以下、本発明の実施形態に係る車両の操舵制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両の操舵制御装置が適用された電動パワーステアリング装置10を概略的に示している。
この電動パワーステアリング装置10は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵させるために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は、ステアリングシャフト12の上端に固定されており、ステアリングシャフト12の下端は、転舵ギアユニットUに接続されている。
転舵ギアユニットUは、例えば、ラックアンドピニオン式を採用したギアユニットであり、ステアリングシャフト12の下端に一体的に組み付けられたピニオンギア13の回転がラックバー14に伝達されるようになっている。また、転舵ギアユニットUには、運転者によって操舵ハンドル11に入力される操作力(より具体的には、操舵トルク)を軽減するための電動モータ15(以下、この電動モータをEPSモータ15という)が設けられている。そして、EPSモータ15が発生するアシスト力(より具体的には、アシストトルク)がラックバー14に伝達されるようになっている。
この構成により、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に伴うステアリングシャフト12の回転力がピニオンギア13を介してラックバー14に伝達されるとともに、EPSモータ15のアシストトルクがラックバー14に伝達される。これにより、ラックバー14は、ピニオンギア13からの回転力およびEPSモータ15のアシストトルクによって軸線方向に変位する。したがって、ラックバー14の両端に接続された左右前輪FW1,FW2は、左右方向に転舵されるようになっている。
次に、上述したEPSモータ15の作動を制御する、操舵制御装置としての電気制御装置20について説明する。電気制御装置20は、図示省略の電源(バッテリ)から電力の供給を受けて作動するものであり、バッテリ電圧センサ21、車速センサ22、操舵ハンドル11の回動操作に伴って変化する物理量を検出する複数のセンサとしての操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24を備えている。バッテリ電圧センサ21は、図示省略のバッテリの電圧V_BATを検出し、この電圧V_BATに応じた信号を出力する。車速センサ22は、車両の車速Sを検出し、この車速Sに応じた信号を出力する。
操舵トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12に組み付けられていて、運転者が操舵ハンドル11を回動操作することによってステアリングシャフト12に入力する操舵トルクTを検出し、この操舵トルクTに応じた信号を出力する。なお、操舵トルクセンサ23は、操舵ハンドル11が右方向に回動操作されたときの操舵トルクTを正の値として出力し、操舵ハンドル11が左方向に回動操作されたときの操舵トルクTを負の値として出力する。
ここで、操舵トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12の途中に設けられたトーションバーの捩れ角度に応じて電気抵抗または磁気抵抗を変化させ、それに応じた電圧信号を出力するタイプのセンサが用いられる。このため、本実施形態においては、操舵トルクセンサ23として、2組のレゾルバセンサを採用して実施する。なお、レゾルバセンサは、よく知られているように、トーションバーとともに回転するレゾルバロータと、レゾルバロータと向かい合って車体側に固定されるレゾルバステータとを備え、レゾルバロータまたはレゾルバステータの一方に励磁コイルである1次巻線が設けられ、他方に検出用コイルである一対の2次巻線がπ/2だけ位相をずらして設けられる。そして、1次巻線をSIN相信号により励磁することにより、2次巻線が回転角度に応じた2種類の誘起電圧信号としてSIN相出力信号とCOS相出力信号を出力する。したがって、レゾルバセンサを用いた操舵トルクセンサ23は、これらSIN相出力信号とCOS相出力信号の振幅比を求めることによって回転角位置を検出し、この回転角位置に対応する操舵トルクTを検出する。
モータ回転角センサ24は、EPSモータ15に組み付けられていて、予め設定された基準回転位置からの回転角Θを検出し、この回転角Θに応じた信号を出力する。なお、モータ回転角センサ24は、EPSモータ15の回転方向に関し、EPSモータ15が左右前輪FW1,FW2を右方向に転舵させるためにラックバー14に対してアシストトルクを付与するときの回転角Θを正の値として出力し、左右前輪FW1,FW2を左方向に転舵させるためにラックバー14に対してアシストトルクを付与するときの回転角Θを負の値として出力する。
また、電気制御装置20は、EPSモータ15の作動を制御する電子制御ユニット25を備えている。電子制御ユニット25は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、EPSモータ15の作動を制御する。このため、電子制御ユニット25の入力側には、上記各センサ21〜24が接続されており、これら各センサ21〜24によって検出された各検出値を用いて、後述するように、EPSモータ15の駆動を制御する。一方、電子制御ユニット25の出力側には、EPSモータ15を駆動させるための駆動回路26が接続されている。
次に、上記のように構成した電気制御装置20(より詳しくは、電子制御ユニット25)によるEPSモータ15の駆動制御について、電子制御ユニット25内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図2の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット25は、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に伴う負担を軽減するために、EPSモータ15の駆動を制御して適切なアシストトルクを付与するアシスト制御部30を有している。なお、以下の説明においては、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に応じて変化する操舵トルクTおよび回転角ΘとEPSモータ15を駆動制御して付与するトルク(アシスト力)との間の関係をアシスト特性という。
このアシスト制御部30は、運転者が入力する操舵トルクTを軽減するための目標アシストトルクTaを演算するアシストトルク演算部31と、EPSモータ15の回転に伴う慣性に対して運転者が入力する操舵トルクTを軽減するための目標慣性制御トルクTiを演算するモータ慣性制御部32と、EPSモータ15の回転駆動方向の変化に伴って発生する振動に対して運転者が入力する操舵トルクTを軽減するための目標ダンピング制御トルクTdを演算するダンピング制御部33とを有している。なお、目標ダンピング制御トルクTdが演算されることにより、例えば、旋回終了時における車両の挙動(所謂、収斂性)を向上させたり、安定性を向上させることができる。
また、アシストトルク制御部30は、アシストトルク演算部31、モータ慣性制御トルク演算部32およびダンピング制御トルク演算部33から出力される各目標トルクTa,Ti,Tdを加算する加算器34と、ダンピング制御トルク演算部33に対してEPSモータ15の回転角速度Θ’を供給する微分器35と、モータ慣性制御トルク演算部32に対してEPSモータ15の回転角加速度Θ’’を供給する微分器36とを備えている。まず、アシストトルク演算部31から説明する。
アシストトルク演算部31は、操舵トルクセンサ23によって検出された操舵トルクTの絶対値の増加に伴って増加する目標アシストトルクTaを演算する。このため、アシストトルク演算部31は、例えば、図3に示すようなアシストトルクマップ(後述するアシストトルクマップ1に相当)を参照して、入力した操舵トルクTの絶対値に対応する目標アシストトルクTaを演算する。ここで、アシストトルクマップには、操舵トルクTが小さいときに、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に対して付与するアシストトルクTaを「0」に設定する不感帯が設定されている。すなわち、不感帯においては、アシストトルク演算部31は、操舵トルクセンサ23によって検出された操舵トルクTの大きさを「0」とみなして目標アシストトルクTaを「0」として演算する。そして、アシストトルク演算部31は、演算した目標アシストトルクTaを加算器34に出力する。
なお、アシストトルク演算部31が参照するアシストトルクマップは、代表的な車速Sごとに設定されるものであり、車速Sの増大に伴って目標アシストトルクTaが相対的に小さくなり、車速Sの減少に伴って目標アシストトルクTaが相対的に大きくなるように設定されている。このため、このようなアシストトルクマップを用いることに代えて、例えば、目標アシストトルクTaを操舵トルクTおよび車速Sの関数として表し、この関数を用いて目標アシストトルクTaを演算するように実施することも可能である。
モータ慣性制御トルク演算部32は、微分器36から供給されたEPSモータ15の回転角加速度Θ’’の絶対値に応じて変化する目標慣性制御トルクTiを演算する。このため、モータ慣性制御トルク演算部32は、例えば、図4に示すような慣性制御トルクマップ(後述する慣性制御トルクマップ1に相当)を参照して、入力した回転角加速度Θ’’の絶対値に対応する目標慣性制御トルクTiを演算する。ここで、微分器36は微分器35から供給されたEPSモータ15の回転角速度Θ’を時間微分するものであり、微分器35はモータ回転角センサ24によって検出されたEPSモータ15の回転角Θを時間微分して回転角速度Θ’を演算するものである。そして、モータ慣性制御トルク演算部32は、演算した目標慣性制御トルクTiを加算器34に出力する。なお、このような慣性制御トルクマップを用いることに代えて、例えば、目標慣性制御トルクTiを回転角加速度Θ’’の関数として表し、この関数を用いて目標慣性制御トルクTiを演算するように実施することも可能である。
ダンピング制御トルク演算部33は、微分器35から供給されたEPSモータ15の回転角速度Θ’の絶対値に応じて変化する目標ダンピング制御トルクTdを演算する。このため、ダンピング制御トルク演算部33は、例えば、図5に示すようなダンピング制御トルクマップ(後述するダンピング制御トルクマップ1に相当)を参照して、入力した回転角速度Θ’の絶対値に対応する目標ダンピング制御トルクTdを演算する。そして、ダンピング制御トルク演算部33は、演算した目標ダンピング制御トルクTdを加算器34に出力する。なお、このようなダンピング制御トルクマップを用いることに代えて、例えば、目標ダンピング制御トルクTdを回転角速度Θ’の関数として表し、この関数を用いて目標ダンピング制御トルクTdを演算するように実施することも可能である。
加算器34においては、出力された各目標トルクTa,Ti,Tdを加算するとともに、この加算した合計トルクTt(アシスト力に相当)の大きさと予め定めた関係にあり、EPSモータ15に供給する電流を表すモータ電流指令値を決定する。そして、このように決定されたモータ電流指令値は駆動回路26に供給され、駆動回路26は供給されたモータ電流指令値に相当する駆動電流をEPSモータ15に供給する。これにより、EPSモータ15は、目標アシストトルクTa,目標慣性制御トルクTi,目標ダンピング制御トルクTdを反映した合計トルクTtをラックバー14に伝達することにより、運転者は良好な操舵フィーリングを知覚しながら、操舵ハンドル11を回動操作することができる。
ところで、上記のようにEPSモータ15を駆動制御する場合、特に、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の信頼性(すなわち検出精度)、言い換えれば、これら各センサ23,24による各検出値の信頼性が重要となる。そして、この信頼性は、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して電源(バッテリ)から供給される電力、より具体的には、供給される電圧の変化に依存して変化する。このため、電子制御ユニット25は、電源(バッテリ)の電圧変化に伴って変化する操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の信頼性レベルを判定する。以下、この信頼性レベルの判定について説明する。
電子制御ユニット25は、運転者によって図示しないイグニッションスイッチがオン状態とされると、図6に示す信頼性レベル判定プログラムの実行をステップS10にて開始する。そして、電子制御ユニット25は、続くステップS11にて、バッテリ電圧センサ21によって検出された電圧V_BATを入力して、ステップS12に進む。
ステップS12においては、電子制御ユニット25は、前記ステップS11にてバッテリ電圧センサ21から入力した電圧V_BATが、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して供給される電圧の大きさとして正常であるか否かを判定するために予め設定された判定電圧VB_TH1よりも大きいか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット25は、入力した電圧V_BATが判定電圧VB_TH1よりも大きければ、電源の電圧が十分に大きく正常であるため、「Yes」と判定してステップS13に進む。そして、電子制御ユニット25は、ステップS13にて、電源から操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して安定した大きさの電圧が供給されているため、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを最も高いことを表す「1」に設定する。一方、入力した電圧V_BATが判定電圧VB_TH1以下であれば、電源の電圧が低下しているため、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS14に進む。
ステップS14においては、電子制御ユニット25は、例えば、運転席近傍に配置されて、光や音によって運転者に電源の電圧低下を報知する報知装置を作動させ、運転者に対して電源の電圧が低下していることを報知する。そして、電子制御ユニット25は、続くステップS15において、入力した電圧V_BATが、判定電圧VB_TH1よりも小さく設定された判定電圧VB_TH2よりも大きいか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット25は、入力した電圧V_BATが判定電圧VB_TH2よりも大きければ、電源の電圧が若干低下しているため、「Yes」と判定してステップS16に進む。そして、電子制御ユニット25は、ステップS16にて、電源から操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して供給される電圧の大きさが若干低下しているため、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「1」よりも劣る「2」に設定する。一方、入力した電圧V_BATが判定電圧VB_TH2以下であれば、電源の電圧が大幅に低下しているため、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS17に進む。そして、電子制御ユニット25は、ステップS17にて、電源から操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して供給される電圧の大きさが大幅に低下しているため、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「2」よりも劣る「3」に設定する。
このように、前記ステップS13、ステップS16またはステップS17における処理を実行すると、電子制御ユニット25は、ステップS18にて、信頼性レベル判定プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、電子制御ユニット25は、ふたたび、ステップS10にて信頼性レベル判定プログラムの実行を開始する。ここで、前記ステップS12およびステップS15における電圧V_BATの大きさの判定処理において、電圧V_BATを判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2と比較して大きさを判定する場合には、電圧V_BATの僅かな変化に伴い「Yes」判定または「No」判定が繰り返される(所謂、ハンチングの生じる)可能性がある。
このため、前記ステップS12およびステップS15における電圧V_BATの大きさの判定処理においては、図7に示すように、判定電圧VB_TH1よりも僅かに大きな判定電圧VB_TH11を設定するとともに、判定電圧VB_TH2よりも僅かに大きな判定電圧VB_TH21を設定することによって、判定条件にヒステリシスを設けることが好ましい。これにより、電圧V_BATの僅かな変化に伴う判定のハンチングの発生を効果的に防止することができて、電圧V_BATの大きさをより正確に判定することができる。その結果、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを適切に設定することができる。
ところで、本実施形態において代表的に説明する操舵トルクセンサ23とモータ回転角センサ24とでは、例えば、操舵トルクセンサ23の方が電源(バッテリ)の電圧変化の影響を受けやすい。このため、アシストトルク演算部31が操舵トルクセンサ23によって検出された操舵トルクTを用いて目標アシストトルクTaを演算する際、例えば、目標アシストトルクTaのうち大きな比率を占める基本アシストトルク分を検出操舵トルクTに基づいて設定すると、運転者が知覚する操舵フィーリングが悪化する可能性がある。
したがって、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の検出精度すなわち信頼性レベルを判定するにあたっては、判定対象となるセンサごとに判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2が設定される。具体的に、本実施形態においては、操舵トルクセンサ23の判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2がモータ回転角センサ24の判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2よりも大きな値に設定して判定する。
このように、操舵トルクセンサ23用の判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2と、モータ回転角センサ24用の判定電圧VB_TH1および判定電圧VB_TH2とをそれぞれ設定して信頼性レベルを判定することにより、それぞれの信頼性レベルが異なる状況が生じる。
すなわち、バッテリ電圧センサ21から供給された電圧V_BATが操舵トルクセンサ23用の判定電圧VB_TH1よりも小さく、かつ、モータ回転角センサ24用の判定電圧VB_TH1よりも大きい場合には、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)の信頼性レベルを「2」と判定し、モータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「1」と判定する。また、バッテリ電圧センサ21から供給された電圧V_BATが操舵トルクセンサ23用の判定電圧VB_TH2よりも小さく、かつ、モータ回転角センサ24用の判定電圧VB_TH2よりも大きい場合には、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)の信頼性レベルを「3」と判定し、モータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「2」と判定する。なお、このように判定した信頼性レベルは、電子制御ユニット25の図示しないRAM内の所定記憶位置に記憶される。
一方、電子制御ユニット25は、信頼性レベル判定プログラムの実行によって決定した操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24のそれぞれの信頼性レベルに応じてアシスト特性を変更する。以下、このアシスト特性の変更について詳細に説明する。
電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24(すなわち、検出操舵トルクTおよび検出回転角Θ)のそれぞれの信頼性レベルを決定すると、図8に示すアシスト特性変更プログラムを実行する。具体的には、電子制御ユニット25は、ステップS30にてアシスト特性変更プログラムの実行を開始し、ステップS31にて、RAMに記憶したそれぞれの信頼性レベルを入力する。
そして、電子制御ユニット25は、アシスト特性変更プログラムのステップS32〜ステップS36にて操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)の信頼性レベルに応じてアシスト特性、より詳しくは、アシストトルクマップを変更し、ステップS37〜ステップS41にてモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルに応じてアシスト特性、より詳しくは、慣性制御トルクマップおよびダンピング制御トルクマップを変更する。以下、まず、ステップS32〜ステップS36の各ステップ処理から説明する。
ステップS32において、電子制御ユニット25は、前記ステップS31にて入力した操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「1」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「1」であれば、「Yes」と判定してステップS33に進む。
ステップS33においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが最も高いために、図3に示した不感帯の最も小さいアシストトルクマップ1を採用する。これは、操舵トルクセンサ23の検出精度が高く、極めて正確に操舵トルクTを検出できるためである。このように、不感帯の最も小さいアシストトルクマップ1を採用することにより、アシストトルク制御部30のアシストトルク演算部31は、検出操舵トルクTの値が「0」近傍の値に対しても適切なアシストトルクTaを演算することができる。
一方、前記ステップS32において、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「1」でなければ、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS34に進む。
ステップS34においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「2」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「2」であれば、「Yes」と判定してステップS35に進む。
ステップS35においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベル「2」に対応して、図9に示すように、不感帯の大きなアシストトルクマップ2を採用する。これは、操舵トルクセンサ23の検出精度が低下(悪化)して検出操舵トルクTが不安定となる状況が生じるため、不感帯の大きさをアシストトルクマップ1よりも大きく設定し、運転者が知覚する違和感を抑制するためである。このように、不感帯を大きく設定したアシストトルクマップ2を採用することにより、アシストトルク制御部30のアシストトルク演算部31は、検出操舵トルクTの値が「0」近傍の値に対してアシストトルクTaを「0」として演算することができる。これにより、特に、操舵トルクセンサ23による検出操舵トルクTが小さくて不安定となる状況においては、アシストトルクTaを「0」とすることができて、運転者が知覚する違和感を抑制することができる。
一方、前記ステップS34において、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「2」でなければ、言い換えれば、信頼性レベルが「3」であれば、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS36に進む。
ステップS36においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが「3」であるため、図10に示すように、アシストトルクTaを「0」とするアシストトルクマップ3を採用する。これは、操舵トルクセンサ23の検出精度が大幅に低下(悪化)して検出操舵トルクTが不安定であるため、この検出操舵トルクTを用いて決定されるアシストトルクTaを「0」とし、運転者が知覚する違和感を抑制するためである。このように、アシストトルクTaを「0」とするアシストトルクマップ3を採用することにより、アシストトルク制御部30のアシストトルク演算部31は、信頼性レベルが「3」である状態においてアシストトルクTaを「0」として演算することができる。これにより、操舵トルクセンサ23による検出操舵トルクTが不安定となる状況においては、アシストトルクTaを「0」とすることができて、運転者が知覚する違和感を抑制することができる。
ここで、例えば、電源(バッテリ)から供給される電圧が一時的に低下して操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが一時的に悪化した場合であっても、ふたたび電圧が復帰して信頼性レベルが上昇(改善)したときには、アシストトルクマップ1またはアシストトルクマップ2が採用されることにより、検出操舵トルクTを用いてアシストトルクTaが演算される。すなわち、アシストトルクマップは操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)信頼性レベルに応じて適宜変更され、アシストトルクTaは適宜変更されるアシストトルクマップ、言い換えれば、アシスト特性に基づいて適切に演算される。
次に、アシスト特性変更プログラムにおけるステップS37〜ステップS41の各ステップ処理を説明する。
電子制御ユニット25は、ステップS36の実行後、ステップS37に進む。ステップS37においては、電子制御ユニット25は、前記ステップS31にて入力したモータ回転角センサ24の信頼性レベルが「1」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「1」であれば、「Yes」と判定してステップS38に進む。
ステップS38においては、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが最も高いために、図4に示した慣性制御トルクマップ1および図5に示したダンピング制御トルクマップ1を採用する。これは、モータ回転角センサ24の検出精度が高く、極めて正確にEPSモータ15の回転角Θを検出できるためである。このように、慣性制御トルクマップ1およびダンピング制御トルクマップ1を採用することにより、アシストトルク制御部30のモータ慣性制御トルク演算部32およびダンピング制御トルク演算部33は、検出回転角Θから計算されるEPSモータ15の回転角加速度Θ’’および回転角速度Θ’の値に対して適切な目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdを演算することができる。
一方、前記ステップS37において、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「1」でなければ、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS39に進む。
ステップS39においては、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「2」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「2」であれば、「Yes」と判定してステップS40に進む。
ステップS40においては、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベル「2」に対応して、図11に示すように目標慣性制御トルクTiが小さくなる慣性制御トルクマップ2を採用するとともに、図12に示すように目標ダンピング制御トルクTd(絶対値)が小さくなるダンピング制御トルクマップ2を採用する。これは、モータ回転角センサ24の検出精度が低下(悪化)して検出回転角Θが不安定となる状況が生じるためである。このため、回転角加速度Θ’’の大きさに対して目標慣性制御トルクTiを慣性制御トルクマップ1よりも小さく設定するとともに、回転角速度Θ’の大きさに対して目標ダンピング制御トルクTd(絶対値)をダンピング制御トルクマップ1よりも小さく設定する。そして、このように慣性制御トルクマップ2およびダンピング制御トルクマップ2を採用することにより、アシストトルク制御部30のモータ慣性制御トルク演算部32およびダンピング制御トルク演算部33は、検出回転角Θの値が不安定となる状況においては、目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTd(絶対値)を小さく演算することにより、運転者が知覚する違和感を抑制することができる。
一方、前記ステップS39において、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「2」でなければ、言い換えれば、信頼性レベルが「3」であれば、電子制御ユニット25は「No」と判定してステップS41に進む。
ステップS41においては、電子制御ユニット25は、モータ回転角センサ24の信頼性レベルが「3」であるため、図13に示すように目標慣性制御トルクTiを「0」とする慣性制御トルクマップ3を採用するとともに、図14に示すように目標ダンピング制御トルクTdを「0」とするダンピング制御トルクマップ3を採用する。これは、モータ回転角センサ24の検出精度が大幅に低下(悪化)して検出回転角Θが不安定であるため、この検出回転角Θ(すなわち回転角加速度Θ’’または回転角速度Θ’)を用いて決定される目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdを「0」とするためである。
このように、目標慣性制御トルクTiを「0」とする慣性制御トルクマップ3および目標ダンピング制御トルクTdを「0」とするダンピング制御トルクマップ3を採用することにより、アシストトルク制御部30のモータ慣性制御トルク演算部32およびダンピング制御トルク演算部33は、信頼性レベルが「3」である状態において目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdを「0」として演算することができる。これにより、モータ回転角センサ24による検出回転角Θが不安定となる状況においては、目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdが「0」であるため、運転者が知覚する違和感を抑制することができる。
ここで、例えば、電源(バッテリ)から供給される電圧が一時的に低下してモータ回転角センサ24の信頼性レベルが一時的に悪化した場合であっても、ふたたび電圧が復帰して信頼性レベルが上昇(改善)したときには、慣性制御トルクマップ1およびダンピング制御トルクマップ1、または、慣性制御トルクマップ2およびダンピング制御トルクマップ2が採用されて目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdが演算される。すなわち、慣性制御トルクマップおよびダンピング制御トルクマップはモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルに応じて適宜変更され、目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdは適宜変更される慣性制御トルクマップおよびダンピング制御トルクマップ、言い換えれば、アシスト特性に基づいて適切に演算される。
このように、前記ステップS41の処理を実行すると、電子制御ユニット25は、ステップS42に進み、アシスト特性変更プログラムの実行を一旦終了する。そして、電子制御ユニット25は、所定の短い時間の経過後、ふたたび、ステップS30にてアシスト特性変更プログラムの実行を開始する。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態によれば、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)の信頼性レベルとモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルとをそれぞれ個別に判定することができる。そして、それぞれの信頼性レベルに応じて、検出操舵トルクTを用いて決定されるアシスト特性と検出回転角Θを用いて決定されるアシスト特性とをそれぞれ個別に変更することができる。
これにより、例えば、操舵トルクセンサ23の信頼性レベルが低下(悪化)しているもののモータ回転角センサ24の信頼性レベルが未だ高い状況においては、検出操舵トルクTと目標アシストトルクTaとの関係を決定するアシスト特性(アシストトルクマップ)のみを変更することができる。その結果、運転者が実際に操舵ハンドル11を回動操作するために入力する操舵トルクTを軽減する効果は若干損なわれるものの、EPSモータ15の回転に伴う慣性に対して入力する操舵トルクTの軽減効果や、EPSモータ15の回転駆動方向の変化に伴って発生する振動に対して入力する操舵トルクTの軽減効果は十分に維持することができる。
このように、本実施形態によれば、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)の信頼性レベルとモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルが異なる場合であっても、これら異なる信頼性レベルに応じて変更されるアシスト特性を組み合わせることにより、運転者による操舵ハンドル11の回動操作を引き続きアシストすることができる。したがって、アシスト停止に伴う運転者への影響を最小限に留めることができる。
上記実施形態においては、電子制御ユニット25は、電源(バッテリ)から供給される電圧をバッテリ電圧センサ21が検出し、この検出された電圧V_BATの大きさに応じて操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを判定するように実施した。
ところで、車両に搭載される各種センサは、それぞれ、作動に際して検出精度を保証する保証温度範囲が設定されている。すなわち、保証温度範囲内でセンサが作動する場合には、高い検出精度により対象となる物理量を検出することができ、保証温度範囲を逸脱するほど検出精度が低下する。したがって、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の作動温度を検出し、この作動温度と保証温度範囲とを比較することによって操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを判定することも可能である。以下、この変形例について説明する。
この変形例においては、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に対して作動温度を検出する温度センサがそれぞれ設けられている。そして、各温度センサによって検出された作動温度は電子制御ユニット25に出力されるようになっており、電子制御ユニット25は、この出力された操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の各作動温度に基づいて信頼性レベルを判定する。
すなわち、この変形例においても、電子制御ユニット25は、上記実施形態と同様に、図6に示した信頼性判定プログラムを実行する。ただし、この場合には、ステップS11の入力処理、ステップS12およびステップS15の判定処理、ステップS14の報知処理がそれぞれ変更される。
具体的に説明すると、変更されたステップS11においては、電子制御ユニット25は、各温度センサから操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の各作動温度を入力する。そして、続く変更されたステップS12においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24ごとに予め設定されているそれぞれの保証温度範囲と前記変更されたステップS11にて入力した各作動温度とを比較し、作動温度が保証温度範囲内であれば「Yes」と判定してステップS13に進み、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「1」に設定する。
一方、作動温度が保証温度範囲内になければ、電子制御ユニット25は、変更されたステップS12にて「No」と判定し、変更されたステップS14に進む。変更されたステップS14においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24のうちの少なくとも一方の作動温度が保証温度範囲を逸脱していることを運転者に報知する。そして、電子制御ユニット25は、続く変更されたステップS15に進む。
変更されたステップS15においては、電子制御ユニット25は、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24ごとに予め設定されている保証温度範囲よりも大きな温度範囲と作動温度とを比較し、この大きな温度範囲内に作動温度があれば「Yes」と判定してステップS16に進む。そして、電子制御ユニット25は、ステップS16にて、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「2」に設定する。
一方、作動温度が保証温度範囲よりも大きな温度範囲内になければ、電子制御ユニット25は、変更されたステップS15にて「No」と判定し、ステップS17に進む。そして、電子制御ユニット25は、ステップS17にて、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを「3」に設定する。
このように、変更された信頼性レベル判定プログラムを実行することにより、電子制御ユニット25は、上記実施形態と同様に、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルをそれぞれ判定することができる。そして、このように判定した信頼性レベルに基づき、上記実施形態と同様にアシスト特性変更プログラムを実行することにより、信頼性レベルに応じてアシスト特性を変更することができる。したがって、この変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、電源(バッテリ)から操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に供給される電圧V_BATの大きさに基づいて、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを判定するように実施した。また、上記変形例においては、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24の作動温度に基づいて、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルを判定するように実施した。
しかし、操舵トルクセンサ23(すなわち検出操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち検出回転角Θ)の信頼性レベルは、例えば、これらセンサ23,24から電子制御ユニット25に出力される信号強度や通信回線の異常の有無などに基づいて判定することもできる。この場合においても、例えば、それぞれの信号強度に応じた信頼性レベルを判定することによって、上記実施形態および変形例と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態およびその変形例においては、信頼性レベルを「1」〜「3」の3つのレベルとして実施した。しかし、信頼性レベルのレベル数に関しては、これに限定されるものではなく、よりレベルを細分化して実施可能であることは言うまでもない。このようにレベルをより細分化することにより、よりきめ細やかにアシスト特性を変更することができ、より適切なアシストトルクを付与する操舵制御が可能となる。
また、上記実施形態およびその変形例においては、操舵トルクセンサ23(すなわち操舵トルクT)およびモータ回転角センサ24(すなわち回転角Θ)の信頼性レベルを判定した。そして、この判定した信頼性レベルに応じて操舵トルクTを用いるアシスト特性(目標アシストトルクTa)と、回転角Θを用いるアシスト特性(目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTd)を変更するように実施した。
この場合、操舵トルクセンサ23およびモータ回転角センサ24に代えて、車両に搭載されて操舵ハンドル11の回動操作に伴って変化する物理量を検出する各種センサ、例えば、運転者による操舵ハンドル11の回動操作量を検出する操舵角センサ、左右前輪FW1,FW2の転舵量を検出する転舵角センサ、EPSモータ15に設けられて駆動電流を検出するモータ電流検出センサ、EPSモータ15のモータ端子電圧を検出するモータ電圧センサなどを採用して実施することも可能である。
例えば、モータ回転角センサ24に代えてまたは加えて操舵角センサを採用し、EPSモータ15が操舵角センサによって検出される操舵ハンドル11の回動操作量(操舵角)の変化にも応じて駆動制御される場合を想定する。この場合には、例えば、操舵角センサの信頼性レベルが「1」のときに慣性制御トルクマップ1(およびダンピング制御トルクマップ1)を採用し、信頼性レベルが「2」のときに慣性制御トルクマップ2(およびダンピング制御トルクマップ2)を採用し、信頼性レベルが「3」のときに慣性制御トルクマップ3(およびダンピング制御トルクマップ3)を採用するようにする。このように、他のセンサを採用した場合であっても、上記実施形態およびその変形例と同様に、各種センサについてそれぞれの信頼性レベルを判定し、これらセンサによる各検出値を用いて決定されるアシスト特性またはその他の特性を信頼性レベルに応じて変更することにより、上記実施形態およびその変形例と同様の効果が期待できる。
さらに、上記実施形態および変形例においては、アシスト制御部30のアシストトルク演算部31、モータ慣性制御部32およびダンピング制御部33が、それぞれ、目標アシストトルクTa、目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdを演算し、加算器34がこれら各目標トルクTa,Ti,Tdを加算して合計トルクTtを演算するように実施した。この場合、加算器34を省略し、駆動回路26に対して、目標アシストトルクTa、目標慣性制御トルクTiおよび目標ダンピング制御トルクTdを出力するように実施することも可能である。この場合においても、信頼性レベルに応じて、アシストトルクマップ、慣性制御トルクマップおよびダンピング制御トルクマップが変更されることによって、上記実施形態および変形例と同様の効果が得られる。