JP5330304B2 - デテント脱進機及び機械式時計 - Google Patents
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Description
本発明は、補正部材は作動レバー部がガンギ車110から離れる方向に反った場合には、作動レバー部をガンギ車110に近づく方向に変形させるとともに、作動レバー部がガンギ車110に近づく方向に反った場合には、作動レバー部をガンギ車110から離れる方向に変形させることを特徴とする。
図1、図4を参照すると、時計のムーブメント300は、本発明のデテント脱進機を備えることができるようになっている。本発明のデテント脱進機は、ガンギ車110と、正回転及び逆回転するてんぷ120と、てんぷ120と接触及非接触を繰り返すことによりガンギ車110を順次回転させる作動レバー130とを備える。また、てんぷ120と作動レバー130との接触及び非接触のタイミングは、時計の歩度に関係するものである。作動レバー130は、熱変形するものである。時計のムーブメント300は、この熱変形による歩度の影響を元に戻すように、作動レバー130を変形させる補正部材200(図5)を備える。
次に、図5から図11を参照して、本発明のデテント脱進機の作動について説明する。
(2・1)作動その1:
図5を参照すると、てんぷ120が自由振動することにより、大つば116が矢印の方向(反時計回り方向)に回転する。
図6を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の先端に接触する。次いで、外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき作動レバー130は先端に設けられたばね受突起部により矢印A2の方向(時計回り方向)に片作動ばね140と共に回転する。がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面の上を摺動する。
図7、図8を参照すると、がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面から離れている。このため、ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110は回転され、がんぎ車110は駆動される。がんぎ車110が矢印A3の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝える。大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の先端から離れる。その後、デテントスプリング150のばね力により、作動レバー130は、矢印A4の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。
図9を参照すると、引き続き、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝え、てんぷ120は死点(振動中心)を通過して回転する。このとき作動レバー130は、デテントスプリング150のばね力により当初の位置へ戻っている。
図10を参照すると、てんぷ120が矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110の次の歯部112の先端部は止め石132の接触平面に落下し停止する。さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120の最大振幅位置に達する。すると、大つば116が矢印A1の方向と反対の方向(時計回り方向)に回転するようになる。
図11を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の先端に接触する。外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき、作動ばね140は、作動レバー130のばね受突起部から離れる。したがって、作動レバー130が静止した状態で、片作動ばね140のみが、外し石124により矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。その後、大つば116が矢印A5の方向(時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の先端から離れる。すると、片作動ばね140はそのばね力により、当初の位置に戻り、てんぷ120は自由振動する。さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120は次の最大振幅位置に向かって回転する。
以下同様に、図5に示す状態から図11に示す状態に至る作動を繰り返すことができる。この作動の中で温度変化により作動レバー130の先端位置が変化してんぷ120と作動レバー130の接触及び非接触のタイミングが変化しても「死点前の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、「死点後の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を進ませる影響の総和と、「死点前の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、「死点後の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を遅らせる影響の総和とが変化しない位置に作動レバー130の先端を変形させる補正部材を備えることにより、本発明のデテント脱進機は、従来のデテント脱進機と比較して、温度変化による歩度への影響を抑えることができる。
図13〜18は、脱進機による衝撃(トルク)および抵抗(トルク)、すなわち、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」による歩度の進みへの影響と、歩度の遅れへの影響を示す図である。ここで、歩度の進みへの影響は右上がりのハッチングにより示されており、歩度の遅れへの影響右下がりのハッチングにより示されている。
本動作例では外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、又は回転基準線Kに対してガンギ車110側に位置している。図13は伸びて噛合距離dが初期状態に対して長くなった状態の補正を示す説明図であり、図13(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図13(b)をみてわかるように、噛合距離dが初期状態に対して長くなった分「死点後の抵抗」の影響が大きくなり歩度は進みとなる。なお、図13(b)における「死点後の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図13(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して長くなったときの「死点後の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
本動作例では外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線Kに対してガンギ車110から離れる側に位置している。図15は伸びて噛み合い距離dが初期状態に対して長くなった状態の補正を示す説明図であり、図15(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図15(b)をみてわかるように、噛み合い距離dが初期状態に対して長くなった分「死点前の抵抗」の影響が大きくなり歩度は遅れとなる。なお、図15(b)における「死点前の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図15(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して長くなったときの「死点前の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
本動作例では外し石124は、その振動中心が回転基準線Kに対してどのように設定されていてもよい。具体的に外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、回転基準線Kに対してガンギ車110側、又は回転基準線Kに対してガンギ車から離れる側のいずれに位置していてもよい。
本動作例では外し石124は、その振動中心が回転基準線Kに対してどのように設定されていてもよい。具体的に外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、回転基準線Kに対してガンギ車110側、又は回転基準線Kに対してガンギ車から離れる側のいずれに位置していてもよい。
さらに本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、脱進機が、上記のデテント脱進機で構成されることを特徴としている。この構成により、脱進機誤差が非常に小さく、脱進機の力の伝達効率がよい機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、温度変化による歩度変動の少ない機械式時計を達成することができる。
Claims (7)
- ガンギ車と、正回転及び逆回転するてんぷと、前記てんぷと接触及非接触を繰り返すことにより前記ガンギ車を順次回転させる作動レバー部とを備えるデテント脱進機であって、
前記てんぷと前記作動レバー部との接触及び非接触のタイミングは、時計の歩度に関係するものであり、
前記作動レバー部は、熱変形するものであり、
前記作動レバー部の熱変形による前記歩度の影響を元に戻すように、前記作動レバー部を変形させる補正部材を備えることを特徴とするデテント脱進機。 - 前記てんぷは、
前記ガンギ車の歯部と接触可能であり前記ガンギ車の回転運動を用いて前記ガンギ車から離れる方向に正回転するとともに、最大回転角から逆回転する振り石と、
前記振り石の正回転及び逆回転に連動して、前記作動レバー部の先端と接触及び非接触を繰り返すことにより、前記ガンギ車を一歯ずつ回転させる外し石と
を備え、前記作動レバー部の先端と前記外し石との接触及び非接触のタイミングは、前記時計の歩度に関係するものであり、
前記補正部材は、前記外し石の先端と、前記外し石のうちの前記作動レバー部の接触部分との噛合距離に応じて、前記作動レバー部を変形させるものであることを特徴とする請求項1に記載のデテント脱進機。 - 前記てんぷの回転中心を原点として前記作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、
前記外し石は、前記外し石の振動中心が前記回転基準線又は前記回転基準線に対して前記ガンギ車側に位置するように設定されているものであり、
前記作動レバー部は、前記外し石の振動中心に対して前記ガンギ車から離れる領域において熱変形するものであり、
前記補正部材は、前記作動レバー部が伸びて前記噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車から離れる方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が縮んで前記噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。 - 前記てんぷの回転中心を原点として前記作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、
前記外し石は、前記外し石の振動中心が前記回転基準線に対して前記ガンギ車から離れる側に位置するように設定されているものであり、
前記作動レバー部は、前記外し石の振動中心に対して前記ガンギ車に近づく領域において熱変形するものであり、前記補正部材は、前記作動レバー部が伸びて前記噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が縮んで前記噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車から離れる方向に変形させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。 - 前記補正部材は、前記作動レバー部が前記ガンギ車から離れる方向に反った場合には、前記作動レバー部を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が前記ガンギ車に近づく方向に反った場合には、前記作動レバー部を前記ガンギ車から離れる方向に変形させることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
- 前記補正部材は、前記作動レバー部の一部もしくは複数部に組み込まれるものであって、異種金属の熱膨張の差によって前記作動レバー部を変形させることにより前記噛合距離を変化させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
- 機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が請求項1から6のいずれか1項に記載のデテント脱進機で構成されることを特徴とする機械式時計。
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JP2010076367A JP5330304B2 (ja) | 2010-03-29 | 2010-03-29 | デテント脱進機及び機械式時計 |
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