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JP5327216B2 - 高周波基板および高周波モジュール - Google Patents

高周波基板および高周波モジュール Download PDF

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JP5327216B2 JP2010505597A JP2010505597A JP5327216B2 JP 5327216 B2 JP5327216 B2 JP 5327216B2 JP 2010505597 A JP2010505597 A JP 2010505597A JP 2010505597 A JP2010505597 A JP 2010505597A JP 5327216 B2 JP5327216 B2 JP 5327216B2
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Description

本発明は、高周波伝送線路が形成された高周波基板に関し、特に、直流信号を除去するコンデンサを搭載した高周波伝送線路構造に関する。
本願は、2008年3月27日に、日本に出願された特願2008−82490号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
通信装置等で用いられる機能回路IC(例えば、増幅回路、多重回路、分離回路等)は、異なったプロセスで作られている等の理由により、電源供給電圧が異なる場合がある。
相互に接続する機能回路IC間の電源供給電圧が異なっていると、相互に接続する各々のインタフェースにおける直流電圧が異なるのが通常である。この直流電圧成分を除去することなく相互接続してしまうと、各々の機能回路におけるバイアス電圧が設計値からずれてしまう。そのため、所望の性能が得られなくなってしまう。
そのため、直流(DC)成分を除去し、かつ、広帯域なベースバンド信号成分を低損失、かつ、低反射特性にて伝送する高周波伝送線路が必要である。
特許文献1には、信号線路と表面他面側グランドパタン間との距離を、信号線路の分離部間に接続されたコンデンサ接続部付近のみ広げている構成が開示されている。
例えば、特許文献1に記載されている高周波伝送線路は、図11〜図14に示すような高周波伝送線路構造を有する。なお、図11は、高周波伝送線路の構造を示す平面図である。また、図12は、図11に示す伝送信号方向に垂直なX−X’線における断面図である。また、図13は、図11に示す伝送信号方向に垂直なY−Y’線における断面図である。また、図14は、コンデンサ50を外した場合の平面図である。
これらの図11〜図14により示される高周波伝送線路は、1層の誘電体基板40からなっている。誘電体基板40に形成されている高周波伝送線路は、グラウンデッドコプレーナ線路(裏面グランド付コプレーナ線路)である。
この高周波伝送線路は、誘電体基板40の一面に形成された信号線路10、信号線路10を挟んで同一面上に配置された一面側グランドパタン20と、誘電体基板40の他面に形成された他面側グランドパタン60とから構成されている。
一面側グランドパタン20と、他面側グランドパタン60とは、信号線路10の信号伝送方向に沿って配置された複数の導電性ビア30によって電気的に接続されている。
高周波伝送線路は、直流(DC)成分を遮断するために、高周波伝送線路を形成する信号線路10の一部が分離している。その分離部101で、コンデンサ50が接続されている。
高周波伝送線路である裏面グランド付コプレーナ線路に対して、信号線路10に分離部101を設けて、分離部101間にコンデンサ50を実装した場合、コンデンサ50の電極部側面とグランドパタン(一面側グランドパタン20および/または他面側グランドパタン60)との間に浮遊容量が生じるため、不整合が生じやすい。その結果、高周波になるほど反射が生じやすく、反射の増加に伴って挿入損失も増えてしまう。
そのため、特許文献1では、図11〜図14に示すように、コンデンサ50の両側でのみ、高周波伝送線路を構成する信号線路10と一面側グランドパタン20との間の距離を広げている。これにより、コンデンサ電極側面と一面側グランドパタン20との間の浮遊容量を減じて、インピーダンス不整合を抑制し、反射を低減している。
上述した技術では、コンデンサ50の両側でのみ、信号線路10と一面側グランドパタン20間の距離を広げていた。これにより、コンデンサ電極側面と一面側グランドパタン20間の浮遊容量を減じて、反射特性を改善し、挿入損失を低減していた。
しかし、この技術の第1の問題点は、信号線路10と一面側グランドパタン20間の距離を広げるため、線路構造サイズが大きくなることである。さらに、第2の問題点として、伝送信号が高周波になると反射特性が劣化し、挿入損失が増加することである。その理由について、図15を参照して説明する。
図11〜図14で示された構成では、信号が伝送される際に、高周波伝送線路の信号線路10と一面側グランドパタン20を高周波電流が伝わる。高周波電流のうちの信号線路10側の電流は、コンデンサ50接続部では、最も長い経路として、図15に示す経路Aのように、コンデンサの立体形状に沿って流れる。
一方、一面側グランドパタン20側の電流は、図15に示す経路Bのように一面側グランドパタン20の信号線路側の縁に沿って流れる。
ここで、2つの物理的な経路長を各々L,Lとし、経路長差L−LをΔLとし、伝送信号の真空中における波長をλとし、各々の経路の波数を同一のkとし、各々の経路における実効比誘電率を同一のεとした場合を考えると、2つの経路A,B間の位相差Zは、以下の式(1)のように表される。
Figure 0005327216
式(1)に示すように、位相差Zは、ΔL/λに比例する。
そのため、物理的な経路長差ΔLが一定であったとしても、伝送信号が高周波になるほど、すなわち、波長λが短くなるほど、経路間位相差が大きくなる。よって、等位相を維持できなくなるため、反射が生じやすくなる。
つまり、特許文献1に開示された方法を用いても、図11〜図14に示される構成の場合には、伝送信号が高周波になるほど、反射特性を改善できなくなる。そして、伝送可能なパワーが反射される割合が増加するため、挿入損失が大きくなってしまう。
また、特許文献2には、2枚以上の誘電体基板材から構成された高周波基板が開示されている。つまり、特許文献2には、誘電体基板上に形成されたRF線路間を接続するために、誘電体フィルムに形成されたコプレーナ線路または裏面グランド付きのコプレーナ線路を介して接続する構成が示されている。
このような構成により、インピーダンスを一致させ、定在波比を良好にすることができるが、直流を除去できない。
特開2004−129053号公報 特開平6−188603号公報
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであり、線路構造サイズを大きくすることなく、高周波域における挿入損失を改善できる高周波基板および高周波モジュールを提供することを目的とする。
(1) 上記問題を解決するために、本発明の一態様による高周波基板は、誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板であって、前記信号線路を分離する信号線路分離部と、前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、前記信号線路の信号線路分離部の両隣に設けられ、前記一面側グランドパタンを分離するグランドパタン分離部とを備える。
(2) また、本発明の一態様による高周波基板は、前記信号線路用コンデンサの信号伝送方向の長さをLとしたとき、前記グランドパタン分離部の分離幅の最短距離が、前記信号線路用コンデンサの信号伝送方向の長さL以下である。
(3) また、本発明の一態様による高周波基板は、前記一面側グランドパタンの分離端部を接続するように、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材が形成されている。
(4) また、本発明の一態様による高周波基板は、誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板であって、前記信号線路を分離する信号線路分離部と、前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、前記信号線路の信号線路分離部の両隣であって前記一面側グランドパタン上に設けられ、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材とを備える。
(5) また、本発明の一態様による高周波基板は、前記信号線路用コンデンサの高さをH、信号伝送方向の長さをLとし、前記導電部材の高さをH、信号伝送方向の長さをLとしたとき、2×H+L=2×H+Lである。
(6) また、本発明の一態様による高周波基板は、前記導電部材が、コンデンサである。
(7) また、本発明の一態様による高周波基板は、前記導電部材が、金属製のブロック部材または表面が金属メッキ処理されたブロック部材のいずれかである。
(8) また、本発明の一態様による高周波モジュールは、誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板を備える高周波モジュールであって、前記信号線路を分離する信号線路分離部と、前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、前記信号線路の信号線路分離部の両隣に設けられ、前記一面側グランドパタンを分離するグランドパタン分離部とを備える高周波基板と、前記高周波基板に実装される半導体集積回路チップとを備える。
(9) また、本発明の一態様による高周波モジュールは、誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板を備える高周波モジュールであって、前記信号線路を分離する信号線路分離部と、前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、前記信号線路の信号線路分離部の両隣であって前記一面側グランドパタン上に設けられ、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材とを備える高周波基板と、前記高周波基板に実装される半導体集積回路チップとを備える。
本発明の一態様による高周波基板(高周波伝送線路)は、裏面グランド付コプレーナ線路と、当該裏面グランド付コプレーナ線路の信号線路に分離部を有し、分離部間をコンデンサにて接続している高周波伝送線路であって、この高周波伝送線路の信号線路を挟んで同一面上に配置された一面側グランドパタンにおいて、信号線路分離部の両側に配置されるように一面側グランドパタンにも分離部が設けられている。
本発明の一態様による高周波基板(高周波伝送線路)では、裏面グランド付コプレーナ線路からコンデンサ、コンデンサから裏面グランド付コプレーナ線路へ信号が伝送されている際に、信号線路を挟んで同一面上に配置された一面側グランドパタンがギャップを有している。
そのために、コンデンサ接続部付近における一面側グランドパタンを伝わる高周波電流は、一面側グランドパタンから導電性ビアを介して裏面の他面側グランドパタン、裏面の他面側グランドパタンから導電性ビアを介して一面側グランドパタンへと経路を迂回して伝わる。よって、一面側グランドパタンを伝わる高周波電流の経路長が長くなるため、コンデンサを伝わった信号線路の高周波電流との位相差が小さくなる。
また、一面側グランドパタンが分離部を有していることにより、コンデンサ電極部側面と一面側グランドパタンとの間の浮遊容量も減じることができる。これにより、構造サイズを大きくすることなく、反射特性が改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の一態様による高周波基板(高周波伝送線路)は、裏面グランド付コプレーナ線路と、当該裏面グランド付コプレーナ線路の信号線路に分離部を有し、分離部間をコンデンサにて接続している高周波伝送線路構造において、信号線路を挟んで同一面上に配置された一面側グランドパタン上に、信号線路分離部の両側に配置されるように同程度サイズのコンデンサが搭載されている。
本発明の一態様による高周波基板(高周波伝送線路)では、裏面グランド付コプレーナ線路からコンデンサ、コンデンサから裏面グランド付コプレーナ線路へ信号が伝送されている際に、一面側グランドパタンにも同程度サイズのコンデンサが搭載されている。
そのため、信号線路を伝わる最も長い高周波電流経路と、一面側グランドパタンを伝わる最も長い高周波電流経路の経路長が等しくなる。すなわち、高周波域でも位相差が生じにくくなるため、反射特性が改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明によれば、分離部での信号線路の経路長と一面側グランドパタンの経路長をほぼ同一にして、両経路を伝わる高周波電流の位相差を小さくできる。そのため、線路構造サイズを大きくすることなく、高周波域における挿入損失を改善する高周波基板および高周波モジュールを提供することができる。
本発明の第1の実施形態による高周波基板を示す平面図である。 図1のX−X’線における断面図である。 図1のY−Y’線における断面図である。 コンデンサを取り除いた高周波基板を示す平面図である。 実施例1と比較例1の高周波基板の挿入損失特性の実測結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態による高周波基板を示す平面図である。 図6のX−X’線における断面図である。 図6のY−Y’線における断面図である。 コンデンサを取り除いた高周波基板を示す平面図である。 実施例2と比較例2の高周波基板の挿入損失特性の実測結果を示すグラフである。 従来の高周波基板の一例を示す平面図である。 図11のX−X’線における断面図である。 図11のY−Y’線における断面図である。 コンデンサを取り除いた高周波基板を示す平面図である。 図11のコンデンサ接続部付近における全体斜視図である。
符号の説明
10・・・信号線路、10c・・・分離端部、20・・・一面側グランドパタン、20c・・・分離端部、25・・・コプレーナ線路、30・・・導電性ビア、40・・・誘電体基板、50・・・信号線路用コンデンサ(コンデンサ)、51・・・導電部材(コンデンサ)、60・・・他面側グランドパタン、100、101・・・分離部、120、121・・・高周波基板
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態による高周波基板(高周波伝送線路)の構成を示した図である。図1は、本発明の実施形態による高周波基板120の平面図である。また、図2は、図1のX−X’線における断面図である。
また、図3は、図1のY−Y’線における断面図である。また、図4は、図1の信号線路用コンデンサ50を取り外した状態での平面図である。
なお、各図において、先に記載した図11〜図14に示される構成要素と同じ機能部位には同一符号を用いて示している。
本発明の実施形態による高周波基板120は、誘電体基板40を備えている。誘電体基板40の一面40aに、信号線路10と、信号線路10と同じ層にこれを挟んで形成された一面側グランドパタン20とで構成されるコプレーナ線路25が形成されている。尚、コプレーナ線路25の一面側グランドパタン20は、信号線路10を挟む両側位置の一方側にのみに形成されていてもよい。
コンプレーナ線路25の下層グランドパタンとして、誘電体基板40の他面40bに、面状の他面側グランドパタン60が形成されている。さらに、コプレーナ線路25の一面側グランドパタン20と、コプレーナ線路25の下層グランドパタンである他面側グランドパタン60とは、コプレーナ線路25の信号伝送方向に沿って所定の間隔で配置された複数の導電性ビア30によって、相互に接続されている。
また、コプレーナ線路25の信号線路10は、コプレーナ線路25の信号伝送方向に所定の幅(誘電体幅)で分離されて信号線路分離部101が形成されている。分離された信号線路10の分離端部10c間は、信号線路用コンデンサ50を介して接続されている。
また、信号線路10に設けられた信号線路分離部101を挟んで対向する位置で、一面側グランドパタン20が所定の幅(誘電体幅)で分離されてグランドパタン分離部100が形成されている。
分離された一面側グランドパタン20の分離端部20c間の分離幅は、概ね、信号線路10に接続された信号線路用コンデンサ50の信号伝送方向の長さL以下で、動作周波数範囲に応じて、好適な距離とされている。
その理由は、信号線路10に信号線路用コンデンサ50が接続される前後では、高周波基板(高周波伝送線路)120における信号線路10と一面側グランドパタン20の位相が揃っているからである。
以上のような高周波基板(高周波伝送線路)120では、信号線路10に設けられた分離部100を挟んで対向する位置、すなわち、信号線路用コンデンサ50が配置された付近の両側において、一面側グランドパタン20は所定の幅(誘電体幅)を介して分離されている。
そのため、信号線路用コンデンサ50が配置された付近における一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流は、一面側グランドパタン20から導電性ビア30を介して他面側グランドパタン60へと伝送される。そして、高周波電流は、他面側グランドパタン60から導電性ビア30を介して一面側グランドパタン20へと経路を迂回して伝わる。
一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流の経路長が、長くなる。そのため、信号線路用コンデンサ50の表面を迂回して伝わった信号線路10の高周波電流との位相差が小さくなる。
また、一面側グランドパタン20がグランドパタン分離部100を有していることにより、コンデンサ電極部側面と一面側グランドパタン20との間の浮遊容量も減じることができる。これにより、構造サイズを大きくすることなく、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
尚、このような効果は、コプレーナ線路25の一面側グランドパタン20が分離されていれば得られるので、グランドパタン分離部100は任意形状でよい。つまり、グランドパタン分離部100を形成する辺は、図示されているような直線で、且つ、コプレーナ線路25の信号伝送方向に垂直である必要はない。
(第2の実施形態)
図6〜図9は、本発明の第2の実施形態による高周波基板(高周波伝送線路)の構成を示した図である。図6は、本発明の実施形態による高周波伝送線路121の平面図である。また、図7は、図6のX−X’線における断面図である。
また、図8は、図6のY−Y’線における断面図である。また、図9は、図6の信号線路用コンデンサ50および導電部材(コンデンサ)51を取り外した状態での平面図である。
なお、各図において、先に記載した図11〜図14に示される構成要素と同じ機能部位には同一符号を用いて示している。
図6に示すように、本発明の実施形態による高周波基板121は、誘電体基板40を備えている。誘電体基板40の一面40aに、信号線路10と、信号線路10と同じ層にこれを挟んで形成された一面側グランドパタン20とで構成されるコプレーナ線路25が形成されている。尚、コプレーナ線路25の一面側グランドパタン20は、信号線路10を挟む両側位置の一方側にのみに形成されていてもよい。
コンプレーナ線路25の下層グランドパタンとして、誘電体基板40の他面40bには、面状の他面側グランドパタン60が形成されている。さらに、コプレーナ線路25の一面側グランドパタン20と、コプレーナ線路25の下層グランドパタンである他面側グランドパタン60は、コプレーナ線路25の信号伝送方向に沿って所定の間隔で配置された複数の導電性ビア30によって、相互に接続されている。
また、コプレーナ線路25の信号線路10は、コプレーナ線路25の信号伝送方向に所定の幅(誘電体幅)を介して分離されて、信号線路分離部101が形成されている。分離された信号線路10の分離端部10c間は、信号線路用コンデンサ50を介して接続されている。
また、信号線路10に設けられた信号線路分離部101を挟んで対向する位置で、すなわち、信号線路用コンデンサ50が配置された付近の両側において、一面側グランドパタン20が所定の幅(誘電体幅)で分離されてグランドパタン分離部100が形成されている。
分離された一面側グランドパタン20の分離端部20c間の分離幅は、概ね、信号線路10に接続された信号線路用コンデンサ50の信号伝送方向の長さL以下で、動作周波数範囲に応じて、好適な距離とされている。
また、分離された一面側グランドパタン20の分離端部20c間は、信号線路用コンデンサ50と略同一形状の導電部材(コンデンサ)51を介して接続されている。
このように、信号線路10に信号線路用コンデンサ50が接続され、一面側グランドパタン20に同程度サイズの導電部材(コンデンサ)51が接続されている。そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長が等しくなる。すなわち、高周波域でも位相差が生じにくくなる。そのため、反射特性が改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
尚、このような効果を得るためには、導電部材(コンデンサ)51としては、信号線路10に接続されている信号線路用コンデンサ50と同程度の外形寸法の導電部材(コンデンサ)を用いればよい。すなわち、同一種類のコンデンサである必要はなく、外形寸法が同程度の異種類のコンデンサであってもよい。
また、導電部材51は、外形寸法が同程度の金属ブロック部材、もしくは、表面を金属メッキされたブロック部材であってもよい。金属メッキの種類は、半田、金錫、導電性接着剤等での電気的な接続が可能であれば何でもよい。例えば、チップ部品の電極によく使用される金、パラジウム、錫等を用いる。
金属ブロックに使用される金属も何でも良い。ただし、半田、金錫、導電性接着剤による電気的接続を用いることができない場合には、金、パラジウム、錫等のメッキを施したものを使用する。
すなわち、外形寸法が信号線路用コンデンサ50と同程度で、ブロックの表面が導電性を有している導電部材(コンデンサ)を使用する。外形寸法としては、コンデンサ50の高さをH、長さをLとし、導電部材(コンデンサ)の高さをH、長さをLとしたとき、2×H+L=2×H+Lの関係を概ね満足していることが好ましい。
その理由は、信号線路10を伝わる高周波電流の最も長い経路長と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流の最も長い経路長とを等しくできるためである。
また、このような効果は、信号線路10に接続されている信号線路用コンデンサ50と同程度の寸法の導電部材(コンデンサ)51が、一面側グランドパタン20に接続されていれば得られる。そのため、一面側グランドパタン20に、分離部分を必ずしも形成する必要はない。
(その他の実施形態)
上記の各実施形態では、異なる層間を接続する手段として導電性ビア30を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、導電性を有するスルーホール等の電気的接続手段を用いてもよい。
また、2層配線板の場合について説明したが、3層以上の多層配線板についても適用可能ある。また、信号線路10および一面側グランドパタン20、他面側グランドパタン60が、誘電体基板40の内部に配置される構成においても適用可能である。
また、本発明の実施形態による高周波基板120、121は、多くの電子機器に組み込まれる高周波モジュールとして用いることができる。例えば携帯電話装置、PDA(Personal Digital Assistant)端末などの高周波基板として適用することができる。
本発明の実施形態による高周波基板120は、誘電体基板40の一面40aに、信号を伝送する信号線路10と、信号線路10を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタン20と、からなるコプレーナ線路25が形成されている。そして、誘電体基板40の他面40bを覆うように他面側グランドパタン60が形成されている。そして、一面側グランドパタン20と他面側グランドパタン60とを接続する複数の導電性ビア30が一定の間隔で配設されている。そして、信号線路10を分離する信号線路分離部101が設けられ、信号線路10の分離端部10cを接続するように略直方体状の信号線路用コンデンサ50が形成されている。そして、信号線路10の信号線路分離部101の両隣に、一面側グランドパタン20を分離するグランドパタン分離部100が設けられている。
そのため、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流の経路長を長くすることができる。そして、信号線路用コンデンサ50の表面を迂回して伝わる信号線路10の高周波電流との位相差を小さくすることができる。
また、一面側グランドパタン20がグランドパタン分離部100を有しているため、コンデンサ電極部側面と一面側グランドパタン20との間の浮遊容量を減じることができる。これにより、構造サイズを大きくすることなく、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板120は、信号線路用コンデンサ50の信号伝送方向の長さをLとしたとき、グランドパタン分離部100の分離幅の最短距離が、信号線路用コンデンサ50の信号伝送方向の長さL以下である。
そのため、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流の経路長を長くして、信号線路用コンデンサ50の表面を迂回して伝わる信号線路10の高周波電流との位相差を小さくすることができる。
また、一面側グランドパタン20がグランドパタン分離部100を有しているため、コンデンサ電極部側面と一面側グランドパタン20との間の浮遊容量を減じることができる。これにより、構造サイズを大きくすることなく、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板121は、一面側グランドパタン20の分離端部20cを接続するように、信号線路用コンデンサ50と略同一形状の導電部材51が形成されている。
そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長を等しくすることができる。そして、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板は、信号線路10を分離する信号線路分離部101が設けられている。そして、信号線路10の分離端部10cを接続するように略直方体状の信号線路用コンデンサ50が形成されている。そして、信号線路10の信号線路分離部101の両隣であって一面側グランドパタン20上に、信号線路用コンデンサ50と略同一形状の導電部材51が配置されている。
そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長を等しくすることができる。そして、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板121は、信号線路用コンデンサの高さをH、信号伝送方向の長さをLとし、導電部材の高さをH、信号伝送方向の長さをLとしたとき、2×H+L=2×H+Lとなる。
そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長を等しくすることができる。そして、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板121は、導電部材51が、コンデンサである。
そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長を等しくすることができる。そして、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波基板121は、導電部材51が、金属製のブロック部材または表面が金属メッキ処理されたブロック部材のいずれかである。
そのため、信号線路10を伝わる高周波電流経路と、一面側グランドパタン20を伝わる高周波電流経路の経路長を等しくすることができる。そして、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能となる。
本発明の実施形態による高周波モジュールは、先に記載の高周波基板120、121に半導体集積回路チップを実装する。
そのため、高周波域でも位相差を生じにくくして、反射特性を改善し、挿入損失を低減することが可能な高周波モジュールとすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
第1の実施形態で示した高周波基板の挿入損失特性について調べた。挿入損失特性を検証するにあたって、以下の設計条件の基板を用いて測定を実施した。
誘電体基板には、比誘電率3.36の樹脂基板からなる2層配線板を用いた。この誘電体基板の誘電体層厚は100[μm]、導体厚を71[μm]とした。
さらに、信号線路の信号幅を210[μm]、信号線路と一面側グランドパタンのギャップ間隔を250[μm]、導電性ビアの直径を250[μm]、複数の導電性ビアの信号伝送方向に沿ったビア間隔を1000[μm]とした。
また、信号線路に形成された分離部の幅を290[μm]とし、分離部分間に、容量12000pFの積層チップコンデンサ(長さ787[μm]、幅508[μm]、高さ508[μm])を接続した。
このような設計条件による構成に対し、信号線路に設けられた分離部分を挟んで対向する位置において、一面側グランドパタンを幅290[μm]で分離した。
コプレーナ線路の一面側グランドパタンを分離していない比較例1と、分離幅を290[μm]として、一面側グランドパタンに分離部分を形成した本実施例1とを、上記の設計条件にて実測し、挿入損失(|S21|)特性を比較した。この実測結果を図5に示す。
図5において、曲線g1は、実施例1の挿入損失特性を示すグラフである。また、曲線g2は、比較例1の挿入損失特性を示すグラフである。
図5から分かるように、比較例1と比べて、本実施例1は6.5GHz〜58GHzと広帯域に渡って挿入損失が改善している。特に、10GHz〜20GHz、50GHz〜55GHzでは0.3dB以上の改善が得られた。
(実施例2)
第2の実施形態で示した高周波基板の挿入損失特性について調べた。挿入損失特性を検証するにあたって、以下の設計条件の基板を用いて実測を実施した。
誘電体基板には、比誘電率3.36の樹脂基板からなる2層配線板を用いた。この誘電体基板の誘電体層厚を100[μm]、導体厚を71[μm]とした。さらに、信号線路の信号幅を240[μm]、信号線路と一面側グランドパタンのギャップ間隔を500[μm]、導電性ビアの直径を250[μm]、複数の導電性ビアの信号伝送方向に沿った全てのビア間隔を1000[μm]とした。
また、信号線路に形成された分離部の幅を290[μm]とし、分離部分間に、容量12000pFの積層チップコンデンサ(長さ787[μm]、幅508[μm]、高さ508[μm])を接続した。
このような設計条件による構成に対し、信号線路に設けられた分離部を挟んで対向した位置において、一面側グランドパタンを幅290[μm]で分離した。そして、信号線路に接続されたコンデンサと同一種類のコンデンサを分離部分間に接続した。
コプレーナ線路の一面側グランドパタンを分離せず、一面側グランドパタンにコンデンサを接続していない比較例2と、分離幅を290[μm]として、一面側グランドパタンに分離部分を形成し、分離部分間にコンデンサを接続した本実施例2とを、上記の設計条件にて実測し、挿入損失(|S21|)特性を比較した。この実測結果を図10に示す。
図10において、曲線g3は、実施例2の挿入損失特性を示すグラフである。また、曲線g4は、比較例2の挿入損失特性を示すグラフである。
図10から分かるように、比較例2と比べて、本実施例2は25GHz以上〜60GHzと広帯域に亘って挿入損失が改善している。特に、50GHz〜60GHzでは0.5dB程度の改善が得られた。
以上のように、本発明の高周波基板について幾つかの実施形態および実施例を示して説明した。しかし、本願発明はこれらの実施形態および実施例に限定されるものではない。その技術思想を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能であることは言うまでもない。
本発明は、高周波基板および高周波モジュールに関するものであり、線路構造サイズを大きくすることなく、高周波域における挿入損失を改善できる高周波基板および高周波モジュールを利用する産業において利用可能性がある。

Claims (9)

  1. 誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板であって、
    前記信号線路を分離する信号線路分離部と、
    前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、
    前記信号線路の信号線路分離部の両隣に設けられ、前記一面側グランドパタンを分離するグランドパタン分離部と、
    を備える高周波基板。
  2. 前記信号線路用コンデンサの信号伝送方向の長さをLとしたとき、前記グランドパタン分離部の分離幅の最短距離が、前記信号線路用コンデンサの信号伝送方向の長さL以下である請求項1に記載の高周波基板。
  3. 前記一面側グランドパタンの分離端部を接続するように、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材が形成されている請求項1に記載の高周波基板。
  4. 誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板であって、
    前記信号線路を分離する信号線路分離部と、
    前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、
    前記信号線路の信号線路分離部の両隣であって前記一面側グランドパタン上に設けられ、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材と、
    を備える高周波基板。
  5. 前記信号線路用コンデンサの高さをH、信号伝送方向の長さをLとし、前記導電部材の高さをH、信号伝送方向の長さをLとしたとき、2×H+L=2×H+Lである請求項3または請求項4に記載の高周波基板。
  6. 前記導電部材が、コンデンサである請求項3または請求項4に記載の高周波基板。
  7. 前記導電部材が、金属製のブロック部材または表面が金属メッキ処理されたブロック部材のいずれかである請求項3または請求項4に記載の高周波基板。
  8. 誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板を備える高周波モジュールであって、
    前記信号線路を分離する信号線路分離部と、
    前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、
    前記信号線路の信号線路分離部の両隣に設けられ、前記一面側グランドパタンを分離するグランドパタン分離部とを備える高周波基板と、
    前記高周波基板に実装される半導体集積回路チップと、
    を備える高周波モジュール。
  9. 誘電体基板の一面に、信号を伝送する信号線路と、前記信号線路を挟んで並列配置された一対の一面側グランドパタンと、からなるコプレーナ線路が形成され、前記誘電体基板の他面を覆うように他面側グランドパタンが形成され、前記一面側グランドパタンと前記他面側グランドパタンとを接続する複数の導電性ビアが一定の間隔で配設された高周波基板を備える高周波モジュールであって、
    前記信号線路を分離する信号線路分離部と、
    前記信号線路の分離端部を接続するように形成され、略直方体状の信号線路用コンデンサと、
    前記信号線路の信号線路分離部の両隣であって前記一面側グランドパタン上に設けられ、前記信号線路用コンデンサと略同一形状の導電部材と、
    を備える高周波基板と、
    前記高周波基板に実装される半導体集積回路チップと、
    を備える高周波モジュール。
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