記回転軸に垂直な調整面において、前記合成ベクトル方向から180°方向の角度位置で前記回転体の回転軸から錘の取付半径Rの位置に、次の(1)式で算出される質量Mの錘を取り付けてアンバランスを調整した回転体装置。
M=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)…(1) - 回転体と該回転体を回転させる回転駆動部からなる回転体装置であって、
前記回転体の回転軸(2)は、前記回転駆動部に片持ち支持されて同軸に連結され、
前記回転駆動部は、マウント支持部に防振用弾性体を介して固定された回転体装置において、
前記回転体の回転軸上において、不釣合い遠心力による回転体装置の回動中心(15)から距離L1にある、前記回転軸に垂直な第1検査面における不釣合いベクトルをAとし、
前記回転体の回転軸上において、前記回動中心(15)から距離L2にある、前記回転軸に垂直な第2検査面における不釣合いベクトルをBとし、
前記不釣合いベクトルAと前記距離L1の積と、前記不釣合いベクトルBと前記距離L2の積との和として算出したベクトルを、合成ベクトルL1・A+L2・Bとし、
前記合成ベクトルL1・A+L2・Bの絶対値が、所定値GAより大きい場合に限って、前記回転体の回転軸上において前記回動中心(15)から距離LAにある、前記回転体の回転軸に垂直な調整面において、前記合成ベクトル方向から180°方向の角度位置で前記回転体の回転軸から錘の取付半径Rの位置に、単位質量mの錘をn個取り付けたとき、
前記距離LAを、次の(2)式で算出される距離LAに定めることにより、アンバランスを調整した回転体装置。
LA=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)…(2) - 前記回転駆動部は、前記マウント支持部のマウント支持面における穴に嵌合した前記防振用弾性体を介して、前記マウント支持部に固定されており、前記マウント支持面上又は前記マウント支持面から所定値(ε)離れた、前記回転軸(2)上の位置に、前記回転体装置の回動中心(15)が存在することを特徴とする請求項1、又は、2項に記載の回転体装置。
- 前記回転体が、送風機のファンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転体装置。
- 回転体の回転軸(2)が回転駆動部に片持ち支持されて同軸に連結され、前記回転駆動部がマウント支持部に防振用弾性体を介して固定された回転体装置を、バランシングマシンに取り付けて、前記回転体の回転軸上において不釣合い遠心力による回転体装置の回動中心(15)から距離L1にある、前記回転軸に垂直な第1検査面における不釣合いベクトルAと、前記回動中心(15)から距離L2にある、前記回転軸に垂直な第2検査面における不釣合いベクトルBを計測するステップと、
前記不釣合いベクトルAと前記距離L1の積と、前記不釣合いベクトルBと前記距離L2の積との和を算出して合成ベクトルL1・A+L2・Bを算出するステップと、
前記合成ベクトルL1・A+L2・Bの絶対値が、所定値GAより大きい場合に限って、前記回転体の回転軸上において前記回動中心(15)から任意の距離LAにある、前記回転軸に垂直な調整面において、前記合成ベクトル方向から180°方向の角度位置で前記回転体の回転軸から錘の取付半径Rの位置に、次の(1)式で算出される質量Mの錘を取り付けてアンバランスを調整するステップを具備する回転体のアンバランス調整方法。
M=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)・・・(1) - 回転体の回転軸(2)が回転駆動部に片持ち支持されて同軸に連結され、前記回転駆動部がマウント支持部に防振用弾性体を介して固定された回転体装置を、バランシングマシンに取り付けて、前記回転体の回転軸上において不釣合い遠心力による回転体装置の回動中心(15)から距離L1にある、前記回転軸に垂直な第1検査面における不釣合いベクトルAと、前記回動中心(15)から距離L2にある、前記回転軸に垂直な第2検査面における不釣合いベクトルBを計測する計測ステップと、
前記不釣合いベクトルAと前記距離L1の積と、前記不釣合いベクトルBと前記距離L2の積との和を算出して合成ベクトルL1・A+L2・Bを算出するステップと、
前記合成ベクトルL1・A+L2・Bの絶対値が、所定値GAより大きい場合に限って、前記回転体の回転軸上において前記回動中心(15)から任意の距離LA、及び、前記回転体の回転軸からの錘の取付半径Rを定めて、単位質量mのn倍の値が、合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(LA・R)に最も近くなるように個数n個を選定するステップと、
前記計測ステップにより計測された不釣合いベクトルA、Bに基づいて、次の(2)式で算出される前記回動中心(15)から距離LA’にある、前記回転軸に垂直な調整面において、前記合成ベクトル方向から180°方向の角度位置で前記錘の取付半径Rの位置に、単位質量mの錘を前記個数n個取り付けるステップを具備する回転体のアンバランス調整方法。
LA’=合成ベクトルであるL1・A+L2・Bの絶対値/(n・m・R)…(2) - 前記回転体が、送風機のファンであることを特徴とする請求項5、又は、6項に記載の回転体のアンバランス調整方法。
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