JP5331281B2 - 写像性の改良されたポリプロピレン系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
特定の性状を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体に特定のポリエチレ
ンを配合し、更に造核作用のある成分を添加したポリプロピレン系樹脂組成物をフィルム
とした際には、極めて高い写像性が得られることを見いだし、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、メタロセン触媒によって重合され、下記特性(A1)〜(A5)を有する
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A)100重量部と、下記特性(B1)〜(B
2)を有するポリエチレン(B)0.001〜5重量部と、結晶核剤(C)0.001〜
0.5重量部とを含有するプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂組成物の、キャス
ト法により製膜して成る無延伸フィルムであって、該フィルムの像鮮明度が80%以上か
つヘイズが3.5%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂フィルムにある。
特性(A2) Tpが110〜150℃
特性(A3) T80−T20が10℃以下
特性(A4) エチレン含有量が2.5〜8モル%
特性(A5) Q≧0.11×[E]+2.0を満たし、当該Q値が3.2以下であるこ
と
特性(B1) 密度が0.94〜0.98g/cm3
特性(B2) MIが10g/10分以上
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレ
ート、Tpは示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度、T80
は温度上昇溶離分離(TREF)によって得られる溶出曲線において80重量%が溶出す
る温度、T20は20重量%が溶出する温度、Qは重量平均分子量Mwと数平均分子量M
nとの比(Mw/Mn)、[E]はエチレン含有量、MIはJIS−K6922による1
90℃、21.18Nでのメルトインデックスをそれぞれ示す。)
本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体はメタロセン触媒を使用して重合したものである。メタロセン触媒としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機化合物との錯体を使用することができる。
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
MFRは、JIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレートを表わす。本発明においては、MFRは0.5〜50g/10分に調節することが必要である。MFRは好ましくは1〜30g/10分、より好ましくは1.5〜10g/10分である。MFRが上記範囲より低い場合、表面性状に不良を生じるため好適な生産性が得られず、上記範囲より高い場合連続的なフィルムの生産が困難となる。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法がとられる。
Tpは示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度を表わす。本発明においては、Tpは110〜150℃に調節することが必要である。Tpは好ましくは115〜145℃、より好ましくは120〜140℃である。Tpが上記範囲より低い場合、好適な耐ブロッキング性が得られず、上記範囲より高い場合好適な透明性が得られない。ポリマーのTpを調節するには、通常コモノマー含量を適宜調節する方法がとられる。コモノマーのα−オレフィン含有量が多くなるとTpは低下する方向となる。
T80は温度上昇溶離分離(TREF)によって得られる溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度を表わす。本発明においては、T80−T20 を10℃以下に調節することが必要である。T80−T20 は、好ましくは2〜8℃、より好ましくは3〜6℃である。T80−T20 が上記範囲より大きい場合は写像性が悪化する。
ポリマーのT80−T20 が上記のように特定の狭い範囲にあることは、ポリマーの分子量分布がより均一であることを意味している。これはメタロセン触媒を使用して重合したことに起因しており、チーグラーナッタ触媒ではこのようなポリマーを製造することは困難である。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン(コモノマー)含有量[E]は2〜23モル%に調節することが必要である。コモノマー含有量は、好ましくは2.5〜10モル%、より好ましくは3〜8モル%である。特にコモノマーがエチレンの場合は、2〜15モル%が好ましい。コモノマー含有量が上記範囲よりも少量であると造核剤を用いても好適な透明性を得ることは困難であり、一方多すぎると所定のTpを維持することが難しい。ポリマー中のα−オレフィン含有量は重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易に調節することができる。なお、本発明において、α−オレフィン含有量は、フーリエ変換赤外分光光度計により定量されるものである。
上記不等式において、Qは重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)を、[E]はα−オレフィン含有量を表わす。メタロセン触媒を使用して重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値は、通常1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.2の狭い範囲にあるが、本発明ではα−オレフィン含有量[E]との関係で上記式を満足することが必要である。メタロセン触媒を使用して重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であっても、上記式を満足しないポリマーは、配合工程における押出機のモータ負荷が大きく生産性が悪い。また成形性に劣り、像鮮明度に劣るフィルムしか与えない。
本発明で配合されるポリエチレンは、エチレンの実質的単独重合体であって、その密度は0.94〜0.98g/cm3 、好ましくは0.95〜0.97g/cm3 のものである。上記範囲未満では配合しても結晶性を十分変えることができず、ヘイズや像鮮明度に劣る。また上記範囲を超えるポリエチレンは商業的に入手し難く、成形性にも劣る。かかるポリエチレンの重合方法や触媒について特に制限はないが、中低圧法プロセスによって得られるポリエチレンが好適である。例えば、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化チタン及び電子供与体化合物を成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたチーグラー型触媒、又はメタロセン触媒を使用して製造することができる。上記ポリエチレンは、実質的にエチレン単独重合体であるが、本発明の効果を損なわない程度の少量、例えば2モル%以下の他のα−オレフィンを共重合したものでもよい。
MIは、JIS−K6922による190℃、21.18Nでのメルトインデックスを表わす。本発明で配合されるポリエチレンのMIは10g/10分以上、好ましくは15〜500g/10分のものである。上記範囲未満では配合工程での分散が不良であり、一方上記範囲を超えるものは成形の際、ダイ直下での発煙・冷却ロール汚れが問題となる。微分散するためには、ポリエチレンのMIがプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRより大きい方が好ましい。
結晶核剤(C)としては、有機リン酸金属塩、ソルビトール誘導体、芳香族カルボン酸金属塩、ロジン酸金属塩、アミド系核剤、高分子系結晶核剤、無機系結晶核剤などが挙げられる。
有機リン酸金属塩としては、例えば、下記一般式(I)
芳香族カルボン酸金属塩としては、p-tert−ブチル安息香酸ナトリウム、β−ナフトエン酸ナトリウム、ジ安息香酸アルミニウム、塩基性ジ-p-tert-ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム等が挙げられる。
アミド系核剤としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等があげられる。
ポリエチレン(B)の配合量は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部である。上記範囲未満では透明性、写像性の改良効果が不充分であり、逆に上記範囲を超える場合は、ポリエチレンが連続層となり透明性が悪化ずる。
同様に結晶核剤(C)の配合量は、0.001〜0.5重量部である。結晶核剤(C)の配合量の好ましい範囲は結晶核剤の種類により大きく異なるため、後に示すように、それぞれの結晶核剤毎に決定することが好ましい。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)と、ポリエチレン(B)と、結晶核剤(C)と、必要に応じて各種添加剤とを、ドライブレンドの状態あるいは溶融混練機を用いて190〜350℃で加熱溶融混練し、粒状に裁断されたペレットの状態でフィルム成形材料として提供される。
(1)MFRの測定法
ポリプロピレン重合体のMFRはJIS−K6921−2附属書に準拠し測定した。(条件:温度/230℃、荷重21.18N)
(2)メルトインデックスの測定法
ポリエチレンのメルトインデックスはJIS−K6922−2附属書に準拠し測定した。(条件:温度/190℃、荷重21.18N)
セイコー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解曲線ピーク温度Tp(℃)とした。
温度上昇溶離分別(TREF)によって溶出曲線を得るには、カラムを装着したクロス分別装置に、ポリマーを溶媒に完全溶解させて供給した後に所定の冷却速度で0℃まで冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させた後に、所定の速度で昇温して、その温度までに溶出したポリマー量を連続的に測定し、その溶出量と溶出温度との関係を表す曲線を画く。不活性担体表面に形成させた薄いポリマー層からの全溶出成分に対しの20重量%が溶出される温度をT20、80重量%が溶出される温度をT80とした。測定条件は次の通り。
装置:三菱化学(株)製 CFC T150A型
溶媒:オルソジクロルベンゼン
測定濃度:4mg/ml
カラム:昭和電工(株)製 AD80M/S
カラムサイズ 0.46mm径×15cm
不活性担体 ガラスビーズ(0.1mm径)
冷却速度:100℃/120分
ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をQ値とした。測定条件は次の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
カラム:昭和電工社製AD80M/S 3本
測定温度:140℃
濃度:20mg/10ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
JIS−K7105に準拠して(光学くしの幅は0.125mm)、TD方向の透過の像鮮明度を測定した。この値が大きいほど写像性が優れる。
(7)フィルムの透明性(ヘイズ)
ASTM−D1003に準拠して得られたフィルムをヘーズメータにて測定した(単位%)。この値が小さいほど透明性が優れていることを意味する。
(1)触媒の調整
3つ口フラスコ(容積1L)中に硫酸及び硫酸リチウムで逐次的に処理されたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイSL)20g、トリノルマルオクチルアルミニウム50mmol、ヘプタン200mLを仕込みスラリー1とした。
また別のフラスコ(容積200mL)中に、トルエンを3wt%含有するヘプタン90mL、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕0.3mmol、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラリー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行い予備重合触媒73gを得た。
内容積400Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、水素、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を70℃に保持した。プロピレンの供給量は、106kg/hrであり、エチレンの供給量は1.7kg/hrであり、水素の供給量は0.03g/hrであり、TIBAの供給量は25g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状とし、4.5g/hrでフィードした。
その結果、26kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体Iを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体Iは、MFR=6.0、エチレン含量=3.4mol%、Tp=134℃、Q値=2.8であった。
ポリプロピレンの重合1で調整した、固体触媒を用い、内温を60℃に保持し、プロピレンの供給量を123kg/hrに、エチレンの供給量を3.5kg/hrに、水素の供給量を0.21g/hrに変更し、予備重合触媒供給量を、3.0g/hrでフィードした以外はポリプロピレンの重合1と同様にして重合を行った。
その結果、19kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体IIを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IIは、MFR=9.4、エチレン含量=5.6mol%、Tp=125℃、Q値=2.7であった。
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピレンで十分に置換した後、脱水・脱酸素処理したn―ヘプタン60Lを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド16g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エム社製)4.1gを50℃でプロピレン雰囲気下で導入した。更に気相水素濃度を6.0容量%に保ちながら、50℃の温度で、プロピレン5.7kg/時及びエチレン0.28kg/時の速度で4時間フィードした後、更に1時間重合を継続した。その結果、12kgのプロピレン・エチレンランダム共重合体IIIを得た。
得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IIIは、MFR=6.4、エチレン含量=5.9mol%、Tp=140℃、Q値=4.4であった。
(1)触媒調製
十分に窒素置換したフラスコにn−ヘプタン200ミリリットル、MgCl20.4モル、Ti(O−n−C4H9)40.8モルを仕込み、95℃に保ちながら2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークス)を48ミリリットル導入し、3時間反応させ固体成分を得た。
フラスコにn−ヘプタン50ミリリットル、上記で合成した固体成分をMg原子換算で0.24モル、n−ヘプタン25ミリリットル、SiCl4 0.4モルを仕込み、90℃で3時間反応させた。さらにn−ヘプタン25ミリリットル、フタル酸クロライド0.016モルを導入し、90℃で1時間反応させた。次いでこれらにSiCl4を0.24ミリモルを導入して、100℃で3時間反応させた。
十分に窒素置換したフラスコに十分精製したn−ヘプタン50ミリリットルを導入し、次いで上記で得た固体成分を5グラム導入し、さらに(CH3)3CSi(CH3)(OCH3)2を0.81ミリリットル、30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、プロピレンをフローさせて予備重合を実施し、固体触媒を得た。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、精製したn−ヘプタン60リットルを導入し、これにトリエチルアルミニウム15g、上述の固体触媒2.0g(予備重合ポリマーを除いた量として)を55℃でプロピレン雰囲気下に導入した。その後、60℃に昇温し、ここで気相部の水素濃度を5.8容量%に保ちながらプロピレンを5.8kg/時のフィード速度で導入した。さらに10分後、エチレンを240g/時の速度で導入して6時間重合を実施した。その後、全モノマーの供給を停止し1時間重合を継続した。その結果、30kgのプロピレン・エチレンランダム共重合体IVを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IVは、MFR=8.3、エチレン含量=6.0mol%、Tp=138℃、Q値=3.6であった。
内容積10リットルのステンレス製オートクレーブにトルエン4リットル、トリイソブチルアルミニウム8mmol、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリニウム塩20μmolを仕込み、50℃に昇温し、全圧で7.0kg/cm2-Gまでエチレン/プロピレン混合ガス(ガス組成比:エチレン/プロピレン=2/100)を導入した。ここで、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ハフニウムジクロリドを5μmol加え、重合を開始した。圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給し、2時間重合を行った。その結果、700gのプロピレン・エチレンランダム共重合体Vを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体Vは、MFR=9.0、エチレン含量=2.7mol%、Tp=140℃、Q値=2.2であった。
重合体と添加剤の配合は、ヘンシェルミキサーで750rpm、1分間高速混合した後、2軸押出機(池貝社製PCM30)を使用し、押出温度230℃の条件で実施した。表1に示す重合体I又は重合体II 100重量部に対して、各種のポリエチレン、結晶核剤及び酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガホス168)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム(耕正製、商品名Ca−St)を0.05重量部を溶融、混練、冷却、カットしてペレット状のプロピレン共重合体組成物を調製した。次に得られた組成物を原料として、口径35mmφ、幅300mmTダイ、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイフィルム押出機(プラコー社製Tダイ成形装置)を使用して押出樹脂温度230℃、冷却ロール温度35℃、製膜引取速度はフィルム厚み50μmで10m/min、150μmで3.4m/minの条件で単層フィルムを製造した。該組成物の配合処方を表2に、該フィルム物性を表3に示した。
尚、表中、NA21は有機リン酸アルミニウム塩(旭電化社製)、P3MBはポリ−3−メチルブテン−1(自社製造品、特開平1−126306に記載の方法に準じて製造)、NA11は有機リン酸ナトリウム塩(旭電化社製)、GMDはソルビトール誘導体(新日本理化(株)製、商品名ゲルオールMD)、AB剤はアンチブロッキング剤として用いた合成シリカ(富士シリシア化学(株)製、サイリシア550、平均粒径2.7μm)、SL剤はスリップ剤として用いたエルカ酸アマイド(日本精化(株)社製、商品名ニュートロンS)、BLはフィルムのブロッキング値をそれぞれ表わす。
実施例1と同様にして重合体と添加剤を配合して組成物を調製し、次いでフィルムの製造を行なった。該組成物の配合処方を表4に、該フィルム物性を表5に示した。
表6に示すポリプロピレン系組成物を使用し、エアナイフ側表層用押出機口径20mmφ、冷却ロール側表層用押出機口径20mmφ、中間層用押出機口径35mmφ、幅300mmTダイ、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイフィルム押出機(プラコー社製Tダイ成形装置)を使用して、各押出機の押出樹脂温度230℃、冷却ロール温度35℃、製膜引取速度はフィルム厚み50μmで10m/minの条件で、各表層5μm、中間層40μm、全体厚み50μmの2種3層の複合フィルムを製造した。該組成物の配合処方を表6に、該フィルム物性を表7に示した。
一方、各比較例のフィルムは本発明の効果を発揮しない。概要を下記に示す。
比較例1:メタロセン樹脂だが、核剤を入れないために像鮮明性が劣る
。
比較例2:メタロセン樹脂だが、PEのMFRが低いために像鮮明性が劣る。
比較例3:メタロセン樹脂だが、PEの密度が低いためにヘイズ・像鮮明性が劣る。
比較例4:メタロセン樹脂だが、高密度PEを入れないために像鮮明性が劣る。
比較例5:メタロセン樹脂だが、核剤の添加量が少ないため像鮮明性が劣る。
比較例6:メタロセン樹脂だが、核剤の添加量が多いため核剤の分散悪く、フィルムとしての評価に値しない。
比較例7:メタロセン樹脂だが、高密度PEを入れないために像鮮明性が劣る。
比較例8:メタロセン樹脂だが、核剤を入れないために像鮮明性が劣る。
比較例9:メタロセン樹脂だが、核剤を入れないために像鮮明性が劣る。
比較例10:T80−T20が10℃より大きいので、像鮮明度が劣る。
比較例11:T80−T20が10℃より大きいので、像鮮明度が劣る。
比較例12:分子量分布とコモノマー含量の関係が規定以下なので像鮮明性が劣る。
比較例13:メタロセン樹脂だが、核剤を入れないために像鮮明性が劣る。
比較例14:T80−T20が10℃より大きいので、像鮮明度が劣る。
が提供され、食品や一般雑貨の包装用フィルム等として有用である。
Claims (8)
- メタロセン触媒によって重合され、下記特性(A1)〜(A5)を有するプロピレン・
エチレンランダム共重合体(A)100重量部と、下記特性(B1)〜(B2)を有する
ポリエチレン(B)0.001〜5重量部と、結晶核剤(C)0.001〜0.5重量部
とを含有するプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂組成物の、キャスト法により製
膜して成る無延伸フィルムであって、該フィルムの像鮮明度が80%以上かつヘイズが3
.5%以下であることを特徴とする写像性の改良されたポリプロピレン系樹脂フィルム。
特性(A1) MFRが0.5〜50g/10分
特性(A2) Tpが110〜150℃
特性(A3) T80−T20が10℃以下
特性(A4) エチレン含有量が2.5〜8モル%
特性(A5) Q≧0.11×[E]+2.0を満たし、当該Q値が3.2以下であるこ
と
特性(B1) 密度が0.94〜0.98g/cm3
特性(B2) MIが10g/10分以上
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレ
ート、Tpは示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度、T80
は温度上昇溶離分離(TREF)によって得られる溶出曲線において80重量%が溶出す
る温度、T20は20重量%が溶出する温度、Qは重量平均分子量Mwと数平均分子量M
nとの比(Mw/Mn)、[E]はエチレン含有量、MIはJIS−K6922による1
90℃、21.18Nでのメルトインデックスをそれぞれ示す。)
- 結晶核剤(C)が有機リン酸アルミニウム塩である請求項1記載のポリプロピレン系樹
脂フィルム。
- 特性(A3)T80−T20が2〜8℃である請求項1又は2記載のポリプロピレン系
樹脂フィルム。
- 特性(B2)MIが10〜500g/10分である請求項1〜3いずれか1項記載のポ
リプロピレン系樹脂フィルム。
- フィルムの厚さが5〜500μmである請求項1〜4いずれか1項記載のポリプロピレ
ン系樹脂フィルム。
- フィルムの厚さが5〜120μmであり、アンチブロッキング剤を含有する請求項1〜
5いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂フィルム。
- 像鮮明度が85%以上である請求項1〜6いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂フ
ィルム。
- ヘイズが3%以下である請求項1〜7いずれか1項記載のポリプロピレン系樹脂フィル
ム。
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