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JP5330304B2 - デテント脱進機及び機械式時計 - Google Patents

デテント脱進機及び機械式時計 Download PDF

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JP5330304B2 JP2010076367A JP2010076367A JP5330304B2 JP 5330304 B2 JP5330304 B2 JP 5330304B2 JP 2010076367 A JP2010076367 A JP 2010076367A JP 2010076367 A JP2010076367 A JP 2010076367A JP 5330304 B2 JP5330304 B2 JP 5330304B2
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Description

本発明は、デテント脱進機と、デテント脱進機を組み込んだ時計に関するものである。特に、本発明は、脱進機作動時の温度変化による歩度の変動を抑えるように構成したデテント脱進機と、そのように構成したデテント脱進機を組み込んだ機械式時計に関する。
古くから機械式時計の脱進機の1つのタイプとして「デテント脱進機」(クロノメータ脱進機)が知られている。デテント脱進機の代表的な機構形態として、スプリング型デテント脱進機(Spring Detent Escapement)と、ピボット型デテント脱進機(Pivoted Detent Escapement)とが従来から広く知られている(例えば、下記非特許文献1参照)。
図2を参照すると、従来のスプリング型デテント脱進機800は、がんぎ車810と、てんぷ820と、デテントレバー840と、板状ばねで構成された復帰ばね830とを備えている。振り石812が、てんぷ820の大つば816に固定されている。止め石832が、デテントレバー840に固定されている。外し石824は、大つば816に固定される。振り石812および外し石824は、がんぎ車810の歯部と接触可能なように構成される。
図3を参照すると、従来のピボット型デテント脱進機900は、がんぎ車910と、てんぷ920と、デテントレバー930と、螺旋ばね(渦巻きばね)で構成された復帰ばね940とを備えている。振り石912が、てんぷ920の大つば916に固定されている。止め石932が、デテントレバー930に固定されている。外し石924は、大つば916に固定される。
図2および図3に示すタイプの脱進機に共通する特徴として、現在広く普及しているクラブツースレバー型脱進機と異なり、がんぎ車から直接的に、てんぷに動力を伝達するため、脱進機における動力(伝達トルク)の損失を小さくすることができるという利点を挙げることができる。
ジョージ・ダニエルズ著、「The Practical Watch Escapement」、Premier Print Limited、1994年(第1版発行)、第39〜47頁
機械式時計においては、等時性(計時精度)を乱す原因の1つとして温度変化があり、クラブツースレバー型脱進機や、上記のデテント脱進機に代表されるダイレクトインパルス方式の脱進機においても同様である。この温度変化による等時性誤差は脱進機誤差の影響によるものが大きい。脱進機誤差は、脱進機がエアリーの定理にもとづき、てんぷにエネルギーを伝達する際に、てんぷの自由振動に対して衝撃や抵抗として作用することにより生じている。そのため温度変化により、脱進機部品に熱による変形が起こると衝撃・抵抗のタイミングが変化しさらに誤差を大きくしてしまう要因となりかねない。
ひげぜんまいのばね力により、てんぷが自由振動する際に、脱進機による衝撃と抵抗は、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」の4つに分類することができる。ここで、「死点」は、てんぷが自由振動する際における「てんぷの振動中心」を意味する。すなわち、「振動中心」は、てんぷが第1の方向(例えば、時計回り方向:右回転)に最大に回転したときの回転位置と、てんぷが、前記第1の方向と反対方向である第2の方向(例えば、反時計回り方向:左回転)に最大に回転したときの回転位置との間の正に中心にある位置を意味する。
「死点前の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、てんぷの進行方向とは逆方向に力を加えることを意味する。すなわち、「死点前の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、片作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。
「死点前の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。すなわち、「死点前の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過する前に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石に接触して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。
「死点後の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。すなわち、「死点後の衝撃」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、がんぎ車の歯部が、てんぷの振り石を押して、てんぷの進行方向に対して力を加えることを意味する。
「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過した後に、てんぷの進行方向とは逆方向に力を加えることを意味する。すなわち、「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過して、さらに前記死点(てんぷの振動中心)に向かって戻るときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。また、「死点後の抵抗」は、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過して、前記死点(てんぷの振動中心)に向かって戻って、さらに、てんぷが前記死点(てんぷの振動中心)を通過したときに、作動ばねの先端部が、てんぷの外し石に接触して、てんぷに抵抗を加えることを意味する。
一般に、外乱が無い場合、「振り子の等時性」により、てんぷの振り幅(振幅)によらず、てんぷの振動周期は一定であることがわかっている。これに対して、てんぷが死点(振動中心)から離れた位置にあるときは、外乱がてんぷの振動周期に与える影響は大きい。また、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過するときにおける衝撃は、てんぷの振動周期に影響を及ぼすことはない。また、てんぷが死点(てんぷの振動中心)を通過するときにおける抵抗は、てんぷの振動周期に影響を及ぼすことはない。
次に、「エアリーの定理」を説明する。図22を参照すると、てんぷに外乱が加えられない場合は、「振り子の等時性」により、てんぷの振り幅(振幅)によらず、てんぷの振動周期は一定である。「死点前の衝撃(振動中心通過前の衝撃)」は、振動の周期を短縮させるものであり、時計の歩度(秒/日:sec/day)をプラス方向(進み)にシフトさせるものである。また、「死点後の抵抗(振動中心通過後の抵抗)」も、時計の歩度(秒/日:sec/day)をプラス方向(進み)にシフトさせるものである。これに対して、「死点前の抵抗(振動中心通過前の抵抗)」は、時計の歩度(秒/日:sec/day)をマイナス方向(遅れ)にシフトさせるものである。また、「死点後の衝撃(振動中心通過後の衝撃)」も、時計の歩度(秒/日:sec/day)をマイナス方向(遅れ)にシフトさせるものである。
また、外乱が加えられる位置が、てんぷの振動中心から離れれば離れるほど、外乱によるてんぷの振動周期への影響は大きい。また、てんぷの振動中心において外乱が加えられたときは、その外乱により、てんぷの振動周期へ影響を与えることはない。さらに、脱進機誤差は、てんぷの振り角(すなわち、てんぷへの入力トルク)に依存して変動するものである。基本的に、脱進機の伝達効率が良く、てんぷの振動中心付近の狭い振り角の範囲において運動エネルギーの受け渡しが可能な脱進機構をそなえることにより、機械式時計の歩度等の基本性能を向上させることができる。
本発明の目的は、従来技術のデテント脱進機よりも温度変化時の脱進機誤差が小さくなるように構成したデテント脱進機及び機械式時計を提供することにある。
本発明は、がんぎ車110と、正回転及び逆回転するてんぷ120と、前記てんぷ120と接触及非接触を繰り返すことにより前記がんぎ車110を順次回転させる作動レバー部とを備えるデテント脱進機であって、前記てんぷ120と前記作動レバー部との接触及び非接触のタイミングは、時計の歩度に関係するものであり、前記作動レバー部は、熱変形するものであり、前記作動レバー部の熱変形による前記歩度の影響を元に戻すように、前記作動レバー部を変形させる補正部材200を備えることを特徴とする。すなわち、本発明は、前記てんぷ120と前記作動レバー部との接触及び非接触のタイミングを補正することにより、デテント脱進機作用時の温度変化による歩度への影響を抑えるように構成している。
本発明は、がんぎ車110と、がんぎ車110の歯部と接触可能な振り石122および外し石124を有するてんぷ120と、がんぎ車110の歯部と接触可能な止め石132を有する作動レバー部とを含む時計用のデテント脱進機において、前記てんぷ120は、前記がんぎ車110の歯部と接触可能であり前記がんぎ車110の回転運動を用いて前記がんぎ車110から離れる方向に正回転するとともに、最大回転角から逆回転する振り石122と、前記振り石122の正回転及び逆回転に連動して、前記作動レバー部の先端と接触及び非接触を繰り返すことにより、前記がんぎ車110を一歯ずつ回転させる外し石124とを備え、前記作動レバー部の先端と前記外し石124との接触及び非接触のタイミングは、前記時計の歩度に関係するものであり、前記補正部材200は、前記外し石124の先端と、前記外し石124のうちの前記作動レバー部の接触部分との噛合距離に応じて、前記作動レバー部を変形させる構成であることを特徴とする。この構成により従来のスプリング型デテント脱進機と比較して、温度変化による脱進機誤差を小さくすることができる。
本発明は、てんぷ110の回転中心を原点として作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線又は回転基準線に対してガンギ車110側に位置するように設定されているものであり、作動レバー部は、外し石124の振動中心に対してガンギ車110から離れる領域において熱変形するものであり、補正部材は、作動レバー部が伸びて噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、作動レバー部の先端をガンギ車110から離れる方向に変形させるとともに、作動レバー部が縮んで噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、作動レバー部の先端をガンギ車110に近づく方向に変形させるものであることを特徴とする。
本発明は、てんぷ110の回転中心を原点として前記作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線に対してガンギ車110から離れる側に位置するように設定されているものであり、作動レバー部は、外し石124の振動中心に対してガンギ車110に近づく領域において熱変形するものであり、補正部材は、作動レバー部が伸びて噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、作動レバー部の先端をガンギ車110に近づく方向に変形させるとともに、作動レバー部が縮んで噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、作動レバー部の先端をガンギ車110から離れる方向に変形させるものであることを特徴とする。
本発明は、補正部材は作動レバー部がガンギ車110から離れる方向に反った場合には、作動レバー部をガンギ車110に近づく方向に変形させるとともに、作動レバー部がガンギ車110に近づく方向に反った場合には、作動レバー部をガンギ車110から離れる方向に変形させることを特徴とする。
本発明は、補正部材は作動レバー部の一部もしくは複数部に組み込まれるものであって、異種金属の熱膨張の差によって作動レバー部を変形させることにより前記噛合距離を変化させるものであることを特徴とする。
本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、上述した各発明の脱進機で構成されることを特徴とする。
本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の構造を示す平面図である。 従来のスプリング型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 従来のピボット型デテント脱進機の構造を示す斜視図である。 本発明のデテント脱進機を用いた機械式時計の実施形態係る輪列、脱進機等の構成を示す平面図である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その1)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その2)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その3)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その4)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その5)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その6)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る脱進機の作動状態を示す平面図(その7)である。 本発明のデテント脱進機の実施形態に係る補正部材による作動レバー先端の補正の様子を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車に遠ざかる領域で伸びの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車に遠ざかる領域で縮みの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車から近づく領域で伸びの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車から近づく領域で縮みの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車に遠ざかる方向へ反りの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る作動レバー先端が回転基準線に対してがんぎ車から近づく方向へ反りの変形が起こった場合の補正の様子を衝撃・抵抗の位置変化で表したグラフである。 本発明の実施形態に係る補正部材を作動レバー先端に組み込んだ状態を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る補正部材をデテントスプリングに組み込んだ状態を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る補正部材を片作動ばねに組み込んだ状態を示す平面図である。 エアリーの定理を説明するための原理図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうちで、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうちで、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称する。ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。
(1)本発明のデテント脱進機の構成:
図1、図4を参照すると、時計のムーブメント300は、本発明のデテント脱進機を備えることができるようになっている。本発明のデテント脱進機は、ガンギ車110と、正回転及び逆回転するてんぷ120と、てんぷ120と接触及非接触を繰り返すことによりガンギ車110を順次回転させる作動レバー130とを備える。また、てんぷ120と作動レバー130との接触及び非接触のタイミングは、時計の歩度に関係するものである。作動レバー130は、熱変形するものである。時計のムーブメント300は、この熱変形による歩度の影響を元に戻すように、作動レバー130を変形させる補正部材200(図5)を備える。
てんぷ120は、てん真(図示せず)と、てん輪と、大つば116と、小つば117、ひげぜんまい(図示せず)とを含む。振り石122は、大つば116に固定される。外し石124は、小つば117に固定される。振り石122は、がんぎ車110の歯部112と、また外し石124は片作動ばね140の先端と接触可能なように構成される。
図1を参照すると、がんぎ車110は、がんぎ歯車と、がんぎかな111とを含む。歯部112は、がんぎ歯車の外周部に形成される。例えば、図1に示すように、15個の歯部112が、がんぎ歯車の外周部に形成される。がんぎ車110は、地板170と輪列受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。がんぎかな111の上軸部は、輪列受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。がんぎかな111の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。
てんぷ120は、地板170とてんぷ受(図示せず)に対して回転可能なようにムーブメントに組み込まれる。てん真(図示せず)の上軸部は、てんぷ受(図示せず)に対して回転可能なように支持される。てん真(図示せず)の下軸部は、地板170に対して回転可能なように支持される。
後述するが、図13〜18および図22を参照すると、「死点前の衝撃」により生じるてんぷ120の回転運動への影響および「死点後の抵抗」により生じるてんぷ120の回転運動への影響の合計からなる時計の歩度を進ませる影響と、「死点前の抵抗」により生じるてんぷ120の回転運動への影響および「死点後の衝撃」により生じるてんぷ120の回転運動への影響の合計からなる時計の歩度を遅らせる影響とが、外し石124と片作動ばね140の接触のタイミング及び噛み合い長さ(図1(b)参照)によって変化することが分かる。そこで外し石124と片作動ばね140の接触のタイミング及び噛合距離dが作動レバー130の先端の熱変形により変化した場合、補正部材200によって歩度への影響を元に戻すように作動レバー130の先端を補正するよう構成される。
作動レバー130は、止め石132が、がんぎ車110に近づく方向(B領域)と、止め石132が、がんぎ車110から遠ざかる方向(A領域)の2つの方向に回転可能なように構成されている。作動レバー130のてんぷ120に近い方の先端には、ばね受突起部が設けられる。片作動ばね140の先端は、ばね受突起部に接触可能なように配置される。止め石132ががんぎ車110に近づく方向(B領域)に回転させる力を作動レバー130に加えるためのデテントスプリング150が設けられる。デテントスプリング150は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。デテントスプリング150のばね部板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線に対して垂直な方向であるのが好ましい。なお、作動レバー130及びデテントスプリング150は、作動レバー部を構成する。
外し石124と接触可能な片作動ばね140が作動レバー130に設けられる。片作動ばね140は、ステンレス鋼などの弾性材料の板ばねで構成されるのがよい。片作動ばね140の先端部の板厚方向は、作動レバー130の回転中心軸線に対して垂直な方向であるのが好ましい。
補正部材200は、作動レバー130または片作動ばね140またはデテントスプリング150のいずれかの一部または複数部に組み込まれ、組み込まれた箇所の材質とは異なる材質にて構成される。温度変化時には、組み込まれた箇所の部材とは異なった伸び(縮み)の変形をし、この変形によって作動レバー130の先端の位置を補正する。具体的に図12に示すように、補正部材200は、作動レバー130の隣に備えられており、両端が作動レバー130に固定された構成を有している。補正部材200は、熱膨張により長手方向に伸縮可能に構成されている。図12(a)に示すように補正部材200がその長手方向に伸びた場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110側に移動させられる。一方、図12(b)に示すように補正部材200がその長手方向に縮んだ場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110から遠ざかる側に移動させられる。
なお、補正部材200は、図12に示す構成に限定されないのは勿論のことである。図19は、本実施形態に係る補正部材200の変形例を示す図である。図19に示すように、補正部材200は、作動レバー130の先端側に備えられていてもよい。図19に示すように補正部材200がその長手方向に伸びた場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110側に移動させられる。一方、図19に示すように補正部材200がその長手方向に縮んだ場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110から遠ざかる側に移動させられる。これにより、補正部材200の伸縮部分と作動レバー130の先端部分とが近接するため、補正部材200の変形を作動レバー130の先端部分に迅速に伝えることができ、脱進機誤差を迅速に補正することができる。
図20は、本実施形態に係る補正部材200の変形例を示す図である。図20に示すように、補正部材200は、デテントスプリング150の隣に備えられており、両端がデテントスプリング150に固定された構成を有している。図20に示すように補正部材200がその長手方向に伸びた場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110側に移動させられる。一方、図20に示すように補正部材200がその長手方向に縮んだ場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110から遠ざかる側に移動させられる。これにより、作動レバー130の基部側に補正部材200が備えられているため、補正部材200が作動レバー130の先端側に備えられているときよりも慣性モーメントを低減することができる。
図21は、本実施形態に係る補正部材200の変形例を示す図である。図21に示すように、補正部材200は、両端が片作動ばね140に固定された構成を有している。図21に示すように補正部材200がその長手方向に伸びた場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110側に移動させられる。一方、図21に示すように補正部材200がその長手方向に縮んだ場合には、作動レバー130の先端ががんぎ車110から遠ざかる側に移動させられる。これにより、補正部材200の伸縮部分と片作動ばね140の先端部分とが近接するため、補正部材200の変形を片作動ばね140の先端部分に迅速に伝えることができ、脱進機誤差を迅速に補正することができる。
(2)本発明のデテント脱進機の作動:
次に、図5から図11を参照して、本発明のデテント脱進機の作動について説明する。
(2・1)作動その1:
図5を参照すると、てんぷ120が自由振動することにより、大つば116が矢印の方向(反時計回り方向)に回転する。
(2・2)作動その2:
図6を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の先端に接触する。次いで、外し石124が矢印A1の方向(反時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき作動レバー130は先端に設けられたばね受突起部により矢印A2の方向(時計回り方向)に片作動ばね140と共に回転する。がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面の上を摺動する。
(2・3)作動その3:
図7、図8を参照すると、がんぎ車110の歯部112の先端部は、止め石132の接触平面から離れている。このため、ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列により、がんぎ車110は回転され、がんぎ車110は駆動される。がんぎ車110が矢印A3の方向(時計回り方向)に回転することにより、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝える。大つば116が矢印A1の方向(反時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の先端から離れる。その後、デテントスプリング150のばね力により、作動レバー130は、矢印A4の方向(反時計回り方向)に回転して、当初の位置に戻ろうとする。
(2・4)作動その4:
図9を参照すると、引き続き、がんぎ車110の歯部112の先端部は振り石122に接触し、てんぷ120に回転力を伝え、てんぷ120は死点(振動中心)を通過して回転する。このとき作動レバー130は、デテントスプリング150のばね力により当初の位置へ戻っている。
(2・5)作動その5:
図10を参照すると、てんぷ120が矢印A1の方向(反時計回り方向)に自由振動することにより、がんぎ車110の次の歯部112の先端部は止め石132の接触平面に落下し停止する。さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120の最大振幅位置に達する。すると、大つば116が矢印A1の方向と反対の方向(時計回り方向)に回転するようになる。
(2・6)作動その6:
図11を参照すると、大つば116に固定された外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転して、片作動ばね140の先端に接触する。外し石124が矢印A5の方向(時計回り方向)に回転し、片作動ばね140が、外し石124に押される。このとき、作動ばね140は、作動レバー130のばね受突起部から離れる。したがって、作動レバー130が静止した状態で、片作動ばね140のみが、外し石124により矢印A6の方向(反時計回り方向)に押しだされる。その後、大つば116が矢印A5の方向(時計回り方向)に所定の角度まで回転すると、外し石124は、片作動ばね140の先端から離れる。すると、片作動ばね140はそのばね力により、当初の位置に戻り、てんぷ120は自由振動する。さらにてんぷ120が自由振動することにより、てんぷ120は次の最大振幅位置に向かって回転する。
(2・7)作動の繰り返し:
以下同様に、図5に示す状態から図11に示す状態に至る作動を繰り返すことができる。この作動の中で温度変化により作動レバー130の先端位置が変化してんぷ120と作動レバー130の接触及び非接触のタイミングが変化しても「死点前の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、「死点後の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を進ませる影響の総和と、「死点前の抵抗」により生じるてんぷの回転運動への影響、および、「死点後の衝撃」により生じるてんぷの回転運動への影響の合計により構成される時計の歩度を遅らせる影響の総和とが変化しない位置に作動レバー130の先端を変形させる補正部材を備えることにより、本発明のデテント脱進機は、従来のデテント脱進機と比較して、温度変化による歩度への影響を抑えることができる。
(3)作動レバー先端の変形による影響と補正の様子:
図13〜18は、脱進機による衝撃(トルク)および抵抗(トルク)、すなわち、「死点前の衝撃」、「死点前の抵抗」、「死点後の衝撃」、「死点後の抵抗」による歩度の進みへの影響と、歩度の遅れへの影響を示す図である。ここで、歩度の進みへの影響は右上がりのハッチングにより示されており、歩度の遅れへの影響右下がりのハッチングにより示されている。
(3・1)作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110から離れる領域(A領域)において熱変形した場合:
本動作例では外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、又は回転基準線Kに対してガンギ車110側に位置している。図13は伸びて噛合距離dが初期状態に対して長くなった状態の補正を示す説明図であり、図13(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図13(b)をみてわかるように、噛合距離dが初期状態に対して長くなった分「死点後の抵抗」の影響が大きくなり歩度は進みとなる。なお、図13(b)における「死点後の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図13(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して長くなったときの「死点後の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
そこで、図13(c)に示したように、補正部材200を用いて作動レバー130の先端をガンギ車110から離れる方向へ補正を行なう事で「死点後の衝撃」の影響を増やして歩度を遅らせ、歩度への影響を元に戻している。なお、図13(c)における「死点後の衝撃」の部分において点線で示す部分は、図13(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して長くなったときの「死点後の衝撃」の影響を比較して見易くしているものである。図13(c)に示すように、「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積が増加することにより、図13(b)に示す「死点後の抵抗」のパルスの進み部分の増加分による影響を打ち消すこととなるため、作動レバー130が熱変形したとしても歩度への影響を元に戻すことができる。
図14は縮んで噛合距離dが初期状態に対して短くなった状態の補正を示す説明図であり、図14(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図14(b)をみてわかるように、噛み合い距離dが初期状態に対して短くなった分「死点後の抵抗」の影響が小さくなり歩度は遅れとなる。なお、図14(b)における「死点後の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図14(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して短くなったときの「死点後の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
そこで図14(c)に示したように補正部材200を用いて作動レバー130の先端をガンギ車110に近づく方向へ補正を行なう事で「死点後の衝撃」の影響を減らして歩度を進ませ、歩度への影響を元に戻している。なお、図14(c)における「死点後の衝撃」の部分において点線で示す部分は、図14(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して短くなったときの「死点後の衝撃」の影響を比較して見易くしているものである。図14(c)に示すように、「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積が減少することにより、図14(b)に示す「死点後の抵抗」のパルスの進み部分の減少分による影響を打ち消すこととなるため、作動レバー130が熱変形したとしても歩度への影響を元に戻すことができる。
(3・2)作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110に近づく領域(B領域)において熱変形した場合:
本動作例では外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線Kに対してガンギ車110から離れる側に位置している。図15は伸びて噛み合い距離dが初期状態に対して長くなった状態の補正を示す説明図であり、図15(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図15(b)をみてわかるように、噛み合い距離dが初期状態に対して長くなった分「死点前の抵抗」の影響が大きくなり歩度は遅れとなる。なお、図15(b)における「死点前の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図15(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して長くなったときの「死点前の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
そこで図15(c)に示したように補正部材200を用いて作動レバー130の先端をガンギ車110に近づく方向へ補正を行なう事で「死点前の衝撃」の影響を増やして歩度を進ませ、歩度への影響を元に戻している。より具体的には図15(c)に示すように、「死点前の衝撃」のパルスの進み部分の面積が増加することにより、図15(b)に示す「死点前の抵抗」のパルスの遅れ部分の面積の減少分による影響を打ち消すこととなるため、作動レバー130が熱変形したとしても歩度への影響を元に戻すことができる。
図16は縮んで噛合距離dが初期状態に対して短くなった状態の補正を示す説明図であり、図16(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図16(b)をみてわかるように、噛合距離dが初期状態に対して短くなった分「死点前の抵抗」の影響が小さくなり歩度は進みとなる。なお、図16(b)における「死点前の抵抗」の部分において点線で示す部分は、図16(a)に示す対応箇所を示しており、噛合距離dが初期状態に対して短くなったときの「死点前の抵抗」の影響を比較して見易くしているものである。
そこで図16(c)に示したように補正部材200を用いて作動レバー130の先端をガンギ車110から離れる方向へ補正を行なう事で「死点前の衝撃」の影響を減らして歩度を遅らせ、歩度への影響を元に戻している。より具体的には図16(c)に示すように、「死点前の衝撃」のパルスの進み部分の面積が減少することにより、図16(b)に示す「死点前の抵抗」のパルスの遅れ部分の面積の減少分による影響を打ち消すこととなるため、作動レバー130が熱変形したとしても歩度への影響を元に戻すことができる。
(3・3)作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110から離れる方向(A領域)に熱変形した場合:
本動作例では外し石124は、その振動中心が回転基準線Kに対してどのように設定されていてもよい。具体的に外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、回転基準線Kに対してガンギ車110側、又は回転基準線Kに対してガンギ車から離れる側のいずれに位置していてもよい。
図17は作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110から離れる方向に熱変形した状態の補正を示す説明図であり、図17(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図17(b)を見てわかるように作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110から離れる方向に熱変形したことにより外し石124と片作動ばね140先端の接触開始のタイミングが遅くなり「死点後の衝撃」の影響が増える、もしくは「死点前の衝撃」の影響が減り、歩度は遅れとなる。
そこで図17(c)に示したように補正部材200を組み込み作動レバー130の先端をガンギ車110に近づく方向へ補正を行なう事で「死点後の衝撃」の影響を減らす、もしくは「死点前の衝撃」の影響を増やして歩度を進ませ、歩度への影響を元に戻している。つまり、図17(b)に示すように「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積が増加することになるが、作動レバー130の先端をガンギ車110に近づく方向へ補正を行うことにより、図17(c)に示すように「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積を元に戻すことができる。
(3・4)作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110に近づく方向(B領域)に熱変形した場合:
本動作例では外し石124は、その振動中心が回転基準線Kに対してどのように設定されていてもよい。具体的に外し石124は、外し石124の振動中心が回転基準線K、回転基準線Kに対してガンギ車110側、又は回転基準線Kに対してガンギ車から離れる側のいずれに位置していてもよい。
図18は作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110に近づく方向に熱変形した状態の補正を示す説明図であり、図18(a)は、熱変形前の初期状態での衝撃と抵抗の様子を示している。図18(b)を見てわかるように作動レバー130の先端が、外し石124の振動中心に対してガンギ車110に近づく方向に熱変形したことにより外し石124と片作動ばね140先端の接触開始のタイミングが早くなり「死点前の衝撃」の影響が増える、もしくは「死点後の衝撃」の影響が減り、歩度は進みとなる。
そこで図18(c)に示したように補正部材200を用いて作動レバー130の先端をガンギ車110から離れる方向へ補正を行なう事で「死点前の衝撃」の影響を減らす、もしくは「死点後の衝撃」の影響を増やして歩度を遅らせ歩度への影響を元に戻している。つまり、図18(b)に示すように「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積が減少することになるが、作動レバー130の先端をガンギ車110から離れる方向へ補正を行うことにより、図18(c)に示すように「死点後の衝撃」のパルスの遅れ部分の面積を元に戻すことができる。
(4)本発明のデテント脱進機を備えた機械式時計:
さらに本発明は、機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、脱進機が、上記のデテント脱進機で構成されることを特徴としている。この構成により、脱進機誤差が非常に小さく、脱進機の力の伝達効率がよい機械式時計を実現することができる。また、本発明の機械式時計は、温度変化による歩度変動の少ない機械式時計を達成することができる。
図4を参照すると、ムーブメント(機械体)300は、ムーブメント300の基板を構成する地板170を有する。ムーブメント300の「3時方向」には、巻真310が配置されている。巻真310が、地板170の巻真案内穴に回転可能に組み込まれる。てんぷ120、がんぎ車110、作動レバー130を含むデテント脱進機と、四番車327、三番車326、二番車325、香箱車320を含む表輪列は、ムーブメント100の「表側」に配置される。おしどり、かんぬき、かんぬき押さえを含む切換装置(図示せず)は、ムーブメント300の「裏側」に配置される。さらに、香箱車320の上軸部を回転可能なように支持する香箱受(図示せず)と、三番車326の上軸部、四番車327の上軸部、がんぎ車110の上軸部を回転可能なように支持する輪列受(図示せず)と、てんぷ120の上軸部を回転可能なように支持するてんぷ受180とが、ムーブメント300の「表側」に配置される。
二番車325が、香箱車320の回転により回転するように構成される。二番車325は二番歯車と、二番かなとを含む。香箱歯車は二番かなと噛み合うように構成される。三番車326が二番車325の回転により回転するように構成される。三番車326は三番歯車と、三番かなとを含む。四番車327が、三番車326の回転により1分間に1回転するよう構成される。四番車327は四番歯車と、四番かなとを含む。三番歯車は四番かなと噛み合うよう構成される。四番車327の回転により、がんぎ車110は、作動レバー130に制御されながら回転するように構成される。がんぎ車110は、がんぎ歯車と、がんぎかなとを含む。四番歯車は、がんぎかなと噛み合うように構成される。分車329が、香箱車320の回転により回転するように構成される。香箱車320、二番車325、三番車326、四番車327、分車329は表輪列を構成する。
二番車325に取り付けられた筒かな329の回転に基づいて日の裏車340が回転するように構成される。日の裏車340の回転に基づいて筒車(図示せず)が回転するように構成される。二番車325の回転により、三番車326が回転するように構成される。三番車326の回転により、四番車327は1分間に1回転するように構成される。筒車は12時間に1回転するように構成される。スリップ機構が二番車325と筒かな329との間に設けられる。二番車325は1時間に1回転するように構成される。

Claims (7)

  1. ガンギ車と、正回転及び逆回転するてんぷと、前記てんぷと接触及非接触を繰り返すことにより前記ガンギ車を順次回転させる作動レバー部とを備えるデテント脱進機であって、
    前記てんぷと前記作動レバー部との接触及び非接触のタイミングは、時計の歩度に関係するものであり、
    前記作動レバー部は、熱変形するものであり、
    前記作動レバー部の熱変形による前記歩度の影響を元に戻すように、前記作動レバー部を変形させる補正部材を備えることを特徴とするデテント脱進機。
  2. 前記てんぷは、
    前記ガンギ車の歯部と接触可能であり前記ガンギ車の回転運動を用いて前記ガンギ車から離れる方向に正回転するとともに、最大回転角から逆回転する振り石と、
    前記振り石の正回転及び逆回転に連動して、前記作動レバー部の先端と接触及び非接触を繰り返すことにより、前記ガンギ車を一歯ずつ回転させる外し石と
    を備え、前記作動レバー部の先端と前記外し石との接触及び非接触のタイミングは、前記時計の歩度に関係するものであり、
    前記補正部材は、前記外し石の先端と、前記外し石のうちの前記作動レバー部の接触部分との噛合距離に応じて、前記作動レバー部を変形させるものであることを特徴とする請求項1に記載のデテント脱進機。
  3. 前記てんぷの回転中心を原点として前記作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、
    前記外し石は、前記外し石の振動中心が前記回転基準線又は前記回転基準線に対して前記ガンギ車側に位置するように設定されているものであり、
    前記作動レバー部は、前記外し石の振動中心に対して前記ガンギ車から離れる領域において熱変形するものであり、
    前記補正部材は、前記作動レバー部が伸びて前記噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車から離れる方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が縮んで前記噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
  4. 前記てんぷの回転中心を原点として前記作動レバー部の回転中心を通る直線を回転基準線として定義し、
    前記外し石は、前記外し石の振動中心が前記回転基準線に対して前記ガンギ車から離れる側に位置するように設定されているものであり、
    前記作動レバー部は、前記外し石の振動中心に対して前記ガンギ車に近づく領域において熱変形するものであり、前記補正部材は、前記作動レバー部が伸びて前記噛合距離が初期状態に対して長くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が縮んで前記噛合距離が初期状態に対して短くなった場合には、前記作動レバー部の先端を前記ガンギ車から離れる方向に変形させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
  5. 前記補正部材は、前記作動レバー部が前記ガンギ車から離れる方向に反った場合には、前記作動レバー部を前記ガンギ車に近づく方向に変形させるとともに、前記作動レバー部が前記ガンギ車に近づく方向に反った場合には、前記作動レバー部を前記ガンギ車から離れる方向に変形させることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
  6. 前記補正部材は、前記作動レバー部の一部もしくは複数部に組み込まれるものであって、異種金属の熱膨張の差によって前記作動レバー部を変形させることにより前記噛合距離を変化させるものであることを特徴とする請求項2に記載のデテント脱進機。
  7. 機械式時計の動力源を構成するぜんまいと、前記ぜんまいが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列と、前記表輪列の回転を制御するための脱進機とを備えるように構成された機械式時計において、前記脱進機が請求項1から6のいずれか1項に記載のデテント脱進機で構成されることを特徴とする機械式時計。
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