JP5444052B2 - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
特に、操舵輪となる前輪タイヤのグリップ力を高めることにより、直進時のブレーキング力と旋回時の横力を向上させたタイヤが望まれている。
規定リムに規定内圧を充填したタイヤを規定荷重下で直進走行させた際にタイヤ接地面となる領域を直進時接地域と呼ぶとき、図1に示したパターンは、トレッド部の、直進時接地域Q1内に、赤道面CLを横切って傾斜する第1の傾斜溝91と、第1の傾斜溝91の各々に対応して赤道面CLを横切らないように設けられる第2の傾斜溝92とがそれぞれ多数、間隔をおいて周方向に配置されている。
第1の傾斜溝91とこれに対応する第2の傾斜溝92とは、互いに離隔し、しかも、赤道面CLに対して互いに反対向きに傾斜して設けられている。
このパターンは、サーキット走行に要求されるグリップ性能を高めるために、トレッド部全面積に占める溝部面積の割合(ネガティブ率)を極めて低く抑えている。
さらに、このようにネガティブ率を小さくすると面外曲げ剛性が上がり、旋回時において接地面積が低下し、グリップ性能の向上が妨げられるという問題もあった。
その結果、トレッドに主溝と、該主溝のタイヤ回転方向端部にタイヤ回転方向に離間して配置する補助溝とを適切な配置、形状として設けることで、グリップ性能とウェット性能とを両立させることができることの新規知見を得た。
(1)一対のビード部と、前記ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間にトロイダル状に跨るトレッドとを備え、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面の直進時接地域内にてトレッド周方向に延びる第1の溝と、前記第1の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部からトレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる第2の溝とからなる屈曲した主溝を備え、
さらに、前記第2の溝のトレッド幅方向外側且つ前期第2の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部から前記指定タイヤ回転方向に離間した位置に補助溝を有することを特徴とする、自動二輪車用空気入りタイヤ。
A≦B≦3A
を満たすことを特徴とする、上記(1)に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
図2は、本発明の一実施形態に従う自動二輪車用タイヤ(以下「タイヤ」という)を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態のタイヤは、慣例に従い、一対のビード部1と該ビード部1に連なる一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2にトロイダル状に跨るトレッド3とを備える。
ビード部1は、ビードコア1aを有し、ビードコア1a間にはカーカス4がトロイダル状に延在し、該カーカス4のタイヤ径方向外側にベルト5を有する。
まず、図3(a)に示すように、トレッド3の接地域Qは、車両の直進時接地域Q1とQ1よりトレッド幅方向外側の外側接地域Q2とに分けられる。「直進時接地域」とは、規定リムに規定内圧を充填したタイヤを規定荷重下で直進走行させた際にタイヤ接地面となる領域のことをいう。
第1の溝6と第2の溝7とは、連結して主溝8を形成している。
また、第2の溝7のトレッド幅方向外側且つ第2の溝7の指定タイヤ回転方向の端部から該指定タイヤ回転方向に離間した位置に補助溝9を有する。
図3(a)に示すように、主溝8は、タイヤ周方向に間隔を置いて、タイヤ赤道面CLを挟む一方側と他方側のトレッド面に交互に配置したパターンを形成している。補助溝9についても同様である。
ここで、「第1の溝が直進時接地域内で延びる」とは、第1の溝6の溝面積の70%以上が直進時接地域Q1内にあることを意味し、第1の溝6を、部分的には外側接地域Q2にまたがって配置してもよい。また、「第2の溝が外側接地域で延びる」とは、第2の溝7の溝面積の50%以上が外側接地域Q2内にあることを意味し、部分的には直進時接地域内Q1にまたがって配置しても良い。
そのためには、トレッドにおける溝は外力の方向に沿った配置とすることが必要である。すなわち、かような配置とすることで、陸部が最も変形しづらくなり、外力に対する引張り剛性が維持されるからであり、また、外力の向きに発生する陸部のすべりは、溝内の水と相対的な動きをするため、排水性が向上するからである。
これにより、車両の直進時において、外力による陸部の変形が抑えられて、直進時接地域Q1における接地面積が確保されるため、グリップ力が向上する。また、上述のように直進時接地域Q1内における排水性も向上する。
これにより、車両の旋回時において、外力による陸部の変形が抑えられて、外側接地域Q2における接地面積が確保されるため、グリップ力が向上する。また、上述のように外側接地域内Q2における排水性も向上する。
自動二輪車では、走行状態が変化するにつれて、接地面の位置が変化し、要求される性能も異なってくる。すなわち、キャンバー角が大きくなるほど、接地面はトレッド幅方向外側となり、横方向のグリップ性能がより重要となるため、溝7のトレッド幅方向外側ほど、よりトレッド幅方向に沿う形状とする必要があるからである。
L≧l且つW≧2w
を満たすようにすることが好ましい。
L<l又はW<2wである場合、主溝8による排水効果が十分でなく、溝6と溝7とを連結させた効果が十分でなくなるからである。
旋回時においては、キャンバー角に応じてブロックが接地面積を確保できるように変形できること、すなわち面外曲げ剛性を低減させることが有効であるが、本実施形態にかかるタイヤは、補助溝9が第2の溝7のトレッド幅方向外側且つ第2の溝7の指定タイヤ回転方向端部から該指定タイヤ回転方向に離間した位置にあることで、主溝8と補助溝9とが連結している場合に比べ、溝が旋回時の入力の方向に延びる距離が小さくなるため、該入力に対する剛性(面外曲げ剛性)を低減させ、接地面積を増加させて、旋回時のグリップ性能を向上させることができる。これにより、旋回時の横力を大きく発生させることができる。
なぜなら、20mmより大きいと、補助溝9と主溝8とが離れすぎ、面外曲げ剛性を十分低減させることができなくなるからである。
A≦B≦3A
補助溝9の幅Bが幅Aより小さいと面外曲げ剛性を低減させる効果が不十分であり、一方で幅Bを幅Aより大きくしすぎると、旋回時の入力を妨げる溝部分が大きくなりすぎ、グリップ力が低下してしまうからである。
ここで「連結部での第2の溝の幅」とは、第1の溝と第2の溝とをくの字状に屈曲した形状に連結させたときの2つの屈曲点8aを結んだ線分の長さをいう。
それに対応して幅Bは、2mm以上、14mm以下とするのが好ましい。2mm未満であると、面外曲げ剛性が十分に低下せず、横力の向上が望めず、14mmより大きいと、入力を妨げ、グリップ力が低下してしまうからである。
さらに、補助溝9と主溝8のトレッド幅方向の離間距離Eは、1mm以上とするのが好ましい。1mm未満であるとグリップ力が低下するからである。
第1の溝全体が直進時接地領域にある場合に、直進時の入力に対する引張り剛性が高まり、接地面積が増加して、最も直進時のグリップ性能が向上するからである。
ここで発明例1〜12として、図3(a)に示すタイプのトレッドを有する、タイヤサイズがMCR120/70ZR17/Cの前輪タイヤを試作した。
また、従来例として、図1に示すタイプのトレッドを有する、タイヤサイズがMCR120/70ZR17/Cの前輪タイヤを用意した。
後輪タイヤは、タイヤサイズMCR190/50ZR17/Cの汎用品タイヤを共通して用いた。
また、発明例1〜6に係るタイヤは、第1の溝全体が直進時接地域Q1内にあり、一方で、発明例7〜12に係るタイヤは、第1の溝の溝面積の80%が直進時接地域Q1内にある。
各タイヤの諸元は表1に示している。
グリップ性能は、ドライ路面をドライバーがテスト走行したときのフィーリングを官能評価により採点したもので絶対レベルとして満足できるレベルを100として指数化することで評価した。
同様に、ウェット性能は、ウェット路面をドライバーがテスト走行したときのフィーリングを官能評価により採点したもので絶対レベルとして満足できるレベルを100として指数化することで評価した。
なお、これらの指数は、数値が大きいほうが、性能が優れていることを表す。
試験結果を以下の表2に示す。
さらに、発明例1と7、2と8、3と9、4と10、5と11、6と12の比較により、第1の溝全体が直進時接地域Q1内にある発明例1〜6は、第1の溝の溝面積の80%が直進時接地域Q1内にある発明例7〜12よりそれぞれグリップ性能が優れていることがわかる。
1a ビードコア
2 サイドウォール部
3 トレッド
4 カーカス
5 ベルト
6 第1の溝
7 第2の溝
8 主溝
8a 屈曲点
9 補助溝
91 傾斜溝
92 傾斜溝
A 連結部における第2の溝の幅
B 補助溝の幅
C 補助溝の長さ
D 主溝と補助溝とのタイヤ回転方向の離間距離
E 主溝と補助溝とのタイヤ幅方向の離間距離
L 主溝のトレッド周方向長さ
W 主溝のトレッド幅方向長さ
l 接地長
w 接地幅
Q 接地域
Q1 直進時接地域
Q2 外側接地域
R タイヤ回転方向
CL タイヤ赤道
Claims (3)
- 一対のビード部と、前記ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間にトロイダル状に跨るトレッドとを備え、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド踏面の直進時接地域内にてトレッド周方向に延びる第1の溝と、前記第1の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部からトレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる第2の溝とからなる屈曲した主溝を備え、
さらに、前記第2の溝のトレッド幅方向外側且つ前期第2の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部から前記指定タイヤ回転方向に離間した位置に補助溝を有することを特徴とする、自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記第1の溝と第2の溝との連結部における、前記第2の溝の幅をA、前記補助溝の幅をBとするとき、
A≦B≦3A
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記第1の溝全体を直進時接地域内に配置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
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